一般講演

4-123

2慣性系の模擬方法と実機検証

○林 崇・山本 勉（富士電機）

モータ制御装置の実機検証等に活用することをねらいとして、簡単な構成で2慣性系を模擬する方法を検討し、制振制御時を含む実機検証を行った。演算遅れ等で生じる位相遅れを補償するダンピング定数を追加した2慣性系模擬のフィードバック制御を構成したことにより、目標とする2慣性系の特性とほぼ等しい特性を模擬できることを、実験的に確認した。

4-124

電動機振動抑制制御系の外乱除去設計比較

○海田英俊・高橋 弘（富士電機）

可変速駆動対象の機械系に共振があれば、適切な制御方式が選択され、振動抑制するように調整される。本稿では外乱応答に着目した各種速度制御系の設計比較結果を述べる。電気系へ変換した機械系と電気系を合成した等価回路をもとに、電気系のイミタンス関数から外乱応答の性質を調べる。負荷から見ると制御系はフィルタに類似の構造をしている。そこで調査対象として、振動抑制制御に使用されるP制御、IP/PI制御、I-PD制御、共振比制御を取り上げ、外乱応答の性質や設計の条件について、調査結果を示す。

4-125

周期外乱オブザーバにおける高調波阻止周波数の変動に関する検討

田中宏樹・◎村松久圭（広島大学）

周期外乱は機械が回転や繰り返し動作を行うことで発生し，動作の精度を悪化させる。そこで，周期外乱を抑圧するため外乱オブザーバの構造を有する周期外乱オブザーバが提案された。周期外乱オブザーバは無駄時間を用いて，周期外乱の基本波と無限個存在しうる高調波を抑圧する。しかし，高調波阻止周波数の変動については十分に検討されてこなかった。本論文は周期外乱オブザーバ高調波における阻止周波数の変動について検討するとともに，高調波抑圧を考慮した設計方法を提案する。

4-126

仮想圧力中心による非転倒領域判別を用いた重心制御による二足歩行ロボットの斜面踏み出し動作

◎橋本耕良・柴田昌明（成蹊大学）

二足歩行ロボットにおける静歩行時の転倒は、圧力中心が支持多角形の縁辺上に存在することによるものである。この問題に対して、従来は片脚支持の際に支持脚の足先位置に全体重心を移動させることで転倒を防いでいた。しかし、斜面の様に左右脚で力の掛かり方が異なる状況下で従来手法を行うとy軸(左右方向)移動量が多く、自身に生じる慣性力で転倒してしまう可能性がある。また重心制御は連続歩行するためにも必要であり、平面と斜面の両方でこれを成立させるためには、従来よりもy軸移動量を減らす必要があると考えた。そこで本研究では、仮想圧力中心による非転倒領域判別を用いて重心制御による移動量を削減することを目的とした。

4-127

部分モデルを用いた多関節ロボットの位置と力のハイブリッド制御

岩沢健一・○黄 慶九（工学院大学）

The mathematical model of the robot arm is expressed by the moment of inertia, Coriolis force, gravity, and viscous frictional force. In previous research, using a full model considering these, proposal and analysis of hybrid control of position, posture, force, and moment that introduced the impedance characteristics of the robot arm were carried out, but the 6-DOF robot arm is not suitable for real-time control because of the enormous amount of calculation of the full model. Therefore, we propose a hybrid control of position, posture, force, and moment with the impedance characteristics of the robot arm using a partial model.

4-128

周期／非周期分離フィルタを用いた周期位置制御と非周期バイラテラル制御の検討

◎坂井直矢・日野正揮・村松久圭（広島大学）

バイラテラル制御は2台の対となるロボットの位置および力を同期する技術である。バイラテラル制御により駆動するロボットは人間の操作により動作し，長時間の作業は操作者への負担が大きい。そこで，位置制御の自動動作およびバイラテラル制御の手動動作を組み合わせた半自動化手法を提案する。これまでに，信号を周期信号および非周期信号に分離する周期/非周期分離フィルタが提案された。本論文は，周期／非周期分離フィルタにより，周期運動に対しては位置制御を行い，非周期運動に対してはバイラテラル制御を行う周期位置制御および非周期バイラテラル制御を提案する。そして，提案手法の性能を実験で確認した。

4-129

高品質が要求される通信へのインターネット適用に関する検討

◎澤田明日香・佐藤弓子・佐古田健志・前川智則（東芝）

需給調整市場参入者が選択可能なネットワークはほぼ専用線に限られているが、利便性の観点から選択肢の拡大が望ましい。その為には、多品質なネットワークを利用する際の阻害要因の明確化とそれらを解消する方法論の確立が必要である。本稿では、通信品質の変動が大きいインターネットの特性を明らかにする方法を検討した。DR通信のシーケンス図を作成して通信処理を分析したところ、この時の遅延の主要因がレイヤ7の仕様と分かった。加えて、この分析では明らかにできないインターネットの通信品質低下要因を調査する為、それらを測定する試験系を設計し、測定手法を明確にした。今後はITILが提唱するCSIの7ステップに従い、各レイヤにおける通信品質低下要因の詳細化と解決法の確立に取り組む。

4-130

大規模工場の電力品質とスマートメンテナンス

○西村和則（広島工業大学）・福島宗次（富士電機）

大工場においては，各種センサの情報が管制室で把握さて，管制員が常時，直接に設備状態を監視している。けれども，状態変化から，設備故障へ至る状態変移の推定技術は未だ確立されておらず，情報技術の適用が課題となっている。それらを解決するため，大規模の需要設備にAIを適用し，保全高度化を実施するための手法について述べる。

