一般講演

3-013

REMONセマフォにおける獲得待ちタスク管理機能の提案と評価

◎吉岡よつ葉・南角茂樹（大阪電気通信大学）

現在，家電製品や自動車などの，多くの製品に組み込みシステムが使用されている。組み込み製品の開発においてはRTOSを使用することが一般的であるが，RTOSは，OS自身の処理を実現するための割リ込みによって，最悪実行時間の見積もりが困難になるという問題がある。REMONを用いることで，この問題は解決できる。REMONとは南角茂樹氏が開発したシングルプロセッサーに対応したリアルタイム組み込み簡易モニタである。本研究では，REMONで実現されたセマフォと同等の機能を持つREMONセマフォにおいて，待ちタスクの複数化，並びに優先度順での実行再開について提案および検証を行い，組み込みシステムにおけるシステム設計の自由度の向上を図る。

3-014

REMONにおけるICB探索時間の均一化の提案と評価

◎石井優輝・南角茂樹（大阪電気通信大学）

現在，家電製品や自動車など，多くの製品に組み込みシステムが使用されている。組み込み製品の開発にはRTOSを使用することが一般的であるが，RTOSはOS自身の処理を実現するための割り込みによって，最悪実行時間の見積もりが困難になる。この問題は，南角茂樹氏が開発したREMONというシングルプロセッサに対応したリアルタイム組み込み簡易モニタを使用することによって解決できる。本研究では，REMONに搭載されたCPUのコンテキストやISRの状態を保存するICBという領域において，最高優先度のISRの探索にビットマップと適用し，各優先度の探索時間の均一化を図る。

3-015

REMONスケジューラの機能向上の提案と評価

◎出原壱星・南角茂樹（大阪電気通信大学）

現在，電化製品や自動車などの日常生活でよく目にする殆どの製品は一般的に組み込みシステムが用いられている。組み込み製品の開発においてはRTOSを使用することが一般的であるが，RTOSは，OS自身の処理を実現するための割リ込みによって，最悪実行時間の見積もりが困難になるという問題がある。REMONを用いることで，この問題は解決できる。REMONとは南角茂樹氏が開発したシングルプロセッサーに対応したリアルタイム組み込み簡易モニタである。本研究では，アイドル状態を備えた提案方式のREMONスケジューラについて提案および検証を行い，処理速度の向上を図る。

3-016

心拍パターンによる効果推定に基づく楽曲推薦システムの提案と評価

◎福地圭輔・中島 毅（芝浦工業大学）

心拍から求められる交感神経，副交感神経を利用し，感情推定を行い，ユーザが求める感情変化を起こさせる楽曲を提案するシステムの実装と評価を行っています。楽曲聴取後に，再度心拍数を読み取り，目標感情との距離をフュードバックさせることでより感情変化を起こすことを可能とした提案にします。

3-017

非機能テストの実施と品質評価のための枠組みの提案とそのシステム実装

◎福田怜哉・中島 毅（芝浦工業大学）

非機能テストとは，機能以外の，性能や保守性，セキュリティといった品質（非機能要件）を確認するテストのことである。非機能要件は，機能要件と共に，ソフトウェア開発における最も重要な要件である。非機能要件の達成を確認する非機能テストも同様に重要となってくる。非機能テストは多くの種類があり，ネット上では品質特性/副特性とテストが対応づけられた表が数多く散見される。しかしこれらの表の情報だけでは，品質評価を行うためには不十分である。そこで本研究では，非機能テストを実施し，その結果を品質評価に結びつけるサポートを行う枠組みとして「非機能テストカタログ」の提案を行い，その枠組みを支援するシステムを実装する。

3-018

機械学習を利用した影響分析とOSS適用可能性への評価

◎加藤健太・中島 毅（芝浦工業大学）

本稿では，先行研究が提案する機械学習を利用した影響分析について，OSS上に存在する複数のプロジェクトに手法の適用を行うことにより，プロジェクトの履歴データの量と推定精度との関係性の調査，分析を行なった。評価方法には網羅範囲比率と網羅範囲正答率という二つの評価指標を用いて推定を行い，選出するプロジェクトには，日本語と英語が混在しており，分野の重複を避けて選別した。その後，複数のプロジェクトに対して履歴データの量と網羅範囲比率，網羅範囲正答率との関係について示し，プロジェクトの履歴データの量と推定精度には相関関係が見られることを示した。

3-019

学習時認知活動とFmθ波の多人数同時計測

◎上野聡太・金 義鎭・加藤和夫（東北学院大学）・金 惠鎭（日本大学）

本研究の目的は，廉価で装着性に優れたMindWave Mobile 2を用いて多人数同時脳波計測システムの開発を行い，精神作業中に出現するFmθ波と学習時認知活動の関連性を見出すことである。 実験は，成人8名を対象に学習に関連するタスク5つを，日による変動を考慮し5回行った。測定箇所は，頭皮が髪で隠れないAFzを用いた。分析では，得られたデータにSTFTを行い，5回の帯域パワーを平均した。その後Z-scoreを施し，多重比較で分析した。 その結果，タスク間でAFzのFmθ波の差異を計測できた。加えて，計測にかかる時間が従来と比べて75%削減された。従って，提案システムにより多人数同時に集中と非集中が分類でき，学習時の知的活動評価への活用が期待できる。

3-020

タンジブル教材を用いたプログラミング学習環境の提案

○加藤利康（日本工業大学）

近年，手で触れて目で見て理解を深めるプログラミング教材が注目されている。このようなタンジブル教材は学習者の論理的思考力を向上させると言われている。本研究の目的は，タンジブル教材を用いたプログラミングの授業中において学習者の間で共通してつまずいているポイントを指導者に知らせて授業を支援することである。提案するタンジブル教材は，プログラムに対応させたQRコードのカードを製作し，それをタブレットのカメラで読み取ってmicrobitで実行するものである。QRコード内に学習の進捗を示すコードを埋め込んでおくことで，指導者は学習者の進捗状況をリモートで確認することができる。大学生10名で試用評価を行ったので報告する。

3-021

OpenPoseによる採血手技における看護師教育支援

◎斉藤圭哉（東海大学）・千葉美果・蔵本文乃（東海大学医療技術短期大学）・髙栁朋恵（神奈川工科大学）・山口由子（東海大学医療技術短期大学）・濱本和彦（東海大学）

看護師教育において，特に採血技術は教育が難しい手技である。一方OpenPoseとは，映像から人物の関節の動きを可視化・数値化できる手法である。本研究では，採血技術の教育へOpenPoseを利用する事を検討する。看護師と看護学生の採血動作時の各関節の動きをOpenPoseにより数値化した。採血動作時は右手で注射針を固定しており，右半身の動きは小さいという仮説が立つ。看護師の右半身の動作は仮説を証明する結果となったが，看護学生は右肩，右手首，右肘の上下動，右手首の左右の動きに看護師より大きな動きが見られ，特に右肘の上下動に有意な差があった。この結果，注射針固定側の腕の肘の上下動を意識した教育が必要である事が示された。

3-022

VRによる脳血管カテーテルの手技訓練シミュレータに関する研究

○ウ ジャリゲン・濱本和彦（東海大学）

本研究では，血管モデルを3DCGモデリングソフトであるMayaを用いて作成し，UnityでVRコンテンツを開発する。カテーテルモデルは，小カプセルモデルを連結することで実現する。カテーテル挿管操作および反力提示はGeoMagic Touchにより実現する。

3-023

スマートメーターデータ分析プラットフォームによるDXの推進

○轟木 隼・岩淵宏信・安田幸弘・原田朋美・大塚康弘・角崎宏一・市丸 諒（九州電力）

当社は，新たな事業による市場の創出を通じて，地域・社会とともに発展していくためのデジタルトランスフォーメーションを推進している。今回，全戸への設置完了を約1年後に控えたスマートメーターの使用電力量30分値データを分析するプラットフォームを開発したため，その概要とシステム構成を示すとともに，実際の活用事例として，独居高齢者向けみまもりサービスについて紹介する。また，今後の展望として，本プラットフォームの価値向上と活用事例の拡大に関する方針を紹介する。

3-024

アジャイル開発における品質ダシュボードの情報ニーズの提案

◎Tselmeg Battulga・中島 毅（芝浦工業大学）

世界中でアジャイル開発が広い囲で利用されている。しかし，アジャイルで開発では品質達成が十分できないのは課題になっている。この研究では，アジャイルにおける，品質管理に支援できる，品質管理支援手法の開発を狙い，品質ダシュボードツールの情報ニーズの提案する。情報ニーズとは品質ダシュボードを通じて，対象製品の品質を管理するために，必要な情報である。つまり，ユーザとチームメンバーが適切に品質管理できるためには，どんな品質情報が重要であるかを表わす。関連研究である，品質デジタルツインシステムによる，実験と評価を行う。

3-025

詳細設計書を用いてプログラム変更部分の候補を推薦する手法の提案

◎川畑徹平・中島 毅（芝浦工業大学）

近年のソフトウェア開発の特徴として流用開発や保守開発が多い点，開発中の仕様変更の影響がわかりにくい点があり影響分析が重要である。影響分析とは，変更要求を実現する際，その影響が及ぶ範囲を決定する作業のことである。この問題に対して影響分析を過去の変更履歴を学習して変更要求文から影響範囲のコンポーネント候補を直接予測するシステムが提案されている。しかし候補の推定精度が低いという課題点がある。本研究では，精度の改善のため詳細設計書と変更要求文との類似度を取得し，類似度を先行システムに組み合わせたシステムを提案する。

3-026

アジャイル開発に向けたユーザ指向品質ダッシュボードの提案

◎大谷真由・中島 毅（芝浦工業大学）

アジャイル開発は顧客に見えにくい非機能要求が軽視されやすいという問題がある。そこで品質マネジメントにデジタルツインの考え方を導入した品質デジタルツイン構想が提案された。本研究ではその中の品質ダッシュボード機能に焦点を当て，より具体的な提案を行う。品質デジタルツインはSQuaRE品質モデルに基づく品質状態モデルを持つ。品質ダッシュボードは品質状態モデル編集機能，品質評価機能，ダッシュボード表示機能から成る。表示方法を検討する予備実験を行い，ダッシュボードのレイアウトを決定した。レビューにより提案システムの評価を行ったところ，情報取得には有効性を確認できたが，操作性の改善が必要であるとわかった。

