過給直噴水素エンジンの燃焼可視化

和泉　恭平（カワサキモータース）・藤木　俊孝（ヤマハ発動機）・丸井　勇介（本田技研工業）・二宮　至成（スズキ）・有馬　一樹・加藤　洋史・丸橋　健人・松本　優作・市　聡顕（カワサキモータース）

カーボンニュートラル実現に向けた水素エンジンの開発において,水素の着火しやすさに起因する異常燃焼の防止が課題である.そのためには可視化による燃焼挙動の把握が有効である.本研究では供試エンジンによる通常燃焼と異常燃焼の可視化を実施した.

筒内直噴水素エンジンと吸気ポート噴射水素エンジンの排気NOx等の比較

神尾　朋彦・山杢　敦（ヤマハ発動機）・松下　耕一郎（本田技研工業）・和泉　恭平（カワサキモータース）・香川　祐太（スズキ）

同じエンジンを用いて多様な運転条件での吸気ポート水素噴射と筒内水素噴射との排気NOx濃度を比較し、全ての空気過剰率において筒内噴射でより分布が広くなる結果が得られた。これは筒内直噴の混合気均質度が吸気ポート噴射よりも低いことによると考えられる。

水素噴流モデルによる筒内水素混合気形成の水素燃焼への影響調査

久野　篤志・桜井　洋太・齋藤　将仁（川崎重工業）・市　聡顕（カワサキモータース）

水素直噴エンジンにおいて筒内の水素と空気の混合状態は燃焼の安定性を担保するために重要な要素である．シュリーレン法を用いた水素直噴インジェクタ噴流の可視化結果からインジェクタ解析モデルを構築した．そのインジェクタ解析モデルを用いたエンジン筒内解析により，噴射時期における水素燃焼への影響を検討する．

急速圧縮機を用いた水素空気予混合火炎における燃焼過程の近赤外二色法温度計測と数値解析

任　方思・顧　浩銘・上沼　大介・中谷　辰爾・津江　光洋（東京大学）・市　聡顕（カワサキモータース）・松下　耕一朗（本田技研工業）・Kishal Saxena（ヤマハ発動機）・二宮　至成（スズキ）

水素は脱炭素化を目指す内燃機関における有望な代替燃料となる．本研究では，急速圧縮機を用いて希薄および化学量論比の水素・空気混合気の燃焼試験を実施し，高速度カメラと二色法温度計測を用いて燃焼過程中の火炎温度分布の変化を測定した．さらに，燃焼過程の数値計算を行い，その結果を実験データと比較検証した．

モーターサイクル用水素エンジンの空気過剰率と回転速度が瞬時熱流束に与える影響

及川　昌訓・横森　蒼司・三原　雄司・加賀　裕貴・岩田　拓実（東京都市大学）・神尾　朋彦・山杢　淳（ヤマハ発動機）・佐野　堅一（本田技研工業）・二宮　至成（スズキ）・尾鷲　道康（株式会社モトラ）

排気量が小さくS/Vが大きい125ccのモーターサイクル用水素エンジンのシリンダヘッドに，試作した瞬時熱流束センサを取り付け，空気過剰率や回転速度が熱流束に与える影響を確認した．その結果，空気過率を2.2から1.6に，回転速度を3000 rpmから8000 rpmに変更すると瞬時熱流束の最大値が大幅に増加する傾向を把握した．

λ=1過給直噴水素エンジンの開発

中間　健二郎・吉村　佳・渡邉　直人・臼井　雄太郎（スズキ）・Kapus Philipp・Poetscher Peter・Kapus Paul（AVL List）

水素を燃料として利用しながらも，ガソリンと同等の動力性能を持つ過給直噴水素エンジンを開発し，その性能を台上および車両にて評価した．本エンジンはλ=1燃焼を特徴とし，量産ガソリンエンジンと同等の耐久性および排出ガス性能を有する．車両実験により，最新の排出ガス規制を達成し得ることを明確にした．

Commercial Hydrogen Engines: Methodologies for rapid mechanical development and validation

Anton Arnberger･Gottfried Lurf (AVL List)･Peter Grabner･Michael Schneider (Technical University Graz)

Hydrogen engine development faces critical challenges to ensure robust and reliable performance in real-world applications. Adequate lube oil selection is key, as it influences combustion stability and long-term engine performance. An advanced lube oil screening method allows early-stage testing of long-term effects, such as increased oil consumption due to wear. Optimizing oil formulations and engine boundary conditions for controlled pre-ignition can offer significant benefits. Additionally, managing high water condensation in the crankcase under low load and cold conditions necessitates a thorough evaluation of ventilation systems and oil strategies. AVL's water accumulation testing provides an effective method for rapid evaluation and optimization.

Hydrogen Combustion Engine : Performance, Fuel Efficiency and Emissions optimisation

Joel Op de Beeck･Badr-Din Lahmoumi･Jezer Costa･Krzysztof Potaczek･Marcos Carvalho-Barreto･Nissrine Harbil･Toshihiko Minami (OPmobility)

The hydrogen internal combustion engine has the potential to bring down the CO2 emissions to zero. The NOx emissions from the engine need to be kept under control to meeting emission regulations. The engine needs to be protected from pre-ignition, whilst maintaining maximum power. Engine efficiency is key to assure range. This study will compare/combine hydrogen combustion with water injection and aftertreatment to find an optimal solution.

火花点火式水素エンジンの異常燃焼抑制に向けた水素と水の気液二相流噴射装置に関する研究

日吉　太一（同志社大学大学院）・松村　恵理子・千田　二郎（同志社大学）・武田　啓壮（アネブル）

水素は燃焼時にCO2を排出しない一方で，異常燃焼が課題として知られている．そのため，異常燃焼の抑制が必須である．本報では，水素噴射時に水を同時噴射する手法に着目し，水素を水との二相流状態で噴射する噴射装置を作製した.水素の代替としてヘリウムを用い，この噴射装置の噴霧特性の解析を行った結果を報告する．

低圧直噴水素エンジンにおける高噴射率化が熱効率に与える影響

山田　聖哉（東京都市大学）・新村　暢大（川崎重工業）・及川　昌訓・畑　航太朗（東京都市大学）・宮本　世界（川崎重工業）・三原　雄司・高木　靖雄（東京都市大学）

これまでの研究で水素噴射圧力の低圧化により，熱効率のレベルは維持できたが，噴射期間の長期化に起因するNOxの増加が明らかになり報告してきた．本研究では，高い噴射率を持つ噴射弁を用いた結果，NOx生成を抑制することができ，さらに熱効率向上にも効果があり50 %に迫る高い図示熱効率を実現することができた．

筒内直接噴射式火花点火機関の非定常筒内流動場における噴霧形成過程の解明

石黒　智大・南　将太（同志社大学大学院）・松村　恵理子・千田　二郎（同志社大学）・原口　茂則・佐藤　義久（本田技研工業）

直噴式火花点火機関において燃料噴霧の壁面付着はPM生成の要因となる．本研究では急速圧縮膨張装置を用いて筒内流動場の速度分布を解析するとともに，噴射圧力，噴射時期をパラメータとして変化させ非定常タンブル流動場に噴射された燃料噴霧の形成過程における噴霧特性を解析した．

内燃機関の設計計算に適用可能な粒径分布予測モデルの開発（第3報）
-5成分ガソリンサロゲートに対する検証-

橋本　淳（大分大学）・伊藤　千将（大分大学大学院）・窪山　達也（千葉大学大学院）・酒井　康行（茨城大学 カーボンリサイクルエネルギー研究センター）・秋濱　一弘（日本大学）

著者らは既報で，実機計算用の粒径分布予測モデルを作成し，イソオクタン／ノルマルヘプタン／トルエン混合燃料のバーナー火炎，単気筒直噴エンジンの実験結果に対して検証を行った．本研究では，ガソリンの性質をよく再現する5成分サロゲートに対してモデルを拡張し，単気筒直噴エンジンの実験結果に対して検証を行った．

Design and simulation of ignition-compression combustion system for gasoline engine

Cong Yao･Wenxin Cai･Yang Song･Gen Chen (Dong Feng Motor)

This article proposes the combustion concept of ignition-compression combustion in principle, and studies it from the aspects of intake port, combustion chamber, piston surface shape, etc. the best ignition-compression combustion system can achieve three-stage heat release in time and zone: Turbulent flame --> Jet flame --> Gentle spontaneous combustion. Then, the influence of boundary simulation analysis on ignition-compression combustion efficiency is analyzed separately from environmental temperature, intake air pressure, ignition advance angle, injection strategy, fuel type, and other factors. The simulation results show that the indicated thermal efficiency of gasoline engine can be 46.9%.

Experimental study of gasoline engine on the test-bench base on SICI combustion model

Wenxin Cai･Cong Yao･Gen Chen･Yang Song (Dong Feng Motor)

This article is based on a new ignition-compression combustion mode, the ignition-compression combustion system was redesigned, and a new ignition-compression combustion mode was verified on the bench. The experimental results showed that the 2 times fuel injection strategy was more suitable for the ignition-compression combustion mode; The timing of secondary injection and excess air coefficient for achieving optimal thermal efficiency are different at different operating points with different speeds and loads; After blending ethanol into fuel, the hydrogen to carbon ratio increases, the fuel's oxidizing properties are enhanced, and the levels of THC, CO, and CO2 emissions decrease.

ギヤ撹拌における各種計算法の比較(第2報)
-飛沫の予測精度に対する考察と実用的な改善方法の提案-

川村　隆文（数値流体力学コンサルティング）・島田　勝（ジヤトコエンジニアリング）・山田　直（トヨタ自動車）・加藤　維識（本田技術研究所）・三枝　大城（本田技研工業）・中島　聖（マツダ）・渡村　友昭（東京大学）・杉山　和靖（大阪大学）

第1報ではギヤが作るオイル飛沫流れについて粒子法，格子ボルツマン法，有限差分法，有限体積法など異なる数値計算手法による計算結果を実験と比較した結果を報告した．本報では計算の空間解像度と表面張力の関係が予測精度に与える影響を明らかにし，計算負荷を増やさずに予測精度を改善する方法を提案する．

高回転トラクションドライブの研究
-大減速比実験とユニット構成-

賈　悦辰・山本　建（東海大学）

小型化を目的に駆動モータの高回転化が進み，減速機には高減速比が求められる．トラクションローラは歯車より高減速比が可能とされるが，性能や限界は未解明である．そこで高減速比高回転の試験機を設計製作し，トラクション係数と伝達効率を測定した．その結果，減速比を2.5～6高めても性能低下が小さいことを確認した．

ベアリング損失低減によるCO2排出および電気自動車システムコストの削減

西澤　聖哉（シェフラージャパン）・Franz Voelkel（Schaeffler Technologies AG & Co. KG）

ベアリングのエネルギー損失は，電気自動車全体のエネルギー損失に無視できない影響を及ぼす．
また下流（製品使用中）における電気自動車のバッテリー容量に対して大きな影響を及ぼす．
ベアリングの損失を抑えることで，ライフサイクルで見たCO2排出量やバッテリーの容量を削減することができる．
本報告では，ベアリングを対象にし，ダウンサイズ/高容量化，設計最適化を行い損失を抑える方策，また結果，必要なバッテリー容量とそのコストを削減できることを示す．

Electrified Motorcycle Powertrains - Hybrid Concepts Paving the Way to Future Technologies

Wolfgang Johann Schoeffmann･Christian Hubmann･Gernot Fuckar･Christian Martin (AVL List)

Electrification of two-wheelers faces unique challenges, including packaging and mass constraints, limited urban charging infrastructure and stringent cost targets.
Battery electric two wheelers are ideal for city driving whereas hybridization extends operational limits, enabling electric modes for zero-emission driving, while boosting enhances performance and transient response.
An electrified variable power-split hybrid scooter powertrain combines efficiency improvements and electric driving whereas an integral dedicated hybrid transmission is specified for a performance hybrid with minimized mass and packaging.
The paper covers layout criteria for ICE and hybrid system, while addressing operation modes in the relevant drive cycle sections.

湿式多板クラッチの高回転における引き摺りトルク上昇の検討（第3報）

胡本　博史・為貝　仁志・吉末　知弘（マツダ）

自動車のオートマチックトランスミッションで使われる湿式多板クラッチは，開放時に高回転領域にてクラッチプレートが軸方向に振動することで引き摺り損失が急上昇することがある．その振動現象をCFDと振動の連成解析によってモデル化し，高速度カメラでの振動計測をもってモデルの妥当性検証を行うことで振動メカニズムを明らかにした．

駆動モータ用ベアリングの電食未然防止設計

桑原　隆宏・竹本　怜史（日産自動車）

電動化に伴いトルク伝達経路への電気流入による電食現象があり，今後課題の顕在化が進むと予想される．一方で絶縁や導電による電食対策アイテムの開発は進んでいるが，メンテナンス前提や実機評価後の対処療法となっている為，今回，開発初期段階からの最適設計実施と開発効率向上を狙った，電食の未然防止設計に取組んだ．

金属Vベルト式CVTの定常条件下でのプーリ間滑り率に及ぼす変速比の影響
-ー走行軌跡および相対ピッチ角の変化ー-

松田　涼汰（同志社大学大学院）・大窪　和也・小武内　清貴（同志社大学）

CVTに加速度センサ及び回転数計を設置し，無負荷条件下でベルトを周回させることでエレメントの加速度を測定し, 相対ピッチ角の変化を調べた．各速比条件下でエレメントは，従動プーリ溝中で前傾になり，駆動プーリ溝中で後傾になった．また，相対ピッチ角の絶対値の増加に伴いプーリ間スリップが増加することが分かった．

駆動系浸炭部品におけるオーステナイト粒径の異常成長要因の影響度検討

伊藤　靖朗・加藤　豪（ジヤトコ）

冷間鍛造で成形した浸炭部品は，強度低下を引き起こすオーステナイト粒径の異常粒成長が発生することがある．影響因子は定性的に知られているが，その影響度合いは明確ではない．そこで，部品製造工程を模擬した試験片を用いて，各影響因子と浸炭後のオーステナイト粒径との関係を実験によって明らかにした．

ベイジアンネットワークによる駆動系浸炭部品の異常粒成長発生予測

水野　朗・加藤　豪・前田　誠（ジヤトコ）・小島　秀平・山下　翼・吉田　拓未（エムアイシックス）・井上　純哉（東京大学）

駆動系浸炭部品における部品強度の低下を引き起こす異常粒成長は，複雑な現象のため発生予測が困難である．今回，ベイジアンネットワークを構築し，冷間鍛造を模擬した試験片データを用いて学習させ，素材の材料特性及び製造条件から異常粒成長の発生有無を予測できる手法を開発した．

高速度赤外線カメラを用いたディーゼルエンジンピストン表面の時系列温度分布計測

宮下　和也・古川　伸哉・石井　義範・小澤　恒（いすゞ中央研究所）

燃焼CFDでは各現象を表現したモデルを組み合わせることによりシリンダ内の燃焼を再現している．しかしその再現性には課題があり，特に壁面熱損失の精度検証が必要である．本報では高速度赤外線カメラを用いてピストン表面の赤外放射を直接可視化し，検証に必要な実機エンジンにおける時系列壁面温度分布を計測した．

ディーゼルエンジンにおける筒内水噴射を用いたNOx低減ストラテジー（第2報）
-筒内水成層コンセプトの高負荷条件への適用-

稲垣　和久（豊田中央研究所）・河合　謹（豊田自動織機）・近藤　照明・西川　一明（豊田中央研究所）

エンジン筒内に水を成層配置させることでNOxを大幅に低減する燃焼コンセプトを提案した．第2報（本報）では，より高負荷条件のIMEPが1.2MPaにおいて，エンジン性能を評価し，水の噴射量が燃料の50％の条件で，水噴射の分割化と噴射時期，インターバルの最適化によって，等スート濃度条件で，NOxが約40％低下することを実証した．

噴孔オフセットノズルを用いた高圧縮比ディーゼル機関の熱効率向上

向山　智之・内田　登（新エィシーイー）

大型商用ディーゼル機関において，熱効率向上およびその元となる噴霧技術が重要である．本研究では先行研究において報告された噴孔オフセットノズルによる冷却損失低減・図示熱効率改善に着目し，高圧縮比ディーゼル機関における性能評価および現象解明に向けた筒内可視化観察，ノズル内流動解析を実施した．

ディーゼル機関の高圧縮比下（高雰囲気密度場）における噴霧内濃度分布と壁面干渉に関するモデル解析

吉川　稜人・保野　優輝（同志社大学大学院）・松村　恵理子・千田　二郎（同志社大学）

ディーゼル機関において熱効率向上には圧縮比を上げることが効果的であるが，筒内気体の高密度化により火炎の壁面衝突形態が変わり，冷却損失に影響が出るため燃焼室形状を最適化する必要がある．本研究では，重量車用ディーゼル機関を想定した噴霧内混合気濃度の解析および燃焼室形状の最適化をモデル解析によって行った．

圧縮着火機関における噴霧－潤滑油膜壁面干渉過程のモデリング

中田　悠希・中岡　翔斗・西村　佳那子（同志社大学大学院）・松村　恵理子（同志社大学）

圧縮着火機関ではポスト噴射時に生じるオイル希釈が課題となる．現象予測について既存壁面モデルは潤滑油膜が塗布された壁面に噴霧が衝突する現象に対応していない．本研究では，潤滑油膜と燃料液滴の衝突を考慮した新たな壁面モデルを構築し，実験および他モデルとの比較を行いモデルの適用性検証を行った結果を報告する．

車載型の代替計測手法を用いたディーゼル乗用車の排出ガス挙動の評価

川原田　光典・鈴木　央一（自動車技術総合機構）

CO2やNOxに加えて温暖化係数が大きいN2Oなどを評価するため，車載型分析計の計測原理として一般に用いられている非分散赤外分光法や非分散紫外分光法，化学発光法とは異なる計測原理の装置を用いた．ディーゼル乗用車の排出ガス挙動を評価するとともに，計測原理の違いによる計測結果への影響について考察した．

ポスト噴射に由来する窒素酸化物の還元メカニズム

渡邉　雪斗（ヤンマーホールディングス）・平岩　洋二（北海道大学大学院）・柴田　元・小川　英之（北海道大学 大学院工学研究科）

ディーゼルエンジンのポスト噴射にNOxの低減効果があることが報告されているが，その詳細なメカニズムは明らかとなっていない．
本研究では，エンジン実験によりポスト噴射のNOx低減効果を詳細に調べ，0次元化学動力学計算結果を用いて燃焼中に生成されたアンモニアによるNOx還元の可能性について解析をした．

機械学習を活用したディーゼルエンジン吸気系におけるガス温度の推定

池戸　隆人・脇坂　佳史（豊田中央研究所）

ディーゼルエンジン制御の適正化による燃費向上と排気低減を目的に，吸気系のガス温度を高精度に推定するモデルを構築した．本モデルは，ニューラルネットワークと物理を融合し，吸気系のガス温度を物理則に基づいて算出する．テストデータに対する推定精度を評価した結果，全区間の平均絶対誤差は0.692℃であった．

Proof of advanced emission control systems and thermal strategies for future NRMM regulations

Bernhard Raser (AVL List)･Joachim Demuynck･Dirk Bosteels (AECC)･Hannes Noll (AVL List)

The regulation of pollutant emissions for Non-Road Mobile Machinery is under review in the US (CARB Tier 5 proposal) and EU (Stage V review). Future regulations are expected to emphasize diverse operating conditions, including continuous low load. CO2-neutral fuels are being explored to mitigate the carbon footprint of NRMM Internal Combustion Engines (ICE), a key powertrain for the sector. This study evaluates NOx and CO2 reduction potential using an NRMM engine model simulation across test cycles (NRTC, NRSC, LLC) and in-use scenarios. Additionally, test results of an NRMM engine are presented, examining various future exhaust emission control systems combined with advanced engine temperature management strategies. These findings demonstrate the potential for optimizing pollutant reduction technologies and thermal management to meet stringent future emissions standards while maintaining performance and efficiency.

尿素エマルジョン燃料噴霧による混合気形成の光学的解析

竹田　涼介・小田　大介・城戸　章宏（東北学院大学）

従来のエマルジョン燃料は水が用いられていたが，本研究では尿素水を用いた．現在主流な燃料であるガソリン，軽油，また石油代替燃料として注目されているアンモニア，エマルジョン燃料を対象に，それぞれの燃料噴霧と比較することにより尿素エマルジョンの混合気形成特性に関する知見を得た．

副室式ディーゼルエンジン車を用いたシャシダイナモメータ試験による尿素エマルジョン燃料の性能評価

小田　大介・竹田　涼介・城戸　章宏（東北学院大学）

内燃機関自動車のカーボンニュートラル実現へ向けて再生可能エネルギによって生成可能なアンモニアが注目されており，これによって合成される尿素は取り扱いも容易である．本研究では，尿素を添加したエマルジョン燃料を副室式ディーゼルエンジンに適用した際の各種性能をシャシダイナモメータ試験によって評価した．

冠水路走行時のアンダーフロア部品破損予測のためのCAE手法開発

黛　英伯・宮崎　純・赤坂　啓・中里　公亮（日産自動車）

近年，自動車の電動化に伴いアンダーフロアに樹脂カバーが多く使われるようになっている．アンダーフロアは冠水路走行時に水圧を受けるため水圧により破損しない部品が求められる．CAEを活用した車両開発の期間短縮やコスト低減のため，粒子法を用いた流体解析と構造解析を連成し部品の破損リスクを評価する手法を開発した．

Investigation of the Flow Separation from the DrivAer Notchback Rear Window with DDES and LES

Luca Bauer (Technical University of Munich)･Jonas Sebald (Audi)･Philipp Schlichter･Thomas Indinger (Technical University of Munich)

Computational Fluid Dynamics (CFD) workflows that employ Delayed Detached Eddy Simulation (DDES) typically provide accurate predictions regarding automotive external aerodynamics. However, DDES can exhibit inaccuracies in specific regions of the flow field. This study examines one such critical area: the boundary layer separation from the rear window. Therefore, we benchmark both DDES and Large-Eddy Simulation (LES) against wind tunnel data for the DrivAer Notchback by using an OpenFOAM workflow.

Numerical Investigation of Water Flow in Narrow Gaps of Vehicle Interior Components

Evelyn Sabella Rugerri (Technical University of Munich)･Dirk Baeder (Audi)･Thomas Indinger (Technical University of Munich)

If one unintentionally spills beverages or keeps the sunroof open during a rainy day, several electronic and mechatronic components may be exposed to water. Hence, monitoring water in vehicle interior is part of a growing body of research on water management. This study bridges the physical insights to its virtual representation using a novel Lagrangian 3D-CFD solver. Despite its flexible nature, the computational time for simulation on complex geometries still seeks great optimization. This is to be conducted by means of a mathematical modeling of flows in narrow gaps, whereas the models are obtained empirically using Design of Experiment (DoE).

ドラムブレーキにおけるBPEのCFDシミュレーション

棚町　脩平・伊藤　泰亮・内山　勝宏・山口　慶之（日清紡ブレーキ株式会社）

自動車用ブレーキ摩擦材から生じる摩耗粉粒子の排出量は，EURO7の規制対象であり，摩擦材設計において考慮すべき重要な項目である．本研究では，ドラムブレーキの粒子排出に着目し，CFDシミュレーションによるパラメータスタディの結果を紹介する．また，実機試験結果は，シミュレーションと同様な傾向が得られた．

Numerical Implementation of a Leak Testing Method to be applied to High Voltage Batteries

Matthew Sleight･Stefan Adami (TUM)･Mathieu Mulmann (Audi)･Thomas Indinger (TUM)

The production of High Voltage batteries is a major challenge for the automotive industry. To improve battery production quality, optimizing the leak test would be an important development. This test consists of changing the pressure in the battery and measuring the volume leakage. To do this, CFD simulations are carried out using the SPH method. A numerical model is used to reproduce the different phases of this test. These results are compared with experimental data. The recreated process will help to optimize the process thanks to a better understanding of the phenomenon.

CFDを用いたワイパー作動時のウォッシャ液流れ予測手法の開発

中村　竣・伊藤　祐太・水谷　有沙・安岡　志朗（トヨタ自動車）・Gabriel Pichon（ダッソーシステムズ株式会社）

走行中のワイパー作動時のウォッシャ液挙動を解析すべく，LBMによる風流れ解析と粒子法によるウォッシャ液流れ解析の連成手法を開発した．本発表では，実車実験結果との比較，及び本手法を用いた開発の進め方を示す．

Research on Aerodynamic Performance Enhancement of an Automobile Through Utilization of Cooling Ventilation

Feiyi Chen･Takuji Nakashima･Takenori Hiraoka (Hiroshima University)･Keigo Shimizu･Yusuke Nakamura (Mazda)･Hidemi Mutsuda (Hiroshima University)

In this study, the feasibility of aerodynamic performance enhancement of an automobile through utilization of cooling ventilation was investigated. A general vehicle model for aerodynamic research was used as the investigated vehicle, and the shape of the exhaust duct leading to the base surface was parametrically optimized to reduce the aerodynamic drag. As a result, the optimal duct reduced overall drag more than the ideal model without radiator ventilation, although the radiator ventilation volume was reduced by half compared to the original model.

トンネル入口緩衝工に設けられた開口部と車両周りの流れの関係

加藤　直人・大川　萌里（宇都宮大学大学院）・吉田　圭佑（株式会社トヨタ ガズーレーシング ディベロップメント）・長谷川　裕晃（宇都宮大学大学院）

車両などがトンネルに突入する際に問題となる微気圧波を軽減するために設けられる緩衝工について，その周辺の気流構造について考察した．本研究では車両を模擬した物体がトンネルに突入する際の気流の構造について，重合格子を用いた数値シミュレーションを行い，過去に報告された実験結果と比較を行った．

グラフ構造化分析を用いた自動車の空気抵抗に寄与する流れ場の同定

中村　優佑・目良　貢・清水　圭吾・瀬尾　晃平（マツダ）・平岡　武宜・中島　卓司（広島大学）

グラフ構造化分析を用いて，空気抵抗に寄与する流れ場を同定した事例について発表する．1/5スケールSUV形状のシミュレーションで取得した時間非定常の流れ場と空気抵抗係数に対して，グラフ構造化分析を適用することで，空気抵抗係数への因果関係構造を有向グラフで可視化し，空気抵抗係数の原因となる流れ場の特定を試みた．

自然風の変動を再現した数値解析による変調する空力騒音の低減メカニズム検討

平田　匠（日産自動車）・田島　厚志（神戸大学）・上脇　崇弘・若松　純一・池田　隼・中里　公亮（日産自動車）・李　崇綱（理化学研究所）・坪倉　誠（神戸大学/理化学研究所）

自動車の実路走行時に発生するバサバサ音と呼ばれる変動感を伴う空力騒音は，乗員に不快感を与える．これまで，発生メカニズム解明のため，富岳を用いた大規模数値解析による自然風変動を考慮した再現手法の開発に取り組んできた．本報では低減効果のあるアイテムに本手法を適用し，メカニズムを検討した結果を報告する．

風切り音性能開発を目的とした，Aピラー周りの剥離点予測に必要なCFD空間解像度の検討

樋渡　一晃・米満　竜太・渡会　昌之（本田技研工業）・安孫子　和弥（オートテクニックジャパン）・張　嘉義（パーソルクロステクノロジー）・寺川　毅（ホンダテクノフォート）

風切音性能開発の中では，デザインに対して精度の高い風流れの評価が必要である．
現状はこの検証を風洞試験にて行っているが，開発高速化に向けては高精度CFDによる予測が必要になる．
本件では，Aピラーの剥離点予測に必要な計算設定を調査し，風洞試験との比較によりその妥当性を確認する．

Design with AI assistance

Pablo Montoya Diego (Applus IDIADA)

In an increasingly competitive global environment, there is currently a significant push among automakers to reduce development times for new models. This project is an exploration of Artificial Intelligence tools that have been introduced in the last two years for image and 3D volume generation, and how they can be used by designers to streamline the styling process and save significant amounts of time in turning their ideas into reality, while retaining full creative control over their output.

Challenges and Innovations in Sustainable Urban Vehicle Design.

EMILIA Romero Tienda･Ines Munoz (A43581610)

The design of innovative vehicles for urban environments presents multiple challenges in the context of sustainable mobility. This study examines the current challenges in developing urban vehicles that must comply with the principles of circular economy, carbon footprint and cost reduction, while adapting to the diverse needs of users and travel purposes. Through the analysis of two vehicles, designed for people and goods, outstanding challenges in designing truly versatile products are identified and assessed. This research contributes to the understanding of the key factors for achieving more efficient, safe and tailored urban mobility, aligned with the demands of modern society.

ロボットアームと差動ステアにおけるデザインと機能の融合

太田　開人（東京農工大学）

ロボットアームと差動ステアリングの設計において，技術的な性能とかっこいいデザインの融合を目指しました．機能とデザインの融合を追求した具体的なプロセスやこだわった点などを，実物の展示を行いながら紹介します．

インフュージョン成形の特性を活かした意匠再現性

与那覇　幹男・堂端　厚志（ファブリケーター）

シンプルな設備とワンオペレーションのインフュージョン成形による，意匠再現性に優れた高品質な小ロット生産の実際．
納期とコストの管理における柔軟性，および改善された作業環境(溶剤への曝露の減少)も実現．

生成AIが変えるデザインプロセスと知的財産権の対応

横井　康秀・朝倉　雅文（Final Aim）

生成AIの進化により，デザインの高速化と創造的アプローチの拡大が進んでいる．一方で，知的財産権のリスク管理と保護が重要な課題となっている．生成AIを活用したデザイン事例を基に，技術の恩恵と課題を整理した．さらに，知財管理の現状と実践的な取り組みを踏まえ，次世代のデザインプロセスを提案する．

Assessing automotive cybersecurity vulnerabilities with generative adversarial networks

Miguel Martinez (IDIADA Automotive Technology SA)

In an era where the cybersecurity is a key point for the protection of our daily life. Artificial intelligence has emerged as a solution to improve threat detection, risk assessment and response mechanisms. This paper is focused on the evaluation of vulnerabilities in automotive systems by using deep learning networks to generate attacks and discover vulnerabilities that could not be detected by traditional methods, it is proposed the development of a generative adversarial network (GAN) to reproduce synthetic cybersecurity attacks in the vehicular environment.

Securitization of an automotive FOTA process in compliance with UNECE R155 & R156

Sergi Arjona (Applus+ IDIADA)

The automotive industry is transitioning to Software-Defined Vehicles (SDVs), where software drives functionalities like ADAS and infotainment. This evolution demands secure and scalable firmware-over-the-air (FOTA) systems compliant with UNECE R155 and R156. This project presents a tailored FOTA solution integrating secure boot, RSA signature verification, TLS-encrypted communication, and anti-rollback mechanisms to mitigate threats such as spoofing and tampering. Scalable and efficient, the system ensures update integrity, authenticity, and confidentiality while supporting large fleets. Real-time monitoring and modularity enhance regulatory compliance, positioning secure FOTA systems as vital to SDV development in connected vehicles.

WPA3 technology in Automotive: Enhancing security for connected vehicles.

Ismael Vera (Applus+ IDIADA)

WPA3 has landed to our internet connections, promising new capabilities and improvements from its previous version WPA2. Recently, this protocol has begun to be implemented in connected vehicles. In Applus+ IDIADA, we must stay updated about new emerging technologies in the automotive industry in order to continue being leaders in security testing. The purpose of this paper is to provide knowledge about what can we expect from WPA3, which improvements it brings in terms of security and how is our company preparing to test all its vulnerabilities, aiming to protect the final users and give them the safest vehicle possible.

