一般講演

4-164

過渡応答信号を用いた周波数応答解析法の適応型制御への応用

◎立花弘貴・前田佳弘・岩崎 誠（名古屋工業大学）

プリント基板レーザー穴あけ加工機で用いられるガルバノスキャナは，温度変化・経年変化などに起因してプラントパラメータ変化が生じる。この問題に対し，筆者らは，稼働中に制御パラメータ更新・安定解析を行うために，過渡応答信号を用いた周波数応答解析(FRA) 法を提案した。本稿では，提案のFRA 法を適応型制御のパラメータ同定器に応用し，その有効性を供試ガルバノスキャナに対する実機実験により検証する。

4-165

摩擦補償に基づく周波数応答解析法における遅れ要素の影響

◎原田和也・前田佳弘・岩崎 誠（名古屋工業大学）

プラントの線形ダイナミクスに対する数学モデリングは，制御特性解析や制御器設計を行う上で重要な要素技術の一つである。数学モデリングに際し，産業界では正弦波掃引法等の周波数応答解析 (FRA) 法によって線形ダイナミクスの周波数特性を獲得することが多いが，各種軸受や案内に存在する非線形摩擦の影響が大きい対象の場合，正確な周波数特性の獲得は難しくなる。この問題に対し，先行研究では，摩擦モデルを用いてフィードバック摩擦補償を行うFRA法を提案しているが，現実的に存在するプラント入出力の各種遅れ要素(アンプ，センサ等)を考慮していないため，それによるFRA誤差が危惧される。本稿では，先行研究のFRA法を遅れ要素を有する摩擦システムに適用し，遅れ要素の影響を実機実験により明らかにする。

4-166

負荷側のみのフィードバックによる2 慣性系の位置制御系の設計

○松井義弘・綾野秀樹（東京工業高等専門学校）

近年の計算機の能力の急速な向上と，非線形最適化法の発展により，これらにたよった制御器設計が可能となった。本稿では，負荷側のみの情報を用いる2 慣性系の位置制御系の設計(1) に非線形最適化法の適用を試みる。

4-167

ACサーボモータの制御アンプにおける解析

天沼 晃・森田昌一・○黄 慶九（工学院大学）

ACサーボモータは、産業ロボットや工作機械などに幅広く利用されている。サーボモータのメーカが今日までに製品化している制御アンプの内部回路に基づき、サーボモータを駆動させることを目標として、サーボモータの制御アンプの設計を行うことを、本研究の目的とする。本研究では、はじめに、制御アンプの全体構成の考案を行い、次に、その構成に基づいて制御アンプのモデル構築をMATLAB/Simulink上で行い、三相コンバータ回路における外部負荷の接続の有無を想定したシミュレーションを行い、出力した電圧が平滑されていることを確認した。

4-168

離散時間系における任意空間波形生成に関する一考察

◎垣見宥太・車谷大揮・桂 誠一郎（慶應義塾大学）

本稿は多慣性共振系における任意空間波形を生成する手法の一考察を行った。振動制御では制振を目的とした研究が大半を占めているが，本稿では振動を用いて任意空間波形を生成することを目的としている。本研究では3慣性共振系のモデルにおいて理論を構築している。入力は1慣性のみで，システム全体の3慣性を制御するSingle-Input-Multi-Output(SIMO)のシステムである。多慣性共振系を状態空間表現し，完全追従制御を用いて目的を達成させている。実際に，端点の慣性に入力を与えることでサンプル点上において任意空間波形生成が達成されていることをシミュレーションによって示している。

4-169

異なる条件下で保存した人間の動作データ群の連続再現

◎南房航哉・桂 誠一郎（慶應義塾大学）

近年，触覚情報を含む動作の保存，再現は伝統技術の伝承など様々な場面での活用が期待されており更なる発展が望まれている。しかしながら，初期値に依存する位置の情報を扱う際には保存時と再現時で同じ条件下でないと再現が困難であるといった課題も存在する。本研究ではこの問題を解決するために仮想シミュレータを用い環境に対する動作データの正確な再現を実現する手法を提案する。仮想シミュレータは力の和のモードをモニタリングし常に動作データとロボット間で作用反作用の法則が成り立つように動作を補正する。提案法を用いることにより，職人ごとに保存されたデータを任意に組み合わせて1台の機械に作業させることが可能となる。

4-170

人間動作を自動化する繰り返し動作生成

◎村松久圭・桂 誠一郎（慶應義塾大学）

現在，産業界における高速・高精度・繰り返し長時間の作業は自動機械によって支えられている。しかしながら，自動機械による産業活動の自動化が進められる一方で，未だ自動化が進まず人間による作業もまた重要な役割を有している。この際，人間の適応性を残しつつその作業の自動化を進めることは産業において重要な課題である。本研究では周期信号生成器を用いたバイラテラル制御を提案する。周期信号生成器を用いて人間動作を繰り返し信号へ修正することにより，人間動作を繰り返し動作へ修正して自動機械へ行わせることが可能となる。

4-171

モジュール構造を有するマニピュレータを用いた水中バイラテラル制御実験

◎瀧澤健太・元井直樹（神戸大学）

本論文では、モジュール構造を有する水中マニピュレータの開発と水中バイラテラル制御実験を行う。マニピュレータにモジュール構造を適用することで、メンテナンス性と拡張性が向上を図った。また、水中でのバイラテラル制御実験を実現することで、操作者は視覚情報と触覚情報を用いて水中マニピュレータを操作することが可能となる。

4-172

ローカル操作マスタアームと内視鏡ロボットを選択結合するORiNを介した制御システム

◎小林広幸・河合俊和（大阪工業大学）・西川 敦・岩本憲泰（信州大学）・堀瀬友貴・正宗 賢（東京女子医科大学）

滅菌領域にて小型手術ロボットを統合するロボット支援内視鏡下手術の実現に向けて、執刀医が直感的に内視鏡ロボットや鉗子ロボットをローカル操作するインタフェースは重要である。 これまでに、機構分離型5自由度マスタアームを開発し、制御対象の簡便な切り替えを目指して本マスタアームと複数の鉗子ロボットLODEMを選択結合する、ミドルウェアORiNを介したマスタスレーブ制御システムを構築した。 本選択結合システムの拡張に向けて、内視鏡ロボットの制御を構築するためにはON/OFF制御のアプリケーションが求められる。本研究の目的は、ローカル操作マスタアームと内視鏡ロボットAESOPを選択結合する、ORiNを介したON/OFF制御システムの構築である。

4-173

コレントロピーに基づくPSOによるANNを用いたショーケースの故障解析

◎大高直哉・福山良和（明治大学）・川村 雄・村上賢哉・Adamo Santana・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

スーパーマーケットなどで利用されているショーケースでは，冷却器着霜や冷媒漏れ等によって庫内が設定温度に保てなくなる可能性が稀にある。従って，高精度の故障解析は，顧客サービスの継続には欠かせない。本論文では，ニューラルネットワーク(以下，ANN)のパラメータ学習に，コレントロピーを適用したParticle Swarm Optimization（以下，PSO）を用いたショーケースに対する故障解析手法を提案する。従来のパラメータ学習法であるBackpropagation及びANNのパラメータ学習に従来の最小二乗法を適用したPSOとの比較シミュレーションにより，提案法の有効性を確認した。

4-174

Differential Evolutionary Particle Swarm Optimizationによるパラメータ学習を用いたANNによるショーケースデータの欠損値推定

◎櫻井大士・福山良和（明治大学）・川村 雄・村上賢哉・Adamo Santana・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

ショーケースを運用する上で冷却器への着霜や冷媒漏れ等によって庫内が設定温度に保てなくなる可能性が稀にある。このような状況の把握や，兆候の予測をするためにショーケースの状態をオンラインで把握することが近年のIoTの進展に基づき可能となっている。オンライン状態把握のために，ショーケースは様々なデータを計測し続ける必要があるが，現場の様々な状況によりごく稀にデータ欠損が起こり得る可能性を考慮する必要がある。本論文では高精度な欠損値推定手法の開発を目的として，ANNのパラメータ学習にDEEPSOを用いたショーケースに対する欠損データの推定手法を提案する。従来手法であるBPとPSOとの比較検証により提案法の有効性を確認した。

