PWMインバータの制御において，空間ベクトル変調法に二相制御等の制約を適切に加えることにより，スイッチング損失を低減することが可能である。3レベルインバータでは，空間ベクトル変調の自由度をスイッチング損失の低減とコモンモード電圧の抑制に振り分けることにより，両者を低減することが可能である。ただしこの場合，これら制約にほぼ自由度が使い果たされるため，電圧リップルの抑制に対して不利となる。そのため本稿ではより自由度を上げた5レベルインバータにおいて，その一部をスイッチング損失の低減とコモンモード電圧の抑制に振り分けて，残された自由度で空間ベクトル制御を行う方法について検討する。