一般講演

論文一覧

E32-C1 バイオ・マイクロシステムバイオ・マイクロシステム（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
3-107	電界配向現象を用いた希釈培地中での分裂酵母菌細胞の生存活性測定法
3-107	○須加実・国本彩・篠原寛明（富山大学）電気学会全国大会講演要旨 3-107 電界配向現象を用いた希釈培地中での分裂酵母菌細胞の生存活性測定法 ○須加実・国本彩・篠原寛明（富山大学）交流電界中に非球形細胞が置かれると印加周波数に依存し電界方向に平行又は垂直に配向する電界配向現象が観察される。我々は分裂酵母菌の生細胞と死細胞が印加周波数10 MHzで配向方向が異なることを利用し生死判別するシステムを報告してきた。しかし，生死判別には細胞外溶液の導電率を低くするため純水に置換する操作が必要となる。そこで本研究では，培地成分を含んだ高導電率溶液を用いて電界配向の特性を調べ，希釈培地中での細胞個々の生存活性測定が可能か検討した。その結果，培養液を10倍以上希釈（10 mS/m以下）することで従来とほぼ同じ交流印加条件で判定できる可能性が示唆された。
3-108	青色光照射酵母における誘電泳動速度と代謝状態の相関
3-108	◎高松聡・内田諭・杤久保文嘉（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 3-108 青色光照射酵母における誘電泳動速度と代謝状態の相関 ◎高松聡・内田諭・杤久保文嘉（首都大学東京）現在、食料・飲料や医薬品、バイオ燃料など、幅広い製造分野において発酵現象が利用されている。これらの効率的な生産においては、菌の代謝状態を迅速かつ簡便に常時管理できる新たな計測システムの開発が望まれている。当研究グループでは、これまで細胞の誘電特性と代謝状態の直接的な相関を検証するために、加熱処理酵母の誘電泳動(Dielectrophoresis; DEP)速度計測を行った。実験結果から、不活性化した酵母のDEP速度は低下するが、活性化酵母では上昇することが分かった。本報では、DEP速度と代謝状態の相関関係をより明確にするため、青色光照射した酵母群DEP速度の放置時間特性から活性変化を検証した。
3-109	三次元誘電泳動デバイス内の金ナノ粒子群に対する作用力の定量比較
3-109	◎中河原僚介・内田諭（首都大学東京）・澁谷泰一・西川宏之（芝浦工業大学）電気学会全国大会講演要旨 3-109 三次元誘電泳動デバイス内の金ナノ粒子群に対する作用力の定量比較 ◎中河原僚介・内田諭（首都大学東京）・澁谷泰一・西川宏之（芝浦工業大学）近年、金属ナノ粒子の集積化を利用したデバイス構築が注目されている。作製されるデバイスは高機能センサとしての利用が期待される。しかしながら、デバイス構築には、ナノ粒子の精密操作が重要な検討事項となる。上記の操作技術として、著者らは誘電泳動法に着目した。本技術は簡便かつ安価であり、電気パラメータの選択のみで操作が可能である。最適なデバイスを作製するために、簡易に条件設定が可能な数値シミュレーションによる解析は有効である。著者らは、ピット型誘電泳動デバイス内における金ナノ粒子の挙動解析が可能な数値モデルの構築を行ってきた。本報では、空間領域毎の粒子に働く誘電泳動力と他の作用力を定量的に比較した。
3-110	3次元誘電泳動デバイスにおける血中細胞分離の数値シミュレーション
3-110	佐藤健太・○内田諭・杤久保文嘉（首都大学東京）・円城寺隆治・脇坂嘉一（AFIテクノロジー）電気学会全国大会講演要旨 3-110 3次元誘電泳動デバイスにおける血中細胞分離の数値シミュレーション佐藤健太・○内田諭・杤久保文嘉（首都大学東京）・円城寺隆治・脇坂嘉一（AFIテクノロジー） Effective separation and condensation processes are essential for precise detection of circulating tumor cells in early diagnosis of cancer. In this study, we proposed a dielectrophoretic device with micro pillar electrodes as cell separator. Also, we simulated the spatio-temporal behavior of model cells on the basis of microfluidics and electrokinetics. The particle trajectory in a flow direction was changed by dielectrophoretic force generated between the pillars. In addition, we applied cell levitation technology by dielectrophoretic force from electrodes. This result suggests the tumor cells can be purified from real blood under adequate electrical condition.