3-027

ライトレンダリングを用いたVR環境における光源と視覚的快適さの関係に関する研究

◎趙 昱程・濱本和彦（東海大学）

この研究では，VR環境内での照明のタイプが視覚的な快適性に与える影響を検討します。3つの照明タイプを用いて実験を行い，それぞれ自然照明，普通照明，反射型照明です。自然照明は左側の窓から差し込む太陽光を再現しています。普通照明は天井から下を照らす通常の照明を模したものです。反射型照明は天井の照明を直接壁面に投影して室内を照らすことで周囲の明るさを再現している。このVR環境をユーザに体験してもらい，アンケート調査を用いて，各タイプにおける快適な明るさについて検討を行う。

3-028

東洋医学における腹診教育のためのバーチャル生体シミュレータに関する研究

◎成田勇志・濱本和彦・野上達也（東海大学）

現在の腹診教育では，医師が口頭で診察方法を説明し，学生を患者に見立てて診察する教育である。しかしこれでは，医師と学生の間で感覚の差が起きてしまう。また，実習における対人関係や実習環境により，学生の実践能力低下が指摘されている。さらに，腹診シミュレータは一つ一つが高価で，実習するためのスペースや，保管するための広いスペースが必要になる。これらのデメリットを改善するために本研究では，先行研究でのバーチャル腹診シミュレータの問題点を改善し，ソフトウェアとデバイスのみで被験者と費用を必要としない，バーチャル腹診シミュレータを開発する。最終目的として，ソフトウェアの切り替えのみで，多くの医学技術を学ぶこと出来るようにする。

3-029

AR環境における生態学的認知に関する研究

◎小島辰城・濱本和彦（東海大学）

VR/AR技術を現実の活動に適用する際に，生態学的認知が明確でない状態は危険である。仮想環境で得られた生態学的認知にズレがあると，それを起因として現実で思いもよらない事故を引き起こす可能性がある。本稿では，現実環境とAR環境で生態学的認知が異なるかどうかを比較した。結果として，光学シースルー型デバイスでは現実環境と同様の活動ができることが確認されたが，ビデオシースルー型デバイスでは現実との認知のズレがあるため，活動中に現実との認知のズレを考慮する必要があることがわかった。

3-030

SDNを用いたサーバーファームの負荷分散方式

◎松村太希・名倉綾人・銭 飛（関東学院大学）

背景：近年インターネットの普及に伴い利用者が増加している。それに従いネットワークサービスへのリクエストも増加している。それにより，応答が遅くなったり，接続が低下したりすることでサービス低下を招きかねない。目的：本研究は安価で柔軟なソリューションを提供するネットワークのプログラマビリティと集中制御を可能にする新しいパラダイムであるため，従来のロードバランサの制限に対し有望なソリューションを提供することを目標としている。方法：本研究ではPOXコントローラに負荷分散制御機構を取り入れ，稼働状況に応じて，サーバーファーム内へのフロー誘導を実現する。結果：提案したシステムでは，専用デバイスが必要はなく，負荷分散ポリシーを柔軟に調整することができる利点を持つ。考察：今回，単一コントローラを用いた実験検証を行った。FTT（Fat Tree Topology）を利用したデータセンターでは，サーバーファーム内のスイッチ台数が増加するので，コントローラの分散化をすることでより良い結果が得られるであろう。

3-031

SDNを用いた大規模DDoS攻撃防御システムの構築に関する研究

◎名倉綾人・銭 飛・松村太希（関東学院大学）

情報エントロピー検出法を利用したDDoS攻撃の検出機能と自組織内に存在する踏み台の検出機能を備えた防御システムの構築を目指している。 攻撃の検出部と踏み台の検出部という2つの部分から構成さている。攻撃検出部は情報エントロピー検出法，踏み台検出部は送信元IPアドレスを偽装し大量のパケットをターゲットへ送信する仕組みとなっている。 情報エントロピー検出法を利用した検出機構と送信元IPアドレスフィールディング機構を実装することにより，自組織のシステムを守りながら，他者への攻撃の助力を減らすことが期待できる。 検出精度の改善と自組織内の踏み台数の増大によるコントローラの処理負荷が増大する問題を検討する必要がある。

3-032

履歴データを用いた通信網保守効率化手法

◎上田雄大・貝崎修治・石松博文・福田正巳（九州電力）・山本勝志・佐藤慶介（ニシム電子工業）

通信ネットワークの障害発生時に，運用監視システムから出力される障害概要や上記障害に対する対応概要をトラブルチケットとして記録しておくことで，後の障害対応時に有効活用できる。 今回我々は，障害が発生した際，過去のトラブルチケットのうち文面が類似したものを抽出する新たな手法として，単語の属性を考慮した共起ベクトル，重み付き共起ベクトルを用いた手法を提案した。 今後はより汎用的な言語モデル等の適用を検討し，障害の対応方法などより詳細な情報を運用者に提供する方法について検討を進める。

3-033

時間前市場電力取引のための価格配慮型風力発電短期先予測に関する検討

◎盧 慧敏・藤本 悠・林 泰弘（早稲田大学）

風力発電短期先予測は，売電計画の作成支援，電力供給時のインバランス低減に重要な役割を果たす。関連する研究の多くは平均予測精度の観点における有効性が謳われているが，風力発電は出力変動が大きい電源であるため，発電事業者は依然として計画値と実績値の誤差によるインバランスペナルティを常に念頭に置く必要がある。そのペナルティは基本的に計画値と実績値の差分とペナルティ単価によって定まるが，特に当該タイミングの電力市場価格から直接的な影響を受ける。価格が高騰するとインバランスコストもそれに従って高くなる傾向があるため，そのタイミングにおいては特に高精度な予測が望まれる。本研究は，風力発電の平均予測精度を一定程度確保しつつ，特に電力価格高騰時に極力高い予測精度を実現することを目指した価格配慮型風力発電予測の枠組みを検討する。

3-034

データ分布を考慮した反事実的説明法の高速化

○桐生智志・鈴木 聡・新井 馨・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

AIを活用したプラント自動運転の実現するためには，過去の実績データと類似した操作が計算されることが望ましい。このような計算を実現する方法としてデータ分布を考慮した反事実的説明法（DACE）が提案されている。本論文ではプラントへの実適用を進めるためDACEの高速化改良を行った。

3-035

自販機コラム最適化問題への複数集団進化計算手法の適用 －静的複数集団の効率的な探索の分析－

◎政平龍亮・福山良和（明治大学）・渡辺拓也・村上賢哉・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

本論文では，自販機コラム最適化問題に対して，著者らが提案し，有効性を確認した複数集団を用いた改良型Monkey Algorithmが1集団型の改良版Monkey Algorithmよりもどのような観点で効率的な探索を行っているかを1集団，複数集団の最良解及び標準偏差の推移の推移をみることで分析した。

3-036

自動販売機コラム最適化問題への複数集団進化計算手法の適用 －動的複数集団を用いた改良型Discrete Spider Monkey Optimizationのパラメータ感度解析－

◎原 勇輝・福山良和（明治大学）・渡辺拓也・村上賢哉・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

配送コストなどの観点から自動販売機の補充周期を長くすることが重要になる。商品の補充は売切れ期間が最も短い商品に合わせて行う。そのため，売切れ期間が最も短い商品の売切れ期間を長くする必要があり，自動販売機のコラム最適化を行う必要がある。以前著者等は，自販機コラム最適化問題への適用において改良型Discrete Spider Monkey Optimizationの提案を行い，解の質の向上を確認した。そこで本論文では，自動販売機コラム最適化に対する改良型Discrete Spider Monkey Optimizationのハイパーパラメータ感度解析を行う。

3-037

瀬戸内圏域における海上タクシーのための最適経路探索アルゴリズムに関する検討

◎塩尻遼太・村上幸一・徳永秀和・木村祐人（香川高等専門学校）

瀬戸内圏域，特に瀬戸内海に位置する島々は今日，世界的に有名なアートサイトとして国内外から注目を集めている。瀬戸内圏域における離島航路の乗降人員は年間200万人を超えるまでに増加しており，海上交通手段の需要が高まっているといえる。2019年に開催された「瀬戸内国際芸術祭」では総来場者数が過去最多の118万人を突破している1これに伴って瀬戸内の島々を巡るための，時間に融通が利く海上輸送の需要が高まっており，その1つとして小型のチャーター便である海上タクシーがある。海上タクシーの航行では経路を決定する際に考慮すべき潮流や波浪は時々刻々と変化する潮流や波浪の影響をどの程度受けているかを感覚のみで判断をすることは難しいさらに最短距離経路が必ずしも最短時間経路にならない場合も多いそこで本研究では，出発港から目的港までの環境的要因などを考慮した最適経路を求めるアルゴリズムについて検討する。

3-038

貪欲法に基づいた巡回セールスマンアルゴリズムの評価と改良

◎杉本拓哉・阿部 昇（大阪電気通信大学）・山口一章（神戸大学）

近年，Sharmaらは動的に変化するグラフに対する4つの巡回セールスマンアルゴリズムを提案した。本研究は，そのうちの1つであるDg-TSPについて，評価および改良手法の提案を行うものである。評価の際には，整数計画ソルバーによって得られる最適解との比較を行う。そして，計算機実験により，いずれの手法も十分に高速であり，かつある程度よい巡回路が求められることを示す。また，改良Dg-TSPが，Dg-TSPに対して実行時間を大きく損なうことなく結果を改善することも示す。

3-039

乱数による進路の組み合わせを用いた運転整理案作成の検討

小田切飛馬・○香取照臣（日本大学）

鉄道のダイヤ乱れ時に計画ダイヤに戻していく運転整理案を，進路を乱数により選択して作成する方法を検討した。本手法は総当たりによる方法と比較して，路線長が長くなっても計算時間がそれほど長くならない利点を持つ。

3-040

電動車椅子を用いたコミュニケーションへの適応制御に関する一検討

◎星 草汰・古堅飛向・津波 琉・長嶺優人・伊敷慎之介・亀浜博紀（国立沖縄工業高等専門学校）・中平勝子・原田宗玄・守屋駿佑（長岡技術科学大学）・中平勝也（国立沖縄工業高等専門学校）

日本社会の高齢化と地方の過疎化が進んでいる背景において，地方の高齢者が電動車椅子を利用する機会が高まっており，電動車椅子の需要が年間7%高まっている。高齢者の心身の健康を保つ上で，高齢者のコミュニケーションは重要である。しかし，電動車椅子の操作をしながらコミュニケーションを取ることは難しい。そこで我々は，コミュニケーションに適した電動車椅子の自動制御を目指している。本稿では，その開発内容と実験結果について述べる。

