一般講演

3-107

Multi analyte sensor with individual measurement cells based on the LAPS principle

○Carl Frederik Werner・Yuya Takahashi・Minoru Noda（Kyoto Institute of Technology）

The simultaneous analysis of multiple analytes can accelerate measurements of one or more analytes. In this study we propose the combination of microfluidic measuement cells with a light-addressable potentiometric sensor (LAPS). LAPS can observe analyte concentrations in aqueous solutions in a spatially and temporally resolved manner. The lateral resolution of LAPS is realized by one or more light sources, while the LAPS chip is laterally unstructured. Due to this, several measurement cells can be monitored with a single LAPS chip. The microfluidic provides 16 individual measurement cells on top of the LAPS surface.

3-108

伝送線路を用いた非線形分割リング共振器の電磁波応答測定

◎中山拡之・阿久津 崇・永野直貴・前田博史・鈴木 薫・胡桃 聡・松田健一（日本大学）

近年，高周波帯の電磁波を用いた生化学センサが注目されている。今回我々は，ストリップライン型の伝送線路の電磁波透過特性を測定することで，そこに近接して配置された非線形分割リング共振器（nSRR）の電磁波応答特性を測定した。nSRRは簡易な共振器構造であり，これを利用した各種生化学センサが検討されているためである。伝送線路の両端で電磁波の透過スペクトルを観測したところ，nSRRの共振に伴う変化を観測することができた。また入力電磁波の強度に対してスペクトルの変化があったのでこれについても報告する。

3-109

光駆動による小型連続血糖センサ向けRF送信回路の検討

◎山中風葵・前田大輔・清水尭之・横式康史・德田 崇（東京工業大学）

血糖値の測定方法として，近年は連続血糖測定技術（CGMS）が普及しつつある。現行のCGMSセンサは上腕などにフレキシブルプローブセンサを刺入した状態で装着される30~40mm程度の大きさのデバイスである。我々は審美性，機能性の観点から，光給電技術を用いてバッテリレス化することにより大幅な小型化を目指している。本研究で実現する光駆動型CGMSセンサは，小型太陽電池で発生した電力をキャパシタに充電し，一定の電圧に達するごとに駆動するセンサである。
今回の報告はグルコース濃度の情報を送信するためのRF送信回路についてである。0.18µm標準CMOSプロセスによって電圧制御型LC発振回路を試作し評価を行った。その結果，一般の受信チップによる検波・受信が可能であることが確認できた。

3-110

バイポーラクラーク型酸素電極アレイとその応用

◎白𡈽裕介・薛 安汝・鈴木博章（筑波大学）

溶存酸素濃度は細胞の呼吸活性の良い指標である。近年の細胞工学の進歩により，細胞による酸素の消費量の測定が求められるが，従来のデバイスでは，アレイ化によるイメージングあるいは多検体測定は容易ではなかった。本研究では，バイポーラ電気化学を応用して，酸素透過膜を有するクラーク型酸素電極のアレイ化を実現した。溶存酸素濃度の変化は，電気化学発光の変化としてとらえた。電気化学発光強度は，溶存酸素濃度に比例して変化した。4×4のアレイを用い，溶液中の溶存酸素濃度分布のイメージングを行うことができた。また，このデバイスを用いて，大腸菌の呼吸活性を調べ，菌数に応じて電気化学発光強度が変化することを確認した。

3-111

超小型 IoT エッジ向け 光エナジーハーベスティング回路

◎竹内瑞希・深町賢人・横式康史・德田 崇（東京工業大学）

我々は，太陽電池を用いた超小型の光電力伝送システムによって駆動できるマイクロエレクトロニクスデバイスの開発を行なっている。開発したシステムで は，超小型直列太陽電池でキャパシタを充電し，CMOS 回路で電圧を監視して負荷を間欠駆動する。これまでの回路では，一つのキ ャパシタを用いて充電を行なっていたが，CMOS 回路 の駆動電力も同じキャパシタから得るため，スイッチ ングの際に基準となるキャパシタの電圧が低下し準 安定状態に陥ってしまうという問題があった。そのため，本研究ではキャパシタを2つ用いた回路を設計した。試作した回路を評価したところ，間欠駆動することが確認でき，基準電圧低下の問題も解決した。

3-112

櫛型電極を用いた誘電泳動による捕集菌量と電気インピーダンスの相関性検証

朱 素潔・八木一平・○内田 諭（東京都立大学）

近年，大腸菌をはじめとする食中毒感染を引き起こす病原性細菌の被害は世界的に拡大している。毒性が強く，繁殖力が高い病原性微生物も出現しているため，早期診断は必須である。現在，一般に用いられている迅速検出法は，プローブ法やPCRといったDNAレベルの手法である。しかし，これらの手法は高度な生物学分野の知識，薬品及び高価な機器の使用が要求される。ゆえに，食品に付着した微生物を迅速，簡便かつ安価に検出する技術を確立することが必要である。そこで，筆者らは誘電泳動による細菌群の電極間橋絡を利用したインピーダンス計測法による微生物検出の研究を進めてきた。本論文では，誘電泳動による細菌の捕集状況をインピーダンス解析するとともに，櫛形電極の構造における等価回路との比較検証を行った。

