一般講演

3-024

航空機材スケジューリング問題へのリアクティブタブーサーチの適用

◎小林優斗・福山良和（明治大学）

本論文では，航空機材スケジューリング問題に対するリアクティブタブーサーチの適用を提案する。航空会社の経営を改善するために，さらなる効率化，最適化された航空機の運用などによる運航コスト削減が求められる。予め定められたフライトスケジュールを，各航空会社が保有する各航空機に対し割り当てる際に，各航空機が空港に滞留する時間の合計を最小化することを本論文の対象問題としている。タブーサーチの改良法であるリアクティブタブーサーチは，事前にタブーリスト長を調整する必要がなく，様々なスケジューリング問題に対し良質な解を得られることが知られている。提案法がタブーサーチを用いた手法と比較して有効性を確認した。

3-025

実用的な生産コストシミュレータとModified Brain Storm Optimizationを用いた最適生産計画手法の提案

◎高橋賢二郎・福山良和（明治大学）・川口嵩平・佐藤隆臣（三菱電機）・佐藤隆臣（東京大学）

現在，Industry4.0を代表とした取り組みにより，国内外で製造業における技術革新が進められている。これまで，生産計画を最適化する生産計画問題の研究が長年行われており，近年ではエネルギー消費量や排出量を考慮した研究なども行われている。しかし，従来の研究は定式化された最適化問題を扱う研究が多く，生産現場を忠実に再現した実用的な生産コストシミュレータを用いて，生産時間だけでなくエネルギー効率や環境負荷の観点からも最適化を行う生産計画問題に関する研究はこれまで行われていない。そこで，本論文では，実用的な生産コストシミュレータと進化計算手法であるModified Brain Storm Optimization (以下，MBSO)を用いた最適生産計画手法を提案する。

3-026

多段階ロジスティクス・システム設計問題の環境分散優先順位型遺伝的アルゴリズムによる一解法

○井上古樹（宮崎産業経営大学）

新型コロナウイルスによるインターネット通販の需要増大により、30万人分の雇用が創出されたとの報道があるなか、既存の物流システム運用における問題となっている。今いる人員、今あるトラックでの輸送には、解決すべき点は多い。もともと宅配便の扱う物流数は増加の一途をたどっている。時々刻々と移り変わる消費者ニーズに合わせた物流計画の見直し、改善の重要性が担うところが大きい。本研究では、コストの明確化ときめ細かなコントロールが可能になるよう、多段階ロジスティクス・システムを作成し、環境分散優先順位型遺伝的アルゴリズムによる改善手法を提案した。

3-027

カーシェアリングの最適ステーション配置問題に対するタブーサーチの適用

◎五十嵐匡人・福山良和（明治大学）

本論文の対象問題は，カーシェアリングのステーションの最適ステーション配置問題である。この問題は組合せ最適化問題として定式化できる。従来，カーシェアリングを運営する企業側とサービスを利用する側の全費用が最小になるように定式化された問題に対して分枝限定法の適用が提案されている。しかし，分枝限定法では大規模な問題に対して計算量が膨大になってしまう問題点があり，この問題を解決するためにタブーサーチを適用する。小規模だが実用的な問題に対しタブーサーチを適用したシミュレーションを行い提案法の有効性を確認した。

3-028

災害時における二次集積所の最適配置を考慮した最適配送計画への改良型リアクティブタブーサーチのパラメータ調整

◎小野田紗羅・福山良和（明治大学）

近年，数多くの大規模災害が日本で発生している。大規模災害時には，緊急支援物資を集積所から避難所へ配送して最終的に避難所にいる被災者のもとへ分配する緊急支援物資ロジスティクスが欠かせない。緊急支援物資ロジスティクスは被災者の生死に関わる重要な問題であるため，迅速かつ正確に行う必要がある。本論文では，実データを用いて最適配送計画に対して，改良型RTSを適用した場合のパラメータ調整を行った結果について報告する。

3-029

Signed Modularity Density 最大化問題に対する半正定値計画緩和の実験的評価

◎工藤 蓮・伊豆永洋一（神奈川大学）

与えられたネットワークを密な部分ネットワークに分割するタスクはコミュニティ抽出と呼ばれ，工学や社会科学において幅広い応用を持つ. ネットワークの各枝が正負の符号情報を持つとき，それを符号付きネットワークと呼び，正の符号を持つ枝は友好関係を，負の符号を持つ枝は敵対関係を表す.本研究では，符号付きネットワーク上のコミュニティ抽出における signed modularity density の最大化問題が，非負対称な射影行列を変数とする最適化問題に定式化できることを示す．さらに，この問題の半正定値計画緩和を解くことにより，効率的に最適値の上界と下界を求める.

3-030

Surprise Searchによる個体選択を導入した進化的画像生成システム

○田村謙次（中央学院大学）

進化計算を用いて画像や音楽などのコンテンツを生成する場合、対話的に個体選択を行う手法が用いられることが多いが、それには個体選択をするための負担や労力などが課題となる。そのような背景において、適応度関数を用いて画像を自動生成する手法が研究されている。それらの手法では生成される可能性がある画像のパターンはほぼ無限に存在するが、多様性が維持されなければ類似画像が生成される確率が高くなるという課題があり、クラスタリングを用いる手法などが提案されていた。本研究ではSurprise Searchを導入することにより適応度関数のみに依存しない新規解を探索する進化的画像生成システムを提案し、その評価を行なった。

3-031

監視用ITVカメラを利用した混雑解析

○新開隼也（東日本旅客鉄道）

駅構内に設置されるカメラは、重要性が高まっており、設置台数は増加傾向にある。異常時においては異常発生箇所において混雑度が高くなる傾向がある。一方で駅員からは、膨大なカメラ映像一つ一つを見る時間も人員もいないため、駅構内の混雑度を一目で把握できるように改善要望を受けることがあった。そこで、本研究ではカメラを増設せずに、既存の監視用ITVカメラを利用し、駅構内の混雑度が視覚的に分かる混雑解析システム構築検討を行った。実際の実証実験では新宿駅で実施した。実験の結果、駅員からもおおむね好評であり、特に異常時において有効利用できるシステムであった。

3-032

ハンドトラッキング機能搭載HMDを用いた手話学習支援ツールの検討（3）

◎赤葉亮太・鹿間信介（摂南大学）

現在，手話を習得する際にはイラストや映像の形式で学習を行う。しかし，これらには利き手が反転する，習得した手話の合否確認ができないなどの問題を抱えている。これらの問題は，特に初学者の学習効率の低下を招く一因となる。そこで本研究では，使用者の手をトラッキングするHMDを用いて，仮想空間上に手本を提示することで，直感的で理解しやすい学習支援ソフトウェアを提案し，基本部分の実装を行った。発表当日は，手指の形状・姿勢識別システムの詳細，また訓練に用いる学習モード及び理解度を確認するテストモードの具体的な流れについての内容を含めた最新の研究状況を報告する。

3-033

ハンディカメラ映像からの長尺な軌道画像の生成手法

◎栗原 璃・長峯 望・向嶋宏記（鉄道総合技術研究所）

信号通信関係の設備はその役割上、駅および駅間に分散しているため、メンテナンス業務に非常に労力がかかっている。そこで、信号設備メンテナンス業務を軽減するために、ハンディカメラで得られた列車前方映像から長尺な軌道画像を生成する手法を開発した。本手法は、射影変換による俯瞰画像の生成、テンプレートマッチングによる連続画像の生成、および移動方向の補正から構成される。この手法を用いて長尺な軌道画像を生成することで、つなぎ目部分のジャギーが解消された。さらに、距離や線形によらず安定的に軌道画像が生成できること、計算上の最高速度と当該線区の最高速度がおおむね一致することも確認された。

3-034

画像特徴量によるマルウェア亜種検知の精度向上

◎原田吉樹・泉 隆・滕 琳（日本大学）

近年のサイバー攻撃の主流として，マルウェア亜種を作り攻撃する手法がとられ，パターンファイルの作成が追い付かない現状となっている．研究目的は，マルウェア亜種検知の精度向上であり，本稿では，複合特徴量とデータセットへの異常データ混入について検討し，各特徴量との精度比較を行う．複合特徴量の作成については，分散を利用した特徴量評価手法を用いる．また，データセットへの異常データ混入を行い，異常検知モデルの構築の際に発生する問題に対処する．それらにより，平均亜種検知率96.86%という結果が得られた．

3-035

多層ニューラルネットワークを用いた論理回路推定アルゴリズムによる異物混入検査への適用

○坪井勇政（ジック）・廣瀬大晃・小野 治（明治大学）

著者らの研究グループでは、多層ニューラルネットワークにより複雑な論理演算を推定する手法を提案している。しかし、社会実装におけるネットワークの大規模化や実画像を使った具体的方法までは提案されていない。本研究では食品業界における異物混入検査のための論理回路を推定し、実アプリケーションへ適用するための手法を提案する。入力画像の各ピクセル輝度値を二値化論理回路により二値化する。二値化されたデータから、意図しないノイズの有無等を判定する。これらの論理回路を推定することにより、画像処理による外観検査に応用することができる。異物混入検査に適用することで、実アプリケーションにおける、画像処理のための論理回路推定が可能であることを実証した。