End-to-End Secure Automotive IoT Applications

Dennis Kengo Oka (TBD)

The automotive world is merging with the IoT world with emergence of Automotive IoT applications where traditional embedded software architectures and development methodologies blend with modern cloud architectures and development. Automotive IoT encompasses vehicles, cloud and mobile devices thus increasing the overall attack surface and potential impact on safety, operation, privacy and finance. As such, it is imperative to consider relevant security solutions for embedded as well as for cloud and mobile. This article presents Automotive IoT use cases, discusses vehicle and cloud architectures, and reviews development processes and security frameworks to enable end-to-end secure development of Automotive IoT applications.

Firmware Security Module

Philipp Jungklass･Claude-Pascal Stoeber-Schmidt･Marco Siebert (IAV)･Jonas Rummel･Taigan Lee (IAV Japan Co., Ltd.)

Modern vehicles based on the conceptual design of the Software Defined Vehicle (SDV) focus on the implementation of new functionalities in software. To secure such vehicles, it is essential to provide a trustworthy and secure enclave that can be used to execute security-relevant functionalities. These secure runtime environments, known as Trusted Execution Environment (TEE), provide the necessary protection mechanisms to achieve the objectives of information security. However, existing TEEs in automotive control units are dependent on dedicated hardware support, which significantly limits their flexibility. For this reason, an alternative, software-based concept for a TEE is presented in this article, which reduces hardware dependencies to a minimum, significantly increasing flexibility compared to previous solutions. To demonstrate the approach, presented here, the secure runtime environment is implemented as an example on an automotive Electronic Control Unit (ECU) platform.

Secure agile software development in the automotive industry

Philipp Jungklass･Carsten Elvers (IAV)･Jonas Rummel (IAV Japan Co., Ltd.)･Claude-Pascal Stoeber-Schmidt (IAV)･Taigan Lee (IAV Japan Co., Ltd.)

Agile methods have established themselves in the development of software for good reasons: they help to incorporate rapidly changing requirements into projects in the best possible way. Regular reviews of iterations through tests also ensure higher quality and more transparency. However, this type of software development contradicts some of the classic requirements of the automotive industry. After all, the development of software for vehicles is subject to process models such as the standardized Automotive SPICE or the V-model, which separates the development process into clearly defined sub-steps. In addition, many other requirements must be observed in the automotive environment, such as the security regulations of the UNECE for cyber security management systems or the specifications for functional safety defined in the ISO26262. For this reason, this article uses an automotive series project to explain the general procedure for meeting these strict requirements using agile methods.

Penetration testing of automotive systems

Claude-Pascal Stoeber-Schmidt (IAV)･Taigan Lee (IAV Japan Co., Ltd.)･Marco Siebert･Philipp Jungklass (IAV)･Jonas Rummel (IAV Japan Co., Ltd.)

To ensure cybersecurity, experts need mechanisms to identify and eliminate vulnerabilities before attackers can exploit them. Penetration tests are crucial in this process, enabling specialists to recognize and close potential security gaps early. By developing specific attacker models and using advanced techniques like scanning, attack simulations, and vulnerability analysis, penetration testers can uncover hidden security risks. This systematic approach not only identifies vulnerabilities but also helps understand how they could be exploited, such as stealing protected data or compromising systems. For this reason, this article uses a series project from the automotive sector to describe the general procedure and the correct use of the various test methodologies.

部材一体化を実現するホットスタンプブロー成形工法の開発

久保　雅寛・白神　聡（日本製鉄）・板垣　昂（住友重機械工業）・西嶋　学（株式会社　今西製作所）・吉田　博司（日本製鉄）

ホットスタンプ材を用いた高機能一体化部品を実現する要素技術の開発を進めている．今回は，板材を利用したブロー成形により閉断面を一発造形するホットスタンプブロー成形工法を開発し，試作にて成形性や部材特性の検証を行なった内容を述べる．

ホットスタンプによる大規模部品一体化技術開発

池上　健太・久保　雅寛・白神　聡・吉田　博司（日本製鉄）

ホイールハウスインナを含むリアフロア周辺部品の大規模一体成形を実現するために，1ストロークで，上下方向の曲げ成形と，横方向からの絞り成形を可能とするホットスタンプ新工法を開発し，試作にて新工法の効果検証を行った．さらに，ホットスタンプ材を用いた一体化構造が，衝突性能に及ぼす影響について調査した．

パルス電流の波形制御と休止時間自動制御による高板厚比三枚重ねスポット溶接技術の開発（その1）
-CDC新スポット溶接技術-

渡邉　信也・斉藤　仁・譚　錫昊（本田技研工業）・豊田　紘樹・池田　倫正（大阪大学）

EV化が進み電池及び乗員を守る車体要件は厳格化し，スティフナやインナには超ハイテンの適用が進んでいる．一方で，アウタは薄肉化しており，薄板の溶接径確保と散り抑制の両立が困難な高板厚比の薄厚厚三枚重ね板組（以下，難板組）が増加している．本報では， この課題を解決するために開発した新スポット溶接法（CDC溶接法）とその溶接メカニズム，溶接可能な板組範囲の拡大効果と散り抑制効果について，従来の直流インバータ溶接（以下，DC溶接）と比較して報告する.

パルス電流の波形制御と休止時間自動制御による高板厚比三枚重ねスポット溶接技術の開発（その2）
-CDC新スポット溶接技術-

渡邉　信也・斎藤　仁・譚　錫昊（本田技研工業）・豊田　紘樹・池田　倫正（大阪大学）

EV化が進み電池及び乗員を守る車体要件は厳格化し，スティフナやインナには超ハイテンの適用が進んでいる．一方で，アウタは薄肉化しており，薄板の溶接径確保と散り抑制の両立が困難な高板厚比の薄厚厚三枚重ね板組（以下，難板組）が増加している．本報では， この課題を解決するために開発した新スポット溶接法（CDC溶接法）とその溶接メカニズム，溶接可能な板組範囲の拡大効果と散り抑制効果について，従来の直流インバータ溶接（以下，DC溶接）と比較して報告する.

内装インパネへのスエード材貼り込み技術構築
-Development of Suede Material Application Technology for Interior Instrument Panels.-

今井　健斗・新野　雄史（本田技研工業）

近年，自動車の内装には多彩な加飾表現が適用されており，合成皮革やファブリックに留まらず，より高質感を表現できるスエード材も用いられている．
スエード材は合皮と比べ伸びずらい素材であることから賦形しずらく成型できる形状に制限があった．
そのためインパネのような面積が広く複雑な形状に貼り込む際は，部品分割やスエード素材を張り合わせしており，製造工程が多くかかっていた．
また貼り込みには手貼りが一般的で要員とコストがかかっていた．
今回我々は従来の自動貼り込み設備を用い，既存合皮表皮と同等の製造サイクルで貼り込む技術を開発した．
これにより形状の複雑なインパネを分割することなく貼り込むことで現有設備にて製造工程を変更することなくスエード表皮インパネを実現した．

高絶縁・高耐熱を両立したジアリルイソフタレート樹脂成形材料の開発

井上　智晴・井川　亮一（住友ベークライト）

電気自動車システムの高電圧化により，その部品には従来よりも高い絶縁性と耐熱性が求められる．我々はジアリルイソフタレート樹脂を用い，耐トラッキング性800V以上の高絶縁性と，ガラス転移点235℃に達する耐熱性とを両立した材料を開発した．射出成形機による薄肉成形も可能であり，部品の小型化や高放熱化が期待できる．

水系塗料を用いた樹脂グレージング用ハードコート材の開発

丹羽　三冬・白石　健太郎・高野橋　寛朗（旭化成）・岩井　和史・渡橋　汰介（株式会社レニアス）

自動車の燃費改善に向けた軽量化のため，樹脂グレージングが求められている．我々は独自のナノ構造制御技術を駆使し，欧州車両認証規格ECEのclassL相当の高い耐摩耗性を発現する水系ハードコート材を開発した．本発表では，水系ハードコート材の特徴や各種物性について報告する．

画像解析を用いた工程解析システムの開発（第1報）
-物流工程効率に対する自動解析システムの実用性検証-

杉野　択真・森下　浩文（トヨタ自動車）・Gianpiero Francesca・Sven Meier（トヨタ モーター ヨーロッパ）・新谷　和宏（トヨタ自動車）

我々は自動車製造工程において，現場作業者が自らAI検出モデルを用いた工程解析を行えるシステムの開発に取り組んでいる．本報告ではその一環として，カメラを用いた物流工程効率の解析システムを構築した．提案システムは従来の解析手法と同等の精度を維持しつつ，約90%の工数削減が可能であることを確認した．

エンジンの燃費を向上する燃焼室高応答遮熱材料技術の開発（第4報）
-遮熱膜の密着モデルと下地加工モデルの構築-

山村　海（マツダ）

エンジンの冷却損失低減による燃費向上を目的に遮熱材料技術の開発を進めている．遮熱膜の密着性は基材粗面化による機械的結合での確保を検討しており，今回，新たな密着性定量化手法を用いて基材の粗さ管理指標を明らかにし，また所望の粗さを効率的に精度良く得るための加工モデルを構築した結果を報告する．

鋼材内部の簡易的な残留応力評価・半切法の提案

西田　智・小林　叡記（秋山精鋼）・西野　創一郎（茨城大学）

引抜き加工された丸棒鋼の鋼材内部の残留応力測定は簡単ではない．引抜き加工のFEM解析で算出した鋼材内部の残留応力をX線回析で評価できる半切法を提案する．FEM解析は1/2モデルを利用し引抜き後にシンメトリー面の固定を解除，X線回析で軸方向に半切した面を測定する事で評価が可能である．

ボディ熱変形CAEの活用によるマスチック適用部の品質向上

大井　宏一郎・樫山　武士・大堀　敏郎・安江　萌恵（スズキ）

自動車ボディのルーフパネルとその内側の骨格部品は弾性接着剤（マスチック）で接合しており，
車体組立工程で塗布した後，塗装（乾燥）工程の熱を利用して硬化させています．
このプロセスの中で意図しないマスチックの変形が発生する事例があるのに対応して，
オーブンの中におけるボディの熱変形が原因と想定して，実験とCAEにより各種検証を行った結果を報告します．

水平リサイクルに向けた廃車より回収したシートベルトウェビングの製造年分布と汚れ・劣化状態の分析(第1報)

福田　猛・小林　正俊（本田技術研究所）・小川　留美・藤原　豊（住化分析センター）

ELV PCRから再生材にリサイクルする場合，その品質はPCRの状態に大きく影響することが考えられる．再生材の品質を安定させるためには，PCRの品質を把握することは重要と考える．本研究では，2024年3月上旬の5日間だけELVからシートベルトウェビング約700台分を回収した．その古さの分布，汚れ，劣化の分析を行った結果を報告する．

シート特性違いによるドライバ遅れ時間（τL）の確認

奥田　哲大・加藤　朋弥（トヨタ紡織）

運転操作性は操安乗り心地領域において，非常に重要な性能となる．しかし，その評価は官能評価に頼っており，それ故，設計に活かすことが難しいといった課題があった．クルマに乗るヒトが運転しやすく，安心安全なシートを作るため，シート特性違いによる運転操作性の定量化を行う．

ドライバ着座位置が操舵特性評価に及ぼす影響

服部　元治（神奈川工科大学大学院工学研究機械システム工学専攻）・安部　正人（神奈川工科大学）・狩野　芳郎（神奈川工科大学工学部機械工学科）・山本　真規（神奈川工科大学大学院工学研究科機械システム工学専攻）・山門　誠（神奈川工科大学工学部機械工学科）・西村　直哉（神奈川工科大学大学院工学研究機械システム工学専攻）

車両の電動化に伴い，重心高は低下，ピッチ・ヨー慣性モーメントは減少，重心位置は後方に移動し，低重心のスポーツ車の諸元に近くなる．しかしながら，床下にバッテリーが搭載されているため，ドライバ着座高は特別低くならない点が，低重心のスポーツ車とは異なる．本報ではドライバの着座位置の違いが，操舵特性に及ぼす影響を解明するため，ドライビングシミュレータによる操舵特性評価実験結果について報告する．

車両運動力学と制御設計理論に基づく曲線完全追従を目指したパーフェクト・トラッキング・ドライバモデル
-混ぜるな危険！近藤モデルとフィードフォワード-

酒井　英樹（近畿大学）

車線維持制御の曲線追従性能向上のためにFFとFBを組合せたドライバモデルを提案する．FF部は車両モデルの動的な逆モデルを用いる．このFF部と，直線を前提に導かれた近藤モデルとを組合せると，却って曲線追従性能が悪化してしまう．そこでFB制御部には，近藤モデルの作動原理を曲線に拡張し，カスタマイズしたPID制御を用いる．その結果，無外乱下かつ無モデル化誤差下では，折れ点を含まない目標コースに誤差0で追従できる．モデル化誤差があり，かつ一定外乱力が働く場合は，半径一定の旋回の定常応答において，誤差0で旋回できる．この制御系の効果は，数値計算によって検証してある．

深層学習座標変換を用いた車両運動の解析

原田　正範・植山　祐樹（防衛大学校）

本研究は，深層学習座標変換を用いた汎用的なコース設定方法を提案し，車両運動の解析に適用する．直線と曲線が混在する道路形状を，深層学習による座標変換により道路中央を基準としたコース座標系に変換することで，横方向位置や曲率の情報が得られる．提案手法により，車線追従制御や軌道最適化が容易に行える事を示す．

サスペンションの上下摩擦が車両平面運動に及ぼす影響 (第2報)

田中　歩武・芝端　康二・皆川　正明・山門　誠・山本　真規・安部　正人・狩野　芳郎（神奈川工科大学）

第1報ではロールステアを介してサスペンションの上下摩擦が車両平面運動に及ぼす影響を解析した．本報では同様に初期トーに関して検討を行い，主にオンセンタ領域の平面運動に影響を及ぼすことを明らかにした．さらにロール運動と平面運動の連成関係により生じる影響を検討しこれらの影響度合いについて比較検討を行った.

大型車の自動運転の実用化に向けた空気ブレーキ系を考慮した車両運動シミュレーション

山崎　大生・八代　勝也・渡邊　貴生（UDトラックス）

路面摩擦が低いといった危険な状態において実車を用いて安全性を確保しつつ試験を行うことは困難である．そこで本稿では非線形タイヤモデル，空気ブレーキの非線形空気圧モデル，パーキングブレーキシステムのモデリングを行い，上記の特性を考慮したビークルダイナミクスシミュレーションを開発したので報告する．

インホイールモーターの回転数変動情報に基づくトラクション制御手法の開発

山崎　勝・安島　俊幸・初瀬　渉（日立製作所）

滑りやすい路面での車両の安定性を高めるため，インホイールモーターのトルクと回転数の変動の関係より推定したスリップ率を用いるトラクション制御の開発に取り組んだ．本講演では，制御手法の原理，実装手法，ならびに有効性を試験車両で検証した結果について報告する．

インホイールモーターの制駆動力を用いた乗り心地を向上させる車両上下振動の制御技術の開発

八田　直樹・山崎　勝・安島　俊幸（日立製作所）・永井　栄寿・藤本　博志（東京大学）

インホイールモーターはタイヤ接地面に駆動力が作用するため，ドライブシャフトを介す場合よりも大きな駆動反力をばね上運動の制御に利用できる．本講演では，快適な乗り心地の実現に向け，不快に感じると言われる4-8Hzでの制振効果を高めた制御器を感度とナイキスト軌跡の関係から設計し実車検証した結果を報告する．

目標車両モデルを内包するモデル予測制御を用いた走行安定化技術

小原　大輝・石原　新士（日立製作所）・横山　篤・園田　大樹・水口　祐一郎・本荘　佑介（日立Astemo）

アクチュエータを協調させ，走行安定性を向上する運転支援機能を開発している．本講演では，安定走行の維持と運転者操作に基づく車両挙動の実現のため，モデル予測制御に目標車両モデルを持たせることで，制御入力により予測内の目標車両状態を車両限界を超えない値に補正可能とした走行安定化技術について報告する．

トレイルブレーキング操作による車両旋回挙動への影響

小林　一景・吉田　郁也・傅　李汀・呉　文宝・黒田　純平（東海大学）・小川　和輝（愛知工科大学）・Peeie Heerwan Bin Mohamad（University Malaysia Pahang）・加藤　英晃・成田　正敬（東海大学）

トレイルブレーキングとは，車両にブレーキトルクと舵角を同時に与える操作の事を指す．この運転操作は競技車両において減速が必要なコーナーで使用され，車両の旋回挙動に大きく影響する．本講演では，トレイルブレーキングがロール・ピッチ運動および操縦安定性に及ぼす影響についての解析手法とその結果を報告する．

多重連結車の蛇行運動解析

近森　順（元　成蹊大学）

我々は，多重連結車に発生する蛇行運動が解決しなければならない課題の一つだと判断したので，この運動の発生メカニズムを解明し解決の方向づけを検討することにした．
操舵角が小さく，直線に近い走行時に成立する前後車両間のヨーレイトと重心横速度の関係式を利用して，作成した運動方程式全てを状態変数による記述に変換した．

Verification of PBV driving performance for universal mobility using suspension module test rig

Seungmin Kwon･Hyunjae Lee･David Song･Seonghun Kim･Jongho Ko･Yongsub Yi (Hyundai Motor)

In this study, we conducted a system-level performance verification and real-vehicle level performance prediction of a low-floor suspension (transverse leaf spring CTBA) to be applied to TSD-R1. We analyzed the behavior and stiffness of the suspension during the handling maneuver through K&C characteristic evaluation using SPMD testing. We also analyzed the ride comfort characteristics by analyzing the load transmitted to the chassis mounting points through system-level ride comfort evaluation, and predicted the real-vehicle unit performance based on this.

Development of MF(Magic Formula) Tire Model Application Technique

Jinhee Lee (Hyundai Motor)

One of the important factors in vehicle dynamics simulation is to express the interaction between the tire and the road surface accurately because the behavior of the vehicle depends on the force and moment applied to the tire. MF(Magic Formula) tires are mainly used in most vehicle dynamics SW to express tire characteristics that show nonlinear and complex behavior against the load applied to tires with various contact conditions. This paper proposes a method for effectively utilizing tire models in the vehicle performance development stage. The first of them is to immediately extract the major tire characteristics from the tire model, and the second is to find a model parameter combination that satisfies the target tire characteristics by applying an optimization technique.

A Study on Harmonic Performance for EV SUV Aftershock Improvement
-In View of Frequency Seperation and Bushing Cahracteristics-

TAEHEE LEE･DAE-UN SUNG･YONG-HYUN RYU (Hyundai Motor)･SU-HYUN LIM (PH Company)･JIN-HWAN OH (DH R&T Company)

In the event of an impact such as a bump, the tendency to worsen aftershocks(or post-impact oscillaton) and low-frequency driving vibrations increased. What are the characteristics of a vehicle with excellent rear-wheel aftershocks? Compared to the characteristics of a vehicle with unfavorable rear-wheel aftershocks, most important differences could be identified

Vehicle Motion Control on Electric Vehicles
-Capabilities on connecting Chassis and Powertrain Features-

Tobias Vosshall･Martin Dorn･Thomas Reckeweg･Frank Schummers･Michael Struth (FEV)

This paper presents a novel approach to vehicle motion control on electric vehicles, which aims to coordinate and manage multiple vehicle systems and controllers across all vehicle domains. It defines the prerequisites to enable vehicle motion control, such as vehicle architecture, communication, sensors and actors. Focusing on connecting chassis and powertrain features selected software functions are developed in a Matlab/Simulink environment and verified in a co-simulation environment of Matlab/Simulink and CarSim. The paper concludes that the proposed motion controller can enhance the vehicle performance, efficiency, and safety.

Mechanism Design of Suspension and Steering Systems for Balancing Mobility and Maneuverability

Mengjian Tian (Shenzhen Technology University)

To make human society more convenient, high-speed vehicles are increasingly expected to possess low-speed mobility, such as the ability to rotate in place or move laterally, enabling more flexible movement. Consequently, the question of what kind of suspension and steering systems are required has been raised.
For instance, ensuring high-speed stability and steerability necessitates setting a small scrub radius for the suspension. However, achieving flexibility during low-speed operation requires a large steering angle for the tires. To prevent motion interference, it may be necessary to increase the scrub radius or compromise the rigidity of the suspension and steering systems to some extent.
To address these challenges, it is crucial to conduct research into the design of new suspension and steering system mechanisms, taking into account factors such as suspension geometry, coexistence with in-wheel motors, and various other elements.

ロードノイズ低減のための機械学習による車両各部の目標特性決定手法（第2報）
-複数解探索手法の構築-

市川　佳（本田技研工業）・立岡　宏治（エステック）・堤　純・島村　雄太（本田技研工業）・海老澤　弘道（エステック）

ロードノイズに対する車両部品の目標特性決定は，実機やFEMを用いた試行錯誤によるため多くの工数を要する．本研究は，部品の組み合わせの異なる複数の目標特性を決定する手法を検討する．対象とする部品を選定し，それらの組み合わせで最適化とクラスタリングを繰り返し演算することで複数解の探索を行う．

Asymmetry of tire vibration as a source of road noise

Masao Ishihama (Ishihamagiken Consulting)

Regarding road noise, the process by which tire vibrations during rolling are converted into excitation forces on the axle was not fully understood. In this study, a simple mechanical model was used to explain the process by which the asymmetry in the circumferential and widthwise distribution of vibration waves propagating along the tread due to excitation from the road surface is converted into excitation forces on the axle.

平面構造物における瞬時振動インテンシティの計測手法

阿部　啓介（SUBARU / 神奈川大学）・山田　宏典（SUBARU）・山崎　徹（神奈川大学）

伝搬初期における振動エネルギーのアクティブ成分を時系列で可視化することを目的に，瞬時振動インテンシティの計測手法を開発した．平面構造物を対象に，有限差分法を用いて瞬時振動インテンシティの近似解を導出する定式化を提案した．同定した実験結果をFEM解析結果と比較することで手法の妥当性と実用性を検証した．

主成分寄与分析手法を用いたラゲッジルーム空間モデル高寄与音響モード抽出手法について

吉田　準史・松井　玲央（大阪工業大学）・中島　憲久・野口　翔矢・福本　一朗（河西工業）

ロードノイズはタイヤからの入力だけでなく車体振動特性や音響空間の影響を受け車内に伝達する．本研究では，その中でも後輪から車内への伝達に影響するラゲッジルーム空間を対象に，実稼働TPAとCAEを連携させることで様々な音響モードの中から車内音増大に影響するモードを抽出する手法について検討した．

シャシダイナモメータを用いた走行音の測定条件に関する実験的検討

市川　友己・中村　利幸・林　洋匡・村上　直弥（林テレンプ）

半無響室内のシャシダイナモメータを用いた走行音の測定方法は一般的に規格化されておらず，各社がそれぞれに諸条件を設定して実験しているのが現状である．本報告では，暖気時間や捕縛状態などの各種条件におけるロードノイズ（耳位置の音圧レベル）の測定を実施し，それらが測定結果に与える寄与度について検討した．

FEMを用いた変位加振による振動応答エネルギー最小化の板厚変動による構造最適化に関する研究(第2報：評価点音圧への影響について)

黒田　勝彦（長崎総合科学大学）

本報では，サスペンション部の左右連結部をつなぐようなはりとその下部の薄板を対象構造とし，FEMによる基礎励振のモーメント加振の入力方法を用いて，振動応答エネルギーを目的関数とし，設計変数をグループ化した板厚で構成される構造最適化法で得られた結果の評価点の音圧への影響について検討することを目的とする．

機構解析・機械学習のハイブリッドモデル構築と駆動系捩り振動開発での適用

近末　竜・Roberto Gonzalez Flores・森田　聖惇・田中　和宏・工藤　健志（マツダ）

機械学習によるCAE検証の高速化では，システム・諸元変更時に生じる教師データ再収集・再学習が適用上の問題となる．本稿では，駆動系捩り振動解析(機構解析)にて解析負荷が高い要素(接触要素等を含むDMF)のみ機械学習(LSTM)で代替するアプローチで汎用性を担保し，量産開発に適用した事例を報告する(解析時間最大90%減)．

HEVダンパ特性によるTHSエンジン起動時振動メカニズム解析

佐川　正記・清水　聡・野竹　勇貴（トヨタ自動車）

THSはプラネタリギヤを介して常にエンジンとドライブシャフトが繋がっている機構となっている．そのため，エンジン起動時にマウントだけでなく，ドライブシャフトを経由して振動が車体へ入力される．今回，ダンパのねじり特性の中でも0Nm付近の特性がエンジン起動時振動に大きな影響を与えていることが新たに分かったため報告する．

無響環境PT-VRSの車両振動・騒音開発への適用

成田　善英（トヨタ自動車）

近年の試作車レス開発では，プラットフォーム開発時にPT-VRSを活用し，主に低周波の動的性能開発が進められている．本報では，無響環境PT-VRSを活用し，低周波から中周波の車両振動・騒音開発への適用事例を紹介する．

接合面で生じる摩擦減衰の振幅依存性とその簡易推定手法に関する検討

田尻　聡太郎（ニュートンワークス）

接合面で生じる摩擦散逸は構造の振動応答に寄与するが，定量的に評価することが難しい現象である．本報では，簡易なボルト締結構造に対して振動試験と動的接触解析を実施し，接合面摩擦に起因した減衰の振幅特性を評価した．また，静的な接触状態と固有モードから構造体の摩擦減衰を推定する簡易手法を検討した．

NVH性能目標を車両音圧からコンポーネント固有値に分解する手法の提案

園田　拓郎・斉藤　浩司（アルテアエンジニアリング）・中上　麻里（ダイハツ工業）

車両開発の初期段階でコンポーネント目標を設定するために，車両状態における車室内音圧目標をコンポーネント固有値目標へと分解する手法を提案する．具体的には，車両を構成する各コンポーネントを個別にモーダル縮退し，その縮退されたモデルを利用してコンポーネント固有値と車両音圧の関係性を把握することによって音圧目標値を分解する．この手法を機種開発モデルに適用し，設計検討期間中に現実的な工数で対応可能であることを示すことができた．

ラジエター用バイオニッククーリングファンの開発

Laurent Art・Peter Kroner（マーレベーア）・土屋　穂高（マーレベーアジャパン）

BEVバッテリーの大型化に伴いユーザーが直面する問題の一つに，急速充電時に発生する電動ファンノイズがある．この問題に対処するため，MAHLEはバイオニックデザインをファンの設計に採用，フクロウの羽根を参考に新しい電動ファンを開発した．ブレードの形状や厚みを工夫し，最大で4デシベルの騒音低減を実現．

様々な負荷スペクトル下でのeMotorのNVHシミュレーションプロセス全体の提案と測定値との相関性

Anton Plank・Oliver Grieshofer（Magna Powertrain Engineering Center Steyr GmbH）・沼田　史雄・加藤　一正（マグナ・インターナショナル・ジャパン）

乗用車にeDriveを組み込む際，音響挙動と音色ノイズは，重要な課題の1つとなっている．その予測にFEやMBS解析が一般的に用いられるが，eMotorの加振と動的挙動を組み合わせるため，モデルの複雑化，解析負荷の増大が課題である．そこで，解析とポスト処理の設定を半自動化することで手作業を削減した，効率的なプロセスを紹介する．

高減衰化によって体の動きを低減させるシート構造

人見　英樹・小柳　浩汰・田村　直春（ホンダテクノフォート）・小林　幸夫・富田　孝文・稲葉　修（本田技研工業）・豊島　貴行（ホンダ・レーシング）

乗心地性を向上させるシート構造を検討した．シートフレームは弾性要素を取り除きパン構造化した．シートパッドは空気抵抗により減衰力を発生させる構造を用いて高減衰化した．試作シートによる実験でこの構造が振動増幅の低減や衝撃吸収効果を高め不快な揺動の抑制に有効であることを明らかにした．

EPS作動音予測に向けたDynamic Substructuringの活用

鎌野　寛隆（トヨタ自動車）

部品単体特性を用いて結合状態の応答を求めるDynamic Substructuringは，性能予測における重要な手法である．本研究ではEPSギアボックス，ブッシュ，サブフレームを題材に，各単体の実験的計測による結合状態の応答予測可能性を示す．また種々の計測方法による，予測精度に対する影響を検討する．

ボルト締結部の振動特性に及ぼす接合界面の介在物の影響

藤森　トリスタンサミュエル・井上　惠介（東京都市大学大学院）・岸本　喜直・小林　志好（東京都市大学）・磯部　将豪・川原橋　優希・久我　聡（東京都市大学大学院）

ボルト締結は車体の組み立てに広く用いられるが，ボルト締結部の振動特性（固有振動数および減衰比）は接合面のトライボロジーに基づいてシミュレーションできることが知られている．本研究では接合面にゴム板や接着剤を挟み込んだときに，これらがボルト締結部の振動特性に与える影響を実験と有限要素法によって調べた．

熱弾性温度変動を用いたC-SMCの疲労損傷度評価

赤井　淳嗣（豊田中央研究所（現：京都教育大学））・佐藤　康元（豊田中央研究所）・濱田　幸宏・三国　敦（トヨタ自動車）

近年，機械的特性と製造コストのバランスに優れたC-SMC（Sheet Molding Compound法で成形した不連続炭素繊維強化プラスチック）が自動車分野で注目されている．C-SMCの長期信頼性を保証するためには疲労損傷評価技術が必要である．本研究では，無次元熱弾性温度振幅を用いたC-SMCの疲労損傷度の評価技術を提案し，その有効性を調査した結果を述べる．

ステンレス鋼板の疲労下限界における引張および曲げ負荷の影響（第2報）
-応力比による変化-

王　暁光・梅澤　篤志（東京濾器）

引張のモードIと平面曲げのモード IIIIの疲労破壊において，Walker型関数の強度係数を用いて応力比の影響を定量化することにより，下限界応力拡大範囲∆Kthの変化を予測する方法を提案した．また，塑性ひずみ硬化効果に関連するき裂の塑性誘起閉口効果を考慮した有効応力拡大範囲の予測モデルも提示した．

複数の破壊形態を考慮した点接合部の疲労強度予測手法
-Flow Drilling Screw (FDS)の疲労強度予測手法-

河村　拓昌・新里　映太・後藤　卓・浦川　和士・宅野　聡悟・磯野　志之（トヨタ自動車）

軽量材料を使用するマルチマテリアル車体のため，軽合金材料や複合材料など新素材の開発，適用が広く進められている．それと同時に多様な材料を接合する異種材料接合技術の開発も行われており，接合する材料やその厚さ，製造方法やコストなどを考慮して多様な接合方法を使い分けられている．本研究では，数値解析によりFDS接合部の疲労強度を予測する手法を提案する．また，予測手法の確立のために疲労試験を実施し，疲労破壊メカニズムについて検討する．

重ね合わせ継ぎ手に対する接合部を考慮した強度評価シミュレーション

杉山　裕文・野村　友貴・岡澤　重信（山梨大学）

高強度鋼や繊維強化樹脂の利用の拡大にともない同種だけでなく異種材料の接合部までを考慮した数値シミュレーションが重要となっている．そこで本研究では，接合部の機械的特性を材料モデルを採用し，破壊の発生から破断までを取り扱える数値シミュレーションを提案し検討を行う．

密閉鍛造方式による異種金属パイプ材回転摩擦接合(RFW)の解析的検討
-MBD手法を用いた工法条件の適正化-

有吉　智彦（アトリCAE）

自動車の吸・排気管等の長尺のパイプ部材に対して, 軽量化・耐熱性向上等のニーズから, 部分的に材料を置き換えることのメリットが存在する．回転摩擦接合(RFW)は, この材料置き換えが可能な工法ではあるが, パイプ材が薄肉の場合, 熱軟化性の大きい材料側が早期に形状崩れを起こし易く, 実現の難しさがある．本論文はこれに対して, 密閉鍛造の手法を用いて形状崩れを抑制しようとするもので, 従来の3次元モデル適用に加えて, 2次元軸対称モデルの併用を行うことにより, 接合工法条件の早期成立の実現を狙う．

A Study on Vaporizing foil actuator welding (VFAW) for steel-aluminum dissimilar metals joining without hardware

Hyuckmin Kwon･Junyeong Jeong･Changyeol Yoo･Younil Jung (Hyundai Motor)･Taeseon Lee (Incheon National University)

This study investigates the use of Vaporizing Foil Actuator Welding (VFAW) for joining dissimilar metals, specifically targeting the union of steel and aluminum alloys. VFAW is an innovative solid-state welding technique that utilizes the rapid vaporization of a thin metallic foil to produce a high-velocity impact, enabling strong bonds between different materials. The main goal is to examine the microstructural and mechanical properties of the joints formed between steel and aluminum, which pose challenges for traditional welding methods due to their differing thermal properties and the propensity to form brittle intermetallic compounds. The results highlight the potential of VFAW to produce high-quality dissimilar metal joints, offering valuable insights for its application in the automotive industries where steel-aluminum hybrids are increasingly desirable for their combined strength and lightweight properties.