4-131

PVを設置したオフィスビルにおける蓄電池充電率のモンテカルロ法による評価

◎木下創太・湯浅一弘・佐藤冬樹・山口順之（東京理科大学）・大谷晋一郎（三菱電機）

本研究ではPVや蓄電池を有するオフィスビルが，一日や一年などの考察期間の中で，SOCをどのように変化させて蓄電池を運用すればよいかについて検討する。最適な設備容量と蓄電池運用を達成するため，電気料金や設備投資の年間の合計金額を最小化することを目的とした線形計画法を2つのケースについて解く。得られた解は確率変数とみなして，分布関数を求め，24時間分の箱ひげ図を描く。結果からケース1は昼間の需要分を昼間の高い電気料金で賄うよりも，需要が少なく，安い電気料金の深夜帯に充電している。ケース2は昼間の需要分を昼間の安い電気料金で賄うと同時に蓄電池に充電し，料金が高い夜間に蓄電池を使うとわかった。本研究によって24時間のSOCの初期条件と終端条件や各時間におけるSOCの各時間での分布のばらつきなどを確認することができた。

4-132

線形基底関数モデルを利用したディスアグリゲーションの建物規模による評価

◎佐藤冬樹（三菱電機）・山口順之（東京理科大学）

ビルでは省エネ活動に有用な設備単位の電力計測がほとんど行われていない。ビル管理装置が監視していない設備の消費電力が含まれている合計電力に対して、線形基底関数モデルを用いたディスアグリゲーション技術を適用することで、設備単位へ分解できることが示されている。しかし、従来研究ではビル1フロアに対する評価にとどまっていたため、本稿ではフロアの数や入力データの期間を変更することによって精度がどう変化するか考察する。あるオフィスビルの6フロア，1年間のBEMSデータを用いて検討した結果，建物規模が大きくなるにつれて推定が不安定になることと，季節ごとにモデルの重み係数を決定したほうがよいことがわかった。

4-133

Dynamic Multi-population Cooperative Coevolution Global-best Brain Storm Optimizationによるスマートコミュニティ全体最適化

◎Miao Zheng・福山良和（明治大学）・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

本論文では，一般的な進化計算手法としての動的複数集団Cooperative Coevolution Global-best Brain Storm Optimization(DMPCCGBSO)を提案する。また，DMPCCGBSOのスマートコミュニティ全体最適化への適用も提案する。提案法の結果は，従来法のCCGBSO及びMPCCGBSOを用いた手法による結果と比較し，より高い質の解が得られることを確認した。

4-134

方向性地絡継電装置の残留零相電圧の影響

○井上善和（無所属）

高圧受電設備に設置される地絡検出装置で方向性地絡検出装置（DGR)の地絡特性は、高圧電路で発生する残留零相電圧の影響を受けることを計算（シミュレート）を行った。

4-135

直流利活用に関する技術マップ及び技術ロードマップ策定に関する調査

○森田 潔・鈴木義夫・下川英男・谷田暁子（電気設備学会）

直流利用に関しては、効率、信頼性、制御性などの観点でメリットがあると期待され、国内外問わず、過去からも多くの実証事業や導入事例が多くある。しかし、過去の実証や導入事例の成果、知見や課題等を体系的に取りまとめた資料や文献は多くない状況にある。 本調査は、今後の調査、技術開発、実証事業を効率的に進め、その成果を速やかに社会実装し、国内外に直流システムを普及拡大させるため、同分野の動向を把握し，整理するものである。直流の普及・推進等に役立てるため、主として技術的側面からの課題を体系的に整理した技術マップ作成、及び2050年までの直流に関する技術ロードマップを作成した。

4-136

380V屋外直流給電を目的とした試験設備の一構成

○田中憲光・樋口裕二・花岡直樹・中村尚倫・田中 徹（NTT宇宙環境エネルギー研究所）

耐災性向上や再エネの有効活用を目指し、蓄電池などの電力リソースの地域共有を可能にするマイクログリッドが再び注目されている。中でも蓄電池等との接続親和性の高い直流給電の応用が議論されているが、現在の直流給電は通信装置向けなどのビル内利用が主であり、屋外での実用化例、システム構成方法などの報告は少ない。本稿では、実際に構築した直流380V屋外給電の簡易検証設備の設備構成を紹介するとともに、屋外に配線された自営線に直流給電を実施した際の放射妨害波を計測したので、結果を一部報告する。

4-137

非破壊磁場計測に基づく燃料電池簡易電流分布診断による不具合制御の検討

◎秋元祐太朗（筑波大学）・伊澤優太・岩﨑周馬・鈴木真ノ介・岡島敬一（小山工業高等専門学校）

燃料電池は発電時に水と熱を生成し、生成水過多や膜の乾燥状態といった不具合を引き起こすことから、セル内部の水管理が重要である。本研究では固体高分子形燃料電池スタックのセル電圧と冷却口に挿入した磁気センサプローブによる非破壊磁場計測値からセル内部の電流分布を簡易的に予測し、それに基づいた制御手法を検討する。本稿では本研究で提案する診断・制御手法の概要と不具合時における指標の推移を示す。

4-138

防爆エリアでのインターロックの一考察

○野田和俊・牧野良次・久保田士郎（産業技術総合研究所）・大塚輝人（労働安全衛生総合研究所）

近年，ネットワークと各センサのスマート化によるIoTの発展が挙げられる。石油プラントの危険エリアで使用するIoTの電子デバイス等も防爆構造としなければならず，市販品はこのような対応機器が少ない現状である。そこで，最新の保安監視・検査等を目的としたIoT機器などをできるだけそのままの状態で使用する手段の一つとして，インターロック機能が考えられるため、防爆エリアが存在するプラントでも有効活用可能なインターロック機能について検討した。技術的に可能であっても，関連法規や国際標準規格（IEC）などにも対応していなければならない状況である。

