一般講演

3-018

メタヒューリスティクスのための制約対処法に関する解析とその課題

◎安田雄佑・熊谷 渉・田村健一・安田恵一郎（首都大学東京）

現実のシステムから構成される最適化問題の多くは複数の制約条件を有する有制約最適化問題として定式化される。一方，メタヒューリスティクスは代表的な無制約大域的最適化手法であり，有制約最適化問題に適用するには制約対処法を施す必要がある。制約対処法は手法と有機的に連携しながら，実行可能な⼤域的最適解を得ることが望ましい。しかし，古典的な外点ペナルティ関数法は実用性に欠け，体系的に整備されていないなど，発展途上である。よって，既存のメタヒューリスティクスのための制約対処法を解析し，その課題を明らかにすることは重要である。本稿では，既存の制約対処法の解析や数値実験による性能⽐較を通じてその課題を指摘する。

3-019

PSOを用いた離散力学系のBorder-Collision 分岐点探索手法

◎後藤友綺（中京大学）・木下 航（大分大学）・黒川弘章（東京工科大学）・松下春奈（香川大学）・高坂拓司（中京大学）

非線形力学系の定性的性質の解明にはパラメータ空間における分岐曲線の導出が重要である．本研究では，PSO を用いて対象とした周期数の分岐点のみを導出する分岐点探索手法を提案する．

3-020

近接最適性原理に基づく改良型MBSO

○吉田武尊・福山良和（明治大学）

Modified Brain Storm Optimization（以下，MBSO）は，従来型のBSOよりも有効性があると確認されている多点探索型の進化計算手法である。しかし，MBSOのアルゴリズムの構造上，局所探索性能（集中化）が十分ではないという課題があると考えられる。本論文では，MBSOの探索性能の向上を目的としてPOPに基づく改良型MBSOを提案する。提案法は，典型的なベンチマーク問題を用いて，従来型のMBSOと比較することにより，有効性を検証した。

3-021

Cooperative Coevolution Global-best Brain Storm Optimization using Multi-populationによるスマートコミュニティ全体最適化

◎Miao Zheng・福山良和（明治⼤学）・川口繭⼦・飯坂達也・松井哲郎（富⼠電機）

現在，再生可能エネルギー，通信技術，蓄電技術を利用し，世界各地で持続可能な発展を目指し，環境負荷の小さいスマートコミュニティ（以下，SC）が実証されている。本論文では，一般的な進化計算手法としての複数集団CCGBSO(以下，MP-CCGBSO)を提案する。また，MP-CCGBSOのSC全体最適化への適用も提案する。提案法の結果は，オリジナルのCCGBSO（1集団）を用いた手法による結果と比較し，提案するMP-CCGBSOを用いた方法により，より高い解の質が得られることを確認した。

3-022

交互方向乗数法を用いた複数xEMS連携システムの開発

◎高坂一郎・北村聖一・森 一之（三菱電機）

エネルギー利用に対する意識の変化により、省エネや見える化を実現するエネルギー管理システム(xEMS)の導入が進んでいる。近年では、バーチャルパワープラントなどに対応したxEMSの導入や、xEMSのエネルギーデータと他のビッグデータを活用した新たなサービスの提供が開始されている。筆者らは、これらのxEMSが単体で運用されるケースが多いことに着目し、複数のxEMSの連携により得られる新たな付加価値を需要家に提供するためのシステム開発を目指している。複数xEMSの連携を実現する手法はいくつか存在するため、その選定が課題である。本稿では、複数xEMSの連携手法として交互方向乗数法を用いた分散最適化手法を選定した理由と、その効果の検証結果について述べる。

3-023

需要応答のある電力市場に参加する仮想発電所の利益最大化モデル

◎XIYUE WANG・船木亮平・村田純一（九州大学）

仮想発電所は、各分散電源のグリッドへの接続方法を変更しませんが、高度な制御計測および通信技術により、さまざまな種類の分散エネルギー源を集約します。高度なソフトウェアアーキテクチャを介した複数の分散型エネルギー源の協調的かつ最適化された運用は、リソースの合理的な最適な割り当てと利用を促進します。 この研究では、揚水発電所としての電力貯蔵装置と需要応答の反応スピードの速さにより、再生可能エネルギー発電所を仮想発電所の形でより適切に制御し、市場入札に参加して、予測誤差の影響を軽減できると考えています、大きな経済的利益を得ることができますと期待している。

3-024

配電系統におけるデマンドレスポンスを考慮に入れたESSのロバスト最適配置

◎楠原昇平・大森浩充（慶應義塾大学）・武田朗子（東京大学）

太陽光発電などの再生可能エネルギーは利点の大きさから世界的に導入が進んでいるが, 出力が不安定であるといった欠点も持つ. その解決策として蓄電池やデマンドレスポンス(DR)がある. だが蓄電池は高価であり大量導入が難しく, DRは需要家の行動の完全な予測が困難である. そこで系統内の太陽光発電出力や需要, DRに関する不確実性を考慮し, 蓄電池を導入する適切な位置や量を決めなければならない. 本研究では, 各不確実性の確率分布を必要としないロバスト最適化を用い, DRを考慮に入れた蓄電池のロバスト最適配置の手法を提案する. また数値シミュレーションによってDRやDRの応答値に関する不確実性が蓄電池の導入量に与える影響を示す.

3-025

分割統治型アルゴリズムによるTSP近似解法

◎今田祐介（松江工業高等専門学校）・三島諒亮（北陸先端科学技術大学院大学）・原 元司（松江工業高等専門学校）

近年，巡回セールスマン問題（TSP）の近似解法として，各種の手法が盛んに研究されている．著者らの研究室でも，TSPに対して大域探索と局所探索のバランスを備えた分割統治型近TSP似解法（DAS）を提案している．このDASは蟻コロニー最適化（ACO）の一種であるアントシステム（AS）をベースにしているが，LKアルゴリズムとの併用やほかの近似解法での適用についてこれまで検討を行っていない．そこで，本研究では遺伝的アルゴリズム（GA）にDASで導入した分割統治アルゴリズムの考え方を導入し，分割統治アルゴリズムについての考察を行ったので報告する．

3-026

在庫調整機能を有する製造業におけるミルクランロジスティクスの一解法

○井上古樹（宮崎産業経営大学）

e-businessの普及、インターネット通販の進出により、物流の合理化が問題となっている。低コスト、迅速配送、省エネルギーなど解決すべき点は多い。依然物流量はキロトン単位でしか全体的な把握をされていないことが多いが、宅配便の扱う物流数は増加の一途をたどっている。時々刻々と移り変わる消費者ニーズに合わせた物流計画の見直し、改善の重要性が担うところが大きい。配送車が出発地点に戻ってくるミルクラン物流計画は、物流における中心的な物流形態である。本研究では、コストの明確化ときめ細かなコントロールが可能になるよう、小ロット多頻度調達、在庫量を抑えるミルクラン物流網モデルを作成し、改善手法を提案した。

3-027

拡張モンテカルロ木探索を用いたブラックジャック戦略

○伊藤 雅（愛知工業大学）

不完全情報ゲームのひとつであるブラックジャックを研究対象とする。囲碁などの完全情報ゲームを攻略できたのはモンテカルロ木探索に負うところが大きい。モンテカルロ木探索は多腕バンディット問題に対するUCBアルゴリズムに端を発している。 目的はブラックジャックで有効とされているベーシックストラテジーに対抗し得る方法を拡張モンテカルロ木探索で実現することである。プレイアウトを実行する葉ノード探索に2段階を要する点，ヒット側ノードのUCB値の算出に隠れノードのUCB値の期待値を導入する点，この2点が拡張モンテカルロ木探索の特徴である。 提案法をベーシックストラテジーと比較した。評価にはペイアウト率を使用した。

3-028

深層学習を用いたチェックマーク式アンケート自動集計システムの検討

○岩佐英彦（近畿大学工業高等専門学校）・宮崎勢三（国立印刷局）

小中学校で義務化されている学校評価アンケートの集計は教員の大きな負担となっている。本稿では、小中学校において低コストで導入が可能なスキャナを用いたアンケート集計の仕組みを提案する。アンケートの回答方式としてチェックマーク方式を採用し、近年画像処理の分野で著しい認識精度の向上を実現している深層学習を用いることにより、普通紙に鉛筆やボールペンなどで記入した回答用紙であっても高精度の認識率が得られることを示す。 提案システムでは、小中学校の先生がアンケート集計を行うことを前提として、回答用紙は一般的な文書作成ソフトウェアを用いて作成し、集計ソフトウェアの側に必要な機能として、マーク位置の指定、設問に応じたマークグループの指定、回答種別の設定、回答種別に応じたマークエラーの検出と訂正が必要であることを示す。

3-029

OpenCVによる古文書画像内の類似文字検索

◎村井 健・市川周一（豊橋技術科学大学）

古文書は「くずし字」で書かれており，「読めない文字」や「一意に解釈できない文字」が多く含まれる．そのため，古文書内で同じ形の文字を探し，それを同じ文字と仮定して解読することが行われる．そこで，対象の文字と似た文字を探す技術が必要になる．本研究の目的は，古文書画像の中から類似文字を検出する画像処理手法の開発である．画像処理にはOpenCV (Open Source Computer Vision Library) を使用し，テンプレートマッチング，特徴量一致による検出を試みた．その結果，テンプレートマッチングでは複数の検出ができることが分かった．テンプレートマッチングにおけるオプションを比較すると，TM_CCOEFF_NORMEDによる方法が最もよい方法と考えられた．

