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巻枠材料と含浸による伝導冷却型YBCOコイルの熱的安定性の評価
◎田中雄基・杉浦勇祐・石津幸一郎・高尾智明(上智大学)・山中淳彦(名古屋大学)
伝導冷却型HTSコイルの熱的安定性を向上させるには、線材に発生した熱を効率的に冷却部に逃がす必要がある。そこで極低温下で負膨張性があり、熱伝導性が高く、絶縁性であるダイニーマを用いた巻枠であるDFRP(Dyneema® Fiber Reinforced Plastics)とGFRP、また含浸材にStycast 1266を用いて熱的安定性の評価を行った。コイルの最外ターンにヒータ、その直近と90°ずらした場所にそれぞれ熱電対を取り付け、伝導冷却により77Kにした後、臨界電流の80%を流して、ヒータ出力を0.01W、0.02W、0.03Wとし、クエンチを起こすまでの通電時間と温度上昇を測定した。通電時間は、DFRP (Stycast1226含浸) > GFRP (Stycast1226含浸) > DFRP (非含浸) > GFRP (非含浸) の順となった。DFRPの使用、コイルの含浸ともに各ターン間と、巻枠と線材間の接触面積が増加し、熱を効果的に冷却部に逃がすことができた。超伝導コイルにおいてDFRPと含浸は、熱的安定性の向上に非常に効果的である。