2012年度 日本物理学会 第8回Jr.セッション
Jr.セッションは中高生による物理的内容を含む理科の研究発表の場です。
2012年度 日本物理学会 第8回Jr.セッション
Jr.セッションは中高生による物理的内容を含む理科の研究発表の場です。
(回答) 地球上において発生する重力は、よく知られているように、地球と物体の間にはたらく万有引力が原因です。同じ質量の物体も月に行けば、月との万有引力により、重力は約1/6になるでしょう。
重量の制御は重力に対抗する力を加えれば可能です。例えば、水中では物体の体積分の水の重量だけ浮力が働き、重量が減じます。しかし、万有引力=重力 は制御できません。(江尻有郷)
(回答) 現代物理学では、光は波動性と粒子性の二つの性質を持つとして扱われます。
波動性は、電磁波としての性質で、マクスウエルの電磁理論から導かれ、干渉や回折などの波動現象を示すことが知られています。他方、粒子性は、プランクが光量子仮説(1900年)を立て、アインシュタインが光電効果を光の粒子性で説明し、光子と名つけて、確立された。光電効果や植物の光合成などの光化学反応は光の粒子性で説明されます。一見矛盾する波動性と粒子性であるが、光の本質は、波とか粒子とかの人間が本来持っている概念では決められないもの、と考えれば、矛盾するとは言えないのでしょう。
なお、電子などの素粒子も、粒子性と共に波動性を持つことが知られています。(江尻有郷)
(回答) ある程度の迎え角(進行方向上側に傾いた角)を持った翼に,空気の流れが当たれば,翼に揚力が発生します。比較的低速で飛ぶ飛行機は,翼の上面を下面よりも湾曲させた形状になっていますが,これはより効果的に揚力を発生させるためです。
背面飛行の場合は,昇降舵を逆に(すなわち通常の飛行では下降する向き)にして,翼に迎え角を与えますが,翼のカーブが逆になってしまい,あまり効率的に揚力を発生させることができません。そのため,ラジコンの曲技飛行機は,翼の上面と下面が同じようなカーブを持った対称翼を採用しています。
一般に,翼は水平面よりも上向きに(すなわち,バンザイをした形)につけられますが,これは傾きに対する安定性を確保するためです。翼と水平面とのなす角を上反角といいます。背面飛行を行うときは,この上反角が反対になってしまい,安定に飛行することが難しくなります。
以上のような理由から,背面飛行をするためには,かなり高度な技術が必要になります。(岸澤眞一)
(回答) 木の葉が落下するとき、真空中のように重力以外に力が働かなければ、木の葉の運動は、重心の落下と、重心の周りの落ち葉の回転で、記述できます。2mの高さの木の葉は、0.6秒で地面に着くはずで、そのときの速度は6m/sです。しかし、実際には、空気の抵抗力が働くため、地面に落ちるのに1秒以上かかり、着地の速度は約1m/sぐらいで、大幅に遅くなっています。木の葉の運動は、重力の他に、空気の抵抗力で支配されていることがわかります。空気の抵抗力は、速度の二乗に比例するほか、運動方向の断面積に比例します。そのため、落下して少し速度がますと、木の葉の受ける空気の抵抗力は、すぐに大きくなります。また、木の葉の姿勢が変わると、空気から受ける力が大きく変化します。木の葉の面が垂直面内にあると抵抗はほとんどないのですが、水平になると抵抗は非常に大きくなります。また、空気の力の方向は、木の葉の面に垂直なので、姿勢により力の方向も変化します。この点は、重力と違います。このように、木の葉の姿勢に従い、受ける力の大きさと方向が大きく変化することにより、木の葉の動きは、複雑になります。また、木の葉の背後に大きな空気の渦がランダムに発生することによっても、予測不可能な動きをします。(山田修義)
