電気学会全国大会講演要旨
5-078
2軸制御ベアリングレスモータの開ループ速度制御時の軸方向の振動とその抑制
◎三好将仁・杉元紘也・千葉 明(東京工業大学)
ベアリングレスモータは、磁気軸受と電動機を磁気的に一体化し、非接触で回転軸を支持しながらトルクを発生させることができる。そのため、機械的接触による粉塵が発生しない、メンテナンスフリーという利点がある。特に2軸制御ベアリングレスモータは小型,低コストであるため、半導体製造用遠心ポンプやプロセスチャンバステージへの応用を見込んだ研究開発が行われている(1)。 一方、2軸制御の問題点は、電動機部が軸方向や傾きに干渉する点である。文献(2)では,電動機部と磁気軸受部が2段構造の2軸制御型の磁気軸受モータが提案され,電動機部の傾き方向への干渉について検討されている。回転子が半径方向や傾き方向に変位した場合,電動機部の磁気吸引力によって傾き方向にモーメントが発生し,不安定になる可能性があるため,傾き剛性を十分高く設計している。文献(3)は,1軸制御型ベアリングレスモータであり,電動機巻線のd軸電流によって,軸方向の位置を能動的に制御している。文献(3)で提案されている原理は,2軸制御型の軸方向の振動低減にも適用可能である。 本稿は,開ループ速度制御時に,軸方向振動が発生する現象とその原理を明らかにし,解決策を提案する。2軸制御型ベアリングレスモータについて,電動機巻線のd軸電流と軸方向の振動の関係を明らかにする。軸方向変位と電動機巻線のd軸電流の干渉をブロック線図で示す。