3-041

山間部における自立監視システムの開発

◎佐藤蒼空・石田桃ノ介・杉村 博（神奈川工科大学）

本論文では，長野県の上高地で行われている小水力発電システム開発プロジェクトにおいて，取水を行っている沢での取水パイプ・取水フィルターで発生する問題を早期発見するため，山間部でも自立稼働する監視システムの作成を行った。監視システムの作成には，太陽光パネルやバッテリー，制御コンピュータと通信モジュールが防水ボックス内で一まとめになっている「Pi-field」を使用した。一定時間ごとにカメラで撮影した写真を4G通信でサーバに送信し，WEBページ上でユーザ自身がサーバ上にある写真を選択して表示させることで確認ができるようにした。

3-042

HEMS-Logger：簡便な導入を目的とした電力みえる化ツール

◎栗栖優里奈・望月海久斗・杉村 博（神奈川工科大学）

本稿では，新規契約や工事を必要とせずにマルチプラットフォームで利用可能な電力みえる化ツールを開発した。電力見える化を提供する既存サービスは，企業ごとに異なる契約や工事が必要となり，導入が複雑であることや金銭的コストがかさむという問題点がある。そこで所持しているPCにWi-SUNドングルを追加するだけで，スマートメータから直接電力情報を取得して見える化するツールを提供する。Windows，Linux，MacOSで利用できるマルチプラットフォームとしてパッケージ化したことで幅広く利用可能とした。開発した見える化画面に関して，ユーザビリティの確認のためのアンケートを実施し，8割の被験者から導入したいという意見を得た。

3-043

肘角度と球質を基にしたスライダー分析

◎大関克歩・古堀廉大・杉村 博（神奈川工科大学）

本研究では野球のスライダーの球質と肘角度の関係を分析するシステムを製作した。スライダーのピッチング時に投球フォームを撮影するとともに，MAQとRapsodoを利用して球質データを記録する。撮影した映像の関節点をOpenPoseで取り出し，肘角度を算出するプログラムで算出したのちに，球質データとの回帰分析をする。実際に被験者6人分の解析結果から，肘角度が広くなるにつれて球速が上がり，変化量は肘角度が狭くなるにつれて大きくなる事が分かった。ただし，両結果ともに決定係数を見てみると強い影響を与えていない可能性がある。構築したシステムと分析発見について報告する。

3-044

分散アンサンブル学習による複数IDS間の協調

◎小村 武（埼玉大学）・松本倫子・吉田紀彦（立正大学）

クラウドサーバにおける負荷が増大している問題に対し，Edge Computingと呼ばれる負荷分散の方法がある。Edge Computingが普及していく中で，ネットワーク間でのセキュリティについても考慮する必要があるが，既存の侵入検知システム（IDS）はネットワーク間をまたがる運用に対応しておらず，検知能力が賄いきれないといった問題がある。これに対応するために複数のIDSが連携して動作する協調型IDSと呼ばれるものがあるが，現在主流となっているアノマリ型のIDSに対応したものは現在存在していない。そこで本研究では，アノマリ型に対応した協調型IDSの設計を行い，IDS間の連携手法としてランダムフォレストを用いたものを提案する。そして，単一のIDSの動作と比較し効果を検証する。

3-045

コンテンツ配信ネットワークのSDNによる動的負荷分散

◎飯浜夕貴（埼玉大学）・松本倫子・吉田紀彦（立正大学）

CDNは，世界中に分散して配置されたサロゲートサーバから目的とするコンテンツにアクセスすることで，オリジンサーバーの負荷を削減し，コンテンツの配信を高速にすることができる。しかし，オリジンサーバの負荷分散を行うことができるが，サロゲートサーバの負荷の偏りが生まれてしまう。 従来はDNSの書き換えやロードバランサなどでこの問題を解決していたが，本研究では，CDNにSDNを用いて負荷分散を行う仕組みを提案する。インターネット内にこれが細かく分散することで柔軟かつ統合的に負荷分散を行うことを目的とする。Mininet上で仮想トポロジの実装を行い，Ryuコントローラを用いてシミュレーション実験を行った。

3-046

Raspberry Piを用いた中間バッシング通知システムの提案と検証

◎早川嘉一・南角茂樹（大阪電気通信大学）

昨今の飲食店においてクレームの改善やサービスの向上，人件費の削減に関して発生する課題は避けて通れない。例えばバッシング（皿を下げる行為）回数が比較的多く発生する食べ放題などの飲食店では，「スタッフに見られているような気がして落ち着かない」，「店員に会話を聞かれているような気がして気持ちが悪い」等といったクレームが問題視されている，そこで本研究ではRaspberry Piと重量センサを用いて中間バッシングのタイミングを自動で通知するシステムを提案する。バッシングのタイミングを通知することで巡回数の削減，スタッフから客に対してバッシングのタイミングを見計らう視線などを軽減し，ストレスなく飲食が行える環境の構築と巡回の廃止による業務の削減と人件費の削減を行う。

3-047

振動データから危険箇所を推定する電動キックボードの安全運転支援システムの提案

◎小林 光・中島 毅（芝浦工業大学）

本研究では電動キックボード運転中の進路に潜む危険を振動情報と速度情報を用いて検知・分析を行い，運転者に通知を行うことで，危険箇所での安全運転を促し，電動キックボードによる事故を未然に防ぐシステムを提案・評価することを目的とする。 予備実験で得たデータとアンケート結果から悪路と段差を電動キックボード運転中における危険箇所と分類し，それぞれ決定した推定パターンを用いて検出可能とした.検出した地点の座標とその地点が段差か悪路かをデータベースに記録しユーザの進路上に危険箇所が存在する場合その地点の情報を取得し通知を行うシステムとした。

3-048

ロード詳細情報からの疲労度推定に基づくサイクリング計画支援システム

◎増井祐貴・中島 毅（芝浦工業大学）

自転車事故の要因である疲労による注意力低下を防ぐため，サイクリングによる疲労度を推定し，自転車事故を抑制するサイクリング計画支援システムの提案を行う。疲労度を推定するため，自身の走行能力と経路の勾配データからサイクリング終了時の比論的な疲労度を把握する。また，推定した疲労度と実際にユーザが感じる疲労度結びつけ，システムとしての有効性を評価する。

3-049

異なるVR環境における自動運転車に対する歩行者の対応

◎楊 皓宇・水谷賢史（東海大学）

Researchers have long focused on the effects of the physical design of roads and intersections on the frequency and severity of pedestrian-vehicle accidents. In order to explore the interaction behavior of pedestrians and autonomous vehicles (AVs) in a typical street environment, we designed virtual reality (VR)-based experiments to explore the decisions made by pedestrians facing AVs in the street at various time periods. The environments for this study focused on cities, but invariably on narrow roads. Through VR experiments, we believe that we can obtained objective and accurate records of pedestrian behavior, thus improving the level of understanding and prediction of complex pedestrian behavior.

3-050

センサ情報に基づく拡張現実を用いた遠隔操縦システムに関する研究 －提示オブジェクトの透過率の変化による操縦への影響－

◎手嶋龍也・道木加絵（愛知工業大学）・舟洞佑記・道木慎二（名古屋大学）・鳥井昭宏・元谷 卓（愛知工業大学）

我々は，HMDと全天球メラを用いて，3D LiDAR情報に基づくAR映像を操作者に提示する遠隔操作システムを提案している。本論文では，LiDARから得られる点群情報をボクセルフィルタに通すことで，点群自体の数を減らし，従来の手法で問題となっていた物体の重なりやブレ，ちらつきを抑制した結果を示し，新たに生じた提示オブジェクトの警告効果の減少や視認性の低下などの問題に対しオブジェクトの透過率を低下させることで解決を目指す。小型ロボットの遠隔操縦での被験者実験によりオブジェクトの透過率の変化が操縦者に与える影響についてロボットの挙動と操縦者が感じる負荷の観点から明らかにする。

3-051

知的環境認識によるネットワーク負荷推定を用いた通信プロトコル切替の効果

◎高倉基起・杉浦彰彦（静岡大学）

従来，特定エリア内に限定した通話を行うエリアIPフォンにおいて，多接続により発生する輻輳の回避法について検討が進められてきた。TCPとUDPを比較する通信プロトコル別性能評価においては，特にトラフィック高負荷状況においてUDPにユーザの体感品質的優位性が現れた。しかし，従来実験で使用したマルチポートサーバではポート毎のリソースの差が問題点として挙げられる。そこで本研究では，通話実験に単一ポートサーバを用い，ネットワークに負荷別の品質評価を行った。結果，従来と同様に高負荷時におけるUDPの優位性が判明した。加えて，クライアントの知的環境認識によるネットワーク負荷検知と，通信プロトコル自動切替ついて検討を行った。

3-052

FPGA実装のためのオープンソースRISC-Vコアの比較

◎鹿野貴義・市川周一（豊橋技術科学大学）

評価基盤としてのMIPS ISAはライセンスの制約が厳しいため，現在，オープン標準であるRISC-V ISAへの移行を進めている。RISC-Vコアの多くはオープンソース化されているが，実装環境・記述言語が異なるため目的に応じて選ぶ必要である。本研究の目的は，低価格のFPGAに実装可能なRISC-Vコアを調査し，今後の研究のための評価を行うことである。RISC-Vコアを実装するボードとして，Digilent社のArty A7-100を採用する。Arty A7-100に実装可能かつ64ビットISAとしてRocketとSHAKTI C-Classを評価した。

3-053

oLLVMとBambuを用いたハードウェア難読化の検討

◎小倉幹也・市川周一（豊橋技術科学大学）

ハードウェア上の知的財産（IP）の保護は企業にとって重要である。IPを保護する方法の一つに難読化がある。高位合成（High-Level Synthesis，HLS）を利用してアルゴリズムレベルで難読化を適用することで，ハードウェア難読化プロセスを自動化する研究が行われている。本研究の目的は，LLVMベースの難読化ツールObfuscator- LLVM（oLLVM）と高位合成ツールBambuを組み合わせ難読化されたハードウェアを生成することである。本研究ではoLLVMを用いてCHStoneベンチマークに3種類の難読化を施し，高位合成ツールBambuで生成されたハードウェアの面積と速度を求めた。

3-054

NOTゲートを用いたLFSRの共有方法の検討

◎東海林拓人・市川周一（豊橋技術科学大学）

回路面積が小さい設計手法の一つとして，単純な論理回路で算術演算を実装できるストカスティックコンピューティング（SC）が挙げられる。SCではストカスティック数（SN）を用いて計算する。本研究の目的は次のとおりである。（1）回路面積を抑えるために，1つの線形帰還シフトレジスタ（LFSR）を複数のストカスティック数生成器（SNG）で共有する方法を比較検討する。（2）どのような関数を計算する際に提案したSNGの共有方法が適しているかを検討する。