3-113

単層グラフェンのCMOSチップ上集積化に関する基礎検討

◎光石 幹・横式康史・德田 崇（東京工業大学）・永田駿一郎・渡辺剛志・黄 晋二（青山学院大学）

グラフェンは移動度の高さ，外部環境や吸着分子による鋭敏な特性変化などの特徴からセンサとして使用されることが期待されている。我々はグラフェンをCMOS集積回路センサ上に集積することで，ヘルスケアや環境センシング等に利用できる新しいセンサ技術の開発を目指している。今回，CMOS集積回路上への単層グラフェンの集積化について基礎検討を行うため，性能評価用CMOSチップを設計・試作し，単層グラフェンとCMOSチップの集積について基礎検討を行った。その結果，CMOSチップでの計測では，電極アレイでの接触抵抗率の最小値は50Ωmmとなった。この結果はCMOSチップ上電極の絶縁膜除去領域の境界に存在する凸構造が接触形態に影響を与えているためと推測される。良好な接触を実現するための構造及びプロセスについて今後検討を進める。

3-114

A wireless system integrated with CMOS lensless imaging device for fluorescence observation

◎Thanaree Treepetchkul・Ronnakorn Siwadamrongpong・春田牧人・竹原浩成（奈良先端科学技術大学院大学）・田代洋行（九州大学）・笹川清隆・太田 淳（奈良先端科学技術大学院大学）

High performance for fluorescent imaging in rodent animals allows researchers to understand biological processes better. In some cases, collecting data in living objects has been using wired devices that have a high risk of infection and noise regarding cable movement. In addition, the host animals are In this work, In this work,In this work, the development of a wireless system for an implantable device based on a CMOS image using a Bluetooth low-energy is presented. In this work, the development of a wireless system for an implantable device based on a CMOS image using a Bluetooth low-energy is presented. presented. presented.

3-115

Linearity Improvement of Self-reset CMOS Image Sensor with High Signal-to-noise Ratio

◎Thanet Pakpuwadon・Mark Christian Guinto・春田牧人・竹原浩成（奈良先端科学技術大学院大学）・田代洋行（九州大学）・笹川清隆・太田 淳（奈良先端科学技術大学院大学）

We proposed an alternative device to observe neural activity in a mouse brain. Using complementary-metal-oxide-semiconductor (CMOS) technology, we succeeded in reproducing an image sensor with self-resetting system demonstrating a high signal-to-noise ratio (SNR)). The full-well capacity and linearity were improved by introducing metal-oxide-semiconductor (MOS) capacitor into the pixel circuit. As a result, an effective SNR of over 70 dB was achieved the linearity has been improved.

3-116

微粒子誘電泳動DNA検出法を用いたDNA分解酵素検出の検討

◎重本 真・柴垣有希・稲葉優文・中野道彦・末廣純也（九州大学）

筆者らは，DNAの迅速・簡便な検出法として，微粒子誘電泳動DNA検出法を考案した。本手法は，PCR（polymerase chain reaction）などで増幅したDNAを誘電体微粒子に結合して迅速かつ簡便に検出する手法であるが，本研究では，あらかじめ形成したDNA結合微粒子を用いて，DNA分解酵素の検出を行うことを試みた。DNA分解酵素はバイオマーカーとして着目されているため，微粒子誘電泳動DNA検出法によってこれを迅速・簡便に検出できるかどうかを試みた。実験では，DNase IをDNA結合微粒子に作用させて，DNase Iの量や反応時間と応答値の関係について検討した。

3-117

Miniaturized LED light source for fluorescent imaging with isotropical emission

◎Mohamad Izzat Azmer・Yasumi Ohta・Makito Haruta・Hironari Takehara（Nara Institute of Science and Technology）・Hiroyuki Tashiro（Kyushu University）・Kiyotaka Sasagawa・Jun Ohta（Nara Institute of Science and Technology）

The implantable image sensor enables in-vivo fluorescence observation of the brain cross section. To observe a fluorescence response with higher sensitivity, we developed a thinned InGaN µLED based excitation source with high performance excitation filter. However, the irradiation direction is limited to only the normal direction, and there was a problem that the efficiency of irradiating the excitation light directly above the imaging area was low when the image sensor was placed beside the image sensor. The tissue near the sensor surface with excitation light.

