シンポジウム

平成26年産業応用部門大会では,産業応用部門の各技術委員会が企画する15のシンポジウム(S1〜S15)を開催しますので,奮ってご参加ください。

S1: 大容量モータドライブの最新技術
8月26日午前(9:00〜)   モータドライブ技術委員会
 我が国の電気エネルギーの50%以上はモータにより機械エネルギーに変換され,生産活動や日常生活を支えている。特に,環境,省エネ問題への意識が高まる中,産業用途や,風力発電システムなどの大容量モータドライブ技術に対して,大容量化,高効率化のための各種回路技術,制御技術に関する提案・研究がなされるようになってきている。これらの背景から省エネに貢献する大容量モータドライブの最新技術をまとめて発表し参加者で議論することにより,技術動向を整理することを目的とする。

 

S2: 次世代における産業技術と人材育成・技術伝承
8月26日午前(9:00〜)   次世代産業システム技術委員会
 周知の通り,我が国では少子高齢化,団塊世代の引退,産業構造の変革等の諸減員により,次世代への技術伝承や技術教育において重大な危機を迎えつつある。ICT等を中心とした技術を用いて技術の伝承と教育を高効率で行うシステムや手法の確立は急務であると言える。また,ものづくりの場がこれまでの中国を中心としたエリアからASEAN諸国に拡散しようとしている今日では,これら諸国における人材育成支援も我が国に課せられた重要な役割となっている。本シンポジウムでは,次世代産業システム技術委員会に属する各委員会における取り組みについて紹介し,その議論を深める。

 

S3: 建築施設監視制御工学と基本構成技術
8月26日午前(9:00〜)   スマートファシリティ技術委員会
 ビル等の建築物の中央監視制御システム(BACS)はビル等の快適環境,安全・安心環境の確立,低炭素化と省エネルギー達成の中枢としての重要インフラシステムとなっている。この中央監視制御設備は制御,計測・計量,コンピュータ応用,通信とネットワーク応用,信頼性,アプリケーションソフト,監視制御対象の特性,システム構築,性能検証,保全等の各種の技術集合の成果物である。これらの技術集合をビル等の中央監視制御工学として考え,ひとつの工学的体系である建築施設監視制御工学として確立すれば,建築施設,ユーテリティ設備の監視制御エンジニアリングとエンジニアリング教育のさらなる発展に多いに貢献できる。特に,スマートグリッドとリンクするビル等の需要家のグリッド側との需用電力の連携制御に建築施設監視制御工学が多いに貢献すると考えられる。この観点から,建築施設監視制御工学を構成する各種の基本技術,システム構成,信頼性,情報モデル,通信プロトコル,インターオペラビリティ,インターネット・クラウド活用,エネルギー管理とスマートグリッド,構築と検証等を発表する。

 

S4: 用途指向形モータの技術変遷とその次世代展望
8月26日午後(15:20〜)   回転機技術委員会
 用途が動作要求する低速・高負荷,高速高出力など多岐にわたる動作点,低速軽負荷,高速軽負荷に亘る多用動作領域を様々な制約条件下,性能指標を満足する”用途指向形モータ”,特に埋込磁石形同期モータ(IPMSM)が実用化され,モータ技術の発展の先導的役割を果たしている。その技術変遷の中で,様々な課題が克服改善される一方で,レアアース材の価格高騰や供給不安に起因した省・脱レアアース化,多用動作領域に対してり高効率動作領域を拡大するための可変磁力化など新たな要望も顕在化してきており,これら新たな要求を整理し,1つの切り口として包括的に応えるモータとして,用途指向形次世代モータの将来技術展望を纏めることは極めて有意義である。
 本シンポジウムでは,用途指向でモータが大きく進化を遂げた機器の例として,エアコン・掃除機,自動車・洗濯機を取り上げ,その技術変遷から用途指向形次世代モータへの要求を概観する。その要求を踏まえた上で,省・脱レアアース,用途特性に応じた高効率省エネ化などの要求に対し,IPMSMの一層の性能向上はもとより,実用化が期待されるフェライト磁石モータ,SynRMやSRMなどリラクタンスモータ,集中巻分数スロットを配したフラックススイッチングモータや何らかの手段で界磁磁力や極数を可変とする可変磁力モータなど新たな切り口のモータを用途指向形次世代モータの候補として取り挙げ,その研究開発状況について纏め,その次世代の姿,・可能性・展望について纏めた成果を報告する。

 