3-030

敵対的生成ネットワークを用いた手書き文字の書体補正と字形評価に関する一検討

◎折居英章・江田孝治（福岡大学）・河野英昭（九州工業大学）

手書き文字はプリンタなどで印字された文字と比べ書き手の個性が読み手に伝わりやすく，デジタル化が進む現在でも自身の思いを込めた大事な情報を相手に伝えたい場合などには未だに用いられる．我々は，字形のバランスや局所的な形状に不備を含む手書き文字（以下，下手文字）を見た目のバランスが良い文字形（以下，美文字）へ補正する画像処理を，敵対的生成ネットワーク（GAN）を用いて行う方法について研究を行ってきた．本稿では，このGAN内の識別器の判断根拠をClass Activation Mappingを用いて可視化し，学習されたネットワークの文字添削等の字形評価への応用について検討する．実験では，提案手法の一定の有効性を確認した．

3-031

AR応用ロボット教材組立支援システム

◎赤葉亮太・鹿間信介（摂南大学）

通常，機械などの組立作業は，作業内容を指示する紙の説明書にしたがって組み立てを行う。しかし，立体的な構造の機械など複雑な構成をしている場合，紙に描かれた絵を参考に組み立てるには限界が存在する。そこで，本研究ではAR技術を用いて任意の視点から組立見本の観察ができる立体的な説明書を実装することで組立作業を支援するシステムの開発，評価を行ったので報告する。

3-032

視線情報に基づいた学習改善に関する一考察

◎酒井泰地・浦野晶一（明治大学）

IoTやAIが急速に進化し、情報活用能力が必要となった近年、初等教育からプログラミング教育が必修化され、高校情報科では専門的な学習をするようになる。しかし、教育者がまだ充実していないことから教育者を支援するシステムの重要性は高まっている。 従来の教育システムは解答結果を分析するものが多いが、実際の教育現場では教育者が解答の過程を見て指導を行っていた。そこで本研究ではプログラミング問題の解答時の視線情報を測定し、問題の解答結果のみではなく解答の過程に着目したプログラミング学習の教育改善を目的とする。今回はクラスタリングによる分類・分析について報告する。

3-033

時空間画像での滞在時間による徘徊行動の検出

◎海老原優太・香取照臣・泉 隆（日本大学）

時空間画像処理により徘徊の自動検出を行った．特徴量を滞在時間のみとすることで，先行研究の課題であった面積の増加による誤検出に対応できた．しかし，二人同時の通過時にラベルが結合してしまい，滞在時間が増加してしまうという問題が発生した．今後は細線化による方法を検討していくとともに，サンプルシーン数の増加とそれに伴う移動速度などの新たな特徴量の導入を検討していく．

3-034

ウェーブレット係数に対するボルツマンマシンの適用によるテクスチャ画像認識

◎後藤敬之・長谷川 誠・石原聖司（東京電機大学）

ウェーブレットフレーム分解の冗長性を利用してウェーブレット係数に対するGMRFモデルを同一サブバンド内で独立に複数構成することで、画像のシフトに頑健でありかつ高精度なテクスチャ画像の認識法が山本らによって提案されている。本研究では、山本らの手法における確率モデルを、ガウスベルヌーイ制限ボルツマンマシンで構成した場合の精度について、計算機実験の内容と結果を示す。

3-035

機械学習を用いた海藻の生育状況の推定

岡 界斗・◎坂東宏和・三好真千・中山裕之（徳島文理大学）

水産業への情報技術の適用として，ノリ養殖に画像処理と機械学習を用いて生育状況を推定することで生産を補助することを検討した。撮影されたノリ画像から，面積や重量などを推定するために機械学習手法を用いた。収穫後画像と養殖網画像に対し，Support Vector Machine 及びSegmentation手法を適用することで，有効な推定ができることを確認した。

3-036

梨形状の定量評価手法の開発 -撮像系の開発-

◎山川大地・塚田敏彦（愛知工業大学）・市川 啓（愛知県農業総合試験場）

梨などの農作物は味が良いことはもちろんのこと、見た目の良し悪しによっても消費者の購買意欲が左右される傾向にある。これまで、梨の形状評価は主にヒトの目視による官能評価により行われてきた。今回、画像処理による梨形状の定量評価を目的として、上方から見た円形度と側方から見た左右対称度で評価を行うために、撮像系にミラー光学系を採用して、1回の撮像で上方、側方、下方の画像を獲得可能な撮像系を考案した。これにより効率的な梨の形状評価が可能となる。

3-037

籾の状態を判別する一手法

◎長﨑泰規・村木祐太・小堀研一（大阪工業大学）

現在，稲の籾の状態判定は専門家の目視によって行われている．しかし，この作業には多くの時間や手間がかかるといった問題がある．そこで，本研究では籾を撮影した画像を入力とし，画像内の籾の状態を自動で判別する手法を提案する．提案手法では，まず入力画像と事前に撮影された背景のみの画像の差分を用いて，籾領域の抽出を行う．次に，切り出された各籾領域の色情報から，各状態の違いを示す特徴量の算出を行う．最後に，算出した特徴量からサポートベクターマシン(SVM)を用いて，屑米（実が入っていない籾），砕粒（籾殻が一部剥けている，籾が割れているもの），良品を分別する．

3-038

画像処理と深層学習によるアナログメータの読み取り性能の比較

○竹居 翼・松下五樹・佐藤廣美・本多正計（静岡県工業技術研究所沼津工業技術支援センター）

近年、様々な産業でIoT化が進められており、アナログメータの自動読み取り技術の必要性が高まっている。画像処理を使ったメータの自動読み取り手法では、メータ形状や使用環境に応じて特徴量抽出等のプロセス（ルール）を定める必要があり、汎用性や頑健性に問題がある。一方、近年注目されている深層学習を使うことでこれら問題の解決を図れるが、判断プロセスがブラックボックスのため、信頼性が求められる医療分野等での活用には慎重に議論が進められている。そこで、本研究では両手法による医療用ガスレギュレータの読み取り性能を比較し、深層学習の医療機器等への活用可能性を探った。

3-039

変電所周囲柵の網破れ自動検出の可能性

○石野隆一・遊佐博幸・白井正樹（電力中央研究所）・杉本敏文（中部電力）

変電所巡視の巡視回数低減を検討する場合，電気設備の異常検出の自動化を第一に考えることが多い．電気設備の異常検出に加え，変電所の周囲のフェンスの網の破れの検出も重要となる．無人変電所において，フェンスの破れた箇所から小動物や児童が侵入した場合に，電気事故や児童の人命に関わる事故が発生する懸念がある．そこで，我々は，フェンスの網破れ児童検出手法の検討に着手した．無人変電所での適用を考えているため，ローパーにカメラを搭載して自律的にフェンスの画像を撮影されることを想定している．ローパーで撮影された画像は，フェンスとカメラの画像面（スクリーン）が平行とならない．また，どのフェンスに破れが発生したかも特定する必要がある．このため，QRコードを用いて，フェンスの特定と撮影画像の補正を行って，網の破れ検出手法について発表する．

3-040

MRHMDを用いたコンクリート壁面のインタラクティブひび割れ検査システムの開発

◎TAEJOON PARK・澁谷長史・八十島 章・山口友之（筑波大学）

コンクリート構造物に対して定期的に行われるひび割れ検査は、修繕の必要性を評価するために重要な工程である。しかし、日本では熟練検査員が不足する課題も生じているため、検査の自動化が求められる。また、微小なひび割れ幅でも劣化の原因になるため、初期発見が重要である。本研究では、機械学習を用いて検出されたひび割れ画像に対して、人が未検出や誤検出をインタラクティブに修正し、その結果を学習データとして利用することで、ひび割れ検出精度を向上させる検出法と、拡張現実デバイスでひび割れを強調して提示することで、人に見えにくいひび割れを効果的に提示するシステムを提案し、実験を通じて有効性を確認した。

3-041

鉄道から送られる魚眼映像を閲覧するUI

◎中里 颯（東京電機大学）

国内の鉄道業界は福知山線列車脱線事故を機に、車両前方記録カメラを搭載するように指導が入り、近年では標準搭載されつつある。しかし事故が発生したのは平成17年度であり、当時の技術面で基準が考慮されているため、限定された範囲しか映像の記録は行えないことや、記録された映像はSDカードにローカル保存されているため、映像の確認のためには直接取り出す必要があり衝突などが発生した場合に破損のリスクが存在する。 本研究では、220度魚眼カメラを鉄道車両の側面に設置し周辺状況を記録していることを想定し、事故等発生時に車両から外部の運転指令所へと送られてくる魚眼映像を閲覧するUIの提案・設計を行った。

3-042

遠隔操縦における映像劣化の悪影響抑制の為のAR映像提示―操作性能と操作者の主観評価

鈴木建哉・○道木加絵（愛知工業大学）・舟洞佑記・道木慎二（名古屋大学）・鳥井昭宏・元谷 卓（愛知工業大学）

遠隔操縦では、無線通信回線を経由し転送された操縦対象に設置されたカメラ映像を見ながら操縦を行う。映像は大容量データであり、映像の圧縮・展開や通信環境により生じた映像欠落・遅延によって運転特性に悪影響が生じる事が分かっている。そこで、本研究では映像品質劣化の悪影響抑制を目指し、カメラ映像以外の小容量なセンサ情報を基に生成した拡張現実感映像を提示するシステムを提案する。本稿では操縦性能と操作者の主観的評価の結果を報告する。