4-175

ショーケースの故障解析に対する機械学習のアンサンブル手法の提案

◎田中慶輔・奥山 怜・福田真由・福山良和（明治大学）・川村 雄・村上賢哉・Adamo Santana・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

機械学習手法は，専門家の知識を利用することなく，データを利用することで，自動的にルールやモデルを作成できる可能性がある。著者らは，これに基づき，ショーケースの故障解析に対し，様々な機械学習を用いたアンサンブル手法を提案したが，精度に改良の余地があった。本論文では，これまでの検討に加え，各々の手法にランダムアンダーサンプリングを用いたランダムフォレストを適用し，さらにアンサンブル手法を用いることでショーケースの着霜・冷媒漏れの判定結果精度を向上させる方式を提案する。

4-176

加工組立型製造装置を対象にしたデータ解析効率化のための一検討

○太田雄也・宮本幸太・鶴田浩輔（オムロン）

製造現場におけるIoT(Internet of Things)の普及にともない、データ解析を現場改善に活用するニーズが高まっている。しかし、製造装置に造詣が深く、データ解析のスキルを保有する人材の不足が、データ活用推進の課題となっている。上記課題の解決のため、本稿では加工組立型製造装置を対象とした、現場改善に向けたデータ解析を効率的に行う仕組みを検討した。特に、製造装置の異常に対する要因分析について、装置動作毎の特徴抽出と機械学習による変数選択を用いて効率化を試みた。社内工場の製造装置に対して効率化の仕組みを用いて解析し、異常に対する因果関係を特定した事例を報告する。

4-177

プログラマブル・ロジック・コントローラによる包装機異常の自動検知

◎広橋佑紀・藤井高史・鶴田浩輔（オムロン）

生産現場におけるIoT・AIの台頭は，装置の状態診断といった現場改善活動への手段の1つとして大きな期待を生んでいる．一方で，これらの手法は，複雑なパラメータ設定や高度な専門知識を要求され，現場におけるデータ活用は未だ進んでいないのが現状である．本研究では，自動機械の制御に使用されるPLC内へ装置異常をリアルタイムに自動検知する仕組みを組込んだ．さらに，ヨコピロー自動包装機を対象に提案手法の検証を行い，提案手法がリアルタイムかつ正確に正常状態と異常状態を識別できることを確認した．

4-178

IoT技術によるサーボプレス機の加工データの取得及び保存システムの開発

○長尾達明・水矢 亨・高橋和仁（神奈川県立産業技術総合研究所）・角道将人・水村 隆（三陽製作所）

プレス加工における金型の設計・開発では、金型の耐久性や金属製品の加工状態の向上を目指しているが、そのためには、プレス機の荷重、金型のひずみデータ、変位データなどを取得し、それらのデータを分析することで、最適な加工条件の組み合わせを見つけ出す必要がある。 今回は、厳しい電源環境でも安定動作するPLCを使用することにより、プレス機のヘッド位置、プレス機の荷重、金型のひずみデータを同時かつ高速に取り込み、イーサネットを介してデータサーバへデータを保存することが出来た。データを蓄積・活用することで、プレス機におけるIoT活用が可能となる。

4-179

ニューラルネットワークを用いたドライブロボットの制御

○吉田健人・深井寛修・庭川 誠・招 行正（明電舎）

自動車の性能試験では、任意の走行指令に合わせてアクセルペダルやブレーキペダルを操作するドライブロボットが使用される。車速制御を行う場合、従来ではアクセルペダル開度、車速、駆動力の特性を記録した、駆動力特性マップを使用して必要となるアクセルペダル操作量を決定していたが、走行状態や動特性の考慮などが不十分であった。そこで提案手法では、駆動力特性マップに代わってニューラルネットワーク用い、走行実績データを用いて走行状態や動特性を考慮した学習を行う。シミュレーション評価の結果、アクセルペダル操作の予測性能と車速追従性の向上を確認した。

4-180

複数の線形回帰モデルを用いた管渠内水位予測

○高瀨信彰・木村雄喜・深井寛修・庭川 誠・中島満浩（明電舎）

近年、多発する浸水被害への対応を図るために、都市における浸水被害の事前把握や軽減が社会的な課題となっている。本稿では、下水道管渠内の水位を事前に把握することを目的として、複数の線形回帰モデルを用いた下水道管渠内水位予測手法を提案する。広域の降水量の管渠内水位情報を入力として、現在の管渠内水位から適用する線形回帰モデルを切り替えながら学習、評価を行うことによって、高速で高精度な管渠内水位予測を可能とする。提案手法は、局所的な豪雨などの異常水位時に対象地域への早期の情報発信を行うなどの都市部における防災情報の1つとして利用が可能である。

4-181

歯垢染色画像を用いた口腔内状態指数の自動算出に関する検討 − Haar分類器による口唇部領域抽出手法の一検討−

○青鹿 司（無所属）・高橋 聖（日本大学）・池田仁崇・永田めぐみ（幕張西歯科医院）

近年、自主的な健康管理への感心・スマートフォンの普及により、それらによる健康管理が行えるようになった。我々は、予防歯科に用いられているプラークコントロールレコードスコアにかわる口腔内の健康状態評価について着目し、スマートフォン等による測定可能な新しい歯の健康指標の規定とその自動化を検討している。先の検討では、個々の歯における歯垢染色画像の歯垢領域抽出の自動化手法を示した。本検討では、より汎用的な顔全体の画像の前処理として、口唇部抽出の自動化を目的とし、歯垢染色画像を学習・自動抽出する手法を検討した。その結果、歯垢染色画像をHaar分類器の学習に適合することで、口唇部抽出の自動化を示した。

4-182

電力需給計画手法の熱電併給システムへの応用

○北村聖一・森 一之（三菱電機）

近年、電源の分散化や、エネルギーの地産地消化に伴い、コジェネレーション等の熱電併給システムの導入が進んでいる。熱電併給システムの運用者にとっては、エネルギーコストの削減が課題であり、需給運用を最適化するシステムへのニーズが高まっている。本稿では、エネルギーコストの削減を目的とした熱電併給システム向けの需給計画手法と、計算機実験による試算結果について述べる。

4-183

テキストマイニング分析を用いた需要設備保全の提案

○村上千春・西村和則（広島工業大学）

高度経済成長期には設備の新設が相次いだが，現在は，運転効率の向上や運用・保全コストの削減によって，既存設備の徹底活用が重要視されている。そこで，需要設備にCBMを適用させる技術として，過去の電気事故データを使用し，データマイニング分析に適用した。しかし，事故データはテキストで記述されていることが多い。よって，新たにテキストマイニング分析を用いて分析する。電気技術の分野では，保守員の経験や技術の伝承が困難な現代で，汎用的なテキストマイニング分析を用いての保全を実施することは，今後の有用性が期待できる。

4-184

スペクトル解析に基づく誘導電動機のベアリング損傷故障診断

エサキムトゥパンダラコシリナータン・増子 誠・◎グナセカランサントス・水野幸男（名古屋工業大学）・中村久栄（トーエネック）

高経年の誘導電動機は工場などで数多く稼働しているが、コスト削減の見地から十分な保守点検がなされていないことが多い。長期稼働時の信頼性を確保するために、容易かつ効率的な故障診断法の確立が望まれる。筆者らは、故障が最も多い部位であるベアリングを対象として、外輪に導入した穴と傷の検出法を検討してきた。今回は、擦り傷検出の検討結果を報告する。

4-185

負荷電流のひずみ率解析に基づく固定子巻線の軽微短絡診断

◎エサキムトゥパンダラコンシリナータン・水野幸男（名古屋工業大学）・中村久栄（トーエネック）

工場などでは高経年の誘導電動機が多数稼働しており、故障診断手法の確立が強く望まれている。筆者らは、負荷電流の周波数スペクトルに基づく固定子巻線短絡診断法を提案し、2 ターン以上の短絡検出に有効であることを示した。回負荷電流のひずみ率に着目し、さらに軽微な1 ターン短絡故障の検出を可能とする手法を考案したので報告する。