Research on securing the formability of aluminum 7000 series 3D printing alloy and optimizing heat treatment through adding Zr inoculant and refining crystal grains to achieve high strength and elongation of body structure

Hyomoon Joo (Hyndai Motor Group)

Solidification cracks caused by columnar grains in precipitation-hardenable Al alloys such as 7000 series limits the applicability of laser-based-3D printing. Recently, cracking has been effectively reduced by introducing equiaxed grains through inoculant addition to Al alloy powder. However, the mechanisms through which equiaxed grains can prevent cracking have not been explained from the viewpoint of both microstructure and process parameters. In this study, a solidification cracking model was proposed using the parametric L-PBF results of ZrH2 particle-added A7075, where equiaxed grains were formed as a function of energy density. Through this, we aimed to achieve high strength of body parts.

アルミ部品の衝突解析におけるモデル化の影響検討

中島　伸吾・幸重　良平（コベルコ科研）

アルミ鋳造部品の試験体で落錘試験を行い，荷重挙動および変形挙動を取得した．またFEMで落錘試験のシミュレーションを実施して試験結果と比較した．FEMでは使用する要素タイプや材料特性・破断特性のばらつきのモデル化方法について検討を行い，荷重挙動および変形挙動に及ぼす影響について調査した．

Advanced numerical method for weight optimization under consideration of integrated and innovative design trends

Jan Ophey (FEV Vehicle GmbH)･Michael Hog (FEV Group)･Noriyuki Muramatsu (FEV Japan)･Max Krause･Christian Kuerten (FEV Vehicle GmbH)

Giga casting - the start of the revolutionary trend of integral design in the body-in-white for decades, with the aim of reducing the number of parts, streamlining the production process and minimizing development and production times. Integral design is not limited to Giga casting but also leads to new concepts for a variety of materials and approaches. Hand in hand, comes a need for advanced numerical optimization methods which enable a holistic CAE-based weight reduction. By optimizing shape, material and thicknesses such an approach is established and performed on a representative integral design part.

AIサロゲートを用いた構造体強度開発のプロセス効率化

川口　幹祐・田中　元基・胡木　隆・中野　徹・西川　潤（マツダ）・Bisser Raytchev（広島大学）

構造強度開発のMBDでは相反する機能について最適解探索のニーズがあるが，モデル作成と計算の時間が長く開発初期に適用できない課題がある．
課題解決のため，本研究ではCAE計算の結果を教師データとする機械学習を用いた，高速に最適化検討する技術を構築した．以上を次世代パワーソース開発の開発初期の形状決定に用いる．

簡易試験体を用いた衝突性能評価手法の開発と破断予測技術の検証

相藤　孝博・河内　毅・下田　絵里子（日本製鉄）

簡易ハット型構造においてフロントサイドメンバ―の衝突変形モードを再現可能な試験方法を開発．鋼板の曲げ性による材料破断の発生状況の違いや，スポット溶接条件によるスポット溶接部破断の発生状況の違いを表現可能とした．伴わせてFEM解析による破断予測技術の精度を検証した．

A Study on the Optimization of Door BIW Structure Using Thin Casting Method

SANGJIN LEE･JeongMin Kang･DongHa Kang･JungHan Kim･SangYoung Im･SeongHwan Seo･HeeBeom Yang (Hyundai Motor)

The integrated molding reduced the number of parts based on door INR ASSY from four to one, and the entire welding point and adhesive were removed. In order to cope with the process and secure the stiffness of major parts, the thickness was flexibly designed to be 2 to 3T as needed. The number of door assembly processes is reduced from 13 to 8 due to the change in the construction method.

The Development of the TPV Door Inner Belt WeatherStrip meets Wind Noise Targets and Prevents Glass Sliding Squeak Noise Simultaneously

Jeehoon Seong･Sanghyun Lee･Boram Kang･Jungdae Kim･Jaehoon Kim･Youngchel Sin (Hyundai Motor)

As vehicles become electrified and sophisticated, the wind noise problem while driving is becoming more important. Among them, the sound insulation performance of the door's inner belt weatherstrip is essential, as it blocks noise from penetrating into the cabin through the door. However, it became lessened as a consequence of minimizing the lip overlap between the door glass to decrease the squeaking noise when the glass is being operated(going down). In this study, the lip overlap and contact load will be defined first to satisfy wind noise performance and simultaneously develop a standard shape of section that does not generate squeak noise.

Package and design study for application of B pillar less door

YONG HYUN NAM･HYONG DON KIM･CHUNG SIK YIM･KYU HOON CHO (Hyundai Motor)

We are working hard to secure advanced product competitiveness in preparation for the upcoming era of autonomous driving. In the era of autonomous driving, the space inside the vehicle for passengers to engage in various activities other than driving is an important factor, and B-pillarless doors are becoming an essential element for securing interior space. To implement this, we conducted research on vehicle packaging elements and design implementation, and were able to reach a conclusion close to reality by manufacturing an actual vehicle. Through this research, we will introduce the packaging and design elements necessary for B-pillarless doors.

Development of PBV powergate system
-High durability powergate mechanism-

Duck young Kim･Jung hoon Park･Dong wuk Choi･Doo young Jung (Hyundai Motor)･Seong tae Hong･Kwang hun Hong･Hyun seok Choi (PHA)

Purpose Built Vehicle (PBV) is an eco-friendly vehicle that can be delivered at a low cost to meet business objectives and needs. It's a multi-purpose mobility vehicle with a simple architecture that can be designed to meet a variety of requirements. It can also provide solutions that increase customer business value and maximize the efficiency of business operations such as costs. In this paper, we will discuss "L-shape side gate automatic opening and closing technology" of the Micro PBV. In particular, we will deal with high durability opening and closing technologies that can improve the operation rate of PBVs and technologies that increase cargo space.

樹脂部材を含むボルト締結構造体の減衰性能

井上　惠介・藤森　トリスタンサミュエル（東京都市大学大学院）・岸本　喜直・小林　志好（東京都市大学）・磯部　将豪・久我　聡・川原橋　優希（東京都市大学大学院）

ABS樹脂をはじめとする樹脂材料は自動車の振動吸収性や耐衝撃性を確保するための内外装部品に用いられている．本研究では，打撃試験を実施して樹脂部材をボルト締結した構造体の減衰性能が樹脂の粘性減衰と部材間の摩擦減衰の重ね合わせで決まることを明らかにし，有限要素解析を用いて粘性減衰と摩擦減衰の内訳を調べた．

Novel AD/ADAS Virtual Validation with Integration of LLM and Digital Twin Technologies

Prof. Dr. Reza Rezaei･Dr. Alexander Bradler･Dr. Christian Lang･Yassine Neifer･Carsten Simon･Thorsten Scheibe (IAV)

This paper showcases a novel AI-driven method that understands natural language requirements and scenario specifications and videos to create high-fidelity simulations, thereby automating creation and modification of scenarios for enhanced AD/ADAS virtual validation. It comprises three key components: generating simulation models from textual inputs using an adapted large-language model (LLM); extracting scenarios from real test videos using visual LLM, including detection of corner cases like glare and camera soiling; and enhancing criticality with multi-agent approach. The results will be presented for above-mentioned use-cases, covering the spectrum from ADAS to full AD, including co-simulation of different tools based on JAMBE model connection. An assessment of the approach for efficiency enhancement along with an outlook will be provided.

Building trust in collaborative simulations

Henri Sohier･Romain Barbedienne (IRT SystemX)･Julien Silande (ESI)

Collaborative simulations often suffer from organizational silos, hindering trust due to challenges in information exchange about both the simulation and the system it represents. Capturing, controlling, and communicating critical data throughout the development cycle -from specification to validation- requires structured solutions. This paper proposes clear requirements and practical tools to address these challenges. Factors such as the decision-making context, barriers between stakeholders, and their varying levels of technical expertise are carefully considered. Our approach fosters confidence among stakeholders, with a particular focus on the automotive industry, where effective collaboration is crucial to managing system complexity.

Simulation verification and validation: the challenge we all face

Henri Sohier･Romain Barbedienne (IRT SystemX)･Julien Silande (ESI)

Simulation Verification and Validation (V&V) spans a wide range of subtopics and approaches, with nuanced distinctions in system engineering, software engineering, and simulation engineering. Recognized standards, such as those by NASA and NAFEMS, encapsulate various existing practices. V&V is critical to building trust, ensuring credibility, and maintaining quality in simulations and simulation architectures. This article examines methodologies and tools designed to optimize current best practices while fostering effective communication about V&V processes, addressing key challenges in achieving trustworthy and integrated simulation frameworks.

MBD推進向けたシステムズエンジニアリングの取り組み

平山　友貴・町田　拓也・湯村　洋典（スバル）

CASE対応等で自動車開発が急速に高度・複雑化しており、開発期間短縮やコスト削減が課題となっている。その対策の一つとして、モデルベース開発（MBD）による試作・評価の期間・費用低減が期待される。自動車の様々な領域でMBDが進展しているが、MBDプロセス構築には未だ課題が多い。要因の一つとして、開発のデジタル化とプロセス変更を同時に行う事の難しさがある。そこで我々は要求定義～モデル構築～評価のプロセスを既存の試作車の分担・手番と不変とし、“純粋な試作車のモデルへの置換え”に専念する事でMBDの定着に取り組んでいる。本取り組みでは、デジタル化した要求定義から検証までのプロセスを、ISO/IEC/IEEE 15288のシステムライフサイクルプロセスのフレームワークを使って検証した。既存の要求定義～試作車製作プロセスにおいてMBSE・MBDへ適用することで、意思決定領域を拡大した。

OEM-サプライヤ間のモデル流通によるダンパー特性と車両運動性能のモデルベース開発
-リアルタイム性を有するダンパーモデルの開発とOEM車両モデルの社内開発への活用-

呂　鵬・遠藤　裕・鈴木　柊太（Astemo）・安達　幸弘・岩松　俊介・星　利勝・森　和生・牧野　光徳（トヨタ自動車）

MBDを用いた車両開発が広まっているが，ダンパーコンポネントのMBD開発には官能評価指標の定量表現やモデル流通といった課題がある．
高精度かつ低負荷なダンパーモデルを構築し，OEM-サプライヤ間で流通．ドライビングシミュレータでリアルタイムに評価できる環境を整えた．また，OEM車両モデルの社内開発への活用を行った．

OEM-サプライヤ間のモデル流通によるダンパー特性と車両運動性能のモデルベース開発
-ドライビングシミュレータを用いた評価手法検討-

安達　幸弘・岩松　俊介・星　利勝・森　和生・牧野　光徳（トヨタ自動車）・遠藤　裕・呂　鵬・鈴木　柊太（Astemo）

開発初期からサプライヤとOEMが連携してモデルベース開発を行うことで，製品の高品質化と開発の手戻り防止が期待できる．本研究では，ダンパーに着目して企業間でモデルを流通させ，車両運動性能の連成計算環境を整えた．ドライビングシミュレータでハンドリングと乗心地を評価し，実車試験や机上計算と整合する結果を得た．

SIL環境とHIL環境を使用したバッテリマネジメントシステム（BMS）開発の効率化

都築　勝也（dSPACE Japan）・Fabian Bronner・Thomas Paradowsk（dSPACE GmbH）

本稿ではBMS開発のHIL環境からSIL環境への移行について紹介する．多くのBMSではMBCとCSC間でSPI通信が使用されている．SPI通信を仮想化することで，BMSのECUを完全に仮想化しV-ECUを用いたSIL環境を構築することができる．HIL環境とSIL環境でテストケースを共有し，さらにSIL環境をCI/CTに統合することでBMS開発効率の向上が期待できる．

MBSE/MBD連携と生成AI(LLM)活用によるe-Axleシステム開発の効率化

勝城　勝・川島　一訓・河住　拓郎（ジヤトコ）・樫谷　純治（パナソニック システムデザイン）・佐藤　正太（Lightblue）

電動車において熱マネジメントの重要性が高まる中，e-Axleの熱システム検討を含むシステム開発の質向上と効率化は重要課題となっている．本講演では，MBSEの導入とMBDとのデータ連携，さらにMBSEモデルのナレッジグラフ化および生成AI(LLM)活用による設計支援の実践例について報告する．

AIフォーミュラ開催に向けた取り組み

大村　一櫻・岡田　眞也・秋元　優輝・Kota Sakazaki・加藤　敦・安井　裕司（本田技術研究所）

近年，産業界では自動運転技術やAIに対する需要が高まり，SICEとJSAEは「AIフォーミュラ」と呼ばれる技術チャレンジを企画している．本企画は学生チームによる自律走行レースであり，次世代モビリティ技術の習得を目的としている．本稿では，AIフォーミュラ開催に向けた取り組みについて述べる．

AI-Formulaにおける自動走行システムのための視覚ベース制御

星野　奨吾・根本　暁都・Phearamony Phan（群馬大学）・樽井　駿典・栗原　旺愛・浅賀　祐希・老沼　誉大・河本　裕士・近藤　瑠紀・野手　建希（工学院大学）

本田技術研究所のAI-Formulaプロジェクトにおいて、自動走行システムの研究開発を行っています。本発表では、カメラを活用した情報取得プロセスから、それを応用した制御手法の詳細について解説します。また、今後の研究課題や展望についても述べます。

Optimization of price plan for a smart satellite city with price sensitivity considered

Shota Zenke･Zhenlong Wu･Takehito Kobayashi･Wenjing Cao (Sophia University)

Due to the declining birthrate and aging problem, there are concerns about future shortage of transportation options. In this study, aiming for continuous operating of mobility services using EVs, we introduced price sensitivity into a smart satellite city simulator and calculated the base fee and distance fee that maximize annual revenue using dynamic programming. Simulation results showed that taking price sensitivity into account leads to increased revenue.

複数のアプローチによる自動緊急回避ベンチマーク問題の解法探索

謝　思暘・熊野　孝保・安井　裕司（本田技術研究所）

自動緊急回避システムは，安全な運転環境を構築する上で重要な役割を果たしている．本研究では，想定した自動緊急回避シナリオのベンチマーク問題を作成した．複数の研究チームが独自のアプローチに基づいた解法を開発し，コンペティション形式で比較と評価を行った．評価結果を提示し，各アプローチの有効性を議論する．

振動抑制項を加えた多項式回帰による車両の軌道追従制御

小川　和樹・後藤　建・戸田　耕佑（本田技術研究所）

多項式回帰にて舵角を算出し、車両の軌道追従制御を行う手法を提案する。回帰の評価式に、舵角速度及び舵角加速度の抑制項と、L2正則化項を加えることで、制御の安定化を図る。シミュレーションで一般的なモデル予測制御と比較し、計算時間の大幅な削減と実用的な追従精度の両立を示した上、実車テストの結果も提示する。

運転指導員による高齢ドライバの市街地運転評価と認知身体特性・運転意識の関係
-運転寿命延伸を目指したドライバ運転特性研究(44)-

米川　隆・小嶋　理江・青木　宏文（名古屋大学）・島崎　敢（近畿大学）・伊藤　倫（名古屋大学）・山内　さつき（名古屋大学）・名切　末晴・青木　邦友・平野昭夫　平野昭夫（名古屋大学）

高齢ドライバの交通事故増加で，加齢による運転能力の衰えが問題視されている．59～88歳の高齢ドライバの141名を対象に，運転指導員による高齢ドライバの市街地運転の運転能力評価を行なった．その結果から，指導員の運転総合評価点と認知身体特性・運転意識との間に相関があることを明らかにした．

運転者の受容性を考慮した会話の覚醒効果と事故リスク評価

大橋　秀幸・松木　裕二（福岡工業大学）

居眠り運転を防止する手段として，運転中の会話が覚醒度を高める効果が確認されている．しかし，運転者の受容性や事故リスクへの影響についての研究は十分ではない．本研究では，事故リスク，覚醒効果，受容性を総合的に考慮し，最適な会話の頻度と内容を提示する方法を検討した．

危険性評価のための統合的運転者モデルの開発
-運転者の視覚機能と認知機能の再現-

早島　未來・松木　裕二（福岡工業大学）

運転者の交通事故リスクを定量的に評価するために，視覚および認知機能をヒトの特性に近づけた統合的運転者モデルを提案する．本研究では，視覚情報の取得から運転操作までの過程を再現し，ヒト特有の知覚・判断の曖昧さを考慮することで，運転行動をより精密に模倣し，交通事故リスクのより現実的な評価を可能とすることを目指す．

高齢ドライバのフレイル，運転経験および安全欲求の実態
-運転寿命延伸を目指したドライバ運転特性研究（45）-

谷口　俊治・井上　愛子・梅垣　宏行（名古屋大学）・小出　直史（大阪大学）・小嶋　理江・青木　宏文（名古屋大学）

高齢ドライバのフレイル，運転経験（運転技能，安全運転技能およびニアアクシデント）の実態と高齢ドライバの安全運転技能診断・学習プログラムおよび安全運転支援装備に対する需要を明らかにするために，日常的に自動車を運転する高齢ドライバ（60歳以上，2069人）に対してアンケート調査を実施した結果を報告する．

タッチパネルディスプレイを用いた運転リスク評価と画像解析から推定された運転リスクの関係

寺山　麻純・清水　政行・青木　宏文（名古屋大学）

ドライバは運転中に走行環境の変化を知覚してリスクとして感じていると考えられる．
この仮説に基づき，タッチパネルディスプレイを用いた3DCGによる運転リスク評価テストで指摘された箇所と，その映像のオプティカルフローの変化点の関係について報告する．

異常運転の検知手法開発

中村　典雅・山岡　将綺・山高　大乗・伊藤　隆文（デンソー）

交通事故低減に向け，ドライバの異常運転の検知技術開発を行っている．異常運転を引き起こす原因の一つである飲酒状態を例に，ドライビングシミュレータ，実車で収集した飲酒運転データを用いて，異常運転検知手法を検討したので報告する．

自動車の視界性能開発におけるバーチャルリアリティ(VR)の活用に関する研究
-VR評価と実車評価の比較検証-

恩田　和征・山﨑　拓真・髙津　幸広・堀田　英則（スズキ）

近年，自動車開発においてバーチャルリアリティ(VR)を活用する場面が増えている．一方でドライバの主観的感覚が重要な視界性能においては評価環境構築の自由度が高いVRとの相性が良いはずだが，VRと現実空間との差異に関する報告も見られる．そこで，一般ユーザを対象にVRと現実で同一車両を評価させ，結果を比較検証した．

HUD虚像の振動補正における脳機能解析

加藤　輝生（新潟大学）・片桐　雅貴・牧野　忠慈・白石　直幸（日本精機）・飯島　淳彦・堀　潤一（新潟大学）

車両振動に伴うHUD虚像の揺れを補正するため，HUD虚像の振動補正機能が考案されている．HUD虚像の揺れは，ドライバに不快感を与える可能性がある．本研究では，振動補正機能がドライバに与える影響を明らかにするため，脳波測定を行った．走行前後のα波とβ波を中心に解析し，振動補正機能の有効性を評価した．

HUD虚像の振動補正における眼球機能解析

小野　磨りあ（新潟大学）・片桐　雅貴・牧野　忠慈・白石　直幸（日本精機）・堀　潤一・飯島　淳彦（新潟大学）

車両振動に伴うHUD虚像の揺れを補正するため，HUD虚像の振動補正機能が考案されている．車両振動に伴いドライバの頭部も揺れ，視線を安定させるための前庭動眼反射が発生する．本研究では，振動補正機能の有効性を評価するために眼球運動を測定し，車両振動から前庭動眼反射までの時間を解析した．

視線推定AIモデルによるAR-HUD表示内容の煩わしさの定量評価

張　嶼城・加藤　正隆・江村　恒一（パナソニック オートモーティブシステムズ（株））・渡辺　英治（自然科学研究機構 基礎生物学研究所）

拡張現実ヘッドアップディスプレイ（AR-HUD）は視線移動を減少させる目的で開発されているが，表示内容によっては煩わしさを与える可能性がある．本研究は，人間の視線を模倣するAIモデルを用いて，煩わしさを定量的に評価する方法を提案する．N=8の実験において主観評価と66.7%の一致を示し，主観評価を代替する可能性を示唆した．

前庭感覚サプライズモデルによる車両挙動評価

手嶋　啓太・佐藤　大地・石井　秀和・竹村　和紘・岡本　宜久・梶川　浩子・渡邊　雅之（マツダ）

あらゆる乗員に優しい車両挙動の人間中心モデルベース開発に向けて，視界やNVHで構築されてきたサプライズモデルを前庭感覚に適用した．その結果，酔いやすさ推定値がマツダの第6世代から第7世代で低減したこと明らかにした．さらに，高齢者のバランス感覚の老化や幼児の酔いやすさという現象も説明できる可能性を示した．

対話型ユーザインタフェースの認知負荷の簡便な計測法の開発(第2報)

岸　浩司・青木　宏文（名古屋大学）

対話型ユーザインタフェースの認知的負担の測定方法としてISO17488があるが，測定の容易性と低負荷時の負担検出に課題があった．この2課題を解決する新測定方法を開発した．この新測定方法とISO17488にて，認知的負担を計測した結果を報告する．さらに認知的負担を繰り返し計測した場合の結果の一貫性(馴化の影響)について報告する．

A Study on the change of bio-signals under driver stress

Yoseob Lee･Baekhee Lee (Hyundai Motor)･Gwanseob Shin･Donghyun Song (UNIST)

This study examined the effects of automobile seat comfort functions heated system, ventilation, and massage on driver stress during highway driving. Bio-signals, including heart rate variability, skin conductance, and respiration rate, were measured using non-invasive sensors from 20 drivers under varying seat settings. Results showed that changes in seat functions were detected with over 60% accuracy through high-frequency power of heart rate variability, mean skin conductance level, and mean respiration rate. These findings suggest the potential for monitoring seat comfort using bio-signals. Further research is needed to enhance detection accuracy under diverse environmental and driver conditions.

積層型SPAD距離センサーを用いた長距離高分解能LiDAR

鈴木　俊平・加戸　貴洋・藤岡　威吹・山本　晃二・鄭　聖超・垣内　晴也・由井　達哉・宋　敬錫・田口　智之・別府　太郎（ソニーセミコンダクタソリューションズ）

自動運転の実現に向けた長距離・高分解能なLiDARの需要増大を受け，高感度な積層型SPAD距離センサーを用いたLiDARを開発．300mの長距離・広視野（H120° x V25.6°）・高分解能（H0.1° x V0.05°）の測距と，最大1200×1536点のNIR画像を同時取得可能とした．

Automotive towards SDV - Challenges and opportunities in ADAS&AV features

Xavier Sellart Ortega (IDIADA Automotive)

The automotive industry is rapidly transitioning toward era of SDV's. Bridging the gap between research and current development in ADAS involves translating cutting-edge research findings into practical, scalable solutions. This process requires close collaboration between academia, industry, and regulagory bodies to ensure that emerging technologies are effectively into real world applicaitons. By fostering collaboraiton, sharing knowldege, and investing in robust testing and validation processes, we can accelerate the adoption of advanced ADAS features, enhancing safety and efficiency on the road.

Trustworthy Multimodal Generative AI for ADAS Development

Son Tong･Balakrishnan Ayyanar･Shiye Fang･Kohei Noma･Satoshi Sekine･Theo Geluk･Reiji Takeuchi (Siemens Digital Industries Software)

Generative AI (GenAI) is a powerful technology that learns patterns from data and generates new content, with recent prominent examples of ChatGPT and other large language models (LLMs). This work discusses Multimodal GenAI technologies to accelerate ADAS development involving autonomous driving scenarios and realistic image/video data generation. We use human intelligence, engineering abstraction, and safety requirements as inspiration for trustworthy GenAI models. First, we develop GenAI to reason logged dataset and automatically extracting critical scenarios. Second, methods to generate consistent, controllable, and realistic novel traffic videos will be shown. Finally, we incorporate ADAS standards (EuroNCAP/ISO) to generate simulation-based test cases.

農業のスマート安全に資するトラクタドライビングシミュレータ

酒井　憲司（東京農工大学）・松井　正実・田村　隆浩（宇都宮大学）・渡辺　将央（東京農工大学）・風間　恵介（日本大学）・井上　秀彦・滝元　弘樹・原田　一郎（農研機構）・青柳　悠也（琉球大学）・Pongsathorn Raksincharoensak（東京農工大学）

農業死亡事故は労働災害の10倍でトラクタ横転・転落事故が最大要因である．トラクター地形系の強い非線形性が危険挙動を引き起こす．トラクタ設計と道路圃場設計は収量・収益の最大化を目指す．開発したトラクタドライビングシミュレータがこれらの設計論に「安全」を埋め込むために有効であることが明らかとなった．

先進安全技術の進化と事故低減効果解析 （第3報）

長谷川　俊・三田　友紀子・池田　幸洋（トヨタ自動車）

3年間のITARDA死傷事故データを用いて，トヨタ・レクサス車に搭載されている第3世代のトヨタセーフティセンスの事故発生率を算出しシステム無しとの比較を行った．結果，死傷事故全体で半減している事を確認した．特に対車両の追突事故の約9割低減や，新たに対応した出合頭事故の約1/3の低減等を確認した．

ドライブレコーダー映像を活用した一時停止交差点における出会い頭事故の解析

Raksincharoensak Pongsathorn・北條　陽子・張　興国・阿賀　正己（東京農工大学）・山﨑　翔太郎（あいおいニッセイ同和損害保険）

本研究では，ドライブレコーダーで収録した映像のもとに，一時停止交差点における対四輪車出会い頭事故を解析し，交差点事故防止のための次世代運転支援システム開発に結び付けることを目的とする．本講演では出会い頭事故発生状況の分析および交差点通過時の速度パターンや回避操作等を分析したので報告する．

車対車の信号なし交差点出会い頭事故におけるタクシードライバ・一般ドライバの行動比較

阿賀　正己・北條　陽子・Raksincharoensak Pongsathorn（東京農工大学）・山崎　翔太郎（あいおいニッセイ同和損害保険）・永井　正夫（東京農工大学）

東京農工大学のタクシードライバによるヒヤリハットドライブレコーダデータを自動運転車の安全性評価に活用するに先立ち，タクシードライバが「有能で慎重な人間の運転手」とみなすことができるのかを，信号無し交差点出会い頭事故を1場面に一般ドライバのドライブレコーダデータと比較することにより明らかにした．

出会い頭事故防止のための運転介入による減速支援の方法検討

原田　あすか・金森　等（名古屋大学）・山田　健一・水間　隼人・横井　康伸（トヨタ自動車）・吉原　祐器・Nihan Karatas・田中　貴紘（名古屋大学）

生活道路での出会い頭事故防止には通信型運転支援が期待されるが，システムへの依存や過信の懸念が残る．安全な運転行動誘導の注意喚起支援の効果と限界を把握した．減速行動が不十分なドライバに対する対応策として運転介入による減速支援について検討したため，介入判断速度や介入開始・終了の在り方等について報告する．

スマートフォンを活用した横断児童接近通知システムの効果評価

横井　康伸（トヨタ自動車）・北原　武（KDDI株式会社）・安井　智子（トヨタ自動車）・黒澤　研吾（KDDI株式会社）

歩行者と自動車の事故のなかで，7歳前後の児童の飛び出しによる事故が特に多いことが知られている．
これらの事故を防ぐために，信号のない横断歩道に接近する児童の存在をドライバに通知するシステムを開発した．本システムでは，児童の所持する端末から取得される位置情報を，携帯電話のネットワーク経由でドライバのスマートフォンに通知する．
運送事業者や小学校の協力のもと，本システムを利用する場合としない場合における，通学路上の横断歩道に児童が接近しているときの車両の速度，一時停止率，一時停止時間を比較することでシステムの効果を評価したので報告する．

V2N技術を用いた危険回避ブレーキ制御システムの成立性検証

入江　喜朗（トヨタ自動車）・伊勢　史章・山本　幸裕（テクノコ株式会社）・有田　恵太・伊藤　潤樹（ソフトバンク株式会社）・Dror Elbaz・Tal Lavi（アイネット株式会社）

視界外の危険検知への対処によりADASの機能向上を目標とし， V2N技術の可能性を探る．スマートフォンを外部センサーとして利用することで，危険検知を改善する V2N の有効性，スマートフォンの測位性能，クラウドシステムへの要求，更にはそれらの現在の課題について報告する．

路肩堆雪を要因とする市街地におけるハザードの情報提示に関する検討

福井　千菜美（北海道大学大学院工学院）・高橋　翔・萩原　亨（北海道大学大学院）・浜岡　秀勝（秋田大学大学院理工学研究科 システムデザイン工学専攻）

冬期の積雪寒冷地の市街地では，路肩の堆雪によって視認性が低下することに加え，車両によるセンシング性能が低下する．本研究では，積雪寒冷地の市街地において，除雪による堆雪によって他の交通参加者の見落としが発生しやすいハザード地点をドライバに伝達する新たな情報提示システムの効果を検証する．

自己位置推定に不確実性を持つ車両から観測される周辺交通参加者の位置推定の初期検討

渡辺　航太・伊藤　太久磨（東京大学）

車両が観測した周辺交通参加者の情報を共有活用するためには，車両自体の自己位置推定の不確実性と，車両からの相対位置推定の不確実性を統合する必要がある．本研究ではこれらの不確実性を統合し，周辺交通参加者の位置推定を行う手法の開発に取り組み，シミュレーションによって提案手法の実現可能性を確認した．

生活道路における速度決定機械学習モデル改良のための潜在リスク地点抽出手法の初期検討

定仲　勇希・堀　恵大・伊藤　太久磨（東京大学）

生活道路における速度決定機械学習モデルには，見通しの悪い地点で生じる潜在リスクへの適応が求められる．本研究では生活道路における速度決定機械学習モデルを潜在リスクに適応できるように改良するため，機械学習モデルと注意深い運転を摸擬した走行データを活用して潜在リスク地点抽出手法の開発に取り組んだ．

自動運転車の行動セーフティの評価のための接近度と余裕度の指標提案

齊藤　裕一・下鳥　翔平（筑波大学）・井上　秀雄（神奈川工科大学）

想定される危険事象に対して，自動運転車の安全性を何の指標で測り，どのように検証すればよいかに係る共通理解が不足している．本稿では，他交通参加者との接近度と事故回避に対する安全余裕度の指標を提案し，その有効性を議論する．

水素専焼エンジン油圧パワーショベルの実証試験に基づく排気特性と燃費性能の評価

名畑　晴琉（金沢工業大学）・榎本　忠・山浦　卓也（フラットフィールド）・二宮　侑基（株式会社オリエンタルコンサルタンツ）・伊東　明美（東京都市大学）・長沼　要（金沢工業大学）

水素専焼エンジン油圧パワーショベルの技術開発を目的として，実機を製作し実証試験における運転データを取得した．その結果，油圧ショベル特有の運転点推移による特徴的なNOx排出特性を確認したが，その値は小さく，HOT運転時には後処理装置なしで同クラスのディーゼル油圧ショベルに対する規制値を下回る可能性が示された．

アルゴン循環型2サイクル水素エンジンの研究

王　喆・阿部　貴大・陳　之立（東海大学）

アルゴン循環型水素エンジンの熱効率は高いがノッキングが発生しやすい．2サイクルエンジンはサイクル毎の燃料が4サイクルの約半分で，ノッキングが軽減できる．一方，排気が循環されるので，2サイクルの掃気燃料ロスやオイル排出問題が存在しない．本研究ではアルゴン循環型2サイクル水素エンジンの実機試験を行った．

アルゴン循環型水素エンジンにおける循環系加圧の研究

近藤　憂樂・清川　凌太・陳　之立（東海大学）

アルゴン循環型水素エンジンにおいて，循環系を加圧することによって過給機を使用しなくても過給効果が得られるが，燃焼やポンピングロスなどへの影響は不明である．本研究ではノッキング改善と出力向上を目的として，循環系に100kPaまで加圧した場合のエンジンの運転範囲，出力，熱効率，燃焼，ポンピングロスなどを検討した．

高過給ポート噴射式水素エンジンの熱効率最大化に関する考察

良知　聖淳・山崎　元・坂根　悠平（金沢工業大学）・榎本　忠・山浦　卓也（フラットフィールド）・伊藤　明美（東京都市大）・佐々木　竜一（株式会社リケン）・吉岡　雅也（堀場製作所）・市川　航大（日本ガイシ）・長沼　要（金沢工業大学）

水素エンジンはガソリン・ディーゼル燃料にくらべて過給圧，空燃比，点火時期の制御設定が広範囲となる特長を有する．本研究では，熱効率最大化を目的とし，各制御設定とその組み合わせが熱効率に与える影響をベンチ試験の結果を元に考察した．それら，圧縮比を含む諸元値，設定値が熱勘定に及ぼす影響を報告する．

Clarification of the Mechanism of Abnormal Combustion in Hydrogen Engines (Part I: Investigation of Abnormal Combustion Location by Numerical Analysis)

Pravin Ananta Kadu･Takao Nakayama･Kei Yoshimura･Keiji Muramatsu･Takuya Kosugi･Kenjiro Nakama (Suzuki Motor)

Hydrogen fueled internal combustion engines are susceptible to autoignition which may damage engine. To investigate its cause, root cause analysis was conducted at lean premixed condition. Ignition delay time for hydrogen at different conditions was obtained from chemical kinetics simulations. 1D CFD was then used to investigate the pressure and temperature conditions of exhaust gas and engine components. Based on these conditions and shorter ignition delay, most probable causes of autoignition were judged. 3D CFD and experimental results were used to confirm this finding.

