電気学会全国大会講演要旨
2-058
陽電子消滅法によるポリエチレンの放射線劣化評価
◎小野寺花梨・岡 壽崇・木野康志(東北大学)
放射線利用施設等でケーブル絶縁材料として利用されている高分子は、光や熱、放射線により長期的に劣化するため、施設の安全な使用のためには劣化の精確な評価が必要とされる。陽電子消滅法は、サブナノ空孔の測定を非破壊で行える唯一の手法である。本研究では電子線照射したポリエチレンを用いて、放射線劣化とその後の長期的な劣化を陽電子消滅測定、顕微赤外分光測定などにより評価した。電子線照射後、試料は長期的に酸化劣化しており、それによるカルボニル基の増加が空孔中の陽電子の消滅割合を減少させることがわかった。本研究より、陽電子消滅法を用いた酸化の進行の推定が行える可能性があると言える。