3-043

鉄道の見通し不良地点における線路侵入物検知通達システム

◎長倉勝太・神戸英利（東京電機大学）

近年、鉄道の輸送において旅客や貨物の輸送に遅れを生じる輸送障害かが増加している。輸送障害の原因のうち線路内への立ち入りや列車と線路に侵入した動物との衝突などに起因する部外要因は平成元年から29年の間におよそ6倍に増加している。部外原因による輸送障害の対策を実施することで、鉄道の安定した運行を実現することができると考えられ、そのためには乗務員による前方監視を支援するシステムが必要である。本研究ではカーブの先など見通しが悪い地点に定点カメラを設置し、その地点の映像を通過予定の列車にリアルタイムで送信することで部外原因による輸送障害を軽減するシステムを構築する。

3-044

異常時における鉄道車両周囲の映像提供システムの研究

◎土橋 駿（東京電機大学）

日本の鉄道において、走行中の列車と列車の走行を管理する輸送指令員との連絡手段は無線や衛星電話等による音声通話が用いられている。本研究は鉄道車両に複数の 220°魚眼カメラを設置し無線通信と組み合わせることで列車全周囲の状況を録画するシステムを構築する。録画した映像から運転事故や災害等などの異常時の瞬間の映像を自動的に切り出す。これらの複数の220°映像を組み合わせてアラウンドビュー映像を構成し、即時に遠隔地にいる輸送司令員等に提供することで従来の通話による状況把握を映像を用いて補助するシステムの構築を行う。

3-045

工作施設内における工具位置の追跡システムの研究

◎飯塚大祐（東京電機大学）

近年、Fablabのような工作施設の登場により、個人のものづくりが身近になってきている。しかし、初心者を含む多くの利用者が工作を行うため、安全性を向上させるためには工具の状態を把握する必要がある。本研究では、工作施設内で工具がどこに置かれているのか追跡するシステムの提案をした。対象工具が他の物の下に隠れてしまったとしても、過去の認識情報をもとに追跡をし続けるようにした。システムによる自動追跡と、目視による追跡を比較し評価を行った結果、画像取得間隔が低頻度では精度が高い場合や低い場合もあったが、高頻度の場合は精度が高く、0.25[CPS]（4秒間隔）以上で精度にほとんど変化がなくなった。

3-046

教育機関向け遠隔臨場感ロボットの試作

○政清史晃・喜田大喜・岩佐英彦（近畿大学工業高等専門学校）・清川 清（奈良先端科学技術大学院大学）

長期入院患者や体調等が理由で授業に参加することが難しい場合がある。近年発展しているAR/VR 技術を用いることで、そのような人達でもまるで現地にいるかのように臨場感のある授業を受けることができるのではないかと考えた。本研究では、教育機関における使い勝手を考慮して簡単で安価な仕組みで、全方位カメラを用いた視線追従型広視野の遠隔臨場感ロボットの製作を目的とする。試作を行った結果、インターネットの通信速度がある程度安定していれば、全方位の映像音声の視聴とコントローラによるロボットの移動ができた。これにより、まるで現地にいるかのように移動し、まわりを見渡す臨場感を体感することができた。

3-047

機械学習を用いた屋外測定I-Vカーブデータ解析における自動フィルタリング

◎菅長直亮（東京理科大学）

太陽光発電システムの電流・電圧特性を連続的に計測する場合，天候やその他外的要因によって発電特性の解析にふさわしくないデータがとれてしまう。このようなデータをI-Vカーブで表示し画像データの形から不具合を検知，排除し，解析に適したデータのみを抽出するプログラムの開発を行った。今回は画像認識に機械学習を用いることで,解析に適したデータを抽出していくプログラムの構築を研究した。

3-048

画像生成における学習済みモデルを用いた特徴付与方法の提案

◎笠松諒太（東京電機）・笹川隆史（東京電機大学）

本研究では、従来の画像生成の手法に変更を加え、画像の生成に使用する訓練データセットにおいてラベル作成等の前処理を行わず、指定した特徴を持つ画像を生成する手法を提案する。この提案手法により、前処理等の作業によってかかるコストを無くす、または抑えることを期待する。具体的な提案手法として、画像を生成する際に生成された画像が指定した特定の特徴を含む画像にするため、生成ネットワークに判別ネットワークの判定結果とは別に特定の特徴を学習した学習済みモデルの判定結果を与える訓練方法を提案する。本研究による提案手法により、訓練データセットの前処理を行わず、指定した特徴を持つ画像の生成に成功することができた。

3-049

短冊状文字画像を学習させたCNNを用いた複雑なつなげ文字の検出

◎太田優矢・笹川隆史（東京電機大学）

本研究では短冊状の文字画像をCNNにおいて学習することによって複雑なつなげ文字の検出を行う手法を提案する。この提案手法により、ニューラルネットワークが苦手としているつなげ文字の解読や、つなげ文字文章の解読にかかる時間の短縮を期待する。具体的な手法として、短冊状にした画像をニューラルネットワークに学習させ作成した検出器を利用し、つなげ文字文章画像の上から徐々に判別する範囲を増やしていき、そのたびに画像にかかれているものが文字かそうではないかの判別を行うことによって検出を行うものとする。本研究による提案手法により、つなげ文字文章から1文字ずつ文字を検出することに成功することができた。

3-050

動画像を用いた主観的「おいしさ」の定量計測の検討

◎樫原 輝・山口友之（筑波大学）

日本で約80万人が罹患している気分障害は、社会生活が困難になるなど人の生活に悪影響を及ぼすため、精神状態を定期的に把握することが必要である。そこで、本研究は精神状態を日常で定量的に計測できる簡便な計測手法の開発を目的とする。筆者らは鬱病のサインとして挙げられている主観的「おいしさ」の変化に着目し、主観的「おいしさ」を定量化することで、人が鬱病の予兆となる精神状態の変化に気づくことが出来るシステムを提案している。本稿では人が飲料を飲んだ時の表情の動画像を用いた主観的「おいしさ」の定量計測手法を提案する。発表では、人の表情変化と人が知覚した主観的「おいしさ」の関係について検討した内容を報告する。

3-051

データ駆動制御(FRIT)の小型加熱器への適用

○中川慎二（日立製作所）

データを直接用いることで，制御器のパラメータをチューニングまたは更新するアプローチが提案されており，Fictious Reference Iterative Tuning (FRIT)は，一組のデータでチューニングが可能な点で，注目されている．制御対象が小型加熱器，制御器がPI制御の構成で，FRITを適用し，その有効性を検証した．特に，所望の応答の実現およびオーバーシュートの抑制を優先性能とした．制御対象の非線形性を考慮した昇温制御時と降温制御時で，それぞれPI ゲインの値をチューニングすることで，所望の応答を実現すると共にオーバーシュートを抑制した．

3-052

カオス最適化を用いたFRITによるPID制御器設計

◎藤原史見絵・東 剛人（宇都宮大学）

本研究ではデータ駆動型設計の1つであるFRITに着目し、FRITにカオス最適化を適用することでパラメータ調整の性能の向上を目指す。設定した初期パラメータから目標応答に追従するPIDパラメータに調整するため誤差を小さくする評価関数を設定し、最適化問題を得る。得られた最適化問題をカオス最適化手法で解くことにより、従来法と比べ範囲内をくまなく探索することができ、最適なパラメータを得られたことを数値例で示す。

3-053

最小二乗法を用いた最適制御の重み決定に関する研究

◎松岡宏明・黄 慶九（工学院大学）

本研究では、最小二乗法を用いて、制御対象の2次形式評価関数の重みである状態変数の重みQと入力の重みRが状態変数、制御入力との関係をデータベースによって、1次関数及び2次関数に近似する事で、定式化する。研究方法は、DCブラシレスモータを制御対象とした。まず、このモータを使って、数式化した。その数式化とは伝達関数を状態空間表現にする事である。次に、「有限会社リアルテック」社製の「ブラシレスモータ制御実験装置 BTC03m」を使って、実験を行った。最後に、最小二乗法を使用して、実験で得たデータを1次関数及び2次関数に近似して、定式化した。

3-054

非線形ディスクリプタシステムに対するスライディングモード制御法の検討

◎花房健多・武居直行・児島 晃（首都大学東京）

We propose a sliding mode control law for general mechanical systems expressed by the control-affine nonlinear descriptor representation. The reaching and sliding mode of the proposed method are easily achieved by employing a newly proposed sliding manifold which focus on the structure of the equation of motion. Compared to the conventional method based on the state space representation, the proposed method can relax the condition the switching gain should satisfy. Finally, an experiment of positioning control using 2 linkage manipulator is conducted to show the effectiveness of the proposed method.