S5: 新世代アクチュエータの1自由度系の性能評価と多自由度系の評価に向けて
8月26日午後(15:20〜)   リニアドライブ技術委員会
 本シンポジウムは多自由度新世代アクチュエータの性能評価調査専門委員会の活動の中間報告であり,新世代アクチュエータ全体の1自由度系の性能評価と,各々の特徴とその全体の中での位置付けを明らかにして,今後の多自由度系の性能評価への展望をまとめている。当技術分野に関心のある聴衆との交流を通して,これまでの本調査へのフィードバックと,今後の調査における課題や重要事項を抽出し,より意義のある方向性に進むこと目的として本シンポジウムを提案する。
 本委員会では,幅広い駆動原理の多自由度アクチュエータの可能性を検討し,それらの要求性能に対する選定指針の手がかりになるための,分野横断的に理論的な性能評価を行うことが最終目標であり,今後の多自由度系の性能評価の前段階として,そのベースとなる1自由度系の性能評価に至っている。幅広い分野のアクチュエータに関連する技術者を対象として当分野に対する意見交換ができ,また当シンポジウムが新たに当分野を志す技術者にとって有意義となれば幸いである。

 

S6: ITS技術の将来展開
8月26日午後(15:20〜)   ITS技術委員会
 昨今,厳しい財政事情下にあって,道路施設,交通安全施設等のインフラ整備が縮退傾向にある。加えて,既存インフラの更新あるいは維持管理面においても同様な状況にあり,道路交通インフラ全体の老朽化という課題に直面している。一方,社会全体においては急速な高齢化が進み,抜本的な対策が迫られている。高齢化は高齢ドライバーの増大を招き,発生事故の占める割合も年々増加している。こうした深刻な状況が進展するなか,交通の安全,円滑,快適性の確保は従来にも増して喫緊の課題である。今後はこれまでのようにインフラ単独に依存するのではなく,自動車など移動体との連携,協調を通じた施策が不可欠である。本シンポジウムではこれらの現実的な問題意識を提示するとともに,施策を支えるITS技術のあり方について討議する。

 

S7: 日本のパワーエレクトロニクス発達史 〜1985年以前〜
8月27日午前(9:00〜)   半導体電力変換技術委員会
 「パワーエレクトロニクスの発達史と将来展望協同研究委員会」では,近年,エネルギー問題や環境問題を解決する技術としてもパワーエレクトロニクスの果たすべき役割が重要となっており,半導体電力変換回路とその応用技術として発展を遂げてきたパワーエレクトロニクスは,新たな変革が迫られていることに鑑み,パワーエレクトロニクスのこれまでの発達史について,先達の技術的貢献とそれを生んだ背景などを体系的に整理して記録に残すことや,この発達史を踏まえて今後の将来展望について議論し,その方向性を取り纏めることを目的に調査活動を展開している。本シンポジウムは,この調査活動の中間報告として,現段階で集まっている資料の概要について報告し,電気学会会員にとって有益な報告の取り纏め方針策定の指針を得るべく,広く参加者と討論を行い意見を募ることを目的として開催する。

 

S8: ナノスケールサーボ制御の現状と課題
8月27日午前(9:00〜)   メカトロニクス制御技術委員会
 ナノメートルの精度で超高速かつ超高精度に位置決めを行う「ナノスケールサーボ」技術は,特にハードディスク装置や光ディスク装置に代表されるマスストレージシステムを対象として深化をしてきた。近年,そこで開発されたモデリング及び制御技術の応用・適用範囲は,半導体製造装置や液晶基板搬送装置,プリント基板加工機などの各種産業用機械,原子力間顕微鏡を始めとする計測機器など多岐に渡っている。今後も制御性能向上の要求に付随して,さらなる技術開発の進展と共に,これらの製品開発で得られた知見や研究開発された基礎技術は様々な製品への応用展開が期待される。
 本シンポジウムでは,ナノスケールサーボ制御技術に関して,実際に研究開発を手掛けている産業界・学界の技術者・研究者が集い,それぞれの製品に対する研究事例や課題を紹介しながら,これまでの研究成果を俯瞰しつつ情報共有を図り,超精密位置決め制御技術の現状と課題,そして今後の展望について討論する。

 

S9: 自動車用主機モータの技術動向とブレークスルー展望
8月27日午前(9:00〜)   自動車技術委員会
 極めて高いレベルの小型軽量化,高効率化,低コスト化が要求される自動車用主機モータについて,各自動車メーカ,自動車関連メーカ,電機メーカなどで,システムを含めた共通的な課題背景の下,あるいは独特の課題背景の下,実用技術としての様々な取り組みがなされている。これらの取り組みの課題背景と結果として採用された技術との関係を俯瞰的に明らかにし,次世代技術のブレークスルー展望を提示することは,その技術に携わる専門技術者の啓発を促し,イノベーションのための土壌として極めて有意義である。
 本シンポジウムでは,自動車メーカ各社の既存製品化技術をベースに,車両の設計コンセプト,開発ストーリー,その結果としてのパワートレイン技術という流れで技術変遷を俯瞰し,現在,残っている課題や将来的に望まれる技術を纏め,それらに対応する設計・生産技術,また各種研究機関などでのブレークスルーに向けた取り組みなどを紹介し,活発な議論を行う。

 

