電気学会全国大会講演要旨
7-086
裁断波雷インパルス電圧波形の裁断時刻の決定
里 周二・才川友也(宇都宮大学)・○西村誠介・清水博幸(日本工業大学)・岡本吉史(宇都宮大学)
裁断波インパルス電圧波形はV-t特性を求める実験でしばしば取り扱われる。IEC60060-1には裁断波雷インパルス電圧波形のパラメータの定義も掲載されているが,その重要性が認識されたためか,IEC 61083-2に付属するTDGは裁断波雷インパルスの波形データを発生することができる。 波頭裁断の場合,インパルスの裁断時刻の決定は比較的容易に行うことができる。即ち,ピーク値に達する時刻を裁断時刻と定めることで解決できる。これに対し,波尾裁断では,非スパークオーバ時(ピーク値はスパークオーバ時より低い)に記録された全波インパルスと裁断波インパルスの2つの記録の波高値を規格化し,規約原点を一致させ,裁断波インパルスが全波インパルスから離れて行く時刻を裁断時刻と定められていた。 裁断が波尾で起きていることが予め判っている場合,この方法は有効であるが,スパークオーバはピーク値付近で生じることが多く,記録された波形は裁断時点まで全波,裁断波が完全に相似である保証はないため,何らかの異なったアルゴリズムの提唱が望まれる。 筆者らは今回,全波インパルス波形の情報がなくても裁断時刻を正確に決定できるアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムを用いてIEC 61083-2 TDGの発生波形はもとより,真空遮断器のV-t特性のデータ収集に用い,その効果を確認したので,詳細を報告する。