3-055

伝達関数の多項式行列分解表現の一計算法

○加瀬 渡・小林俊輝・辻 英幹・前川貴之（大阪工業大学）

本稿では，与えられた任意の状態空間表現から伝達関数行列の多項式行列による分解表現を計算する方法を提案する。基本的には既約分解表現を計算する方法であるが、相殺される隠れモードも求めることが可能である。提案手法を用いて不変零点の計算や縦長伝達行列に対するインタラクタの導出法への拡張も可能である。

3-056

LTE対策アンテナ適用によるGNSSのSNR改善について

○草田寛昭・甘利治雄・田尾健一・花巻安彦・大橋力也（東京電力ホールディングス）

自動運転EVバスは走行中にGNSSエラー等、様々な要因で車両が停止してしまうことがあり、GNSSエラーに関する電波に着目し調査を実施した。その調査によりGNSSのL1信号(1575.42MHz)付近にLTE電波(1500MHz帯)が存在し、電波干渉の可能性が疑われた。 本研究では、従来からのGNSSアンテナ（以降、LTE未対策アンテナと呼ぶ）とLTE電波(1500MHz帯)を低減するフィルターを内蔵したGNSSアンテナ（以降、LTE対策アンテナと呼ぶ）を用いて、LTE電波環境下でGNSSのL1信号の受信状況（SNR等）等を調査した。

3-057

Wi-Fi 6における通信特性評価に関する一検討

○土屋弘昌（電力中央研究所）

次世代無線LAN規格となるIEEE802.11ax（Wi-Fi 6）のドラフト版製品が発売され，注目を集めている。Wi-Fi 6には，IEEE802.11ac（Wi-Fi 5）の後継規格として，最大伝送速度の高速化と同時に，多数のユーザが同時に利用する環境でのスループットの向上，IoT向け用途を想定した多端末接続の改善が期待されている。本稿では，Wi-Fi 6の通信特性を把握するため，Wi-Fi 6対応機種を用いて，複数台同時接続時におけるスループットを測定し，既存規格との比較評価を行う。

3-058

フルディジタル超音波測位システムのためのソフトウェア試作

◎岩原和輝・市川周一（豊橋技術科学大学）

測位システムは，電波などの伝搬遅延時間を利用して各送信機からの距離を計測し，位置を測定するシステムである．本研究では，伝搬速度が低く屋内測位に適した測位方式として，超音波を用いた測位システムの研究を行った．松岡らは，周波数の異なる超音波を用いた測位方式を提案した．松岡らの測位システムでは，システムの一部にアナログ回路を用いているため，部品数が増大するという問題がある．本研究では，AD変換後の処理をディジタル処理で行う超音波測位システムのためのソフトウェアを試作した．ソフトウェアの評価を行った結果，測位をするのに十分な精度と処理時間であることが分かった．

3-059

レーザ式ガス分析計の高精度計測のためのデジタル信号処理技術

◎中野芳樹・山内芳准・武田直希・小泉和裕（富士電機）

レーザ式ガス分析計は微弱なガス吸収信号をアナログ回路による信号処理で検出する。一方で回路のデジタル化要求が高まっており、小型化、高精度化が期待されている。そこで、本研究ではレーザ式ガス分析計の高精度計測のためのデジタル信号処理技術の開発を行った。微弱な吸収信号に対してAD変換に必要な信号振幅を確保するため、アナログフロントエンドとしてガス吸収信号の抽出を担うロックインアンプをFPGAに実装した。信号処理動作を比較評価した結果、従来回路と同等性能で吸収信号を検出可能であることを確認した。以上から、信号処理のデジタル化を実現したと考える。今後は、デジタル化した信号の高度化処理について検討する。

3-060

エッジ型モデル予測制御におけるモデル誤差の性能への影響評価

○丹下吉雄・桐生智志・松井哲郎（富士電機）

筆者らは，これまで，エッジコントローラ（PLC）上で実装可能な，数式処理に基づく，軽量なエッジ型モデル予測制御（MPC）を提案してきた。MPCは，モデルに基づく制御であるため，モデルの誤差が制御性能に影響を与えると考えられる。そこで，本稿では，正解モデルと設計モデルとの誤差が，エッジ型MPCの制御性能に与える影響を評価する。モデルマッチングに基づくPI制御との比較も行う。

3-061

ファイバブラッググレーティングの設置位置による遅延補正を用いた反射波長測定

◎山口達也・遠藤 亘・篠田之孝（日本大学）

ファイバブラッググレーティング（FBG）は防爆性や耐腐食性に優れ、長期かつ安定的な利用を目的に航空産業や社会インフラのモニタリングなど幅広い分野で応用が検討されている。筆者らはこれまでに高速かつ多点のFBG測定による光ファイバ型の超高速振動計測システムを実現するため、高速波長掃引レーザを用いた測定システムを構築している。しかしながら、レーザとFBGセンサを敷設する光ファイバで発生する伝搬時間（遅延）の影響により、測定精度が著しく低下する問題やFBGの反射信号が識別できなくなる問題がある。本報告ではFBGの遅延の影響を補正する方法を考案し、FBGの反射信号測定を行った報告である。

3-062

隣接する太陽光型植物工場の出力差に基づくパラメータ同定

○伊藤正英・二村紗世（愛知県立大学）・浅野洋介・渡邊孝一・栗本育三郎（木更津工業高等専門学校）

本稿は，細霧冷房によって室内環境制御できる太陽光型植物工場のシステム同定問題を扱う．従来の室内環境コントローラは，水蒸気飽差の変動に応じてゲインを切り替える比例制御であり，制御性能には改善の余地がある．一つのアプローチは，実システムをよく表した数式モデルをもとにコントローラ設計することである．モデルに基づくコントローラ設計の前段階として，著者らは隣接する植物工場の出力差に基づくパラメータ同定法を提案する．

3-063

周期信号抽出の観点におけるコムフィルタと周期非周期分離フィルタの性能比較

◎垣見宥太・村松久圭・桂 誠一郎（慶應義塾大学）

周期的なノイズや外乱の除去を実現するために，コムフィルタをはじめとした周期的特性を有するフィルタが用いられている。特に，リフティングされた空間で設計された周期非周期分離フィルタは信号の非周期性にも着目することで，物理的な意味合いの異なる周期的な入力と非周期的な入力に対して，異なる制御目標を与えることを可能にした。しかしながら，周期非周期分離フィルタと従来から広く利用されているコムフィルタの性能比較は，特定の制御タスクにおける実験結果に依存した比較のみで検証されており，フィルタの特性としての比較は行なわれていなかった。本研究では，周期信号を抽出する観点において，周期非周期分離フィルタとコムフィルタの比較を行った。

3-064

周囲環境の変動を考慮したコーヒーグラインダーのセンサレスモニタリングとアナリシス

◎岡 直明・桂 誠一郎（慶應義塾大学）

近年，少子化や高齢化，労働人口の減少といった様々な環境の変化に伴い，物事の自動化が一層求められてきた。今回提案するシステムは，様々な環境条件を基にサーボモータにフィードバックをできるシステムである。様々な環境条件に強く左右される非線形システムを考慮することで，様々な機械に拡張可能であり，物事の更なる自動化につながると考えられる。本稿では非線形システムの具体例として，様々な環境パラメータを持つコーヒー豆を実験の対象とし，グラインドのモデル構築を目的とした解析を行った。実験の結果，コーヒー豆の新たな性質を見出すことができ，今後コーヒー豆の加工条件と粒度の関係性解析を進めていく。

3-065

機械学習による知的匂い識別

○大松 繁・木下拓矢・山本 透（広島大学）

本論文は、機械学習を用いて、種々の匂いを識別するもので、匂いの計測、匂い識別とその評価を行うものである。機械学習としては、コホーネンが提案した競合学習を用いている。

3-066

ZigBeeマルチホップ通信を利用した水害情報配信システムに関する研究

◎吉冨和樹（広島工業大学）

近年，ゲリラ豪雨などと呼ばれる，天気予報による正確な予測が困難な局所的な大雨と，それに伴う水害や土砂災害が大きな社会問題になっている．このような自然災害に対して，素早く正確に現状を把握できる手段があれば，大きな減災効果を期待できる．先行研究として「センサネットワークを利用した水害情報配信システムに関する研究」がある．先行研究では，無線型水位センサとクラウドサービスを利用した水害情報配信システムの構築と検討を行っている．本研究では，システムを利用して遠方かつ複数の水位センサからデータ収集を行うことを想定し，2種類のセンサネットワークを構築し，システムの動作検証を行う．

3-067

マハラノビスタグチ法による透析シャント狭窄音の判別

○中川隆文（徳島文理大学）・田頭瑞萌（脳神経センター大田記念病院）

血液透析で使用する自己血管内シャントの聴診音から血管狭窄を判別する方法を検討した。聴診音の特徴量としてメルケプストラム係数を，判別方法としてマハラノビスタグチ法を用いた。正常データのサンプル数を20，狭窄データのサンプル数を30の実験データをもとに本方法の有効性を評価した結果，正常音と狭窄音の等価誤り率(ERR)は13%であった。判別閾値としてERRの値を選ぶと判別率は83%であった。

3-068

深層学習を用いた高解像度化手法による自然マーカーにおける対応点探索誤差の軽減

◎橋本智洋（東京大学）・橋本 岳（静岡大学）・山本茂広（神戸大学）

ステレオ計測技術における対応点探索誤差の軽減を目指して，我々はこれまでに人工マーカーを対象とした二値化・重心について研究を行った結果，マーカー画像の高解像度化によって重心座標の変動が抑制されることを示した。本研究では，現実世界に存在する自然マーカーにおいても，高解像度化による誤差軽減が有効であるかどうかの検証を行った。人工マーカーに比べて自然マーカー抜き出しにおいては適切な画像処理条件を設定する必要がある。様々な自然マーカーや実験条件における計測を繰り返した結果，深層学習による高解像度化が自然ターゲットの重心座標の変動抑制にも有効であり，対応点探索誤差の軽減を示唆する結果が得られた。

3-069

単眼カメラを用いた実用的な現場計測の基礎的研究

○橋本 岳（静岡大学）・村上良樹・遠藤一馬・橘内伸明（タチバナ）

建築や機器設置等の現場では昨今の効率化の観点から単眼カメラを用いて計測・確認を行いたいという要望が強い。遠方の現場において金物類の設置状況をスマートホン等で撮影し画像を伝送して，その設置の妥当性を現場と離れた事務所等にて担当技術者が確認できれば好都合である。撮影した画像から計測対象を認識（サイズや属性が既知）できる場合や，レーザー距離計を用いられる場合には単眼計測が可能であると考えられる。そこで，実用的なターゲットを対象として基礎的実験を行った結果，誤差10 mm以下という十分な精度で計測できることがわかった。本研究のステレオ計測に対する原理的な優位性は基線長をゼロとできることである。

