電気学会全国大会講演要旨
2-088
フォトルミネセンス測定によるポリエチレンの電子局在準位評価と量子化学計算を用いた検証
◎荒井友之・細淵柾志(早稲田大学)・布施則一(電力中央研究所)・武田京三郎・大木義路(早稲田大学)
一般的に用いられている電力ケーブル用ポリエチレン(PE)と,酸化防止剤や添加剤を意図的には添加していないPE,ヘキサトリアコンタンを用いて実験した。全ての試料から,6.4 eV光で励起すると4.3 eV付近に発光帯が観測される。我々は,上記発光帯は,α,β-不飽和カルボニルに由来すると推測してきた。今回の結果は,上記発光帯の原因は,酸化防止剤・添加剤等では無いことを明確に示している。 量子化学計算を用いて,劣化PEを表す酸化構造欠陥モデルとして,ペンタコサンにα,β-不飽和カルボニルを1つ含むC25H48Oを想定し,基底状態と励起一重項状態を計算した処,励起エネルギーは5.4 eVとなり,上記発光帯の励起エネルギー6.4 eVとほぼ合致する。以上より,α,β-不飽和カルボニルは上記発光帯の原因であると考えられる。