SF6絶縁電力機器の内部アーク試験を実施する際には，SF6が大気中へ放出しないよう対策を講じるか，その対策が困難な場合には空気による代替試験を行う場合がある。しかし，空気とSF6の物性値の違いから，アークに伴う電力機器内部の圧力上昇特性などが異なっている。そのため，空気による代替試験法を確立するためには，これらの特性が等価となるような条件を実験および解析の両面から解明し，具体的な代替手順の提示や試験パラメータの選定が必要となる。そこで本稿では，空気およびSF6中アークによる密閉容器内圧力上昇に及ぼす封入ガス圧力の影響を実験的に解明し，解析に必要となるkp（アークエネルギーと圧力上昇に寄与するエネルギーの比）の圧力依存性について明らかにした。その結果，封入ガス圧力を高くすると，空気およびSF6の圧力上昇はそれぞれ1.6倍および1.5倍となる事が分かり，kpは封入ガス圧力にほとんど影響しないことが分かった。