4-186

振動頻度測定センサの開発と活用

○福永哲也・千林 暁・吉村隆志・中谷英之・平野裕士・市川明義（日新電機）

受配電設備など電気機器の適切なメンテナンスの実現とし、2015年より当社にて販売している複合環境センサの改良開発を実施した。今回開発にて、交通用途など車両通過に伴う振動と設備不具合発生の関連性確認と、データの自動収集化の要望に応え、振動頻度測定機能と通信機能を付加している。本センサは首都高速道路株式会社電気設備への適用を開始している。

4-187

周波数解析機能を有する磁界センサの開発

○中村久栄（トーエネック）

本研究では，30Hzから400kHzまでの帯域における周波数毎の磁界を計測する磁界センサを開発する。 そして，この磁界センサの評価試験を実施する。

4-188

オンライン計測による回転機異常部位特定診断

◎井坂一貴・外山達斎（明電舎）・陳山 鵬（三重大学）

近年，製造業等では，設置後経年30年を超えた設備が多く存在し，老朽化による突発的な故障停止や重大な事故につながる恐れがある。それらを未然に防ぐために設備診断技術が重要となる。 本発表は，回転機械設備を対象として常時監視による振動診断を行い，どのような異常状態が発生しているのかを自動で特定する診断手法である。計測した振動波形から波形の特徴を示す約三十種のパラメータを計算し，正常状態から逸脱しているパラメータを観測することによって異常部位を特定する。現在は，転がり軸受異常・構造系異常・滑り軸受異常が特定可能である。本手法を回転機シミュレータを用いて検証した。

4-189

複数拠点間の電力自己託送計画手法の開発

○河村 勉・高橋広考・古谷雅年（日立製作所）

複数拠点間の自己託送による電力融通および生産スケジュール調整によりエネルギーコストを低減するため、粒子群最適化手法を用いた運転計画手法を開発した。発電事業所の電力・熱需要、受電事業所の電力需要、電力・ガス・託送料金、送電損失、契約電力を考慮し、発電事業所の発電計画と受電事業所の生産スケジュール調整を連成し、複数拠点全体のエネルギーコストを低減する計画を立案できることを確認した。

4-190

電力系統品質による地絡電流の変化とIor 検出の不適合性

◎孫 如凱・高羽 遼・西村和則（広島工業大学）

パワーエレクトロニクスの発展により，急成長を遂げる中国などのアジア各国では電力化率が急上昇しており，漏れ電流による感電や電気火災などの電気事故が多発している。この状況を防ぐため，漏れ電流の検出技術が重要となる。一方，インバータ機器の急速な増加に伴い，高調波電流が発生し，電圧ひずみが顕著となっている。そのため，地絡が純抵抗である場合，地絡電流は系統電圧と同位相となりひずんでしまう。本稿では，現在主流となっているIor方式の検出原理を述べ，系統電圧がひずんでいる場合，この方式を用いる検出装置では高調波成分を考慮せずに地絡電流を検出すると誤差が生じるという検出原理の不適合性を明らかにする。

4-191

多拠点に分散して配置された小規模蓄電池の統合制御手法に関する検討

○小田拓也・渡辺陽子・横山健児（東京工業大学）

電力需要を制御する取組のひとつであるディマンドレスポンス（以下，DR）を用いて，発電設備の稼働率を高めたり，待機する火力発電所を停止させたりすることが期待されている。DRの制御対象規模を大きくするためには，住宅などの小規模かつ多拠点に分散した需要家を統合的に制御する技術と，この技術を用いて電力系統と需要家を仲介するアグリゲータが必要となる。本報では，アグリゲータが多拠点の小規模需要家内に設置された蓄電池をon-off制御することで任意のDR量を得るために，遺伝的アルゴリズムを用いたルールベースの放電制御モデルについて検討した結果を報告する。

4-192

超スマート社会を実現するための再生可能エネルギーの役割

高橋宏輔・◎重信颯人・千住智信（琉球大学）

超スマート社会実現を目標とする都市が抱えるエネルギー、交通渋滞、環境問題、再エネ導入規制、ダックカーブ、設備コスト等の問題に加え、再エネ、電気自動車（EV）の大量導入は電力系統の安定性及び電力供給信頼性の低下を引き起こす。スマートシティは再エネ、ビッグデータ、AI、IoT技術等を駆使することで、未来における都市の交通問題やエネルギー問題を同時に解決し、豊かな社会を構築できる。 本論文では直流系統とパーク&ライドシステムを有する再エネを大規模導入したスマートシティの構想、再生可能エネルギーの役割、沖縄県における実装方法について提案する。災害時にEV分散型電源、充電ステーション及び蓄電設備はエネルギー供給拠点となり、コスト面及び電圧変動などの影響や再エネ導入規制が緩和される。

4-193

独立成分分析に基づく橋梁劣化診断技術

○李 開一・犬島 浩・大貝晴俊（早稲田大学）・丸山 泉（福山コンサルタント）・永田伸二（計測検査）

日本において橋梁の多くは，経済高速成長期に建設されており,カルバートを含め橋梁の数は約72万に達している。建設後50年を経過した橋梁の割合は，平成28年は約23%であるのに対し,10年後には約48%に急増。しかしながら,平成25年の道路法改正の影響を受け,橋梁などの道路施設は5年一度,近接目視による点検を実施している。その理由は財政の不足,人員の不足,専門知識の不足などが挙げられている。本研究では,実際に行われた橋梁衝撃実験のデータを用いて，独立成分分析による解析を実行し，従来の解析手法より簡単に損傷を検出する手法を提案する。

4-194

手荷物検査を対象とした人流シミュレーション技術の開発

◎寧 鋭・藤原正康・加藤 学（日立製作所）

テロ脅威の拡大を背景に鉄道駅やイベント会場など大規模施設において空港のような手荷物検査を行う需要が高まっている。一方で、手荷物検査は人の流れのボトルネックとなるため、導入にあたっては事前に混雑状況を考慮して適切に設備配置を行う必要がある。そこで本研究では、人と荷物の検査結果によって行動が変化する人と荷物のエージェントモデルを有する複雑な手荷物検査も再現可能な人流シミュレーション技術を開発した。本技術を用いることで、様々な構成の手荷物検査を導入した場合の混雑状況の定量的な評価が可能となり、人の流れの改善を支援することが可能となった。

4-195

定常的なセンサ異常による空調システムのエネルギー損失評価

◎田丸慎悟・村井雅彦（東芝）・飯野 穣（東芝インフラシステムズ）

ビルや工場の空調システムにおいてセンサ異常が発生すると快適性の悪化や省エネ性の悪化の原因となるため、センサを校正する必要がある。このとき、校正作業により発生するコストと省エネ性の悪化にはトレードオフの関係にあるため、保守業務を合理化するためにはセンサ異常により発生するエネルギー損失を定量的に把握する必要がある。ビルの空調システムにおいて定常的なセンサ異常が発生した場合、室内温度センサ異常が最もエネルギー損失が大きく、夏期1日7.3%、年間6.4%のエネルギー損失が発生することを確認した。この結果から校正するセンサの優先順位付けや校正時期のタイミングの適正化など、保守業務を合理化できる可能性を得た。

4-196

ビル空調系統におけるセンサドリフト異常度の順位付け手法の提案

◎森山拓郎・石井 岳・愛須英之（東芝）

本稿では、ビル空調系統を、それに付随するセンサ群（系統付随センサ群）のドリフト異常度で、順位付けする手法を提案する。系統付随センサ群のドリフト異常は、省エネルギ性や快適性の低下といった損失につながるため、早期の点検修理が望まれる。提案手法は、系統毎にドリフト異常度推定を複数回実行し、それらの結果を使って仮説検定による系統単位の対比較を行い、その対比較の結果から系統間のドリフト異常度順位を算出する。提案手法を実際のビル空調系統のデータで実験した結果、算出した順位に従って系統の点検修理を行えば、ランダム、或いは固定の順序で行うよりも早期にドリフト異常を修理でき、損失の抑制につながることを確認した。

