シンポジウム・オーガナイズドセッション

シンポジウム・オーガナイズドセッション2013年産業応用部門大会では,
下記のように13のシンポジウム(S1~13)を開催しますので,奮ってご参加ください。

S1:建築施設監視制御工学の基本
8月28日午前(9:00~)   生産設備管理技術委員会
ビル等の建築物の中央監視制御設備(システム)はビル等の安全・安心環境確立,省エネルギー達成の中枢としての重要インフラシステムとなっている。ビル等の中央監視制御設備は制御,計測・計量,コンピュータ応用,通信とネットワーク応用,信頼性,アプリケーションソフト,監視制御対象の特性,システム構築,性能検証,保全等の各種の技術集合の成果物である。これらの技術集合をビル等の中央監視制御技術として,ひとつの工学的体系に方向付けして建築施設監視制御工学を確立し,建築施設,ユーテリテイ設備の監視制御エンジニアリングとエンジニアリング教育にさらなる発展に多いに貢献する。また2011年3月11日の東日本大震災を起因として多くの原子力発電所の電力供給停止により,電力の供給と需要の安定的バランスの確保が重要となり,スマートグリッドへの期待がさらに高まっている。スマートグリッドとリンクするビル等の需要家のグリッド側との需用電力の連携制御にこの建築施設監視制御工学が多いに貢献すると考えられる。この観点から,建築施設監視制御工学を構成するプログラムに示すサブタイトルの内容をシンポジウムとして講演する。

 

S2:交通管制システムの高度化
8月28日午前(9:00~)   ITS技術委員会
道路利用者の安全,円滑,快適性を確保するため,交通管制システムが果たすべき役割は大きい。ICTのめざましい進歩により極め細かい情報提供が可能になるとともに,東日本大震災のような不測の事態などへの対処等も踏まえ,道路交通インフラの充実とその管理運用は大事な事項である。そこで,本シンポジウムでは次世代における交通管制システム高度化に向けた,管制技術やシステム技術,要素技術,設備,管理運用に関する事項を扱う。

 

S3:可変速交流ドライブ技術の到達点と課題
8月28日午後(15:20~)   モータドライブ技術委員会
可変速交流ドライブは,今日,産業応用分野から民生機器分野にわたるまで幅広い分野に広がり,現在社会には不可欠な技術として位置づけられるに至った。この中では,旧来の直流ドライブの置換えばかりではなく,ハイブリッド自動車など可変速交流ドライブならではの性能を生かした電動ドライブの新しい用途を広げつつある分野でも実用化が進んできている。また,既存分野においても従来のドライブではなしえなかった交流ドライブならではのより進化した性能・機能を生かして小型化,高効率化,高性能化などシステムの性能・機能を飛躍的に高められている例も多い。高性能化への要求に加え,地球温暖化や化石燃料枯渇への早急な対応への要求の高まりから,交流ドライブ技術の更なる向上がますます期待されており,応用分野の要求に対応した性能向上のための研究・開発が広くなされている。しかしながら,こうした交流ドライブの技術の進歩は対象とする分野や用途の要求に対してなされるため,交流ドライブ全体の技術の到達点をまとめた資料は少ない。このような点から交流ドライブ技術の高速化,応答,大きさ,効率等の技術課題における最新の到達点とこれを凌駕する上での課題を可変速交流ドライブ技術の到達点と課題調査専門委員会で調査している。本シンポジウムにて,こうした委員会での内容を報告し,参加者と議論することが,調査結果をまとめる上でも有意義と考える。

 