4-139

地熱発電所蒸気生産の統計的異常検出～カルマンフィルタを用いた異常検知及び予測～

◎木村竜太朗・大藤建太（会津大学）・吉江雄太・村上龍介・阿部泰行（奥会津地熱）

地熱発電所ではエネルギーの効率利用のため、安定した蒸気生産が重要であるが、日常運転において様々な原因により生産量の異常変動や減衰が観測される場合がある。筆者らは統計的時系列分析の手法で、限られたデータから日次蒸気生産量の異常検出を行う手法を検討している。「異常」状態には教師データがない場合が多く、客観的な異常度計算をするには一定の枠組みが必要だが、本稿では運転状態変化を連続的に推定できるカルマンフィルタを用いて異常検知と予測を試みた結果を報告する。

4-140

ベント型エアバッグを用いた惑星探査機の安全着陸に関する研究

◎渡邊覚斗（東京大学）

2030年には月面基地建設という発表を受け、近年、世界各国で月や惑星の探査に再び注目が集まっている状況である。月面基地建設が施工させるのは月面の極地点に水資源が確認されたからだ。水資源によって有人探査を可能にする大きな要因であり、その拠点にするためである。また、アポロ 11 号などの代表的な探査機は安全に着陸することを第一優先に考えているため、平坦な地形のみに着陸していた。しかし、近年では科学的に関心が高い地形への着陸探査が求められており、それらの地形は平坦ではなく不整地であると想定されている。これらの不整地に対して、自動車の安全を担保するために用いるエアバッグを利用した研究成果を述べる。

4-141

屋外作業員の熱中症推定のための身体負荷調査

◎岩坂航太・大深元輝・池浦良淳・早川聡一郎（三重大学）・八尾健一朗・杉本敏文（中部電力）

屋外作業現場で働く作業員は，夏場の高温環境において，作業負荷が高く運動量が多い作業の場合には熱中症になるリスクが高い。そこで著者らは作業員の熱中症が発症する前段階で作業員の異常を検知し作業の休止を判断できるよう，熱中症発症を予測する手法の構築について研究を行っている。本稿では，屋外作業現場での作業員の身体的負荷調査を行うため，各種の身体データや生体情報，および，作業員の主観評価としてアンケート調査による情報収集を行った。結果として，様々な気温条件において，年齢などの異なる24人分のデータ収集を行うことができた。

4-142

異常兆候分析支援ツールの提案

◎米田詠美・大崎雅代・上野洋平・今井 健（三菱電機）

効率的な事業運営に向けた機器故障等の異常兆候の早期発見に対応するため、機械的な方法では検知が難しい異常兆候の原因分析作業の負荷を軽減する異常兆候分析支援ツールの検討を行った。異常兆候の分析作業の着目ポイントである期間と信号を軸に表示を切り替える連携部品により、画面遷移を行うことなく、異常の伝搬を捉えることを確認した。また、連携部品と連携データを管理する部品連携I/Fにより、部品間でデータを容易に連携することが可能となった。今後、設備の状態をグラフィカルに表現した系統図などの画面と連携する支援ツールの開発を検討していく。

4-143

プラント操業ログデータからの操作手順抽出

○鈴木 聡・村田康介・鳴海克則（富士電機）

プラント操業において異常を検知したときに回避・復旧操作データベースから該当する操作手順を提示するプラント運転支援システムを開発中である。このシステムにおいて、回避・復旧操作データベースの構築支援のために、操業ログデータから過去に発生した異常に対する回避・復旧操作手順の実績を自動抽出する技術を開発し、プラント実データにより評価した結果について報告する。

4-144

屋外自律走行に向けた実時間周囲環境認識

◎望月凜平・宍道 洋（明電舎）

本研究では、エッジデバイスでも動作可能で高速・高精度なセマンティックセグメンテーションが可能なESPNetv2を採用し、3D-LiDARとの協調動作を想定した10[fps]以上の処理速度での周囲環境認識について検証を実施した。実験では高精度なセマンティックセグメンテーション手法として知られるPSPNetを用いて、処理速度と認識精度の比較を実施した。実験の結果、ESPNetv2はmean IoUが70.7[%]、pixel accuracyが91.0[%]となり、PSPNetと同等の認識精度であり、エッジデバイス上でPSPNetに比べて約30倍高速な15[fps]で動作することを確認した。

4-145

捕集PMの燃焼を目的とした円筒ホール型電気集塵装置内のマイクロ波分布の解析

◎久保田航平・袴田大樹・瑞慶覧章朝（神奈川工科大学）・村上幸平・當山広幸・中川 匡・金子貴之（富士電機）

円筒ホール型ESPで捕集したPMをマイクロ波を用いて燃焼することを目的とし、装置内の電磁界解析を行った。マイクロ波の周波数は2.45 GHz、出力は0.5 W、模擬ダストの物性はエネルギーを吸収しやすい水と同等とし、ESP内にマイクロ波を照射した。そして、装置内の電界分布とSパラメータをシミュレーションにより求めた。その結果、マイクロ波が装置内に伝搬することが示された。また、Sパラメータから、入力電力に対する模擬ダストの吸収電力の割合が約80%に達することも予測された。これにより、マイクロ波によって集塵されたPMを加熱できる可能性が示された。

