電気学会全国大会講演要旨
2-159
PLD法により作製したNd-Fe-B/α-Fe多層厚膜磁石の磁気特性
◎藤 昭徳・上川床 崇・柳井武志・中野正基・福永博俊(長崎大学)
電子機器の小型化・高性能化に伴い,厚膜磁石の研究が進められている。我々は,PLD (Pulsed Laser Deposition) 法によるNd-Fe-B系等方性厚膜磁石の高速成膜の研究を行い,レーザ光のエネルギー密度が作製された厚膜磁石の特性に影響することを明らかにして来た。そこで本研究では,膜組成が比較的安定するレーザ集光条件においてNd2.4Fe14Bとα-Feの積層交換スプリング磁石膜の作製を行ない,従来報告している磁気特性の更なる向上を目指した。T-S Distance(ターゲット-基板間距離):20 mm,一周期あたりの膜厚が20-30 nm付近で90kJ/m3 程度の(BH)maxが安定して得られた。すなわち,本研究で得られた最良の特性は,従来の等方性厚膜磁石の特性を上回っていることが明らかとなった。なお,この時のα-Fe一層の層厚は6 nm程度と予測される。優れた磁気特性の達成は,一層あたりの膜厚と制御とPLD特有のドロップレットの抑制によるものと考えられる。