電気学会全国大会講演要旨
5-089
YBCO薄膜導体の引張応力により超電導層に形成されたクラックの観察と交流通電損失特性
○礒崎宏佑・尾島卓見・本澤竜太・野田 豪・山岸達也・高尾智明(上智大学)・塚本貴広・飯田祐介・荻野俊郎・塚本修巳(横浜国立大学)
本研究では、銅安定化YBCO薄膜導体(試験サンプル:幅12mmの導体を機械的に4mm幅に3本に裁断、端の導体を試験)について、導体長さ方向に繰り返し及び非繰り返し引張応力を加えたときに、臨界電流の劣化に伴う交流通電損失特性の様相に違いがでることを示した。さらに、超電導層を化学的処理により露出させ、SEMにより超電導層を観察することで、導体に発生したクラックと通電損失の関係を調べた。 その結果、非繰り返し劣化試験において、①裁断された側において初期状態で確認されていたクラックの拡大②線材中央部に初期状態では存在しなかった新たなクラックの発生の2点が確認された。一方、繰り返し劣化試験では、①のみが確認されたことから、非繰り返し劣化試験での新たに発生した中央部のクラックが通電損失の増大の原因と考えた。