3-036

カラー画像のRGB成分のDCT符号を用いたパスワード文字列生成法

◎松本拓也・江田孝治（福岡大学）

本研究ではカラー画像のRGB成分を用いて、写真に固有のパスワード文字列を生成する手法を提案する。提案手法としては，カラー画像のRGB成分にそれぞれDCTを行い，低周波成分のDCT係数の符号を2値信号とし、RGBの各成分から取り出した2値信号を排他的論理和により合成する。さらに、合成した2値信号から6 bitごとに1文字の英数字に変換してパスワード文字列を生成する。結果として、文字数に依存する文字は見られないことや文字にばらつきがみられることから，ランダムなパスワードを生成することができることがわかった。また，カラー画像のRGB成分を用いて画像に固有なパスワード文字列を生成することが可能であることがわかった。

3-037

サーモカメラと距離学習を用いた電力変換回路の異常検知

◎吉川晃平・片山 昇（東京理科大学）

近年、電化製品は半導体等の小さな素子によって、小型化が成功している。しかし、小型化と伴に素子の性能上昇により消費電力が上昇することによって素子の使用時温度が上昇するが、素子の大きさに対する許容放熱量を超えることによって熱暴走を起こして故障する報告がされている。そこで、サーモカメラで撮影した画像を機械学習の一つである距離学習を用いて近似性の高い画像をより細かく分けることによって異常検知を行うことが期待される。本研究では、サーモカメラを用いた模擬的な異常電源回路の画像に対して距離学習による異常検知を可能とした。

3-038

全方位カメラと深度センサによる環境認識のためのセンサフュージョン

◎仲田尚貴・馬 躍航・渡邊 香・鈴木秀和（東京工芸大学）

近年，ロボットの研究開発を促進させる競技大会としてRoboCupサッカーが開催されており，その中の中型リーグでは22×14[m]と広大なフィールドが用いられている．競技を行うために必要な基本的な要素として，フィールド上に存在する物体を認識することが挙げられる．現在は360[deg]見渡すことができる全方位カメラでフィールド上のすべての物体を認識しているが，広大なフィールドにおいて遠くの物体を認識するのは難しい．また，遠くの物体ほど認識精度が悪くなる．そこで，本研究では全方位カメラで近くの物体を認識し，深度センサで遠くの物体を認識することによって全方位カメラで認識することのできない遠くの物体を認識していく．

3-039

RoboCupサッカーロボットおける複数指標を利用した位置認識手法の構築

◎斎藤巧真・馬 躍航・渡邊 香・鈴木秀和（東京工芸大学）

近年，ロボット工学の研究を発展，推進させる試みとしてRoboCupと呼ばれる自律型ロボットによるサッカー競技大会が開催されている．その中のヒューマノイドリーグでは自律型二足歩行ロボットを用いてサッカーを行う．ロボットが戦略的にプレイするためには，自機の位置を正確に把握することができる精度の高い自己位置同定法が必須となる．本研究では，ロボットに搭載している単眼カメラより取得した画像からサッカーフィールド内の特徴となる情報を認識し，複数の特徴点から得られた情報を元に生成した尤度空間を統合することで精度の高い自己位置同定法を構築し，検証を行う．

3-040

深層学習適用のための効率的な画像収集の試み

○石野隆一（電力中央研究所）

深層学習の利用にあたり，学習データの収集法について，他業務の負担にならない仕組みを考案し，画像データを収集する手法について報告する。具体的には，1日の監視画像の内容を1枚で表現し監視確認の必要な枚数を減らすものである．また，集めた画像を使って重機検出を例に深層学習による検出をおこない，再現率が90%以上であったことを報告する．

3-041

機械学習を用いた対応点探索における損失関数の改善による精度向上に関する検討

◎橋本智洋（東京大学）・橋本 岳（静岡大学）・山本茂広（神戸大学）

パッシブ計測の代表例として知られているステレオ三次元計測において対応点探索は重要な過程であり，我々は機械学習を用いて対応点（マーカー重心）探索の高精度化について研究を行っている。本研究では，人工マーカーの二値画像を対象として，既存の超解像手法の学習データおよび損失関数を改良することで対応点探索のさらなる高精度化を図った。結果として，データセットおよび損失関数の変更に伴ってより明瞭な出力を得られ，かつ重心探索精度の向上が確認できた。入力画像のマーカー形状によっては特に高い効果を得られる場合があり，一般に良好な探索精度を示すマーカー形状への示唆を得られた。

3-042

画像処理による姿勢情報を用いたVRスノーボードシステムの開発

◎髙林利倫・村木祐太・小堀研一（大阪工業大学）

近年，VR技術の発達により様々なVRコンテンツが普及し，中でもスポーツの疑似体験ができるVRコンテンツが注目されている．スノーボードにもVRを用いて体験できるコンテンツは存在するが，ボードに乗って雰囲気を体験できるコンテンツが多く，練習や訓練を主体としたコンテンツはない．そこで本研究では，スノーボードの練習を目的としたVRスノーボードシステムの開発を行う．提案システムでは，従来システムである圧力センサを用いて重心を取得する方法に加えて，画像処理による人体の姿勢推定を行い，姿勢バランス情報を取得することで実環境に近いVRスノーボードシステムを提案する．

3-043

画像情報を用いた位置認識手法におけるノイズに対するロバスト性の検証

◎馬 躍航・渡邊 香・鈴木秀和（東京工芸大学）

近年，人工知能の発展を目的として開催される自律移動ロボットの競技大会として，RoboCup MSL(ロボットサッカー中型リーグ)がある．RoboCup MSLにおいて，ロボット同士の協調行動や高度な戦略的動作を実現するためには自機の位置を推定する自己位置同定が必要不可欠である．本研究では，全方位画像から得た白線情報とフィールドデータを照合するモデルマッチング法による自己位置同定手法を構築し，その処理を実時間で行うために，自己位置の探索に遺伝的アルゴリズム(GA)を利用する．さらに，この手法のノイズに対するロバスト性について検証を行う．

3-044

明度変化率に基づくロボットのミカン選別における画像認識

◎小倉望史・黄 慶九（工学院大学）

本研究では人手不足になった農家に代わり、ミカンの収穫と選別を行うロボットの開発をしている。重ねたミカンの輪郭を認識するため、明度変化率に基づくロボットのミカン選別における画像認識の手法を提案して研究する。

3-045

3バッファステージを用いた波長掃引レーザによるファイバブラッググレーティングの反射信号測定の検討

◎山口達也・遠藤 亘・篠田之孝（日本大学）

本研究の目的は光ファイバ型センサのファイバブラッググレーティング（FBG）を用いた広帯域振動計測システムを構築することである。筆者らは波長掃引レーザを用い，100kHzの測定レートを持つ計測システムを報告している。近年，波長掃引レーザの高速化を図る方法として，バッファステージを用いる方法が提案されている。本文は，3バッファステージを用いた波長掃引レーザを構築し，FBGの反射信号測定の高速化を試みた。

3-046

P波とS波スペクトログラム画像の深層学習を利用したヒューム感の劣化診断に関する研究

◎荒井翔太・津田紀生・寺尾尚哉・小塚晃透（愛知工業大学）・佐藤正典（本多電子）

日本においてコンクリートは建築材料として重要な一画を占めている。また1960 年代の高度経済成長期に、インフラ整備などのため多く使用されたが、60 年近く経過し、コンクリートの劣化・老朽化が進んでいる。本研究では、コンクリート構造物の一つであるヒューム管に対して、打撃による振動を発振させ、P波とS波におけるコンクリート内で伝わる速度や波形などを計測する。また、収集した音源をスペクトログラム画像に変換し、深層学習を用いて劣化分析をする。深層学習では、CNN(Convolutional Neural Network)を用い、健全体と横ひび、縦ひびの試験体の画像データを与え、テストデータに対する学習結果の回答を正解率とし、比較検討した。

3-047

ISR切り替え時間削減方式の提案と評価

◎西浦拓志・南角茂樹（大阪電気通信大学）

現在、組み込みシステムは生活に欠かせないものとなっている。組み込みシステムにはリアルタイム性が求められるが、潤沢なリソースがないなどの理由によりリアルタイムOSを使えない製品も存在する。そこで、我々はリアルタイム組み込み簡易モニタ(Realtime Embedded MONitor:REMON)を提案した。それによりリアルタイム性の向上が可能となる。しかしながら、割り込み処理の切り替えにオーバーヘッドが発生する。厳しい応答時間を要求されるシステムにおいてオーバーヘッドは小さいことが望ましい。そこで、本稿ではREMONにレジスタバンクを用いたISR切り替えによる高速割り込みをREMONに追加し、オーバーヘッドを削減する方式の提案と評価を行う。

3-048

REMON におけるタスク削除機能の提案と評価

◎岩本海斗・南角茂樹（大阪電気通信大学）

現在, 多くの家電製品や産業製品において組み込みシステム技術が使用されている. 組み込みシステムではリアルタイム性が求められるが, RTOSはOSの処理を実現するための割り込みによってISRの開始時間が遅れ, 割り込み応答性が低下する問題がある. そこでこの問題を解決するために, 我々は組み込みリアルタイム簡易モニタREMONを提案した. しかしながら, REMON には RTOS に見られるタスク削除機能が実装されておらず, リソースの限られた環境下において実行できる ISR の数に限りがある. そこで, 本稿では, REMON タスク削除機能とタスク保護機能の提案と評価を行う. 