4-146

ヒルベルトハン変換を用いた電動機軸受の異常検出

○月間 満・安枝裕希（大阪電気通信大学）

工場やプラントでは、多くの動力用モータが稼働している。近年の人手不足およびIoT技術の進展に伴い、モータのオンライン自動監視技術が求められている。モータの故障要因のトップは軸受の異常であるが、これを検出する技術として電流徴候解析が知られている。しかし、フーリエ変換によるスペクトル信号は微弱であるという課題がある。これは検出される異常信号が非定常であることに原因があるものと考えられる。そこで、非定常信号の解析に有利とされるヒルベルトハン変換を検討した。異常軸受を模擬したモータを使って検証実験を行いヒルベルトハン変換による比較分析を行ったので報告する。

4-147

直列接続型電解装置におけるMg消費量とアルカリ度の関係

◎岡沢 海・櫻井周伶・瑞慶覧章朝（神奈川工科大学）・當山広幸・中川 匡（富士電機）

本研究では、船舶排ガス循環システム用の循環スクラバ水のアルカリ化を目的として、MgとSUSの電極を直列接続した電解装置を用い、Mgの消費量とアルカリ物質の生成量の関係について検討した。陽極と中間電極をMg、陰極をSUSとして、直列に接続し水槽内に配置した。電極間に電流を14時間流し、アルカリ度とMg電極の消費量を測定した。また並列接続した場合においても同様に測定した。その結果、消費されたMgは、ほぼ、溶液のアルカリ上昇に寄与していることが示された。

4-148

電界結合カプラのインピーダンス特性

○増田 満・小原大輝・西迫祐輔・山崎広行・武脇広和（古河電気工業）

ワイヤレス電力伝送の研究が盛んである。規格化が進んでいる磁界結合型に比較して、送受電を離した電界結合型のシステムについては未解明な部分が多い。特に電力機器に要求されるkW級のワイヤレス電力伝送に電界結合型を適用させるにはMHz領域を用いることで共振コイルの小型化が可能となり、システムの小型軽量化に役立てることが可能となる。しかしMHz帯でkW級のシステムを構成することは従来の電力機器では行われていない。実際に電界共鳴カプラを試作し大電力印加状態でのカプラの振幅特性および入力インピーダンス変化を測定し理論値との対比を示した。

4-149

IIoT世代に向けたインバータ機能の開発

◎エコングウフォートウフォート・伊藤拓巳・中村雅史（東芝三菱電機産業システム）

長年にわたり、様々な業界でインバータによるモータ駆動システムが広く利用されている。近年、一般産業分野ではスマートファクトリーが志向されており、データ共有や高速通信などのIIoT（産業分野向けIoT：Industrial Internet of Things）機能が対応できるインバータ装置が求められている。IIoTにより、メンテナンス、データ解析、品質管理、生産効率などの向上が期待されている。本稿では、IIoT技術に対応ができる低圧IGBTインバータ装置のデータ監視と解析機能について報告する。

4-150

EGRの輸送遅れを考慮したSIエンジンのモデリング及びフィードバック誤差学習制御

◎橋本侑樹・楠瀬弘城・大森浩充（慶應義塾大学）

内燃機関の吸排気制御においては、EGRの気体輸送遅れの影響を無視すると燃費の悪化につながるおそれがある。そこで本稿では、気体の輸送遅れを考慮したSIエンジン吸排気系のモデリングを行うと共に、所望の制御入力を生成する制御系を設計することを目的とする。まず、PTDモデルの概念を用いて、SIエンジン吸排気系を3つのサブシステムに分け、それぞれで気体の混合と輸送を定式化する。続いて、構築した吸排気モデルを制御対象として、残差ネットワークを用いたフィードバック誤差学習制御によって制御入力の生成を行う。数値シミュレーションの結果から、制御系は良好な目標値追従性を達成し、フィードフォワード制御器によるオンライン学習の効果が発揮された。

4-151

大規模EV駐車施設向け充放電計画高速作成技術

◎奥村悠太（三菱電機）

昨今EVの普及が急速に進んでおり、充電器を敷地内に設置することによってEMS等と連携した電力コストの削減も期待されている。今後EV化が進むと、バス発着場など多数のEVが駐車する駐車施設において多数の充放電器を導入する必要性が生じてくるが、充放電器の導入コストを鑑みると、少ない台数の充放電器で運用することが望ましい。しかし「いつ、どの充放電器からどのEVに充放電すべきか」という割り当てを考慮した充放電計画を適切に作成しなければ、EVの走行に必要な蓄電量の確保が出来なくなってしまうという課題を抱えてしまう。本稿では、EVの走行に必要な充放電量を確保しつつ電力コストを削減する充放電計画の作成を高速に行う手法を提案し、その計算時間と電力コストの評価結果を示す。

4-152

13.56MHz WPTにおける受電側の高効率整流器の設計

◎神田直也（芝浦工業大学）・赤津 観（横浜国立大学）

本研究では，電気自動車用非接触給電を目的とした高効率な受電側整流器の設計として，ソフトスイッチングが可能な同期整流器を検討した。しかしながら，共振回路の損失により高効率化が難しく，これを用いない整流器を新たに検討した。ワイヤレス電力伝送の受電側の定電流源特性から，共振回路がない場合においても入力電流が十分大きければソフトスイッチングが可能であることを明らかにし，同期整流器の効率を改善した。また，スイッチングデバイスの寄生容量が出力電圧および電力に対し大きな影響を与えることを確認し，この寄生容量を低減することで，高効率を維持しながらより大きな出力を得られることをシミュレーションより明らかにした。