3-118

等温DNA増幅法と微粒子誘電泳動を組み合わせた核酸増幅検査用試作デバイスの性能評価

◎黄 怡・吉田 諒・田中凌仁・稲葉優文・中野道彦・末廣純也（九州大学）

筆者らの研究グループでは，誘電泳動とインピーダンス計測を組み合わせた微粒子検出法を応用したDNA検出法が微粒子誘電泳動検出法提案してきた。従来の手法ではDNA増幅や微粒子とDNAの結合，DEPIM法による検出の各プロセスで別々の反応容器を用いており，ピペッティングによるサンプル移送が必要であったため，プロセス間でクロスコンタミネーションや試料のロスなどが生じる恐れがあった。本研究では，等温DNA増幅法と微粒子誘電泳動DNA検出法を組み合わせた核酸増幅検査を実施するためのデバイスを試作した。

3-119

脳深部神経活動を電気的・光学的に計測可能な多機能埋植型デバイスの開発

◎長沼京介・太田安美・邑上貴明・岡田竜馬・竹原浩成・春田牧人（奈良先端科学技術大学院大学）・田代洋行（九州大学）・笹川清隆・太田 淳（奈良先端科学技術大学院大学）

本研究では，電気生理計測と蛍光イメージングを同時に行える多機能埋植型デバイスの開発を行い，薬理学的刺激時の脳深部神経活動を記録した。多機能埋植型デバイスは，それぞれ個別に開発した電極アレイデバイスと蛍光イメージングデバイスをエポキシ樹脂により一体化することで開発した。一体化したデバイスには，Au記録電極とCMOSイメージセンサが搭載されており，高い時間分解能かつ広い範囲での脳深部神経活動の観察が可能である。麻酔下マウスの脳深部にデバイスを埋植し，神経活動の観察を行ったところ，薬理学的刺激に惹起された神経活動の活性化を確認することに成功した。

3-120

人工視覚用フレキシブルCMOSスマート電極アレイのための薄膜基板の開発

◎潘 愷鴿・萩田瑞生・萩原隆仁・春田牧人（奈良先端科学技術大学院大学）・高野拓郎・寺澤靖雄（ニデック）・竹原浩成（奈良先端科学技術大学院大学）・田代洋行（九州大学）・笹川清隆・太田 淳（奈良先端科学技術大学院大学）

人工視覚技術は，正常機能を失った視細胞の代わりに視覚神経系への電気刺激によって，代替視覚を提供するものである。
本研究では，セラミック基板と金属薄膜配線を用いた人工視覚用フレキシブルCMOSスマート電極アレイの開発を行った。試作した人工視覚用フレキシブルCMOSスマート電極アレイの単位モジュールは正六角形のセラミック基板をベースとし，刺激電極面に7個の電極を搭載し，裏面に刺激電極制御用 CMOS チップを実装する。CMOSチップによって任意の電極が選択され，バイフェージックの電気刺激が行われる。モジュール同士はパリレン C をベースとした金属薄膜配線で連結される。本デバイスではCMOSチップによる多電極制御は多電極化と刺激面積の拡大を4配線で実現する。本成果はフレキシブル性が高く，少配線のため，眼球への安全な埋植に大きく貢献することが期待される。

3-121

小型超音波ハプティクスアクチュエータの音圧特性

◎水嶋大輔（愛知工業大学）

近年，コロナ禍による外出制限の影響で，人間の触覚や触刺激を再現し，触感を遠隔地に伝送できるハプティクス技術の必要性が高まっている。その中でも収束超音波を用いるハプティクスアクチュエータは，非接触で触感を伝達できるという他にないユニークな特徴を持っている。従来超音波ハプティクスアクチュエータは，数百個の超音波スピーカをアレイ化した大型な機器であり，据え置きが前提となる。本研究では，数個の超音波スピーカでこれと同等の音圧を発生させ，VRグローブ内などに搭載できるよう小型化することを目的とする。本発表では収束超音波の音圧に着目し，据え置き型と小型アクチュエータからの発生音圧の違いについて報告する。

3-122

深層学習を用いた航空機用音響式油量計の検討

○小松勝彦（信州大学）

航空機用油量計として電気回路が燃料に非接触で，低コストで簡便なセンサとして音響式の油量計を提案している。タンク内の共鳴周波数を分析する事により正確な水位推定は可能であるが，高調波成分などの影響を避けるために複雑な水位判定アルゴリズムが必要となった。本研究では，複雑なアルゴリズムを用いず，簡易な深層学習モデルを適用することで水位の推定を試みた。
音響データを適当に前処理し水位レベルごとへカテゴライズするAIとレベルの間の値も出力できる回帰型のAIについて，FFT処理したデータおよび簡略化した波形データをそれぞれ学習させた結果，それぞれのモデルで精度よく水位推定が可能なことが確認できた。

3-123

締結状態検査の自動判定に関する基礎研究

○小林翔一・和田敏裕・福井孝太郎（三菱電機）

機器の製造や保全においては，熟練作業者の五感を頼りに検査が行われている。少子高齢化に伴う熟練作業者の減少に備え，デジタルトランスフォーメーションを活用した非熟練者の作業範囲拡大と品質向上が進められている。センサグローブの活用による機器の各部位の締結状態の検査の判定自動化を目指し，その基礎研究として本稿では締結状態を検査する作業が正しく行われたことを判別する技術を提案する。具体的には，圧力センサを備えるセンサグローブを用いて，ガタツキの有無を検査する揺すり動作が行われたことを判別する技術を提案する。