水素エンジンの異常燃焼のメカニズム解明（第二報　可視化による異常燃焼箇所の調査）

村松　恵治・徳原　聡・Pravin Ananta Kadu・吉村　佳・中間　健二郎（スズキ）

水素エンジン開発において，異常燃焼の発生によるトルク制約や部品の信頼性低下が問題となる．異常燃焼のメカニズム解明のため，可視化窓を取り付けた多気筒可視化エンジンを製作し，筒内の可視化計測を実施した．計測結果および第一報で報告した解析結果を用いて，異常燃焼発生の起点とその要因について分析を行った．

ディーゼルエンジンのピストン圧縮によるメタノール混合バイオガスの改質

劉　昌祺・陳　登沛・加藤　広夢・柴田　元・小川　英之（北海道大学）・川邊　研・南埜　良太（ヤンマーホールディングス）

高当量比条件における少量の軽油とバイオガスのデュアルフューエル燃焼による合成ガスへの改質は，高濃度のスモーク排出が課題である．本研究ではメタノールをバイオガスと共に吸気に供給し，エンジン実験と化学動力学計算によりスモーク低減と合成ガスの収率向上を図り，その反応プロセスを明らかにすることを目的とする．

Development of fixed speed spark ignited hydrogen internal combustion engine for heavy duty non-road applications

Xander Seykens･Erik Doosje･Cemil Bekdemir (TNO)･Peter Wezenbeek (NPS Driven B.V.)

The paper presents an overview of key development aspects for realizing a fixed speed heavy duty SI hydrogen internal combustion engine for non-road applications requiring no NOx aftertreatment. Single-cylinder experimental research results are used to determine key engine parameters, e.g. compression ratio, and base operating conditions as input to full-scale engine hardware definition. Measures to optimize performance and safeguard operational safety, e.g. misfire detection and prevention of hydrogen slip, are discussed. Engine emissions and power performance characteristics are presented for stationary operation and load steps demonstrating the STAGE V engine-out NOx emissions over diesel-like load range with acceptable dynamic response.

産業用エンジンをベースとした水素エンジンシステムの研究開発

田中　耕太（豊田自動織機）・葛岡　浩平（産業技術総合研究所）・山本　浩史（ダイヤゼブラ電機）

産業用エンジンのカーボンニュートラル実現に向けて量産LPGエンジンをベースに燃料供給系を水素用に換装した水素エンジンを開発した．ターボ過給に加え，異常燃焼の抑制技術やクランクケース内循環システムなどの採用による最小限のシステム変更で，ベースエンジンと同等の出力および超低NOx排出を達成した．

水素エンジンの異常燃焼に関する研究
-ノッキング予測モデルの構築-

神戸　浩揮（豊田自動織機）・増田　糧（豊田中央研究所）

水素エンジンの課題の一つであるノッキングに対して，残留ガス組成に着目したノッキングモデルを構築した．本報では，水素燃料において残留ガス中のNO濃度が着火遅れ時間に与える影響が大きいことを明らかにした．また，NOを考慮することで，ノッキングが発生する実験結果を精度よく再現することを確認した．

SDVの実現に向けたAUTOSARの取り組み（第3報）

後藤　正博（AUTOSAR）

第2報では,　様々な標準化活動からSDVのソフトウェアアーキテクチャの全体像を考察し，車両内外を接続するためのAPIに関する標準化の詳細を述べた.　本報告では，それらの技術を適用した車載高性能コンピューター（High Performance Computer in Vehicle）の構成と実現に必要な技術について考察する

自動運転モビリティにおけるモデル予測制御による複数サービス指標の改善

齋藤　哲平・長谷島　範安（日立製作所）

モデル予測制御を用いて複数のサービス指標を改善可能な自動運転モビリティソリューションを開発している．本講演では，モデル予測制御において交通状態を予測する区間をサービスに割当てられた移動目的地の数に応じて逐次変更することで，低下が予想される指標を優先的に改善可能な走行制御手法について述べる．

都市自動運転に向けた強化学習とその獲得モデルの検証

泉名　克郎・坂本　伸・渡辺　政彦（NTTデータオートモビリジェンス研究所）

我々は，自動車や歩行者など様々な交通参加者が混在する都市部・市街地での自動運転の行動判断モデルについて，抽象化した表現空間での強化学習トレーニングでのモデル獲得を研究している．本報告では，得られたモデルを実際の運転環境（ドライビングシミュレータ）適用に向けた研究開発の内容について報告する．

車載カメラ映像とマルチモーダル大規模言語モデルによる先進運転支援システムの改善支援技術

露木　雅文・羅　智圓（日立製作所）・冨田　民則・新　吉高（日立Astemo）

先進運転支援システムの改善効率化には，膨大な車載カメラ映像から所望のシーンを目視確認無しに抽出する必要がある．本研究ではマルチモーダル大規模言語モデルによる映像確認の支援技術を提案する．全データの約20％の目視確認で車線変更判定機能の誤判定シーンの半数を抽出でき，システム改善を効率化できる見込みを得た．

雪の，Camera・LiDAR・ミリ波Radarに対する反射・統計係数の測定

天野　義久・黒田　浩・日比野　愛子・水越　雅・井上　秀雄（神奈川工科大学）・佐藤　研吾（防災科学技術研究所）

運転は2027年度に国内100ヶ所を指し社会実装が進むが，本の国では1/31/4は降雪地帯となる．我々DIVPプロジェクトは動運転の安全検証を現実空間ではなく仮想空間でうシミュレータを開発している．今回，Camera・LiDAR・ミリ波Radarからた雪の反射・透過係数を，測定系構築から始めて測定した．LiDARに対しては，新雪は均質なランバート反射体である，凍結し表研磨されたアイスバーン状の雪は真逆の強い鏡反射をした．ミリ波Radarに対しては，新雪は誘電率1.4の理論反射係数と致した．透過係数は，先献にはられない概念だが厚み多重反射の考慮が必要と分かり，微細な多重反射を測定するため新規な傾斜サンプル法をいた．

光ファイバセンシング技術を用いた降雪環境下における協調型合流自動運転の開発

山口　史人（SUBARU）

GNSS信号が届かない場所やコネクテッドカー以外の自動車を捉えた自動運転をするためには道路インフラ側で持つ情報とのリンクが重要となる．
道路に光ファイバを敷設することで，走行する車両の走行荷重をひずみや振動，温度を分布で検知・計測できる．
車両の走行状態や道路の状態をリアルタイムに解析できる光ファイバセンシング技術を用いた協調型自動運転の開発を行ったため，その内容について報告する．

ステレオマッチングによるマルチカメラ向けBEVモデルの高精度化

土屋　舜太郎・田仲　結衣・二宮　洸・城戸　英彰（日立製作所）・入江　耕太・奥山　義隆（日立Astemo）

マルチカメラの複数画像を鳥瞰図空間で統合処理する深層学習モデル(BEVモデル)の開発が進んでいる．画像での認識は正確な測距が難しくBEVモデルの精度低下が課題になる．本講演は，ステレオマッチングで求めた相対距離 をBEVモデルの認識に用いることで，3次元認識の精度を向上させたことを報告する．

LiDARによる雨天時でのロバストな3D物体検出

針屋　慶吾・米陀　佳祐・福田　有輝也・菅沼　直樹（金沢大学）

自動運転車両の安全な走行には周囲の交通参加者の認識が必要である．LiDARを用いた3D物体検出において，雨天時での周辺走行車両による雨水の巻き上げは誤検出を誘発し，自動運転車両の行動計画に大きな影響を与える．本研究では雨天時における水の巻き上げに対する誤検出を減らす3D物体検出手法を提案する．

LiDAR点群を用いた深層学習による自己位置推定の実現

川原　健吾・米陀　佳祐・柳瀬　龍・木下　周・菅沼　直樹（金沢大学）

安全な自動運転を実現するために，自己位置推定が必要である．本研究では，LiDAR点群の特徴をPillar構造によって保持して疑似画像に変換し，深層学習を用いて自己位置を尤度分布として推定するマッチング手法を提案する．本手法は，従来の点群マッチング手法と比較して,よりロバストな位置推定を目的とする.

CARLAによるインフラLiDARのシミュレーションと歩行者の検出

二階堂　大陸・針屋　慶吾・米陀　佳祐・菅沼　直樹（金沢大学）

LiDARは自動運転の認識や市街地のインフラセンサとして使用される．本論文ではCARLAによる歩行者に特化した定点LiDARのシミュレーションを行い，検出を目的とする．検出手法としてマルチフレームの3D点群を用いた物体検出を挙げ，疎な点群の歩行者に対して堅牢な検出モデルを提案する．

ソナー誤検知影響予測のための超音波伝達シミュレーション開発

鵜飼　基康・中村　高明（アイシン）

自動運転および自動駐車の実現には，高精度なセンシング技術が不可欠である．AEB（自動緊急ブレーキシステム）は超音波ソナーを用いて障害物を検知するが，周辺の車両部品の影響により誤検知が発生する．本研究では，車両搭載時のセンサ信号を予測し，良否判断が可能なCAE技術の構築に取り組んだことを報告する．

コーティング技術を利用したFSWツールの耐久性向上

柴田　紗里奈・吉浦　龍・西野　創一郎（茨城大学大学院）・角谷　行崇（日本コーティングセンター）

摩擦攪拌接合（FSW）は歪みが少ない接合技術として，主にアルミニウム合金に対して適用が拡大している．一方で，FSWツールの寿命向上が課題となっており，様々な材質や形状について検討されている．本研究では，工具鋼で多用されているPVDコーティング技術をFSWツールに適用して工具寿命を向上させることを試みた．

ステンレス箔材の抵抗シーム溶接における溶接速度の影響

大塚　智貴・小山　紫温・西野　創一郎（茨城大学大学院）・吉川　誠也（ART-HIKARI）・野上　哲也・荒谷　玲那（野上技研）

バッテリーシステムにおける薄肉化と軽量化を両立するためにステンレス鋼箔材の使用が検討されている．本研究では，200μmから20μmのステンレス鋼箔材に抵抗シーム溶接を施し，接合強度や破壊形態に及ぼす溶接速度の影響を調査した．

Al-接着剤界面の引張試験中でのマルチスケールCT観察

伊藤　孝憲・稲葉　雅之・宋　哲昊・向井　絵美・熊本　隆（日産アーク）・竹内　晃久・上椙　真之・佐田　侑樹（高輝度光科学研究センター）・藤原　比呂・戸田　裕之（九州大学）

Al-接着剤試験片を用いて引張試験を行いながら放射光X線マルチスケール（μスケール，nanoスケール）CT観察を行い，接着部分の破壊起源について議論する．μ-CTでは，破壊までのフィラー等の動き，nano-CTではAl-接着剤界面，接着剤－フィラー界面，接着剤－添加物界面の破壊挙動を考察する．

リチウムイオン電池環境におけるステンレス鋼の耐食性評価

三平　啓・濱田　純一・林　篤剛（日鉄ステンレス）

リチウムイオン電池の正極部材，ケース環境を想定した定電位電解試験および浸漬試験からステンレス鋼の耐食性を評価した．

ブレーキディスク用ステンレス鋼の摩擦摩耗特性

吉澤　俊希・林　篤剛・濱田　純一（日鉄ステンレス）・加藤　孝憲・阪山　由衣子（日本製鉄）

ステンレス鋼および鋳鉄を腐食状態および制動負荷を変化させた制動試験に供し，外観，摩擦摩耗特性およびブレーキダスト量を評価した．鋳鉄は錆の発生によって，摩擦摩耗特性の劣化，ブレーキダスト量の増加が生じたが，ステンレス鋼では錆は生じず摩擦摩耗特性，ブレーキダスト量も変化しなかった．

Smart lightweight and performance solutions for structural parts by Tailor Rolled Blanks

Christoph Hahn (Muhr und Bender KG)･Taranjeet Singh (Mubea Japan Co., ltd)

TRB Benefit for Functional Improvement in Performance, Manufacturing, Part Integration, Design Simplification, Weight Reduction Cold Forming Tailor Hardened Technology

中古部品・再生資源の越境移動と静脈ビジネスの新展開

木村　眞実（長崎大学）・浅妻　裕（北海学園大学）

本研究では，静脈ビジネスの現状を関連データ等によって理解し，業界の今後の展望を明示することを目的とする．本報告では，自動車由来の中古部品・再生資源の流通フローを貿易統計等の統計データと現地フィールドワークによって理解し，将来展望を示す．

エアテーブル選別機によるASRからの有価物の回収における選別成績についての調査

古山　隆・吉田　勝（東北公益文科大学）

ASRリサイクルの効率化を図るために、乾式比重選別機であるエアテーブル選別機を用いてASRから非鉄金属およびガラスなどの有価物を回収する実験を行った。具体的にはASRの2㎜以下の産物を試料として非鉄金属およびガラスの選別成績（ニュートン効率）とテーブル振動数の関係を調査した。その結果、テーブル振動数が52.5Hzにおいてニュートン効率が52.0％と最も高い値を示すことが分かった

サーキュラーエコノミーにおける自動車リサイクルの未来：資源循環の新しい価値創造

宮川　英樹（ヴェオリア・ジャパン合同会社）

資源循環を最大化するための最新のリサイクル技術やプロセス改善の取り組みを紹介します。具体的には、廃車からの素材回収効率の向上や、ライフサイクル全体での環境負荷軽減を目指すイノベーションを解説。持続可能な自動車産業の実現に向けたリサイクラーの役割を探ります。

自動車のサーキュラーエコノミー指標の提案 第2報
-資源価値と資源循環の質を考慮したサーキュラーエコノミー指標の試算-

岩田　隆道（豊田中央研究所）・上田　貴康・増田　仁郎（トヨタ自動車）・田原　聖隆・松本　光崇（産業技術総合研究所）・原　昌司・小林　哲郎（豊田中央研究所）・石田　栄治・小笠原　満・永井　隆之（トヨタ自動車）

本研究では，サーキュラーエコノミーに関する自動車の評価指標を提案することを目的とする．本講演では，自動車の資源循環性を評価するため，材料の種類ごとにインフローの資源の価値とアウトフローの資源の価値を計算することで，散逸資源量を試算した結果を報告する．

3次元燃料電池シミュレーションによるセル設計と性能・耐久性予測

塚本　貴志・高山　務・小宮山　敬介・辻村　一平・菅原　瑠偉（みずほリサーチ&テクノロジーズ）

車載用を想定した固体高分子形燃料電池を対象とする．セル設計では2次元のキャンバスに流路を描画し，圧損・流量分配を評価するツールを開発し，最適な流路設計について検討する．また，3次元燃料電池シミュレーションにより運転時の発電性能を評価すると共に，非定常な運転条件における白金触媒劣化を検討する．

PEFCの単セル評価における高温運転条件の影響

加賀谷　賢（堀場製作所）・金坂　浩行（技術研究組合FC-Cubic）・酒井　智一（トヨタ自動車）・日下部　弘樹（技術研究組合FC-Cubic）

PEFCの適用として大型商用車（HDV）向けの検討が進められているが、HDV向けPEFCでは従来の乗用車向けと比較し高温運転環境が長くなることが想定されている。そこで、電解質膜にGORE-SELECT® MEMBRANE M788.12（膜厚12μm）、M765.08（膜厚8μm）及びNafion™ NR211を、カソード触媒に田中貴金属工業製TEC10E50E、熱処理したTEC10V30E-HT及びTEC36F52を使用して高温運転条件での評価を行った。120℃以上での劣化状況の検討及び負荷応答サイクルによる劣化性能の検討を行ったので報告する。

Comparison of multi-fuel cylinder head concepts for heavy duty engine running on alternative fuels with Charge Motion Design (CMD) process

Avnish Jagdeesh Dhongde･Lukas Virnich･Max Mally･Bastian Morcinkowski (FEV Europe)･Dieter van der Put (FEV Group GmbH)･Moritz Lueckerath･Li Zhengling (TME, RWTH Aachen University)

Charge Motion Design process optimizes the design for multi-fuel cylinder heads using CFD simulations, benchmarks and burn duration correlations. These correlations are calibrated to engine data for individual fuels to yield the 0 to 50 % burn duration by analyzing the flow and turbulence in the combustion chamber. The calibration of these correlations to test data from ammonia and hydrogen blends is presented. The calibrated correlations for ammonia, hydrogen, natural gas and methanol were applied to different configurations to assess their performance and suitability for these fuels. These configurations varied in the port layout, valve orientation and charge motion.

H2 Internal Combustion Engines for Commercial Vehicles
-Increasing Power Density by Low Pressure Direct Injection-

Martin Weber･Nils Bronder･Thomas Kemski･Hein Beier･Axel Seiffert･Lorenz von Roemer (IAV)･Florian Sobek (Fraunhofer Institut)･Hubertus Christian Ulmer･Thaddaeus Delebinski (IAV)

For Commercial Vehicles, H2 Internal Combustion Engines (ICE), are of growing interest due to zero emission regulations. Within the framework of the joint project WaVe, studies were conducted on a 1.3 l H2 single-cylinder test engine. Port fuel injection (PFI) and low pressure direct injection (LP-DI) were investigated.
Focus was to achieve or even exceed the indicated mean pressure of a diesel engine at high thermal efficiency. Since mixture preparation is crucial and challenging, IAV designed spray caps for an LP-DI injector via 3D-CFD simulation. Further investigations focused on the optimization of the spark plug and the introduction of EGR.

小型水冷式燃料電池システム開発

市古　勇太・犬飼　亮弘・中島　夏澄・辻村　暁史・土井　健介・荒井　安成（トヨタ紡織）

当社では小型モビリティ向けに小型水冷式燃料電池システムを開発している．
本講演では自社開発品の水冷式小型FCスタックの発電原理およびFCセパレータの設計概要，
燃料電池システムの全体構成および熱マネージメントシステムの詳細，
当社システムを搭載した電動アシスト自転車での走行試験結果を紹介する．

稼働データによる車載電池の健全度推定手法（第4報）

丸地　康平・山本　幸洋・波田野　寿昭（東芝）

運用時に入手できる稼働データ（電圧，電流，温度）から，車載電池の健全度（1C定電力放電容量）を算出する手法を紹介する．今回は，リパーパスの観点から車載以外の用途への適用性を評価する．劣化特徴量を適切に算出することで，太陽光発電の電力を蓄電する低圧BESSを模擬したセル実験データにも手法が機能することを示す．

Demonstrating non-destructive safety diagnosis for lithium-ion battery modules based on charging curve analysis data

Kenichiroh KOSHIKA (NTSEL)･Hideki TSURUGA (JET)･Tomokazu MORITA (TOSHIBA)･Keizoh HONDA (JET)

A non-destructive safety diagnosis for lithium-ion battery modules was demonstrated with experimental data. The charging curve analysis (CCA) was selected for estimating the internal state of the lithium-ion battery cell and the cell operating condition in a module. The safety threshold set by using CCA data was validated by thermal runaway tests for battery cells using an external heating method. The diagnosis for the module revealed not only its safety but also its discharge capacity (SOH). An output image with comprehensive information including indicators to accumulate remaining battery performance value was also displayed.

Smart Microgrid-Integrated Dynamic Fast Charging Station

Saleh A. Ali･Volker Pickert (Newcastle University)･Mohammed A. Alharbi (Taibah University)･Handong Li (UCL)

The transition to electric vehicles (EVs) faces critical challenges, including lengthy charging times and substantial infrastructure demands. The proposed Dynamic Fast Charging Station, functioning as a smart microgrid, addresses these barriers by enabling in-motion EV charging. Utilising renewable energy sources like wind and solar, this infrastructure can integrate capacitive and conductive charging technologies to support thousands of EVs daily while minimising grid dependency and environmental impact. This paper presents the system's specifications, economic viability, and sustainability advantages, comparing it with traditional charging methods. The Dynamic Fast Charging Station emerges as a breakthrough technology that advances EV adoption and aligns with global sustainability goals.

貨物鉄道輸送を中心とした輸送モード連携によるモーダルコンビネーションの過去・現在・これから

物流におけるトラック、船舶、鉄道、航空機の役割やシェアは、技術の進化、インフラの整備状況などにより変化してきた。地球温暖化や労働力人口の減少への対応が求められる今、各輸送モードが競争ではなく協調し、持続可能な物流を提供していくための輸送モード間の連携について、過去から未来を展望する。

450kW走行中充電インフラのバス高速輸送システム（BRT）への適用方法の研究

田宮　日奈・島村　和樹（日本自動車研究所）・田島　孝光（本田技術研究所）

近年，廃線になった鉄道をバス路線へと転換するバス高速輸送システム（BRT）が増加している．BRTの中でも専用路線を用いたBRTに走行中充電インフラ（ERS）を導入した場合のインフラ側およびバス側の最適化について検討を行った．その結果，バッテリ容量とERS設置区間のバランスをとることが可能であることがわかった．

商用車における車載太陽光発電システムの実現可能性に関する研究
-小型配送車を対象とした太陽光発電システムの車載効果の見積もり-

裴　帥・彭　エイケン・小林　王義・廣田　壽男・紙屋　雄史（早稲田大学）・水野　英範・大関　崇（産業技術総合研究所）

小型配送用EVに日射計を搭載し，福島県郡山市で長期間の実証試験を実施し，車両電力消費と日射量を計測した．試験結果をもとにシミュレーションモデルを開発し，配送車の独有な運行特徴，および太陽高度，気温などによる車両電力消費とPV発電への影響を解析し，PV発電システム搭載による省エネルギー効果を評価した．

高速道路における走行中の間欠充電に適用するバッテリーの耐久試験方法

北条　善久（東洋電機製造）

大型トラックなどのバッテリー容量低減や設備関係コストの観点から高速道路における走行中の間欠充電が検討されている．しかしながら充放電が頻繁に行われるため，バッテリーの寿命に影響を及ぼす．本稿ではバッテリーの耐久試験を台上で行うために，連続定格トルク6500Nm以上のダイナモを2台用いた試験システムを提案する．

鉱山ダンプトラックのEV化におけるトロリー技術の実証実験

美濃島　俊和・池田　純・佐籐　隆之（日立建機株式会社）

鉱山業界は，ネットゼロエミッション実現に向け，鉱山用ダンプトラックの電動化を模索している．
従来からのトロリー技術を有した鉱山にて,動力源をエンジンからバッテリーにした鉱山用ダンプトラックを走行させた．実際の鉱山現場での実証実験の取り組みを報告する．

太陽光発電システム搭載EV（PVEV）評価ツールの開発

水野　英範・Pawita Bunme・髙島　工・大関　崇（産業技術総合研究所）

走行中給・充電システムとして車載太陽光発電（PV）を検討するにあたり，そのメリットを事前に推測できれば，メーカーのPVEV開発モチベーションやユーザーの導入判断にとって有意義な情報となろう．このため，我々は2024年の講演会で報告した産総研PVEV等を用いて得られた各種実証データをもとに，PVEV評価ツールを開発した．

The importance of ERS for COI2 reduction from road vehicles

Mats Alakula (Lund University)

ERS offer an alternative charging infrastructure to a fast-charging network. This facilitates a significantly reduced, or even eliminated, need for fast charging stations and a reduced need for on-board batteries. To reduce the CO2 emissions from road vehicles the sales of new EV's needs to be complemented with conversion of relatively new conventional vehicles to EV's, due to the long lifetime of conventional vehicles. Conversions allow less space for batterie, and benefit from ERS technology. The paper will elaborate on the importance of ERS technology to cap global warming.

高解像度LESによる壁面衝突ディーゼル火炎の熱伝達解析

窪山　達也・角畑　徹（千葉大学）・木村　真（サステナブル・エンジン・リサーチセンター）・森吉　泰生（千葉大学）

本研究は，ディーゼル噴霧火炎の壁面熱伝達メカニズムを詳細に調査し，熱流束解析モデルを見直し，汎用的なエンジン燃焼シミュレーションにおける壁面熱伝達の予測精度向上に必要な知見を整理することを目的とし，壁面近傍において熱伝達モデルを用いず，粘性底層まで格子を配置したLES解析を行っている．

過渡対応温調機を用いた車両熱マネジメントシステム実験手法の提案

伊関　博臣・吉村　遼・平井　誠治・道北　俊行（堀場製作所）

電動化により複雑化する車両熱マネジメントシステムの効率的開発が求められている．バッテリやパワトレなどの熱源を模擬する過渡対応温調機を活用し，JAMBEの電マネモデルで算出したバッテリ-冷却水間の交換熱量を再現した．熱マネシステム単体での実機評価手法として，モデルに対する温調機の熱量模擬精度を検証する．

Comparison of Nucleate Flow Boiling Heat Transfer on Aluminum Heating Surface Using Distilled Water, Ethylene Glycol Aqueous Solution, and Long-Life Coolant for IC Engine Cooling System

Emir Yilmaz･Takashi Suzuki･Kota Suzuki･Shota Ishii･Minato Suzuki･Kodai Kato･Mayu Watanabe･Mitsuhisa Ichiyanagi (Sophia University)

Understanding the relation between coolant composition and surface properties is crucial for improving nucleate boiling heat transfer in IC engine cooling. This study examined heat transfer mechanisms, including latent and sensible heat transport, and bubble dynamics, using distilled water, ethylene glycol aqueous solution (EG50%), and LLC under flow boiling conditions. Results revealed that due to corrosion bubble nucleation was reduced for distilled water and EG50% coolants, while LLC preserved surface wettability and bubble behavior. Increased coolant viscosity and surface wettability influenced latent and sensible heat transport, offering insights into optimizing coolant formulations and mitigating corrosion effects for improved cooling performance.

構成機器をコンパクトに一体化したランキンサイクル発電機の開発
-第8報 金属製化と冷媒による実験-

田中　勝之・中川　千種・脇山　哲広・殿岡　奈々・大塚　賢哉（日本大学）

自動車からの廃熱を電力に変換するために，小型で軽量なランキンサイクル発電機の開発をおこなっている．これまで報告した構造で部品を金属化し，冷媒を用いた実験結果を得たので報告する．

重量車のエンジン排熱を用いた5kW級ランキンサイクル発電機によるエネルギー回収の実験
-第1報　実験装置の構築と動作確認試験-

小櫃　竜太郎・加藤　大貴・上遠野　和佳・齋藤　真成・大塚　賢哉・田中　勝之（日本大学）・成毛　政貴・北村　高明（日本自動車研究所）

重量車のエンジン排熱を電力に変換するために，5kW級のランキンサイクル発電機を用いたエネルギー回収実験をおこなっている．市販の5kW級のランキンサイクル発電機を重量車のエンジンに併設し，排熱を伝えるために配管で接続し，試運転をおこなったので，その結果を報告する．

リーンバーンエンジン搭載ハイブリッド車のための熱電変換材料の開発

太田　道広・Philipp Sauerschnig・Kishor Kumar Johari（産業技術総合研究所）・成毛　政貴（日本自動車研究所）・今里　和樹・宮田　全展・石田　敬雄・山本　淳（産業技術総合研究所）

リーンバーンエンジンHEVからの廃熱発電を行うために，Mg3(Sb,Bi)2系とBi2Te3系熱電変換材料を開発した．例えば，Mg3(Sb,Bi)2系においては，廃熱温度域におけるMg3(Sb,Bi)2の熱電性能をSb/Bi比を調整することで向上させた．さらに，車載に向けて重要となるこれらの機械的特性を圧縮試験により調査した．開発した材料による燃費改善効果は，GT-SUITEを用いて計算した．

排ガスからの熱回収による熱電発電性能評価

見野　弘泰・染矢　聡・小山　寿恵（東京電機大学）

市販の熱電発電モジュールについて，排ガスからの熱回収を想定した発電性能評価を実施した．ΔT110℃の場合に2.35W/枚の性能を発揮した．お湯と冷水などの液ー液系，固体伝熱の条件などでも評価してそれぞれを比較することにより，熱電発電モジュールの基本性能と排ガスからの熱回収性能について纏めた結果を報告する．

タイヤ車外騒音の評価技術開発と発生メカニズム検討

宗　虎太郎・谷本　隆一（株式会社セキソー）

車外騒音規制フェーズ3に向け，タイヤ音対策は大きな課題である．そこで，この車外騒音を解析するため，リヤカー方式タイヤ騒音測定装置を製作，音源調査を実施した．つぎに，タイヤから放出される騒音のマップ化を行った．これらから，前後輪の音の放射方向を離間させることで，車外騒音を低減できることが分かった．

MBDを活用したPBN(Pass-By Noise)モデル構築(第2報)
-加速性能向上のためのHEV 1Dシステムモデルと連携したPBNモデル構築-

中澤　信太・遠藤　剛・岩瀬　裕夢・緒方　健一郎・鎮田　和哉（本田技研工業）

車外騒音法規は継続的に強化され，騒音値低減のためにENG回転数を制限している．そのため，ENG回転数設定自由度を制限し，加速性能と背反している．そこで，HEV　1Dシステムモデルと連携するPass-By Noiseモデル構築を検討した．これにより，ENG回転設定の自由度を広げ加速性能向上に貢献する．

A Hybrid BEM-SEA Approach to Assess and Mitigate AVAS-Induced Cabin Noise: Balancing Safety and Comfort

Robert Fiedler･Massimiliano Calloni (ESI)

Acoustic Vehicle Alerting Systems are primarily designed to comply with international regulations and enhance the safety of vulnerable road users. However, the impact of AVAS on the interior acoustic comfort of vehicle occupants is often overlooked. This study presents a hybrid Boundary Element Method and Statistical Energy Analysis approach to predict interior noise levels resulting from AVAS operation. The BEM model simulates the exterior noise generated by the AVAS, while the SEA model evaluates its transmission into the vehicle cabin, considering the effects of noise control treatments. The methodology assesses and mitigates AVAS cabin noise, balancing safety, and occupant comfort.

