電気学会全国大会講演要旨
2-060
水トリーの発生に与える異種イオン混合の影響
○熊澤孝夫(中部電力)
CVケーブルの主要な劣化形態である水トリーの発生・進展は,XLPE中のイオンの影響を大きく受ける。これまでにもイオンの半径や質量に対する依存性が報告されているが,現象を単純化するため単一種のイオンを供給した実験が一般的であった。そこで今回は,複数種のイオンが混在する系で水トリーの発生・進展を調査した。実験は,NaClおよびPb(CH3COO)2の単体もしくは混合水溶液に浸漬したXLPE試料に課電して水トリーを発生させ,1000時間程度課電した後に水トリーを観察した。その結果,異種イオン混合系では,水トリーの発生・進展は質量の大きいイオンにより阻害され,拡散過程での異種イオン間の相互干渉による抑制効果が示唆された。