シンポジウム

平成27年度産業応用部門大会では,産業応用部門の各技術委員会が企画する16のシンポジウム(S1〜S16)を開催しますので,奮ってご参加下さい。

S1: 高速道路における交通管制システム
9月2日午前(9:00〜)   ITS技術委員会
 道路利用者の安全,円滑,快適性を確保するため,交通管制システムが果たすべき役割は大きい。ICT(情報通信技術)のめざましい進歩により,交通管制を支える,情報収集技術,情報処理技術,情報提供技術の高度化にともない,極め細かい利用者サービスが可能になると考えられる。一方で,道路交通インフラの充実とその運用管理も重要な課題となっている。本シンポジウムでは,次世代における高速道路交通管制システム高度化に向けて,これら管制技術やシステム技術,要素技術,設備,管理運用に関する事項について議論する。

 

S2: 新電力ビジネスに関わる家庭内エネルギーの新技術
9月2日午前(9:00〜)   家電・民生技術委員会
 2014年6月に成立した改正電気事業法により,2016年より全需要家に対する電力小売りが自由化され新たに8400万件の市場が形成され,多くの新電力事業者を中心とした電力小売市場の変革が家庭などにおける電力利用に大きな影響を与えることが予想される。このように電力自由化に関わる家庭などにおけるスマートエネルギーシステムとスマートコミュニティの付加価値の向上が,新たな家庭内電力利用の重要な技術群を形成することが予想されるとともに,その普及拡大に伴いシステムの相互協調や信頼性などの技術を新たに構築する必要が考えられる。そこで家電・民生技術委員会では,本年度の産業応用部門大会では,これらの背景を踏まえて検討し,『新電力ビジネスに関わる家庭内エネルギーの新技術』にフォーカスしたシンポジウムを開催することにした。
具体的には,
・電力自由化に関連するコミュニティあるいは家庭の蓄エネ・創エネシステムとHEMS技術
・スマートメータとデマンドレスポンスに関する技術
・新電力ビジネスの動向と家庭内電力利用に影響する新電力サービスに関する技術
・規格/規制
・コミュニティあるいは家庭規模のスマートエネルギーシステムの信頼性に関する技術
などについて紹介する。

 

S3: 直流機技術継承支援へのグローバルな動向の導入
9月2日午前(10:00〜)   回転機技術委員会
 我が国では,大形直流機メーカーが全面撤退する中,鉄鋼ユーザを初めとするユーザは,今後とも長く直流機を使い続けなければならない状況にある。
(1) このような中で,直流機を依然として新製を続ける米国のメーカーならびに直流機技術のサステナブルに貢献する米国の修理業界団体EASAと修理会社IPS社を紹介して,今後の国内事情の参考に供する。
(2) 直流機メーカー設計者OBが,海外での体験をさまざまに語ることにより,直流機メーカーの技術を継承していく,修理メーカーの技術者育成に供する。
(3) 大形直流機を含む大形電動機の世界では,高度成長期を終えて国内市場の縮小に伴い,ブラシホルダー等の専用部品のメーカーの存立が困難になる傾向にあるが,一方では,世界市場を視野に置くコイル専業メーカー,整流子専業メーカー,ブラシホルダー専業メーカー,および,(巻線形誘導電動機の)液体抵抗器の専業メーカーが世界では台頭してきており,これらを活用していく方法を考える。

 

S4: ITSの活用による車両走行支援
9月2日午後(15:20〜)   ITS技術委員会
 昨今,交通の安全,円滑,快適性の確保に向け,インフラと自動車など移動体との連携,協調を通じた施策が打ち出されている。ITS技術はこうした施策を支える中核的な存在であり,今後,さらなる展開が期待される。本シンポジウムでは,施策を実現するにあたり,現実的な視点に立脚し,必要となるITS技術およびその活用事例について紹介する。さらに,将来のITSの動向を睨み,ITS技術のあり方についても討議する。

 

S5: 電気技術者の役割と人材育成
9月2日午後(15:20〜)   ものづくり技術委員会
 ものづくり企業にとって人材が大切であることは言うまでもない。しかし,その重要性を認識しながらも,低成長による育成機会の減少,非正規社員の増加や転職による雇用の流動化,産業構造や若手価値観の変化など,さまざまなビジネス環境の変化があり,その変化に的確に対応した人材育成が必ずしもできているとは言えない。
 今回のシンポジウムでは,「電気技術者の役割と人材育成」と題し,大学での技術教育や鉄鋼メーカー・電気メーカーでの人材育成の現状を紹介するとともに今後の人材育成のあり方について様々な立場からの議論をおこなう場として企画した。

 

