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電気自動車の充電電力調整時の配電系統電力損失の検討
◎佐藤孝太・中村勇太・三栗祐己・井口 傑・三島裕樹(函館工業高等専門学校)・原 亮一・北 裕幸(北海道大学)
近年,低炭素社会へのニーズの高まりから,排気がなくクリーンで燃費に優れた電気自動車(以下EV)が注目を集めており,EVの普及は今後さらに進むことが予想される。EVの使用パターンは,昼間時間帯に走行に使い,夜間時間帯に充電するのが一般的であろう。この使用方法をEV所有者の多くが採用した場合,多くのEVが夜間に一斉に充電されることが予想され,結果的に配電系統で深刻な電圧低下を招く恐れがある。
一方、EVの充電に使用するインバータを利用すると,充電時の充電電力の調整や無効電力の制御が可能である。この点に着目し,著者らはこれまで,EVの夜間の一斉充電による電圧下限逸脱を回避するために,EVの充電電力および無効電力を調整することで,EVの充電と系統の電圧維持の両方を達成できる手法を提案してきた。
しかしながら、提案手法を採用した場合、採用しない場合に比べて充電時間が長くなるため、線路損失が増加する懸念がある。そこで本稿では提案手法が線路損失に与える影響を明らかにすることを目的とする。