3-070

マイコン内蔵のAD変換器を利用した抵抗器の熱雑音による真性乱数生成器の検討

○松岡俊佑・東 拓斗（旭川工業高等専門学校）・市川周一（豊橋技術科学大学）

本研究では汎用マイコンに搭載されている低分解能のAD変換器を利用して抵抗器から発生する熱雑音から乱数を生成させる方法について検討したので報告する．

3-071

An Attack Tree Construction Method base on STRIDE Threat Analysis for Electrical Power Control Systems

○嶋田丈裕（電力中央研究所）

運用中に技術的なセキュリティ機構を追加することが困難な電力制御システムでは、設計段階からセキュリティを考慮することが重要である。そこで、開発プロセス中のシステム方式設計後のソフトウェア要求分析において、設計に盛り込むセキュリティ対策を検討するために実施するリスクアセスメントの一部として開発した、攻撃ツリー分析とSTRIDEアプローチを組合せた攻撃ツリーの系統的な構成法について報告する。本手法は、データフロー図で記述されたシステムのモデルからテンプレートを用いてSTRIDEの脅威を特定し、データフロー図の接続関係のパターンごとに作成した脅威の因果関係のテンプレートを用いて、脅威ツリーを系統的に構成するものである。

3-072

位置情報利用型適応ルーティングによる緊急通信ネットワーク

○岡田 康・原 元司・金山典世・渡部 徹・加藤 聡（松江工業高等専門学校）・釜谷博行（八戸工業高等専門学校）

近年，日本国内においてはさまざまな大規模自然災害が多発している．防災や減災には緊急通信手段の確保が重要となるが，従来の携帯電話やWi-Fiによる通信手段が有効に活用されない事例が多く報告されている．一方，災害時における飲料の無償提供や，緊急的なWi-Fiスポットとなる災害対応型自動販売機が一部実用化されている．しかし，後者は通信インフラ自体が途絶した際には機能しない欠点がある．そこで，本研究では自動販売機に安価な小型コンピュータを組込み，位置情報利用型適応ルーティングを導入した緊急通信ネットワークを提案する．

3-073

相互情報量解析に対する電力解析攻撃用の多重化対策手法の安全性実装評価

◎竹本 修・野崎佑典・吉川雅弥（名城大学）

Society 5.0を実現するために重要なIoTデバイスは，安全な通信を確立するために軽量暗号が最適である．安全な軽量暗号の実装のため，計算量的安全性だけでなく様々な電力解析攻撃の耐タンパ性評価が非常に重要となる．そこで本研究では，軽量暗号PRINCEに対して提案された多重の電力解析対策手法を対象に，これまで評価がされていない相互情報量解析を用いた耐タンパ性を評価する．評価用ボードSASEBO-GIIを用いた評価実験は，多重対策手法が相互情報量解析に対して脆弱でないことを示した．

3-074

Peer-to-Peer型オーケストレーションによるEdge/Fog Computingのモビリティ対応

◎菅原大和・松本倫子・吉田紀彦（埼玉大学）

Edge/Fog Computing(Edge/Fog)は，自動運転車等のリアルタイムなIoTアプリケーションの基盤として応用されている．サービスの需要がモビリティにより局所的に高まることがあるが，Edge/Fogではアプリケーションのデプロイメントを再構成して対応する．これはオーケストレーションにより，Edge/Fogのリソースやタスクを管理し，需要を監視して対処する．しかし，従来の集中的な構成では，Edge/Fogとオーケストレーションサーバの通信がリアルタイムでなく，モビリティ対応が困難である．そこで本研究では，リアルタイムに通信できるEdge/Fogノード同士でP2P型オーケストレーションを行う新しい手法を提案する．

3-075

Raspberry Piを用いたIoT機器のためのエネルギーシステム評価

◎秋元祐太朗（筑波大学）・竹澤日都・篠原安呂葉・飯島洋祐・鈴木真ノ介（小山工業高等専門学校）

近年、モノのIoT化が急速に進んでいる。例えば、クルマのIoT化により道路状況を知ることができるなど利用者の利便性向上が期待される。また、自動運転支援システムとの連携により事故回避など安全性が向上する可能性もある。このようなIoT機器は系統電源で動作することがほとんどであるため、災害時は電力供給が一時的に停止してしまう。今後、IoTによる社会基盤の高度化が図られる中で、災害に強い通信網を築くことが必要である。そこで、本研究ではパッシブ固体高分子型燃料電池を用いた低電力IoT機器向け電源システムを開発する。本稿では、Raspberry Piを対象に開発したシステムおよび既存の蓄電池と性能比較結果について示す。

3-076

多様なセンサーによるデータ収集に基づく厩舎における競走馬の体調管理サービスの提案

○中田洋介・室田雅洋・川西康太・松尾徳朗（産業技術大学院大学）

競走馬の体調管理は、現状、厩務員による目視管理が主流であるが、夜間帯も含めた常時監視は労働量の増加を伴うため多く実施されていない。 また、カメラやGPSのIoTデバイスによる方法も検討されているが、カメラは収集可能なデータに限界があり、GPSは屋内のデータ収集精度に課題がある。 本研究グループではこれらの課題解決のため、Bluetoothによるビーコン機能を有するセンサータグを用いたサービスを検討する。 また、競走馬の故障回避のための現状の取り組みを調査し、これらの先行事例と本研究で考案したサービスの比較や評価を行う。

3-077

IoTデバイスを用いた行動推薦システムの開発

◎土屋 彬・冬爪成人・石山 仁（東京電機大学）

近年、生体情報や位置情報が世界的に注目されており、その計測方法や活用方法も多岐にわたっている。 その背景を踏まえ、それらの情報を併用した行動推薦システムを提案する。 IoT機器を用いて心電、歩数、位置情報を取得し、それらをサーバで処理する。求められたストレス状態の指標や運動量をもとにユーザの疲労状態等を推測し、その結果に基づき行動推薦を行う。加えてWiFiアクセスポイントよる位置測位を行い、行動推薦時に周囲のおすすめスポットを提示した。 結果として、IoT機器で計測した情報を分析し、その結果からユーザに行動を推薦するシステムの開発を行った。

3-078

行動推薦システムにおける評価実験

◎對馬一希・土屋 彬・冬爪成人・石山 仁（東京電機大学）

近年、IoT(Internet of Things)と共に生体情報の活用が注目されており、機器の廉価化も進んでいる。本稿ではIoTシステムを使用して実験を行ったのでそれについての報告を行う。 屋外での評価実験としてIoT機器を身体に装着し、フィールド実験を行った。今回は30分間歩数が2500を超え、平均心拍数が90を超えた場合に肉体的疲労とし、行動推奨を行う。 実験の結果から、適切な時に行動推奨システムが行動を推奨するということが確認できた。

3-079

テキストからの感情を用いたユーザ数値化システムの研究

◎小関智洋・神戸英利（東京電機大学）

近年インターネットの発展とPC、スマートフォンやSNSの普及により膨大なテキストデータの蓄積が可能となった。また蓄積データより得たユーザの嗜好や感情といった特徴の分析結果は広告や製品のレコメンド、メンタルケアシステムなどに活用されてきた。しかし分析結果からユーザの特徴を数値化し、特徴データを長期的に利用するような研究は行われていない。 本研究ではユーザのSNSの感情分析結果から、ユーザの特徴の数値化を行う。構築した特徴データを用いてユーザの現在の感情状態と比較し、フィードバックを行うメンターシステムの提案と構築、評価を行う。

3-080

作業報告書とログデータを利用したフィールド保守担当者の行動推定と負荷分析

○佐藤 誠（東芝）・長坂真理・木下英治（東芝エレベータ）

近年の社会インフラ設備の保守サービスでは，現場の保守担当者を支援するための様々なITシステムが導入され，保守作業に関する様々なデータが蓄積され続けている．設備保守サービスでは機器の稼働率や保守コストを考慮した意思決定が必要であり，蓄積されたデータを効果的な意思決定に利用する分析が注目を集めている．本研究では，フィールドを巡回する保守担当者の行動推定と推定結果を利用した作業負荷分析を対象にする．想定する保守サービスでは，フィールド保守担当者は日々営業拠点を出発し，設備機器が設置された複数のサイトを巡回して作業を行う．本研究ではこれらの作業報告書と様々なログデータを統合した分析方式を提案する．

3-081

Twitterにおける情動の推定の一手法

◎矢吹智哉・原 雅貴・唐松雄斗・冬爪成人（東京電機大学）

近年，SNS などの普及により，人々は文章で情動を表現する機会が増加している．これにより，様々な問題も発生しており，文章の情動が推測出来るようになることによって，様々な事に応用できるのではないかと思われる．そこで本研究では，Twitter APIでツイートを取得し，そのツイートを機械学習を用いて，自動的に情動を推定するシステムを開発することを目的とする．また，機械学習を用いるに辺り，教師データのラベリングを行い，多くの教師データの作成も行う．今回は，Twitterにおける情動の推定システムの構成について提案し，教師データのラベルの傾向を揃えるようにするラベリング手法，システムとして構成法及びその評価について述べる．

3-082

貨車重量と搬入,収集動作を考慮した鉄道荷役計画のための強化学習

◎高田神一・平嶋洋一（大阪工業大学）

物流分野では,トラック輸送の一部を鉄道輸送に代替することで, 環境負荷物質の排出量を削減する貨物輸送方法が注目されている. 貨物輸送では列車やトラックによって貨物駅に貨物が集約され,全ての貨物を貨車上に設置した後,送出用列車を構成する.この際,貨車の配置換えを行う必要があり,貨車数の増加と共に貨車の配置換え手順が増加するため,トラックと鉄道を併用するメリットが出にくくなっている.そのため,最小の作業時間送出用列車を構成する必要がある.本稿では,貨車重量と搬入・収集動作を考慮した強化学習を提案する.本手法を用いることで,従来に無い新しい移動を行い,総作業時間が短縮できることを確認した.

