電気学会全国大会講演要旨
2-056
エポキシ複合体の耐電圧寿命に及ぼす金属水酸化物の効果
○太田 司(日東電工)・飯田和生(三重大学)
高分子絶縁材料の難燃剤として添加されている金属水酸化物は、高温にさらされ分解するとき、結晶水を放出し周りのエネルギーを奪う現象を示す。金属水酸化物の分解でトリーに伴う部分放電のエネルギーを消費することによるトリー進展の抑制、絶縁体の寿命向上について検討してきた。我々は、この現象に着目し、今回は、水酸化マグネシウムを取り上げ、エポキシ複合体の耐電圧寿命試験や解析を実施した。電気トリーを観察したところ、エポキシ単独品は比較的電界方向に直線的にトリーが延びているが、水酸化マグネシウム添加品は、枝分かれが多く、まりも状になっており、30部添加品では寿命が100倍程度延びる結果を得た。また、トリー部の水酸化マグネシウム粒子は、脱水のためと思われる形態変化を起こしていることも確認した。