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嗅覚感度増幅装置の実現に向けた基礎的検討
高安和也・松倉 悠・○石田 寛(東京農工大学)
本稿では、嗅覚感度増幅装置の実現可能性を検討した結果を報告する。人間の嗅覚感度は犬に比べて劣るが、1万種から1兆種もの匂いの嗅ぎ分けが可能であると言われる。このように多様な化学物質を検知・識別可能な匂いセンサは開発されていない。人間の嗅覚感度を人工的に高めることができれば、人間の鼻を様々な匂いの検出・識別に活用できる。本研究では、人間の嗅覚感度を擬似的に増強するために、空気中を漂う匂いを吸着剤に捕集し、濃縮して使用者に提示する装置の開発を目指す。このためには、短時間で実用的な濃縮率を得る必要がある。固相マイクロ抽出に用いられる薄膜状の吸着剤を使用した結果、捕集した匂い分子を1秒程度の加熱時間で脱着し、使用者に匂いを提示可能であることが確認された。