4-197

監視制御システム向け機器接続検知技術の検討

○海江田広和・中川晃一（三菱電機）

本稿では、監視制御システム向け機器接続検知技術に関して述べる。大規模ビル等における機器の設置、撤去、更新工事では、導入されている設備機器の数が膨大であることから、その運用負荷が高くなっている。また設備台帳の更新は人手で行われており、設備台帳と実際の配置との間に不整合が生じることもある。本研究では、機器を接続した際に自動的に検知し、設備台帳を更新する機器接続検知技術について考察する。提案手法を実現したツールを用いた検証の結果、計測データの受信順序と作業情報の照合による機器の識別、及び不正接続検知の有用性を確認した。今後の課題として、実際の設備更新業との連携や不正接続検知手段の拡張に関する検討が挙げられる。

4-198

炭素繊維強化プラスチック車両の雷撃試験

◎長島佑貴・Sultan Alkhteeb・於保 茂・清水博幸（日本工業大学）・西村誠介（横浜国立大学）・槙島 紘（本田技術研究所）

炭素繊維強化プラスチック（Carbon Fiber Reinforced Plastics、以下CFRP)は近年、航空機や自動車等に用いられるようになり、応用が広がりつつある。自動車では軽量化のため、車体その他の構造材料として期待が大きい。そこで本研究ではCFRP車両と金属車両について人工雷撃試験を実施した。その際の放電現象について調べCFRP車両と金属車両を比較した。人工雷撃試験により貫通放電の有無、車体に発生するサージ電圧を調べた結果、CFRP車両と金属車両で差が認められなかった。しかし電流が車体を流れた時に、CFRPと金属で同様の結果となるかは、今後更に検証が必要である。

4-199

LC直列回路方式セル電圧均等化回路向け回生型ゲート駆動回路用トランスの設計法に関する一考察

◎佐藤大記（東京理科大学/鉄道総合技術研究所）・星 伸一（鉄道総合技術研究所）

著者らはこれまでに，LC直列回路方式セル電圧均等化回路のゲート駆動回路用電源削減を目的とした，回生型ゲート駆動回路について検討している。回生型ゲート駆動回路では，三巻線トランスのパラメータによってゲート駆動回路として利用可能な電力が決定するため，均等化動作とゲート駆動回路用電力生成動作が両立するように適切な設計が必要となるが，その設計指針は未だ不明瞭であった。そこで本稿では，回生型ゲート駆動回路に必要となる三巻線トランスの設計に関して，回路構成が類似したフライバックコンバータ用トランスの設計指針を参考にした方法について検討し，シミュレーションにより動作特性の検証を行ったので報告する。

4-200

LC直列回路方式セル均等化回路のセル電圧監視機能実装に関する基礎検討

◎足立麟太郎・佐藤大記・星 伸一・内田晃介（東京理科大学）

EDLC やリチウムイオンバッテリを直列接続されたモジュールとして使用する場合，セルごとの容量，自己放電率，内部インピーダンス，温度等の個体差により，各セル間において電圧のばらつきが生じる。そのためEDLC ならびにリチウムイオンバッテリの蓄電エネルギーおよび充放電容量を最大限に活用するためには，セル電圧均等化回路が必要不可欠である。また，各セルの充電率(SoC: Stateof Charge) 管理や過充電・過放電の防止等を目的として，常時バッテリセルを監視し，過充電状態や過放電状態を直ちに検出する，セル電圧監視回路も併せて必要となる。そこで本研究では，これまでに均等化回路として有用性が確認されているLC 直列回路方式セル電圧均等化回路を，バッテリマネジメントシステム(Battery Management System: BMS) として利用するための検討を行っている。本稿では，前述のLC 直列回路方式セル電圧均等化回路に，セル電圧監視機能を付加した際の動作特性について，実機実験により確認したので報告する。

4-201

2電源HEECSチョッパを用いたEVテストベンチでのモード走行効率測定

◎石橋隆之・田村文太郎・海原拓朗・弦田幸憲・河村篤男（横浜国立大学）

当研究室では，以前からEVの環境優位性に注目し，航続可能距離を向上させる各種技術について，2 電源HEECSを用いたパワートレイン回路の使用に関する研究が行われてきた。 2 電源HEECS を用いたパワートレインは，従来用いられてきたパワートレインと異なり，バッテリを二つ用い，低速でモータを駆動する場合は片方のバッテリのみを使用し，高速で駆動する場合はもう片方のバッテリ出力電圧をチョッパにより降圧することで，モータの駆動に必要な最低限の電圧をインバータに供給する。これにより，従来方式と比べて更に高効率な運転を実現できる。 本研究は，EVのパワートレインに2 電源HEECSを用い，一充電走行距離を伸ばすことを目的としている。

4-202

回路シミュレータ上で動作するリチウムイオン電池物理モデルの開発

◎佐藤航輔・河野昭彦・漆畑広明・藤田洋司・小山正人（金沢工業大学）

近年の自動車産業の急速なEV化に伴い、リチウムイオン電池(LIB)の充放電の複雑化、大電流化が進んでいる。LIBの安全性確保のため、シミュレーションをベースとした充放電制御技術およびシステム設計技術の重要性が増している。特に、LIBの動作はモータ負荷や電力変換器等との電気的相互作用により決定されるため、回路シミュレータで計算可能なLIBモデルが必要である。本研究では各種物理化学方程式とLIBの電池反応を表す等価回路を組み合わせ、回路シミュレータ上で動作するLIB物理モデルを開発した。開発モデルは電圧パルス充放電において電気二重層充電電流が支配的となる過渡領域、電極反応電流が支配的となる定常領域ともに精度よく計算した。

4-203

回路シミュレータを応用したリチウムイオン電池の電池反応解析

○河野昭彦・時任倫央・佐藤航輔・金城敬太・漆畑広明・藤田洋司（金沢工業大学）

本発表では，リチウムイオン電池（Lithium-ion Battery: LIB）の充放電制御技術や状態推定技術の高度化のため，回路シミュレータを応用したLIB電池反応解析技術について述べる。本手法は，LIBの構造を反映した等価回路を回路シミュレータ上でモデリングし，各素子の端子電圧の計算値を境界条件に用いてLIBの電池反応方程式を解くものである。本手法をLIBの過渡応答解析に適用した結果，実験値を高精度に再現することが可能であった。本手法を用いることにより，変換器等が発するノイズに対するLIBの安全性・堅牢性解析等が可能である。

4-204

3極セルを応用したリチウムイオン電池のパルス充放電特性解析

◎金城敬太・佐伯佳彦・小西拓斗・河野昭彦・漆畑広明・藤田洋司（金沢工業大学）

近年、電気自動車用途等の過酷な環境下において安全にリチウムイオン電池（LIB）を使用するため、充放電制御技術や状態推定技術の高度化が不可欠になってきている。本研究では、これらの技術の基盤となるLIB電池反応の詳細解析を目的として、3極セルを応用しLIBの正極応答と負極応答を分離解析した。正極、負極の電気化学インピーダンス（EIS）スペクトルの解析により、正極は負極に比較し電極反応が進み難いことを示唆した。また、パルス充放電時においては、正極過電圧が負極過電圧に比較し大きくなることを、実測および上記のEISスペクトル解析の両面から明らかにした。

4-205

渋滞の影響を考慮した電気自動車電力輸送支援システム

◎中山俊太朗・塩田 淳・三谷康範（九州工業大学）

近年、世界中で環境問題への対策などから電気自動車(EV: Electric Vehicle)の普及が進んでおり、今後さらなる普及が期待される。また、EVは大容量のバッテリーを内蔵しているため災害時における非常用電源としての活用が期待される。EVはそのバッテリーを用いて電力の充電、輸送、給電が可能であり、電力網に依らずに任意の地点に電力を輸送することができる。本研究では地理情報システムを利用して電力輸送を支援するためのシステムの構築を行う。本論文ではEVの走行による消費電力量への渋滞の影響を調査し渋滞の影響を考慮した電力輸送支援システムの構築を行った。

4-206

高齢者の運転技術に対する過信を自覚させるドライブシミュレータの提案

◎大山晃平・濱本和彦（東海大学）

【目的】没入型ドライブシミュレータを作成し、高齢者の過信を意識させる。 【方法】ヒヤリハット経験をさせることで、運転手は安全運転に対しての意識が変化するとされている。そのため、高齢者が不得意と自覚できていない運転操作に対して、意図的にヒヤリハット体験を発生させるドライブシミュレータを作成した。また、従来のモニターを使用したドライブシミュレータでは臨場感に欠け、効果が薄いことから、没入型バーチャル環境でのシミュレータを実現した。ヒヤリハット効果を検証するために、ヒヤリハット無、有、無の3つの実験を順に行い、1回目と3回目での速度変化を出力して、意識変化の評価を行った。 【結果】ヒヤリハットを経験させることで、高齢者が不得意と自覚できていない運転操作時の速度において5km/hの速度抑制がされ、過信の抑制がなされた。

