電気学会全国大会講演要旨
2-073
液体ベンゼンにおける過剰電子移動度の見積り
◎佐藤正寛・熊田亜紀子・日高邦彦・平野敏行・佐藤文俊(東京大学)
液体・固体絶縁材料中の絶縁劣化・破壊現象の多くは媒質中の電荷輸送によって支配されるが、バルク中電荷輸送特性は未だに明らかにされていない点も多い。そこで、我々は、電荷輸送特性を記述する上で最も本質的な量の一つである移動度をad hocなパラメータを用いることなく算出した。本研究では液体ベンゼン中の過剰電子のホッピング移動度を、分子動力学計算による液体ベンゼンの構造の計算、第一原理計算によるベンゼン二量体間の電荷ホッピングレートの算出、Kinetic Monte Carlo法による電子挙動のシミュレーションにとって計算した。結果、計算された電子移動度は広い温度・圧力領域において、実験結果と良好な一致を示した。