電気学会全国大会講演要旨
1-119
貫通形大電流変流器の飽和とシールドの効果(3/3)
高橋邦彦・○山脇正夫・田所拓也(日本電気計器検定所)
本論文では、貫通形大電流変流器の試験に付随する変流器の飽和について、その発生のメカニズムを定性的、定量的に調べ、これを防ぐための導体によるシールドを提案している。この目的で開発した貫通形変流器に巻装した検出巻線に誘起する電圧から、鉄芯内部での誘磁界分布を調べた結果、一次導体が発生する磁界の向きと、鉄芯の磁化しやすい方向が一致しないため、鉄芯内部、周方向に沿って大きさと向きの異なる誘磁界が発生し、これが原因で鉄芯を飽和させることがわかった。そこで、鉄芯内部に発生する誘磁界の勾配を軽減するために、変流器の最も外側を導体でシールドした。この結果、誘磁界の勾配を最大で50%軽減する効果が得られ、鉄芯の等価断面積を概ね2倍にすることができた。