3-049

マルチコアREMONにおけるISRマイグレーション機能の提案

◎池本尚暉・南角茂樹（大阪電気通信大学）

近年組み込みシステムでは、システムの高機能化に伴うマルチコアプロセッサの利用が進んでいる。マルチコアを利用する場合、シングルコアプロセッサとは異なりいかに各プロセッサに処理を分散するかを考える必要がある。それを解決する策としてマイグレーションがある。REMONは、割り込み処理に待ち状態を付加することでタスクと同等の管理・排他制御ができる。マルチコアREMONは、1つのプロセッサに対するスピンロックの獲得時間が長く、その影響でISRが他のプロセッサで実行されず1つのプロセッサに負荷がかかる問題がある。本研究では、マルチコアREMONにマイグレーション機能を用いることでで動的に負荷分散を行う。

3-050

REMONにおけるリーダ優先リードライトセマフォの提案と検証

◎寺戸勇大・南角茂樹（大阪電気通信大学）

本研究ではリーダライタ問題を解決するためREMONに備わっているセマフォ機能を用いて、「ライタが書き込みを行っている間、リーダは読み込みを行えない」「同時に一つのライタしか書き込みは行えない」「ライタが書き込みを行っていない間は複数のリーダが読み込み可能」という条件を満たすことにより排他制御を実現するリーダを優先したリードライトセマフォの提案と検証を行った。

3-051

ローカルイベントフラグの提案

◎井口 尚・南角茂樹（大阪電気通信大学）

現在,日常生活に使われている家電製品をはじめとした多くの電子機器に組み込みシステム技術が用いられている.組み込みシステムでは,リアルタイム性が重要視されRTOSが搭載されることが多い.しかし,RTOSで提供されている従来のイベントフラグでは低優先度の処理が優先的に実行できず,リアルタイム性の低下を招くケースがある.そこで本稿では,この問題を解消するためのローカルイベントフラグ機能を提案する.

3-052

ACサーボモータの単純適応制御の内部ゲイン調整則に関する研究

◎堂阪絵未・黄 慶九・元山大輝（工学院大学）

近年、産業用ロボットなどの需要が高まっており、位置や速度を制御する目的でサーボモータが使われている。しかし、負荷が変わると制御ゲインを再調整しなければならないという問題がある。本研究ではこの問題点に着目し、単純適応制御をもとにサーボモータの制御を行い、調整則ゲイン行列の内部パラメータと制御性能の相関性を調べ、適応ゲインの調整を簡素化する方法を研究する。

3-053

線形スイッチドシステムにおけるスイッチング回数低減のための安定化スイッチング則の提案

◎三原大和・原 尚之・小西啓治（大阪府立大学）

複数のサブシステムを切り替えて駆動するスイッチドシステムにおいて，制御目的に応じた切り替え則の設計は重要な課題である。近年，データや情報量の爆発的増加に伴う処理リソースの増加，また，再生可能エネルギーや燃料電池をエネルギー源としたシステムの普及，といった背景もあり，既存の切り替え則では過剰な切り替え動作を要求しているとも捉えられる。そこで本稿では，切り替え動作の低減を目的とした，新たな切り替え則を提案する。この手法では，従来のリアプノフの安定性理論を緩和する手法を応用し，正定関数の一時的増加を許容する。さらに数値例では，既存の切り替え則と連続して運用，比較し，提案法の有効性を確認する。

3-054

逐次モデル同定機能によるエッジ型モデル予測制御の性能改善

○丹下吉雄・松井哲郎（富士電機）

筆者らは，これまで，エッジコントローラ（PLC）上で実装可能な，数式処理に基づく，軽量なエッジ型モデル予測制御（MPC）を提案してきた。MPCは，モデルに基づく制御であるため，実プラントとモデルとの誤差が制御性能に影響を与えると考えられる。 本稿では，モデルを逐次同定する機能とエッジ型MPCを組み合わせることにより，オンラインでの性能改善が可能であるかどうかを検証した結果を報告する。

3-055

特異な重みを有する離散時間LQ問題について

岡野健太・辻本拓夢・吉井雅哉・○加瀬 渡（大阪工業大学）

連続時間系LQ問題では、評価関数の入力に関する重みを0に近づけると解が発散するが、離散時間系では実行可能な解が存在することが知られている。入出力数が等しい場合には、極零相殺を伴う、いわゆる逆インタラクタ化が知られているが、今回は入出力数に依存しない有限整定制御解を導く。評価関数を最小化するための離散時間Riccati方程式の解の自由度を利用して、フリーパラメータに可到達正準形への座標変換行列を入れ込むことで、任意の可到達な状態表現に対する解を導出する。

3-056

ニューラルネットワーク制御のニューロン増減則に関する研究

◎森田昌一・黄 慶九・高橋茉波（工学院大学）

サーボ系にニューラルネットワーク制御を適用すると，学習を通して制御対象の特性を獲得できるため，高い精度を実現できる。ニューラルネットワーク制御では，各階層の数値とニューロンの数値を決定する必要があり，決定の方法や効果の程度は明確ではない。本研究では，モータの位置決め制御を用いて，ニューラルネットワークの中間層のニューロン数に関する効果を検証する。

3-057

自動二輪車乗員の頭部の位置及び自動二輪車の挙動の分析

○片山 優・落合俊輝・本多将和・福島志斗・泉 大樹（松江工業高等専門学校）

自動二輪車乗員は，転倒しないようにバランスをとりながら走行する．特に低速度域ではジャイロ効果が得られず，左右の安定性が低くなるため高い操縦技術が必要となる．インストラクターの実演や口頭による指導がなされるが，それだけで運転技術を向上させることは難しい．また，操縦操作や二輪車の運動は，熟練度が異なる運転者間で異なることが示されている．そこで，熟練者と非熟練者の走行時の身体の使い方や自動二輪車の扱い方を計測表示して，自動二輪車乗員に提示できたら運転技術の向上に役立つのではないかと考えた．本稿では、自動二輪車の走行時における車両挙動計測システムに乗員の頭部位置を計測する機能を加え，車両挙動と同時に計測した結果を紹介する．

3-058

圧電フィルムを活用した柔軟マニピュレータの新たなフィードフォワード振動制御

○阿部 晶（旭川工業高等専門学校）

本研究では，柔軟マニピュレータのPoint-To-Point (PTP) 制御問題を扱い，圧電フィルムを活用した新たなフィードフォワード振動制御法を提案する．ここで，圧電フィルムを柔軟マニピュレータの片側に貼付し，これをアクチュエータとして用いる．マニピュレータの旋回軌道はサイクロイド関数とべき級数の結合で表現し，圧電フィルムの指令電圧はガウス関数で表現する．そして，粒子群最適化を適用し，旋回軌道と圧電フィルムの指令電圧の同時最適化からフィードフォワード振動制御の実現を試みる．制振性能における圧電フィルムの活用効果をシミュレーションから検証する．

3-059

低サンプリングで雑音性な非線形時系列モデルに対する離散フィルタを用いた推定の改善

○中川善継（東京都立産業技術研究センター）・森 一幸・佐藤春彦（イング）

センサを用いて計測したデータにモデル関数をあてはめて解析する手法として最小二乗法が広く用いられている。一方で実際の計測データには外来ノイズや計測器内部の機械的ノイズ等によるばらつきを含むことがしばしばである。非線形モデルを用いた解析の前処理として離散フィルタを通し推定精度を改善する手法について紹介する。

3-060

車載超音波センサによる歩行者判別技術の開発

◎村上浩章・山下元気・小野寺 裕・井上 悟・原瀬真一・辻田 亘（三菱電機）

市街地走行に対応した先進運転支援システムにおいて、安全な車両制御を実現するため、歩行者を判別する技術が求められている。そこで我々は、コストの低さから広く活用されている車載超音波センサを用いて、歩行者と路上物体を分類する手法を開発した。提案手法では、超音波センサにより物体からの反射波データを取得し、時間波形及び周波数変化と相関のある特徴量を抽出することで、機械学習による分類を行う。実環境を模擬した評価試験を実施した結果、提案手法により歩行者とポール・縁石を90%程度の精度で判別可能であることが確認された。

3-061

Wi-Fiを用いたデジタルライブのリアルタイムLED演出の提案と検証

◎福田晃也・南角茂樹（大阪電気通信大学）

新型コロナウイルスによって、ペンライトを振り回すといったライブの醍醐味を全力で楽しむことができなくなっているのが現状である。そこで本研究では、デジタルライブ参加者に向けて、Wi-Fiを用いてLEDテープの電飾を制御するライブ演出を提案し検証を行った。Wi-Fiを用いてLEDテープの制御を行うことにより、デジタルライブに新しい楽しみ方が生まれると期待できる。提案するシステムは、Touch Designer」にて入力された信号を解析し、しきい値を超えると電色を変化させるようになっている。これは、エレクトリックベースなどの楽器は弾き始めに入力の値が大きくなることが多いため,しきい値をを超えると電色を変化させるとそのテンポに合うように電飾を制御できるといえる。

