イベント企画
大学におけるAI・DS教育のLaunchとLandscape
2025/9/5(金) 13:10-15:40
第2イベント会場
第2イベント会場
【企画概要】国家戦略としてAI(人工知能)・DS(データサイエンス)教育の充実が推し進められている.特に,「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」が設けられ,大学など多くの高等教育機関が情報系の学部や学科を中心に,それぞれが特色を出しながら,急激な社会変容に適応しイノベーションを生み出す人材を育成している.本企画では,大学においてAI・DS教育のLaunch(立ち上げ)から現在まで深く携わってこられたキーパーソンをお招きし,特色のある魅力的な取組の紹介,苦労話や運用ノウハウなども含めてご講演いただく.さらに,当事者として今,どんなAI・DS教育のLandscape(風景)が見えているのか,現状と未来についてパネル討論する. 企画:IEICE ET研究会 協賛:IPSJ CLE研究会 | |
13:10-13:20 司会 趣旨説明 | |
光原 弘幸(徳島大学 理工学部 理工学科 教授) | |
![]() | 【略歴】2003年徳島大学大学院博士後期課程修了.現在,同大大学院社会産業理工学研究部教授.博士(工学).ICT活用型防災教育システム等の研究・開発・実践に従事.電子情報通信学会(現在,教育工学研究会副委員長),情報処理学会,教育システム情報学会,日本教育工学会,人工知能学会,日本災害情報学会,IEEE各会員. |
13:20-13:45 講演(1) 学習支援システム設計におけるデータ分析 | |
赤倉 貴子(東京理科大学 工学部情報工学科/データサイエンスセンター長 教授) | |
【概要】「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」が設けられたことにより,大学など多くの高等教育機関では,データサイエンティストの育成を目的として掲げ,データサイエンスに関する講座を数多く開講している.取り組みが始まってまだ日が浅く,まだまだ議論検討すべき内容は多いが,それぞれの高等教育機関が持つリソースにより,経済・経営系,工学系,生命系など,内容は多岐にわたっており,今後,発展が期待されるところである.本学では理学,工学,薬学,生命医科学,経営学,情報学系の学部,研究科,研究所を有する強みを活かして,それぞれの専門領域とデータサイエンスとの融合を図ることに力を入れている.本発表では,講演者の専門領域である教育工学とデータサイエンスとの融合における研究と教育のあり方について,現状と課題について議論する. | |
![]() | 【略歴】神戸大学大学院博士後期課程修了.博士(人間科学),博士(法学),博士(工学).2000年より東京理科大学工学部経営工学科勤務,2005年同教授.2016年改組により同情報工学科教授,現在に至る.2025年同データサイエンスセンター長,現在に至る.電子情報通信学会フェロー.学習支援システム開発に関する研究に従事.日本教育工学会副会長,IEEE Education Society Japan Chapter Chair,電子情報通信学会教育工学研究会委員長等を歴任. |
13:45-14:10 講演(2) 滋賀大学のデータサイエンス教育のこれまでとこれから | |
田中 琢真(滋賀大学 データサイエンス学部 教授) | |
【概要】2017年、滋賀大学は全国に先駆けてデータサイエンス学部を開設した。以来、滋賀大学は先進的な研究・教育に取り組み、データサイエンス分野をリードし続けている。3ケタに及ぶ企業・自治体との共同研究も推進し、共同研究費によるスタッフの雇用というモデルも確立した。この間の事情を、学部開設の準備段階からかかわった講演者が紹介しつつ、今後の展望を述べる。 | |
![]() | 【略歴】2009年京都大学医学研究科で博士号(医学)取得。2009年京都大学医学研究科特定研究員。2010年東京工業大学総合理工学研究科知能システム科学専攻助教。2016年滋賀大学データサイエンス教育研究センター准教授、2017年同データサイエンス学部准教授、2019年同大学院データサイエンス研究科准教授、2025年同教授。2023年より順天堂大学医学部協力研究員。 |
14:10-14:35 講演(3) 教育・購買行動のビッグデータ研究には「人」の科学的理解が必須 -驚異的な人間の認知能力が解析の壁になる- | |
寺澤 孝文(国立大学法人岡山大学 学術研究院教育学域 教授) | |
【概要】学習や購買行動のビッグデータが収集され10年以上経過しているが、新たなサービスにはつながっていない。その1つの原因は、ある対象に対する人間の行動(判断)が、過去にその対象に遭遇した「いつ」の条件に累積的に影響を受け、それが無限に想定されることにある。また、わずかな遭遇経験の影響が月から年単位で人間の行動に影響し続ける事実も、基礎系心理学のトップジャーナルに掲載され始めた。これらは人間の驚異的認知能力がビッグデータ解析の壁になっていることを意味する。岡山大学では、基礎系心理学のデータ収集法と記憶理論を駆使し、時系列条件が揃った大量の学習・テストデータを収集し、成績の上昇を個別に、また学習内容ごとに可視化・フィードバックし、意欲を失った子の意欲の向上を実現した。1回5分の見流すような学習がGTECと英検の成績を向上させることを支持する成果も主要ジャーナルに掲載され始め、eラーニングの終了画面で配信する広告の効果測定も始まった。行動ビッグデータの収集と解析には、人間の科学的理解が必須であり、基礎系心理学とデータサイエンスの融合が、新たな研究とサービスの創出につながることを紹介する。 | |
![]() | 【略歴】1994年筑波大学大学院心理学専攻修了.博士(心理学).筑波大学心理学系助手.岡山大学教育学部講師を経て2008年から現職.基礎系心理学、特に記憶・認識(AI)の理論、縦断データ収集法が専門.記憶の永続性を予測・検証.時系列条件がそろったビッグデータを活用したeラーニングでGTEC、英検のスコアを向上.高松市、大阪市西成区等で子どもの意欲・学力向上を実現.文部科学大臣賞等受賞.岡山大学教育学研究科「教育データサイエンス学位プログラム」を担う他、岡山大学AI・数理データサイエンスセンターで広告ビッグデータを集約. |
14:35-15:40 パネル討論 | |
【討論概要】講演者の講演内容を受けて,会場からの質問もピックアップしながら,高等教育機関におけるAI・DS教育の現状と未来について,ざっくばらんに討論していく. | |