部品公差による車両音感度分散範囲の高速予測手法開発

長島　弘幸・星加　慧・奥野　正嗣・高橋　成光・松岡　久祥（日産自動車）・内村　浩隆（日本CDH）

車体の部品公差を考慮した振動騒音の解析では，公差範囲における部品条件の膨大な組み合わせ計算と統計解析等による寄与分析が必要である．本研究ではモーダル線形近似による高速解法と部品特性の確率分布を組み合わせることで，高速に振動騒音の公差ばらつき解析ができることを報告する．

Virtual Mount Design Framework for Component-Based TPA

Domenico Minervini･Andrea Serni･Theo Geluk (Siemens Digital Industries Software)

The widespread electrification in the automotive sector introduces challenges in noise, vibration, and harshness (NVH) characterization due to higher frequency ranges and stiffer bushings. Current mount testing methodologies fail at higher frequencies due to resonances in the test rig, often requiring time-intensive setups. This work presents a novel hybrid approach using high frequency measurements to identify a parametric finite element mount model. This method eliminates the need for support structures, extending the frequency range and enabling design modifications through parametric design. Results match the accuracy of traditional methods while considerably reducing the overall effort, allowing virtual prototyping.

Virtual Point Transformationを用いた実稼働時6自由度寄与分離手法について
-簡易自動車模型を用いた寄与分析-

吉田　準史・原　健太（大阪工業大学）

本研究では直接計測困難な物体内部などの仮想点における6自由度入力から応答点までの寄与をVirtual Point Transformationと実稼働TPAを連携し，算出可能な手法を検討した．そして本手法を簡易自動車模型に適用し，モータ中心からフロア振動までの6自由度寄与の把握を試みた．

聴覚的注意モデルによる情報伝達音の聴こえやすさ評価

中谷　裕紀・萬　菜穂子・大杉　郁代・井野　寿信・渡邊　雅之（マツダ）

人と車との円滑なコミュニケーションを狙い，まずは音情報を対象に，聴覚系に基づく音への気付きやすさモデルに音の振幅包絡波の検出機能を追加した聴こえやすさ評価モデルを構築した．本モデルを車内騒音下における情報伝達音に適用し，従来指標の音圧レベルよりも主観的な聴こえやすさを評価できることを明らかにした．

乗用車空調音におけるSD法による音質評価

高尾　秀男（セキソー）

乗用車空調音の音質評価を，13の形容詞対を用いてSD法で実施した．評価音は，12種類の模擬音と4種類の実車空調音を用いた．心理音響尺度はラウドネス，シャープネス，変動強度，ラフネスを選び，各形容詞対との相関を考察した．また評価結果の重回帰分析から，各心理音響尺度値を用いた実車空調音の快適性評価予測を試みた．

エンジン背景音を用いたピストン打音評価技術の開発

中西　潤二郎・森　恒寛・菊池　正和・山本　彩斗・松岡　和洋・野中　康宏（マツダ）

ピストンが発する打音は心地よいエンジン音を阻害するために，効率的なピストン打音予測手法の構築が求められている．これまでの予測モデルを用いたピストン打音予測は，ピストンの運動エネルギーやシリンダブロック振動を評価指標としていたが，聴感評価と必ずしも一致しなかった．本稿では，予測モデルを用いたピストン打音の効果的な検出方法を確立するために，シリンダブロック振動とエンジン背景音（暗振動）から飛び出し量を定量化した．その結果，聴感評価と良好な相関を示すことを確認した．これに基づき，新規開発エンジンにおいてピストン打音の予測を可能とした．

Subjective Ride Comfort Evaluation Based on CAE Simulation Results

Rabah Hadjit (ESI)

Ride Comfort is a key NVH target when developing automotive vehicles. This paper presents a process to perform subjective Ride Comfort evaluations in a driving simulator using CAE simulation results as input. The CAE model consists of a full vehicle finite-element model loaded with wheel center forces extracted from tests performed on a single tire test stand. The paper includes a description of the process to generate and use the simulation results in the driving simulator. This process helps reduce the reliance on physical prototypes to shorten the vehicle development time.

Next generation xEV modular platforms powered by ProteanDrive In-Wheel Motor

Stephen Lambert (Protean Electric)

This presentation delves into the development of high-performance in-wheel motors tailored for premium automotive applications. As electric vehicles (EVs) continue to gain traction in the market, the demand for innovative propulsion systems that combine efficiency, power, and integration has grown. In-wheel motors, which integrate the motor (And potentially the power electronics) directly within the wheel, offer unique advantages to allow OEMs to deliver a new paradigm in Electric Vehicles with more space, improved energy efficiency, enhanced vehicle dynamics, and critically lower cost. However, this technology also presents challenges. This presentation explores these challenges and highlights the cutting-edge solutions and design strategies employed to overcome them, offering insights into the future of electric mobility.

Optimization of laminated stacks for electrified vehicle drives

Francis van der Sluis･Benny Seitzinger･Sander de Vet･Oleg Alexandrov･Emile Kruijswijk (Bosch Transmission Technology BV)･Andreas Herzberger (Robert Bosch)

Electric motors in xEV offer power loss, power density and cost optimization opportunities.
We present a minimization of hysteresis and eddy current losses in the laminated core by combining a dedicated heat treatment and glue as a joining method. Separate and combined effects are compared to the state-of-art.
Heat treatment reduces hysteresis by stress relief. Glue bonding maintains lamination flatness and prevents eddy currents to further reduce losses. Design dependent benefits up to 20% are reported.
Lower losses improve power density and reduce thermal loads to offer higher system power output or downsizing options that can reduce system cost.

連続出力向上を達成するコイル浸漬油冷技術の開発

板谷　隆樹・戸谷　章人・後藤　英明・高橋　暁史（Astemo）

電動車両向けe-Axleでは，車両への搭載性，車両レイアウト性を考慮し，小型軽量化が求めらる．従来の間接水冷構造では小型軽量化による損失密度の増加に対して冷却性能が不足することが課題となる．本報告では，コイル浸漬油冷構造を適用したモータの実機評価を行い，その効果について検討した結果を報告する．

Impact of Advanced Control Techniques on Electromagnetic Torque Generation Using a Multiphysics Simulation

Francisco Ramiro Ulloa-Herrera･Xavier Genaro-Munoz･Javier Arturo Corea-Araujo･Carlos Moya (IDIADA Automotive Technology)

This study presents a multiphysics simulation approach for permanent magnet synchronous motors (PMSMs) using Ansys and Simulink for co-simulation and control technic analysis. The methodology involves electromagnetic force analysis, accounting for voltage harmonics induced by current controllers under various control algorithms. A PMSM for traction applications is designed using Ansys and controlled via Simulink. The co-simulation evaluates magnetic and electrical interactions under different operating conditions. This approach allows the use of the same motor drive control across platforms, reducing development time and offers insights into extending the analysis to include vibroacoustic performance for enhanced motor design.

A Review on Inverter Testing Methodologies for Electric Vehicle Industry

Xavier Genaro-Munoz･Francisco Ulloa-Herrera･Javier Arturo Corea-Araujo (IDIADA Automotive Technology)

The electric vehicle (EV) industry faces the challenge of balancing rapid technological innovation with competitive pricing. Consumer trust hinges on vehicle reliability and low maintenance. This study identifies the inverter as a critical but vulnerable part of the EV powertrain, particularly as higher voltage systems are increasingly adopted for efficiency. To accelerate development and reduce costs, testing the inverter may sometimes begin before a fully developed motor is available. This review explores practical methodologies for inverter testing, evaluating their strengths and limitations to guide engineers in creating robust setups that drive innovation and ensure reliability in EV inverter technologies.

電動化機器を搭載したxEVの効率的なHILS検証手法について
--因果モデルを用いたリアルタイム検証--

黒川　和彦・塚原　賢祐・矢島　祐二（MCOR）

昨今の自動車開発では，電動化や先進技術への取組みによりシステムが複雑化しており，
効率的な検証が求められている．本稿ではxEV開発のHILS検証に着目し，因果モデルを適用したリアルタイム検証手法の確立と併せ，MBDプロセスにおける検証の効率化について，具体的な例を交えて紹介する．

電動車冷却システムにおけるポンプ起動の効率化技術

小野坂　直城・山本　武（株式会社アイシン）

近年のHEV・EVなどでは，複数のコンポーネントを統合し，軽量化やコスト削減を実現しているが，冷却回路切替時に電動ポンプが意図せず回転し，起動不良を引き起こす可能性がある．本研究では，外部から回されている状態の電動ポンプに位置固定ロジックを組み込むことで，迅速かつ正常に起動できるかを検証した．

充電機能を統合した電気自動車用eAxleの性能向上

二村　圭哉・久保田　芳永・中富　奏明・梓沢　慶介・轟　拓海・内藤　直也・大矢　聡義（本田技術研究所）

電気自動車のコスト，重量削減のための取り組みとして充電用の電力変換器を駆動用のモータとインバータに統合したeAxleの研究を行っている．
本稿では充電機能を統合したeAxleのモータ駆動時，DC急速充電時の性能向上のための検討及び実機検証結果に関して発表する

電界結合方式による複数台のAGVへの走行中ワイヤレス給電

近藤　尚弥・岩本　藤行・柴田　貴行・平野　哲夫・笹谷　卓也（ミライズテクノロジーズ）

送電系を簡易に構成できるとともに金属異物が誘導加熱することがないといったメリットがある電界結合方式を使い，10mの給電区間内を走行する複数台のAGVに対し，1台の送電用RF電源から，AGV1台当たり数百Wの安定した電力供給が可能なことを実証した．

A Research for AI driven Advanced Performance Evaluation of Exterior Closure System

SOONHO HER･MINHYUNG BYUN･BYUNG SUNG PARK (Hyundai Motor)

To evaluate closure system performance in advance before PROTO/PILOT stage, data for each design parameter involved in certain system is necessary. For implication of data driven advanced evaluation within closure systems, estimation about cabin pressure rise and air bind resistance energy is required. In this paper, cabin pressure rise and air bind resistance energy occurred by slamming door, tailgate or trunk could be estimated by analysis of simple box model and statistical model calibration and validation. With this estimation process, utilizing deep learning technology would be a powerful solution for proto-less and virtual vehicle development to optimize design parameters in advance.

3次元形状生成AIの解釈性に基づく自動車空力開発の検討

池内　大貴・森國　洋平・谷口　真潮・伊藤　祐太・深尾　勇也・山下　裕矢・安岡　志朗・菅井　友駿・西川　幸治・土山　稔（トヨタ自動車）

自動車空力開発において，計算コスト削減に深層学習を用いた形状生成AIを活用し空力性能評価を迅速に行う手法が検討されている．しかし，形状生成AIは解釈性が低いためモデルや適応範囲の妥当性推定が課題である．本稿では形状生成AIに対する形状特徴の寄与値を算出する手法を取り入れ，視覚的分析から解釈性向上を検討する

Tesla Cybertruck Aerodynamics - A fully automated reverse engineering methodology using 3D Scanning and OpenFOAM

Wouter Remmerie･Nikola Majksner (AirShaper)

Analyzing and understanding the aerodynamics of existing cars is key to improving the shape and efficiency of new cars. 3D scanning is commonly applied to obtain 3D models of cars, but these models pose significant challenges for CFD (computational fluid dynamics) methods - these typically require simplified and watertight models. This paper presents key aspects of a fully automated and validated workflow to analyze the aerodynamics of 3D scans without any manual efforts. The workflow has been validated against wind tunnel test data and has been endorsed by OEMs.

6 Bar Link Operation Analysis Using Multi-body Dynamics

woosik Yoon･Minsu Kim･Sungwon Hong･Jaehyun Seo (DAEDONG HI-LEX)･Kihyun Choi (Hyundai Motors Namyang Laboratory)

With the luxury of automobiles, it is developing from a general side door to a coach door. Since this coach door has a structure without a b-pillar, it requires a lot of rigidity and safety. To this end, a door hinge that can open 0-180 degrees was developed using a six-section link. In this study, the behavior of the 6bar link was analyzed with a Multi-body dynamic. Through this, the operation abnormality according to the distance between the moving pin and the fix pin was confirmed, and a system that improved this could be developed.

ディスクブレーキの引きずりトルク低減に関する考察 （第2報）

井上　卓巳・平嶋　亮雅・宮原　直也・山崎　悠平・清水　貴之・加藤　佑介（アドヴィックス）

ディスクブレーキにおいて燃費・電費に貢献する特性の一つに引きずりトルクがある．
本報告では市街地走行時の引きずりトルク低減を目的に風の流れが引きずりトルクへ与える影響をCFD解析によって定量化し，引きずりトルクの現象解明と予測技術に繋げ，安定的ゼロ引きずりの設計手法を報告する．

Establishment of target aero drag and investment criteria considering vehicle characteristics

WOOKHYUN HAN･KWANG CHAN KO (Hyundai Motor)

The major resistance to vehicle driving energy, known as aero drag, is directly linked to fuel efficiency improvement. To achieve efficient aerodynamic performance development for xEV vehicles with a short history, it is necessary to establish the quantitative relationship between aero drag and fuel efficiency. In this study, we analyze the impact of aero drag reduction on fuel efficiency in internal combustion engines and xEV vehicles. Furthermore, we analyze the aero drag and fuel efficiency effects based on vehicle driving profiles and weights, propose target aero drag, and make decisions on the investment in various aero drag reduction-related items.

Development Of Indoor Lighting Optimization Through Customer Preference Clinic

DAESEON LEE (Hyundai Motor)

As customer demands increase, the design complexity of automobiles increases. Automotive makers have developed design methods using modular architecture method to solve this problem. In this paper, we propose a method to solve design complexity problem using axiom method and matrix visualization method. Axiomatic design is a systems design methodology using design matrix(DM) to analyze the transformation of customer needs into functional requirements, design parameters. We developed the design flow chart using DM(Design Matrix). DSM(Design Structure Matrix), representing linkages of process is also used to reduce the complexity. This approach is applied for vehicle cooling system and show the usefulness of architectural design approach.

格納式ステアリングコラムにおける剛性不足とNVH改善のためのリニアベアリング適応

Herbert Erhardt・Seryas Mohammad・Matthias Beck（SCHAEFFLER Technologies）・湯　文珊（シェフラージャパン）

自動運転技術の進展により，手動運転との切り替えを可能にする格納式ステアリングコラムが求められている．しかし，従来の調整機構では軸方向の可動ストローク拡大により，システム剛性とNVH性能が低下する課題があった．本研究では，予圧式リニアベアリングを適応させ，剛性とNVH性能を従来システムと同等に保つ可能性を検討した．

Seat Comfort Strategy considering High Performance Vehicle Package Factors

Sunwoo Choi (Hyundai Motor)･Peter Classen･Sebastian Schumann･Thomas Schenke･Mert Kocoglu (Hyundai Motor Europe Technical Center)

In high-performance vehicles, the most important factors are acceleration performance and cornering, followed by seat position. Such seat position is the most important factor in vehicle development and is generally developed based on sitting height called H30. In addition, in high-performance vehicles, comfort performance is required, which is different from that of a typical vehicle. The seat comfort engineer should fully understand these two areas to review the package in the preceding stage and the seat specifications in the development stage. In this study, we studied the package factors to be considered when developing high-performance vehicles through benchmarking European competitors and items to maximize seat comfort. Also, Our high-performance car seat comfort has been upgraded to the next level. In addition, the specifications of high-performance seats are reflected in the Catia template to increase work efficiency.

Impact Energy Absorption and Safety Evaluation of Glass Fiber Reinforced Plastic Composite Leaf Springs for Automotive Applications

SOO SIK CHUNG (Hyundai Motor)

Glass fiber reinforced plastic (GFRP) composite leaf springs have gained significant attention as a next-generation automotive component due to their lightweight and durability compared to traditional metal springs. This study evaluated the impact resistance of GFRP leaf springs to confirm their feasibility for real-world vehicle applications, contributing to the development of safer and more efficient vehicles.

A Study on the Multifunctional Protection Bumper cover of Autonomous Driving Sensor

HONGHEUI LEE (Hyundai Motor)

This study examined the roles and functions of front bumper and grill components that have recently been changing to implement electric vehicles and autonomous driving. The development of self-healing and device technologies and sensor transmittance maintenance, which require the development of autonomous driving sensors, have been completed as basic technologies.
By removing parting that could not be implemented before, the integrated design and various patterns and colors were implemented to enhance the marketability of the exterior.
It has established standards for self-restoration of heating wires to maintain self-driving sensor performance and endure extreme environments.

側面衝突事故時の車両の回転挙動を考慮したΔV算出方法の検討

棚瀬　昇・勝間田　静江・安藤　貴裕・長岡　靖（トヨタ自動車）

D-Call Net(AACN)の死亡重症率の計算には，衝突事故の厳しさを示す指標として疑似ΔVが用いられている．疑似ΔVの算出は「衝撃が重心に作用」「車両の回転は伴わない」と前提を置いている．その前提の下では，車体のどの非変形部位でも概ね同じΔVが発生する．よって疑似ΔVを車両データと比較する場合はエアバッグECUのΔVを用いてきたが，前提とずれた事故の場合，一定の誤差が発生し，死亡重症率が正しく見積もれない可能性がある．

深層学習による車両損壊程度の自動検知に関する研究

西本　哲也・久保田　和広・中尾　賢人（日本大学）・本村　友一（日本医科大学）・Martion Elsegood・Sam Doecke・Giulio Ponte（アデレード大学）

日本で発生した交通事故に基づいて深層学習により車両損壊程度を判別する画像認識アルゴリズムを構築した．その検証ために南オーストラリアで収集した700台のEDRデータと車体損傷画像に適用して，実用性を検討した．その結果，破損程度を70％の的中率で瞬時に認識できることが分かった．

How does pre-crash environment affect injury risk? Injury prediction and analysis based on graph neural network

JUNHAO WEI･Yusuke Miyazaki (Institute of Science Tokyo)･Fusako Sato (JARI)

Injury severity in vehicle crashes is influenced by various factors within the pre-crash environment including environment, vehicle and driver attributes, together with other pre-crash attributes. To investigates the relationships among the factors to identify key determinants of injury outcomes, this study employs graph neural network to model complex interactions and dependencies from police-reported tabular database. The analysis reveals critical contributors to injury severity, uncovering relationships among variables in pre-crash environment. These findings provide actionable insights for enhancing traffic safety and developing effective injury prevention strategies.

Investigation of Severe Injury Probability Prediction Models by Body Parts Through Decision Tree-Based Machine Learning Approach

YIMENG MEI･Haruhiro Fukushima･Yusuke Miyazaki (Institute of Science Tokyo)･Fusako Sato (JARI)

Traffic accidents result in countless economic losses and casualties worldwide annually, making reducing casualties in road accidents always been a hot topic in research. In this context, quick and accurate prediction of occupant injury severity in traffic accidents helps emergency services respond more effectively. However, previous research effects have mainly concentrated on predicting overall injury severity rather than looking at injuries to specific body parts, which limits the precision of injury assessment and targeted emergency response. In this study, we aim to develop specific Random Forest-based models to predict injury severity for different body parts, including the head, face, neck, thorax, abdomen, spine, and limbs. These models facilitate the analysis of correlations between various accident risk factors and body part-specific injuries. Furthermore, they enable emergency services to implement more precise and targeted response strategies after accidents happened.

コロナ患者の移送をEV車で実施する際の換気量の研究（その4）

押野　幸一（無）

コロナ患者の移送時には，車室内の換気が重要となる．前報では，車窓の開口高さが小さい場合，その開口高さと換気量の関係を簡易的な手法で明らかにした．ここでは，この手法を実際の車両に適用し，両者の関係を検討した．

Enhancing Vehicle Safety Through AI-based Motion Prediction and Drivable Space Estimation

Emilia Silvas･Robin Smit (TNO (Netherlands Organisation for Applied Scientific Research))･Manuel Munoz Sanchez (Eindhoven University of Technology (TU/e))･Koichi Kawaguchi (TNO Japan)

This paper presents advanced novel (AI-driven) methods for motion prediction and drivable space estimation, crucial for improving Automated Vehicle (AV) safety, comfort, and efficiency. Results from Dutch and European projects showcase techniques to anticipate crossing pedestrians and aggressive vehicle maneuvers, enhancing situational awareness. These efforts provide insights into AI model requirements and safety. Furthermore, we introduce SDS++, a drivable space estimation framework that adapts to dynamic environments using multi-sensor inputs, surpassing traditional methods. Validated with real-world data and simulations, SDS++ integrates with a model predictive control (MPC)-based planner for context-aware trajectory adaptation, significantly improving AV planning and reliability.

車両デザイン検討のための自然言語駆動型3Dデザイン生成技術の研究

片桐　章彦・中川　善和・佐伯　晋・白石　淳・伊藤　修（本田技研工業）

歩行者保護性能を満たしつつ，車両の意匠形状を効率的に検討するための技術を開発した．検索拡張生成技術を活用して，サロゲートモデルを自然言語による対話を通じて呼び出し，3次元のデザイン形状を自動生成するシステムを構築した．この技術により，車両開発初期段階において多数の意匠案の検討を行うことを可能にした．

EU landscape for safety assessment of Connected and Automated Driving

Olaf Op den Camp (TNO)

In the Horizon 2020 and Horizon Europe research and innovation frameworks of the European Commission, large projects have been defined to develop and harmonize methods for the safety assessment and safety assurance of connected and automated mobility systems. The paper will provide an overview of these projects, their results, and their relation with other international initiatives, e.g. in Japan, South-Korea and the USA. This will be put in the context of international regulations and standardization activities.

貨物運送事業における商用電動車の普及に対する課題となる外的要因の調査分析

三好　正太・長谷川　智紀（自動車技術総合機構）

自動車輸送のカーボンニュートラル実現には，商用電動車の利用拡大が重要な課題である．本研究では，広く一般の貨物運送事業者と，電動車を既に利用している事業者の2種の集団に対しアンケートを実施し，電動車やその利用に対する意識を比較することで，商用電動車の普及の課題となる市場，技術等の外的要因を分析した．

低速車両における経路追従制御（第3報）

土屋　査大・Kirill Peljuh（FUTU-RE(フューチャー)）

自動運転低速車両において乗り心地を最適にする旋回経路及び加減速の取り方について考察する．乗り心地の最適化として，旋回中の慣性力変化を最小化することを目標にし，第2報ではそれを実現するための常微分方程式を導いた．
今回は，上記常微分方程式を現実的な条件の下で解くことで実用的な最適経路と速度プロファイルを提案する．

電動小型低速車両(LLV)における加速・減速時の乗員挙動と主観評価

名切　末晴・米川　隆・青木　宏文（名古屋大学）・大庭　裕也・大隅　宗紘・甲斐　学（ヤマハ発動機）

電動小型低速車両(LLV)は，グリーンスローモビリティとして多く利用されている．我々は，LLVを用いて加速および減速時の乗員挙動の計測と主観評価を計測した．その結果，乗員挙動が個人により大きく異なることがわかった．そして，乗員挙動と主観評価から，LLV走行時に留意すべき加速や減速の閾値を把握することができた．

Development of a Container-Based Yocto Build System for an Infotainment SW Platform

Joonhyung Kim (Hyundai Motor)

This paper introduces a Yocto build system configured on a container for building an infotainment SW platform. The introduction raises the issue of directly configuring host environments for various platforms and versions and presents existing approaches to building Yocto on a container and their limitations. The background section briefly introduces the key concepts of Yocto Project and container technology. The main section details the techniques applied to the build system, including a layered structure using base images, managing authentication for accessing private repositories, and connecting Yocto development environments to external resources, as well as a tool for supporting build system.

動的死角がある場面や自転車を追い越す場面での注意深いドライバの運転行動

真鍋　裕輝・児島　亨・北田　幸一・森崎　憲治（自動車技術総合機構）

自動運転車に係る国連規則において，安全性に関しては少なくともCompetent and Careful human driver (C&C driver)と同等であることが求められる．しかし，このうちのCarefulに相当する，注意深い運転行動の定量的な要件は定められていない．本研究では，ドライビングシミュレータを活用し，動的死角がある場面等での注意深いドライバの運転行動を調べた．

実車と没入型ドライビングシミュレータにおける交差点右折時の視認行動の評価

福田　悠人・武井　優人・野尻　日向（群馬大学）・香西　俊彦・岩瀬　勉（群馬大学 / SUBARU）・吉田　壮徹・佐藤　健一（SUBARU）

運転時の視界性能評価に没入型ドライビングシミュレータの活用が期待されているが，実車と同等な視認行動を計測可能かは明らかでない．本稿では実車とシミュレータで交差点右折シーンの運転者の視認行動を計測した．特にピラー周りの遮蔽量の増加に伴う変化に注目し，各運転環境における運転者の視認行動を評価した．

PLATEAU 3D 都市モデルを用いた追突事故防止教育用ドライビングシミュレータの改良

宮崎　恒志（九州産業大学大学院）・合志　和晃・隅田　康明・林　政喜（九州産業大学）・松永　勝也（九州大学）

自動車の追突事故を防止するためには，ドライビングシミュレータ(DS)による追突体験によって，適切な車間距離を維持する教育を行うのが効果的と考えられる．本研究では，PLATEAU 3D都市モデルを用いた追突事故防止教育用DSに，車間距離グラフ表示，および事後確認機能において運転操作のデータを表示するための改良を行った．

ドライバの頭部移動によるミラー視界拡大範囲の分析

細川　崇（日本自動車研究所）・平尾　章成（芝浦工業大学）・五十嵐　智貴（日本自動車工業会）

間接視界装置として，カメラモニタシステムが使用可能となったが，カメラは原則視点が固定されており，一時的な視界範囲の拡大以外は認められていない．一方，ドライバがミラーを確認する際，頭部移動により視点を変化させ，視界範囲を拡大している．本研究は，この拡大量の実態を実車実験により把握し，視界解析を行った．

ペダル踏み間違い発生メカニズムとしての不適切なスキーマと注意欠損の相互作用

下鳥　翔平・齊藤　裕一・伊藤　誠（筑波大学）・佐藤　稔久（産業技術総合研究所）

ドライビングシミュレータで，運転経験が無い大学生に先行車追従課題と副次課題を課した．ペダル操作の習熟が進むなか，踏み間違いが複数観察された．踏み間違いが発生した瞬間と同じ前方状況における過去のペダル操作を分析した．不適切なスキーマの活性化と注意欠損の相互作用が踏み間違いにつながる可能性が示唆された．

飲酒の運転に対する影響評価

山岡　将綺・中村　典雅・山高　大乗・伊藤　隆文（デンソー）

米法規や新車アセス(NCAP)にて，Impaired Driving(アルコールや薬物によって運転能力が落ちた状態)の検知技術搭載が議論されている．基礎検討として，ドライビングシミュレータと実車で飲酒運転のデータを収集し，飲酒運転の傾向分析を行ったので報告する．

潜在リスクに対するドライバの構え行動を促す情報提供

野田　早織・河内　泰司・浜田　康司（株式会社デンソー 先端技術研究所）・金森　等・原田　あすか・田中　貴紘（名古屋大学）

本研究では，交差点接近時の運転行動に応じた情報提供により，ドライバが潜在リスクに対して構え行動をとることで，安全運転を習慣化する手法を検討している．ドライビングシミュレータでの効果検証により，期待する行動の増加が確認され，安全運転への誘導に有効であるとことが示唆された．

駐車支援システムの違和感低減に向けた駐車傾向の個人適合及び操舵アシスト

前田　健太・田代　直之・Swarn Singh Rathour・瀬戸　信治（日立製作所）・都賀　大輔・佐藤　宏樹・高僧　美樹・横山　篤（日立Astemo）

駐車は多くのドライバが苦手意識を持つ運転タスクの一つである一方，駐車を支援する駐車支援システムは不安や違和感による利用率の低さが課題である．本講演では，ドライバ主体の駐車操作アシストであって，力覚アシストで不安感を低減し，ドライバ個人の駐車傾向を適合した規範軌道により違和感を低減する手法を検討する．

自動運転による狭路すれ違いのための対向車進行軌跡予測手法および軌道計画技術の開発

稲葉　龍・今井　正人・土屋　舜太郎・DANIEL GABRIEL（日立製作所）・豊田　英弘・伊藤　哲司・小森谷　佑一・櫻井　諒（日立Astemo）

高速道や一般道に加え，生活道での自動運転実現に向けて開発を行っている．生活道自動運転では，合流やすれ違いシーンなどにおいてV2X通信非対応の車両とも協調が必須となる．本講演では，学習ベースの対向車軌跡予測手法と後退退避を含む軌道計画手法を開発し，生活道を模した環境で実施した実車評価結果を報告する．

機会制約付きモデル予測制御を用いた進路変更可否判断のための軌道生成技術

大倉　優一・富永　健太・北野　弘明（三菱電機）

将来のばらつきを考慮した軌道生成により進路変更の可否判断性能を向上することを目的とする．モデル予測制御による軌道生成において，機会制約として他車両との距離を確保できる確率に制約を課す手法を提案する．他車挙動のばらつきが大きい合流シーンにおいて合流成功率が30%向上した．また，実車に適用して性能評価した．

石油連盟－日本自動車工業会間のCO2低減に関する共同研究（AOIプロジェクト）について
-（第3報）-

菅野　秀昭・金子　タカシ（ENEOS）・小代　寛範（出光興産）・佐野　貴司（いすゞ自動車）・菊池　勉（日産自動車）・林　倫・山口　勝彦（トヨタ自動車）

石油連盟と一般社団法人日本自動車工業会は，2030年頃の市場を見据えて，ガソリン車およびディーゼル車に搭載見込まれる将来エンジンの燃焼方法と将来の燃料種の組合せの最適化によるCO2削減を目指した共同研究（呼称AOIプロジェクト）を実施している．本報では2020年から2024年にかけて実施し得られた成果をまとめて報告する．

AOIプロジェクト燃料を使った希釈・希薄燃焼時のWLTC走行時の車両燃費予測

森吉　泰生・徐　福国・王　志遠・窪山　達也（千葉大学）・田中　光太郎（茨城大学）

本研究では単気筒エンジンを用いてオレフィン系燃料とドロップイン燃料の評価を行った．EGRや空気を0から最大値まで加えて安定燃焼できる範囲で熱効率を評価した．
次に，4種類の乗用車（軽自動車N/A，軽自動車T/C，シリーズHV，パラレルHV）について，燃料を変更した場合の燃費を予測した．その結果，EGRや空気量を多くしても安定して燃焼するオレフィン系燃料や，オクタン価を向上させる含酸素バイオ燃料を追加することで，燃費性能が向上することが分かった．特に，特定の負荷やエンジン回転数条件で運転するシリーズハイブリッド（HV）車において，燃費改善率が顕著に現れることが分かった．

ペンテン，エタノール，イソオクタン予混合乱流火炎の伝播特性

前山　紘史・片岡　嵩都・吉川　友梧・Ekenechukwu Chijioke Okafor・北川　敏明（九州大学）

ペンテン，エタノール，イソオクタンを用いて，軽質オレフィン，アルコール，パラフィンの化学量論及び希薄燃焼時の乱流火炎伝播，消炎特性を，定容燃焼装置による実験により調べた．ペンテンは乱流燃焼速度が他の燃料に比べ大きく，希薄燃焼においては他の燃料が消炎する乱れ強さにおいても消炎しなかった．

エタノール着火抑制作用のベース燃料依存性に関する衝撃波管研究

浜崎　智大・里川　健・平井　涼平・杉浦　里玖（上智大学大学院）・高橋　和夫（上智大学）・三好　明（広島大学大学院）

エタノールはバイオ燃料としてだけでなく，オクタン価向上剤としても高い性能をもつ．我々は衝撃波管実験により，成分の異なるベース燃料にエタノールを添加すると，エタノールの着火抑制効果に違いが生じることを見出した．反応シミュレーションにより，エタノールと各ベース燃料成分との化学的相互作用を検討した．

含酸素燃料を添加した軽質オレフィンを含むガソリンサロゲート燃料の層流燃焼速度

伊藤　祐槻・増井　健斗・水谷　太久（大阪公立大学）・川西　風冴（大阪府立大学）・片岡　秀文・瀬川　大資（大阪公立大学）

軽質オレフィンを含むガソリンサロゲート燃料およびそのガソリンサロゲート燃料に含酸素燃料を添加した燃料の層流燃焼速度を球形容器法を用いて計測した．その結果，燃料中の1-ペンテンの含有量が増加すると層流燃焼速度は速くなった．また，エタノールを添加すると層流燃焼速度は速くなる傾向にあり，ETBEを添加すると層流燃焼速度は遅くなった．

パラフィン系燃料を用いた燃料性状の大型圧縮着火エンジンの燃焼および排出ガス特性に及ぼす影響

辛　秉柱・篠崎　俊秋・内田　登（新エィシーイー）

燃料性状を適切に選ぶことで，既存軽油よりも熱効率や排出ガス性能の改善が期待できる．しかし燃料性状は独立に変更する事は困難なため，各燃料性状の燃焼に及ぼす影響や改善の寄与度は充分に解明されていない．本研究では，異なる性状のパラフィン系燃料の燃焼特性および排気性能を調査し燃焼変化メカニズムを考察した．

電気自動車の導入に伴うO3とPM2.5の地表面濃度への影響
-ヒートアイランド緩和効果の重要性とヒト健康リスク評価-

秦　寛夫・水嶋　教文（産業技術総合研究所）・井原　智彦（東京大学大学院）

電気自動車を国内関東に導入した場合の，人工排熱・ヒートアイランド現象緩和効果を試算し，さらに大気中の有害な二次生成物質である対流圏オゾンと微小粒子状物質濃度への影響を評価した．オゾンと微小粒子状物質濃度の変化がヒトの早期死亡者数に与える影響を算出することでリスク評価を行った．

自動車給油時における燃料タンク内圧が空気巻き込み現象に与える影響とその算出モデル

横山　昇太・岩川　季樹・山口　慶喜・Juan C. Gonzalez Palencia・荒木　幹也（群馬大学大学院理工学府）

自動車給油中，フィラーパイプ入口で燃料流により空気が巻き込まれる．本研究では水を用いた給油模擬実験を行い，LIFでフィラーパイプ内混相流を可視化した．その結果，噴霧流と液膜流が確認された．また，巻き込み空気流量算出は液滴の圧力抵抗によるモデルと液膜の摩擦抵抗によるモデルで表すことができた．

コールドスタート排出ガス規制対応重量車からのPN排出挙動

大島　夏瑞・山田　裕之（東京電機大学）・今野　秀徳（東計エンジニアリング）・佐藤　厚・岡部　順・城　陽也（数理計画）

冷態始動モードでの排出ガス測定が導入された、平成28年規制に適合した重量車からのSPN23、SPN10および規制ガスの排出挙動を複数の車両を用いてシャーシダイナモで評価した。すべての車両の共通の傾向として指導直後のNOx増加、高速モードでのSPN10の増加という2点が確認された。

Brake Emission Reduction Approaches under the impact of EU7

Christof Danner (AVL List GmbH Graz)･Kinzo Takahashi･Toru Nishizawa (AVL Japan K.K.)