3-083

強化学習による羊群のハーディングに関する
基礎的検討

◎鈴木俊亮・飯村伊智郎（熊本県立大学）・中山 茂（鹿児島大学）

Strömbomらは、牧羊犬が羊の群れを巧みに操り目的地へ誘導するアルゴリズムを解明した。これはHerding Algorithmと呼ばれ、牧羊犬の行動を、羊の群れを目的地へと誘導するdrivingと、羊を1つの群れにまとめるcollectingの2つでモデル化している。Goらは、このモデルにおいて、強化学習（RL）により生成した推論モデルでエージェント（牧羊犬）が羊の群れをハーディングできることを示しているが、離散化された状態（環境の状態）と行動空間で、drivingとcollectingを行う位置への移動行動のみをRLで学習している。本研究では、連続的な状態と行動空間を想定し、エージェントのハーディング行動そのものを学習対象としてRLにより生成した推論モデルでハーディング可能であることを確認した。

3-084

畳み込みニューラルネットワークにおける重みカーネルの分布に基づいた層ごとの最適なプルーニング

◎五十嵐 碧・瀬戸謙修（東京都市大学）

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の多層化が認識精度の向上に貢献しているが，同時に演算量が大幅に増加してしまうため，処理速度の低下や消費電力の増加が課題となっている。 CNNの演算量を削減する手法の一つにプルーニング(枝刈り)が挙げられる。 畳み込み層の重みフィルタの中で値が小さいもの、すなわち出力への影響が小さい重みをゼロにすることで計算量の削減と高速化が可能となる。 本研究では、各層の重みフィルタの削減率を重みのヒストグラムによる分布から探索し、ネットワークに応じた適切な削減率を決定する手法を提案する。 CIFAR10を使用した画像認識の実験では，パラメータ数をVGGで最大95%，ResNetで最大70％，MobileNetでは最大90%削減しても精度を80％以上に保つことができた．

3-085

SAMスパイキングニューラルネットによる関数近似の性能評価

○本木 実（熊本高専）・西牟田輝満（メイビスデザイン）

近年，人工知能，機械学習の産業応用と研究が活発であり，特に人工ニューラルネット，スパキングニューラルネット（SNN）の研究が求められている．我々は，FPGAなどディジタル回路と親和性が高く，生体ニューロンに近いSNNの1つであり，重松，松本元らが提案したSAMニューロンモデルに着目しており，階層型SAM-SNNに強化学習を組み合わせ「オンチップ自律学習」のデバイス開発を目指している．これまで，階層型SAM-SNNによる関数近似を報告してきたが，ハイパーパラメタの1つである中間層ユニット数を増やしても，学習データに対する損失（2乗誤差による目的関数の値）が減り続けない実験結果であり，一般の機械学習理論とは異なる結果となっていた．今回，追加実験の結果，本モデルが一般の機械学習理論と同様な傾向を示す結果となったので報告する．

3-086

リアルタイムな出席状況に基づく留年・退学予測方式

○安部恵介・成 凱（九州産業大学）

大学においても情報化により、学生の成績や出席状況等の教務データの一元的な収集・管理が可能となってきている。そこでこれらのデータを分析することにより留年や退学を予防する修学支援方式について検討した。日々のリアルタイムな出席状況から出席不良への変化をいち早く検出し、成績不良を未然に防ぐことが重要である。そこで各期の留年・退学予測とリアルタイムな成績予測を組合せることにより、学期毎ではなく1週間単位等リアルタイムに留年・退学予測を行い、リスクを速やかに検出し予防する方式を提案し、有効性を検討する。

3-087

LSTMによるエンコーダ・デコーダモデルを用いた経済指標予測の検討

◎仲岡拓哉・浦野昌一（明治大学）

近年、世界的に経済情勢がめまぐるしく変化し不安定である中、企業が安定した経営を持続するためには景気動向を予測し今後の経営方針の参考にしていくことが必要となってくる。景気動向の指標としては、株価などの経済指標があげられる。そこで本稿では、経営方針の参考に用いられる景気動向を測るためのテクニカル分析の一つとして株価の終値、高値などの経済指標を高精度に予測することを目的とする。

3-088

ランダムフォレストを用いた景気動向指数予測

◎佐々木秀彰・浦野昌一（明治大学）

近年、AIや機械学習と金融をかけ合わせた技術が注目されている。その中で、景気は経済活動の動きを示したものであり投資のための意思決定の指標となるため重要である。しかし、景気は各産業と複雑な関係になっているので、個人がそれら全てを分析するのは難しい。 これまでに、ニューラルネットワークをベースとした手法を用いて短期経済予測モデルを構築し、その予測特性の検証を行った研究が報告されている。本稿では、ランダムフォレストを用いた景気動向指数予測に対して有効な説明変数の選定、学習の改善を行い、予測精度向上を目指す。

3-089

手書きデータの自動トレース加工機の研究

◎鈴木遥華（東京電機大学）

近年、コンピュータ数値制御通称 CNC Computerized Numerical Control ）の工作機械が廉価で比較的入手しやすくなっている。 Numerical Control とは動作を数値情報で指令する制御方式のことである従来の手道の加工機とは違い手動輪やレバーでの制御カムを使って機械的に自動化するのではなく数値をシステムに入力する NC 方式で動作を制御するよう改造したものが NC 加工機であるまた C NC は NC をさらに自動化するためコンピュータ制御に変えたもので同一の加工手順の繰り返しなどを得意としており今日では多くの工作機械で採用されている CNC 加工機は従来の数値制御工作機械（ NC 工作機械）より自動化のレベルを進めたものである現在は CNC ではない NC 工作機械はほとんど存在していない。NC、CNC ともに共通しているのは加工を行うために加工用データが必要であるという点であり大規模な生産工程などであれば問題はないが一点物の制作物を作成する場合にはデータの作成が手間である。そこで、材料に直接書いた線を加工用データの代わりに用いることのできる工作機械について提案、実装を行った。

3-090

送電鉄塔を見上げる姿勢における監督作業の身体負担評価

◎大内 萌・立松大輝・池浦良淳・早川聡一郎（三重大学）・杉本敏文・牛本卓二（中部電⼒）

本研究では、変電所作業の中で⼈間の⾝体に負担を及ぼす可能性の高い送電鉄塔を見上げる姿勢での監督作業に着目し，筋電図測定と主観評価を用いて作業者の負担評価を行った．その結果，胸鎖乳突筋の筋活動量はある一定の角度で最大となり，その後減少することが分かった．また，主観評価では，首の角度が大きくなるにつれて作業者が感じる負担は大きくなっていくことがわかった．

3-091

変分自己符号化器を用いた動作データ保存と生成に関する一考察

◎上柿雅裕・桂 誠一郎（慶應義塾大学）

ロボットがプログラムで指令を与えるのが難しい動作を行う方法の一つとして，人間がロボットを動かして教示した動作データを保存し，再現する方法が挙げられる。保存された複数種類の動作データを一つの枠組みで取り扱う手法として，変分自己符号化器（Variational Autoencoder:VAE）が挙げられる。VAEにより動作データに隠れた潜在変数を抽出し，データの生成を行うことが可能であるが，潜在変数がどのような特徴を保持しているかが明確でなければ，動作生成の枠組みとして用いることは困難である。本研究ではVAEにより動作データを学習して得られる潜在変数が，動作データのどのような特徴を保持しているのかについて考察を行い，動作を行う位置や大きさの特徴を保持していることを明らかにした。

3-092

6脚ロボットの歩容に関する研究

◎田中篤樹・黄 慶九（工学院大学）

本研究では、多脚ロボットの歩容の決め方を明らかにすることを目的とする。具体的には、6脚ロボットを対象として、まず、各脚の游脚か支持脚のフェーズを時間的に分けて、安定余裕を考慮したフェーズを決める。つぎに、決められたフェーズにおける各脚と胴体の位置と姿勢を表す歩容を設計する。また、逆運動学を用いてロボットの各関節の指令値を算出して安定な歩行を実現する。論文の最後に、6脚ロボットの実機を用いて、設計された歩容を歩行実験によって本研究の歩容設計法の有効性を確認する。

3-093

モジュールロボットの自動接続実験

◎加藤久弥・内田敬久（愛知⼯業⼤学）

著者らはMMSと名付けた汎用モジュールシステムロボットについて研究を行ってきた．モジュールロボットが環境に対して，自動的に脱着し形態を変えれば，専用機を超える移動性能を持つことができる．そこで，モジュールの脱着を自動的に行うことが必要になってくる．本論文ではモジュールロボットの自動接続の実験を行った．接続待機位置での両モジュールの角度差は6.8度，接続が完了したときの両モジュールの角度差は1.8度であった．以上より，モジュールはコネクタの要求する接続許容角度誤差を満たす角度で接近でき，コネクタに接続できることを確認した．モジュールの自動接続が可能であることが確認できた．

3-094

外骨格を有する有線給電マルチコプタの給電ケーブルによる影響の検討

◎危 創彬・山口友之（筑波大学）

近年、マルチコプタによりコンクリート構造物の定期検査を自動化する研究が盛んに行われている。その中でも特に、長時間連続飛行が可能な有線給電マルチコプタの研究が注目を浴びている。しかし、有線給電マルチコプタは給電ケーブルが電源と繋がっているため、ケーブルの張力が外乱としてマルチコプタに影響を与え、検査箇所に近接することが困難となる。本稿では、通常のマルチコプタの給電ケーブルの長さ調整に活用されているカテナリー原理を、外骨格を有するマルチコプタに適用する。さらに、給電ケーブルの外乱を最小化できるケーブル長さを算出し、随時に給電ケーブルの長さを調整することにより、その外乱を軽減する手法を報告する。