3-062

タイムインターリーブAD変換における加重平均を用いた誤差補正技術

◎中野芳樹・山内芳准・森田 晃・小泉和裕（富士電機）

タイムインターリーブAD変換において、AD変換器間のオフセット、ゲイン等の誤差影響を補正する技術が多く研究されている。特に、補正用のAD変換器を用いる手法では高分解能な補正が可能な反面、回路大型化、コストアップなどが懸念される。そこで、本研究ではAD変換器を追加することなく、オフセット、ゲインの誤差影響を高分解能に補正する技術の開発を行った。出力の加重平均を基準にしてLMSアルゴリズムにより補正係数を算出することで、タイムインターリーブ動作時も高分解能な補正が可能となった。シミュレーション検証の結果、補正後の出力性能が理想値に近い値となり、本補正により誤差影響が低減できることを確認した。

3-063

送電設備点検ドローンにおける風と磁界の影響

◎高谷健太・クルモフバレリー・太田寛志・柴山恵司（岡山理科大学）

現在，産業界ではドローンの導入が進んでおり，自律飛行による効率化が望まれている。そのような背景から，著者らは送電設備の自動点検ドローンを研究開発している。本システムでは，ドローンが送電線を一定の距離で追従し画像処理によって欠陥を検出する。送電線の追従制御では風速・風向の変化によって制御性能が悪化するため，風外乱を測定または推定し補償する必要がある。また，送電設備の周辺にある大きな磁界が電子コンパスに影響を与え，事故の危険性がある。 機体に影響がない離隔でドローンを飛行させれば，通電中の設備点検が安全にできる。本稿では，送電設備点検システムの概要および風外乱と磁界の影響の評価について報告する。

3-064

Twitter API を用いた選挙情報取得システムの提案と評価

◎内海雄太・南角茂樹（大阪電気通信大学）

日本の選挙投票率の低さの要因として若者の選挙投票率の低さが挙げられる。若者の選挙投票率の低さの原因としてはがどの候補者に入れたらよいかわからない、政治がわからないなど選挙に関する知識が足りていないためである。そのため本研究では、Twitter API と LED を用いて選挙運動の期間になると LED を光らせ目で見える形で表現することによって選挙の情報を提供できるシステムの提案をし、その動作を検証した。Twitter API を用いることでその時々の政治家の考えや政治の仕組みを知ることができるのではないかと考えたからである。このシステムにより若者の選挙に対する知識の向上が期待できる。

3-065

Raspberry Pi を用いた動画音声認識とテキスト化

◎北村和樹・南角茂樹（大阪電気通信大学）

新型コロナウイルスの影響により話し言葉や相互関係といった対人によって行われる情報伝達が避けられるようになり、電子媒体はもとより視覚的メッセージが増加している。そこで動画に着目し、すべての動画に字幕を付けることができれば、より分かりやすく情報を伝えることが期待できる。しかしながらすべての動画に正確な字幕を付ける事ができるシステムは現状存在しない。本研究では、誰でも簡単に動画内の言葉を文字起こしするために、Julius を用いて音声波形を認識し自動でメモ帳にまとめるシステムを提案する。

3-066

ROS2を用いた統合型データ収集プラットフォーム

◎洗 大智・野尻紘聖・大塚弘文（熊本高等専門学校）

高齢者の重大な交通事故が社会問題となり，高齢者のより良い生活のための運転寿命延伸について議論されている．そこで，さまざまなセンサを用いた運転行動記録システムが考案されている．著者らはROS1を利用してセンサ間の同期とユーザの目的に応じたセンサのカスタマイズ性を備えたシステムを開発した．しかし，複数のカメラやセンサの使用に伴い増加するデータ量に対して1台のRaspberry Pi4だけでは性能不足が顕著に現れるようになった．本稿では，ROS2を利用した複数台の小型コンピュータによるコンパクトかつ拡張性に優れたデータ同期収集システムについて述べる．

3-067

強化学習を用いたパルス型心拍制御フィードバックシステムの開発

◎渡部由瑚（青山学院大学）

近年,引き込み現象が自律神経機能に影響を与えることが報告されており,振動による触覚刺激を利用した心拍フィードバックシステムの開発が為されている。先行研究においては、脈波間隔に対し延長されたタイミングで触覚刺激を生成することにより副交感神経を亢進させることが可能であったことが確認された。しかし,先行研究では脈波間隔に対し延長する際、固定値を用いており固定値の場合,個人差があるためすべての人に有用であるとは言えない。そこで、本研究では強化学習により脈波間隔をどの程度延長させた際,最も効果的に心拍を制御することが可能であるかを学習させる。また個人差を考慮した上で副交感神経を亢進させることが可能な触覚刺激を生成するシステムの開発を目指した。

3-068

工場及びプラントにおけるセンサ値の変動量によるグループ分け手法の検証

◎柿村直拓・田中友美恵・立床雅司・高田佳典（三菱電機）

工場及びプラントにおいて、定期点検から運転状態に応じて点検間隔を更新する方法のニーズが高まっている。運転状態をセンサから判定する場合、正常であっても低い頻度で起こる現象と異常を見分けることが困難である。今回は状態に応じた異常検知を実現するため、ウィンドウ内の変動量に着目し、変動量に応じてデータをクラスタリングすることで状態毎のデータ群を分離する手法を評価する。

3-069

DNA分子による情報処理のLISP言語によるシミュレーション

◎白井貴規（明治大学）

本研究では、DNA分子による情報処理アルゴリズム過程を、LISP言語を用いてシミュレーションする。ポリメラーゼ反応およびレポータープローブに対応するLISP言語プログラムとその出力結果を示す。演算の開始、演算過程における塩基配列の変化について考慮し、分子プログラミングのプロトコルについて検討を行う。近年、塩基間の水素結合を利用した任意の形状をもつオブジェクトの生成や鎖置換反応を利用した論理演算ゲートの作成など、分子コンピューティングの分野においていくつかの提案がなされている。本研究のシミュレーションにより、未知の酵素による演算においても本研究の表現方法で記述できる可能性を示した。

3-070

着地衝撃音が重さ感覚に与える影響

◎武田昌樹・三浦大介・水谷賢史（東海大学）

本研究では聴覚と重量感覚のクロスモダリティの検証を行った。VR空間にダンベルの着地衝撃音の音源として、元の金属音、ピッチを2倍、1.5倍、0.75倍、0.5倍に編集したものと無音の計6パターンを用意し、着地したダンベル状の仮想オブジェクトを垂直方向に持ち上げる作品を用意した。被験者に、基準音で感じた重さを100と設定し、その後ランダムに提示したピッチを変更した音または無音で感じた重さを任意の数値で回答してもらった。ピッチを上げると軽く、ピッチを下げると重く感じる傾向があることがわかった。また、基準音と無音の間に有意な差が認められなかったことから、着地衝撃音の有無ではなく、ピッチが重力感覚に影響を与えると推察した。

3-071

Mobile display text optimization

○ジュンシリチョランテープ・京野裕太・水谷賢史（東海大学）

This research will present easier-to-read font preferences, which will vary with visibility. Using an interactive Genetic Algorithm (iGA), we can use machine learning to find character patterns that make it easier to read for each user. We will create a system that can generate messages to find the characters that best suit each person. The algorithm learns and improves the text and background display and color. It shows in the excellent result the estimated result increases several times.

3-072

アラン分散を用いた特定電波源識別技術の検討

◎朱 岩（立命館大学）・小林正明（AOC Japan Chapter）・熊木武志（立命館大学）

特定電波源識別技術は送信機個体に固有のばらつきから生じる電波の指紋とも呼べる特徴を抽出して区別する技術である．これは同一機種の送信機の個体を識別することができるため．セキュリティ分野利用できる可能性を秘めている．本稿では，アラン分散を用いて同種類のトランシーバーの個体を識別する事を試みる. アラン分散は信号の周波数安定度を計測することができる信号処理である.この周波数安定度が同種類の無線送信機でも個体によって異なっている事を確かめるため，アラン偏差による評価を行う.