4-207

車間距離の維持行動が交通流に及ぼす影響の基礎検討

◎李 正宇（日本大学）

日本の自動車保有率の急速成長に伴い，交通渋滞は深刻な問題となる．本研究では渋滞低減を目的とした車群を形成するために，ドライバー個々の車間距離調整に伴う操作が渋滞に及ぼす影響について検討する．これを検討するため，ドライバー個々の手動制御による車間距離の維持規則を交通流モデルに導入した“車間距離手動制御モデル”を提案する．提案モデルを用いて交通流シミュレーションを行い，渋滞が最も改善される車間距離などについて検討する．シミュレーション結果から， NaSch モデル及び車間距離維持規則を導入した提案モデルを基に，車間距離の調節によって平均旅行時間が改善されることを示した．

4-208

3D距離画像センサを用いた車種判別の検討

◎平林直規・高橋友彰・泉 隆（日本大学）

道路交通における交通管制システムは，道路利用者の安全，円滑，快適性を確保する役割を担っている。なかでも，道路利用者に直結する情報提供はとても重要である。交通管制システムでは，交通情報の取得方法として主に車両感知器を用いる。本研究では，外乱光などの外部環境の影響を受け難い3D距離画像センサを用いた車両感知器を検討する。本稿では，3D距離画像センサを用いた車種判別を行うための前処理として，車長及び車高情報の取得方法を検討する。

4-209

距離画像センサの車両感知器への適用に関する検討

◎松崎浩明・田久保伸一・高橋友彰・泉 隆（日本大学）

車両感知器は様々な環境下での運用が要求される。 近赤外レーザーを用いた3D距離画像センサは、太陽光や夜間、ヘッドライトなどの外部環境の影響を受けず、距離を含む3次元の画像を得ることができる。 この距離情報を含む画像を用いることで、車両検知の精度をさらに向上させる可能性がある。 そこで、3D距離画像センサを用いた交通量計測について検討したので報告する。

4-210

ステレオカメラを用いた重機向け近接者検知システム

◎高橋遥平・関 弘翔・泉 隆（日本大学）・根口純一・織田武浩（日本電子工学）

工事現場などでは多数の重機が使用されている。重機には後方などに死角が多く，人の接触事故を未然に防ぐ意味で，周囲の安全確認は重要である。そこで本研究では，このような重機事故防止の支援を目的として，ステレオカメラを用いた近接者検知システムを構築する。本稿では，システムの構成について，及び人候補の抽出における処理時間の短縮について検討したので報告する。

4-211

ETC車両検知器データを利用した車種判別―学習区分細分化による精度向上―

◎増島悠人・泉 隆・高橋友彰（日本大学）・山内伸一郎（首都高ETCメンテナンス）・及川宗敏（首都高速道路）

ETC(Electronic Toll Collection System)は高速道路料金所で料金収受を無線通信により行うシステムである。本研究は，ETCレーンシステムにおけるETC車両検知器の高度化を目的としており，車両検知器データから車種と関連のある特徴量を抽出し，AdaBoostにより特徴量を組み合わせたETC料金区分別の車種判別を行っている。本稿では，学習区分を細分化することによる車種判別の精度向上に関する検討を行う。また、提案手法の有効性を確認するため，車種判別実験を行う。

4-212

Googleストリートビューを用いた探索経路確認システムの開発

大高拓也・○滕 琳・泉 隆（日本大学）

In this research, we are considering constructing a system that can visually simulate the road scenery in actual driving by using the function of Google street view.

4-213

低速領域での出力性能を向上させたダイナモメータ制御装置の開発

○赤池秀一・藤原優哉・德永翔平・石垣真吾（明電舎）

ダイナモメータは，自動車や車載部品の開発・設計段階で機能・性能確認の検証設備として，量産ラインでは品質確認の検査設備として重要な役割を担ってきた。近年，自動車業界では，排ガスや燃費規制・EMC規制など環境対応の規制強化や，電動車の市場拡大により，それらに対応したダイナモメータ制御装置が求められている。要求される性能として，特に大容量化や電流応答性の向上，低速・大トルク出力となる。 今回，低速・大トルク出力という要求に対してアプローチを行い，低速領域での出力性能向上と，小型化を実現したダイナモメータ制御装置を開発した。

4-214

個客志向型電力サービス設計のための感性工学的な需要データ分析アプローチ

○入澤裕介・田中謙司（東京大学）

本稿では、電力サービスに対する新たな顧客経験の実現に向け、電力販売（モノ）から電力サービス（コト）へのビジネスモデルを開発・構築することが重要と考えており、需要家データの感性工学的視点から分析することで、個別顧客の特徴抽出のためのデータ分析プロセス体系の提案を目指す。 需要データに基づき、4つのステップでデータ分析を行い、産業・低圧の各個客における電力利用の類型化と特徴を抽出する。分析手法として、感性工学で利用されている因子分析をベースに潜在的な要因を抽出し、各個客のライフスタイルを考慮して解釈を行い、類型化に繋げていく。

4-215

モータケーブルを使用したケーブルレス有線通信

◎喜田悠介・長田政士・稲森真美子・森本雅之（東海大学）

長距離のケーブルを使用して水中モータを駆動する場合、水上からのポンプの状態監視のため、ポンプからの情報を受信する必要がある。現状では電力用のモータケーブルの他に通信用のケーブルを使用している。例えば、メタンハイドレートの採取は水深約1000m以上の海底でポンプを使用する。水中では無線は使えないため、このような場合には通信用にも長いケーブルが必要となる。そこで本研究では、通信用のケーブルを追加せず、モータケーブルのみを使用して通信ができるケーブルレス有線通信の可能性について検討する。

4-216

海水中非接触電力伝送の交流損失の考察

◎篠原俊也・稲森真美子・森本雅之（東海大学）

筆者らは、海水中で稼働する機器の利便性の向上などから、海水中での非接触給電の研究を行ってきた。エポキシ樹脂で防水加工したコイルをアンテナとして用い、海水中のアンテナのインピーダンス測定により、アンテナが海水の影響を受けることを報告した。また、海水中で電力伝送効率が空気中より約5 % 低下することも明らかにした。さらに、実験結果を損失解析し、海水により新たな損失が発生することを報告した。本稿では海水中で伝送時の損失についてさらに詳細に解析した。その結果、海水中では伝送損失が空気中より増加し、周波数に依存する損失が増加する。

4-217

2台の車両に同時給電された非接触給電システムからの漏えい磁界評価

○渡辺俊明・伯田祐輔（豊田中央研究所）

近年、バッテリへの充電を容易にするために、EV / PHEV用の非接触給電（WPT）システムが開発されている。 WPTシステムでは、周囲に磁場が漏えいするため、人体への曝露を定量的に評価することが重要である。安全性に関する適切な評価を行うため、ICNIRPは人体保護のガイドラインを推奨している。本稿では、3.7kWの送信電力、85kHzの周波数で2台の車両に同時に給電するシーンを想定し、駐車パターンと給電位相をパラメータとした漏れ磁界を評価した。解析の結果、ICNIRPガイドラインの参考レベルよりも漏れ磁界が低いこと、駐車パターンごとに2つのWPTシステムの位相差を制御することで漏れを低減可能であることがわかった。

4-218

水中探査機向け水中非接触給電におけるコイルマッチング手法の検討

◎佐藤直樹・中村伸二・米田昇平・木船弘康（東京海洋大学）

水中探査機への水中での給電では、給電の確実性を確保するため多数のコイルを配置する。しかし、電磁誘導の特性上、実際に使用されるコイルは送電側1枚、受電側1枚の1ペアのみである。そこで、複数あるコイルの中から給電に最適なコイルペア(電力伝送効率が最も高いコイルペア)を見つけ出す、”コイルマッチング”について検討を行った。本研究では最適なコイルペアの判断を、受電電圧の測定のみによって行うことを提案する。これにより、主回路に電圧測定回路を追加するだけでコイルマッチングを実現することができる。本発表では、この方法で正しくコイルペアの判定が可能であることを、試作した非接触給電システムによって検証した結果を報告する。

