電気学会全国大会講演要旨
4-055
パワーMOSFETを用いた誘導加熱用複数周波数出力準共振形高周波インバータの動作特性
◎宮前真貴・伊藤賢玄・松瀨貢規(明治大学)
現在,金属部品等の熱処理の方法として,高周波インバータを用いた誘導加熱による方法が広く用いられている。金属を誘導加熱によって加熱するとき,被加熱体に貫通する熱の深さは,インバータが出力する周波数に依存する。低周波では深い部分まで加熱され,高周波では浅い部分が集中的に加熱される。そのため,目的に応じてインバータの出力周波数を変化させる必要がある。 従来の共振形インバータでは,使用する共振コンデンサにつき1つの周波数しか出力することができない。そのため複数の周波数で加熱するためには,加熱処理ごとに運転条件を設定し直すなどの必要が生じてしまう。この問題の解決方法として,準共振形高周波インバータが提案されている。これは2つの共振コンデンサを用い,そのうちの1つを任意の期間,短絡させることで複数の周波数を出力することが可能になるものである。しかし,このインバータはスイッチング素子にIGBTを用いており,出力周波数の限界は100kHz程度である。 そこで本論文では,100kHz以上の高周波を出力できるように,スイッチング素子にパワーMOSFETを使用した準共振形高周波インバータを上げ,主回路構成,回路の動作原理,試作機を用いた実験の結果について述べる。