S4:パワーエレクトロニクス用コントローラ・センサの現状と技術動向
8月28日午後(15:20~)   半導体電力変換技術委員会
パワーエレクトロニクス装置において,制御器は欠かすことのできないものである。パワエレ用制御器は,対象となるパワエレ装置によって非常に多様な構成形態を取る。パワエレ装置のコントローラやセンサと言っても,携帯電話用などの小容量のものから,UPSやモータドライブなどの中容量の装置,また電力系統用変換回路や加速器用電源など大容量のものまで,サイズ的にもコスト的にも非常に幅が広いものとなる。 また,マイクロコンピュータの選択に関しても,CPU, DSP, ASIC, FPGA, PICなどそれぞれの性能が向上したことにより,特にこの10年程で製品に対する現実的な選択肢が非常に広がってきている。これまで,これらの制御器の構成要素に関して,パワエレ装置全般に関して,横断的に機能・構成・最適性などを評価した調査は行われていなかった。また,技術者もこれらを横断的に扱うような機会は少なく,他分野の技術動向はわかりにくい傾向があった。今回,コントローラ・センサ等に関して,総合的に調査を行い,装置種別,容量別,メーカ別で分断されてきたこれらの要素技術を体系立てて整理を行ってきた。そこで,これまでの調査専門委員会の検討報告を行うことは,パワーエレクトロニクス回路の技術者・設計者に対しての有益な内容となるものと考えられる。

 

S5:先端制御技術の研究動向と応用事例
8月28日午後(15:20~)   産業計測制御技術委員会
近年,コンピュータの高機能化やデータストレージの大容量化に伴い,操業データを大量に蓄え,これを制御に生かすことが現実的になっている。このため,データからコントローラの設計や再調整を行うデータ指向型制御法や同じくデータから現在の制御性能を計算し,これに基づきコントローラの設定を変更するパフォーマンス駆動型制御の研究が盛んに行われている。また,コンピュータの性能を生かし,先端的な制御技術を製品に応用し,新たな商品価値を創造する事例もある。本セッションではデータ指向型制御やパフォーマンス駆動型制御の研究動向をまとめ,企業において先端的な制御技術を応用した事例を紹介する。最新の研究動向や応用事例を周知するとともに参加者と今後の展開などについて討論することを目的としている。

 

S6:スマートグリッドにおける需要家施設サービス・インフラ
8月29日午前(9:00~)   生産設備管理技術委員会
東日本大震災以降の国内電力エネルギー需給環境の大きな変化のなか,電力供給者,需要家の双方にメリットのある電力エネルギー需給管理システムの早急な実現が必要となっている。産業応用部門生産設備管理技術委員会では,一昨年,日本の産業,業務分野の需要家の視点に立ち,上記検討のため,本提案前段に当たる調査専門委員会を設置して国内外のスマートグリッドに関する規格などをサーベイし,国内の電力供給者,需要家,エネルギーサービスプロバイダを主な対象とし,電力エネルギー関係サービスと,これを実現する規格,ガイドラインなどを調査研究活動して,国内実態に適合した日本国内でのスマートグリッドシステムの要件検討などを行った。今回のシンポジウム提案は,これまでの検討成果をベースに,さらに高まりを見せる国内電力エネルギー需給管理システムに関するニーズに対応するため,国内実態に適応したシステムの在り方に関する検討活動を報告する。具体的には国内外で進む規格などをベースに,国内電力エネルギー需給環境から発せられるニーズに応えるユースケース,システム要件などを調査,検討し,日本における産業,業務分野の需要家視点からの発信を行う。

 

S7:移動体エネルギーストレージシステムの技術動向
8月29日午前(9:00~)   自動車技術委員会
 近年,エネルギーストレージシステムの活用範囲が急速に拡大しており,自動車や鉄道などの交通システムに関しても例外ではない。自動車では,ハイブリッド自動車や電気自動車などのほかに,アイドルストップシステムでも実用化が進んでおり,鉄道では,非電化区間をバッテリに蓄えられたエネルギーで走行するものも作られている。蓄電要素を見ても,LiB,LiC,EDLCの性能改善が進められている。このような状況の中,移動体エネルギーストレージシステムの活用調査専門委員会では,技術動向の調査を行っている。本シンポジウムでは,これらの技術動向の一端を紹介することを目的に計画した。

 