4-219

電機設備の現地試験の品質維持・向上に関する一考察

○芦崎祐介・板谷陽平・中村 薫（東芝三菱電機産業システム）

高圧・特高の電機設備に対し、現地で、設備運用前に実施する絶縁耐力試験（通称、現地耐圧試験）でまれに発生する、接地型計器用変圧器（EVT）のトラブル事例から、現地試験の品質維持・向上に必要な重要ポイントを考察する。

4-220

湿度制御による停止保管中における排熱回収ボイラ伝熱管外面の腐食抑制

○額賀佐知子・平崎敏史（東京電力ホールディングス）・飯田純也・田鹿元昭（東京電力フュエル&パワー）

排熱回収ボイラ（HRSG）伝熱管外面は，定期検査等により数ヶ月間の停止保管中に伝熱管外面が腐食し，起動前に腐食生成物を清掃により除去しているが，除去コスト削減や設備・環境保全のため，腐食を進行させないことが課題となっている．著者らは，この腐食対策として湿度制御による腐食抑制方法を検討し，有効であることを明らかにしてきた．そこで，この対策を実際の設備に適用して対策効果を検証したところ，約1か月半の調査から腐食の進行は観察されず，停止保管中における排熱回収ボイラ伝熱管外面の腐食に対し有効であることが実機で確認された．

4-221

最新版気象庁非静力学モデルと日射量予測誤差

○大竹秀明・宇野史睦・大関 崇（産業技術総合研究所）・山田芳則（気象庁気象研究所）

気象庁では毎年数値予報モデルの高度化を行っている。近年新しい非静力学モデルasucaの開発が行われ、現業の数値予報モデルについては、2015年1月には局地モデルを、2017年2月にはメソモデルもasucaへ更新され運用がなされている。これによって数値予報モデル全体において予測精度の向上が期待される。また、2017年12月5日より気象庁からは日射量予測データが気象業務支援センターより公開され、一般にも利用開始された。本稿では日射量予測の観点から予測精度の状況を解析した結果を報告する。

4-222

片付けロボットのための物体変化検出手法および環境地図作成に関する研究

◎八木瑶子・元井直樹（神戸大学）

本研究では片付けロボットの実現を目指し,物品の位置変化検出や環境地図の作成を行う。物品の位置の変化を比較することで片付ける対象の物品を見つける。変化箇所の検出では3次元点群画像を取得し,元画像と比較した。従来手法では高さ情報だけで比較していたが,高さのない物品でも検出できるように色情報も組み合わせた。これにより精度の高い物品の変化箇所の検出を目指した。また,実験により提案手法の有用性を実証した。片付けロボットが自己位置を推定し検出物品の位置への移動を行うためには,部屋の環境地図をつくる必要がある。環境地図の作成にはSLAMを用いることで,片付けロボットの自己位置推定及び移動が可能となった。

4-223

オムニホイールを用いた全方向移動ロボットの操作量飽和を考慮した制御法

◎小野佑希菜・大場 譲・藤原和彦（仙台高等専門学校）

近年家庭向けロボットに注目が集まっているが,家庭向けロボットは自由自在に移動できる事が重要となる。自由自在に動く機構として本稿では3 輪の全方向ロボットを取り上げ,本ロボットの問題点の提示,および解決方法の提案を行う。本ロボットは3つモータの先にオムニホイールを取り付けており,モータの出力の組み合わせで全方向移動を可能とする。しかしモータに流せる電流量には制限があり, 3つのモータ電流のバランスが崩れ予期せぬ挙動となる問題がある。この問題をシミュレーションにより検証し電流制限を考慮する場合、しない場合を比較した。電流制限ありでx方向に進む場合大きく湾曲した。今回確認した結果をもとに解決方法の検証を行う。

4-224

非線形パラメータ構造FB制御器設計法における目的関数の影響解析

◎内園貴大・前田佳弘・岩崎 誠（名古屋工業大学）

種々の精密サーボシステムの制御性能向上に際し，FB制御系の帯域拡大は有効なアプローチの一つである。その実現を目指して，制約付き最適化問題の枠組みでFB制御器設計を行う手法が活発に研究されている。筆者らは，非線形パラメータ構造FB制御器に対して同設計法を拡張するために，簡易な目的関数の定式化方法を提案した。本稿では，提案した目的関数の設計自由度となる目標感度特性に対する制御特性変化を，数値シミュレーションによって明らかにする。

4-225

フィードバック制御器パラメータの安定範囲算出法の比較評価

◎郷 直樹・前田佳弘・岩崎 誠（名古屋工業大学）

産業サーボシステムに対する人によるフィードバック(以降，FB) 制御器のパラメータ調整現場では，制御系が所望の安定性を有するか不確かな状態でパラメータ調整が行われる事が多い。この場合，人は制御系の不安定化を危惧した消極的なパラメータ調整を余儀なくされ，調整時間・調整回数の増加につながる ⁽¹⁾。この課題に対し，著者らは文献(2)で，所望の安定性を保証するFB制御器パラメータ範囲を最適化問題の可解性を利用して算出する手法を提案した。本稿では，提案法と全探索的に安定範囲を算出する手法とを比較評価し，提案法はパラメータ調整の観点において有用な安定範囲を算出できることを明らかにする。

4-226

可変オブザーバゲインを用いたイナーシャ及び摩擦外乱のオンライン推定

◎安村啓太郎・岡部弘佑（和歌山工業高等専門学校）

マニピュレータの手先位置決め精度の劣化要因として軸間の干渉トルクが問題視されており、動力学方程式に基づいて補償が行われている。このような手法を最大限に活用するうえで重要となるのがイナーシャ値等のパラメータ値である。そこで、イナーシャ誤差とその他の外乱として粘性摩擦とクーロン摩擦を取り上げオンライン推定することを目的として推定システムを構築した。本方式の特徴は、オブザーバを用いてイナーシャ誤差を推定することにより、オンラインでのイナーシャ誤差の推定が可能なことである。また、摩擦外乱も推定することで、外乱が含まれるメカ系でもイナーシャ誤差が推定可能なことである。

4-227

数式処理と時間応答に基づくロバスト制御ゲイン設計に関する考察

○丹下吉雄・桐生智志・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

制御系設計において，モデルの不確かさに対するロバスト性の確保と制御性能の両立は重要な課題である。 本稿では，想定されるモデルの時間応答の候補を複数列挙し，列挙したモデルに対して，数式処理と可視化技術によって適切なゲインの範囲を提示することにより，ロバスト性を担保しつつ保守性の少ない制御系設計を実現する新しい手法を提案する。

4-228

比抵抗・分極率・可充電率を同時に測定できる地下水電気探査装置の改良

甲斐裕宇大・○清武博文（大分工業高等専門学校）

地下の水資源調査のため種々の電気探査法が提案されている。水の比抵抗は地盤中の他の物質に比べて小さく，地下水電気探査には一般に比抵抗法が用いられる。一方で，地下水を一種のキャパシタとみなして分極率や可充電率を測定し，地下水位置の推定を行う方法もある。 現在，明大工業株式会社にて用いられている地下水電気探査装置は比抵抗法，強制分極法，可充電率法の3つの測定法を同時に行えるが，年数の経過により故障の可能性が増大している。本研究では当該装置のリニューアルと性能向上を目的としている。今回，受信器の複製装置を製作し，送信器まで含めた複製装置全体と現有器との比較実験を行ったので報告する。

4-229

太陽電池モジュール異常診断システム

◎藤田浩輔・林 孝則・外山達斎（明電舎）

本稿は，太陽電池の異常をストリングごとの出力電流と，発電所における日射強度の2種類のデータのみを用いて診断する技術に関するものである。この2種類のデータを用いて発電効率の低下度合を表す指標を定義し，太陽電池をストリング単位で診断する。定義した診断指標は，ストリング電流と日射強度の強い相関関係に着目して設定しているため，季節性や気温の影響を受けず，年間を通して使用することができる。また，太陽電池の正常時と異常時とでは，定義した診断指標の時間経過による領域推移が異なるため，確実に正常と異常を識別することができる。