3-073

映像脈波抽出と感情検出技術の融合に関する検討

◎山本 敦・蔭山享佑・熊木武志（立命館大学）

現在，日本では「2040年危機」が予測されている．すなわち65歳以上の高齢者比率が，現在の28%から35%に高まり，そのうち4割を80歳以上が占める時代が到来する．そのため介護や医療技術の発展が急務であり，日本が世界に先駆けて感情や体調を考慮できるロボットを開発させてゆく必要がある．しかし，現在普及しつつあるAIアシスタント付きの家電機器は，音声信号としてユーザが指令を出すことで，単純な受け答えを行う機能を有するが，ユーザそれぞれの体調や表情に応じた受け答えをしてくれるものは無い.更には，感情が必ずしも表情に表れる訳ではないため，人同士が対話する時のように，相手の状態を考慮してくれる機械学習アルゴリズムを搭載した機器が，今後必要になってくると考えられる.本稿では，Paul Ekmanが定義した人間の基本的な感情を参考にして，表情筋や特徴点などの動きから数値化を行うだけでなく，生体情報をカメラから読み取る映像脈波抽出を融合させた技術を提案する．

3-074

災害対応型自動販売機による緊急通信ネットワークの性能評価

○岡田 康・原 元司・金山典世・渡部 徹・加藤 聡（松江工業高等専門学校）・釜谷博行（八戸工業高等専門学校）

防災や減災には緊急通信手段の確保が重要となるが，携帯電話やWi-Fiによる通信インフラが有効に活用されないことが問題となっている．一方，国内における自動販売機には，停電時でも継続稼動するものや，災害情報を表示するものなどがあるが，通信インフラ途絶時に通信の代替手段を提供するものはない．そこで，我々は自動販売機に収納した安価な小型コンピュータ上に位置情報利用型ルーティング手法を組み込んだ緊急通信ネットワークを提案してきた．その実装には，2種類の学習オートマトンによる機械学習機能を利用しているが，消費電力や通信時間の指標の評価や検討を行っていない．そこで本研究では，2種類の学習オートマトンによる緊急通信ネットワークについて，いくつかの観点から性能評価を行う．

3-075

スペクトラルクラスタリングベースのOne Class SVMとラプラシアンスコアによる変数選択を用いたガスタービンの異常検知

◎山崎岳大・福山良和（明治大学）・島崎祐一・長田悠人・村上賢哉・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

火力発電プラントのガスタービン（以下，GT）での異常は，重大な事故に発展する恐れがあるため，異常を適切に検知することが重要である。しかし，異常検知精度の向上には，改善の余地がある。非線形な相関を持ち複数の局在を含むデータは，スペクトラルクラスタリングの適用より，明確にクラスタに分けることができ，クラスタ毎に別々のOCSVMモデルを作成することにより，異常検知精度の向上が期待できる。本論文では，スペクトラルクラスタリングベースのOne Class SVMとラプラシアンスコアによる変数選択を用いたガスタービン（GT）の異常検知を提案し，有効性が確認できたことを報告する。

3-076

KPCA-MSPCによるショーケースシステムの異常検知における正常データのみを用いた特徴量選択手法の比較検討

◎新井 馨・福山良和（明治大学）・島崎祐一・長田悠人・村上賢哉・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

正常データのみを用いたショーケースシステム異常検知に対して，MIC-KNN-FSとKPCA-MSPCを組合せたショーケースシステムの異常検知手法と，本論文で提案したHSIC-KNN-FSとKPCA-MSPCを組合せたショーケースシステムの異常検知手法の比較を行った。

3-077

SFFSを用いたMSPCによるショーケースシステムの異常検知

◎片桐瑠星・新井 馨・福山良和（明治大学）・島崎祐一・長田悠人・村上賢哉・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

ショーケースシステムの異常検知に対し，特徴量選択手法であるSFFSを用いたMSPCを適用することを提案する。

3-078

異常値を考慮した改良型カーネルサイズ自動調整を用いたコレントロピーと重み減衰に基づくANNによる翌日最大電力負荷予測

◎佐藤尚輝・福山良和（明治大学）・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

本論文では，異常値を考慮した改良型カーネルサイズ自動調整を用いたコレントロピーと重み減衰に基づく翌日最大電力負荷予測手法を提案する。翌日最大電力負荷予測の高精度化は，適切なピーク時発電機の運転計画のために重要である。負荷データに異常値が含まれる場合，コレントロピーを用いることで事前に異常値を取り除くことなく，異常値を無視することができる。コレントロピーの唯一のハイパーパラメータであるカーネルサイズの自動調整は，エンジニアリング削減のために重要である。本論文では，従来のカーネルサイズ自動調整手法を改良した。提案法は，従来法と比較し，有効性を確認した。

3-079

HSIC-KNN-FSによる変数選択手法を用いたRRCFによる水力発電機の故障検知

◎原 勇輝・福山良和（明治大学）・島崎裕一・長田悠人・村上賢哉・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

水力発電機は，環境にやさしい発電方式の一つであり，電力供給において重要な発電方式である。そのため，故障検知を精度よく行うことが重要である。コストの観点から水力発電機の故障検知に有効な変数を選択することは重要である。また，故障検知を精度よく行うことも重要となる。本論文では，水力発電機の故障検知に対し，HSIC-KNN-FSによる変数選択手法を用いたRRCFの適用を提案する。全変数を用いたRRCFとの比較により提案法の有効性を確認した。

3-080

エポキシ樹脂中ボイド放電劣化におけるSVMを用いた劣化度推定の検討

◎西垣貴央・大木伊織・小野田 崇（青山学院大学）・大竹泰智・梅本貴弘・菅 健一（三菱電機）

電力機器の絶縁診断において、一般に絶縁破壊の前駆現象である部分放電を検出される。また、部分放電の交流電圧位相における発生分布(f-qパターン)は放電発生要因と相関があるため、保守の指標に用いられる。今回、経年劣化の要因となるエポキシ樹脂中のボイド放電劣化に着目し、部分放電の発生位相特性を機械学習手法の1つであるSupport Vector Machine (SVM)で学習させることで劣化度推定を行ったので報告する。

3-081

アテンションモジュールを用いたManifold Mixup

◎片山俊亮・井上勝文・吉岡理文（大阪府立大学）

畳み込みニューラルネットワークによる識別は、画像処理など様々な分野で高い精度を達成しているが、学習データが少ないと過学習が起きやすいという問題がある。この問題を解決する一つの手法として、Data Augmentation（DA）があげられる。DAの中でもデータ混合手法に分類されるmixupは、生成した新しいデータに、適切なラベルを設定することが困難であるという問題がある。そこで、より特徴領域が整理された中間層からの出力に対し、アテンションモジュールによる重みを適用したmixupを行う手法を提案する。これにより、分離された特徴領域をより効果的に活用することができ、精度の向上が期待できる。本研究では、従来のmixupとの比較実験を行い、提案手法の有効性について検討を行った。

3-082

多層ニューラルネットワークの構造最適化の一手法

○古川聡也（明治大学）

ドロップアウトを用いた多層ニューラルネットワークの構造最適化の一手法を提案する。構造最適化とは中間層におけるノード数を、認識率を損なわず削除していくこととする。学習過程において1周分の学習回数N、各ノードの励起状態数pから各ノードに対してr(=p/N)を算出し、r≧0.25を満たさないノードを不要と判断する。教師データの内、Nデータを採択し、誤差逆伝搬法で学習をM周する。次に、テストデータで認識率を求め、前段階の認識率と比較し、認識率の変化率を算出する。変化率が-30%未満であれば、不要なノードのドロップアウトを行う。一方で-30%以上であれば、構造最適化処理を終了する。pとNの比rを活用して、認識率の低下を抑えた構造最適化が可能であることが示唆された。

3-083

敵対的生成ネットワークを用いた異種データの生成

◎室田真吾・飯間 等（京都工芸繊維大学）

近年深層学習を利用して新しいデータを生成する敵対的生成ネットワーク(GAN)が注目を集めている。通常のGANは事前に用意されているデータセットに近いデータを生成するためのものであり，データセットには存在しない種類のデータを生成することは意図していない。そこで本稿では，データセットとは異なる種類のデータを生成するGANを提案する。

3-084

強化学習を用いたカリキュラム学習のためのカリキュラム設計法

◎堀田颯平・飯間 等（京都工芸繊維大学）

近年、人工知能の技術の一つである強化学習が注目を集めている。 強化学習において学習問題が複雑だと、学習に相当な時間を要する、もしくは学習させることができない場合がある。 その対処として、転移学習を拡張したカリキュラム学習が用いられることがあるが、そのカリキュラムは使用者が前もって決めていることが多い。 しかし、そのためには多くの時間と労力が必要となる。 そこで本研究では、効率的にカリキュラム学習を行えるカリキュラムを設計する方法を提案する。

3-085

人狼ゲームにおける深層強化学習を用いたエージェント

◎福田宗理・穴田 一（東京都市大学）

近年，人工知能による将棋や囲碁などのゲームの大会が開催されている．その1つに人狼ゲームを行う人狼知能大会がある．人狼ゲームで勝つためには嘘をつく能力や，情報の真偽を見極める能力が要求される．これらの能力が向上することで，人工知能がより高度な判断が可能となり，人間の知能に近づくと考えられる．そのため，この人狼知能大会が注目され，人狼知能の研究が勢力的に行われている．そこで本研究では，役職推定者の役職や全会話情報を用いた役職推定モデルを構築し，その有効性を確認した．そして，この役職推定モデルとDeep Q Network（以下，DQN）を用いて相手から自分への発言内容を状態として入力し，勝利に貢献する為の発言や行動を行うエージェントを構築し，性能評価を行った．

3-086

階層型強化学習と方策蒸留を用いた車両速度追従制御

◎夏 有輝也・濱上知樹（横浜国立大学）・菅家正康・吉田健人・庭川 誠（明電舎）

少ないサンプル数で方策の学習が可能な強化学習を用いた速度追従制御を提案する。強化学習を用いた制御は，少ない誤差で追従可能だが，多くの試行を必要とする。提案手法では，階層型強化学習を用いて事前に異なる車両間の共通知識を下位方策として事前学習し，その知識を転移することで学習に必要なサンプル数を削減する。また，知識の転移だけでは，事前に学習した下位方策次第で実現可能な行動が制限され，追従精度の改善に限界がある。そこで，方策蒸留により方策構造を非階層型に変更し，単一方策を用いた強化学習により追加学習することで，さらに精度を向上させる。実験により，提案手法の学習の速さと追加学習の有効性を示した。