(回答) 手軽に数値計算をするには、例えばExcel、Maxima、Mathematicaなどのソフトを利用すると比較的簡単にできます。 Maximaはフリーソフトなのでインターネットがつながっている環境ならどこからでもダウンロードして使用することができます。それぞれソフトには一長一短があり、用途によって使い勝手が違いますが、色々と比べてみるのも面白いでしょう。このようなソフトはプログラミングよりもコマンドが簡単なので、導入としては良いと思います。参考文献も多数あるので、空気抵抗のある放物運動の計算などから始めてみると良いかもしれません。変化球や流体力学の数値計算は、プログラミングの考え方に慣れてきたら、自分で条件や式を工夫することでできるようになります。
手軽なソフトを用いた数値計算には限度があるので、将来はFortranやCなどのプログラミング言語も勉強すると良いでしょう。(興治文子)
(回答) 自転車が走行しているとき、タイヤが回転すると、抵抗が発生します。タイヤが細いと、そのような抵抗が少なくなり早く走れます。タイヤ回転の抵抗は、タイヤが、人と自転車の重力により地面に押しつぶされたり、回転により地面から引き剥がされたりするとき発生します。地面に押し付けられるときのタイヤと地面の接触面でエネルギーの損失、タイヤが変形するときのエネルギー損失、タイヤが地面から引き剥がされるときの接触面でのエネルギー損失などのいろいろなエネルギー損失が発生しますが、それを、タイヤの回転の抵抗と感じるのです。タイヤが細いと、接触面が少なく、タイヤの変形する体積が少ないため、そのようなエネルギー損失が少なくなり、抵抗が減少します。マウンテンバイクの様な太いタイヤの自転車に乗って、速く走ると、ゴーと音がタイヤから聞こえてきます。音は、エネルギーの損失を示しています。また、タイヤが細い自転車は、車体を軽く、空気抵抗が少なく作ってあるのも、自転車が早くなる理由です。(山田修義)
(回答) いろいろな元素の混合物が、いろいろな酸素分圧の下で、どのような結晶を作るかの研究は、これまで、専門的な酸素圧力反応炉などの実験機器を使用して遂行され、学術雑誌に発表されてきました。鉱物に関係するたいていの結晶の温度と圧力と酸素分圧の関係は、学術雑誌に掲載されている研究結果により、調べることができます。大学や研究機関では、それらの研究結果を調べることができるようになっています。大学の鉱物の先生に、相談すると良いと思います。(山田修義)
(回答) 「シャボン玉は反時計回りに回転する性質を持つ」というあなた方の「発見」は大変興味深い発見です。注意深い観察に敬服します。その際,回転さいているのは表面に生じている波なのか,液自信が回転しているのかを見極めてください。また,いろいろ条件を変えてぜひ実験を続けてみてください。
でも物理学の立場からは,回転の一方向性は微妙な初期条件の結果であると推測します。すなわち,ストローとシャボン玉の微妙な位置関係や空気の入れ方によっていつもそのような回転が生じるのでしょう。重要な物理法則の一つ,対称性の見地からは,時計回りの回転と反時計回りの回転が同じ確率で現れるはずです。
転向力というのはコリオリの力のことでしょうね。確かにこのサイズの運動ではコリオリの力は影響しません。コリオリの力について簡単に説明しましょう。回転する台に乗って二人でキャッチボールをしていると想像してください。ボールは手を離れた瞬間からまっすぐに進みますが,回転台に乗ったあなた方は回転して動いているのでボールは弧を描いて右か左に反れて行きます。回転台に乗った人から見ると,ボールに力(みかけ上の)が働いていることになります。それがコリオリの力です。またはフーコーの振り子を科学博物館等で見かけてご存知でしょう。振動面が地球の自転につれてずれていきます。振り子の振動面をずれさせる見かけ上の力が地球の自転によるコリオリの力です。(渡邊靖志)
(回答) シャボン玉内部の気圧は外部の大気圧より高いことは想像がつきます。しかし、直接測定するにはかなり高精度の気圧計が必要でしょう。気圧計を調べると、ミリパスカル程度まで測定できる高精度の気圧計もあるようですが、1気圧前後で精度よく気圧差を測れるかどうかが問題です。