S6: 次世代産業システムの新展開
9月4日午後(13:30〜)   次世代産業システム技術委員会
 活発に活動を続けている次世代産業システム技術委員会下の各種協同研究委員会の中から,昨年度および今年度に活動を開始した,「Okinawa型ロボット・サスティナブルシステム協同研究委員会」,「ICTの環境影響評価協同研究委員会」,「人と調和する支援技術の実現化協同研究委員会」および「G 空間社会における測位技術融合システム協同研究委員会」を取り上げ,その委員会の設置趣旨と活動内容の最新動向について紹介する。

 

S7: 世界へ羽ばたく!日本の電気鉄道と省エネルギー技術
9月3日午前(9:00〜)   交通・電気鉄道技術委員会
 今後も拡大が見込まれる世界の鉄道市場において,ヨーロッパ系の大メーカーに伍して優れた技術力を武器に海外展開を行う日本メーカーの取組みを,日本が優位性を発揮できると考えられる省エネルギー技術をキーワードとして,車両,地上,運転の各分野にわたり,ヨーロッパの技術動向とあわせて紹介する。各メーカーが一堂に会し,各社・各分野の取組みをまとめて知ることができる機会が提供されることは,参加者にとって有意義であると考えられる。

 

S8: BACSにおけるインターオペラビリティの構築
9月3日午前(9:00〜)   スマートファシリティ技術委員会
 BACSシステムを構成するデバイス間(ネットワークが介在)のインターオペラビリティ(相互接続性)が確立して初めてデバイス間の情報の交換が可能となり,BACSの持つ諸機能が実現できる。オープン環境下のBACSにおけるインターオペラビリティの確立を講演テーマのサブタイトルに記述した観点から論述する。

 

S9: 実世界ハプティクスの高度化と産業応用
9月3日午前(9:00〜)   メカトロニクス制御技術委員会
 実世界における触覚情報の抽出・保存・再現を可能にする「実世界ハプティクス」は,産業界における革新をもたらすことが期待される技術であると同時に,フレキシブルでパーソナルな人間支援においては,極めて重要なキーテクノロジーであり,更なる高度化が望まれている。この「実世界ハプティクス」は,電気工学におけるさまざまな要素技術の統合により実現されるものであるため,本シンポジウムにより多くの聴衆の興味を惹きつけ,超成熟社会の発展を支える次世代の人間支援技術の構築について考えるためのきっかけとなることを期待している。

 

S10: 最新!リニアモータ応用の状況2015
9月3日午前(9:00〜)   リニアドライブ技術委員会
 電磁駆動による直動機構は,回転形モータの回転運動を歯車やベルト,ボールねじ等で直線運動に変換するものが一般的である。一方,リニアモータは,前述の回転-直線変換機構を用いることなく直線運動できる特長を有しており,1980年代から活発に研究開発されはじめ,1990年代には半導体製造装置にとって必要不可欠なアクチュエータになった。そして,調査会社の資料によると,2000年から2010年の10年間で国内のリニアモータ販売台数は約10倍に膨らんでいる。
 それでは,現在,リニアモータはどこにどのように使われているのだろうか?本シンポジウムでは,2012年から3年間「産業用リニアドライブ技術の応用展開調査専門委員会」で調査されたリニアモータの応用事例について示す。
 本シンポジウムが,リニアモータエンジニアにとって研究開発の糸口の発見につながることを,装置設計開発者にとってリニアモータ採用のきっかけになることを期待する。

 

S11: 自動車の低燃費化に貢献する電動化技術 -従来車の48V電源活用,EV/HEVパワエレも含めて-
D部門NL8月号の副題に誤りがございました。上記に掲載されている副題が正となります。
9月3日午前(9:00〜)   自動車技術委員会
 自動車は人々の移動手段として不可欠になっているが,環境への影響も大きくなっている。そのため,自動車の課題として環境負荷低減と燃料多様化の対応が必要となっている。それらの効果が大きいハイブリッド自動車(HEV),プラグインハイブリッド車(PHV) ,電気自動車(EV),燃料電池車(FCV)等の電動車両は技術革新とともに導入が進んでいる。また,販売車両の大多数を占めるエンジンのみで走る従来車でも,燃費規制や優遇税制の中,CO2排出量は格段に低減されている。
 本報告では,CO2規制動向とその対応に関して,電動化を中心に自動車の低燃費化の最新技術の動向について,自動車の電源,電力変換器,モータ,エネルギーストレージに分けて概説する。

 

S12: 生体に学ぶ運動制御技術の展開と実応用
9月4日午前(9:00〜)   メカトロニクス制御技術委員会
 本シンポジウムでは生体の持つ筋骨格の効果と意義について,運動制御の視点から議論することにより,生物固有の高度な制御特性の一端を明らかにすることを目的とする。生体筋骨格,特に歩行や把持操り動作に代表される四肢の運動に着眼しその概念を導入した新しい生体運動制御の理論体系について述べる。そしてその理論が医療福祉やものづくりの現場でどのように実応用されるべきか,先鋭の研究者の講演に基づき議論する。

 

