特別講演

日時 : 8月20日(火)8:30〜12:00

場所 : 長崎大学 文教キャンパス 中部講堂

プレナリーセッション

講演者紹介

柵山 正樹
chair 兵庫県出身。1976年東京大学大学院工学系研究科修士課程(産業機械工学)修了。1977年三菱電機株式会社に入社。電力・産業システム事業本部長,経営企画室長,半導体・デバイス事業本部長などを経て,2014年4月に代表執行役執行役社長に就任。2018年4月から取締役会長。2012年度の電気学会会長。
   
講演題目: 「向こう傷は武士の勲章(失敗を成功の母にする)」
 1977年三菱電機に入社した私の仕事は,大型バスほどの大きさがある水素冷却の大型発電機の開発で始まった。
 当時,大型発電機は米国メーカーの技術供与を受けており,設計はもとよりトラブル対策もライセンサーに照会する状況で,自主技術による自立が最大の目標だった。技術開発に取り組んだ結果,約10年後には自主設計の発電機を出荷,その約10年後には技術提携契約を解消することができた。 私の転任後も,後輩達が技術開発を続け,数年前に下に挙げたような賞を受けたことが私の誇りである。
 開発の歴史は,失敗と再挑戦という出口の見えないトンネルの連続であった。トンネルの出口を探す苦労話が、次のイノベーションを担う世代の参考になれば幸いである。
 
製品の受賞歴
2014年度グッドデザイン賞
   https://www.g-mark.org/award/describe/41401?token=jUiBPkVkuy
2016年度機械学会賞(技術)
  https://www.jsme.or.jp/kaisi/1188-42/
2016年度発明協会会長賞
  http://koueki.jiii.or.jp/hyosho/zenkoku/2016/jiii.html
2016年度日本電機工業会 電機工業技術功績者表彰(最優秀賞)
  http://www.jema-net.or.jp/Japanese/info/commendation/pdf/65_H28_kouseki.pdf
   
ブライアン・バークガフニ(Brian Burke-Gaffney)
chair カナダ出身。1972年来日。現在は,長崎総合科学大学教授,グラバー園名誉園長。
 
講演題目:インターフェース:長崎における技術交流の歴史
 16世紀後半,長崎はヨーロッパ人や中国人が頻繁に訪れるようになり,賑やかな国際貿易港へと発展しました。江戸時代になると,日本と諸外国との唯一の接点となり,貿易にとどまらず日本人の世界観に影響を与える情報もこの港町経由で日本に入っていきました。幕末の安政五ヵ国条約により,横浜、函館とともに長崎は貿易港として華やかな新しい時代を迎え,長崎の町に独特な折衷文化と国籍や言葉の壁を越えた共存社会が生まれました。幕末から明治期にかけて,長崎は諸藩の志士たちと外国人商人の出会いの場,また新しい時代の技術と文化の受け皿となり,日本の近代化に重要な役割を果たしました。