3-124

温力感センサを用いた起毛布地の密度特性検知

◎村松俊弥・森 遼雅・吉田翔紀・畑 良幸（名城大学）

ロボット用の触覚センサとして，熱流によって材質判別を行う温力感センサの研究を行っている。本センサの熱流検知部は主にヒータと二つのサーミスタからなり，ヒータを一定電力で加熱することにより，接触物と温度差を生み出し，能動的に熱流を発生させる。接触物の熱抵抗によって流れる熱流が変化し，熱流過渡波形中の熱流ピーク値の違いから材質を高速に判別できる。これまで，ブロック材の材質判別の他，起毛布地の起毛長判別を実証してきた。本研究では，温力感センサによる起毛布地の密度特性検知を試みた。3種類の起毛材質において起毛長が30 mmのとき，起毛密度の増加にともない熱流ピーク値が増加することが明らかになった。

3-125

動電現象を用いた金ナノ粒子アセンブリにおける効率的捕集条件の数値的精査

◎荒井修作・八木一平・内田 諭（東京都立大学）・西川宏之（芝浦工業大学）

金ナノ粒子の三次元ナノピラー構造は高精度なバイオセンサへと応用される。そのようなセンサを効率よく構築するための粒子の精密操作手法として，誘電泳動や電気泳動といった動電現象を活用した手法に着目した。本手法には，電気パラメー タの選択によって簡便に詳細制御できるといった利点がある。しかしながら，捕集中の粒子には様々な現象が複雑に作用するため，安定した捕集条件については未だ十分に把握されていない。そのため当論文では，有限要素法を用いた数値シミュレーションを使用し，それぞれの動電現象が粒子の捕集に与える影響を調査した。

3-126

ガラス製マイクロ流体デバイスを用いた金ナノ粒子合成における金濃度の影響

◎浜本真央・柳生裕聖（関東学院大学）

金ナノ粒子は可視光領域の波長530nm付近に局在プラズモン共鳴ピークを有する。この光学特性はバイオセンサや化学センサに応用されており，センサの高感度化を実現するためには変動係数C.V.（粒子径の標準偏差/平均粒子径）が小さい単分散金ナノ粒子が必要となる。我々はマイクロ流体デバイスを用いた金ナノ粒子の合成において，金ナノ粒子の金濃度が0.186mMのとき，粒度分布が最小となる最適な試薬の流量が存在することを確認している。本研究ではマイクロ流体デバイスを用いて金濃度の異なる金ナノ粒子分散液を合成し，TEM観察を実施した。その結果，金ナノ粒子の変動係数が最小となる流量は金濃度に影響しないことが明らかとなった。

3-127

改良型レーザーマイクロダイセクタの試料回収用誘電泳動電極の開発

○山岡英彦・永田晃基（東京都立産業技術研究センター）・八谷如美（セントラル硝子）・内田 諭（東京都立大学）

レーザーマイクロダイセクション（LMD）法は，20~30 μm程度の微小領域をレーザーで切出すことができるため，純度の高い単離ができる方法である。とりわけ，八谷らが開発した改良型レーザーマイクロダイセクション（ALMD）法は，1 μm以下の極微小領域を切出すこができ，わずか数 μmのタンパク質凝集体などの特異部にも適応可能である。しかし，サンプルの回収には極細ガラスキャピラリで個別吸入しているため，破損，細胞の貼付き，工数増加などの不安定要素を残している。本研究ではALMDで切出したサンプルの回収に誘電泳動を応用するものであり，サンプルを集積し，一括回収する手法である。この手法の確立により，ALMDの安定性，信頼性の向上に貢献するものである。

3-128

二重非線形スプリットリング共振器の共振周波数と層間距離依存性

◎渡邊啓太・數野将輝・前田博史・鈴木 薫・胡桃 聡・松田健一（日本大学）

スプリットリング共振器（SRR）は，電磁メタマテリアルやセンサー等に用いられたきた。近年では，外部から変調可能な非線形スプリットリング共振器（nSRR）が考案され，共鳴特性の制御も行われているが，このnSRRを複数個近接に配置したときの相互作用や電磁波反射特性等については良く解明されたとはいいがたい。本研究では，円形nSRRを近接した二重構造を作製し，nSRR間の相互作用が強い状況化における電磁波反射特性の層間距離に対する共鳴周波数の依存性を調べた。共鳴周波数は2つに分裂し，その分裂幅は層間距離が近づくにつれ，層間距離の逆数に比例して大きくなることがわかった。

3-129

正方形光制御非線形スプリットリング共振器列の電磁波反射特性と距離依存性

◎中村颯汰・荒木拓海・長谷川航大・前田博史・鈴木 薫・胡桃 聡・松田健一（日本大学）

スプリットリング共振器（SRR）は電磁メタマテリアルの基本的な構成要素として用いられている。近年では共振周波数を可変とした非線形スプリットリング共振器（nSRR）が考案された。nSRRを近接した際に相互作用が発生することが知られているが，まだ不明な点が多い。そこで，本研究では近接した二つの正方形nSRRを作製し電磁波反射特性を共振器間の距離の関数として調べた。また，フォトカプラを通じて外部から特性を制御可能とした。その結果，nSRRが十分に離れている場合はディップが一つなのに対し，近接した場合だとディップが二つ出現することが分かった。また，片方のnSRRの特性を変調した状態においても同様の傾向があることが分かった。