3-111	微粒子誘電泳動によるDNA検出の高感度化を目的としたマイクロ流体デバイスの開発
3-111	○井田健一・松田兼弥・中野道彦・末廣純也（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 3-111 微粒子誘電泳動によるDNA検出の高感度化を目的としたマイクロ流体デバイスの開発 ○井田健一・松田兼弥・中野道彦・末廣純也（九州大学）筆者らは、ポリメラーゼ連鎖反応により増幅したDNAを微粒子に修飾することで生じる微粒子の誘電特性の変化を利用したDNA検出法を開発した。しかし、この手法では大きな誘電特性の変化を利用している事から修飾するDNA量が多くなってしまうという問題がある。そこで、本研究では低濃度DNAを検出するために、DNA修飾微粒子に働く負の誘電泳動力がDNA修飾量に応じて変化することに着目し、その変化を検出するためのマイクロ流体デバイスを考案した。有限要素法による数値解析を用いて構造の検討を行い、デバイスを作製して評価を行った。その結果、負の誘電泳動力の変化を微粒子の運動軌跡の変化として観測でき、DNA検出が可能であることが示された。
3-112	耐熱性アビジン修飾微粒子を用いた誘電泳動によるDNA検出
3-112	◎山崎達郎・丁震昊・堀田博一・中野道彦・末廣純也（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 3-112 耐熱性アビジン修飾微粒子を用いた誘電泳動によるDNA検出 ◎山崎達郎・丁震昊・堀田博一・中野道彦・末廣純也（九州大学）筆者らは，DNA結合によって誘電体微粒子の誘電泳動特性が変化することを利用し，誘電泳動インピーダンス計測法(DEPIM)によってPCRにより増幅されたDNAを迅速かつ簡便に検出する方法を考案した．現在，PCR増幅と上記のDNA検出をワンチップ上で行うDNA検出装置の開発を目指している．その為には，高温下で反応が進むPCRの際，DNAと微粒子の結合に用いているビオチン・アビジン結合がダメージを受けないことが必要である．本研究では，それを実現するために耐熱性アビジン修飾微粒子を作製し，DNA検出への適用可能性を検討した．結果として，作製した微粒子を用いてDNAを検出可能であり，耐熱性も示され，この微粒子を用いたPCR中でのDNAとの結合可能性が示された．
3-113	細胞初期化に向けた電界集中型細胞融合による細胞核交換
3-113	◎岡野定雅弘（日立製作所）・オケヨケネディ（東京大学）・半澤宏子・武田志津（日立製作所）・鷲津正夫（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 3-113 細胞初期化に向けた電界集中型細胞融合による細胞核交換 ◎岡野定雅弘（日立製作所）・オケヨケネディ（東京大学）・半澤宏子・武田志津（日立製作所）・鷲津正夫（東京大学） iPS細胞は，体細胞に初期化遺伝子を導入し細胞核を初期化する事で樹立される。初期化時間は10日以上で，自己細胞由来iPS細胞を利用した再生医療の大きな課題である。細胞融合は約48時間で体細胞の初期化が可能だが，2種以上の細胞核の混合が課題となっている。本研究では，マイクロ流体デバイスに設けた細胞核径より小さいオリフィスによる電界集中型細胞融合と細胞質移植を利用し，細胞核を混合させずに体細胞核をiPS細胞質へ導入する新たな細胞核交換法を考案し確立した。細胞核交換法では体細胞の細胞質を除去する事により分化因子を減少させ，導入したiPS細胞の細胞質中の初期化因子が細胞初期化に優位に働くと期待できる。

E32-C2 バイオ・マイクロシステムバイオ・マイクロシステム（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
3-114	マイクロリアクタ向け不斉分析用偏光分析CMOSイメージセンサの消光性能向上
3-114	◎宮崎駿佑・中塚篤志・中野百恵・春田牧人・野田俊彦・笹川清隆・徳田崇・西山靖浩・垣内喜代三・太田淳（奈良先端科学技術大学院大学）電気学会全国大会講演要旨 3-114 マイクロリアクタ向け不斉分析用偏光分析CMOSイメージセンサの消光性能向上 ◎宮崎駿佑・中塚篤志・中野百恵・春田牧人・野田俊彦・笹川清隆・徳田崇・西山靖浩・垣内喜代三・太田淳（奈良先端科学技術大学院大学）近年、化学反応の高効率化や試薬量削減の観点からマイクロリアクタと呼ばれる微小反応器システムが注目されている。我々はマイクロリアクタでの利用を想定した、偏光分析CMOSイメージセンサベース不斉計測装置の開発を行ってきた。しかし、過去の研究で開発したセンサは隣り合う画素同士のクロストークの影響から偏光子搭載画素における出力の値が平滑化され、偏光分析性能(消光比)が低下するといった問題があった。本稿では、クロストークの抑制による消光比の向上を目的として新たに設計した偏光分析CMOSイメージセンサについて報告する。