3-055

AIを用いた配電機材外観検査

◎細井通成・下村好亮・古川直樹（ダイヘン）

従来，配電機材の一つである碍子において，外観検査は目視にて一つ一つ判定する方式が一般的であるが判定に時間を要し，且つ，作業者の主観が入るため判定にもバラツキが生じるという課題がある。 本研究では，上記を解決する新たな検査手法として，AI画像診断システムの構築を試みた。碍子の不良事象をAIにて自動的に判別することにより，判定時間及び判定精度の向上およびスキルレス化の実現が可能であると考えられる。誤推論の原因となるハレーションを防止するための撮影環境を構築し，物体検出AIモデル（SSD）を構築し精度を確認したところ，正答率は約48%となり，欠け2以外の傷種別において良と推論する不良箇所の見逃しが多い結果であった。

3-056

インスタンスセグメンテーションを利用した電波発信源位置特定手法の開発

○井深真治・肥後明豪・冨永真司・梅津和眞・武田和夫・東馬場 徳・堀内岳人（ブレインズ）

RGBDセンサの2次元画像データに対し，DNNを用いたインスタンスセグメンテーションを適用することで電波発信源となり得る端末を特定し，対応する深度データに基づき各端末の3次元位置を特定する手法を開発した。RGBDセンサにMEMS型LiDARを利用することで，ToF型2次元センサと比較してロバストな深度情報取得が可能となった。また，物体検知DNNをインスタンスセグメンテーションネットワークに変更することで，DNNによる対象端末画像の前景・背景分離を実現し，RGBDセンサ深度情報との確実な紐付けが可能となり，良好な3次元位置特定結果を得ることに成功した。

3-057

電気工事・点検作業後確認における支援策検討

武村順三（中部電気保安協会）・◎今田有哉・竹内佑介・清水誠人・伊藤拓也・酒井佑梨・青木公也（中京大学）

電気設備は誤配線や操作ミスにより停電や火災等の重大な事故を招くため，接続や状態確認は識別表示を行い，複数名でチェックシートや写真を用い入念に確認する。一方，状態確認の対象箇所は多く，電気設備は年代や形態が多種多様で，需要家毎に独自のルールで施設されるため，停電時間短縮や労力の軽減が望まれている。これまで画像認識技術の差分処理等を活用した比較検査の課題を把握して，新たにDeep Neural Networkと画像処理を組み合わせたアルゴリズムの開発に取り組んでいる。Deep Learningと画像処理を組み合わせることでロバストに状態判別が行えることを確認した。今後の課題は変圧器，計量器，配線等の多クラス分類と機器毎に判別できる画像処理を検討する。

3-058

System Interface for Discrepancy Analysis between Image Captioning and Object Detection of an Image Region

◎Muhammad Farhan Maulana・緒方公一（熊本大学）

The development of image captioning to understand image context has recently gained traction. In our previous work, we developed an image captioning system that combined object detection and image captioning to allow users to move freely and select a part/region from an image to understand the context. We found some instances of discrepancies between the result of the object detection and captioning model. Evaluation of these discrepancies will help us improve the captioning result. Therefore, we determine some evaluation points of the discrepancies and design a system to aid us in pointing out those discrepancies efficiently.

3-059

船舶搭載ステレオカメラによる周辺船舶の位置計測実験

○山本茂広（神戸大学）・吉原広太郎（海技大学校）・橋本 岳（静岡大学）

船舶の自律運航化に向けて人間が目視で行っている見張り作業を自動化することを目的に研究を行っている。本稿では，実際に船舶にステレオカメラを搭載し，周辺船舶の位置計測実験を行った。まず，撮影した画像から深層学習を用いて船舶を検出した。その結果，5km以内の船舶は検出でき，ステレオ計測により位置も測定できた。しかし，やはり遠方になるほど計測誤差が大きくなるので，この実験結果では実用的な誤差で測れるのは3.5km以内の船舶であろうという知見を得た。また，1隻の船舶を追跡し連続して位置を計測する実験を行った。結果として，AISで得た対象船舶の位置情報と重なっており，実用的な精度で計測することができた。

3-060

量子化テーブルにより保持される周波数成分による誤認識パターンへの影響

◎石塚 樹（静岡大学）

本研究では，画像の周波数成分が顔画像認識に与える影響を明らかにし，誤認識パターンに適した周波数成分を保持する圧縮方式の提案を目指す。本実験では，高周波成分を削減し低周波成分を保持する圧縮方式と全周波数成分を均一に保持する圧縮方式の2種類を用いた。前者は人間の高周波成分の変化に鈍感な視覚特性を利用しており，一般的な量子化テーブルである。一方，後者はニューラルネットワークを用いた顔画像認識において有効な量子化テーブルである。複数のニューラルネットに対し，2種類の量子化テーブルを適用し，徐々に圧縮率を上げていき誤認識パターンを比較した。その結果，誤りパターンには同様な傾向があり，両量子化テーブルで共通な周波数成分が誤認識に影響を及ぼす可能性が示唆された。

3-061

機械学習に共通な誤認識パターンに着目した顔画像圧縮向け量子化テーブル

◎大澤 岳・杉浦彰彦（静岡大学）

本研究では顔画像認識用の画像符号化を行うため，顔画像認識の認識率は維持したまま，顔画像のデータ量を低減させることを目的とする。顔画像の圧縮率を上げていった際に，誤認識されやすい顔画像が存在することが明らかになっており，これらの顔画像への適切な符号量コントロールを行うことで，認識率を低下させずに顔画像の情報量を削減することを目指す。JPEG符号化が行われる際のDCT変換により得られる各周波数成分のDCT係数に着目し，DCT係数の値に応じて量子化テーブルを設定する手法を提案し，評価実験を行った結果，提案手法において認識率を向上させ，さらにファイルサイズの削減が可能であることを示した。

3-062

深層学習を用いたハクサイの位置検出に関する基礎検討

◎白井 光・景山陽一（秋田大学）・小山田和人（強首ファーム）

超高齢社会に突入した日本では，人手不足が深刻化している。特に，秋田県の主要産業である農業分野においては，新規就農者の減少等も重なり，人手不足が一段と深刻さを増している。一方，UAVデータを対象として，画像解析および機械学習を組み合わせた農作物の生育状況推定法は，少人数での管理に有用であると考える。本稿では，深層学習を用いたハクサイの位置検出について検討を行った。具体的には，様々なサイズのハクサイの特徴を学習するため，異なる高度で取得されたデータから学習データを作成した。さらに，YOLOv5を用いたハクサイの位置検出を行い，F値が0.76の精度で位置を検出可能であることを明らかにした。

3-063

ハイパースペクトルイメージングを用いた深層学習によるプラスチックの分類

◎竹内智之・白井 光・景山陽一・川村 茂（秋田大学）

日本の使用済み自動車は，年間およそ343万t処理されている。その内，およそ59万tが自動車シュレッダーダスト（ASR）として排出されている。ASRの約3割はプラスチックが占めており，石炭の代替燃料として期待されている。しかし，塩素含有プラスチックなどは，焼却時に有害な塩化化合物を生成するため，ASRに含まれるプラスチックを石炭の代替燃料として再利用するためには，精度の高い識別が不可欠である。そこで本稿では，ハイパースペクトルイメージングを用いたプラスチックの分類手法の検討を行った。この結果，Step Forwardと多層パーセプトロンによる分類手法は，短時間かつ高精度に分類が可能であることを明らかにした。

3-064

画像処理技術を用いた廃電子基板における基板判別手法の検討

◎伊藤希穂・白井 光・景山陽一・川村 茂（秋田大学）

非鉄金属製錬所では，廃棄された電子基板（廃電子基板）がリサイクルされ，有価金属の回収が行われている。このとき，作業員の目視判断により，過去に扱った廃電子基板画像と，有価金属含有量の測定対象とする基板画像の類似性を判定し，基板の分類および処理方法の判断が行われている。特に，複数種類の基板が混在した状態の基板群（ミックス基板）を対象とした場合，作業者への負担がより大きくなる。そこで本稿では，ミックス基板画像内の基板判別を行うための基礎検討として，同種類の基板が複数枚存在する基板画像において，分割した基板画像から各基板の種類を判定する手法の有用性に関する検討を行った。その結果，画像を分割した場合において，基板判別が可能であることがわかった。

3-065

高所恐怖症克服のための音響効果と物理刺激に基づいたVRエクスポージャー療法

◎鈴木飛雄（大阪工業大学）

高所恐怖症の克服方法として，現実エクスポージャー療法やイメージエクスポージャー療法などがある。現実エクスポージャー療法が最も効果があると言われている一方，新たな高所恐怖症の克服方法としてVRを利用した暴露療法であるVRエクスポージャー療法が注目されつつある。しかし，VRを利用した克服実験は少数しか行われておらず，更なるランダム化比較実験が必要であるとされている。 そこで本研究では，従来手法に勝る没入感を重視し，トレッドミル型のVR歩行デバイスを用いる。そして，仮想空間上の高所領域を歩行することで，高所恐怖症に対して克服を試みる。よって，VRエクスポージャー療法の有用性を示す新たな手法の提案をすることを目的とする。

3-066

歯列と治療器具の同時トラッキングを用いた拡張現実型歯科インプラント治療支援システムの提案

◎小林拓磨・加納 徹（東京理科大学）・竹林 晃（医療工学研究所）・山本裕明（日本歯科先端技術研究所）・赤倉貴子（東京理科大学）

歯牙欠損の治療法の1つであるインプラント治療では，正確な治療のためサージカルプレートという治療器具を使用するのが一般的であるが，これにはいくつかの制約や不都合があり，インプラント治療の普及を妨げる要因になっている。本研究では歯列とコントラアングルハンドピースの同時トラッキングを実現し，拡張現実におけるインプラント治療支援の基礎的なシステム構成を提案した。評価実験では他手法と遜色ないインプラント埋入偏差を実現しつつ，良い使用感を提供した，という評価が得られた。これらの結果より，拡張現実技術を用いたインプラント治療支援の実用可能性が示され，今後は治療支援に必要な情報の追加検討や，トラッキング精度の改善などの開発を行うことで，より質の高い治療支援が可能になると考えられる。