S8:新産業基盤技術としてのモーションコントロール
8月30日午前(9:00~)   メカトロニクス制御技術委員会
現在,モーションコントロール技術は,工作機械,産業用ロボット,ステージ装置,マテリアルハンドリングシステム,エレベータ,ディスク装置,車両駆動システム,圧延機,印刷機,フィルム成形機などの様々な産業機器・民生機器に広く用いられている。これらの機器においては,モーションコントロールの性能が装置自体の性能に大きく関わっているため,次世代の高性能な装置開発において,より高度なモーションコントロール技術の開発が重要な役割を担っている。また,新しいセンサ,新しい計測技術,新しいパワーデバイス,新しいアクチュエータ,新しい設計技術,新しい素材等の登場に伴い,モーションコントロール技術に対する新しい課題が生じ,これを解決することにより,より高度な装置性能が達成可能となる。一方,モーションコントロール技術を核とした技術分野で,現在は本格的な実用に至っていないが,将来,重要な産業に発展すると思われる技術分野が存在する。これらの技術分野として,たとえば,人間支援技術や医療・福祉支援技術が挙げられる。これらの機器では,これまでの産業機器・民生機器とは異なり,機械が人と直接接触するような状況や,機械の周辺環境を単純にはモデル化できないような状況が発生するため,従来とは異なる新しいモーションコントロール技術が必要とされる。本シンポジウムでは,次世代の産業機器・民生機器におけるモーションコントロール技術,および,新産業創出のための新しいモーションコントロール技術に関して,産業界・学界の技術者・研究者が集い,それぞれの立場から研究事例紹介を通して,課題提起,検討,議論を行い,今後の発展を展望する。

 

S9:エネルギー問題に対応する最新の高周波電力変換技術
8月30日午前(9:00~)   半導体電力変換技術委員会
現在,高周波電力変換装置の応用範囲は幅広いものとなっているが,エネルギー問題に対応する最新の高周波電力変換技術調査専門委員会では,新エネルギーおよび蓄エネルギー利用を想定した高周波電力変換装置の回路技術,制御技術を中心に調査し,様々なエネルギー利用に対応できる高周波電力変換装置の技術動向を探っている。更に,発電装置・蓄電装置の開発動向と新エネルギーを利用する分散電源が大量導入された場合を想定し,マイクログリッド対応の電圧・周波数安定化技術や電力ピークシフトに関する技術動向についても調査している。これらの,調査結果の中間報告として本シンポジウムを開催し広くご意見を頂くことで,有益な技術報告書の発行につなげる。

 

S10:次世代家電・民生用パワーデバイスの主役は何か
8月30日午前(9:00~)   家電・民生技術委員会
家電・民生分野においては,地球温暖化防止のため,機器の省エネルギー化,省資源化,リサイクル率の向上など様々な取り組みが行われてきている。一方,グローバル化の流れの中にあって,日本がこの分野で勝ち残っていくためには,限られた資源と開発人員で高性能かつコスト競争力が高い製品をいち早く開発し,その技術優位性を保持していくことが必要である。そこで家電・民生技術委員会では,昨年度の産業応用部門大会において,「グローバル展開に向けたパワエレ家電の省資源・レス化技術」と題するシンポジウムを開催し,センサレス技術や電解コンデンサレス化技術,試作レス開発技術などを特集した。本年度の産業応用部門大会では,これらの背景を踏まえて検討し,次世代パワーデバイスと家電・民生機器の関わりについてフォーカスしたシンポジウムを開催することにした。家電・民生機器のみならず,パワーエレクトロニクス分野においてパワーデバイスは機器の性能に直結する。近年,SiCやGaNなどのワイドバンドギャップ半導体を代表とする高速・低損失の次世代パワーデバイスが実用化段階を迎えつつあり,これらを適用することで機器の性能向上が期待されている。本シンポジウムでは,家電・民生機器サイドからパワーデバイスへの要求仕様や期待効果を提示する一方,デバイスメーカサイドからIGBT,パワーMOSFET,SiC,GaNに関する最新動向や今後のロードマップについて紹介する。

 