4-230

フォーク機能を搭載した電動カートの重心移動に関する研究

○笠原美左和（東京都立産業技術高等専門学校）・森 泰親（首都大学東京）

電動式車いすの発展形である電動カートは，荷物を持って歩くのがつらい高齢者にとって，必要不可欠な乗り物である。これに、荷物の上げ下ろしが可能な荷役用のフォーク機能を搭載した電動カートの開発を行う。電動カートの転倒、転落による事故を解決するため、車体と運搬される荷物の鉛直方向の重心位置を求め、最適な位置に重心を移動できるようにする必要がある。本研究では、鉛直方向の重心位置を求めることが可能な測定装置を開発する。

4-231

低圧スマートメーターデータの分析手法の考察

○井上修紀・瓦井秀樹・石田文章（関西電力）・白野也寸志（ワイプロダクツ）

電力使用量データのやり取りについては、電力会社との取引に使われるAルートだけでなく、お客さまが希望すればHEMS間のBルートでのデータ取得も可能である。Bルートデータは、エコーネットライト規格の低圧スマートメーターの規格に準拠しており、今回、このBルートデータに注目し、2か所のモニター宅で取得したBルートデータの活用方法について検討を行った結果について報告するものである。

4-232

電力スマートメータデータを用いたディスアグリゲーション手法について

○市川英弘・野田英智（中部電力）

中部電力では、2015〜2023年度にかけて、約880万台ある電力量計を順次スマートメータに取り換えている。今回、このスマートメータからのデータを用いて、家電別の使用量に推定分類するディスアグリゲーションの試行を行い、得られた結果についての検証を実施した。 省エネ機器の導入が進んだ日本において、精度の高いディスアグリゲーションを行うためには、課題はあるが、家電ごとの使用電力が分かれば、省エネアドバイスなどのサービス展開が期待できる。

4-233

AIによるスマートメータデータのディスアグリゲーションについて

○高村幸宏・市川英弘・野田英智（中部電力）

中部電力では2015〜2023年度にかけて、約880万台ある電力量計を順次スマートメータに取り換えている。今回、AIを用いてスマートメータデータのディスアグリゲーションを行い、家電ごとの電力使用量推定の際の精度に対し、考察を行った。 スマートメータから収集されるデータは、30分毎の0.1kWh単位であるため、省エネ化の進んだ日本の家電推定は難しい。このため本検証では、30秒ごとの電力量値に基づくAIの機械学習と、30分毎の電力量値を用いたディスアグリゲーションの2段階で検証を実施した。

4-234

学校施設における消費電力のシミュレーション解析と望ましい節電方法の提案

◎前島颯人・熊野照久（明治大学）

公立の小中学校における設備面での節電対策は、予算の関係で実際に行うのは難しい状態にある。 実際の都立中学校における消費電力・二酸化炭素排出量と、設備を変え節電を行った場合のシミュレーションを、国立教育政策研究所が開発した「学校施設のCO2削減検討ツール(Ver.2)(略称 FAST：Facilities Simulation Tool (for ECO SCHOOL))」を用いて行った。また、その計算過程において導き出されるランニングコストも考慮し、実現しやすい節電対策を提案する。

4-235

消費電流の見える化とアノテーションを用いた節電行動支援ツール

◎志田 匠・小室権枝・一色正男・杉村 博（神奈川工科大学）

ネットワークに繋がる家電の増加と共にHEMSが注目されている。HEMSは消費電力の見える化や家電の遠隔操作によってユーザの節電を支援し、ユーザは見える化から節電行動を決定する。しかし、既存の見える化機能は家全体の消費電力は把握できるものの、電気の知識のないユーザが節電行動に結びつけることは難しい。既存のサービスでは各家電の電力量から節電アドバイスを行う支援機能もある。しかし、操作の複雑化やユーザの生活スタイルの多様性により節電行動の支援には結びついていない。そこで本研究では見える化と共にアノテーションを用いて、節電のタイミングや節電に適した家電の操作をユーザが直感的に理解できるツールを開発し、評価した。

4-236

独立型スマートハウスの最適運用

◎重信颯人・畑 幸治・千住智信（琉球大学）

社会の様々なニーズにきめ細かに対応することを目指すSociety 5.0構想では，エネルギー面や社会基盤の構築，インフラ設備の拡充において課題が残る。特に包摂的にすべての人へのサービスを考慮したとき，多様なニーズに対応しなければならず，持続可能な超スマート社会に必要不可欠であることは，資源の確保に他ならない。しかし，再エネの大量連系は，発電電力の擾乱や送電容量の制約により制限されたままである。 本論文では，エネルギーの自給自足を主とした完全独立型のスマートハウスを提案する。Society 5.0構想に沿い本スマートハウスは多様な設備および運用を提供する。また，嗜好性を有するユーザーへの多目的最適化問題または運用意思決定方法を紹介する。

4-237

家庭用燃料電池の運用コスト削減を目的としたロバスト運用計画決定手法の一検討

◎土屋祐太・藤本 悠・吉田 彬・天野嘉春・林 泰弘（早稲田大学）

CO₂排出量削減などの観点から需要家による省エネルギー対策が求められている中で、発電と同時に排熱を給湯に利用できる省エネルギー性に優れたシステムとして、家庭用個体高分子形燃料電池(PEFC)の普及が拡大している。PEFCの効率的な運用のために電力・給湯需要を予測し、それに基づいて運用コストの小さい運用計画を作成する手法が提案されているが、波形の二乗誤差等の観点における精度の向上が必ずしも効率的な燃料電池の運用に結びつかないといった課題があった。本稿では上記のような課題を踏まえ、想定される運用計画の運用コストを直接予測し、さらに予測誤差の影響を考慮に入れたロバストな運用計画作成手法を提案する。

4-238

水面検知型微振動センサの性能評価

○堀田和孝・瓦井秀樹・石田文章（関西電力）・澤山卓也（ニューセンサー開発）

これまで筆者らは、水面検知型微振動センサを開発し、家庭における見守りセンサとしての実現可能性を評価するため、お風呂・リビング・寝室で振動検知実験を行ってきた。しかし、これまで、本センサの性能については、客観的な評価を行っていなかったことから、今回、第三者機関で性能評価したので、その結果を報告するものである。

4-239

USB Type-CとPower Deliveryを応用したDC電源・通信装置の開発

○藤井崇史・松本匡彦・三野和明（村田製作所）

近年，USB規格のUSB Type-CおよびUSB Power Delivery(USB PD)(1)が制定され，通信速度の向上と大電力化が可能になった。これらの規格に準拠した装置では最大10Gbpsの高速通信と100Wまでの電力供給をケーブル1本で同時に扱えるようになっており，今後大幅な普及が見込まれている。そこで，USB Type-CおよびUSB PDを応用したビルトインタイプの電源・通信装置を開発したので報告する。

4-240

吹出口温度推定を用いたCOP算出手法

◎酒向美帆・矢野 亨・波田野寿昭・愛須英之（東芝）

オフィスビルにおいて空調システムを効率化することは省エネルギーの観点から重要な課題である。空調運用最適化の補助ツールとして、BEMS（Building Energy Management System）内に蓄積された空調稼働ログデータを用いたCOP（Coefficient of Performance）可視化機能が考えられる。このとき、COPをリアルタイムで算出するためには室内機吹出口温度のデータ収集が必要であるが、多くのBEMSではコスト面からこれを計測していない。そこで本発表では、このような吹出口温度情報のない空調機に対しデータを補完することで、センサの不足する環境においてCOPを推定する機能の検討を行った結果を報告する。

4-241

電源コード半断線に起因する可燃物着火現象の検討

◎石川由祐・水野幸男（名古屋工業大学）・吉田敦至（河村電器産業）

東京消防庁の調べによると、平成28 年度には電気設備機器の火災は1,052 件発生している。その中でも電源コードの短絡は223 件(22 %)と、出火部位においても最も多く、火災の未然防止が喫緊の課題となっている。 本報告では、電源コードの半断線に起因する火災発生機構の解明と火災防止手法の第一段階として半断線に起因する可燃物着火実験の結果について述べる。