3-067

強度・範囲別ノイズを付加した顔表情画像が印象評価に与える影響

◎保坂大河（静岡大学）

従来の表情変化を用いた印象評価では，軽度のうつ状態の検出が困難であった。そこで，本研究では，表情変化よりも微小な変化としてノイズに着目し，強度・付加する部位を変化させたノイズを使用し，ノイズが印象評価に与える影響を明らかにすることを目的とする。実験で使用する顔画像は無表情の平均顔に対し，喜び顔を20%の強度で合成した顔画像を用いた。この顔画像に対して強度，形状を変化したノイズを付加した画像を用いて実験を行った。実験結果より，喜び顔においては，ノイズを付加することで表情変化よりも微小な変化となる顔画像を作成することができることが示唆された。今後，表情とおよびノイズを付加する部位を変更して実験を行う。

3-068

3D原動画の画素数がアンカリング効果に与える影響

◎大野恭成（静岡大学）

近年，様々な立体映像コンテンツが普及しており，視覚特性を適用した情報圧縮手法が多数提案されている。本研究では，心理傾向であるアンカリング効果を用い，ビットレートの調節による動画像の品質向上を目指した。実験では，画素数の多い原画像を選定し，アンカリング効果適用動画と非適用動画を提示し，画質比較を行った。実験結果よりアンカリング効果付与の動画像の選択率と，アンカリング効果を付与した際のファイルサイズの変化率に相関が確認され，画素数が多い原画像ではファイルサイズ変化率がアンカリング効果適用方法に影響を与えることが示唆された。

3-069

スパースコーディングを用いた顔面可視画像における高血圧検出 －空間特徴抽出のための前処理法の検討－

◎山本奨人・伊藤敦史・椎名大智・大岩孝輔・野澤昭雄（青山学院大学）

心臓・脳血管障害の危険因子である高血圧症の早期発見には，遠隔的手法による日常的な血圧モニタリングの実現が望まれる。遠隔的に計測した顔面可視画像に畳み込みニューラルネットワークを適用して高血圧検出を試みた研究では，得られた特徴に表情変化など生理的応答以外の特徴が混在していることが課題であった。これに対し，信号分解技術であるスパースコーディングを顔面熱画像に適用した研究では，複数の特徴を分離して得ることができた。本研究では適切な前処理を行った顔面可視画像にスパースコーディングを適用することで，急性血圧変動に関する生理的応答の特徴抽出を試みた。

3-070

色弱者の色判別のためのL*a*b*色空間での色差を用いた色変換手法の提案

◎和田 翼・中島 毅（芝浦工業大学）

錐体異常により一般の人と異なる色の見え方をする色弱者が全世界で2億人以上存在しており，一部の色の組み合わせが判別困難である。色弱者が判別困難な色を最大限少なくするため画像処理を用いて一意的ではない色の変更を行う。人間の知覚を近似するように設計されたL*a*b色空間での2つの色の距離を色差とし，色差の大きさで人間が判別できるかどうかを決定する。色弱者視点で判別困難にも関わらず一般人が判別できる色を取得し色弱者が判別できる色に変更する。k-means法により30色以下にした画像に対して色弱者視点で全ての色が判別できる変更ができた。

3-071

視覚障がい者支援のためのAIを用いた点字ブロック検出

◎田島隼輔・木村彰徳（足利大学）

点字ブロック（視覚障害者誘導用ブロック）は継ぎ接ぎで設置されている所が多く，始点が分かり難いという問題点がある。また点字ブロックの上に人がいたり障害物があったりすると，衝突，転倒の原因となり非常に危険である。視覚障がい者にとって，点字ブロックだけでは，道案内の情報としては不十分である。そのため点字ブロックの種別や位置の推定に関する研究や支援システムなどの研究開発が行われている。AIを利用した物体検出を用いて，点字ブロックやその周辺の情報を音声で伝達するアプリケーションを開発するための研究を行っている。本報告では，高精度に点字ブロックを検出するためのディープラーニングに利用するデータセットについて評価・検討を行う。

3-072

超音波を用いた電柱の劣化判定と異常検知

◎荒井翔太・古屋直樹・岩月栄治・小塚晃透・津田紀生（愛知工業大学）・疋田智美（本多電子）

SDGsにおいて，“だれもがずっと安全に暮らせて，災害に強いまちをつくろう”というスローガンを掲げている。一方で，近年の台風の大型化やコンクリートの経年劣化，少子高齢化などによって電柱の倒壊や検査員不足が社会問題となっている。 本研究では，電柱を対象とした自動劣化判定装置の開発を目標とし，超音波と深層学習を用い，劣化判定と異常検知を行った。実験では，電柱に発振探傷子で超音波（周波数50kHz，振幅120Vpp，1波）による衝撃を与え，2m離れた探傷子で超音波を受信した。深層学習ではConvolutional Neural Network，異常検知ではGenerative Adversarial Networksを用い，異常検知を行うことに成功した。

3-073

AI画像認識による気中断路器動作診断の検討

○伊佐治宏子・吉田昌展（中部電力）・髙幣玲児（ビー・ナレッジ・デザイン）

気中断路器が「動作不良」となる前に不具合が進行する兆候をつかむため，変電所に設置されている既存のモニタリングカメラにより取得した気中断路器の動作を利用する方法を検討した。データサーバに保存された動画から断路器のブレードの動きをAI画像認識でとらえ，動作時間とブレードの動作軌跡の良否を判定する。系統操作等で断路器が動作する都度映像を取得し，動作時間をトレンド管理することにより，動きが緩慢になる兆候やコンタクト部の軌道の逸脱等を検出した際にはメンテナンスを計画するなど，CBMに役立つツールとなることが期待できる。

3-074

物体検出用CNNにおける空間周波数に着目した判断根拠可視化に関する検討

◎関 弘翔・細野裕行（日本大学）

2次元画像中の物体の位置とその種類を同時に予測する物体検出には，畳み込みニューラルネットワーク（Convolutional Neural Network; CNN）に代表される深層ニューラルネットワークが利用される。CNNにより物体検出精度が向上した一方でモデルは複雑化しており，モデルの判断に寄与した画像特徴など，いわゆる判断根拠が不透明化している。本稿では，物体検出用CNNの判断根拠を示す手法として提案されたD-RISEを基に，空間周波数を利用することでCNNが着目した画像特徴の可視化を検討した。

3-075

重なり形状カウント法に基づくモルフォロジカルパターンスペクトラムの提案

◎野村大樹・蔭山享佑（近畿大学）・熊木武志（立命館大学）

デジタル画像が容易に編集できることから，改ざんが大きな問題になっている。このため，デジタル画像の真正性が重要であり，我々はこれまでに形状カウント法に基づくモルフォロジカルパターンスペクトラム処理を用いた画像改ざん検知手法を提案してきた。本論文では，画像中の形状が重なっている場合において，正確にカウント可能な手法を提案し，検証する。この結果，形状同士の重なりが半分より大きい場合には1個，重なりが半分以下の場合には2個と形状をカウントできることを確認した。

3-076

形状カウント法に基づく異構造要素によるモルフォロジカルパターンスペクトラムの検証

◎勇 友紀・蔭山享佑（近畿大学）・熊木武志（立命館大学）

デジタル画像は誰でも容易に編集することが可能である。このため，デジタル画像の改ざんが大きな問題となっており，デジタル画像の真正性が重要である。我々はこれまでに形状カウント法に基づくモルフォロジカルパターンスペクトラム処理を用いた画像改ざん検知手法を提案してきた。本論文では形状カウント法に基づくモルフォロジカルパターンスペクトラム処理を改良することで，四角，円及びひし形の構造要素でカウント可能であることを確認する。この結果，異なる構造要素を用いた形状カウント法に基づくモルフォロジカルパターンスペクトラム処理により，画像中の四角，円及びひし形の異なる形状を検知した。

3-077

トマト自動収穫のための画像処理を用いた距離計測システムの開発

◎岩上颯太・松田吉隆・杉 剛直・後藤 聡・後藤文之（佐賀大学）・江頭成人（久留米工業高等専門学校）

日本の農業において，就業人口の減少や高齢化が課題となっている。この課題を解決する手段として，ロボットや情報通信技術を用いたスマート農業が導入されている。このことを踏まえ，本研究室ではトマトを自動で収穫するためのロボットの開発を行っている。現場で広範囲にわたってトマトを収穫するためには収穫ロボットを運搬する台車の導入が必要となる。 そこで本研究では，収穫ロボットを乗せて収穫位置まで運搬する台車となるロボットを開発するために，台車に取り付けたカメラを用いて，ロボットの移動距離と収穫するトマトまでの距離を計測するシステムを開発した。本システムを用いて佐賀大学植物工場で距離計測を行った結果，2つの距離をそれぞれ測定できることを確認した。

3-078

スマートフォン画面覗き見検知手法の提案

◎劉 振豪・中島 毅（芝浦工業大学）

本論文では，スマートフォンユーザが，さまざまな利用シーンで他人による画面の覗き見を検知し防止対処を可能にするための覗き見検知システムを提案する。このシステムは，カメラモジュールからの画像を処理し，背後の人の両目とその向きを検出し，覗き見かどうかを判定する。本システムの特長として，画質の向上モジュールの導入により，暗い環境下や比較的遠い位置からの覗き見の認識精度を上げることを狙っている。

3-079

コンテナ仮想化技術を活用したエッジクラウド連携制御アーキテクチャにおける制御切替時間の評価

◎松山拓紀・大西直哉・平野竜馬（東芝インフラシステムズ）

短い時間周期で動作する産業用制御システムにおいて，現場に近いエッジ側とリソースを柔軟に変更可能なクラウド側で制御する仕組みを検討している。コンテナ仮想化技術を活用することで，エッジ側とクラウド側でソフトウェアを共通化でき，開発コストの削減や柔軟にシステム構成を変更可能といった利点がある。エッジ・クラウド間の通信断などの障害発生時にも現場側での制御を継続するために，クラウド側で実行していた制御演算をエッジ側で実行させ，クラウド側での制御からエッジ側での制御に切り替えることが考えられる。そこで本研究では，障害発生時の復旧時間を評価するため，障害検知からエッジ側で動作する制御コンテナが動作するまでの制御切替時間を計測する。

3-080

遠隔エンジニアリングのための制御システム対応プロトコル変換技術

◎和田紘帆・天木 智・中村幸太・田代太一・大西直哉・中谷博司（東芝インフラシステムズ）

工場のローカルエリアネットワークで構成される制御システムのエンジニアリングを，利便性向上の観点から，制御システムの設計変更を伴わずに遠隔で実施したい要求がある。本発表では，既存制御システムのプロトコルおよび識別情報を変更せず，制御システムの遠隔エンジニアリングを実現する制御システム対応プロトコル変換技術を提案する。