また、測定法としては、測定素子の上にシャボン玉の半球を作れば測定可能ですが、真の値ではありません。例えば、ゴム風船を考えてみると、風船の内圧は大気圧+ゴムの張力になっているはずです。同様に、シャボン玉の内圧も大気圧+シャボン膜の結合力になっているでしょう。シャボン膜の結合力はどのように測定できるか考えてみましょう。ひとつの案として、このような方法はどうでしょうか。1)、針金で輪のフレ−ムを作る。2)、そのフレ−ムに糸の輪をつけて、3)、フレ−ムにシャボン膜を張る。4)、糸の輪の中心を針で突いて膜を破ると、糸の輪は円形になる。5)このとき、円になるために加わった力を測定できれば、それが、シャボン膜の結合力と言えるのではないでしょうか。(江尻有郷)
(回答) 摩擦に関する経験的な法則に、「摩擦は接触面積によらず、荷重に比例する」というものがあります。これは、アーモントン・クーロンの法則と呼ばれ、17世紀から18世紀にかけて発見され、まとめられました。
乾燥した固体同士の摩擦の原因については、古くから固体表面同士が凝着する凝着説と表面の凸凹によって生じるとする凸凹説の2つがありました。凝着説によれば、2つの面の間の見かけの接触面積に比べて、真実の接触面積は極めて小さく、少数個の接触点で凝着を起こしていることが摩擦の原因と考えられます。真実接触面積は荷重に比例して増大するため、摩擦力は荷重に比例すると説明されます。一方、凸凹説はクーロン等により、凸凹を乗り越えるのに必要な力は荷重に比例し、これが摩擦力の原因と考えられました。しかし20世紀半ばになって少なくとも金属に関しては凝着説が正しいことが明らかになりました。真実接触面積の測定や金属表面をきれいにすればする程金属同士の摩擦力が大きくなることが確認されたためです。清浄面では金属の間の真実接触面が増加することから、この結果は擬着説を支持しています。
また、最近新たに提唱されている摩擦の理論として、摩擦は介在物によるものとする理論があります。この理論によれば、2つの面の間に不純物や他の分子が挟まっていると、荷重に応じた摩擦力が働くことが理論および計算機シミュレーションから示せます。実際に2つの面が結晶からできており、互いの格子間隔が一致ない場合や結晶方向の角度が傾いていて向かい合った原子同士の場所が一致しない場合には、摩擦は極めて小さくなることがグラファイトなどを用いた最近の実験で測定されています。
摩擦では、滑りと静止を繰り返すスティック・スリップという振動現象がよく観察されますが、静止してからの時間経過によって静止摩擦力が異なることも最近の新しい発見です。このことを取り入れた理論は凝着説の拡張とも考えられますが、この理論は最近、地震における断層のすべりの解析にも広く利用されています。
17〜18世紀に見つかった摩擦の法則の研究が今現在も進歩し続けていることには驚きますね。(佐野雅己)
(回答) 地面に衝突した時に摩擦力が働くと、ボールは地面に対して、回転方向に力(運動量)を与えます。この摩擦による作用・反作用の効果としてボールは地面から反対向きの力(運動量)をもらいます。したがって摩擦のある面にボールが衝突すると、回転の向きが変わります。摩擦のない面ですと、(スリップして)回転の向きは変化しません。(鈴木康夫)
(回答) このような基本的質問は、ウェッブサイトや事典を調べればわかります。まずは自分で調べ、それでもわからないことを質問した方がより効率的です。以下の回答も事典を調べた結果を書いているだけです。
光の波長によって見える色が異なることは知っていますね。可視光は380〜770nm(1nm = 10-9m)で、波長が長い方から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色(欧米では6色に分類)に見えることは知っていますね。色は3原色で合成できることも知っていますね。つまり人間は、赤、緑、青の領域にそれぞれ感度をもつ3種類の錐細胞の刺激の組み合わせによって色を感じています。明暗を感じる悍(かん)細胞が青を担当しているという説もあるようです。まだ完全に色覚が理解されているわけではないようです。(渡邊靖志)