The Euro 7 regulations emphasize non-exhaust emissions, particularly brake emissions, under the Global Technical Regulation (GTR) 24 framework. With a stringent limit of 7 mg/km/vehicle for passenger cars and light commercial vehicles, current systems often fail to comply without regenerative braking. Challenges include measurement inaccuracies, evolving standards, and integrating reduction factors for electrification. Early solutions like brake disc coating and brake dust filters are in development, alongside plans for In-Service Conformity (ISC) and Real-Driving Emissions (RDE) testing. Manufacturers face pressure to innovate brake systems, balancing performance, comfort and emissions reduction through new materials, technologies, and testing methods.

欧州新規制に対応した非排気ブレーキ粒子エミッション計測システムの開発

近藤　謙次（HORIBA Europe GmbH）

規制強化によって自動車からの排ガス排出量が大幅に低減してきた一方で，非排気のブレーキ摩耗粒子の排出割合が注目されている．そこで，Euro 7では，ブレーキ摩耗粒子の排出規制が導入される．本稿では，欧州新規制に対応したブレーキ摩耗粒子測定システムの計測技術について報告する．

A simulative investigation for transient engine development involving methanol and ammonia fuel blends

Bhawandeep Sharma･Madan Kumar (Guangdong Technion Israel Institute of Technology)

Transient operated vehicles have significantly contributed to higher GHG emissions due to combustion complexity. Considering this challenge, renewable fuels such as methanol and ammonia are studied in transient conditions. The work includes comprehensive experimental and numerical analysis of methanol-ammonia blends for genset engine. The analysis focuses on the performance, combustion and emissions by tuning load, injection timing, spark timing, and blend ratio. Results indicate that increasing ammonia in the fuels increases indicated efficiency. Moreover, more ammonia percentage in the fuels leads to decrement in NOx and CO2. However, BSFC and combustion duration increased due to slow combustion properties of ammonia.

エタノール含有燃料を用いた要素技術開発

中山　智裕・高橋　賢羽・清野　高央・伊藤　佑樹・志岐　昌美・岩下　亮・松岡　祥平（SUBARU）

エタノール含有燃料(E30以上)を用いて，出力・排ガスなどの燃種特性や信頼性について実機検証した結果と課題，対応方法について述べる．

リアルタイム燃料改質を用いた副室式希薄ガソリン燃焼システムの多気筒実証

金子　誠（千葉大学）・山田　敏生（㈱サステナブル・エンジン・リサーチセンター）・窪山　達也・森吉　泰生（千葉大学）

前報において，改質ガスを予め作成し高圧ボンベからの副室燃料供給とS/C過給の単気筒にて低NOx高効率燃焼を実証した．本報では，加熱暖機の工夫で制御性を高めたリアルタイム燃料改質器を4気筒に組み込み，システムの実現性を検討した．1D シミュレーションのシステム検討により，小型ターボ単段でも成立することを確認した．

小型2ストローク対向ピストン型パワーユニットの研究

飯島　晃良（日本大学）・山崎　良明・劉　金茹・福島　惇平・大滝　夕介（日本大学大学院）・大川原　育未・渡邊　操（日本大学）

電動パワートレイン用の内燃機関では，高い出力密度，高い熱効率，低い振動騒音特性が求められる．そのような特性を実現し得るエンジンとして，2ストローク対向ピストンエンジンに着目した．本研究では，対向ピストンエンジンを試作し，その基本的燃焼特性を調べた結果を報告する．

液体合成燃料およびOMEの燃焼における熱効率向上とスモーク低減を図るためのインジェクターの最適化

蒋　子健・田中　柊輔・山本　寛也・柴田　元・小川　英之（北海道大学工学院）

OMEはGTLより低位発熱量が低いため同一負荷では噴射量が増え，熱効率が低下する．本研究では，噴孔径および噴孔数をパラメータに同一噴射期間で同一熱量を供給できるOME用及びGTL用のインジェクターを選定し，定容燃焼容器により噴霧干渉部で生成するスモークを定量化しエンジン試験により熱効率および排出ガス性能を評価した．

Influence of the oil formulation on the oil consumption mechanisms and the emission behavior of hydrogen combustion engines

Marcus Gohl･Robert Wulff･Mathias Braun (APL Automobil-Prueftechnik Landau GmbH)･Pierre Chapelot･Peter Scholl (TotalEnergies Lubrifiants SA)･Michael Guenthner･Thorsten Fuchs･Philipp Emanuel Jung (Rheinland-Pfaelzische Technische Universitaet)

Decarbonizing transport is a key goal for governments and industry, driving innovation in powertrain technologies. Hydrogen combustion engines have emerged as a promising solution for applications ranging from heavy-duty vehicles to two-wheelers. However, hydrogens unique properties pose challenges for engine lubrication, requiring tailored formulations to address pre-ignition, particulate emissions, water contamination, and wear protection. This study explores the impact of base oil types and additives on oil consumption mechanisms and particulate emissions. Results from medium-duty truck engine tests highlight key strategies to optimize lubricants and support hydrogen engine development.

軽油組成や蒸留性状がPM生成に及ぼす影響に関する実験的検討

香取　広平・長谷川　勉・瀬尾　昌裕・髙橋　剛（出光興産）

近年，ディーゼル車用燃料の軽油は分解系基材の利用拡大を図った生産が望まれている．分解系基材は芳香族分が多くPM生成量が増える要因となるため，軽質化などの対応策が必要となる．そこでPM生成量に与える芳香族炭化水素成分や蒸留性状を変化させた燃料系によりPM生成量を求め，それぞれの因子の寄与度を定量化した．

ディーゼル代替アルコール拡散燃焼技術（第1報）
-着火手段の比較および最小火種要件-

冬頭　孝之・福井　健二・政所　良行・植田　玲子・西川　一明・近藤　照明・脇坂　佳史（豊田中央研究所）

メタノールなどのアルコール燃料は重量車での拡散燃焼用代替燃料となり得る．本研究ではメタノールの着火手段を文献調査し，軽油パイロット点火が最もロバストであることを見出し，筒内可視化で最小火種要件を特定した．更にメタノール単一燃料での拡散燃焼法としてパイロット火花点火・メイン拡散燃焼技術を提案した．

ディーゼル代替アルコール拡散燃焼技術（第2報）
-メタノール単一燃料によるパイロット点火・メイン拡散燃焼-

福井　健二・政所　良行・植田　玲子・西川　一明・近藤　照明・脇坂　佳史・冬頭　孝之（豊田中央研究所）

メタノール単一燃料での拡散燃焼技術として前報で提案したパイロット火花点火・メイン拡散燃焼技術を筒内可視化で実証した．パイロット噴霧の火花点火後，スワール方向の火炎伝播と共に電極での保炎によって火種を形成する．点火後のパイロット追加による火種拡張により全ての噴霧を噴射期間中に着火できることを確認した．

吸気バルブデポジットに影響するガソリン成分の特定

戸邊　祥太（SUBARU）・Henry Du（Lubrizol Management）

吸気バルブデポジット（IVD）の影響はマルチポートインジェクション（MPI）の際に研究がされていたが，直噴インジェクション（DI）になっても吸気系への燃料吹き返しによる影響が確認されている．カーボンニュートラル燃料（CNF）など，今までと製造手法が異なるガソリンが使われる際にIVDへの影響が課題となる可能性がある．その背反影響の確認には膨大な工数がかかってしまう為，エンジン環境を模擬した影響確認手法が注目されている．本研究では中国GB規格（GB 19592-2004）で設定されているL2型ガソリンエンジンにおける吸気バルブ中のデポジット模擬試験装置（L2-simulater）を活用し，IDVに影響するガソリン成分の特定を試みたので，その結果を報告する．

ウルトラファインバブルを含むエンジン油がピストン系摩擦損失低減に与える効果
-シリンダボア面性状及び潤滑油の粘度変化と摩擦低減の関係-

堀場　海（東京都市大学大学院）・三原　雄司（東京都市大学 総合研究所 HEET）・星野　秀介・岩田　拓実（東京都市大学大学院）・及川　昌訓（東京都市大学 総合研究所 HEET）

ピストン・シリンダ間の摩擦特性に関して，超微細孔式法によりエンジン油内に発生させたナノスケールのバブルが摩擦仕事に及ぼす影響を，浮動ライナーエンジンによる摩擦力測定により調べた．本研究では特にシリンダーホーニング仕様とオイル粘度を変化させることで，摩擦低減効果との関係性を検証した．

ウルトラファインバブルを含むエンジン油がエンジン軸受の摩擦低減に与える効果
-発生密度およびオイル粘度の影響-

星野　秀介・堀場　海・岩田　拓実（東京都市大学大学院）・及川　昌訓・三原　雄司（東京都市大学 総合研究所 HEET）

エンジン油内に発生させたウルトラファインバブルが，クランクジャーナルとすべり軸受間の摩擦特性に与える影響をエンジン軸受試験機により検証した．本研究ではエンジン油中のウルトラファインバブル密度とオイル粘度が，摩擦低減効果に与える影響を調査した．

ピストンスカート形状が摺動部の油膜体積におよぼす影響

石川　泰裕・又吉　琉翔・伊東　明美（東京都市大学）・山下　健一（いすゞ中央研究所）

数値解析を用いたピストンの潤滑性能の予測を行う上で，当該部への潤滑油供給メカニズムの解明は重要な課題である．本研究では，ピストンの各設計諸元が潤滑油供給におよぼす影響の解明を目的とし，可視化単気筒エンジンを用いて供給油量と相関が高い油膜体積を計測し，スカート形状と油膜体積の関係を明らかにした

水素エンジンにおいて乳化したエンジンオイルの水分蒸発特性に関する研究

伊東　明美・本宮　一稀・檜山　大輔・市村　凌裕（東京都市大学）

水素エンジンは既存エンジンより水分発生量が多く，冬季の車両走行時にはオイル乳化が生じる事，また油中水分量と油温が露点を上回る時間の間に相関がみられることを既報にて示した．本報では単体試験により乳化したオイルから水分が蒸発するために必要な時間や温度等について調査した結果を報告する．

再精製基油を用いた自動車用低粘度省燃費エンジン油の検討

渡部　裕太・佐川　琢円・羽生田　清・大塚　彩乃（シェルルブリカンツジャパン）

気候変動対策として自動車業界ではCO2削減が求められており，低粘度省燃費エンジン油の導入が進められている．一方，世界各国で使用済み潤滑油のリサイクルにより得られる再精製基油が採用されている．今回，再精製基油を用いた自動車用省燃費エンジン油の評価結果について報告する．

省燃費フラット粘度オイル JASO GLV-2油 0W-16の開発

奈良　俊佑・須藤　淳一・山守　一雄・植松　裕太・平野　聡伺・石崎　超矢・玉野　篤央（トヨタ自動車）・江龍　翔瑚・加藤　悠志（ENEOS株式会社）

カーボンニュートラル達成には，CO2排出削減および燃費向上が重要．
低粘度基油と粘度指数向上剤の改良により，低中温域での燃費向上と，高温域での信頼性を両立した省燃費フラット粘度オイルを開発．
新エンジンオイル品質規格のJASO GLV-2にも適合し，新車と既販車両方のCO2削減への貢献が期待される．

低粘度EVフルードにおける添加剤の変質と摩擦特性の関係

沼田　俊充・荒木　祥和・藤井　由利子・中村　清隆（日産アーク）

本研究ではISOT試験で酸化劣化させた低粘度EVフルードをLC-MSやIR，GC-MSで分析し，添加剤の変質について調査した．
併せてボールオンディスク型摩擦試験機による摩擦特性評価を行い，TOF-SIMS，AESによる摺動面の分析を行った結果を紹介する．

デジタル認証やカーボンニュートラルへの支援技術
-デジタル認証プロトコルにおけるシミュレーション・セットアップ-

加藤　利次（同志社大学）・辻　公壽（(株)デジタルツインズ）・齋藤　恒洋（AGC(株)）・岡村　昌浩（(株)JSOL）

デジタル認証におけるプロトコルには，用いるシミュレーション手法や条件は結果に影響を与えるために明確に規定されなければならない．そのため満たされるべきシミュレーション条件について，その数値計算原理に基づいて解説する．

デジタルツインによるバーチャルテストとそれを用いたデジタル認証への取り組みII
-包括的CO2削減と新たなものづくりの仕組み-

辻　公壽（デジタルツインズ）・加藤　利次（同志社大学）・齊藤　恒洋（AGC）・岡村　昌浩（株式会社 JSOL）

ものづくりにおいては現物試験による認証は，再現性や条件の多様性から限界を迎えている．そこで，本稿ではバーチャルテストによる認証を目指した取り組みとして，2030に施行されるオフサイクルクレジットへの応用及び車両性能開発が可能なEV車両全体モデルをツールとし　デジタル認証に向けた取り組みを紹介する.

暗号化ハッシュ関数を用いたモデルトレーサビリティーに関する検討と提案

岡村　昌浩（JSOL）・辻　公壽（デジタルツインズ）・齊藤　恒洋（AGC）・野山　英人（三菱重工サーマルシステムズ）・加藤　利次（同志社大学）

CO2におけるOCC（オフサイクルクレジット）においてシミュレーションモデルを用いたデジタル認証を行うにあたり重要となるモデルや結果のトレーサビリティーに関し、暗号学的ハッシュ関数を用いた検証事例を報告する。

EV車両モデルを用いた自動車ガラスのOCCに関する検討と提案（第2報）
-EVキャビン熱モデルによるデジタル認証プロトコルのPOC-

齊藤　恒洋（AGC）・野山　英人（三菱重工サーマルシステムズ）・岡村　昌浩（JSOL）・辻　公壽（デジタルツインズ）・加藤　利次（同志社大学）

CO2の重要なクレジット規制としてOCC（オフサイクルクレジット）がある．第1報ではEVキャビン熱モデルを用いたOCCの検討結果を報告した．第2報では，EVキャビン熱モデルを用いたデジタル認証プロトコルのPOCとして，EVの年間CO2排出量のシミュレーションを行ったので報告する．

電動化車両における，インバータ，モータの各設計変更に伴うCN（Carbon Neutral）の相互影響予測

岩月　健（アイシン）・有本　志峰（日立Astemo）・辻　公壽（デジタルツインズ）

気候変動の深刻化に伴い，CO2は世界の取組む大きな課題となっている．先の開発したモデルを更新し，製品開発に伴うCO2の可視化と削減の取組みを検討した．電動化車両の，インバータやモータの設計変更に伴う相互影響を紹介する．本モデルは，秘匿性が高い為，クラウド上で他社協業による幅広いCO2削減可能性を確認した

マルチツールをオンライン連成するCo-Simulation環境の構築（第6報）
-機械学習を用いた1Dサーマルプラントモデルのサロゲートモデル構築-

緒方　健一郎・小出　景二郎・高畑　智規・田中　浩平・渡部　一晃（本田技研工業）

高効率な車両開発プロセスを遂行するための重要技術としてMBDが挙げられる．しかしながら，開発進展に伴いモデル詳細度が高まるため，計算コストの増大する．本研究は，サーマルプラントモデルを代替する勾配ブースティング回帰木アルゴリズムを用いた機械学習モデルを構築し，高い予測精度と計算時間短縮を実現した．

エレメカ連成1Dモデルを用いたTier1，Tier2サプライヤの連携による回路解析手法の精度検証

稲葉　雅司（デンソー）・中溝　裕己（東京科学大学）・上田　雅生（シーメンス）・江上　孝夫（ACテクノロジーズ）・池田　佳子（東芝デバイス&ストレージ）・向山　大索（ルビコン）・有賀　善紀（コーア）・土方　亘・藤田　英明（東京科学大学）・篠田　卓也（デンソー）

近年，ECU開発期間短縮が求められ，エレメカ連成1Dモデルが注目されている．昨年は，企業間で共有したモデルを用いてアクチュエータ駆動回路の動作解析とECU発熱量をシミュレーションで算出した．今年は，その結果を基に実際に基板を作成して実験結果とシミュレーションの一致性について確認を行った．

MBDを利用した放熱材料配置のロバスト設計の精度検証

橋本　一成（デンソー）・安井　龍太（東京科学大学）・稲葉　雅司（デンソー）・江上　孝夫（ACテクノロジーズ）・池田　佳子（東芝デバイス＆テクノロジーズ）・有賀　善紀（KOA）・向山　大索（ルビコン）・上田　雅生（シーメンス）・伏信　一慶（東京科学大学）・篠田　卓也（デンソー）

近年の技術革新の加速に伴いCAEの使いこなしによる開発期間の短縮化が期待される．
昨年提案した回路素子とアクチュエータを1Dモデルとして回路解析する手法と伝熱解析，最適化アルゴリズムの連成解析手法について，解析結果と実験結果の一致性において検証した．

低温でのアクチュエータ駆動実機評価 - アルミ電解コンデンサ低温特性の影響調査 -

向山　大索（ルビコン）・稲葉　雅司（デンソー）・上田　雅生（シーメンス）・有賀　善紀（KOA）・池田　佳子（東芝デバイス＆ストレージ）・江上　孝夫（ACテクノロジーズ）・橋本　一成（デンソー）・城ノ口　秀樹（名古屋工業大学）・山本　真義（名古屋大学）・篠田　卓也（デンソー）

前回は精密なアクチュエータモデルと低温特性を再現したアルミ電解コンデンサモデルを用いてシミュレーションを行い，低温環境でのアクチュエータ制御への影響について考察した．今回，実機を製作し低温環境で駆動しシミュレーションと同様の現象が再現できるかなどの確認を行ったので，これについて報告する．

MBDによるTier1, Tier2連携のための抵抗器及び基板モデリング

有賀　善紀（KOA）・稲葉　雅司（デンソー）・上田　雅生（シーメンス）・向山　大索（ルビコン）・中溝　裕己（東京科学大学）・武井　春樹（シーメンス）・江上　孝夫（ACテクノロジーズ）・池田　佳子（東芝デバイスアンドストレージ）・城ノ口　秀樹（名古屋工業大学）・篠田　卓也（デンソー）

小型・高機能化が進む車載電装機器の熱設計では，半導体以外の周辺回路の部品（抵抗・コンデンサ等）にも考慮が必要である．本報告では，Tier1,Tier2のWGメンバで共有されたアクチュエータ駆動回路の1Dモデル（機械・電気回路・熱連成モデル）について，使用される抵抗器と基板のモデル化について検討する．

Tier1, Tier2間のMBD連携の為の半導体モデル精度の影響とアクチュエーター駆動回路動作への適用検討

池田　佳子（東芝デバイス＆ストレージ）・江上　孝夫（ACテクノロジーズ株式会社）・稲葉　雅司・篠田　卓也・橋本　一成（デンソー）・上田　雅生（シーメンス）・向山　大索（ルビコン）・有賀　善紀（KOA）・城ノ口　秀樹（名古屋工業大学）

車載電装機器におけるMBDやフロントローディングにおいて半導体モデル精度は重要となる．前回報告したMOSFETの高精度SpiceモデルやゲートドライバICの高精度モデルを用いてモデル精度の影響およびアクチュエータ駆動回路動作への適用検討を行う．

社会と技術の関係から技術者倫理を再定義する

三木　則尚（慶應義塾大学理工学部機械工学科）

技術が社会に与えるインパクトが格段に大きくなった今、技術者倫理は社会との関係という文脈の中で再定義されなくてはならない。かつその議論は、変革する社会に追従するのではなく、望ましい社会をデザインし、先回りする必要がある。本講演では、具体例と多分に私見を用いて、技術者倫理、社会について議論する。

シナリオを用いた自律走行車におけるマイクロ倫理の特性

伊藤　昌夫（ニルソフトウェア）

自律走行車の安全を担保するためには，含む自律的に動作する多数のエージェントとの関係を考えなくてはならない．その関係を明らかにする方法の一つとして微小倫理という概念を我々は用いる．しかし，その特性を明確に示すことは一般に困難であり，本論ではISO 34502等に示されるテストシナリオを材料として，明確化を試みる．

交通事故統計データからみた一般道路における高速暴走事故の危険運転性の評価
-高速暴走車両の人身傷害への危険性の交通事故統計データによる推測-

関根　康史（福山大学）

衝突事故において，事故を起こした際の速度は，自動車乗員や歩行者の死亡重傷者率のような人身傷害程度を決定付ける重要な要因である．本報では，交通事故統計データから，自動車の速度と死亡重傷者率の関係の近似式を求めることにより，制限速度を大幅に超える速度で起こした事故の危険性を明らかにすることを試みた．

運転者の認知能力に応じた支援コンセプトの導出

道田　奈々江・本田　正徳・鈴木　邦典・山崎　陽・岡田　健太・大林　弘宗（マツダ）

900名超がディスプレイ画面に表示した自動車の右折シーンを用いた空間認知課題と，ストループ課題による測定に参加した．各課題の成績により分類した4つの群別に，選択式アンケート結果から，運転の苦手シーンとその苦手理由について因果解析を行うことで，能力タイプに応じた支援コンセプトを検討した．

自動二輪車の排ガスに含まれる二酸化炭素の直接回収技術に関する研究

平尾　桃菜・植西　徹（北見工業大学）

本研究では，自動二輪車の排ガスから二酸化炭素を直接回収するシステムの実現性を検討した．市販の2気筒ガソリンエンジンを搭載した自動二輪車のテールパイプから二酸化炭素を回収する装置を構築し，性能を評価した．自動二輪車の排ガス組成を模擬した固定床流通装置の回収性能と比較し，システム開発指針を明確にした．

車載カーボンリサイクル技術に関する研究

植西　徹・平尾　桃菜（北見工業大学）

本研究では，自動二輪車から二酸化炭素を回収し，燃料に変換・活用するシステムの実現性を検討した．自動二輪車のテールパイプから二酸化炭素を回収し，燃料に変換するシステムのプラントモデルを構築し，固定床流通装置を用いて，モデルを同定した．構築したモデルを用いて，性能評価し，システム開発指針を明確にした．

物理吸着法によるエンジン排気からのCO₂分離・回収
-ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの排気特性の違いがCO₂の吸着・脱離特性に及ぼす影響-

野内　忠則（静岡理工科大学）

物理吸着法によるエンジン排気CO₂の分離・回収を検討している．本技術はガソリン又はディーゼルエンジンへの適用が想定されるが，両エンジンは排気特性が異なるため，CO₂回収性能も異なる可能性がある．今回，ガソリンとディーゼルエンジンを用いて，両者の排気特性の違いが，CO₂の吸着・脱離特性に及ぼす影響を検討した．

プラズマとHC吸着材を用いた排ガス後処理システムの開発

島村　遼一・玉木　竜太郎・松田　千尋・今西　孝昌・間所　和彦・内藤　一哉・江原　達哉（ダイハツ工業）・小川　亮一・篠崎　哲也・伊藤　実（キャタラー）

プラズマとHC吸着材を用い，PN・HCを連続除去する後処理システムを開発している．本開発では，電動化による排ガス温度低下や搭載スペースの制約が増える中で，超小型かつ温度依存性の低い技術を追求した．車載かつ低温条件下でのPN・HC除去性能など，RDEも踏まえた実環境への適用性について報告する．

三元触媒ポーラス粒子メンブレンフィルターにおける分子拡散による反応促進機構

渡邉　摩理子（上智大学）・花村　克悟（科学技術振興機構）

単一の三元触媒ポーラス粒子における構造体内部の分子拡散を考慮し，単一粒子およびそれらを高空隙率にて積層したメンブレン層について，流動場および分子拡散軌跡を明らかにしつつ，ポーラス構造が反応促進に及ぼす影響を数値シミュレーションにより検討した．

車両シミュレーションに適用するDPFモデルの開発とDPF再生制御の検討（第2報）

長谷川　堅大（東京電機大学大学院）・水嶋　教文（産業技術総合研究所）・木村　汰知（東京電機大学大学院）・山田　裕之（東京電機大学）

既報にて車両モデルに適用可能なディーゼルパティキュレートフィルタ（DPF）モデルを開発した.本報では，DPF入口の排出ガス温度挙動をより正確に予測するための簡易的なターボチャージャ，酸化触媒（DOC）の熱モデルを新たに構築・実装し，各種DPF再生方法がポスト噴射量に及ぼす影響を調査した．

Modeling of gasoline particulate filters with combined use of membrane and catalyst coatings

Grigorios Koltsakis (Aristrotle University Thessaloniki)･Elias Mylonidis･Dimitrios Karamitros (Emisia SA)

The combination of a non-active membrane with a catalytically active coating could maximize the filtration efficiency potential of gasoline particulate filters. The paper addresses the challenges for optimum design and application of such a concept. A physics-based model is initially calibrated vs engine bench experimental data from both membrane and catalytically coated filters. The internal morphology of each filter is obtained by optical techniques and used as input to the model. The validated model is then applied to virtually benchmark alternative designs considering PM/PN filtration efficiency, soot oxidation, ash impact and emissions during filter regeneration.

Development of optimized GPF performances based on GPF Model

Sungmu Choi･Jiho Cho･Hyungjun Kim･Sangmin Lee (Hyundai Motor)

Models of GPF were developed and used to find optimal GPF. At first, coated GPF and membrane GPF were considered. Coated GPF has lower PN filteration efficiency and higher soot regenerability. To increase PN filteration efficiency, removing crack and reducing mean pore size of washcoat on GPF are proposed based on simulation results. PN filteration efficiency of coated GPF was improved to meet with higher soot regenerability. In case of membrane GPF, it has higher PN filteration efficiency and lower soot regenerability. To enhance its soot regenerability, additional coating on membrane GPF was considered, it is called hybrid GPF. The amount of coating on membrane GPF must be optimized in view of soot regenerability and pressure drop. Based on hybrid GPF model, 25g/L~50g/L coating amount was proposed to get effective soot regenerability with allowable pressure drop increase.

2-D Numerical Modeling on the Urea SCR Catalyst Installed in a Diesel Engine

Fuka Yoshida･Jin Kusaka (Waseda University)

Urea selective catalytic reduction (SCR) system is a promising technique to reduce NOx emission from Diesel engines by injecting urea water in front of the catalyst. For numerical modeling on the Cu-CHA catalyst, 31 surface reactions including 5 active sites coupled with the reaction of urea thermal- and hydro-decompositions have been constructed. Moreover, to estimate boundary conditions for simulations, the temperature distributions are measured in the radius direction in front of the SCR catalyst. The results of the numerical simulation constructed have reasonable agreement with the engine test results with consideration of reaction paths and surface chemical species.

An Optimal Development of dual SCR system for Heavy duty Diesel Engine using Genetic Algorithm

Jiho Cho･Sung Moo Choi･Hyung Jun Kim･Sang Min Lee･Dong Min Hwang (Hyundai Motor)

In this study, a predictive model-based SCR control optimization technique using a genetic algorithm is suggested and developed to minimize the development effort of DCU (Dosing Control Unit) mapping especially for cc_SCR system. This technique is an optimization method that automatically finds the cc_SCR control mapping that satisfies the target NOx emission and NH3 slip level in a short time using a genetic algorithm for an integrated prediction model consisting of a DCU model and a catalytic reaction model. By using this technique, it is possible to reduce calibration effort of the cc_SCR system and ensure the robustness of emission controls.