3-081

ディジタルホログラフィとLITの併用手法による電子デバイスの欠陥位置検出

◎森川滉太・横田正幸（島根大学）

近年，電子機器等に用いられる電子部品は性能向上により小型・高密度化が進んでいる。これに伴い電子機器の故障検査もその高精度化が求められている。そこで我々は，物体の変形をnm精度で測定可能なディジタルホログラフィ（DH）干渉法と，時系列の熱画像にロックイン原理を適用し，高精度に故障位置の推定が可能なロックイン発熱解析（LIT）法を併用した電子デバイスの故障診断法を提案する。本研究では過電圧により故障させた太陽光パネルに交流電圧（0-8Vpp，1.0Hz，正弦波）を印加した際の変形と温度変化をDHとLITで同時測定を行った。得られた時系列データと入力波形との時間的な差から，面内の故障位置を推定可能であることが分かった。

3-082

筋音信号を基づいたアームパワーアシストシステム

◎張 斌・磯部拳志・林 憲玉（神奈川大学）

本研究では筋音信号のモーションアーチファクトをIMUセンサによる補正を行い，ノイズにロバストなパワーアシスト制御手法を考案する。本研究で開発した肘パワーアシストシステムは，前腕を動かす程度の肘の筋力は有し，日常生活程度の荷重を苦痛と感じるような患者に対する屈曲動作を補助することができる。本パワーアシストシステムによる実験を行い，機構の有効性を検証する。

3-083

セルフチューニング対応エッジ型MPCのPLC実装

○丹下吉雄・松井哲郎（富士電機）

筆者らは，これまで，エッジコントローラ上で実装可能な，軽量なエッジ型モデル予測制御方式を提案してきた。 また，セルフチューニング機能により，モデル同定と制御パラメータ調整をオンラインで自動化する方式を提案してきた。 今回，上記提案方式を実際に汎用PLC（Programmable Logic Controller）にIEC61131-3言語を用いて実装し検証した。 結果，PID制御を上回る性能を，事前の人手による調整なしに達成したことを確認した。

3-084

交換式EV蓄電池の放電を考慮した分散電力型ネットワークのLQ最適化

◎岩本拓也・東 剛人（宇都宮大学）

日本の電力系統は中央集中型であり安定した電力供給が実現されているが，緊急事態時への対応，火力発電への依存度の大きさといった点に難があるという弱点もあり，近年分散電力型が考えられている。 先行研究において電力需要を時変の空調とした場合の分散電力型ネットワークを提案し，最適な電力需給を導出したが，シミュレーション結果では供給電力量が非常に大きな値となり火力発電への依存軽減という分散型ネットワークの利点を得ることができなかった。そこで本研究では，分散型ネットワークにおける自家発電量としてソーラーパネルによる発電に加えて，交換式を想定したEV蓄電池による供給を考慮した電力ネットワークシステムを新たに構築することによって先行研究での課題解決を目指す。

3-085

3胴ロボット船のためのJFNK法を用いた推力配分アルゴリズムの実験評価

◎吉川裕真（大阪府立大学）・原 尚之・小西啓治（大阪公立大学）

近年，養殖産業において漁獲量の減少や従事者の高齢化が問題となっており，自動で水質調査を行うために無人観測船の開発が行われている。無人観測船の1つである3胴ロボット船の制御方法として非線形モデル予測制御を適用することが検討されている。先行研究において，JFNK（Jacobian Free Newton Krylov）法と呼ばれる非線形連立方程式の一解法を用いた推力配分法を提案し，シミュレーションによって有効性を確認した。本報告では，3胴ロボット船の各スラスタの推力性能の差を考慮して，指令推力を正確に配分する推力配分アルゴリズムを設計した。また，モデル予測制御と提案手法を組み合わせた制御則を3胴ロボット船に実装し，提案手法が機能することを実験によって確認した。

3-086

A New LMI-Based Non-Iterative Design Strategy for Robust Static Output Feedback Control for Uncertain Linear Systems

○大屋英稔（東京都市大学）・永井駿也（新居浜工業高等専門学校）

In this paper, we propose a new LMI-based non-iterative design strategy for robust static output feedback control for uncertain linear systems. The proposed new non-iterative design algorithm is simple comparing with the existing results (e.g. Benton and Smith\cite{Benton:99} and references therein), because our design approach is composed of two parts and the static output feedback gain matrix can only be obtained by solving LMIs.

3-087

UWBを用いて測定した三次元屋内環境のリアルタイム可視化の検討

◎鴨下陽一・吉川真由・水戸慎一郎（国立東京工業高等専門学校）・金杉 洋（LocationMind）

我々は先行研究においてUWBを用いた3次元の環境情報の取得及び可視化が可能であることを示した。しかし，可視化処理を測定後に行ったため，測定中に測定結果を確認できないという課題があった。そのため，本研究ではリアルタイムに測定結果を可視化する手法について検討した。実験では，測定したセンサの値と位置情報をSambaファイルサーバを用いてRaspberry Pi上の共有ファイルに保存し，保存されたデータをWi-Fi経由で1秒毎にPCで読み込み，PC上のUnityを用いてプロットすることでリアルタイムの可視化を実現した。これにより，十分に測定できていない箇所や変化の大きい場所を測定しながら発見できるようになった。

3-088

U-Netを用いたMP-PAWRデータの非可逆圧縮

中田敦也（上智大学）・石黒勝彦・村井翔悟・○前田新一（Preferred Networks）

Multi-Parameter Phased Array Weather Radar（MP-PAWR）は，フェーズドアレイレーダによる高速・高分解能な三次元観測と二重偏波観測による降水粒子の多面的な観測を両立したレーダである。しかし，従来のパラボラ型気象レーダに比べて観測データの量が大幅に増加するため，同レーダのデータの有効な活用のために高効率のデータ圧縮技術が要請されている。本稿では，U-netと呼ばれる深層学習モデルを用いた，高効率・低歪みの非可逆圧縮法を提案する。MP-PAWRデータの圧縮に適したU-net構造を探索した結果とその性能について報告する。

3-089

異常時データの実測を必要としない誘導機故障診断手法の開発

◎小松天太・菅澤裕也（パナソニック インダストリー）

従来，誘導機の故障診断に関する研究では，豊富な学習データを前提にどのような前処理や診断アルゴリズムを用いれば良いかが議論されてきた。しかし，設備の稼働時間のほとんどは正常動作であることを考えると，実運用において異常時の学習データが豊富に得られるという仮定は現実的ではない。そこで本発表では，物理シミュレーションにより生成した異常時データと正常時実測データを合成することで，異常時実測データを用いずに故障診断を可能にする手法について検討した。電源電流波形を用いた誘導機の回転子バー破損本数（0, 1, 2, 3）の診断に関して提案手法の効果を評価したところ，平均の分類精度はAUCで72.4%であった。また従来手法の分類精度を17.5％pt上回った。

3-090

符号化器を用いたGANによる合成患者データ生成

◎宮野咲紀・関 弘翔・辻 泰弘・細野裕行（日本大学）

医薬品開発現場におけるデータ収集の効率化が課題となっていることを鑑みて，本研究は大規模な医療情報データから合成患者生成器を構築し，合成患者の生成を目的としている。本稿では，符号化器を導入したGenerative Adversarial Networks（GAN）を構築して患者情報で学習を行い，合成患者データ生成と評価を行った。

3-091

機械学習による推定値と推定分散を用いた火力発電所の脱硝制御

◎桐淵大貴（東芝）・松崎 篤・清水佳子（東芝エネルギーシステムズ）

火力発電所ではNOx発生量の推定値に合わせてアンモニアを注入し，NOx排出量を設定値に近づけている。機械学習を用いたNOx発生量の推定手法は存在するが，推定値には不確かさが存在するため，不確かさを考慮した制御手法を提案する。提案手法では，ET回帰により算出した推定平均と推定標準偏差（推定の不確かさ）の重み付き和をNOx発生量の推定値とし，それを還元するのに必要なアンモニアを注入する。シミュレーションにより，提案手法は従来手法より制御性能が向上することを確認する。特に，推定が確実な場合に積極的に制御する提案手法では，制御後のNOx排出量と設定値の誤差を33%削減できることを確認する。

3-092

Maximum Correntropy Criterionを用いたCoin Bettingに基づくANNによる翌日最大電力負荷予測

◎五十嵐匡人・福山良和（明治大学）・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

近年，電力自由化に伴い，多くの新電力が新規参入している。新電力においても電力供給を行う際に，高い信頼性が求められており，適切な供給予備力の確保が必要であり，翌日の最大電力を高精度に予測することが求められる。本論文では，Coin Bettingに基づくMaximum Correntropy Criterionを用いたニューラルネットワークによる異常値を考慮した翌日最大電力負荷予測手法を提案する。従来のAdagradを学習に用いた従来法と比較シミュレーションにより有効性を確認した。

3-093

SHapley Additive exPlanationsによるガスタービン異常検知の説明

◎山崎岳大・福山良和（明治大学）・島崎祐一・長田悠人・村上賢哉・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

ガスタービンにおいて，機械学習による異常検知モデルを実運用する際，異常検知モデルの予測結果とその要因が，現場の利用者の業務知識・経験から，合意できることが求められる。 本論文では，異常検知モデルの予測結果とその要因を説明するためにSHAPを用いたガスタービン異常検知の説明を提案する。実ガスタービンデータに対し，LIMEとSHAPの説明特性を比較した説明結果を報告する。

3-094

Isolation using Nearest Neighbor Ensembleを用いたガスタービン異常検知手法のパラメータ感度解析

◎加藤雄太・山崎岳大・福山良和（明治大学）・島崎祐一・長田悠人・村上賢哉・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

ガスタービン異常検知では，実際にガスタービンの異常が起こることは珍しく，異常データの収集が困難であるため，正常データのみを用いて異常検知することが求められる。iNNEを適用することで精度の良い異常検知ができるが，パラメータの感度が高い場合，そのパラメータについては慎重に調整する必要性が生じる。本論文では，iNNEのパラメータ感度解析を行った結果について報告する。

3-095

高速化Robust Random Cut Forestを用いた水力発電設備の異常検知に対するパラメータ感度解析

◎鈴木雄大・原 勇輝・福山良和（明治大学）・島崎祐一・長田悠人・村上賢哉・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）

