電気学会全国大会講演要旨
2-037
熱・放射線ストレスによるケーブル絶縁材料の劣化モデルの提案
◎布施則一・岡本達希・栗原隆史・本間宏也(電力中央研究所)
原子力発電所の安全性ケーブルの健全性評価手法の確立については,材料物性論の見地から加速試験/実環境間の劣化挙動の相違を明らかにし,評価法を高度化すべきとの指摘がある。そこで,①熱と放射線の相乗効果を説明する自動酸化反応式と等価損傷線量法,②線量率効果を説明する拡散方程式および③酸化防止剤限界濃度挙動を考慮した新モデルを構築した。このモデルは,定性的には実験結果とも符合することも確認した。さらに,高温・高線量率環境を想定した場合,劣化生成物だけでなく酸化防止剤もバルク内で不均一な分布を取る計算結果が得られた。材料物性に着目したメカニズム研究では微小サンプリングに対応した機器分析が望ましい。