3-130

GHz帯におけるMg等方性メタマテリアルの反射特性評価

◎矢野達也・古澤 岳・菅 哲朗（電気通信大学）・尾上弘晃（慶應義塾大学）

本研究は2.4 GHz帯の電波で動作する等方性メタマテリアルについて報告する。等方性メタマテリアルは，姿勢に依存せず，特定の周波数の電磁波のみを反射する特性を持つことから，畑などに散布し，土壌のpHを遠隔で計測するためのセンサプローブに応用できると考えた。共鳴構造の金属材料として水に溶解するマグネシウムを用いることで，分解性センサとして機能する。シミュレーションで等方性メタマテリアルの反射特性評価およびデバイスの設計を行った。アクリルキューブの各面にマグネシウムを蒸着して，X字型の共鳴構造を持つデバイスを製作した。デバイスを回転させて反射率の測定を行うことで，反射特性の姿勢への依存性を評価した。

3-131

Au錘MEMS加速度センサのための減衰定数の簡易解析モデルの検討

◎柴田滉平・内山晃宏・大西 哲・石原 昇・町田克之・曽根正人・三宅美博・伊藤浩之（東京工業大学）・飯田慎一・小西敏文（NTTアドバンステクノロジ）

我々は，ブラウ二アンノイズB_Nを低減するために高密度な Auを錘に採用した高感度CMOS-MEMS加速度センサを研究開発している。Au錘CMOS-MEMS加速度センサの設計及び解析をするための統合設計技術に適用可能な簡易な減衰定数bの解析モデルについて検討してきた。今回，理論式と実測結果に基づいた新たな近似式f（x）からなる減衰定数bの解析モデルを提案した。提案モデルの有効性を確認するために，B_Nの実測結果及び従来モデルによる計算結果との比較を行い，提案モデルの妥当性を確認した。したがって，提案モデルが，Au錘MEMS加速度センサのための統合設計技術に有効であることを確認した。

3-132

可視光を用いた表面照射による電流検出型表面プラズモン共鳴センサ

◎黒木亮太・鈴木紳一・菅 哲朗（電気通信大学）・安永 竣（東京大学）

本研究では，電流検出型の表面プラズモン共鳴（SPR）検出器について報告する。SPR検出器は，n型シリコン（n-Si）上に金の回折格子構造を配置したものである。吸収された光子のエネルギーは，金/n-Si界面に形成されたショットキー障壁によって光電流に変換され，光電流として検出される。センサの周辺媒質が水の場合の条件下で可視光領域で効率的な光吸収を示すデバイスを製作した。デバイスを回転させながら可視光を照射し，入射角に対する電流特性を評価した。

3-133

共焦点レーザー顕微鏡を用いたLAAS測定系の研究

◎川村優和・長谷川有貴・内田秀和（埼玉大学）

電気化学センサは医療分野や化学分野でも応用されている。本研究室では，Light Addressable Amperometric Sensor（LAAS）という化学イメージングが可能な二次元電気化学センサを提案している。デバイスに照射する励起光のスポット径の微小化は二次元画像の空間分解能の向上につながるが，レンズの視野内で掃引する手法ではLAASの広い測定範囲に対応できない。そこで，自動ステージ付き共焦点顕微鏡の技術をLAASに応用し，空間分解能が高い二次元測定を可能にする測定系の提案を試みる。提案した測定系では励起光の集光位置のスポットサイズが約1.4μmとなり微小化を達成し，自動ステージによる位置制御により，有機膜型LAASの酸化還元電流の取得に成功した。

3-134

水中化学探査ロボット開発に向けたザリガニの嗅覚探索行動中における噴流の観察

◎木村祐太・石田華子・三宅新人・三石健暉（東京農工大学）・松倉 悠（電気通信大学）・石田 寛（東京農工大学）

本研究では，ザリガニが餌を探す際の探索行動を模倣し，水中に漏れ出た化学物質を辿って発生源を探す水中ロボットを開発することを目指す。ザリガニは餌を探す際，顎脚を振って噴流を作り，その結果生じる流れを利用して周囲から匂いを引き寄せていると考えられている。ザリガニは顎脚の振り方を変えて，流体を引き寄せる方向を変化させている可能性があるため，前報で報告した小型のインク放出装置をアメリカザリガニに取り付け，実際にザリガニが嗅覚探索行動中に作る噴流を可視化する実験を行った。その結果，噴流の生成方向をザリガニの位置や向きと共にデータ化することが可能となり，転回時には転回方向とは逆側に噴流を生成するなどの傾向が確認できた。

3-135

Design of wearable olfactory display using solenoid valves and electroosmotic pumps

◎Aiheng LIU・中本高道（東京工業大学）

Smell is a very powerful stimuli that makes people instantly connect to things and feel real. We have developed wearable olfactory display based on solenoid valves and SAW atomizer for VR application. We extended this wearable olfactory display by improving fragrance supply method and driving circuit of solenoid valve.

