電気学会全国大会講演要旨
2-122
局所構造歪制御によるBi系高温超電導体の高機能化
◎田中博美(米子工業高等専門学校)・吉川英樹(物質・材料研究機構)・岸田 悟(鳥取大学)
最近, Bi系高温超伝導体で磁束量子が原子サイズの欠陥でも捕捉され, 柱状欠陥などよりも強いピン止め力を示すことがTonomuraらにより示された. 従って, これまで弱いピン止め力しか持たないと考えられてきた原子サイズの欠陥を制御することにより, 非常に有効なピンニングセンターの導入が可能であると期待される. そこで本研究では, ASGQP法(an Al2O3-seeded glassy quenched platelet method)を用いた組成制御により局所構造歪を導入したBi系超伝導ウィスカーを育成し, 臨界電流密度(Jc)に与える影響を明らかにした. その結果, 局所構造歪の導入量が増加するに従って, Jcが指数関数的に増大することが分かった. 局所構造歪量が約25%ときに2×105A/cm2と高いJcが実現できた.