4-153

商用車利用を目的とした磁気コアを用いた非接触給電システムの伝送特性

◎射矢 響・山中建二（徳島大学）・西村怜馬（いすゞ中央研究所）

本研究では，磁気コア採用による効率向上のために伝送距離・周波数の関係を明確化し，車両停車位置合わせ，および積み荷による車高変化における精度の定量化を目指す。本稿では，磁気コアを用いた非接触給電システムの伝送特性について検証を行ったので報告する。

4-154

Phase Plane解析を用いたバイアストルク関数制御の有効性評価

○高木茂行・高橋空路・美井野 優（東京工科大学）

登坂でのスリップ制御法として、従来のトルク関数制御に対してバイアストルクを付加するバイアストルク関数制御を提案している。バイアストルクにより、上り坂での車体が下る現象を抑制する効果がある。この現象を、横軸にタイヤの回転速度、縦軸に車体の速度にとり、任意の初期値からの動作方向をベクトルで表現したPhase Planeで定量的に解析した。 この結果、バイアストルク関数制御では、従来のトルク関数制御より、車体速度が高くなりやすく、これが下り抑制効果として作用していることが示された。また、Phase planeのスリップ率ラムダは0.1となり、これまでに報告してきた定常解析と一致した。バイアストルク制御の有効性が、Phase planeからも示された。

4-155

Development of Advanced SoC Estimation of Battery Storage System based on Parallel ANNs

◎Minella Bezha Minella Bezha（同志社大学）

The objective of this study is to propose a cost efficient and accurate SoC estimation of BSS regardless of batteries' SoH for an efficient reuse of Li-ion cells. The developed equipment is prioritized for limited input data, with elevated generalization for different applications and Li-Ion cell type. The behaviour of independent cells is included in the estimation, while observing different parameters of a single cell or a battery pack. The proposed ANN model is reliable, with average error of 0.95% and with maximum error of 1.7%, completed within 20 seconds of calculation.

4-156

EV用ワイヤレス給電システムと蓄電池の検討

◎川村 卓・高木茂行（東京工科大学）

電気自動車(EV)の走行中ワイヤレス充電システムと、東芝マテリアルとの共同開発中である、新型のWO₃電極リチウムイオン蓄電池の検討を行った。はじめに、電磁誘導方式を用いた充電シミュレーションと、充電実験によるコイル間距離による充電特性を比較した。充電シミュレーションでは、供給電圧と最終的な充電電圧が等しくなった。しかし、実験時は、負荷による銅損、鉄損により、充電電圧が低くなった。次に、WO₃電極リチウムイオン蓄電池と、従来の2種の蓄電池を用いて、回生実験を行った。実験結果から、WO₃電極蓄電池はパワー密度が比較的に高く、回生電力の充電に最も適していること、EVの走行充電に最適であることがわかった。

4-157

全速度域で利用可能な拡張誘起電圧における新たな極性判別法の電気自動車への実装と性能評価

◎渡辺拓誠・小櫻崇雅・北村健太郎・道木慎二（名古屋大学）

埋め込み型永久磁石同期モータは小形・高効率・高出力等の特徴から様々な用途に用いられている。その制御には高コスト・故障リスクから位置センサレス制御が用いられている。位置センサレス制御技術の1つとして提案された拡張誘起電圧では再定義を踏まえ、全速度域で利用可能となった。 本稿では、拡張誘起電圧を用いたセンサレス制御を実装したEVにおいて、初期位置推定に要する時間の評価を行う。位置センサレス制御化されたEVにおいて、初期位置推定時間は、アクセル踏下後のむだ時間となる場合があり、EVのアクセル応答に直結する。そこで、文献(3)で提案されている新たな初期位置推定法を実装し、その効果を実車にて確認する。

4-158

フラクタル画像解析による二車線を直進する車両の追跡について

◎岩渕令虎・矢澤翔大・新妻清純・黒岩 孝（日本大学）

著者らは、安全な空域から道路を俯瞰しドローンで撮影した画像をフラクタル解析することで、特定の領域内の車両を検出する手法について報告している。本研究では、交差点内における二車線の道路を直進する車両を追跡できるか検討する。

4-159

3D距離画像センサを用いた交通流計測－複数車線の検知性能の検討－

◎渡邉信弘・泉 隆・滕 琳（日本大学）

交通量や速度等を計測する車両感知器は重要な設備である．現在，車両感知器には，超音波式やループ式，画像式などがあるが，超音波式は温度や風による精度低下，ループ式は地中にループコイルを埋設するため保守性の問題，画像式は天候等による精度低下などの課題がある．本研究ではそれらの課題に対し，外乱光や温度，風の変化に強く，路側に設置する3D距離画像センサを用いた車両感知器を検討している．本稿では複数車線の同時検知可能性について交通量計測を用いて検討した結果について報告する．

4-160

複数車線における群知能を応用した渋滞回避システムの基礎検討

◎野本直弥・星野貴弘（日本大学）

複数車線高速道路では追越車線への車線変更を抑制させ、車線利用率の平準化させることで渋滞緩和に繋がることが判明している。本研究では群知能を用いて、車線利用率の平準化を行い渋滞緩和を図る。本研究では蟻のフェロモンコミュニケーションを応用して各車線でフェロモンを均一にし、利用率の平準化を図る車線変更モデルを提案する。本稿では、既存の複数車線道路の交通流モデルと提案モデルの比較することで車線選択方法による渋滞改善効果について検討した。具体的には、初期配置で各車線に均等に車両を配置し、車線変更を行なわないモデルと比較し、車線変更自体が交通流に及ぼす影響について検討した。その結果既存モデルに比べ高い密度で流率が良くなった。

