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太陽電池の世界市場に対するわが国の太陽光発電技術開発の影響分析
○遠藤栄一(産業技術総合研究所)
本研究では,日本における太陽光発電技術開発の妥当性の検証を試みている。まず,従来の経験曲線による方法ではなく,規模の経済と生産習熟とによる量産効果を除いて,研究開発による太陽電池モジュールの価格低減をモデル化している。次に,得られた技術進歩モデルを用い,結晶系シリコン太陽電池に適正な研究開発費を配分した場合の2012年度のモジュール価格129円/Wを推定している。この価格は,世界の太陽電池セル生産における各国のシェアから推定される中国・台湾の太陽電池価格に匹敵する水準であり,適切な資源配分がなされていれば,太陽電池市場における国際競争力を十分維持できた可能性のあることを示している。