(回答)本当です。筋肉を分解してゆくと繊維状のアクチンフィラメントとその上を動くミオシンに行きつきます。アクチンは、重合してアクチンフィラメントを形成し、ミオシンが移動するレールの役割をします。ミオシンは大きさが数十nmのタンパク質酵素で、ATPをADPに加水分解する際に生じるエネルギーをアクチンフィラメントに沿った方向の運動に変換して力を発生し、外部の負荷に対して仕事をします。ミオシンなどの分子モーターは小さく、周囲の水分子の熱運動で常に突き動かされています。ミオシンはATPやADPの結合状態に応じてアクチンフィラメントにくっついたり離れたりを繰り返すと考えられていますが、特に離れた状態ではブラウン運動のゆらぎは大きくなります。ATP一個を分解して得られるエネルギーは熱によるブラウン運動のエネルギーより少し大きい程度ですので、ミオシンは激しい熱ゆらぎの中でATPの化学エネルギーを一方向性の運動に変えていることになります。一般にブラウン運動に方向性はないため、温度差がなければ熱ゆらぎから仕事を取り出すことは不可能であることは、熱力学の第二法則から示されます(マクスウェルの悪魔)。したがって、このようなゆらぎの中で仕事をする分子モーターが何故、高効率なのかは物理学が解くべき謎の一つです。
最近では測定技術の進歩により、ミオシン1分子がブラウン運動をしながらアクチン上を動いていく様子が観測できるようになり、力や速度、効率などの物理的測定が可能になっており、日本の研究者が大きな貢献をしている分野です。(佐野雅己)
(回答)下敷などで頭髪をこすると静電気が起こり、下敷を頭髪の上に持ち上げてやると髪の毛が逆立ちます。これは電気力が重力より強いことを意味します。静電気がなくても硬い髪の毛の人は髪がたつことがありますね。髪の毛はたくさんの分子からできていて、その分子は原子からできています。原子は正の電荷をもった原子核と負の電荷をもった電子からなっていますので、原子がそばによると電気力が働きます。原子や分子を結びつけるには、電気力が働いていますので、これを安定した位置から動かすには、強い力が必要です(電気力は重力よりも何十桁も強い力です)。そのため髪の毛を曲げるには、強い弾性力が必要です(弾性力の原因は電気力です)。したがって髪の毛が重力に負けずに立つのは、弾性力のため、根本的には重力より大きな電気力が働いているためです。弾性力は物質によって、その分子や原子の結合の仕方によって大きくも小さくもなります。圧力は、空間のすべての方向から働きますので、髪の毛を寝かせるような力にはなりません。また、髪の毛のような空間的に小さな領域を占めるものにはほとんど力が働きません。水の中で大きな体積を占める物には浮力が働きます。これは物体の上部にかかる圧力と下部にかかる圧力の大きさがことなるためです。浮力の大きさは物体の体積によります。また大きさは重力と同じ程度です。 (鈴木康夫)
(回答) オーロラ現象は、蛍光灯やナトリウムランプの光る仕組みと似ています。教科書で真空放電について勉強してみてください。電磁気現象によって加速された電子が原子やイオンに衝突することによって光が生じます。電子が十分加速される前に原子やイオンと衝突すると、可視光が生じません。そのため希薄な気体か強い電磁場が必要となります。(鈴木康夫)
(回答) NTTコンピューターサイエンス研究所の平田圭二さんは音楽について情報科学の立場から研究しています。平田さんに伺ったところ、質問にあるような研究ということでは産業技術総合研究所の後藤真孝さんの研究が近いようです。
http://staff.aist.go.jp/m.goto/index-j.html その他、京都大学の奥乃博さん、東京大学の嵯峨山茂樹さんなどが音楽について情報科学的に研究しているそうです。一般に専門の研究者は忙しいので、一般の方からの質問や相談などを簡単には受けてくれないかもしれません。しかし、質問されたみなさんの研究は学問の世界でもホットトピックのようです。研究の内容を深く知りたい場合は、やはりこれらの方々の所属する大学に進学して、講義やゼミに参加することが一番だと思います。専門課程の学生や研究者の卵になれば、研究会や国際会議などで世界の研究者と交わることができます。