3-095

草刈ロボットのための畦畔法面における走破性に関する基礎的検討

◎西村勇輝・山口友之（筑波大学）

水田の畦畔管理では畦畔の法面で草刈り作業を行う必要があり、作業従事者の大きな負担となっている。本稿では畦畔法面の草刈ロボットの走破性に関する基礎的検討を行う。草地において移動ロボットが雑草などから受ける外力が移動に与える影響をモデル化し、シミュレーションにより評価を行う。移動ロボットが草地を移動するときの走破性を評価するため、草丈や地面への固定の強さ、駆動力、傾斜度などを変化させ解析を行う。草の高さ移動ロボットがモデル化した法面上を移動するとき、移動ロボットには外力が加わり、移動速度の低下や移動方向が変化することが確認された。

3-096

HMM遷移ネットワークを用いた人間の行動要素抽出－時系列分割タイミングの影響を考慮した行動要素抽出の検討

◎井上 佳・道木加絵（愛知工業大学）・橋本幸二郎（諏訪東京理科大学）・舟洞佑記・道木慎二（名古屋大学）・鳥井昭宏（愛知工業大学）

筆者らは膨大な人間の行動データから再現性の高い人間の行動モデルの生成手法の実現を目指している。従来手法では人間の行動要素を設計者が手動抽出していたが、設計者の負担増や設計者依存になる等の問題があった。そこで本研究では時系列データ中に頻出する行動要素の抽出法に取り組んでいる。提案手法で一番最初に行う時系列データの分割タイミングが行動要素抽出に影響を与えるため、本稿ではこの低減を目指した行動要素抽出手法を検討する。

3-097

LRFを用いた搬送カートの構築と人物追従

◎西野大地・河合宏之・村尾俊幸・中沢 実・鈴木亮一（金沢工業大学）

本研究では荷物を搬送するために使用されている搬送カートの自動化を目的とし、電磁クラッチを用い、モータと従来のような人力の両方で搬送可能なカートを構築した。 またレーザーレンジファインダーのみを用いた人物検出の手法を実装し、その手法によって人物を検出できるか、また検出された人物に対して微分先行型PD制御及びPurePursuitアルゴリズムを用いて入力を設計し、追従がおこなえるか実験をおこなった。 その結果、走行時間のおよそ3割程度は検出できていないことが判明したが、カートが停止するといった事はおこらず、追従は問題なくおこなえていることが確認できた。

3-098

ユーザスケジュールを用いた自動運転車制御システムの構築と提案

◎望月悠司（東京電機大学）

完全自動運転車が普及すると、無人タクシーなどのサービスによって個人で自動車を持つことが少なくなると予測されている。そのため完全自動運転車を用いたシステムの需要が高まり、必要になっていくと考えられる。 本研究では、ユーザのスケジュールを基にユーザの移動時を完全自動運転車が先読みし、移動時の待ち時間緩和ユーザに追従することを目的とする。そのために完全自動運転車が実現、普及したことを想定して実験を行う。 本システムでは、ユーザにスケジュールを入力してもらい、そこから移動に関する情報だけを取り出し、移動時間のスケジュールを作成する。作成した移動時間のスケジュールを基に完全自動運転車の制御シミュレーションを行う。

3-099

屋内におけるRSSI位置指紋を用いた歩行者間位置推定

◎山本貴志・山口友之（筑波大学）

現在、狭い通り道や曲がり角や夜道での歩行者間の衝突事故の防止対策が考えられていない。本稿では、歩行者間の衝突防止システムとして導入コストが低くサーバー経由による遅延が発生しない手法としてスマートフォンのRSSIを用いた手法を提案する。提案手法では、4つのアンテナを単一化した受信装置を用いて、RSSI位置指紋による携帯電話の位置推定を行う。さらにRSSI位置指紋の微分値を用いることで、位置推定精度の向上を図る。実験では屋内の廊下において、開発した受信機に対して携帯電話の位置を変化させ実験を行い、実験結果から提案手法により屋内環境において位置推定精度を向上できると確認した。

3-100

配列アライメントを用いた車いすロボット搭乗者の交差点横断時の注視パターン抽出

◎阿南青冴・木室義彦（福岡工業大学）

高齢社会の進展に伴い，車椅子利用者が増加している．我々は，自動運転を行う車いすロボットの搭乗者の安全確認行動を確認することを目的とし，視線計測装置を用いて，仮想空間内の交差点の車いす搭乗者の注視行動を計測した．取得した視線データから配列アライメントにより，注視パターンの類別を行った．道路横断中の車いす搭乗者の注視パターンを分析した結果について報告する．

3-101

Fractional Order Extremum Seeking Control with a Phasor Estimation

◎銭 維舜・大森浩充（慶應義塾大学）

Extremum seeking control is one of the best ways to ensure that the output of the system can still be adaptively converge and stabilized to the optimal solution of the output function even in the case that reference trajectory of the system cannot be accurately known. However, most of the existing perturbation-based methods require a very slow perturbation. A Phasor estimator can be introduced to allow large phase shifts. This work focused on extending this method to fractional order systems so that systems can have a wider range of stable region.

3-102

二輪車両系の入力制約を考慮した軌道追従制御

◎岩下 真・佐藤康之・阪田 治（東京理科大学）

二輪車両モデルを扱う際の制御問題の一つに、軌道追従問題がある。さらに、実際のシステムの制御を考えるとき、入力制約が存在することがある。本研究では、二輪車両モデルの軌道追従問題に対し、制御Lyapunov関数と凸最適化を用いた入力制約の制御則設計を提案した。その後、提案法の有効性をコンピュータシミュレーションによって確認した。

3-103

自動二輪車ライダーの操縦計測 —コース形状の違いによる操縦操作—

藤江遼河・○片山 優・本多将和・福島志斗・泉 大樹（松江工業高等専門学校）

本研究では，熟練度の異なるライダーの走行時における自動二輪車のバンク角，サスペンション伸縮量，ハンドル操舵角，アクセルのスロットル開度，車両速度を計測する。また，コース形状による操縦操作の違いを確認するため，走行コースが定められたコース8の字旋回と，2つパイロンを置きそのパイロン間で8の字旋回を行うパイロン8の字旋回の2つの走行パターンで計測した結果について運転技能の違いによる操縦操作の違いを考察する。

3-104

Chained Formによる二輪車両の最短時間制御

◎高橋悠海・米山 淳（青山学院大学）

本研究では、最短時間にて制御対象の二輪車両を目標位置に制御する制御入力を設計することを目的とする。二輪車両は車輪が横滑りをしないという意味における速度拘束を持ち、積分不可能なノンホロノミック拘束となる。 この二輪車両は正準系のChained Formへ変換できることが知られている。これを利用し、変換したChained Formに対する最短時間制御入力を求めることで、二輪車両の状態を目標位置に制御する。このように最短時間で状態を目標の値にする制御入力を求めることを最短時間制御問題とよぶ。この制御方法によってChained Formの最適化と同時に二輪車両の状態も目標位置に制御されることを検証することも目的とする。

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Isolation Forestを用いた水力発電機の異常検知

◎原 勇輝・福山良和（明治大学）・村上賢哉・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

水力発電は，近年，再生可能エネルギーの1つとしての位置付けからエネルギー供給の重要な存在となっている。水力発電の故障診断を行うために，各種プラントの現場では，故障データを入手することが困難である。そのため，正常データのみによりモデルを作成し，故障診断が必要となる。本論文では，水力発電の異常検知を目的として，Isolation Forestの適用を提案する。提案法は，高い精度で異常検知を行うことを確認したので報告する。

3-106

One Class SVMを用いた火力発電プラントの故障検知

◎山﨑岳大・福山良和（明治大学）・村上賢哉・飯塚達也・松井哲郎（富士電機）

各種プラントの故障の早期発見は，安定稼働と重故障の抑制の観点から重要である。そのため，多変量統計的プロセス管理(Multivariate Statistical Process Control : MSPC)をプラントの故障検知に応用することが盛んに研究されてきた。MSPCは変数間の相関構造を考慮するため，変数間に線形な相関が見られる場合は検出感度が良いとされる。しかし，実際のデータは非線形な相関を持つ場合も多い。本研究で用いたOne-Class SVM (One Class Support Vector Machine)は，カーネル関数を用いることで非線形な判別関数を容易に与えられるため，データの変数間に非線形な相関が見られても，安定した精度が望める。本論文では， One-Class SVMを用い，火力発電プラントに対して故障検知を行った結果，有効性が確認できたことを報告する。

3-107

Kernel-PCAによるMSPCを用いたショーケースの異常検知

◎新井 馨・福山良和（明治大学）・村上賢哉・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

ショーケースは，冷媒漏れや着霜等による冷凍能力の低下が稀に発生する可能性があり，食品の品質落ちや顧客への悪影響を及ぼす可能性があり，ショーケースに対する故障の検知に関する研究が行われている。しかし，ショーケースでは，上述のように非常に稀にしか故障は起きないため，異常値データを入手することは困難であり，教師無し学習による故障検知が必要である。加えて，ショーケースデータには非線形な相関を含むデータが含まれているため，非線形モデルにおいての教師無し学習手法の適用が必要である。従って，本論文はKernel-PCAによるMSPCを用いて，ショーケースデータに対して，異常検知を行い，その有効性を確認した。