4-242

家電と操作画面を対応付けるためのQRコード自動生成

○吉田雅規・栗原一輝・藤田裕之・関家一雄・一色正男・杉村 博（神奈川工科大学）

ネットワーク家電が普及して遠隔操作ができるようになった。従来手法としてSSNGがあるが物理的な設置位置と仮想的な機器情報の対応関係がとれていないため指定機器を容易に遠隔操作することが困難である。本研究では、家電機器に取り付けられたQRコードを読み込むことで表示する家電機器の操作画面と家電機器を対応付けるためにQRコードを自動生成し操作画面を表示するシステムを提案する。また、物理的な設置位置と仮想的な機器情報を容易に対応付けることで指定した家電機器を容易に遠隔操作可能にもする。実装後、物理的な設置位置と仮想的な機器情報を対応付けることで遠隔操作時に容易にユーザが利用したい機器を指定することが可能になった。

4-243

調理支援をおこなう画像投影システムの開発

○西村優希・竹内陽祐・一色正男・杉村 博（神奈川工科大学）

料理をおこなう場合、参考にする資料の情報源として書籍やWebサイト、口伝などの手法が挙げられる。近年では料理雑誌の印刷部数が年々減少しており、レシピサイトの利用者数が増加している。そのため、ユーザはレシピサイトを見るためにスマートフォンやタブレットを利用する機会が多くなる。調理中にレシピサイトを確認するためには不衛生な画面を触ることになるため、確認するたびに手を洗わなければならない。また、濡れた手で端末に触れて汚すことも考えられる。そこで本研究では、キッチンの卓上にレシピサイトを投影して、表示した情報を遠隔で操作するシステムを開発することでユーザが調理をおこないやすい環境を提供した。

4-244

ゼーベック効果を考慮したペルチェ素子の熱等価回路による吸熱量の解析精度の向上

◎矢部嵐丸・関口 諒・佐野勇司（東洋大学）

我々は、ゼーベック効果を考慮することによってペルチェ素子の吸熱量を従来よりも高精度に解析できる熱等価回路を提案した。しかし、発熱体と吸熱面の間の熱伝導部材を実装上は薄くせねばならず、まだ精度の向上を確認できていない。本研究の目的は、提案したペルチェ素子の高精度な熱等価回路によって、吸熱量の解析精度が向上することを確認することである。 発熱体と吸熱面の間に、熱抵抗が低く厚みを確保できるシリコンゴム・アルミ合金・アクリルの3種の材料を挿入して測定と解析を行った。 実験の結果、新しい熱等価回路を用いることで、吸熱量の解析値の実測に対する誤差率が14.5~14.7%に低減できることを確認した。従来に対して、誤差率は2.6〜3.2%低減した。

4-245

市販の家庭用蓄電池装置の停電時利用における一考察

◎福島健太郎・三田裕一（電力中央研究所）

市販の家庭用蓄電池装置について，停電時の待機状態での消費電力（自己消費電力）を調べるため，停電時の蓄電残量を計測した。計測の結果，家庭用蓄電池装置は，停電時の待機状態の継続により蓄電残量が減少し，4日から10日程度蓄電残量が0%になり，バックアップ電源の機能がなくなった。また，蓄電残量の経時特性から簡易的に自己消費電力を試算した。自己消費電力の違いは，各社の装置内部の回路構成の違いや，各社が設定している停電時における装置動作の違いによると推測される。

4-246

有機ELによる面照明住宅実現の期待

○木下繁則（IEEJプロフェショナル）

長年に亘って照明は点照明である。また、この点光源を多数並べて見かけ上の面照明としているが、基本的には点照明である。あるべき照明は、日中の天空のような面照明であるが、今までは面照明光源がなく実現していない。近年、有機ELが実用化され、面照実現が期待できるようになってきた。本稿では、まず照明の変遷を紹介する。次にLED照明は点照明であることとLEDによる面照明化の現状を紹介する。具体的な展開として有機ELによる住宅の面照明の実現を提言する。

4-247

レンズ可動方式による配光可変技術

○大嶋律也・諏訪勝重・桑田宗晴・小島邦子（三菱電機）

近年、地面や壁面にコンテンツを映し出すロジェクション照明や比較的簡易な光学系によりシンボルを投影させる照明など、多彩かつ演出性の高い照明が行われている。 本報ではレンズのみを駆動し効率良く投影パターン(配光)を可変させる方式を検討し、より演出性の高い照明の実現と照明機器の小型化を図る。可変方式の一案として、配光が放物線や正接曲線のような曲線上を辿ることのできる証明機器を提案し、その実現方法について述べる。また、レンズを駆動する構造として、一つのアクチュエータでレンズの姿勢を2軸に亘り調整する2軸連動調整構造についても述べる。

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ブロック型配線レスウォールの検討 (Ⅰ)

林 千希・◎徳永和樹・大谷昌生・金井徳兼（神奈川工科大学）

建物には、部屋を構成するために壁がある。一般的な壁は組み替え可能な機能が備わっておらず、利用者の好みに合わせて変更すること困難である。例えば、子供の成長に応じて変更したいという需要が生じた際に、簡単に組み換えられ、変更できる壁への必要性があると考える。組み換え可能なブロックを活用し、壁に配線や機能などを埋め込むことで、床下配線のように壁にも配線や機能を持たせることが可能であると考える。本報告では、ブロックを用いてブロック型配線レス構造や、複数のデバイスが動作する構造を取り入れたスマートウォールの基礎システムの試作について報告する。

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ブロック型配線レスウォールの検討 (Ⅱ)

◎林 千希・徳永和樹・大谷昌生・金井徳兼（神奈川工科大学）

近年、家電製品などのInternet of Things（以下IoT）化の取り組みが進んでいる。IoTとは、”インターネットを介して、モノそれぞれに組み込まれたコンピューター・システムが互いに結びついて情報を交換し合い、複数のモノを協調的に働かせること”である。 現在では、私生活の中にもIoTが利用され、IoTを身近に感じる。特に家電製品のIoT化は当たり前になっている。今後はIoTからInternet of Everything（以下IoE）への展開があり、モノが双方向に連動するIoEの時代になると考える。 本報告では、前報告で試作した配線レス構造のブロックに通信デバイスを用いてIoT技術の構築を行う。また、モバイル端末とブロック型デバイス間の通信できるシステムの試作を行い、その機能を報告する。

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位置情報を認識するインテリジェントフロアの検討（Ⅰ）

◎大谷昌生・林 千希・徳永和樹・金井徳兼（神奈川工科大学）

ブロックシステムを活用した製品は，モデル作製やシミュレーションツールとして幅広く活用されている．近年は，電子部品やマイクロコンピューターを組み込み，電気的な接続を可能とするブロックが普及しており，活用の幅を広がっている．一方で，住宅建築においては，ユニット工法による建設方法が広まっている．ユニット毎にブロック化し現場で組み立てるユニット工法は，納期短縮につながっている．さらに，フリーアクセスによる床下配線を導入したオフィスが増えている．本報告では，「電気的な接続を持つ回路ブロック」の位置情報を認識するインテリジェントフロアの基本回路を設計する．基本回路を試作し，その機能を報告する．

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位置情報を認識するインテリジェントフロアの検討（Ⅱ）

大谷昌生・林 千希・徳永和樹・○金井徳兼（神奈川工科大学）

無線通信やホームネットワーク通信により、家庭内の様々な電化製品がインターネットにつながり、遠隔操作や情報配信が行われている。デバイスの通信にデジタル信号を活用したシリアル通信やI2C通信などが国際的に規格統一され、高速でデータの読み書き、情報通信が行われている。しかし、これらの通信方法は、デバイスの種類や機能は認識できるものの、接続位置は認識できない。シミュレーションツールとして、ブロック化したセンサやLEDのデバイスの位置情報を認識し、デバイス同士をインタラクティブに動作させることを目的に、研究を進めている。 本報告では、センサやLEDとマイコンと組み合わせた、デバイスブロックを作製し、前報告で試作したインテリジェントフロアの基本回路を活用し、位置情報とセンサの種類・センサの情報を認識する通信方法について報告する。