音は波動現象であり、スペクトルというのは、波動現象の一つの要素です。音楽について科学的な研究をするためには、いくばくかの音楽知識と、膨大な量の信号処理と統計学の知識が必要だとのことですので、よく基礎を学習しておくことが重要です。物理学の立場からは、① 音という波動現象を研究すること、②耳の構造や振動の受容器について研究すること、③脳の神経回路に基づいて音の研究すること、④人が美しさ(歌声の善し悪し)を判断する基準について広く研究すること、などの研究が考えられます。 (鈴木康夫)
(回答) 温度は、他に比べて、一定に保つことは難しい物理量です。物理学では、どのくらい一定に保てるか、質と量を問題にします。一般に、実験室内で、保温瓶などの小さな領域では、100分の1度くらいまでの精度で温度を保つ努力がなされています。ごく普通の実験では10分の1度以下の精度でしょう。
物理学の一つの分野に低温物理学があります。日本がとても強い分野です。いろいろな技術を使って、0.45nK(ナノケルビン、1nK=10-9K)という低温を達成しています。つまり10億分の1度という精度で温度をコントロールします。このような実験では、コンクリートの壁から出てくる放射線や交通による振動などが温度を変化させる要因となります。0.45nKは、上記のBECで実現され、宇宙最低の温度と言われています。
(鈴木康夫、渡邊靖志)
(回答) 物理学は様々な単位を決めることに深くかかわっています。単位を精密に決定することは、物理学の上でも、工業的にも、日常生活の上でも、たいへん重要なことです。温度標準については、http://www.aist.go.jp/NRLM/standard/temp.html を参照してください。(鈴木康夫)
(回答)物質が気化するときになぜ熱が奪われるのか、と捉えて答えます。必ずしも奪われるわけではありません。気化熱の大きさは、液体になっている時の結合力と気体の時の結合力の差になります。一般には気体の時の結合力は非常に小さいので(気体の定義は分子や原子がほとんど自由に飛び回っている状態)気化するには、エネルギーが必要です。周りから熱エネルギーを奪って気化することになります。では、エネルギー的に不利(エネルギーの高い状態になる)なのに、気化するのは何故でしょうか。考えてみてください。(鈴木康夫)
(回答) できます。上野の国立科学博物館の2階のフロアの中央付近に、よいデモンストレーションが、設置してありますので、試してみてください。マイクロフォンは、音を電磁気現象に変換しています。音は空気の振動ですが、波は水面の振動です。波の力を利用した発電所が実用化されています。(鈴木康夫)
(回答) 電磁波を出している携帯電話を携帯している人とその周りにいる人とでは電磁波で受ける影響はどれほど違うか、と捉えて答えます。電磁波から受ける影響は電磁波の強さに依存すると考えられます。発生源から離れた時の電磁波の強さは、一般に、アンテナの指向性と距離によって決まります。アンテナにはいろいろな種類があり、会社や機種によってことなります。携帯電話のアンテナが空間の3次元方向に電波を出すものであるとすると、電磁波の強さは距離の2 乗に逆比例します。2次元方向にしか電波を出さないものであるとすると、電磁波の強さは距離に逆比例します。したがって携帯電話を持っている人の身体と携帯電話の距離の4倍離れたところにいる人は、携帯電話を持っている人に対する影響の1それぞれ6分の1、4分の1になります。ただし、導体で囲まれていると電磁波はその領域から外に出ていきませんので、その中にいる人はほぼ同じ影響を受けると考えられます。たとえば、電子レンジからはほとんど電磁波は洩れませんので、中に置いたものはほとんど場所によらずに同じように強い影響を受けます。電車や車には電磁波の波長より大きいサイズの窓があり、ガラスは絶縁体ですので、電磁波は外に洩れだしますが、導体で囲まれている部分が多いので、電車の中では携帯電話から同じくらい離れていても、外にいるときよりも強い影響を受けると思います。(鈴木康夫)