PIV-DDMを用いた尿素SCRシステムにおける噴霧液滴挙動のシミュレーションと性能予測

奈良　祥太朗・竹内　那智・小野　丈・川本　裕樹・福島　直哉・落合　成行・野原　徹雄（東海大学）

尿素SCRシステムの管内流動挙動の把握は排ガスの浄化性能を予測する上で重要である．
本研究はCFD（Computational Fluid Dynamics）で流れ場計算を行わずにPIV(Particle Image Velocimetry)- DDM(Discrete Droplet Model)という手法を用いて， PIV速度分布をベースに管内流動挙動の再現を試みた．排気管内を模擬した実験との比較では液滴分布の傾向が一致する事を確認した．その成果について報告する．

双方向電源システムを活用した車載バッテリ耐久性評価に関する効率的な試験方法の開発

高橋　利道（明電舎）・風見　泰希（菊水電子工業）

小型車および重量車の車載バッテリ耐久性評価について国際連合で議論がされている．車両開発や市場における車載バッテリ耐久性評価は，車両を改造しない状態で効率的な試験方法の実現が望まれている．試験方法の一つとして，連続的に充電および放電が可能な双方向電源システムを活用し，小型車を用いて評価した．

車両に搭載された駆動用バッテリーにおける内部抵抗測定手法の評価

森　匠・寺西　望（日置電機株式会社）・高橋　利道（明電舎）

EVの性能や安全性の検査技術として，EV駆動用電池パックの電気特性を実測・評価する手法を確立し，標準化していくことが重要である．本研究では，EVに搭載された状態の電池パックのインピーダンス/内部抵抗を測定する複数の手法を評価した．実験および複数手法の比較検討の結果を報告し，より適切かつ汎用性が高い手法を提案する．

点火時期を遅角した場合の質量燃焼割合50%クランク角度と指圧波形中の低次周波数成分との関係

長島　慶一（本田技術研究所）・土屋　一雄（明治大学）

機関保護や排気触媒早期活性目的で点火遅角すると，2山指圧波形になることがある．このような2山波形でも，質量燃焼割合50%クランク角度と低次sin成分振幅bkには相関性が確認できた.またこの場合，bkが負となることがあるが，bk算出式中のsin波部分が負になる時期の圧力が高いことで生じる．

直噴ガソリンエンジンの冷間および希釈希薄燃焼における予混合乱流火炎の消炎挙動

加藤　真亮・椎名　義朗・津田　雄史（SUBARU）

実働中の直噴ガソリンエンジン内で, 冷間を含む運転条件下において生じる希釈希薄燃焼限界付近の火炎伝播中の消炎挙動を計測. 同時計測された排気バルブ直下の高速HC計測結果と対比する事で筒内流動制御と各失火消炎挙動との関係性を明らかにする. また予混合乱流火炎画像に基づく乱流燃焼速度解析と筒内の熱力学的解析から反応凍結に至る消炎挙動について考察を行った.

Euro 7 OBM and solutions to on-board emissions assessment

Scott Savage･Ian Short (None)

Light-duty Euro7 on-board monitoring (OBM) is mandated from November 2026. Processing of raw emissions and trip data will be performed off-board by the EU to determine in-use emissions performance for vehicle types, guiding targeted ISC and Market Surveillance testing. On-board evaluation of NOx and PM emissions are required at an individual vehicle level. Manufacturers will need to develop strategies to detect when a vehicle may be incapable of passing an ISC test. This paper provides a concise summary of OBM requirements for Euro7 and presents Ricardo's approach to OBM, including solutions to allow on-board emissions compliance evaluation.

Analysis of Real Driving Emissions Measurements During Adverse Weather Conditions Using a Laser Spectroscopy Based Portable Emissions Measurement System

Jorge Eduardo Lamas･Kenji Hara･Yoshinori Otsuki (HORIBA)

Real driving emissions measurements are attracting attention to understand emission behavior when vehicles are subject to various environmental conditions which are difficult to replicate in laboratories. The effect of adverse weather conditions on real driving emissions is still not well documented for emission components of recent interest, such as ammonia. A newly developed Portable Emissions Measurement System using laser infrared spectroscopy is utilized to measure and compare emissions of NH3, N2O and NOx, among other components, during on-road tests of a gasoline vehicle in different weather conditions. Vehicle parameters are monitored and their apparent effects on emissions are discussed.

Integrated Development of Chassis and Powertrain Systems: Enhancing Vehicle Motion Control through Predictive Dynamics and Virtual Validation

Felix Matthies･Marcus Perner･Wei Han･Mark Wielitzka (IAV)

In modern automotive engineering, developing complex cross-domain functions is crucial for vehicle motion control. Functions managing lateral, longitudinal, and vertical dynamics of subsystems like chassis and powertrain are central. A holistic approach to drive system development is essential to address complexity and enhance safety, comfort, efficiency, and agility. This paper presents IAVs latest concepts, emphasizing virtual methods and functional safety. We highlight using a virtual environment with qualified simulation models for preliminary hazard analysis, risk assessment, and function validation, ensuring high-quality development while reducing costs and time.

振動疲労におけるAE波の振動モードを利用した初期損傷検出技術

金城　利晴・前田　崇・池田　聡・佐藤　嘉實（エステック）

振動疲労は繰返し応力や振動により材料が損傷する現象であり航空機や自動車で重要である．AE（Acoustic Emission）計測は微小な亀裂を早期に検出する非破壊評価技術であるが，振動疲労に対しては外乱の影響を受けやすい課題がある．本稿では，試験振動と疲労破壊を切り分けるためにAE波の振動モードに着目した計測手法を提案する．

車両のタイヤハウス内に設置可能な偏平型ダイナモメータを用いた車両台上試験への適用評価

鷹崎　悠一・寺田　賢二・近藤　謙太郎・安元　宏平・永徳　航一・北条　善久・小坂井　大輔（東洋電機製造）

車両のタイヤハウス内に設置可能な偏平型ダイナモメータの大容量化を果たした．
本ダイナモメータは車両の機械ブレーキを収納可能な構造であり，1輪あたりの出力は160kW,800-2500min-1であり，短時間最大トルクは3800Nmを発揮する．
本稿では機械ブレーキ試験を含む台上試験への適用評価について報告する．

車室内空気質向上のための車室内微粒子の数値解析

平原　美恵・中村　優佑・土黒　聖斗・桝井　茜・清水　圭吾・伊藤　和樹・國府田　由紀（マツダ）

本研究では，車室内空気質向上を目的として，車室内微粒子，特にPM2.5の数値解析を行った結果について報告する．具体的には，実車の空調モードを変更した際の車室内の気流を計算し，その流れに追随する微粒子の挙動を数値解析した．数値解析の結果を実験結果と比較し，その妥当性について議論する．

空調効率化と温熱快適に向けた人体各部位への対流熱伝達の検討

桝井　茜・中村　優祐・土黒　聖斗・平原　美恵・河上　晃希・伊藤　和樹・研井　暁・清水　圭吾（マツダ）

本研究では，空調効率化と温熱快適のため，車外環境条件や空調設定などのパラメータが人体各部位の対流熱伝達に与える影響を実験と数値解析で調査した．これにより，車室内環境の改善に役立つ知見を得た．

Thermal manikin for optimizing the cabin climatization control strategy

Patrick Schutzeich (FEV Vehicle GmbH)･David Hemkemeyer (FEV Europe)･Kai Franke･Daniel Linse (RWTH Aachen University - Chair of Thermodynamics of Mobile Energy Conversion Systems (tme))･Simon Schilling (FEV Europe)･Noriyuki Muramatsu (FEV Japan)

Cabin conditioning is an important factor in the development of thermal management system for electrified vehicles. The control strategies to be developed for this purpose are becoming more sophisticated and consider factors such as air quality and passenger comfort. Objective calibration of the cabin conditioning software is therefore often very complex. FEV has developed a thermal comfort manikin which is used to automate the calibration process. The presentation will focus on the design of the thermal manikin and the generation of benchmark data. In addition, FEV's tool chain for the automated calibration of the cabin conditioning software will be presented.

BEVにおける熱マネジメントシステムの1Dモデル開発

垣田　健（デンソー）・Matthew Blom（DENSO Automotive Systems Australia）・安田　陽介・佐藤　裕介・須藤　知宏（デンソー）

BEVは大量のエネルギーを蓄えることが難しく，ヒートポンプを適切に動かして熱マネジメントすることで空調と走行距離を両立させることが重要である．そこで，冷媒の相変化を伴い予測が困難なヒートポンプを含めた熱マネジメントシステムについて，高速計算かつ高精度な1Dモデルを構築し，MBD手法を開発したので報告する．

Tread Depth Monitoring for Automotive Tires

Matthias Kreschmann (Continental Automotive Technologies GmbH)･Nicolas Guinart･Remi Gobin (Continental SCR)

The Tread Depth Monitoring system determines tire tread depth during vehicle operation by measuring wheel rotational speed, vehicle speed, and dynamic radius, considering tire temperature, pressure, and load. It uses sensors for rotational speed and vehicle speed, with dynamic radius calculations based on tire parameters. The system issues warnings for low tread depth, potentially triggering automatic service alerts and communicating with driver assistance systems. It uses traditional tires sensors for temperature and pressure, ensuring accurate tread depth determination and optimized vehicle operation.

Towards a multi-performance real time capable tire model

Christian Ludwig･Benjamin Rieff (Cosin scientific software AG)

FTire was first used in durability simulation, but was soon used to simulate other performances "Ride, NVH, Wear, Handling including thermal dependent friction and structural stiffness". The evaluation of tire performance on a driving simulator requires a highly accurate real time capable multi-performance tire model to give test drivers the same possibilities as on track. This paper introduces a new methodology to generate the complex steering wheel undulation obtained when driving across a real road surface. We will present further first results of the next step where tire-suspension interaction occurring at limit handling will be addressed.

タイヤスリップ特性における水膜厚さ・速度依存性を表現可能なタイヤモデルへの拡張

日向　俊行（シーメンス）・-　-（-）

タイヤ開発においてもバーチャル化のニーズが高まっている．ウェット路面でのブレーキ，ハンドリング性能などは最も重要な評価項目といえる．そうした中で，MF-Tyre/MF-Swiftの追加機能として，タイヤ-ウェット路面間で生じる物理現象をもとにMagic Formulaを拡張し，速度・水膜厚さ違いでのタイヤスリップ特性のモデル化を行った．

機械学習を用いたタイヤのコーナリングフォースカーブ予測手法の構築

三上　裕大・鈴木　晴之（住友ゴム工業）

機械学習を用いたタイヤのコーナリングフォースカーブ予測手法を構築した．線形モデルで特徴量選択と各特徴量の変化の方向を決定し，GBDT系のモデルで学習を行う．その際，変化の方向を単調制約としてモデルに付与する．この手法により予測精度と解釈性を両立する機械学習モデルを構築した．

タイヤ特性を考慮した電動パワーステアリングによる過渡ヨー応答の改善

森元　大樹・関　泰典・横井　大亮（スズキ）

操舵に対するヨー角速度の特性は車両諸元やタイヤ特性によって変化するが，その応答速さには適値があることを主観評価で確認した．実測データに基づくタイヤ特性を考慮した車両－操舵系モデルにてEPSによりヨー角速度の過渡応答の立上がり時間を適値に調整するシミュレーションを行い，実車で評価が高くなることを確認した．

A Study on the Fail-Safe Technology of the Tire Built-in Sensor Using the Tire Deformation Model

HEEYOUNG JO (Illinois Institute of Technology)･SUNJE KIM (Chungnam National University)･KYUWON CHOI (Illinois Institute of Technology)

Recently, tire built-in sensors (i-Tire sensors) have been commercialized and used as tire management systems for logistics trucks.
It is a project to reduce costs by managing tire life using an i-Tire sensor that can detect tire conditions such as pressure, temperature, and deformation.
However, since the i-Tire sensor is mounted inside the tire, it is not easy to directly check the condition of the sensor.
Therefore, in this paper, we studied the technology to detect the failure of the i-Tire sensor using a tire deformation model.

Development of Tire and Vehicle Performance Prediction Model using Machine Learning

Yeonsang Yoo･Yongdae Kim･JinSil Kyeong (Hyundai Motor)

As tires are the only parts that contact with road surface, they deliver all the forces from the road and have enoumous effect on most of the vehicle performance. Therefore, it is essential to set and secure tire performance targets in the early stage of vehicle development. The purpose of this study is to develop a method for setting tire performance targets to meet the vehicle performance target in the early development stage. Huge amount of tire test data and vehicle simulation data were analyzed and machine learning technology was used to develop this method.

3次元デジタル画像相関法を用いたタイヤ試験における振動解析

加藤　由幹（高知工科大学）・綿引　壮真（構造計画研究所）・大髙　政祥（小野測器）・遠越　光輝（構造計画研究所）・小田　吉帆（小野測器）

走行中のタイヤは路面やエンジンからの励振力を受け，複雑な振動挙動を示す．しかし，高速な回転体であるので，ケーブルを有する接触式センサでは振動計測が難しい．そこで本研究では，非接触で多点の振動計測が可能となるデジタル画像相関法を用いて，タイヤの振動特性を評価した．

前方路面におけるタイヤ・路面間の摩擦特性推定システム構築に関する研究
-前方路面の摩擦特性推定システムに向けたセンサ選定とアルゴリズム構築-

渡辺　淳士・景山　一郎・栗谷川　幸代・原口　哲之理（日本大学）・金子　哲也（大阪産業大学）・西尾　実（アブソリュート株式会社）

前報では，雪氷路での路面摩擦特性と関連する複数の環境情報を活用した路面カテゴリ分けについて報告した．本研究では，前方路面の摩擦特性を推定するための有効なセンサ選定と，推定アルゴリズムの構築について検討した．その結果，提案手法の有効性を検証し，前方路面摩擦推定システムの実現可能性について考察する．

路面摩擦計測システム構築に向けた新たな取り組み

景山　一郎（先進路面摩擦データベース研究組合）・渡辺　淳士・栗谷川　幸代・原口　哲之理（日本大学）・金子　哲也（大阪産業大学）・西尾　実（アブソリュート（株））

これまで示した連続摩擦特性計測システムの結果を検証し，その問題点を抽出し，連続摩擦特性計測の修正点の抽出を行った．次に，新たに精度向上を目指した計測システムの構築とその計測結果について示す．

タイヤホイールの変形を利用した車直進走行時の路面接地荷重の測定

立矢　宏・樋口　理宏・澁谷　輝（金沢大学）・横井　大亮・関野　直規・小西　健太・森元　大樹（スズキ）

ホイール数ヶ所のひずみから，車直進走行時にタイヤ接地面に作用する3軸方向荷重を測定する方法に関して検討し，適切なひずみの箇所，測定方向，測定を行う回転角を決定するとともに，実際に，テストバスにて複数の条件下で測定実験を行い，ロードセールとの比較を行い，その妥当性を確認した．

持続可能な自動車社会の展望
-対応の方向性と課題-

前田　義男（早稲田大学 次世代自動車研究機構）

2024年の世界の平均気温は過去最高となり、世界各地で異常気象が原因の災害が発生し、GHGの削減は地球の持続可能性のための緊急の課題となっており、自動車に関してもLCAでカーボンフットプリントが要求されるようになり、自動車産業も従来の枠を超えた連携が必要となり、そのための課題を述べ対応の方向性を示す。

End-of-Life Automotive Battery Value Chain: Opportunities for Critical Materials Supply Chain Resilience

Hadi Moztarzadeh (Advanced Propulsion Centre UK)

With the growing adoption of electric vehicles (EVs) comes a new demand for the critical minerals needed to build batteries, alongside a potential second-use market. The European Battery Directive provides targets for collection and recycling of EV batteries with minimum targets for recycled content in new EV batteries.
Developed by the Advanced Propulsion Centre UK (APC), in conjunction with experts from industry and academia, the automotive battery end-of-life value chain map shows the path of the growing re-use and recycling industry. This new value chain details the journey of an automotive battery from the end of vehicle use to second life and recycling, to become cathode active material (CAM) and anode active material (AAM).

自動車破砕残渣のマテリアルリサイクル技術の開発

井沢　省吾・漆山　雄太・吉村　彰記（名古屋大学）

名古屋大学のナショナルコンポジットセンター(NCC)では自動車材料の資源循環型社会を目指して，研究開発の取組を行っている．現在サーマルリサイクルとなっている自動車破壊残渣(ASR)の再資源化についての取組みも重要な技術要素の一つと考えている．本講演では，その研究取組み事例を紹介する．

Revolutionizing Battery Management: AI-Powered Digital Twin for Predictive Maintenance and Enhanced Performance

Nikolaus Keuth･Gerhard Schagerl (AVL List)

This presentation introduces an AI-powered Digital Twin technology designed to enhance battery safety and reduce warranty costs. Leveraging data from development, telematics, and in-vehicle usage, it offers accurate state-of-health monitoring, anomaly detection, and range optimization. Key benefits include a 97% identification rate of battery issues a month before occurrence, a 92% reduction in recall volume, and thrice more accurate range predictions. The AI-powered Digital Twin uses machine learning for continuous BMS improvement and a scalable analytics backend, enhancing battery performance and safety significantly.

4輪インホイールモータのトルク制御に基づくスリップ率推定手法の開発

安島　俊幸・初瀬　渉・山崎　勝（日立製作所）

4輪インホイールモータを採用したEV車両の駆動力を制御して車両特性を向上させるため，モータトルクを用いたスリップ率の推定手法の開発に取り組んだ．本講演では，走行中の各輪のモータトルク制御に基づいたスリップ率推定手法について基礎検討し，手法の有効性を試験車両で検証した結果について報告する．

High fidelity IPMSM model used for sensor-less algorithm comparative study

Marek Lazor･Petr Kuchar･Xiang Wang (Ricardo PLC)

Mathematical models of Interior Permanent Magnet Synchronous Motors (IPMSM) are well known in industry, however they are normally low fidelity or computationally intensive. Recent interest has focused on higher fidelity models, known as Digital Twins. These models complement the development of advanced control techniques, such as sensor-less algorithms, where sensitivity of position estimation accuracy to minor parameters like cross-coupling terms can be understood. These algorithms enable reduced cost and increased robustness in automotive applications. This paper presents a high-fidelity digital twin model, a comparative study of published sensor-less algorithms, and an innovative sensor-less algorithm allowing low-speed operation without high-frequency injection.

ドライバーの感性とシンクロする次世代e: HEV制御技術の開発

成元　椋祐・前田　定治・鵜飼　洋平・齋藤　雅利・倉地　忍・村田　直也・郡司　宙輝・志岐　一輝・長倉　朱里（本田技研工業）

環境保護に対する世界的な動向により自動車の電動化が加速している一方，電動車においても感性価値を追及することは自動車を開発するうえで非常に重要である．今回，電動車の感性価値向上の為にドライバーの感性とシンクロする新たなe: HEVシステムの制御技術を開発し，電動車の新たな指標となる性能を確認した．

Changes in dQ/dV depending on battery abnormalities

Hyunjun Jo･Hyunjun Jang･Sijoong Kim･Taekyu Kang (Hyundai Motor)

As the adoption of electric vehicle(EV) expands, the need for diagnostic technology for the safety of battery is gaining attention. A variety of abnormal conditions may occur in battery, each leading to distinct impacts. The Abnormalities are dependent on each other and affect each other, which makes difficult to understand the exact occurrence mechanism of the event. This research suggests the relationship with the change in dQ/dV depending on diverse battery abnormalities. It shows that dQ/dV changes occur under abnormal conditions, enabling the diagnosis of abnormal cells and also the classificaiton of the abnormalities. We expect the abnormal cells can be identified through monitoring the changes in dQ/dV.

Future E-Truck Innovation: Next generation e-Powertrain concept for maximum flexibility and cost scaling.

Christoph Danzer･Hubertus Christian Ulmer･Rico Resch･Volker Ambrosius (IAV)

The Contribution Starts with an Outlook to Optimum Voltage Levels for the HV-System of Future Heavy-Duty CVs. This and Further Requirements of Future Drive Systems Define the Boundary Conditions for the New Flexible CV-Electric-Drive-Concept. The Basic System Can be Flexibly Integrated into the Vehicle in Longitudinal and Transversal Direction with a High Degree of Common Parts. The transversally installable system employs an adapted design of the basic system and enables an installation as an high efficienct and compact axle-drive. The system may be optimized in terms of installation space and continuous performance by using Phase Change Cooling.

1D車両システムモデルを活用したハイブリッド車両の最適な熱及びパワーマネージメント制御の検討

波頭　佑哉・楊　イ翔・廣田　壽男・紙屋　雄史（早稲田大学）・佐藤　圭峰（マツダ）

電動車のLiBでは，高温時の劣化や熱暴走，低温時の電圧降下への対策として，LiBの温度と電力を適切に効率良く管理する熱及びパワーマネージメント制御が重要である．そこで，主にハイブリッド車両を対象に，LiB及び冷却・加熱システムのマネージメント制御の最適挙動を1Dの車両システムモデルと最適化手法を用いて検討した．

重量EVにおける一充電走行距離の算出手法の検討
-試験時間短縮および回生制動特性の考慮-

吉川　真司・奥井　伸宜（自動車技術総合機構）

現行の審査事務規定では，重量EVの一充電走行距離は実車を用いた定速走行による試験法が規定されている．一方，EVでは減速時の回生制動の特性により一充電走行距離が変化する．そこで実車試験に要する時間と回生制動特性の影響を考慮し，バッテリーの電力量と電力量消費率から一充電走行距離を算出する手法を検討した．

xEV の性能評価に用いる4WDシャシダイナモメータ評価手法の検討（第2報）
--4WDシャシダイナモメータ性能要件の電費影響を考慮した評価パラメータの検討--

中手　紀昭（日本自動車輸送技術協会）・鈴木　央一（自動車技術総合機構）・井上　勇（小野測器）・古田　智信（明電舎）・小川　恭広（堀場製作所）

xEVの実走行状態を4WDシャシダイナモメータ上で再現するため，電動車特有の動力性能（特に急加速や減速を含む過渡特性）を適切に台上で反映させることが不可欠となる.第1報の結果を受けて第2報では，xEVの実走行特性を評価するために必要な4WDシャシダイナモメータの電力消費率への影響を考慮した評価指標について報告する.

Driving Efficiency and Innovation in BEVs
-Next-Generation Electronics-

Ayman Ayad･Philip Brockerhoff (Schaeffler AG)･Takuya Mimori (Schaeffler Japan Co., Ltd)

Electrification is transforming the automotive landscape, driven by the need for efficiency, cost reduction, and sustainability. This presentation introduces advancements in power electronics and charging technologies for BEVs, focusing on wide-bandgap (WBG) materials like silicon carbide (SiC). Key topics include innovative inverter technologies such as the Smart 3-Level topology and hybrid Si-SiC modules, which optimize performance and reduce costs. Additionally, strategies for integrating 400 V charging with 800 V systems are explored, emphasizing efficiency and scalability. These innovations highlight how advanced high-voltage architectures can redefine BEV efficiency, affordability, and sustainability, paving the way for the future of e-mobility.

潜熱蓄熱技術を用いたEV用蓄電池保温に関する研究

大橋　達之・飯島　春幸（エフ・シー・シー）・能村　貴宏・中村　友一（北海道大学）

2050年のカーボンニュートラル実現に向け，EVの普及が進む中，寒冷地での使用に適した蓄電池の保温技術が求められています．私たちは，潜熱蓄熱技術と高断熱技術を用いたEV用蓄電池保温システムを研究しています．その潜熱蓄熱技術について報告します．

Development of Battery Data Generation Technology
Using Time Series Wasserstein GAN based on Deep Learning.

HYUNJUN JANG･TAEKYU KANG･WOOSUNG KIM (Hyundai Motor)

This paper presents a GAN-based deep learning approach for generating synthetic battery data. While lithium-ion batteries in xEVs are widely studied using deep learning to analyze their electrochemical characteristics under various conditions (current load, SOC, temperature), obtaining real data is challenging. Battery degradation testing is time-consuming, and extreme condition testing (like internal short circuits) is dangerous. The proposed solution uses a GAN architecture where Generator and Discriminator networks compete to create new, realistic battery data that matches the patterns of existing data, enabling testless data generation for battery research.

走行中給電による省エネ，省資源社会への貢献

加藤　直也・光田　徹治・谷　恵亮・大杉　拓也・山口　浩司・紺野　由希・石原　光浩・永松　敏樹・伊藤　淳貴・大島　圭市（デンソー）

カーボンニュートラル実現には，電気自動車の製造時と廃却時に発生する炭素の低減が重要である．著者らは，搭載バッテリー容量を大幅に減らすポテンシャルを持つ走行中給電システムの実現仕様を検討し，省エネルギーと省資源の効果を試算したので報告する．

Early fault detection in lithium-ion batteries using machine learning

Maximilian Kloock･Ethelbert Ezemobi･Seyedmehdi Hosseininasab･Lennart Bauer (FEV Europe)

Major battery faults include soft and hard short circuits, abnormal aging, over-charging, and over-discharging. Early detection of these faults can help to mitigate against thermal runaway. This work demonstrates a machine learning algorithm designed to detect these faults in an early stage and, consequently, prevent severe damage through thermal runaway. The machine learning algorithm combines the advantages of data-driven and model-based approaches. The algorithm is validated under dynamic load conditions using standard driving profiles of 100 simulated battery packs - each pack consisting of 80 cells, each including one faulty cell.

自動車技術会車外騒音部門委員会の活動概要

山崎　徹（神奈川大学）

車外騒音部門委員会が2021年度から活動を行っている．本委員会では，音源としての自動車騒音の予測・評価の技術から，環境影響や道路周辺住民の意識や反応に与える影響まで多岐に渡る問題を整理・集約し，包括的に議論 することを目的としている．本講演では，これまでの委員会での取り組みの概要について紹介する．

低周波数成分を含む自動車単体騒音に対する主観評価

籔内　和真（神奈川大学大学院）・横島　潤紀（神奈川県環境科学センター/神奈川大学）・森長　誠（大同大学）・牧野　康一・土肥　哲也・横山　栄・小林　知尋（小林理学研究所）・山崎　徹（神奈川大学）

筆者らは，低周波数領域の40 Hzまたは50 Hzの音圧レベルが卓越する大型車単体騒音を刺激とし，低周波音実験室において主観評価実験を実施した．本報では，低周波数成分における卓越周波数の音圧レベルが，低周波音による影響として特徴付けられる圧迫感・振動感，騒音に対する不快感に及ぼす影響を検討した．

道路交通騒音による中途覚醒の客観的評価
-ウェアラブルデバイスを用いた試み-

森長　誠（大同大学）・横島　潤紀（神奈川県環境科学センター／神奈川大学）・梅崎　良樹（社会システム）・山崎　徹（神奈川大学）

交通騒音による睡眠影響に関して，主観的なアンケート調査による検討が古くから行われているが，より客観的な方法による科学的知見も必要とされている．本研究は簡易的かつ客観的に睡眠影響を評価する試みとして，ウェアラブルデバイスによる覚醒の判定と，騒音レベルとの関係性について検討したため報告する．

生成AI技術を活用した交通騒音データ生成に関する検討
-潜在空間のパラメータ操作による交通騒音生成の可能性-

鄭　萬溶（沼津高専）・松永　立樹（沼津高専専攻科）

本研究は，実世界の交通環境において記録・取得が困難な騒音データを高精度かつ柔軟に生成する手法として，生成AI（Generative Adversarial Networksや拡散モデルなど）の適用可能性を検討するものである．近年，交通騒音予測モデルや防音対策の検討に資する大規模かつ多様なデータセットの需要は拡大しているが，実測によるデータ収集は測定コストや環境要因の制約，プライバシー・セキュリティ上の懸念などから困難を伴う．本研究では，既存の実測データを学習データとして，生成AIを用いることで多種多様な交通騒音波形の合成を試みる．具体的には，道路交通量，車種構成，走行速度，気象条件などのメタ情報を統合的に考慮した条件付き生成モデルを構築し，これにより現実的な騒音波形の生成や信号特性（スペクトル特性，時間変動特性）の再現を評価する．また，提案手法で生成されたデータを用いて騒音予測モデルの学習や異常検知アルゴリズムの評価に適用し，その有効性を検証する．最終的に，本研究は生成AI技術によるシミュレートデータの質的向上が，交通環境音解析および関連政策策定の基盤を拡充する可能性を示すことを目的とする．

道路交通騒音予測モデル“ASJ RTN-Model2023”の概要

岡田　恭明（名城大理工）・山内　勝也（九州大芸工）・坂本　慎一（東大生研）

日本音響学会の道路交通騒音調査研究委員会では，50年以上にわたり予測モデルの開発に努めてきた．その成果として，2024年4月に新しい予測モデル“ASJ RTN-Model 2023”を公開した．これは，2019年のモデル“ASJ RTN-Model 2018”を改良したもので，最新の知見に基づいて，非定常走行時における車両の音響パワーレベルや伝搬計算方法を見直している．

Application of the Momentum Algorithm for Active Noise Control
-Fast Convergence for the HVAC Compressor Noise in an Autonomous Bus-

Seongyeol Kim･Junseok Choi･Doyeon Kim･Sang-Kwon Lee (Inha University, Department of Mechanical Engineering)

This paper presents an ANC algorithm to reduce vibroacoustic noise from the HVAC compressor in an autonomous bus. The compressor generates high-frequency noise due to shell vubrations, with dominant frequencies in the 100-600Hz range, impacting passenger comfort. While the FXLMS algorithm is commonly used, it struggles with nose outside peak frequencies. To improve performance, a momentum algorithm was applied, offering faster convergence and lower residual error. The results demonstrate significant noise reduction both at peak frequencies and across a wider frequency range, enhancing passenger comfort.

eNVH Analysis of a PM Motor with Uneven Magnetization and Rotor Eccentricity

Rabah Hadjit (ESI)･Sumeet Singh (EM Works)･Mario Felice (virsolTech Engineering Consulting, LLC)

This paper investigates the electromagnetic performance, and NVH characteristics of a forty eight-slot and eight-pole interior permanent magnet motor designed for automotive applications. Utilizing advanced virtual modelling and simulation techniques, the study conducts a comparative evaluation of rotor configurations with even and uneven magnetization under varying eccentricities - static, dynamic, and mixed. The resultant radial and tangential electromagnetic forces are then compared for their contributions to surface velocities and noise radiation.
This methodology provides a comprehensive understanding of how magnetization and allows minimizing noise and vibration while maximizing performance in automotive applications.