S13: スマートグリッドからの需要家向けサービスを実現するシステム基盤技術の展望
9月4日午前(9:00〜)   スマートファシリティ技術委員会
 電力システム改革を2016年度に控え,スマートグリッドを活用した電力エネルギーシステムのシステム基盤技術の仕様設定は急ぐべきものがある。本セッションは海外標準化機関で審議中のスマートグリッドに関する標準仕様のサーベイ結果と,国内ユースケースに対応した審議中の国際標準仕様への提案検討状況を報告し,スマートグリッドに関する国内関係者との議論の場とすることを狙いとしている。特に,本セッションでは,IEC TC57委員会,ISO TC205委員会で審議中のスマートグリッドを構成するシステム間の相互運用性の実現を狙いとする情報モデルの仕様紹介と国内ユースケースへの適用検討事例を紹介する。IECやISOでの関係規格の動向に興味のある方のご聴講を頂き,今後の国内関係者の意見の集約に寄与することを期待している。

 

S14: 診断・監視と周辺技術 (Diagnosis, Monitoring and Related Technologies)
9月4日午前(10:00〜),9月4日午後(13:30〜)   産業計測制御技術委員会
 計測・収集されたデータの信号処理・統計処理に基づくシステム(設備,装置,生体)の監視・診断・検査を行う技術や手法について,ある分野で有効に活用されている監視・診断技術の一般化,および他分野への展開をはかるとともに,データに基づいた監視・診断のための系統的な手法を確立するためには,適用対象を問わず分野横断的に幅広く議論を行う必要がある。これらの議論の場として本シンポジウムを提案するものである。

 

S15: 集中豪雨・局地的大雨に対応する上下水道施設の雨水管理技術
9月4日午後(13:30〜)   公共施設技術委員会
 近年,気候変動によると見られる集中豪雨・局地的大雨等豪雨の増加,放流先の海水面上昇,渇水リスクの増加が見られ,今後更に顕著になることが懸念されている。これまで上下水道施設は社会インフラとして安定運用維持のため計画的に整備されてきたが,これらの懸念に対し,まちづくりと連携した防災・減災・水資源有効活用など新たな視点を織り込んだ,更にスマートかつ高度な施設整備や情報把握/分析/提供の仕組みが求められている。この要求を実現していくため,近年進展著しいICT技術を駆使することにより,雨水貯留流域の雨量,下水道管路や放流先の水位,上水水源となる河川の水質などの情報を用いたリアルタイムコントロール,通常時/非常時の運転支援システム,きめ細かな情報把握/分析/提供を実現する情報システムなどのシステムや機能を,前記新たな視点に対応するよう進化させていく必要がある。このような背景のもと,雨水管理に関する最新の技術事例などを紹介するとともに,今後の上下水道施設における,豪雨対策,雨水有効活用などに関する監視制御,情報管理技術のあり方や活用方法について議論を深めることは,意義があると考えている。

 

S16: 交流電源にインタフェースされるパワーエレクトロニクス回路技術の動向
9月4日午後(13:30〜)   半導体電力変換技術委員会
 近年,交流電源に接続される電源が,産業分野により細分化し,枝分かれすることにより,各分野間の技術情報交流がなくなりつつある。これは,過去の研究成果が活用できないことや,同じような課題を協力して研究できないことで,研究開発の効率が低下する恐れがある。このような背景のもと,本委員会では,交流電源にインタフェースされるパワーエレクトロニクス回路として,回路トポロジーを中心とした電力変換器とその周辺技術について6種類の技術分野(高効率技術,低ノイズ技術,小型化技術,コンポーネント技術,制御技術,大容量技術)に分類し最新技術について調査したので報告する。

 

オーガナイズドセッション

平成27年度産業応用部門大会では,2つのオーガナイズドセッション(OS1,OS2)を開催しますので,奮ってご参加下さい。

OS1: 電磁機器の高効率化のための電力用磁性材料活用技術
9月4日午前(9:20〜)   柳瀬俊次(岐阜大学)
 電力用電磁機器分野に「トップランナー方式」が導入され(2012年:変圧器第2次判断基準,2015年4月:三相誘導電動機導入予定),従来の標準測定法では電磁鋼板の磁気特性評価が困難になってきている。これら使用環境を考慮した評価法の確立が急務であり,電力用磁性材料の高度活用技術(材料選択法や鉄心構成法,材料特性の測定法及び評価法)が今後の電磁機器の高効率化に必要不可欠である。

 

OS2: 産業応用を目指す先端制御技術
9月4日午後(13:30〜)   中茎 隆(九州工業大学)
 産業計測制御技術委員会配下の「先端制御技術の産業応用に関する協同研究委員会」は,企業と大学からの研究者,技術者で構成され,先端制御技術の産業応用に関して様々な視点から委員会活動を行ってきた。本OSでは,主に西日本エリアの大学の研究者に参加を呼びかけ,地理的にも比較的近い大学間で交流を深めるきっかけにしたいと考え,本提案を行った。