4-161

初期個体群生成方法に着目したGAによる交通信号機の最適オフセット探索手法の検討

◎髙橋 実・福田卓海・望月 寛・高橋 聖（日本大学）・中村英夫（東京大学）・風間 洋（京三製作所）

自動車の渋滞を防ぐために、信号機のオフセットを系統制御する必要がある。これまで我々は遺伝的アルゴリズム（GA）を用いて最適オフセットパターン探索の検討を行ってきた。本研究では、GAの初期個体群生成方法に着目し、より良い解の探索を図る。 初期個体群には車両が一方向に対して無停止で区間内を通過できるオフセットパターンを生成する。さらに、交差点全体に一様な値を加算したオフセットパターンを加え、計20個体を初期個体群として生成した。 4路線に対して最適オフセットパターン探索を行ったところ、変動係数が大きく探索が困難な路線への効果が大きく、全世代で従来手法よりも良い探索ができていることを確認できた。

4-162

深層強化学習を用いた交通信号制御システム

駒形 亮・○片山 昇（東京理科大学）

近年、都市部の交通渋滞が深刻化しており社会全体の生産性向上のために解決されるべき社会問題である。交通流をスムーズにするためにDeep Q-Network (DQN)による信号制御法が研究されているが非現実的な環境下での学習にとどまっている。そこでより現実的な環境下においてDQNと比較して効率的な学習が可能になったAdvantage Actor-Critic (A2C)による信号制御の有用性の提示を本研究の目的とする。本研究ではA2C 、DQN、従来の一定間隔で切り替わる信号制御において車両の待ち時間を計測した。DQN、従来の信号制御と比較してA2Cによる信号制御の待ち時間が大幅に減少したことから、より現実的な環境下においてエージェントが交通流の変化に対して適切な信号制御を行うことができた。

4-163

ETC車両検知器データを利用した車種判別―RealAdaBoostによる学習時間削減―

◎有吉達見・泉 隆・滕 琳（日本大学）

車両検知器のデータ利活用手段として車種判別を行う。従来手法ではAdaBoostによる車種判別を行っていたが、学習時間が課題となっていたため、学習アルゴリズムの変更により学習時間の削減を目指す。また提案手法で利用するRealAdaBoostでの確率密度関数におけるBIN数の変化による車種判別精度の推移を観察する。さらに学習時に利用する確率密度関数の作成方法を単純化することで高速化を図る。結果として、1回あたりに要する学習時間は90％以上削減できたが、車種判別精度とトレードオフの関係になった。BIN数の最適値は60であることが分かった。今後は、学習回数の最適値を求め、精度向上を目指す。また、特徴量依存の可能性が考えられるため、弱識別器の出力に飽和関数を導入し精度向上を目指す。

4-164

旅客の影響人数に基づく列車遅延の影響評価手法

○國松武俊・国崎愛子・中挾晃介・坂口 隆（鉄道総合技術研究所）

鉄道事業者では慢性的な列車遅延対策のため，ダイヤ改正での余裕時分の付加等の対策を検討，実施しているが，遅延対策の効率性，妥当性に課題がある。筆者らは先行研究で，実績遅延データを分析し，遅延対策が効果的な箇所を定量的に抽出する手法を構築した。しかしこの手法は，遅延の影響を列車・駅単位で評価するもので，各列車を実際に利用する旅客数や，各旅客の降車駅到着時刻に遅延が生じたか否かは，考慮されていない。本研究では，自動改札機で収集された旅客データを使用し，各旅客の降車駅到着遅延を判定したうえで，各列車・駅の遅延が影響する旅客人数を算出する手法を構築した。

4-165

地理情報システム(GIS)を利用したプラグインハイブリッド車の走行支援システムの検討

◎小家慎平・佐竹昭泰・三谷康範（九州工業大学）・塩田 淳（北九州市役所）

近年、地球温暖化やエネルギー枯渇問題への対策として、内燃車より環境にやさしく、EVと比較して航続可能距離が長いPHEVの普及が進んでいる。しかし、走行にかかる費用削減やモータ走行の快適性から、PHEVユーザは可能な限りEVモードでの走行を期待しているがEVと比較して駆動用バッテリの容量が小さいため、EVモードでの航続可能距離が短いことが課題である。そのため、PHEVの各走行モードの切り替わる状況を把握し、ユーザの要望に沿う走行支援の構築が重要となる。本研究では、パラレルモード時の燃費の算出を行って開発システムに組み込み、この燃費と発電量と消費電力量推定式及びGISを組み合わせた到達可能な範囲の提示について検証した。

4-166

馬場入口料金所ETC専用化における施設配置

◎中園浩平（首都高速道路）

首都高初となるETC車専用の料金所が馬場入口で運用が開始された。ETC車は通常通りの運用となるが、誤進入してしまった現金車等の対応は現地に料金所係員がいないため、誤進入した場合を想定し追加整備する必要がある。本稿では馬場入口料金所のETC専用化に伴い追加した設備他について報告する。

4-167

料金所ETCの電波漏洩対策

◎水無瀬 晶（首都高速道路）

首都高速道路3号渋谷線の渋谷入口供用前に隣接する一般道路において電波漏洩が検知された。本稿ではETCアンテナの角度調整や電波発射源可視化装置により分析した電波吸収体の追加設置など電波漏洩対策について報告する。

4-168

CCTV中央装置統合化設計

◎村上可諭（首都高速道路）

首都高速道路で運用中のCCTV中央装置が更新時期を迎える。更新に際し、将来の維持・改修コストの削減及びシステム運用・保守の効率化を目的として、分散されていた中央装置を統合するとともに仮想化を計画しており、本稿では更新計画に向けた設計内容を報告する。