3-108

災害時における二次集積所の最適配置を考慮した最適配送計画へのリアクティブタブーサーチの適用

◎小野田紗羅・福山良和（明治大学）

近年，日本では大型地震や大型台風など数多くの災害が発生している。このような大規模災害時には緊急支援物資を集積する集積所から避難所へ物資を配送し，最終的に被災者に緊急支援物資を分配する緊急支援物資ロジスティックスが欠かせない。本論文では，最適配送計画に対して，この問題点を解決するために，事前にタブーリスト長を調整する必要のないリアクティブタブーサーチを適用する。従来法である最適配送計画のへのタブーサーチを適用したシミュレーション結果との比較することにより有効性を確認したため報告する。

3-109

音源定位を利用したコロナ放電に対する超音波センシングに関する研究

◎若狹正浩・大谷幸三（広島工業大学）

電力は日常生活で欠かせないが，漏電被害を防ぐための点検作業は非常に困難である．高圧電線の劣化に伴うコロナ放電について，劣化箇所を特定するために，マイクセンサアレイを使った超音波センシング技術が用いられる．しかし，現存する機器はとても高価であるため，電気事業者へ普及するには大幅なコストが掛かる．そこで本研究では，マイクアレイを用いた超音波センシングにおいて，より低コストで同精度の音源定位が得られる機器の開発に取り組む．具体的には，安価な機器を用いて音源の位置情報を取得し，データをBluetoothでPCに送信，可視化処理を施す．

3-110

測定値時系列の概形をあらわす定性値を利用したビル空調システム異常状態検知

○湯本真樹（近畿大学）

ビル空調システムにおいて異常検知を行うにあたり、観測される測定値時系列データにもとづいて検知する方法が考えられる。従来の方法では短時間の特徴的変化のみを利用するため検知対象が限定される問題が存在した。本研究では測定値時系列データの長期的特徴である概形を定性値に変換し、正常状態との比較により求まる異常状態を表すラフ集合の決定ルールを利用した異常状態検知方法を提案する。提案方法では異常状態を表す決定ルールにより異常状態を特定できる。実証実験で異常状態2区画と正常状態2区画の測定値時系列データから異常を特定できる効果を確認した。

3-111

正確な日射量予測のための気象データと地形データの高速演算処理

◎田中信輝・浅野勝宏（名古屋工業大学）

再生エネルギーを有効活用するためには、発電量を正確且つリアルタイムで予測する必要がある。特に、太陽光発電の場合、日射を遮る雲や山やなどのメッシュデータから、日射量を高速高精度で演算することがキーになる。今回、気象データ、地形データから、日射量を高速で演算処理する手法を開発した結果、地平線演算の処理速度が13.8倍に向上した。演算の多くが、積和演算化されるので、GPUを利用すれば、さらに高速化が図られる。なお、移動する雲のエッジ計算にも同様に適用でき、それらを併用することにより日射量の高速計算が可能になる。さらに、路面凍結予測などにも応用が期待できる。

3-112

異なる周波数帯域で測定したデータ群の測定帯域と統計量の関係に関する基礎検討

◎竹中佑太朗・山内辰浩・大塚信也（九州工業大学）

近年、IoTやAIなどが注目されているように、大量のセンサからデータを取得して特徴量を抽出、あるいは予想して応用することが行われている。この基礎となるデータ群は、常に物理現象を正確に測定しているものとは限らない。筆者らはこれまで70GHzオシロスコープを用いた超広帯域部分放電電流パルス波形計測装置(SHFあるいはEHF_PDPWシステム)を開発しており(1)、psオーダの立上り時間trを有する放電電流パルス波形のデータセットを有している。本研究では、このデータセットをオシロスコープの周波数特性でフィルタリングできる等価同期計測装置を用いて帯域制限し(2)、等価的に異なる周波数帯域で測定したデータセットを作り、その周波数帯域fBとデータセットの統計的ばらつきの関係を検討した。

3-113

プラント及び工場における複数センサで周期的に出現する変動パターンの判定方式

○桑島昂平・立床雅司・高田佳典（三菱電機）

プラント及び工場では、定期点検を実施する時間基準保全から設備の劣化度合いに応じて保守内容を変更する状態基準保全への移行に向け、センサが取得する時系列データ(以下、運転データ)を活用した異常検知技術の適用事例が報告されている。異常検知技術は、プラント及び工場の運転データで発生する周期的に現れる特徴的な変動パターン(以下、イベント)を異常と誤検知することがある。イベントは、プラント及び工場の保守・運用により、週次等の周期で起こり、複数のセンサで同時に観測される特徴を持つ。本稿では、イベントの周期とセンサの組をデータから自動的に抽出し、イベントを判定する方式を提案する。

3-114

進化の工学分析で見える情報戦略と社会応用

○吉井清明（セイフティーワールド）

2003年から、物質から人間までの進化を駆動させた生化学ソフトウェアと、そのコアの循環論理の評価システム（ESCL＊1）のモデルとして戦略的進化説を発表してきた。昨年は、エピジェネティクス（山中教授のiPSで飛躍）により証明された3仮説、追加の7仮説を報告した。 今回は、砂浜が多種タンパク質を安定供給し進化起点となった新プロテインワールドなどのモデル、および進化の情報戦略から学ぶ社会応用について報告する。 ＊1 ESCL：Evaluation System of Circulation Logic メモリー上の仮想空間で自己保存、次世代産出、器官連結、食物摂取・消化、エネルギー、情報等で形成する循環論理回路を評価。

3-115

病薬連携吸入指導クラウドシステム「吸入カルテ」における多変量解析を用いた患者分類の検討

◎木村一貴・戸田 健（日本大学）・大林浩幸（吸入療法アカデミー）・伊藤玲子・権 寧博（日本大学）

病薬連携吸入指導クラウドシステム「吸入カルテ」が試作され, 現在試験運用が行われている. また「吸入カルテ」にて蓄積されたデータから多変量解析を用いて吸入指導効果の評価が行われている. 本研究では, 「吸入カルテ」のデータから多変量解析を用いて患者分類の検討を行う. クラスタ分析の結果から, 患者の手技および吸入器の操作性という観点で3つの群に分けられた. 今後は, クラウドシステムへの実装について検討する予定である.

3-116

ラオスの糖尿病患者向け医患連携システムLao Diabetes Healthcare Network System (LDHNS)の試作

◎芳村賢士朗・戸田 健・梁島一哉・濱口麻里奈・中島一郎・大塚雄一郎・上原秀一郎（日本大学）・ボンミソムサマス（セタティラ病院）・ソクサバンボンサ・ドンプラチャサタソン（ラオスヘルスサイエンス大学）

東南アジアのラオス人民民主共和国（以下ラオス）では，糖質の高い食生活や医療機関の医療水準の低さに起因し，糖尿病や肝炎などの慢性疾患が蔓延し，最も多い死因の一つとなっている．また医療機関や医療従事者が不足しているため，糖尿病患者は首都ヴィエンチャンの専門的治療が行われる大型病院へ通院する必要がある．しかし雨季には集中豪雨の影響によりそれが困難となる．これまで，ラオスの糖尿病患者を対象にスマートフォンを活用した医師と患者を繋ぐクラウドシステム“Lao Diabetes Healthcare Network System（ラオスの糖尿病患者向け疾患管理システム）”を設計してきた．本稿では，ユーザインタフェースの評価を行なった．評価アンケートの結果，プレアンケートよりポストアンケートの方が評価が上がり，インタフェースの有用性を示した．

3-117

運動解析と環境データによる統合分析

◎倉俣祐希（東京電機大学）

近年の健康志向の高まりから健康の維持や増進のための行為や健康管理、スポーツ、理学療法において人の動きやアクティビティなどの動作を計測・解析するシステムの需要が増えてきている。スマートウォッチのようなウェアラブル端末による活動量計の普及が最たる例である.また、健康管理情報の領域が区分けされており医師の診断が必要でない領域(ウェルネス・プレメディカルとも呼ばれる領域)での開発競争が激化している。しかし人の動きやアクティビティなどの動作を計測行うためには周辺環境によっては測定が困難であるため屋内・屋外問わずに計測を行えるシステムを作成する。

3-118

動作フォームの正誤判別のためのモデル木の提案

◎福島亜梨花・高 明淑・矢野 亨（東芝 研究開発センター）

動作フォームをセンシングし、動作の正誤判別を実施するシステムがある。通常は一つの動作フォームに対して「正しい」または「間違った」のラベルが一つ付与される。しかしながら、実際には間違ったフォーム中にも正しい時間帯と間違った時間帯があると考えられる。そこで決定木の一種であるモデル木を利用して正しい時間帯と間違った時間帯を分離し、その時間帯毎に分類器を使い分けることにより、精度向上を図る方法を提案する。

3-119

機能的電気刺激とRISE制御による手指屈曲システムの構築

◎新田圭佑・久島康嘉・河合宏之・村尾俊幸（金沢工業大学）・河合康典（石川工業高等専門学校）・岸谷 都（石川県済生会金沢病院）

脳卒中や脊髄損傷などが原因で身体に麻痺が残る患者に対し, 運動機能を再建する方法の一つとして機能的電気刺激がある. このFESを手指のリハビリに用いた研究もおこなわれているが，安定性については議論されていない．本研究ではFESを用いた手指屈曲システムを構築し, 安定性を保証できるようなRISE制御を適用することで手指の屈曲を実現する. また, 健常者での実験結果について報告する．人差し指をリンクとしてモデル化し,RISE制御を適用する. 本実験では人差し指の虫様筋を電気刺激し, 目標角度-45度として健常者5名で, 実験をおこなう．