ハブナットクランプ式車両拘束装置が車両に与える振動の影響（第2報）

高橋　利道・河関　年成（明電舎）・古澤　政生（F-MAコンサルティング）

前報では，ハブナットフランジの偏心により，実路走行中には存在しない上心ピッチングモードが励起されることを明らかにした．本報では，その理論背景を解説し，偏心を完全に取り除けない場合でも，上心ピッチングモードの腹の部位に制振ダンパーを取り付けることで，実用上十分に振動低減ができることを提示した．

アクティブな内傾機構を備えたパーソナルモビリティビークル(PMV)の制動を伴う障害物回避性能の考察

原口　哲之理（名古屋大学/日本大学）・金子　哲也（大阪産業大学）

著者らはアクティブな内傾機構を備えたPMVの障害物回避能力について，そのメカイズム面からの考察と動的シミュレーションモデルによる検証を実施してきた．今回は実世界での回避動作に近い制動を伴う回避特性について考察し，前二輪の構成による制動時有効トレッド拡大効果を含め，優れた回避能力を有することを示した．

日本語タイトル：
内傾機構を備えたパーソナルモビリティビークル(PMV)の制動を伴う障害物回避性能のシミュレーション解析

金子　哲也（大阪産業業大学）・原口　哲之理（名古屋大学）・景山　一郎（日本大学）

著者らはアクティブな内傾機構を備えたPMVの障害物回避能力について，そのメカニズム面からの考察と動的シミュレーションによる検証を実施してきた．本稿では実際の回避動作に近い制動を伴う回避特性について多自由度運動力学モデルを用いたシミュレーションを用いて車両状態量やタイヤ力変化を考察しその回避能力を示した．

二輪車の力学的要素がフレームの柔軟性に及ぼす影響の解析

片山　硬・原岡　怜也・明用　将典・吉野　貴彦（久留米工業大学）

二輪車の前フレームの曲げ自由度が柔らかくなるとウィーブモードが不安定化する．しかし，フレーム剛性の柔らかさがどのような要因により決定されるかは未だに明らかにされてはいない．この論文では，前フレームの曲げ自由度の運動方程式にエネルギーフロー法で得られて解析手法を適用することにより，力学的要素がフレームの柔軟性に及ぼす影響を明らかにする．その結果を基に，柔軟性の指標を提案する．

二輪車の力学的要素がフレームの柔軟性に及ぼす影響の解析（第2報）
-柔軟性を表す指標の応用例-

吉野　貴彦・原岡　怜也・明用　将典・片山　硬（久留米工業大学）

二輪車の前フレームの曲げ自由度が柔らかくなるとウィーブモードが不安定化する．この論文では，前フレームの曲げ変位の大きさを評価する指標を使用し，車両のフレームの柔らかさに寄与する要因を検討する．

全天球画像による自動二輪車の位置計測における適切なカメラ配置の検討

平澤　順治（茨城工業高等専門学校）

改良を続けている全天球カメラを用いた位置計測手法に関して，使用台数，光軸の向き，相対的な位置関係について再度検討し，より適切なカメラ配置を提案する．位置精度について検証実験を行うとともに，走行実験により自動二輪車の走行軌跡を求める．

自動二輪車走行時におけるライダーの姿勢・視線・操作と車両運動の同期解析

友定　将和・片山　優・藤岡　美博・福島　志斗・泉　大樹・小吹　健志・山根　周介・高見　昭康（松江工業高等専門学校）

自動二輪車走行中におけるライダーの姿勢・視線・操作と車両の運動状況を同期して計測し解析できるシステムの開発を行った．
そのシステムを用いて技能走行の解析を行った内容を報告する．

走行中の運動センシングデータを時間スケールを含んだシンボル列へ変換する手法の提案
-バイクの歌を聴く-

木谷　友哉・曽根　卓朗・矢田　陽太郎（静岡大学）

走行中の物理観測量を機械学習において計算できるようにすることは，二輪車ユーザの走行体験やそれに基づいた車両運動そのものを客観的に評価するために有効である．
時系列の運動センシングデータを時間スケールを考慮したシンボル列で表現し，LLM等の自然言語処理の手法を用いて解析する方法を提案する．

Development of Sub System Sled-Based Lateral Pole Impact Test

Gustavo Maturana･Alba Marquez･Jordi Vinas･Genis Mensa･Carles Vidal･Victor Garcia (Applus+ Idiada)

During the vehicle development, the full-scale testing is one of the most timing and resources consuming part of the process. A solution has been proposed where full-scale Lateral Pole tests can be simplified to subsystem sled tests, requiring less resources in terms of BiW while allowing to reproduce impact tests conditions, where vehicle deceleration and intrusion are applied in a controlled way to reproduce crash kinematics. This paper explores the development of this sub-system setup, which can be applied afterwards for restraint system development. It presents CAE activities, component characterisation tests, sub-system validation and methodology definition involved in the process.

A Comprehensive Approach to Hydrogen Vehicle Crash Testing Challenges

Victor Garcia Santamaria･Miguel Angel Gallego Ruiz･Genis Mensa Vendrell･Carles Vidal Aguado (Applus+ IDIADA)

Crash testing of hydrogen-powered vehicles presents unique challenges compared to its other clean alternatives such as electric vehicles. Main challenges in security and quality involve preventing and containing leaks, managing hydrogen's high flammability and flame invisibility. Crash safety regulations also present its own challenges, since it is required to be able to test at nominal tank pressure with hydrogen to fulfill them. This paper goes through all the challenges mentioned and how an experienced crash test laboratory faces them by developing new methodologies, procedures, protocols, and tools, and using possible alternative gases to prepare and test those vehicles.

Raising the bar for heavy quadricycles safety in urban mobility
-Structure and occupant protection assessment of a L7-e vehicle through Euro NCAP tailored crash test protocols-

Carles Vidal Aguado･Jordi Salvat Pamies･Emilia Romero Tienda･Genis Mensa Vendrell･Victor Garcia Santamaria (Applus+ IDIADA)

Euro NCAP 2014-2016 testing campaign results for heavy quadricycles revealed safety concerns. The EU-funded REFLECTIVE project aimed to enhance the safety perspective for this category vehicles by developing a safe, compact, zero-emission L7-electric vehicle for urban use and last-mile deliveries. This paper evaluates the vehicle's passive safety through various crash tests: subsystem test, frontal crash, frontal sled, and lateral crash. By implementing adequate restraint systems, validating deformation and occupant interaction through simulations, and employing appropriate design, the REFLECTIVE vehicle was successful in raising safety standards for heavy quadricycles after applying the Euro NCAP testing protocols for this type of vehicles.

Evaluation of ATD and Human Body Model Responses in Rear Impact Scenarios

Simona Roka･Pablo Lozano (IDIADA Spain)･XuFeng Li (IDIADA China)･Sergio Crespo (IDIADA Spain)

This study compares the BioRID II anthropomorphic test device and THUMS version 6.1 human body model in Euro NCAP Whiplash assessment conditions, addressing the critical issue of rear-impact collisions which represent 27.8% of passenger vehicle crashes. Using an open-source environment with VIRTUAL project components, the research analyzed head, T1, and pelvis excursions, along with moments, forces, and accelerations at key anatomical landmarks. Results revealed significant differences between ATD and HBM responses, while seat adjustments improved BioRID II's T1 acceleration. Biofidelity assessment showed favorable correlation at the cervical vertebrae level, validating both tools for whiplash injury evaluation.

前突時のシート位置による乗員下肢傷害の研究

根岸　俊充・糟谷　勇太・永野　翔悟・林　重希・今井　裕明・中根　裕司（トヨタ自動車）

各アセスメントによって多様な評価条件(速度，体格，着座位置)の導入が議論されている．本研究は，前突時にシート最後端位置での下肢傷害への影響調査を目的とした．下肢移動量増加に伴い足首が底屈側にロックしモーメントが発生する．ダミー足首は底屈側の人体忠実性に課題があり，下肢傷害の評価導入への課題を示した．

THUMSを用いた歩行者衝突における筋活性の影響調査

宮﨑　拓真・飯塚　洋二朗・高比良　与志樹・宮崎　浩・林　重希・今井　裕明・中根　裕司（トヨタ自動車）

日本の交通事故死者数における，歩行者の死者数は36%と高い．歩行者の死傷者低減のために，その傷害発生機序の解明が望まれる．本研究では，人体FEモデルTHUMSを用いて衝突前の歩行者の身構え動作が衝突中の挙動に与える影響を調査した．従前の研究で筋活性時のTHUMS体幹可動域を人に合わせた．筋活性の有無で異なる挙動を示した．

平均体型女性バーチャル人体モデルの開発

藤田　騎行・松田　貴男・北川　裕一（トヨタ自動車）

自動車事故における乗員保護の男女公正性に関する研究ニーズが高まっている．小柄女性を模した衝突試験用ダミー人形は実用されているが，平均体型女性のダミー人形はない．本研究では平均体型女性のバーチャル人体モデルを開発した．車両前面衝突における女性乗員の挙動や傷害リスクを解析，男性乗員との相違を分析した．

単胎妊婦乗員モデル開発および当該モデルを用いた衝突時の胎盤剥離傷害予測

泉山　朋大・辻　温乃（マツダ）・立岡　弓子（滋賀医科）・朝日　龍介（マツダ）・一杉　正仁（滋賀医科）

衝突時の妊婦乗員における胎盤剥離受傷機序は未解明である。この傷害予測を目的として30週相当妊婦乗員モデルを開発し、当該モデルによる傷害評価手法を確立した。加えて、衝突速度やシートベルト着用方法、胎盤位置と傷害程度の関係性を分析した。これらの結果をもとに推察した胎盤剥離傷害機序を含めて報告する。

車椅子乗員の安全確保に向けた拘束装置の提案

一杉　正仁・桑原　歩夢（滋賀医科大学）

車椅子で自動車に乗車する人に対して、現行のシートベルトは適正な位置に着用できず、事故時に致命的損傷を負う例があった。さらに、スレッド試験によって、サブマリン現象や高い胸部変位が確認された。そこで、車椅子乗員に対する安全な拘束装置を開発し、その効果を検討した。

ファーサイド側突事故における胸腹部の傷害の影響因子と傷害低減の検討

井田　等・楠原　由人・浅岡　道久・青木　雅司（豊田合成）・一杉　正仁（滋賀医科大学）

北米の交通事故データベースであるCISSを用いてファーサイド衝突事故の受傷傾向とその影響因子を分析した。シートベルトで拘束された乗員については胸腹部の傷害低減が重要になることが分かったため、人体モデルTHUMSを用いたシミュレーションを行い胸腹部傷害の低減方法を検討した。

人体有限要素モデルを用いた電動キックボード事故時の傷害メカニズムの検討

伊藤　大輔・藤島　舜（関西大学）

本研究では人体有限要素モデルを用いて電動キックボード事故時の傷害の発生機序について分析した．四輪車との衝突および歩車道境界ブロックとの衝突時の人体挙動や各部位の傷害程度を評価し，衝突角度が挙動に及ぼす影響が大きいことを示した．

自動車の安全基準に関する国際・国内動向

松坂　真史（国土交通省）

交通事故による死傷者数の削減に向けた自動車の安全基準に関する国際的な議論の動向や国土交通省の取り組みを紹介する．

ミクロ調査におけるイベントデータレコーダ(EDR)等によるペダル誤操作事故の実態及び傾向に関する検討

松村　英樹（自動車技術総合機構）・杉山　幹・岩田　剛和（交通事故総合分析センター）

近年ペダル誤操作事故が社会的な問題となっているが，それらの具体的な状況はあまり把握されていない．他方イベントデータレコーダ(EDR)が最近の多くの車両に搭載され，事故時の操作状況の把握が可能となってきた．本検討ではミクロ調査で得た実事故のEDRデータ等から，それら事故の実態及び傾向について検討した．

Advancing Automated Driving Systems development and safety evaluation with the Automated Mobility Partnership

Jacobo Antona-Makoshi･Gibran Ali･Kaye Sullivan･Vicki Williams (Virginia Tech Transportation Institute)･Alex Hatchett (Global Center for Automotive Performance Simulation)･Kevin Kefauver (Virginia Tech Transportation Institute)

The Automated Mobility Partnership (AMP) is a platform supporting the development and safety evaluation of automated driving systems. The AMP portal integrates events from over 35 million miles of naturalistic driving data and a decade of U.S. police-reported crash data curated by the Virginia Tech Transportation Institute. AMP provides remote access for advanced data analysis, visualization, scenario generation, and human driver benchmarking. This paper demonstrates AMP's utility in supporting the identification of hazardous behaviors, the development of driver monitoring strategies, the application of integrated scenario-based analyses, the definition of crash risk-based criteria, and conformance with safety standards.

Construction of Traffic Accident Risk Assessment Method for Road Alignment Using Digital Road Map

Ryoma Ohtani･Katsuma Ando･Ryoya Hara･Hiroshi Kuniyuki (Suwa University of Science)

Based on road alignment information from digital road maps, an assessment method for the risk of traffic accidents caused by road alignment, which are often found in hilly and mountainous areas, was constructed. The number of accidents per curve section was investigated and verified against accident risk index evaluated by the length of the straight section before the curve and the curve curvature. The results showed that the accident rate on curves can be evaluated using this accident risk index.

Analysis of Causes for Single Motorcycle Accidents in Hilly and Mountainous Areas Using Motorcycle Driving Simulator

Yuta Katayama･Taisei Kitagawa･Yusuke Numao･Hiroshi Kuniyuki (Suwa University of Science)

In this study, an evaluation course was set up using a motorcycle driving simulator, assuming an S-shaped curve on a hilly and mountainous road, and a comparison of driving maneuvers between a model rider and a novice rider was conducted. As a result, novice riders are more likely to deviate from the lane than model riders due to inadequate motorcycle leaning operation, and it was indicated that this difference in driving ability is one of the factors contributing to accidents.

高密度実装電子部品の製造品質を担保するためのロバスト設計の検討と考察

西森　久雄・武藤　潤・古川　智之・折中　ミイユ・柴田　靖文（トヨタ自動車）

電子部品の高機能化要求に伴い，先端半導体や構成素子をプリント基板上に高密度実装する技術において，製造時に安定してはんだ接合を形成できる設計技術が重要である．実験基板ではんだ接合のリフトオフが観測されたため，シミュレーションによる再現とAIを活用したロバスト設計に向けた重要な設計パラメータについての検討と考察を紹介する．

重回帰モデルによるエンジンの物理量センサー値の予測

矢野　佑樹・森実　健一・和田　幸史朗・柚木　伸夫・小林　謙太（マツダ）

車載センサーをAIモデルに置き換えることは重量やコスト削減, レイアウト自由度の確保等多くの利点がある.
特に重回帰モデルは, 軽量で解釈が容易なモデルであり実装に適している.
本研究では, ディーゼルエンジンの排気温度と排気圧力を高精度に予測する重回帰モデルの育成プロセスと実車検証結果を紹介する.

ステアバイワイヤEPS用ストロークセンサのロバスト性向上検討

白川　洋平・柳澤　宜昭・池田　幸雄（プロテリアル）

ステアバイワイヤEPSのラックシャフト変位を検知するインダクティブ方式ストロークセンサを検討している．ラックシャフトのセンサに対する傾きによる検知精度劣化のメカニズムを調査し，精度劣化を抑制するロバスト性の高い2つの新規センサ構造を考案し，電磁界シミュレーションにより効果を検証した．

電装部品における実車ノイズ評価予測技術について

芹澤　幸宏（株式会社 Sohwa & Sophia Technologies）

電動化が進む中，効率良く開発を進めるには，EMIの課題をクリアする必要がある．本技術は実機計測前に電磁ノイズを予測し，CAEの活用によりテストレスなどMBDに貢献することが可能である．ここでは，事例の紹介と，将来への進め方を提案する．

自動運転用センサ評価に向けた動的気象環境を再現する人工気象室の開発とその評価法（第3報）

赤池　聡士・榎　浩之・齋藤　結莉・嶋　寿泰（エスペック）

自動運転技術の進展に伴い，搭載センサが各種気象環境の影響を受ける可能性があるため，その新たな評価方法が求められている．
本報告では，今後の自動ブレーキ搭載義務化と悪天候時の性能評価の強化に対応するため，前報に引き続き，霧および降雨環境下でのセンサ視認性評価を実施したので報告する．

How AI shapes smooth vehicle user experience with Small Language Models - today

Dr. Johannes Richenhagen･Tobias Schafer･Dr. Dirk Macke･Jorg Kottig･Alexander Kugler･Thomas Hulshorst (FEV.io)

Generative AI with Large Language Models (LLM) faces challenges regarding latency, privacy, cost, and system and user customization. Small Language Models (SLM) address challenges of LLM with onboard privacy, real-time performance, and vehicle integration, enhancing user interaction.
This technology is demonstrated with an intuitive, user-configurable dashboard on a Software-Defined Vehicle platform, combining SLM and LLM. Spoken language is converted to text, interpreted, formalized and executed. By this, both language model benefits are leveraged for seamless driver companionship.
This enables quick roll-out of AI features at optimum costs, latency, privacy and reliability - paving the road for more AI in Software-Defined Vehicles.

AI-based low pressure fuel pump pressure sensor prediction model by Super TML

TACKOON KIM･JUNYOUNG SHIN･SOOIN LEE (Hyundai Motor)

With the development of on-board AI, we need to think about how to use integrated AI sensors in vehicles. In this paper, we verified whether AI sensors can replace hardware sensors by utilizing sensor information provided to users on behalf of sensor values of low-pressure pumps. We also verified the accuracy of AI sensors by comparing them with actual vehicle driving data. A statistical guide on which sensor values should be used as inputs was also verified.

Study on Prediction of Roof Rack Performance using Data Learning Finite Elements Analysis Technique

Gyuho Shim･Jongheon Lee･Teawon Kim (SECO ECOPLASTIC)

The static load analysis to verify the performance of the aluminum roof rack was performed using data analysis techniques to predict displacement. The evaluation method was to apply a load toward the upper part of the vehicle as one of the lift tests and measure the elastic deformation and permanent deformation after maintaining it for a certain period of time. The analysis data analysis was analyzed. A verification test was conducted to verify the predicted results and compared them with the predicted analysis results. In this way, the reliability of the analysis and test was secured, and the performance of the aluminum integrated roof rack was finally predicted using data analysis techniques. It is believed that it can partially replace tests in the design and development of roof rack products.

Manufacturing Process Technology for LiDAR Covers with Self-Healing

Wanho Son･Teawon Kim･Gyeomson Seong (SECO ECOPLASTIC)

The cover that protects the LiDAR system, a key component in autonomous vehicles, requires high transmittance and durability. Conventional LiDAR covers have the issue of transmittance dropping below 30% when surface damage occurs. This paper presents a technological approach using self-healing polyurethane reaction injection molding, which is more environmentally friendly, offers superior surface quality, and allows for greater thickness compared to conventional spray coating methods. This technology is expected to protect LiDAR covers from damage, thereby contributing to the reliability and stability of autonomous vehicles.

Study on Plastic Materials for FCEV Thermal Management System Components : Comparative Analysis of PA and PP

HYEONGWON PARK･KYUNGHWAN OH･MINGYUN CHUNG･TAEGEUN KIM･KYEONGJUN BAEK･WOOKIL JANG･CHULWAN PARK･JIHYUN LEE･SOOHWAN KIM (Hyundai Motor)

This study investigates the changes in requirements for thermal management systems as vehicles transition from ICE to FCEV. It focuses on plastic materials suitable for FCEVs, considering the potential replacement of traditional PA materials with PP materials. The research evaluates long-term aging and lifespan under antifreeze and heat, safety concerning heating components, and ion leaching properties necessary for maintaining ultra-low conductivity in antifreeze. The findings provide insights into the feasibility of using PP materials in FCEV thermal management systems.

非線形性をもつ自動車シート用ウレタンフォームの動的粘弾性測定

神尾　ちひろ・朝倉　励・山口　誉夫・丸山　真一（群馬大学）・花輪　和人・岩瀬　勉・香西　俊彦（SUBARU）・林　達郎・佐藤　利春・茂川　創（日本発条）

乗員が直接触れるシートの特性は自動車の乗り心地に大きな影響を与える．ウレタンフォームは弾性特性と粘性特性のどちらも持ち合わせており，さらにその特性は周波数や温度によって変化する．本研究では，乗員がシートに座った実使用時を想定した圧縮状態でのウレタンフォームの非線形粘弾性を測定した．

耐火構造の違いが繊維強化樹脂複合材料の燃焼性に及ぼす影響

石原　裕介・仲井　朝美・大越　雅之（岐阜大学）・幸　淳史・重田　裕人・中村　晴彦（ダイキョーニシカワ）・安田　周平・小川　淳一・山田　裕紀（マツダ）・重津　雅彦（広島大学）

自動車の電動化に伴う電気部品の搭載により，FRPの耐火性向上が求められている．本研究では，樹脂基材を連続繊維基材で被覆したハイブリッド成形品の耐火性向上を目的とした．ハイブリッド構造中へ，材料の選定あるいは表面処理によって耐火性を付与した成形品を作製し，燃焼試験により燃焼性に及ぼす影響を評価した．

繊維配向制御によるCFRTPの強度向上（製品形状の繊維配向への影響）

濱田　陸奥樹・西野　創一郎（茨城大学大学院）・早乙女　秀丸・岩澤　健太（茨城県産業技術イノベーションセンター）

軽量かつ高剛性であるCFRTPは構造材料として用途が拡大している．一方で，射出成形時に炭素繊維の配向が乱れることが強度低下の要因となることが指摘されている．本研究では，射出成形品内部の繊維配向と製品形状の影響について，強度評価やCTスキャンによる内部観察から考察した結果を報告する．

繊維強化樹脂の異方性物性に関する機械学習による材料データの拡充

竹内　正和（セラニーズ）

繊維強化樹脂を用いた部品設計には繊維配向に起因する異方性物性を考慮する必要があるが，その材料モデリングに必要な物性測定の負荷は小さくなく，候補となる全材料グレードに対して準備することは困難を要する．そこで単軸引張試験結果から異方性物性値を予測するために機械学習の活用を検討した結果を報告する．

機械学習を用いた樹脂部品の最適板厚設計手法の開発

浅山　寛・岸　浩史・馬場　和義（ダイハツ工業）

本報では機械学習を用いて高耐熱と軽量化の両立を狙った樹脂部品の板厚分布の多目的最適化手法を提案する．
多様性と成形性を考慮し板厚を制御したCAEデータを作成．サロゲートモデルを構築し熱変形温度と部品重量を目的関数としてパレートフロントを導出．従来比で熱変形温度向上と軽量化を実現する最適板厚分布を見出した．

A Study of Haptic Simulator for Virtual Door Open & Close Feeling Test

Jaehoon Chung (Hyundai Motor)･Kiwook Kyung･Jisung Kim (KAIST)

Haptic simulators enable the provision of kinesthetic feedback in a virtual environment. This study used a haptic simulator to produce the force and movement of a car door during opening and closing. Since a car door has many components and various factors influence each other, the relationship between each factor must be accurately modeled to produce the tactile feeling of a car door with a simulator. Therefore, the door opening and closing torque was classified into passive and active torque, and each torque was implemented by a brake and a motor. In addition, door inertia has a significant impact on the door opening and closing feeling and movement, this factor was also implemented to develop hybrid haptic simulator. This shows that it is possible to experience a car door opening and closing feeling in a virtual environment without a physical door.

Customized interior lamp control
by detecting and determining the condition of passengers

SUNG HO PARK (Hyundai Motor)

The main function of the camera in the vehicle is to monitor the carelessness of the driver, such as drowsiness, and it is expected to be mandatory for new cars in the future. The function using the camera is expected to increase to monitor the presence of passengers and health conditions. In this study, the driver's condition is judged based on facial expressions and heart rate by using the camera in the vehicle and the mood lighting, thereby ensuring a safe and comfortable driving environment. It is intended to study a method of controlling a mood lamp that can be constructed.

New Euro NCAP Protocol for General Vehicle Controls: Redefining Safety Standards for Driver Interaction Through Vehicle Design

James D. Jackson (Applus IDIADA)

Driver distraction is recognised by Euro NCAP as a key contributing factor in risks associated with road traffic accidents. As part of the Vision 2030 strategy, a new General Vehicle Controls protocol will aim to encourage vehicle manufacturers to implement good practices which avoid distractions by design. Poor interaction design can contribute to drivers looking away from the road for extended periods, whether performing driving-related tasks or whilst using other vehicle functions. Euro NCAP will reward control design that minimises drivers looking away from the road.
This presentation will explore the following topics relating to the new protocol:
- Premise and background of HMI assessment for vehicle safety
- Development of the protocol, its structure and scope, and definition of the test procedure
- Insights from pilot implementations and guidance to industry from IDIADA experience.

Assessing Driver Engagement in a Driving Simulator

Francesco Deiana･James Jackson･Cristina Periago Linares･Elena Castro Gonzalez (APPLUS+ IDIADA)

The adoption of ADAS at Levels 2 and 3, combined with advanced occupant monitoring systems, has improved vehicle safety and comfort. However, concerns about driver attention and engagement persist, as users may not fully understand system limitations or their responsibility when systems are active. To address this, regulations emphasize "driver engagement" through monitoring, cooperation, and clear communication. IDIADA's Human Factors team developed a methodology tested in proving grounds and now implemented in a dynamic driving simulator. This study, conducted in China with 40 participants, collected subjective, objective, and physiological data, validating the approach and emphasizing the balance between technology and human control for safe systems.

A Study on Optimal Energy use for operating moving parts in vehicle

Seokjin Park･Kyungsup Chun･Jaeyoon Ryoo･Minhyung Byun･Sanghyun Lee (Hyundai Motor)

Operating sensibility refers to actual usability of consumers. There are techniques to evaluate sensibility, but it is based on force-oriented and inadequate to represent various consumers. In addition, property units of each part are different. It means that current techniques lack correlation with consumer sensibility. The purpose of this study is to propose energy evaluation method. First, we present methods that reflect needs of various consumers. Second, based on consumer energy, we determine improvement needs of various parts and suggest goals. Ultimately, all parts can be evaluated based on consumer sensibilities, and performance can be strengthened to secure product value.

マルチエージェント交通シミュレーションと交通安全性評価－現状と今後の課題

田島　淳（三咲デザイン）・鈴木　桂輔（香川大学）

本稿は，マルチエージェント交通シミュレーションによる交通安全性評価が，本質的に確率・非線形連立微分方程式系の数値解法であることを述べ，時系列信頼性モデルなどの従来手法による結果と比較を行うことを通じて，その特長を描き出し，立ち位置を明確にする．また，本手法の発展に向けた今後の課題についても整理する．

感情状態およびドライバ特性が二輪車ライダのリスクテイク行動に与える影響

鈴木　桂輔・西山　直輝（香川大学）・味村　嘉崇・Joohyeong Lee（本田技研）

ラッセルの円環感情モデルの中立と焦りに相当する感情状態状態およびDSQなどでクラスタリングしたドライバ属性ごとの，二輪車ライダのリスクテイク行動について，30名の実験参加者による基礎的な分析を行った．また，マルチエージェントシミュレーションによる，これら感情状態およびドライバ特性ごとの，運転行動分析の事例について概説する．

歩行者エージェントモデルの構築に向けたMR歩行者シミュレータの開発とシミュレータ実験データベース構築の提案

小田　蛍太・田島　淳（三咲デザイン）・鈴木　桂輔（香川大学）

歩行者行動分析ツールとして，実映像とCGを融合して被験者に提示し，実際に歩行することのできるMixed Reality歩行者シミュレータとDSを連携させ，歩行者とドライバのインタラクションを観測した結果を示す．また，シミュレータ試験で取得した時系列データ等を共有するデータベース構築について議論する．

マルチエージェント交通シミュレーションと複数台DS連携による高速道路合流に対する支援方策の有効性検証

吉岡　透（マツダ株式会社，香川大学）・鈴木　桂輔（香川大学）・鈴木　宏典（東洋大学）・田島　淳（三咲デザイン合同会社）

高速道路合流の支援方策の有効性を検証するためのプラットフォームとして構築された，10台のDSがシミュレーションによる仮想交通内を同時に走行できる環境において，CACCによる合流支援を例にとり，CACCの普及率に応じた支援効果やドライバの受容性を検討した結果を示す．また評価環境としての有用性を論じる．

安心感の高い視認支援デバイスの設計方法
-マルチエージェントシミュレーションRe:simの活用-

泉口　拓哉・米良　賢人・新酒　秀樹・髙木　誠之・河野　寛（ペンストン）・宮本　航希・吉岡　透・鈴木　桂輔（香川大学）

デジタル⾞室内後写鏡によりドライバに提⽰される視覚情報が安⼼感の醸成に与える影響を調査するために,マルチエージェントドライビングシミュレータによる被験者実験を実施した．その結果，⾞線変更における安⼼感の醸成につながるカメラ画⾓/位置，予⾒運転につながる視覚情報提示の設定指針に繋がる知⾒を得た．

電動キックボードのメタ認知運転教育の提案と効果検証

吉川　凜太郎・鈴木　桂輔（香川大学）・馬詰　健輔（あいおいニッセイ同和損害保険株式会社）

交通事故の低減を目的とした，電動キックボードのメタ認知運転教育の妥当性を明らかにするため，電動キックボードのVRシミュレータを開発し，被験者30名による実験を実施した．その結果，運転スキルの定量値や鳥瞰図を用いた運転の振り返りを行うことで，平均して運転能力に約22%，メタ認知能力に約14%の向上を確認した．

マルチエージェント交通流シミュレーションと自動運転車を接続した仮想評価環境と高度化技法の研究

北島　創・遠藤　駿・内田　信行・山崎　邦夫（日本自動車研究所）・菅沼　直樹（金沢大学）・奥野　唯（OS企画）・田島　淳（三咲デザイン）

一般道を自動走行システムが安全かつ円滑に走行するためには複雑な状況に対処できる高度な認識・判断技術が不可欠である．より高度な自動運転車の開発に向け，マルチエージェント交通流シミュレーションと自動運転車を接続する評価環境を構築し，この環境を用いて効果的な高度化を実現する評価技法について報告する．

論題：　マルチエージェント交通シミュレーションにおける交通参加者エージェントの統
一的な経路計画アルゴリズムと実データからのパラメータ推定

鈴木　宏典（東洋大学）・田島　淳（三咲デザイン）

マルチエージェント交通シミュレーションに登場する車両や二輪車，歩行者，自
転車などの交通参加者に統一的に適用しうる経路計画アルゴリズムを提案する．また，経
路計画アルゴリズム中に現れるパラメータを推定する手法についても言及する．さらに，
シミュレータで取得した走行データを用いて提案の方案の有効性を検証する．

ドライブレコーダ映像とマルチエージェント交通シミュレーションとの連携技術の実現に向けて
-デジタル都市モデルを活用した3D位置再構成技術の開発-

荒川　俊也（日本工業大学）・田島　淳（三咲デザイン合同会社）・丹羽　洋典（合同会社nitro）

ドライブレコーダに記録された映像に基づいて，その交通状況をシミュレーションにより再現する技術には，様々な応用先がある．本稿では，その意義を述べるとともに，中心課題である自・他車などの位置・方位角等の推定精度について，デジタル都市モデルを活用するマッチング技術より高精度化する手法を提案する．

マルチエージェント交通シミュレーションにより生成される交通流の下での同一被験者による長期間にわたるシミュレータ走行データの取得と分析

木村　年晶（京都橘大学）・鈴木　宏典（東洋大学）・田島　淳（瀬戸内シミュレータ）

マルチエージェント交通シミュレーションによる試行ごとに交通状況が変化する交通流において，同一被験者が数か月間にわたりドライビング・シミュレータを運転することによる運転行動や主観的評価，顕在化しない意識の変化などを調査した結果を示し，従来の条件統制，短期間で行われるシミュレータ試験手法との比較を行う．

災害避難時における「車両乗り捨て」をもたらす要因分析

増渕　遥斗（日本工業大学）・青山　航典（前：日本工業大学）・荒川　俊也（日本工業大学）

東日本大震災では，車避難により交通渋滞が発生，津波に巻き込まれる事態が生じた．本研究では，津波避難時の車乗り捨てに影響する要因を分析するためシミュレータによる実験を実施した．先行車の車両放棄と同調し車両を放棄する傾向が観察された．また，津波到達時間の表示は，放棄の直接要因にはならないことが示された．

マルチエージェント交通シミュレーションを用いた，メーカーの自動運転事故の法的リスク管理

友近　直寛（もみのき・友近法律事務所）

メーカーは，自動運転車のプログラムに数値を与える際，自動運行装置の技術基準を解釈する必要がある．そして，自動運転車側に原因がある事故が発生した場合の法的リスクに対処するためには，数値自体の正当性及び解釈過程の正当性を立証しなければならない．これらの要求に応える解釈手法を考察する．