4-169

電源ブレーカのねじ緩み検出の基礎検討

○竹中清人・水野幸男（名古屋工業大学）・林 文移（河村電器産業）

電気設備機器火災において、金属の接触部過熱は主要な原因の1つであり，ブレーカや電磁開閉器等のねじの緩みや変形，破損等により接触抵抗が増加し，ジュール熱により出火する事例が報告されている。この報告では、電源用分岐ブレーカと電源ケーブルの接触部を対象とし、ねじの緩みと接触抵抗および伝導性ノイズの関連について解析した結果を報告する。

4-170

SVMによる誘導電動機ベアリングの電食診断

◎薄田晴嵐・浅野恵介・水野幸男（名古屋工業大学）・中村久栄（トーエネック）

誘導電動機は基幹動力源として様々な場所で使用されているが、人手や経費の観点から保守・点検が十分に行われていないものが多く存在する。そこで今回はベアリングの電食を診断対象とし、誘導電動機の負荷電流の周波数スペクトルから抽出した特徴量と機械学習を用いた電動機の故障診断方法を提案する。 加速試験としてベアリングに電食を発生させ、通電時間10時間毎に負荷電流を測定することを400時間まで行った。負荷電流を解析すると、通電時間によって特徴量分布が変化した。機械学習のひとつであるSVMを用いて故障診断を行った結果、電食がある程度進展すれば提案する方法で電食発生を診断できると考えられる。

4-171

インパルス応答波形の特徴量によるコイル巻線の絶縁劣化検出の検討

◎浅野恵介・水野幸男（名古屋工業大学）・中村久栄（トーエネック）

工場では高経年の誘導電動機が数多く使用されているにもかかわらず、コスト削減のため適切な保守管理が行われないことが多く、簡易かつ高信頼性の故障診断技術の確立が求められている。筆者らは、固定子巻線の絶縁劣化を巻線間に接続した抵抗で模擬し、インパルス電圧印加時の応答波形の変化から巻線故障診断法の検討を行ってきた。今回は、インパルス電圧の繰返し印加によりコイルを絶縁劣化させて故障検出可能性の検討を行った。巻線短絡診断の特徴量であるLC値及びRC値をインパルス電圧応答波形より求めたところ、印加回数が増加するとLC値が減少することが確認できた。これによりLC値により固定子巻線の絶縁劣化から短絡に至る過程を追跡できる可能性が示唆された。

4-172

導体接触不良に起因する電気機器火災の基礎検討

◎杉山稜輔・稲葉久輝・水野幸男（名古屋工業大学）・林 文移（河村電器産業）

金属の接触部の過熱による火災は電気設備機器火災の主原因の1つである。例えば、接続端子でねじの緩みがあると接触抵抗が大きくなるため、接触部が過熱して発火すると考えられる。300℃を越える過熱の報告もされている。筆者らは、ねじの緩みにより形成される微小間隙で放電が発生する場合があることを報告した。本報では、放電と温度上昇との関連について実験を行い、導体接続部に形成される微小間隙で放電が連続的に発生する場合には、導体接触部の温度が350℃程度になることを確認した。今後、放電の発生状況と温度上昇との関連、火災防止の観点からの放電検出手法の検討を進める。

4-173

水浸半断線電源コードの通電時の温度上昇

◎伊藤悠紀・近藤由梨・水野幸男（名古屋工業大学）・林 文移（河村電器産業）

東日本大震災時に発生した地震型火災の中で電気が原因であった火災はおよそ65％であり、そのうち電気配線やコンセントからの火災はおよそ33.3%を占めている。地震の揺れや家具の転倒などによる外力によって電源コードは断線もしくは半断線状態となり、その後、短絡発生時に可燃物に着火して火災に至ると推定されている。今回は、災害時に半断線電源コードが水浸した場合を想定して通電試験を行った結果を報告する。その結果、半断線電源コードが水浸した場合には、熱放散が良いため半断線部の顕著な温度上昇は認められないことがわかった。

4-174

内部短絡したリチウムイオン二次電池の緊急放電についての一考察

○志村重輔・片瀬菜津子（村田製作所）

リチウムイオン電池の用途は近年、電気自動車やエネルギー貯蔵システムなどの規模が大きな用途へと拡がってきており、これに伴いより安全に取り扱うための技術開発が求められている。発煙・発火に至る最も典型的な原因は内部短絡である。筆者らはこのリスクを低減させる手段として、内部短絡検出をトリガーとした緊急放電に注目した。特に、太陽光発電制御の分野で広く使われている最大電力点追従制御を用いて、内部短絡の生じた電池から最大電力を引き出すように緊急放電することが、発煙・発火リスクにどう影響するかという点に着目し、数値シミュレーションを実施した。その結果、リスク低減に繋がると考えられる結果が得られたので報告する。

4-175

電解コンデンサレスデュアルインバータを用いた周期的負荷トルク変動時の速度リプル低減法

◎大野友幹・芳賀 仁（長岡技術科学大学）

圧縮機は、周期的に負荷トルクが変動するため機械振動が課題である。従来の振動抑制法は電解コンデンサを持つインバータでの検証であり、単相入力電解コンデンサレスインバータ駆動時には、電圧飽和により、速度リプル増加や信頼性低下、モータ速度範囲の縮小を引き起こす。そこで、提案システムとして電解コンデンサレスデュアルインバータとオープンエンド巻線IPMSMを用いた負荷電圧補償法を提案する。シミュレーション検証により、モータのピーク電流を最大で約47%、速度リプルを最大で約82%低減し、システムの信頼性向上と振動低減効果を確認した。