3-087

大規模官能検査データを用いた深層オートエンコーダにおける復元精度の検討

◎伊藤慶祐・中本高道（東京工業大学）

人間が近くした匂いの印象を記述子を用いて定量化を行う試験は、信頼性の高いデータの獲得にコストが掛かる。そのため、嗅覚分野における研究では1985年に報告された官能評価試験結果が多く用いられている。しかし、この評価試験結果は記述子数が多くデータの信頼性は高いが、データ数は少ない。近年の機械学習の影響により、学習データの増加は嗅覚分野の研究への発展の助けになると考える。そこで、本研究では機械学習を用いて、嗅覚分野での官能検査データの大規模化による影響を検討するべく、規模の大きなDREAM データセットを用いて学習データの増加によるオートエンコーダの復元精度の効果を検討しその効果を確認した。

3-088

多目的強化学習を用いた交差点における適応的信号制御

◎齋木 匠・荒井幸代（千葉大学）

現在多くの交通信号は人が設定した制御則で動いており，設定時の予測と異なる交通状況には対応できない。強化学習を導入すると，周囲の状況に合わせた制御を獲得するため，待ち時間の減少や交通状況の変化に対する適応性の向上などが期待される．交差点ではどちらかの信号が赤であり，直交する交通流は同時に通過できない。すなわち通流同士の間にトレードオフの関係が存在する。本研究では多目的強化学習を用いて，一度の学習で複数の交通流比率に応じた制御則を獲得できる信号制御を提案する。シミュレーションにより優位性を確認した。

3-089

模範的軌道を用いた逆強化学習導入によるモデルフリー制御の実現

◎今村麟太郎・荒井幸代（千葉大学）

モデルフリーの方法として強化学習を導入し，AUV による衝突回避問題を通じてその効果を検証する。具体的には，強化学習適用においてボトルネックとされる報酬設計問題や，状態行動空間の離散表現に起因する爆発に注目する。前者に対しては，敵対型逆強化学習（Adversarial Inverse Reinforcement Learning）を，後者に対しては Actor-Critic を導入した方法を提案する。また，計算機実験によって，制御則（方策）を得るまでの学習効率と，その性能を評価した。これらの結果から，提案法によって，妥当な報酬が設計できること，また，連続な状態行動空間を扱えることを確認した。

3-090

画像入力の状態推定器による強化学習システム

◎高橋慶一郎・田中大介（新居浜工業高等専門学校）

ロボットをあらゆる状況に合わせて最適に動作させるには、強化学習の搭載が有効である。強化学習の適用には、対象システムの状態を把握する必要がある。しかし、例えば経年劣化によりセンサの精度が悪化した場合、センサが破損した場合は状態の認識が困難になりうる。しかし、撮影したロボットの画像から直接状態を推定することができれば、ロボットに取り付けられたセンサによる情報が利用できない状況でも強化学習を行うことができる。本研究では、画像から直接状態を推定する機能を強化学習アルゴリズムに取り入れた強化学習システムを提案し、シミュレーションでの実験による有効性検証を行った。検証の結果、推定した状態を用いても強化学習によって最適な動作を獲得できることを確認した。

3-091

ディープラーニングに基づいた掌紋診断

◎KUNYU YU（足利大学）

中国医学では長年の診断経験の結果、中国医学の専門家によって人間の掌紋の親指の下部分が、その線と粗さの点で喘息や他のアレルギー性疾患に関連していること削除を発見した。中医は親指の下の部分を通って紋の特徴を通して、いくつかの変態性反応の疾病のための診断の根拠を提供することができる。しかし、漢方医は観察、脈拍、審問と研究を通じて病状を判断するため一定量主観性がある。ここでコンピュータを通じて採集した親指の下部に対して手の紋様の画像を分類識別をし、一定数量化の規則によって、手の紋様の各自の備えた特徴を取り出して、分類を実施することを考える。コンピュータの識別には一定の客観性があるので、漢方医の診断には一定の補助的な診断の役割を果たすことができ、漢方医の診断に有効であると考えられる。

3-092

視線情報のクラスタリングによる傾向分析

◎酒井泰地・浦野昌一（明治大学）

近年、情報教育者不足が問題視されている。そのため、情報教育における教育者支援システムの重要性が高まっている。本研究では、教育現場で指導者が解答過程を見ながら指導を行うことから、問題解答結果のみではなく、問題の解答過程に着目したプログラミングの学習改善を目的とする。 筆者らはこれまでの研究において、クラスタリングによる視線情報の分類を行い、注目領域を定めた。また、自己組織化マップによる可視化や特徴抽出を行ったのち、簡単な評価指標を設定して個人評価を行った。そこで、今回は問題に正答していても誤答者に近い視線情報が見られた被験者がいたことを考慮し、解答過程の傾向の類似性から個人の分類を行った。

3-093

VRAEモデルによる触覚・視覚情報の統合と物体認識への応用

◎林 和輝・田中大介（新居浜工業高等専門学校）

物体認識は、人と共存する知能ロボットにとって、重要なタスクである。このようなタスクを実行するための物体認識システムは、認識する物体に対し不変な特徴を見つけ出す必要があり、視覚あるいは触覚のみでこなすには非常に難しいと考えられる。そこで本研究では、触覚及び視覚情報を統合するシステムを用いることで、認識する物体の特徴を抽出することが可能なシステムを構築した。提案するシステムは、高い分類精度を達成することができる特徴量を抽出できることが確認できた。本稿では、そのシステムの構成と検証実験の結果について報告する。

3-094

共起を考慮した主成分回帰分析による推理小説の犯人推定

◎勝島修平・穴田 一（東京都市大学）

近年, 機械学習への社会的な期待が高まっている一方, 専門家でも推論過程に対して説明を与えられない解釈可能性が問題となっている．既存研究では, 単語の意味を学習するために埋め込みに基づいた手法が提案されているが, 小説上の場所, 時間, 対象物などの同時性を考慮できていない. そこで本研究では, 穴埋め問題などで利用されるCBoWモデルを利用することで単語の共起に関する学習を行う. そして, 学習した共起情報を用いて主成分回帰分析を行う事で推論過程の説明を試み，追加知識によって対象となる小説の犯人推定までの過程を追えることを確認した.

3-095

CGANを用いた仮想ネイルチップの自動生成

◎尊 柳瀬・祐太村木・研一小堀（大阪工業大学）

ネイルチップを装着するには，両面テープなどで爪に貼り付ける必要がある．そのため，一度使用するとネイルチップが傷んでしまい，試着することが難しい．近年では，手画像の爪に仮想のネイルチップを重ねて，印象を確認するアプリケーションなどが登場している．しかし，これらのアプリケーションでは手の姿勢を固定する必要があり，実際の爪と付与される仮想のネイルチップの位置と傾きが異なっている問題もある．そのため，任意の姿勢で正確に仮想のネイルチップを付与できることが望ましい．本研究では， CGANを用いて，爪の位置，角度を推定する複数の学習モデルを生成し，任意の姿勢で仮想のネイルチップを付与する手法を提案する．

3-096

ニュースの自然言語処理を活用した株価予測

◎竹中 幹・浦野昌一（明治大学）

近年、不規則に経済情勢が変化し、多くの企業の情報がインターネットに飛び交う中、投資家はリスク回避のため様々な情報を元に企業を評価し、株の売買の意思決定をすることが必要となってきている。 そこで本研究では、投資家の意思決定を手助けするために、ネットニュースなどの株価に関する企業の情報に自然言語処理を適応して有効活用することで高精度な株価予測を目指す。具体的には、自然言語処理を用いたネットニュースの評価と株価指標である「PER」「PER」「出来高」を組み合わせた新たな変数を導入した株価予測モデルを提案する。

3-097

Long Short-Term Memoryによるショーケースの欠損値推定

◎大高直哉・福山良和（明治大学）・島崎祐一・長田悠人・村上賢哉・Adamo Santana・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

コンビニなどで導入されている多くの冷蔵ショーケースで発生する可能性のある着霜などの故障をオンラインで把握のためには，ショーケースは各箇所でデータを計測し続けることが必須だが，現場の様々な状況によりごく稀にデータの欠損が起こり得る可能性がある。従って，高精度に欠損値を推定することは，正確な故障検知による顧客サービスの継続には必須である。本論文では，欠損値推定精度の向上を目的として，Long Short-Term Memory (以下，LSTM) を用いたショーケースデータに対する欠損値推定手法を提案する。従来法であるANNと時系列データに対する回帰分析手法の一つであるRecurrent Neural Network (以下，RNN)との比較シミュレーションにより，提案法の有効性を確認した。

3-098

インピーダンス制御を用いた6自由度ロボットアームの位置と力の制御

◎高橋健治・黄 慶九（工学院大学）

現在ロボットは多くの分野で活躍する。特に産業用ロボットやサービスロボットの普及率は、年々増加している。ロボットがより人に身近になるためには、複雑な作業に対応する必要がある。インピーダンス制御を用いて、外部環境との接触を伴い、かつその接触で生じる力を制御することで、ロボットの位置制御に力制御を適応させることが本研究の目的である。