S11:環境調和型磁気支持応用技術の現状
8月30日午後(13:40~)   リニアドライブ技術委員会
本シンポジウムでは,近年,実用化や応用拡大の動向が見られる磁気支持応用技術を環境との調和の観点から紹介する。当該技術の代表応用例である磁気浮上式鉄道は,四半世紀の研究開発を経て実用化段階に入った。ドイツトランスラピッドが上海空港アクセス路線として商業運転され,安定した商業運転を行っている。国内でも愛知万博開催にあわせてHSSTが実用化され,その後も商用路線として実績を積んでいる。超電導リニアも東京-名古屋間の路線建設が決定され,ルートや途中駅の詳細な検討が行われている。産業応用分野でも,磁気軸受を使用した補助人工心臓の臨床試験数が日本やドイツで増加し,半導体製造の純水ポンプなどに非接触磁気支持とモータを一体化したベアリングレスモータの利用が拡大している。磁気支持で非接触案内を実現した磁気ガイドエレベータも製品化され,新規高層ビルへの導入が検討されている。自動車や鉄道システムにおける乗り心地向上の技術としても研究が行われている。センサレス磁気浮上制御に加え,GIMCなどの信頼性向上に向けた新制御手法の提案や磁気浮上系における結合共振現象などの新たな現象の検討も進んでいる。高温バルク超電導体利用の超電導磁気軸受を適用したフライホイールエネルギー貯蔵システムでは10kWh,スラスト方向の重量支持に超電導磁気軸受を適用した場合では50kWhの電力貯蔵に成功した例も報告されている。さらに新しい分野への応用として半導体露光装置の高性能ステージとして磁気浮上を用いる技術も開発中である。以上のように,多様な適用分野を持つ磁気支持応用技術について,近年の社会的価値観に適う"環境との調和"の観点から紹介することにより,種々の分野に携わる聴講者の興味に叶うものと期待される。

 

S12:公共施設におけるエネルギー管理の課題と対策
8月30日午後(13:40~)   公共施設技術委員会
東日本大震災に伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故は,日本のエネルギー政策のあり方に対し根本的な見直しを迫るものとなった。2011年12月に公表された総合資源エネルギー調査会基本問題委員会における論点整理において,「大規模集中電源に大きく依存した現行の電力システムの限界が明らかになったことを踏まえ,今後は,需要家への多様な選択肢の提供と,多様な供給力(再生可能エネルギー,コジェネ,自家発電等)の最大活用によって,リスク分散と効率性を確保する分散型の次世代システムを実現していく必要がある。」等の基本的方向性が示された。現在わが国の主要なエネルギー源である石油・石炭などの化石燃料は限りがあるエネルギー資源である。これに対し,太陽光や太陽熱,水力,風力,バイオマス,地熱などのエネルギーは,一度利用しても比較的短期間に再生が可能であり,資源が枯渇しないエネルギーである。これらは,「再生可能エネルギー」ともいわれる。再生可能エネルギーを育てる意味で,2012年7月1日から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」がスタートした。
 上下水道施設の電力使用量は,全国の電力使用量の約1.5%を占めており,水運用による最適圧力制御や,ポンプやブロワの可変速度運転など省エネルギーが徹底して行われる中,上水ではメガソーラーや小水力などの施設内の包蔵エネルギーの有効活用,下水では汚泥の資源化(固形燃料化),消化ガス発電など汚泥の有効活用が事業として増えてきている。このような状況を踏まえて,太陽光,小水力,風力,バイオマスなどの再生可能エネルギーなどの導入事例や,今後導入するにあたり,系統との連系時の課題など,新・省・創エネルギーを含めたエネルギー管理技術について現状とその課題,今後の対応について議論を深めることは有意義といえる。

 

S13:ここまできた電気鉄道の標準化
8月30日午後(13:40~)   交通・電気鉄道技術委員会
電気鉄道分野において標準化はますます重要になってきている。一つには鉄道の海外展開で国際規格などの標準を避けることはできないからであり,また国内においてもWTO TBT協定により,国際規格に則って国内規格を決めることが義務づけられたり,政府調達で国際規格を用いることが義務づけられたりしているからである。最近は鉄道に用いられる主要な電気機器の国際規格は揃ってきている。このためこれまでとは様相の異なる,通信ネットワークなどを介したシステムの規格がいろいろ提案されるようになり,個別の専業メーカにとってはビジネスがしにくい状況がでてきている。このような中で日本発で,近年通信ネットワークやシステムに関わる規格が提案されてきた。電力技術から電子・情報技術まで幅広い技術と,ビジネス・標準化の競い合いとなっている現状を紹介する。

 

シンポジウム・オーガナイズドセッション講演受付

演題申込みはこちらから

 

連絡先

論文委員長 船渡寛人(宇都宮大学)
email: funato@cc.utsunomiya-u.ac.jp
Tel.&Fax:028-689-6088