S10: 生体の運動解析とモーションコントロールへの展開
8月28日午前(9:00〜)   メカトロニクス制御技術委員会
 運動制御技術の発展に伴い,人間の運動機能を代替する高度な制御技術への期待が高まっているが,依然として人の運動機能に匹敵する性能を持つロボットの制御法は確立されていない。ロボットの制御と人の運動に差異が生まれる理由として,第一に筋骨格とモータ駆動の違いが挙げられる。したがって,筋骨格の効果と意義についてモーションコントロールの視点から議論することにより,生物固有の高度な制御特性の一端が明らかされることが期待される。本シンポジウムでは生体筋骨格,特に歩行や把持操り動作に代表される四肢の運動に着眼し,その概念を導入した新しい生体運動制御の理論体系について議論する。

 

S11: 家庭内に新たな位置づけを得る電力利用・創エネ・蓄エネ機器システムの新技術
8月28日午前(9:00〜)   家電・民生技術委員会
 家電・民生分野において,地球環境・エネルギー問題の解決手段として,省エネや電力・エネルギーの効率的活用を目指した新しい電力利用機器,創エネ・蓄エネ機器,配電機器およびシステムが家庭内で新たに導入され始めており,これら機器・システムに関連する技術開発・製品開発が急速に進められている。
 そこで本シンポジウムでは,「家庭内の電力利用機器・創エネ機器・蓄エネ機器の新技術協同研究委員会」(2012年4月〜2014年3月)における新技術・新製品開発の動向調査結果として,家庭内に新たな位置づけを得る,太陽電池・燃料電池を中心とした創エネ機器システム,蓄電池・キャパシタを活用した蓄エネ機器システム,省エネを実現する新しい家電機器および今後普及が期待される配電機器システム,それらを統合したエネルギーシステムに関する新技術およびコンセプトについて報告を行い,今後の課題や展望について参加者を交えた総合討論を行う予定である。

 

S12: 電力自由化に対応したスマートグリッドの展望と課題
8月28日午前(9:00〜)   スマートファシリティ技術委員会
 法的に定められた日本国内の電力自由化のスケジュールに対応し,系統安定化,需給調整,電力売買など,新たな電力エネルギーサービスのビジネスモデルが検討されている。スマートグリッドにおける需要家施設サービス・インフラ調査専門委員会では,これらサービスを実現するスマートグリッドシステムのインフラ機能について,海外動向をサーベイし,国内実態に合わせた検討を進めている。この検討成果であるユースケース,サービスの実現形態,セキュリティ,インターオペラビリティについて,電気学会内外に発表し,議論頂く場とする。本シンポジウムを主催する上記調査専門委員会は,設立2期目の終了を控え,これまでの需要家,電気事業者の新たなサービス及び,これを実現するインフラという観点から,その成果を纏め,報告する機会とする。

 

S13: 高度センサ応用による計測制御技術創生
8月28日午後(13:40〜)   産業計測制御技術委員会
 センシング技術は産業システムの計測制御の高度化を実現するために重要な基盤技術の一つである。特に近年では,安全安心支援や人間支援の観点から,電気機械システムのみならず環境や生体に対して高度なセンシング技術を応用することが強く求められている。本シンポジウムでは,センシング技術の最先端とその様々な応用例に関する講演を行い,参加者と意見交換をすることで,センシング技術の将来展望について広く議論することを目的とする。

 

S14: 未来の減圧トンネル超高速鉄道技術の可能性
8月28日午後(13:40〜)   交通・電気鉄道技術委員会
 2012年から2014年まで交通・電気鉄道技術委員会の元で調査活動を行った「減圧トンネル利用高速鉄道の駆動・制御システムに関する調査専門委員会」の調査内容を紹介し,中央リニア新幹線以後の日本の鉄道高速化の技術的可能性に関する将来展望を自由に議論する。

 

S15: 公共施設のアセットマネジメント
8月28日午後(13:40〜)   公共施設技術委員会
 我が国の上下水道施設は,住民への普及がほぼ一段落して建設から維持管理の時代に入った。建設から40年以上を経過した施設も多くあり,一部では老朽化も顕著となっている。水道では水道管の摩耗による破裂で断水が発生し,下水道でも老朽化に伴う道路陥没事故が約3,900か所(平成24年度)発生している。一方で,国と地方の財政赤字は国民一人当たりに換算すると1,000万円を超える。これら背景により,既存の施設を有効活用しながら長寿命化を図るストックマネジメントの手法が注目されている。
 本シンポジウムでは,上下水道施設における電気設備のストックマネジメント現状解析および今後のあるべき姿について議論を深めたい。また,ストックマネジメントに資するような電気設備やシミュレーションツールなどの提言をしたい。

 

シンポジウムセッション

演題のお申込みは終了いたしました.

 

連絡先

論文委員長 近藤圭一郎(千葉大学大学院)
email: kkondo@faculty.chiba-u.jp
Tel.043-290-3343
Fax.043-290-3338