3-136

香りセンサのガス濃度に対する出力特性評価

◎高橋 改・淀 優介（長野工業高等専門学校）・前野権一・橋詰賢一（アロマビット）・澤田和明（豊橋技術科学大学）・秋山正弘（長野工業高等専門学校）

本研究の目的は，表面に匂い検知膜を作製したCMOSセンサで匂い測定を行い，CMOS香りセンサの検出限界を調べることであった。濃度の異なるアンモニア水溶液が入った容器を通過した空気をセンサ部に吹き付け，その時のセンサの応答量の最大値と気体検知管で測定した実際の空気中のアンモニアの濃度の関係から，センサの検出限界を調べた。測定結果をグラフにしたところ，空気中のアンモニアの濃度が7.5ppmを越えたあたりでセンサの応答量の最大値が増加していることが分かった。よって，本実験で使用したCMOS香りセンサの検出限界は7.5ppm程度だと考えられる。

3-137

CMOS香りセンサの湿度変化による出力電圧特性評価

◎浅田吉博・淀 優介（長野工業高等専門学校）・前野権一・橋詰賢一（アロマビット）・澤田和明（豊橋技術科学大学）・秋山正弘（長野工業高等専門学校）

環境計測分野等で多種多様なガスをセンシングする要求が高まっているが，人間の嗅覚に対応するセンサは開発段階である。我々が提案するCMOS香りセンサは，従来の高感度・高選択性ガスセンサに対して，多種多様なガスのセンシングが可能である。しかし，「湿度による電圧変化（ノイズ）の影響を受ける」問題をもつ。そこで本研究では，CMOS香りセンサの湿度変化による出力電圧特性を次のように評価した。
CMOS香りセンサに加湿空気を吹き付けたとき，湿度の増加量（ΔRH）の増加とともに，出力電圧の増加量（ΔVout）も増加する特性がある。また，CMOS香りセンサは湿度計と同程度以上の応答速度が期待できる。

3-138

ガス透過特性可変素子の開口部近傍における流体挙動の解析

◎水谷学世（豊橋技術科学大学）・鈴木誉久（新東工業）・蓑輪奈穂・和田凌明・崔 容俊・高橋一浩・澤田和明・野田俊彦（豊橋技術科学大学）

センサ出力を変調するデバイスとしてガスセンサ前段に組み合わせるガス透過特性可変素子（グリッド）が提案されているが，グリッド周辺で働いている作用は未だ不明である。
挙げられる現象の一つとして気流の変調があり，今回は開口部が広いグリッドと開口部が狭いグリッドの2つを設定し，流体シミュレーションを行った。
結果として，開口部が広いグリッドでシミュレーションを行った場合の方が，気体がセンサに到達していた。また，ガスの流入，流出の挙動はガス上流端と下流端の開口部とグリッド中央付近の開口部とで異なることが分かった。
結果から，幾何学的な開口面積とガスの出入りに関わる実効的な開口面積が異なることを確認した。

3-139

金属ストライプ形状に着目した静電型ガス透過特性可変素子の設計と製作

◎蓑輪奈穂・和田凌明（豊橋技術科学大学）・水谷学世（豊橋技術科学大学, 新東工業）・鈴木誉久（新東工業）・崔 容俊・高橋一浩・澤田和明・野田俊彦（豊橋技術科学大学）

本研究ではガスセンサバリエーション増加を目的とした静電型ガス透過特性可変素子の開口面積や電界分布の影響を検証した。提案デバイスは，ストライプ構造に突起を有することで強電界を形成する。初めに電界シミュレーションにより，製作過程で生じる突起の丸みを考慮したときの電界分布を検討した。シミュレーション結果をもとに設計を行い，MEMSプロセスによって提案デバイスの製作に成功した。本素子を用いて，これまで未調査であった開口面積や電界分布の影響について検証した。検証結果から，ガスの流れと電界分布の双方を考慮する必要があることが判明し，ガス透過特性可変素子の最適設計につながる知見を得ることができた。

3-140

Gas Sensing Measurement for Propanol Isomers Using Microgravimetric and Electrochemical Sensor Coated with Room Temperature Ionic Liquid

◎Faricha Anifatul・Chakraborty Parthojit・Tso-Fu Mark Chang・Masato Sone・Takamichi Nakamoto（Tokyo Institute of Technology）

The application of gas sensing measurement plays a vital role and one of the common sensors used is Quartz Crystal Microbalance (QCM) [1]. Since the isomer has the same molecular formula and its molar mass is also identical [2], hence only applying QCM which works based on the microgravimetric principle is a challenge to distinguish between the isomers. We included the electrochemical sensor using Interdigitated Array Electrodes (IDAs) where the current is induced by the chemical reaction from the analyte’s mass transport [3]. We developed a sensor array system composed of three QCMs and three IDAs coated with several Room Temperature Ionic Liquids (RTILs) to increase the discrimination capability for propanol isomers.