3-099

DH記法に基づく6脚ロボットの運動学

◎劉 桐・黄 慶九（工学院大学）

本研究では、DH記法に基づく6脚ロボットの運動学を解析する。6脚ロボットの足先位置と3つのサーボモーターの関係を分析する。運動学には順運動学と逆運動学があり、これらの解析法を用いてロボットの脚の位置や間接角を決定する。順運動学は脚部の先端の位置と姿勢を決定する解析法である。逆運動学は脚部の先端の位置と姿勢から各関節角を決定する解析法である。

3-100

教育機関向け遠隔臨場感ロボットの開発

○政清史晃・鈴木一成・寺田幸時（近畿大学工業高等専門学校）・清川 清（奈良先端科学技術大学院大学）

教育機関における使い勝手を考慮して簡単で安価な仕組みで全方位カメラを用いた視線追従型広視野でかつ本人の動きに合わせて自由に動きまわることが可能な遠隔臨場感ロボットの試作機を製作した。被検者は9軸センサ（加速度・ジャイロ等）付きベルトとHMDを装着し、全方位の映像を見ながら自由に歩き回るような感覚で遠隔地のロボットを移動させることができる。実験実習時の教員の説明をロボットで回り込んで確認できるようになる予定である。遅延時間の計測を行った結果、現在地の被検者側が4G回線の時は49ミリ秒の遅延、WiFiの時は44ミリ秒の遅延となった。感覚的にもほぼ違和感なくコミュニケーションすることが可能であった。

3-101

Development of High-speed Miniature Pan-Tilt Embedded Vision System

○Sushil Raut・石井 抱・島崎航平・妹尾 拓（広島大学）・並木明夫（千葉大学）

The pan-tilt systems are required for various applications such as object tracking, optical stabilization, and wide-area scanning. In the tracking applications, the object must be within the image frame to acquire detailed information such as the color, shape, depth, features, and textures of the objects or a scene. Most of the conventional pan-tilt systems are bulky, slow, power inefficient, and costly, limiting their use in mobile robotics and aerial applications. The conventional cameras operate at tens of frames per second (fps); frame-to-frame displacement is inadequate, which causes irregularity in tracking the moving objects. The latency in visual feedback also affects the response of pan-tilt actuators. Therefore, hundreds of frames per second high frame rate (HFR) visual feedback is required to overcome conventional systems' limitations.

3-102

能動式義足足継手における歩行開始支援機能の開発

◎曽我部海青・井上 恒（香川大学）

静止立位からの歩行開始動作において、支持脚を義足にして円滑な動作を行うことは困難である。そこで本研究では、同動作を円滑に行うための義足足関節（足継手）の制御手法を検討した。健常者における歩行開始動作の分析に基づき、足継手において健常者と同様の関節インピーダンスを発揮可能な制御手法を設計した。先行研究に基づいて能動足継手を試作し、提案手法の評価実験を行った結果、制御が行われない足関節固定式足継手と比べて健常者に近い足関節トルク発揮パターンを示した。一方で、身体重心の進行方向速度のピーク値に顕著な変化は見られなかった。

3-103

HMDとPTカメラを用いたインフラ点検用遠隔ロボットの開発

◎山本貴大・道木加絵・鈴木建哉・鈴木森晶・手島紀雄（愛知工業大学）

災害時の二次災害防止や点検作業の効率化に遠隔操縦移動ロボットが使われている。従来の遠隔操縦ロボットでは、操縦対象機器や周辺環境に複数のカメラを設置し、状況に応じてカメラの適宜切り替えが必要である。そこで、筆者らはHMDと全天球映像を用いた点検遠隔操縦ロボットを提案してきた。解像度の問題から、本稿では操縦用のカメラとは別に点検用のPTカメラを搭載した。操縦者の頭部運動とPTカメラを同期制御させることで、カメラの切り替えなく、操縦と点検用の画像取得が同時に可能となる。これにより、本研究で構成したシステムを用いることで、遠隔操縦ロボットを用いた点検作業の負担減少に繋がることを示す。

3-104

深層学習を用いた歩行時膝関節面の力学的負荷に関する動作因子の検討

◎諏訪 聡・松岡 諒（北九州市立大学）・三谷拓也・井上 恒（香川大学）

超高齢社会が進む現代社会では，歩行などの生涯にわたって持続可能な身体活動の重要度が増している．歩行において膝関節への負荷はそのような身体活動に障害をもたらし得る要因である．これまで膝関節の負荷は順動力学シミュレーションによって歩行動作の影響が検討されている．しかしながら，膝関節周りの動作しか考慮されておらず，腕や体幹の動きなど全身の動作を考慮した解析手法は確立されていない．本稿では，機械学習を用いて歩行時膝関節面の力学的負荷における関連因子の解析手法の検討を行った．

3-105

大腿義足における自転車ペダリングのための残存股関節と膝継手の機能

◎藤原佑介・井上 恒（香川大学）・和田隆広（立命館大学）

大腿義足装着者のペダリング動作を四節リンクでモデル化し、運動方程式を立てた。その式を用いて、ペダル回転速度が最速となる股・膝関節トルクの発揮パターンを算出した。上記により、ペダリングに適した残存する股関節と膝継手に求められる機能を検討した。結果、股関節はクランク角度140 °でピーク伸展トルク発揮をし、ペダリングを継続して行うためには20 Nm以上の伸展トルク発揮が必要と示された。また、膝継手は、2種のトーションばねを有した機械式でペダル回転速度が最速になるときのばねが選定された（1.15 Nm/°と0.06 Nm/°のばね）。この選定されたばねを有した膝継手を使用することにより、既存のものよりも速いペダリングが可能になった。

3-106

脳波(ERP)を用いたALS患者の意思伝達―TLS患者のためのAndroidアプリの開発―

○加納尚之（島根県立大学）

意思伝達能力を損なった筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者のための意思伝達補助装置(CA)の開発が切望されている。CAで最も重要な部分は入力装置である。そこで、目標刺激に対して出現する事象関連電位(ERP)の成分であるP200，N200，P300，N400に着目し、完全閉じ込め症候群(TLS)となったALS患者の意思伝達のためのAndroidアプリを開発した。本論文においては、開発したアプリをタブレットにダウンロードして実験を行った結果について報告する。

3-107

進化はタンパク質とソフトが連携した開発プロセス

○吉井清明（セイフティーワールド）

前回は、原始海の砂浜が多種タンパク質を供給する製造工場となり、物質進化起点となった砂浜モデル（新プロテインワールド）などについて報告した。 今回は次の内容を報告する。 Ⅰ 新ダーウィン説の課題分析と改善提案 Ⅱ 生物進化はワーカー(作業担当タンパク質)とソフトの連携で生体内部から進めた開発プロセス《仮説》 Ⅲ ゲノム不依存：物質進化初期はタンパク質が複製製造された。細胞の獲得動形質は原始細胞から人間まで継承《仮説》

3-108

屋内生活音のSOMを用いた確率モデルに関する検討

○田中元志・髙田 鳴（秋田大学）

屋内で広帯域マイクロフォン1本を用いて収録（標本化周波数192 kHz）した生活活動音（生活音）の自己組織化マップ（SOM）を求め，生活音の確率モデル化を検討した。SOM学習後の重みを特徴ベクトルとして階層的クラスタリング（Ward法）を行い，15クラスタに分類した。各クラスタで，中心から近い順に98%のベクトルを含む領域を日常的な音，それ以外のベクトルを異常の可能性がある領域とした。また，距離の近いクラスタを統合し，「状態」とした。状態数3とし，3フレームの音（入力データ）の状態遷移から，発生確率を算出した。音の発生に対応して発生確率が変化し，異常状態（候補）検出への利用が期待される。

3-109

生体情報に基づく製品の使い心地評価の試み

○植 英規・渡邉紫音（福島工業高等専門学校）

製品の「使い心地」の良し悪しは，その製品の印象を左右する大きな要因である。使い心地は使用している人間の感情変化を喚起しストレスなどとして認知される。本研究では製品使用中に収集した生体情報に基づいて，製品の使い心地評価を行うための技術開発を行うことを目指している。今回は，具体的な製品としてコンピュータのマウスを選定し，動作を阻害しない簡易計測器で測定した生体情報（脳波，心拍波形）からパワースペクトルに基づき抽出した55項目の特徴量をMT法により分析した。安静時とマウス操作時の分析結果の違いから使い心地評価を試みた結果を報告する。

3-110

疑似触覚を用いた触図学習システムの提案

○石丸宏一（名古屋工業大学）

触図という触って分かる凹凸の付いた図を利用した学習は、視覚障害者が図を頭の中でイメージして学習できることから重要視されている。近年ではタッチパネルを用いた音声案内システムなどが開発されているが、触図の作成に手間がかかる、タッチパネルにコストがかかるなどの問題がある。本研究では、実際の触図を使用せずに，触図学習と同様の学習を行う方法を提案する。その方法として、スマートフォンのカメラで撮影した指の位置を機械学習で認識し、凹凸のない図を触ったとき、指に振動を与えることで凹凸のある触図を触っているかのような感覚で図の学習を行うシステムについて検討する。実験では、単純な図形の認識が可能であることを確認した。

