CVケーブルの水トリー劣化診断技術として，我々はパルス電圧を用いた残留電荷法を提案している．この手法では，前課電によって水トリーを分極させた状態でマイクロ秒幅のパルスを課電し，その電流応答からケーブルの水トリー位置を標定する．発生初期の水トリーは信号が微小なため検出が難しい．そこで残留電荷がマイクロ秒幅のパルスでは完全に緩和しないことを仮定し，パルスの課電回数を増やし加算平均化処理により本手法におけるS/N比の向上を試みた．実験の結果，パルスの課電回数の増加に伴いS/N比の向上が見られた．さらに，課電回数に依らず劣化信号強度が一定であることが，仮定が正しいことを示唆している．