4-176

ドア開閉力を利用したエネルギーハーベスティングシステム

◎松本実澄・中島篤志・枡川重男（東京電機大学）

環境発電技術は様々な形態があり,例えばトイレの手動ドアから電気エネルギーを取り出すことができれば,充電回数から使用状況も確認できるため,安否確認の手段としても期待できる。そこで本論文ではヒンジ型手動ドアによるエネルギーハーベスティングの模擬実験について報告する。実験より、抵抗値を4~10[Ω]に制御すると最大電力を得られることがわかる。抵抗値が4~10[Ω]では12[rpm]のときの5.1[N・m]が最大トルクとなる。本実験により、ドアで発電できることが分かり、最大で3.8[W]程度得られることが分かる。また、発電装置をドアに設置しても少し重くなる程度で問題なく開閉できると分かる。

4-177

物販店舗におけるEV急速充電器導入時の検討～都市圏における環境性評価～

小澤航一郎・藤田吾郎（芝浦工業大学）・○竹本泰敏（日本工業大学）

近年，地球温暖化をはじめとした環境問題への関心の高まりから，低炭素化社会が注目されている。その中で，自動車においては，従来のガソリン車から，電気を燃料とする電気自動車(Electric Vehicle)へ燃料転換が進められている。しかし，我が国においてはEVの普及が途上段階であり，その一因として，EV充電器の導入が進んでいないことがあげられる。特に，EVへの充電が可能な急速充電器の台数は，一般家庭に導入が多い普通充電器と比較してまだ少なく，買い物等で外出した際に，短時間で充電可能な公共設備が少ない。そこで，本研究ではEV急速充電器の再現モデルを構築し,物販店舗におけるEV急速充電器導入時の環境性評価を行ったのでこれを報告する

4-178

低炭素・低コストを目指した廃棄物発電の利用戦略

◎浮木 拳・佐竹昭泰・三谷康範（九州工業大学）・牛房義明（北九州市立大学）

近年、電力の低炭素化や地産地消を目指して地域特有の再生可能エネルギーを中心とした小売り電気事業者が増加している。本研究では廃棄物発電電力を買い取って電力供給を行っている(株)北九州パワーを例にとり低炭素を目指した電力供給戦略について考える。廃棄物発電は出力が一日を通して一定であるが、この事業者は現在、昼間帯の需要が中心の高圧ユーザに電力を供給しているため夜間に余剰電力が存在しており、市場に安く売っている。本研究では現在の消費電力の実データを基に余剰電力を一般家庭へ供給することを考える。その際の供給軒数に対する収益やCO2排出係数の変化について議論する。

4-179

住宅内換気量推定に向けた二酸化炭素濃度センサの活用

服部俊一・○岩松俊哉（電力中央研究所）

高気密住宅の増加などを受けて24時間換気システムの設置が義務化された一方で、適切に換気設備を利用するかどうかは居住者に委ねられている。換気が不足することで二酸化炭素(CO2)や総揮発性有機化合物などの濃度が上昇し、居住者の健康や快適性に悪影響を与える可能性がある。そこで本稿では、扱いが手軽かつ安価なCO2濃度センサに着目し、日常生活におけるCO2濃度減衰から室内の換気量を推定する手法を検討する。そのためには実際の住居における換気量からCO2濃度を推定できる必要があることから、実際の住居においてCO2濃度と換気量を計測し、複数の時間帯において濃度推定値を実測値と比較した結果について報告する。

4-180

室内温度の快適性と低炭素化を考慮した住宅設備構成の検討

◎佐藤匠悟・藤田吾郎（芝浦工業大学）・竹本泰敏（日本工業大学）

近年，高齢者人口の増加にともなってヒートショックへの対策など住環境の快適性が求められている．また，環境問題の深刻化から，低炭素社会の実現が求められ，省エネルギー化や再生可能エネルギーの有効利用が注目されている．だが，住環境の快適性を保つために空調の利用を増やすと消費エネルギーは増加することが懸念される．そこで，外皮性能を向上することで室温の維持が可能となり，空調での消費電力も抑えることも考えられる。しかし，外皮性能の向上には，既存の住宅では費用面や夏季に熱がこもる可能性等のデメリットもある。本研究では空調とPV発電の活用から健康，快適性の維持と低炭素化の両立ができる設備構成の明確化が目的である．

4-181

ユーザー操作等を考慮したDRモデルの検討

○馬場博幸・吉村正昭・荻本和彦（東京大学）・天津孝之・増田 浩（東京電力ホールディングス）

脱炭素社会構築に重要な役割を担うデマンドレスポンスは、ユーザーの都合や意思，行動の影響を受けることから，ポテンシャルの見積もりやサービス開発等の際には，それらを考慮したモデルを認識しながら進めることが望ましい。本研究では，炊飯器や電気自動車の充電器を需要機器例として，想定されるモデルを検討した。

4-182

LC直列回路方式セル電圧均等化回路の電流制限値がセル電圧の均等化時間に与える影響

◎犀藤大樹（公立諏訪東京理科大学）・佐藤大記（東京電機大学）・大島政英（公立諏訪東京理科大学）

LC 直列回路方式セル電圧均等化回路(以下，均等化回路) では，負荷状態に影響されることなく，独立した均等化動作が可能である。しかしながら，蓄電セルには負荷電流と均等化動作のために流れる電流(以下，均等化電流)が流れるため，負荷電流と均等化電流の和がバッテリの定格電流を超えないように回路パラメータを設計する必要がある。一方，均等化電流を小さくすると均等化に要する時間(以下，均等化時間T_eq) が長くなることが示唆されるため，均等化回路の適切な設計には均等化電流とT_eq の関係を明らかにする必要がある。そこで本稿では，均等化電流の最大値を制限した際のT_eq の変化について，シミュレーションにより検証したので報告する。