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通電摩耗形態に及ぼす見かけ接触面積の影響
◎山下主税(鉄道総合技術研究所)
これまで行ったトロリ線とすり板の通電時温度分布解析結果より、トロリ線の溶融には表面の酸化被膜が大きく影響することがわかっている。本研究では、トロリ線表面の酸化被膜を除去することを目的とし、すり板の見かけ接触面積を変化させた摩耗試験を実施した。その結果、荷重10N以上ではトロリ線摩耗率に対する見かけ接触面積の影響は観察されず、見かけ接触面積の減少に伴い摩耗深さが増加したことを確認した。また、見かけ接触面積50mm2以下の条件では全ての荷重条件においてトロリ線表面の溶融は発生せず、著大な摩耗率も観察されなかった。これによりトロリ線の溶融と摩耗深さには相関があり、トロリ線の溶融に対する酸化膜の影響が示唆された。