水力発電は，2021年の全世界の発電量の約15%を占めているため，重要な発電方式である。そのため，設備の稼働率向上のために異常検知を適切に行う事は重要である。水力発電設備で異常が発生することは少なく，モデルを作成するために異常データを集めることは困難である。そのため，正常データのみの学習データを使用してモデル作成を行って異常検知をする手法が必要である。そこで，正常データのみの学習データを使用してモデル作成が可能な高速化Robust Random Cut Forest（以下，高速化RRCF）に対し，本論文ではパラメータ感度解析を行った。高速化RRCFを用いた水力発電設備の異常検知を行う時，高速化RRCFの2つのパラメータを変更することで，精度にどのような影響が出るのか確認することが出来た。

3-096

運転場面抽出のための道路マップ画像に対する特徴量変換手法の検討

○橋本幸二郎・松永大河・柳原大地・國行浩史（公立諏訪東京理科大学）

運転中に収集される運転行動データは交通事故分析等に活用される。しかし，運転行動データの中から特定場面のデータを取り出す作業に多大な労力が必要となり，運転行動データに対する場面抽出手法が求められている。本研究では，運転場面を構成する要素に走行中の道路形状変化があると考え，道路形状を表す時系列データの表現方法について検討する。ここでは，道路マップ画像をConvolutional Gated Recurrent Unit Variational Auto Encoderで特徴ベクトルに変換する手法を提案し，その有効性を評価する。

3-097

Efficient Detection of Solar Module Defects Using Deep Learning and Electroluminescence Images

◎Abraham Kaligambe・Goro Fujita（Shibaura Institute of Technology）

Electroluminescence (EL) imaging is a reliable method for examining photovoltaic (PV) modules, and is capable of detecting even small flaws on their surface. for automatic detection of solar defects in a single EL image using a combination of a lightweight convolutional neural network (CNN) and fully connected artificial neural networks (ANN). Our model was trained on 400 high resolution EL images of monocrystalline PV modules and achieved an average accuracy of 93.0% in detecting defective solar cells from the test dataset. Our proposed method is light and easy to run on any hardware, and does not require a large number of EL images for training, making it useful for continuous and accurate quality inspection of solar PV plants.

3-098

深層学習による水中ドローン画像からの海藻認識の検討

○綾田アデルジャン（秋田県産業技術センター）・萩原義裕（岩手大学）

磯根資源の持続的な利用のため，多くの地域では毎年潜水調査による資源の現状や藻場の生育状況などについての調査が実施されているが，地域によって水産資源の専門知識を持つ潜水士の不足が問題となっている。そのため，資源調査において自動化につながる方法の確立が強く求められている。本研究は，資源調査において水中ドローンを活用し，撮影した海中画像から藻場を自動認識するシステムの開発を目的とする。本稿では，深層学習を用いて海藻の認識方法を検討し，その実験結果について報告する。

3-099

深層学習を用いた非接触式入力システムの検討

◎郭 知洋・滕 琳・泉 隆・香取照臣（日本大学）

近年，非接触式入力インタフェースに関する研究開発が盛んでいる。これはコロナ対策の一環であり，今後の新たな操作インタフェース技術への展開にも期待できる。非接触式の入力には，音声，視線，動作などがあり，本研究では視線と動作入力に着目している。既存システムには障害者支援に用いる視線入力システムが挙げられるが，高精度な検出ができる一方，赤外線カメラなど高価なセンサ・外部装置が必要のため，簡単に入手できない。そこで，本研究では一般的なWEBカメラを用いて，深層学習を用いたカメラ画像から直接ユーザーの操作意図を推定する手法を提案し，安価な非接触式入力システムの構築を検討している。

3-100

進行方向推定を用いたウロウロ行動検知方式の提案

◎プラジュリプラバット・シュレスタスザン・谷口洋司（第一工科大学）

最近，万引きや侵入窃盗などの犯罪が社会的に大きな問題になっている。実際の万引きや侵入窃盗の動画データの分析や自分のコンビニアルバイトでの経験から，このような犯罪の予兆として，犯罪者の「ウロウロ行動」が頻繁に見うけられた。犯罪の予兆検知の従来研究として，200以上の万引き犯罪動画を特殊な深層学習方法でモデリングし，万引き事前の不審行動を検知する方法があるが，正確率は75％程度に留まっている。本報告では犯罪の予兆検知の精度を向上させる方式の一つと考える「ウロウロ行動」の検知方式について提案した。直線的に方向を変化させた自作の動画データ3件を準備し，ウロウロ行動の検知実験を行った。直線的に方向を変化させた場合に限られたが全てのウロウロ行動が検知できた。

3-101

頭部方向推定を用いたキョロキョロ行動検知方式の提案

◎シュレスタスザン・プラジュリプラバット・谷口洋司（第一工科大学）

最近，万引きや侵入窃盗などの犯罪が社会的に大きな問題になっている。実際の万引きや侵入窃盗の動画データの分析や自分のコンビニアルバイトでの経験から，このような犯罪の予兆として，犯罪者の「キョロキョロ行動」と「ウロウロ行動」が頻繁に見うけられた。犯罪の予兆検知の従来研究として，200以上の万引き犯罪動画を特殊な深層学習方法でモデリングし，万引き直前の不審行動を検知する方法があるが，正確率は75％程度に留まっている。本報告では犯罪の予兆検知の精度を向上させる方式の一つと考える「キョロキョロ行動」の検知方式について提案した。自作の動画データ3件およびインターネットから取得した実際の犯罪の動画データ2件を準備し，上述の検知方式のプログラムを試作し，キョロキョロ行動の検知実験を行った。

3-102

瀬戸内圏域の海上タクシーを対象とした相乗り配船アルゴリズムの提案

◎武上里咲・村上幸一・徳永秀和・木村祐人（香川高等専門学校）

瀬戸内海は近年観光地として国内外から注目を集めており，特に3年毎に開催される「瀬戸内国際芸術祭」では多くの人が瀬戸内の島々を訪れる。これに伴って，瀬戸内海ではより多くの島を巡るための海上移動手段の需要が高まっている。海上輸送手段のひとつとして，小型のチャーター便である海上タクシーがある。海上タクシーは時間的制約が少ない点で優れているが，チャーター便であるがゆえに予約単価が高いという点，乗船可能人数に対して一度に輸送する人数が少ないという点で課題がある。そこで，複数の予約をひとまとめにして「相乗り」できるようにし，効率的に輸送できるようにするアルゴリズムを提案する。

3-103

強化学習を用いた多指ロボットハンドによる指合わせ動作の実現

◎庄司 慧・齋藤正親・水戸部一孝（秋田大学）

近年，多様なタスクに柔軟に対応できる多指ロボットハンドが注目されているが，多自由度であるために，システムが複雑で制御が非常に困難な問題が存在する。本研究では，強化学習に着目し，Shadow Dexterous Handで指先を目標位置に合わせる学習環境であるHandReach-v0を使用し，母指（5自由度）と示指（4自由度）の指先が順運動学的に到達可能な位置に指合わせの目標位置を設定して強化学習を実施し，母指と示指の指合わせ動作の学習過程を検証した。その結果，順運動学的に到達可能な目標位置に対して許容誤差で指合わせ動作を学習できることを確認した。今後，目標位置および許容誤差の変更による学習曲線への影響，および転移学習を用いた効率的な方策の最適化について検討する。

3-104

運転動作に基づく自動車の車速予測モデルの設計

◎石橋 凌・日高浩一（東京電機大学）

MPCを実用化するためには車速予測を行うことが必要となる。そこで運転動作および交通状況から運転者が要求する車速を予測する車速モデルを構築するため，回帰型ニューラルネットワークを利用した学習により設計法を提案している。本発表ではモデルでは，アクセル，ブレーキの踏み込み，ステアリング角を入力，車速を教師データとし3秒前の入力として，1秒後の車速予測の結果について示す。

3-105

機械学習による不定形線状物体検出のための合成画像学習データ生成に関する研究

◎太田匠海（東北学院大学）・鈴木 順（仙台高等専門学校）・森島 佑・志子田有光（東北学院大学）

一般に電気回路配線の正誤判別は目視によって行われており，その技術の習得には十分な経験を要する。一方，機械学習技術を用いて配線パターンを推定するシステムを開発する場合では，電線などのような不定形線状の物体を検出することが難しく，様々な手法が提案されており，現在も重要な研究課題となっている。本研究ではこれまで，機械学習等の技術を用いてブレッドボード上の配線パターンを推定するシステムの開発を行ってきた。このシステムでは，図1に示すように線状物体の画像にアノテーションデータを付した大量の学習データが必要となる。今回は，アノテーションデータを内包した学習用の合成画像を大量に自動生成する技法とその実装結果などを中心に報告する。

3-106

顔の画像特徴に基づく映像視聴時の平常度評価

○植 英規・佐藤龍熙・髙木智毅（福島工業高等専門学校）

製品を長く快適に使い続けられるために重要な「使い心地」に着目し，使い心地を定量的な設計指標として捉えて製品の開発・設計に活かすための技術開発を行なっている。本報では，非接触センシングとしてカメラ映像を採用し，顔の画像特徴に基づき平常時からの差異をマハラノビス距離によって評価した結果を示す。実験協力者に「楽しみ」や「恐れ」など6種類の感情を想起させると考えられる映像を視聴してもらい，その時の顔画像から表情や顔色に関連する画像特徴を抽出して機械学習のMT法により分析した。5名の実験協力者による検証の結果，特定の映像を視聴した際のマハラノビス距離に違いが現れることが確認された。

3-107

深層距離学習を用いたストレス対処応答に関する皮膚温分布特性の解析

◎木村心優（青山学院大学）

人間には外部からの刺激に対して能動的対処応答と受動的対処応答が存在する。これらは連続血圧計を用いて接触的に計測した血行力学パラメータの変動パターンにより判別可能である。しかし計測には行動の制限が伴うため実生活での応用は困難である。そこで我々は遠隔で計測可能な心臓血管系指標である顔面皮膚温を入力データとし，畳み込みニューラルネットワーク（以下CNNと略記）により得られた空間特徴量に基づきストレス対処応答の判別を試みてきた。しかしCNNより得られた空間的特徴量だけではストレス対処応答の判断根拠が不明瞭である。よって本研究ではCNNより得られた顔面皮膚温の空間特徴量に対し深層距離学習を適用することで，ストレス対処応答に関する顔面皮膚温の空間特徴量を解析した。