3-141

Bio-fluorometric gas sensor (bio-sniffer) for continuous measurement of transcutaneous ethanol vapor

◎鐘 雪君・鈴木卓磨・飯谷健太・當麻浩司・荒川貴博・三林浩二（東京医科歯科大学）

We constructed a biochemical gas sensor based on the alcohol dehydrogenase (ADH) catalyzed reaction of ethanol to continuous monitoring of alcohol metabolism via the skin gas. The developed sensor measures the ethanol concentration by detecting the increase in the autofluorescence intensity from nicotinamide adenine dinucleotide (NADH). The system was constructed with an UV-LED which was used to NADH excitation, a photomultiplier tube, and an optical fiber probe. The fiber probe equipped a flow cell with an ADH enzyme membrane. In the human subject experiment, we observed a correlation between ethanol concentration in breath and skin gas especially in a body parts with low perspiration rate.

3-142

ダニアレルゲン用SAW免疫センサの金ナノ粒子による信号増幅

◎田口結彩・三木大輔・飯谷健太・當麻浩司・荒川貴博・三林浩二（東京医科歯科大学）

本研究では，コナヒョウヒダニ由来のアレルゲンDer f 1のモニタリングに向け，金ナノ粒子を用いてセンサ表面の免疫複合体の質量を増加させることで，高感度なSAW免疫センサを作製した。
作製した免疫センサは，Der f 1濃度に応じた位相変化とAuNPの付加によるセンサの信号増幅を示し，検出限界は2.5 ng/mLとなり，WHOの基準値以下での検出可能な感度が得られた。次に繰り返し測定の実現のため，PEGチオールで表面修飾したAuNPを使用すると，表面未修飾の場合に比し約3倍優れた回復率が得られ，PEGチオールによるAuNPの非特異吸着抑制効果が示された。
以上，AuNPsを用いたDel f 1用SAW免疫センサはDel f 1の高感度かつ繰り返しの測定の可能性が示唆された。

3-143

酵素沈殿法を用いたダニアレルゲンの高感度計測用SAW免疫センサ

◎金 志壕・大石紘希・飯谷健太・當麻浩司・荒川貴博・三林浩二（東京医科歯科大学）

住環境で強アレルギー性を示すダニアレルゲン Der f 2 の on-site 計測を目指し，酵素反応の生成物（沈殿物）を利用 した高感度な表面弾性波（SAW）免疫センサを開発した。SAW デバイスは，SAW 伝搬部表面に生じる質量変化を入出 力信号の位相変化として捉えるため，基質と酵素 HRP の触媒反応により生成される沈殿物で質量を増加させることに より，センサ出力の向上が期待される。3 種類の基質（4-chloro-1-naphthol, 4CN; 3,3',5,5'-tetramethylbenzidine, TMB; 3,3'-diaminobenzidine, DAB）で比較したところ，4CN を用いた際に高い出力と再現性が得られ，再生に pH13の NaOH を使用した際に高い再生率が確認された。作製した SAW 免疫センサの Der f 2 に対する検出限界は 35 pg/mL となり，従来の SAW 免疫センサから 206 倍の高感度化を達成した。

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ダイゼイン検出用イムノクロマトグラフィの開発

○小野寺 武・橋口有子・小川阿弥子・鰺坂大樹（九州大学）・櫻井 望（国立遺伝学研究所）・杉山暁史（京都大学）

ダイゼイン検出のためのイムノクロマトグラフィの開発を行った。抗ダイゼインモノクローナル抗体を確立し，金ナノ粒子に結合し，テストストリップを作製した。テストストリップにダイゼインを滴下し，カメラで撮影した。その画像解析によりテストドットの輝度値から，結合率を求め，ダイゼイン溶液の濃度に依存して，減少していることがわかった。

3-145

Method to Explore Odor Components using Olfactory Receptor Response

◎Yuzhi Wang・Takamichi Nakamoto（東京工業大学）・Hiroaki Matsunami（Duke University）

Olfactory display obtains a specific odor by mixing several odor components. In order to reduce the size and weight of the olfactory display, the odor components are required to cover more diverse odors. In this study, we used mouse olfactory receptor response data. Then, we analyzed the relationship between mass spectrum and OR response through nonlinear regression, and obtain the OR response to odor components in the simulation.

3-146

独立成分分析を用いた香気成分マススペクトル抽出方法の検討

柏木雄介・◎プラセティアワンダニー・中本高道（東京工業大学）

筆者らは，質量分析器（MS）を使用し多様な香りを表現する要素臭の研究を行っている。しかし，香気サンプルには香りを長時間持続するために無臭の保留剤が含まれていることがあり，その影響を除いて香気成分のみのマススペクトルを得る必要があり，独立成分分析（ICA）でその抽出を行った。前報では独立成分（IC）の数を与えていたが，本報では与えた数が実際と異なる場合に出る影響を調査した。

3-147

Extraction of Perfume Mass Spectrometry with Independent Component Analysis

◎Dani Prasetyawan・中本高道（Tokyo Institute of Technology）

Odor sense is one of the essential senses in living things. Odorant stimuli also become an indispensable part of daily human life. Hence, there are a wide variety of odorant samples available to be obtained. However, chemical compounds (fixatives) are included to achieve shelf-time. Those fixatives are odorless and can cause interferences in odorant analysis, especially when using mass spectrometry. Therefore, it is essential to extract the mass spectrum of odor samples separated from interferences of fixatives for odor analysis.