3-111

適応フィルタを前処理とした機能性食品摂取(GABA)における脳波のバイコヒーレンス解析の検討

◎森下雄斗（静岡大学）・中村晴信（神戸大学）・沖田善光（静岡大学）

機能性食品成分であるγ-アミノ酪酸(Gamma-aminobutyric acid : GABA)の急性期の中枢神経系への影響の評価は，脳波の詳細な周波数成分間の位相結合からは行われていない．本研究ではGABA 摂取前後の脳波のバイコヒーレンス解析から位相結合を評価することで，GABA 摂取前後における脳活動状態を可視化する新たな変化指標を検討した．実験では被験者に摂取物投与後，一定時間のストレス負荷を挟んで，摂取後30・45・60分の脳波をそれぞれ計測および解析した．その結果，GABA 摂取の有無に起因すると推察される各脳波帯域間バイコヒーレンス値の変動が見られ，バイコヒーレンス解析が，GABA 摂取の有無に関する脳活動状態の変動を捉える新たな可視化指標を与える可能性が示唆された．

3-112

持続的注意課題遂行中の事象関連電位計測

◎宮原あずさ・伊東嗣功・石井雅樹・堂坂浩二（秋田県立大学）

現在遂行中の作業や課題から，それと無関係な思考へと注意が移る現象のことをマインドワンダリングという．マインドワンダリングが生起するタイミングによっては交通事故のリスクに繋がる可能性が指摘されており，本研究では持続的注意課題遂行中の事象関連電位計測を行い，マインドワンダリング生起に伴うタスクエラーの予兆を検出することが可能か検討した．持続的注意課題遂行中の押しボタンへの反応速度と数字提示直後に発現するN50の電圧値を取得し解析した．その結果，課題の成否に関連したN50の電圧値の変化は確認されなかったが，持続的注意課題に失敗する直前に押しボタンの反応速度は速くなる傾向を示した．

3-113

機能性食品摂取前後での瞬時振幅値に基づく自律神経活動の評価の試み

◎吉野朱香（静岡大学）・中村晴信（神戸大学）・沖田善光（静岡大学）

ヒトの自律神経活動は機能性食品(GABA)の摂取前後で変化することが知られている。自律神経活動を調べるのに、心電図を用いて心拍変動性(HRV)の解析が行われている。HRVの解析法としては主にFFTを用いた周波数解析が用いられている。FFT解析では低い周波数帯域を調べる際に、周波数分解能の関係から長時間のデータを必要とするが、測定中に体動がない状態を被験者が維持することは難しい。そこで本研究では、GABA摂取前後の自律神経活動の変化について、FFTによる解析法及びヒルベルト変換による解析法を行った。その結果、ヒルベルト解析はFFT解析と比較して、自律神経活動の変化をより詳細に検討すること及び体動などのアーティファクト成分を検討することが可能であった。

3-114

Message Ferryにおけるノード性能を考慮した経路制御

◎大野厚志・松本倫子・吉田紀彦（埼玉大学）

DTN (Delay Tolerant Networking) において，孤立したネットワーク間の通信リンクを確保することは重要な課題である．Message Ferry はメッセージの収集や配信を専門的に行うノードがネットワークを巡回することでメッセージの蓄積運搬を実現する技術であるが，ネットワークが変動的な状況下では，ネットワーク内のノードの特性を考慮した経路制御を行う必要がある．そこで本研究では，遭遇するノードの性能を考慮する経路制御手法をMessage Ferry に適用し，転送するメッセージ数を動的に割り当てる手法を提案した． ONE シミュレータを用いて提案手法の評価を行なった結果，配信率，遅延時間，オーバーヘッド率の改善に成功していることが確認できた．

3-115

CCN における移動予測に基づいた事前キャッシュ配置

◎山本雅也・松本倫子・吉田紀彦（埼玉大学）

近年，IoT (Internet of Things) の通信に適したネットワークアーキテクチャであるCCN (Content Centric Networking) が注目されている．しかし，IoT のデバイス移動により，接続ルータを変更しなければならない．それに伴い，通信経路が切断され，通信経路の再構築が必要となり，通信遅延が発生する．この解決策として，対象の移動を予測し，対象の接続ルータが切り替わる前に接続ルータでデータを事前キャッシュするプロアクティブキャッシュが考えられている．この手法は，デバイス移動による通信遅延を抑制できるが，キャッシュ処理によるオーバヘッドが発生する．そこで，通信経路の再構築に時間を要する接続ルータの切り替えに対してのみ，事前キャッシュを行う手法を提案し，シミュレータを用いて提案手法の有用性を確認した．

3-116

孤立ネットワーク間の複数ドローンによるデータ収集

◎佐野天晴・松本倫子・吉田紀彦（埼玉大学）

近年，Wireless Sensor Networks(WSN)での情報収集においてドローンを用いる手法に注目が集まっている．メッセージフェリーと呼ばれる孤立したセンサーネットワークへ直接ドローンが訪問し情報収集を行う手法があるが，ドローンの消費エネルギーの抑制は大きな課題である．そこで本研究では，情報収集におけるドローンの消費エネルギーを抑えるために，情報収集を行うフィールドを分割し複数ドローンを各分割フィールドで運用する手法を提案した．この手法のメリットとしてはドローンのエネルギー消費の抑制と情報収集速度の向上が挙げられる．現在は単機・複数ドローン運用による情報収集速度やエネルギー消費量を比較し，提案手法の優位性を確認しつつある．

3-117

Wi-Fi 6における通信特性評価に関する一検討－電波干渉による影響評価－

○土屋弘昌（電力中央研究所）

無線LAN の新規格Wi-Fi 6 にはBSS（Basic Service Set）Coloring 技術が採用されているため、隣接無線LAN アクセスポイント（無線AP）同士の電波干渉による影響を抑制する機能が搭載されている。しかし、この機能は電波干渉を完全に解消するものではなく、隣接無線AP の規格や子機との距離関係などによっては、その性能を十分発揮できない場合がある。著者は、これまでWi-Fi 6 無線AP1 台による複数ユーザ同時接続時の通信特性を評価したが、業務への適用には、通信回線としての信頼性が重要であり、隣接無線AP 同士の電波干渉による影響を明らかにする必要がある。そのため、本稿では、隣接無線AP 同士の電波干渉環境を設定し、干渉による通信特性への影響を評価する。

3-118

エッジコンピューティングにおけるタスクの相互依存度を考慮した割り当て

◎相澤聡至・松本倫子・吉田紀彦（埼玉大学）

近年注目されているエッジコンピューティングにおける課題の一つはタスク割り当て問題であり，ネットワークコストを低減するためにはタスク同士の依存関係を考慮した割り当てが有効である．既存の研究での課題は大きく二つあり，一つは依存関係の強弱を考慮していない点，もう一つはユーザ端末との通信コストが十分考慮されていない点である．そこで本研究では，タスクの相互依存度に応じた重み付けによって依存関係の強弱を表現できるよう改良し，さらにユーザ端末まで含めたネットワークコストの極小化を目指す手法を提案する．シミュレーション実験により，提案手法の有用性を確認した．

3-119

気象データ伝送用マルチホッププライベートLoRaネットワークの構築

◎大田原和輝・山内雪路（大阪工業大学）

我々は、奈良県川上村で地域連携活動の一貫として多数の取り組みを行っている。その中で村内の有名な観光資源「御船の滝」の氷瀑をインターネットから観測できるようにするため、現地に設置する気象センサーのデータを麓まで無線伝送するシステムの構築をする。本研究の実施場所は、険しい山岳地帯であり、電源設備もなく、深い谷間の地形にあり、ソーラーパネルによる給電も難しい。このような環境で気象情報を2kmほど離れた麓まで伝達する。そこで、省電力性と長距離伝送に優れているプライベートLoRaを用いる。しかし、本研究の実施場所では500m程度の伝送距離しか確保できない。そのため、マルチホップ通信機能と省電力なシステムの概要について述べる。

3-120

心電モニタ及び加速度センサを用いた行動推薦システムの一方式

○冬爪成人・野末拓己・佐々田皓城・森本芽依・渡邉恵理・石山 仁（東京電機大学）

本論文では，心電モニタ及び加速度センサを用いて，小型マイコン機器で駆動させる行動推薦システムの一方式を提案し，それを検証するシステムを開発したので報告する。本提案は，上記センサを搭載したマイコン機器から，情報を送信し，それをサーバ機で取得し，自律神経系，循環器系，人の運動及び位置の対応付けを評価し，行動についての推薦をAPI (Application programming interface)を活用して行うシステムの実現を目的としている。

3-121

心電モニタ及び加速度センサを用いた行動推薦システムによる計測

◎野末拓己・冬爪成人・佐々田皓城・森本芽依・渡邉恵理・石山 仁（東京電機大学）

本論文では，心電モニタ及び加速度センサを用いて，小型マイコン機器で駆動させる行動推薦システムを用いて，本システムによる計測を行い，シナリオの作成を行う。各行動におけるシナリオを設定し，自律神経系，循環器系，人の運動及び位置の対応付けを評価し，各行動のシナリオについての推薦を行うシステムの実現を目的としている。