3-108

CNNを用いた心電図波形の特徴識別による心房細動検出に関する一検討

◎鴨澤秀郁・室賀 翔・田中元志（秋田大学）

心房細動（AF）の診断支援のため，P波あるいはf波を含む範囲の心電波形（ECG）抽出による判別と，ECGのスペクトログラムの機械学習による判別を組合せ，規則的な心拍間隔（RRI）をもつAFにも対応可能な検出方法を検討した。はじめに，1-30Hzの帯域通過フィルタでノイズを除去し，RRIを算出した。P波あるいはf波を含む範囲として，R波の左側部分0.4s間の波形を抽出可能な場合，1次元CNNで判別した。0.4sの波形を抽出できない場合，ECGのスペクトログラムを教師データとする2次元CNNで判別した。8名分の未学習のホルター心電図を用いた検出実験の結果，正解率は86.6%であったが，規則的なRRIをもつAFについては約97%検出でき，本手法の有効性が示された。

3-109

屋内生活活動音の確率モデルの更新方法に関する一検討

◎松尾大地・室賀 翔・田中元志（秋田大学）

家庭内事故などの異常検出を目的に，日常の生活活動音（生活音）の確率モデル化を検討してきた。本研究では，その確率モデルを定期的に更新する方法を検討した。最初に，多くの生活音（データ）をX-means法でクラスタリングし，確率モデルを作成する。その後は，データの半数を入れ替え，現在のクラスタ中心座標を初期値としてk-means法でクラスタリングし，確率パラメータを更新する。1日6時間7日間の生活音を用意し，最初の2日分を初期学習に用い，残りの5日分を更新に用いた。7日目の生活音の発生確率を求めた結果，7日分を一度に学習させた場合と値は異なるが，同様の変化が得られ，本手法利用の可能性が示唆された。

3-110

地面反力・圧力中心計測用靴型ウェアラブルデバイス

◎川﨑龍一・桂 誠一郎（慶應義塾大学）

二足歩行は汎用的な移動方法であり，人間環境での作業に適しているといえるが，その制御は非常に困難である。複雑な二足歩行制御の簡易化を目標とした際，人間の動作は参考にするべき重要な要素である。本稿では二足歩行制御のモデル化を目標として，歩行や外乱応答の際の地面反力（GRF）と圧力中心（CoP）を計測するウェアラブルデバイスを提案する。力センサを表裏に取り付けることで環境の情報も取得できるようにした。計測は直進歩行と，静止状態から外力が加わった時の外乱応答の2種類を行い，直進歩行ではx方向のCoPを除いて一定の精度が得ることができ，外乱応答では直進歩行で得られなかったx方向について精度の向上が見られた。

3-111

深層学習を用いた環境設置カメラによる自律移動ロボットの位置推定精度向上 －学習器の構成変更による推定精度検証－

道木加絵・◎佐藤大樹（愛知工業大学）・舟洞佑記・道木慎二（名古屋大学）・鳥井昭宏・元谷 卓（愛知工業大学）

自律移動において自己位置推定は重要な課題の一つである。我々は複数センサ情報の選択・統合による自己位置推定手法の実現の目指してきた。この手法はロボットに搭載されたセンサのみを対象としてきたが，本研究では環境に既設のカメラを用いた自己位置推定の実現を目的としている。本発表では環境中のカメラから得た画像を用い位置推定を行う深層学習モデルについて，従来では3次元位置・姿勢クォータニオンの計7次元を出力としていたものを推定精度向上を目的として位置のみ3次元，姿勢のみ4次元とした場合の推定精度を従来の物と比較検証した結果について発表する。

3-112

TLSとなったALS患者のための触覚刺激を取り入れた脳波意思伝達アプリの開発

○加納尚之（島根県立大学）

意思伝達能力を損なったALS患者のための意思伝達補助装置（CA）の開発が切望されている。CAで最も重要な部分は入力装置である。そこで，目標刺激に対して出現する事象関連電位（ERP）に着目し，完全閉じ込め症候群（TLS）となったALS患者のための触覚刺激を取り入れた脳波意思伝達アプリを開発した。本論文においては，そのアプリとALS患者を対象として実験を行った結果について報告する。

3-113

充電ポートおよび誘導マーカーを活用したドローン自動巡回システムの試作

○富木洋一・甘利治雄・中小路 元・渡部 明・市川裕士（東京電力ホールディングス）

近年，設備点検や巡視等の省力化のためにドローンの自動飛行に向けて様々な要素技術の開発が進んでいる。一方で，電力設備の点検自動化などに寄与するためには，要素技術を組み合わせたシステムを構築する必要がある。システムとして必要な要件や課題を検討することを目的として，自動飛行のプログラムが可能な市販ドローンや充電パット等を用いた簡易的なドローン自動巡回システムを試作し，屋内外で飛行実証した。ドローンの無人自動飛行の実用化に向けたシステム要件，機体制御やカメラでの画像認識について，様々な課題や知見を得た。

3-114

はやぶさ2のアミノ酸試料が示すプロテインワールドと物質進化

○吉井清明（セイフティーワールド）

前回，原始海でタンパク質が対象分子の電子が発生する電磁波をキャッチし，分子の形状や中身を全体認識し（以下 WMR: Whole Molecule Recognition）で疑似的な分子間通信が可能となった事，および複数タンパク質間の相互通信でネットワークを作り，評価システムを形成し，自己保存性の高いシステムを選択する事で，生命を創造したとする仮説などを発表した。 今回は，はやぶさ2が持ち帰ったリュウグウ試料の23種アミノ酸が証明するプロテインワールドと新たな物質進化の仮説を報告する。

3-115

ジャミンググリッパに触覚を付与するための永久磁石エラストマを用いた手法の検討

◎榎本 朋・石毛真修（東京大学）・梅舘拓也（信州大学）・坂本裕之（日本ペイントコーポレートソリューションズ）・川原圭博（東京大学）

ジャミンググリッパは様々な対象を簡単に把持できる一方で，把持状態の推定が困難という課題ある。そこで触覚の付与が重要だが，圧力シートを表面に貼る手法やカメラを内部に配置する手法といった既存手法は，グリッパの立体的な変形の検知や内部の設計自由度に課題がある。そこで本研究では，ジャミンググリッパの膜を永久磁石エラストマで置き換えることで把持時の立体変形をセンシングする手法を提案する。本手法ではグリッパの変形に応じて磁場が変化するので，底面に並べられた磁気センサでその変化を読み取ることでグリッパの変形を検知できる。また，光学式とは異なりグリッパ内部を透明にする必要がないため，内部構造に関する設計の自由度が高いことも特徴である。

3-116

スパースコーディングを用いた眠気に関する顔面皮膚血流変動の特徴抽出

◎岡嶋智朗・吉田篤史・大岩孝輔・野澤昭雄（青山学院大学）

自動運転レベル3では，ドライバの負担低減に伴う眠気などを想定し，ドライバの状態を監視するドライバモニタリングシステムの搭載が義務化されている。非接触で可及的速やかな眠気検出手法として，自律神経系活動の指標である顔面皮膚温分布にスパースコーディングを適用して眠気に関する特徴を抽出する手法があるが，皮膚温変動と覚醒度変動の時間差や低い汎化性能が課題であった。近赤外帯域で遠隔計測可能な生体深部の血流変動は自律神経系活動の評価指標の一つであり，覚醒度変動の特徴を小さい時定数で捉えることができる。本研究では，眠気誘発時の顔面近赤外画像にスパースコーディングを適用し，眠気に関する顔面皮膚血流変動の大域的な特徴抽出および汎化性能の高い眠気推定を試みた。

3-117

手ぶれを利用した感情検知によるヒューマンレコーダの提案

◎山田実歩・北谷優弥・蔭山享佑（近畿大学）・熊木武志（立命館大学）

撮影者の感情に合わせて自動で撮影可能なヒューマンレコーダの開発を目的に，撮影直前の動画中における特徴点の移動変化から感情を判断する手法を提案する。本論文では，カメラ機能の起動と同時にオプティカルフローを実行し，特徴点の移動距離及び移動角度に対する周波数毎のパワースペクトラムにおける傾きから平常状態及び驚き状態の感情を検知する。この結果，驚き状態と平常状態とでは，パワースペクトラムの傾きに違いがあることを確認した。

3-118

二足歩行ロボットの周期的な重心移動における周波数特性測定

◎野中英和・柴田昌明・河村尚輝（成蹊大学）

二足歩行ロボットの歩行動作のうち，重心を左右に動かす揺動動作に着目し，その動作で消費されるエネルギーを低減する方法を見つけることを目的として研究を行っている。揺動動作における共振現象を利用して，消費エネルギーを減少させることができるのではないかと考え，いくつかの周期で実機を用いて実験を行った。その結果，特定の周期のときにロボットが重心移動で消費するエネルギーが減少していることがわかった。また，重心の高さを変更して同様の実験を行ったところ，消費するエネルギーが減少する周期が異なっていることがわかった。二足歩行ロボットの歩行時，重心移動に適切な周期を設定することによって，消費エネルギーを減少させることができる可能性があるといえる。

3-119

疲労状態再現行動における判断力および瞬目の特徴評価

◎熊地真由莉・石沢千佳子・景山陽一・横山洋之（秋田大学）・加藤伸彦・五十嵐 健・川本 健（エイデイケイ富士システム）

建設業における高年齢労働者の割合は全産業と比較して高い。加えて，体力水準は加齢に伴って低下するため，建設現場における事故の未然防止を目的とした安全管理が求められている。本稿では，作業従事者の体調状況や集中状態を管理する技術の開発を目的とし，疲労状態再現時における判断力および瞬目について調査・検討を行った。具体的には，被験者14名が階段昇降によって疲労状態を再現する前後に実施した計算問題の正答率および視線追尾システムを用いて取得した瞬目の特徴を調査した。その結果，疲労度再現行動によって正答率は低下する傾向を示し，短い瞬目が高い頻度で起こる傾向が確認された。

3-120

エラー関連電位に基づく二者択一式ブレイン・マシン・インターフェースの実現可能性の検討

◎荒 翔太・加藤和夫・門倉博之（東北学院大学）・石川敦雄（京都府立大学）

我々はブレイン・マシン・インターフェースの精度向上のため，間違いの認知処理から発せられるエラー関連電位の活用を試みている。本研究では，左右どちらかの矢印方向を選ぶ二者択一式のBMIを模したシステムの操作タスクにおいて，エラー関連電位がどのような特徴を示すのかについて検討を行った。選択した矢印方向とBCIの動作結果の矢印方向が一致の場合の脳波をNo Error，不一致の場合の脳波をErrorとしたとき，Errorは350[ms]付近に陽性のピークがあるのに対し，No Errorでは300[ms]付近に陽性のピークがあり，50[ms]程度の遅延が見られた。ErrorとNo Errorに対するピーク電圧とその潜時については，被験者10名によるpaired -t検定で比較した結果，共に有意な差を示した。