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多目的活用を想定した系統用蓄電池の容量設計に関する基礎検討
◎赤木 覚・芳澤信哉・吉永 淳・伊藤雅一・藤本 悠・林 泰弘(早稲田大学)・矢野 孝・中幡英章・久田俊哉(住友電気工業)
近年,配電系統への太陽光発電システムの大量導入対策として,大規模蓄電池を用いた配電系統制御が研究されている。中でも,高額な蓄電池の付加価値を高めるため,蓄電池の多目的利用が注目されている。多くの蓄電池には,出力容量と蓄電容量の比率を表すpower to energy(P/E)比と呼ばれる固有値が存在し,その値の大小により高出力に適したものや長時間使用に適したものに分かれる。また利用目的ごとに適した出力容量と蓄電容量の比が存在するため,系統用蓄電池を多目的に用いるには,固定P/E比では必ずしもすべての利用目的に適したシステム容量とならずに,出力容量または蓄電容量が必要以上に大きくなる恐れがある。そこで本稿では,利用目的に応じて必要となるシステム容量を算出した上で,固定P/E比の蓄電池で運用した場合に過剰となる容量を評価する。さらに,得られた結果を元に,多目的利用に適したP/E比および蓄電池について検討する。