3-148

Inverse method to predict Mass Spectrum for binary Odor Descriptor using Machine Learning

◎Tanoy Debnath・Takamichi Nakamoto（Tokyo Institute of Technology）

Most of the olfactory perception works focus on forward prediction of odor impression, for example, given an odorant molecular structure predict its odor impression. So far, mapping of mass spectrum space into the odor perception space (binary or continuous sensing space) has been successfully performed. However, it is difficult to predict odorant's molecular structure associated with binary odor descriptor (e.g., peach, vanilla etc.). We have proposed an inverse method to predict the corresponding mass spectrum features for a given binary odor impression although one-to-one relationships are not usually guaranteed. Our target is to extract the scent data for a given odor descriptor.

3-149

給排液モニタリングのための小型核磁気共鳴センサによる水素イオン微小信号検出方法の検討

◎三浦健太郎・大河原誠一・平野陽豊・大多哲史・二川雅登（静岡大学）

近年，農業分野では高栄養価，高機能性野菜の需要が高まっている。培地中の栄養素を管理するため，給液や排液の各種イオン濃度などをリアルタイムにモニタリングする手法が求められている。我々のグループでは，NMR（核磁気共鳴）を利用した液中のイオン検出センサの開発を目指している。本研究では，養分液供給・排出ホースの周りに直流磁場印加用の永久磁石や交流磁場印加用のコイルを配置して水分量とイオン量の計測を実現することを最終的な目標としている。本稿では初期研究として，ホース内の水のNMR信号の検出方法を検討し，この水素イオン微小信号を観測することに成功したので報告する。

3-150

化学センサによる水産食品照合システムの構築を目指した基礎的検討

◎合田元清（北日本港湾コンサルタント/北海道科学大学）・野村明弘（北日本港湾コンサルタント）・小島洋一郎（北海道科学大学）

本報告では，北海道の特産品となり得る水産食品を対象に，近年，多く製品化されているアミノ酸を対象とした化学センサの利用を念頭とした照合可能性について報告する。具体的な検討として，水産食品418種に含まれる19種類のアミノ酸含有量を用いて製品種類についての判別分析を実施した。その結果，ロイシンまでの4種類であれば正判別率は63.9%であるが，アルギニンを加えた5種類から大きく正判別率は向上し77.3%と8割を越える。イソロイシンの10種類までを対象とした場合では9割を越え，アミノ酸の含有量により水産食品の「製品種類」であれば照合可能であることを示唆した。これより，アミノ酸を用いた水産食品の照合可能性を見出すことができた。

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3Dプリンタによる導電性フィラメントを用いた曲げセンサ開発

◎松永侑樹・相良拓也（東京都立産業技術高等専門学校）

現在3D プリンタは広く普及しており，宇宙機器や災害現場，医療現場などの様々な分野で応用されている。熱溶解積層方式方式3D プリンタでは，造形方法が単純なため，様々な材料を扱うことができる。この特徴を生かして，安価で手軽に生産できるセンサの設計が可能である。本稿では，3D プリンタで出力する際によく用いられるポリ乳酸（PLA: Poly Lactic Acid）に導電性物質を添加した導電性PLAと，導電性熱可塑性ポリウレタン（TPU: Thermoplastic Polyurethane）を用いてセンサとしての応用可能性の模索について報告する。

3-152

二つのひずみゲージを搭載したカンチレバー型MEMS触覚センサ

◎岡固 創・髙橋佑司・安部 隆（新潟大学）・野間春生（立命館大学）・寒川雅之（新潟大学）

本研究では，触覚センシングの高精度化のため，カンチレバー型MEMS触覚センサにおけるひずみゲージの設計を改良し，新たに設計したセンサの力に対する応答評価を行った。改良設計に関しては，力検出部であるカンチレバーの固定端左右二箇所にひずみゲージを配置し，センサの高感度化およびカンチレバーのねじり影響相殺を狙った。実験の結果，新設計センサの垂直・せん断荷重に対する感度向上を確認した。また，カンチレバーを横切るせん断荷重に対しては，左右のひずみゲージで逆の応答を示した。したがって，新設計センサは左右のひずみゲージ出力を組み合わせることで，センサ感度向上とねじり影響相殺を両立できることが示された。

3-153

高感度化座屈撓みダイアフラム上圧電 MEMS 超音波センサの座屈撓み量と強誘電的保持特性

◎近藤里穂・末高知弥・山下 馨（京都工芸繊維大学）

ダイアフラムを座屈させ静的撓みを導入すると高感度となるダイアフラム型MEMSデバイスを開発している。先の報告で初期撓み量がある程度以上で感度が低下することが報告されている。今回は初期撓み量に対して電圧印加後の撓み量の変化が異なる挙動を示していたことを報告する。結果として，初期撓み量がある程度大きくなると分極が失われる速さが短くなり圧電性能の劣化が見られることが示唆された。また境界となる初期撓みが先の報告でのセンサ感度の低下の範囲と概ね一致した。