電気学会全国大会講演要旨
2-089
Se蒸気圧制御アニールによるCu2ZnSn(S,Se)4のバンドギャップ制御と電気的特性の評価
○瀧 駿也・梅嶋悠人・上村一生・張 険峰・小林正和(早稲田大学)
今回異なるSe蒸気圧の条件下で、CZTSナノ粒子塗布膜のSe化を試みたところ、TSe とTCZTSの両方の温度が混晶化に大きな影響を与えていることが明らかになった。また、TCZTSを高くすることによってSeの置換が促進されることが明らかになった。TSeに関しても同様で、Seの印加蒸気圧が高いほどSe化が促進されることが明らかになった。これらの結果より精度の高いS/(S+Se)の組成制御に成功し、またS/(S+Se) = 0.2のCZTSSeの作製にも成功した。しかし、TSe = 160 ℃において作製したS/(S+Se) = 0.2のCZTSSeはn型のキャリア濃度を示した。また、様々な条件で作製した試料からは半導体と見なすことが困難な電気的特性を示していることが明らかになった。アニール条件を調整することで半導体的な電気的特性を示す試料も得られていることから、アニール条件の最適化を行うことで電気的特性の優れた薄膜の作製も可能であると考える