3-115	ライトパイプアレイ搭載CMOSイメージセンサを用いた微小液滴チャンバーの蛍光観察
3-115	◎池田斉仁・竹原浩成・中本悠太・春田牧人・野田俊彦・笹川清隆・徳田崇・太田淳（奈良先端科学技術大学院大学）電気学会全国大会講演要旨 3-115 ライトパイプアレイ搭載CMOSイメージセンサを用いた微小液滴チャンバーの蛍光観察 ◎池田斉仁・竹原浩成・中本悠太・春田牧人・野田俊彦・笹川清隆・徳田崇・太田淳（奈良先端科学技術大学院大学）酵素結合免疫吸着法(ELISA)は、抗原抗体反応及び酵素反応によって生成される蛍光分子を検出することで、抗体に結合させた特定のタンパク質やウイルス等を測定する手法である。デジタルELISAは、従来のELISA と比較して100 万倍の感度を持つ手法であり、疾病の早期発見等への応用が期待される。しかし、現状では装置が大型で多様な臨床現場での検査には不向きである。そこで、レンズを用いない光学系を利用することにより、装置全体の小型化を進めている。デジタルELISA では、多数の微小液滴チャンバーを蛍光観察し、蛍光を発するチャンバー数を計数することによって、抗原の濃度を測定することができる。図1 に示すようにチャンバーの直下にライトパイプ搭載画素を配置することにより、液滴内のELISA 反応によって生じる蛍光の有無が高効率に検出される。本稿では、微小液滴からの蛍光ライトパイプアレイ搭載CMOS イメージセンサを用いて観察した結果を報告する。
3-116	同軸型オプトロードを搭載した新構造CMOSベースフレキシブルBMIデバイス
3-116	○石津岳明・岩崎聡・春田牧人・野田俊彦・笹川清隆・徳田崇・太田淳（奈良先端科学技術大学院大学）電気学会全国大会講演要旨 3-116 同軸型オプトロードを搭載した新構造CMOSベースフレキシブルBMIデバイス ○石津岳明・岩崎聡・春田牧人・野田俊彦・笹川清隆・徳田崇・太田淳（奈良先端科学技術大学院大学）脳機能のネットワークを解明するための手法としてオプトジェネティクス技術が注目されている。オプトジェネティクスとは、細胞にチャネルロドプシン2（ChR2）などの光感受性の蛋白質を発現させることで、光反応性を付与する技術である。ChR2は470nmの光を吸収することで細胞を興奮させる。我々はこれまで、CMOS集積回路技術を用いて、オプトジェネティクスに応用可能な光・電気による脳神経刺激・計測デバイス（Brain Machine Interface = BMIデバイス）を提案してきた。今回、光刺激および計測箇所が同軸上となる同軸型オプトロードを搭載した、多点計測に対応できるフレキシブルBMIデバイスの基本構造を試作・評価したので報告する。
3-117	人工視覚システム用CMOSチップ内蔵網膜刺激電極の実装工程最適化と機能検証
3-117	◎西村信耶・吉村彰人・野田俊彦（奈良先端科学技術大学院大学）・寺澤靖雄・中野由香梨（ニデック）・春田牧人・笹川清隆・徳田崇・太田淳（奈良先端科学技術大学院大学）電気学会全国大会講演要旨 3-117 人工視覚システム用CMOSチップ内蔵網膜刺激電極の実装工程最適化と機能検証 ◎西村信耶・吉村彰人・野田俊彦（奈良先端科学技術大学院大学）・寺澤靖雄・中野由香梨（ニデック）・春田牧人・笹川清隆・徳田崇・太田淳（奈良先端科学技術大学院大学）失明した患者の視覚を再建する人工視覚デバイスの高解像度化を目指し，本研究では多電極アレイ作製に向け実装工程の最適化を行なった。多電極化の要となるCMOSチップを，フレキシブル基板上に形成したマイクロバンプ上に実装する構造とすることで，少ない工程数かつ高歩留まりでの電極実装を実現した。また作製した2電極デバイスを豚眼に埋植して、多電極化で必須となる電極ID指定機能の動作を実証した。今回実証したデバイス構造は，配線数を増やすことなく最大1024電極に対応可能であり，その実装を高歩留まりで行う事ができる。1000点を超える網膜刺激によって解像度が向上し，文字判別可能なレベルに到達する事が期待される。
3-118	無機固体素子を用いたフィルム状脳内埋植用フレキシブルデバイスの開発
3-118	◎山口貴大・須永圭紀・春田牧人・野田俊彦・笹川清隆・徳田崇・太田淳（奈良先端科学技術大学院大学）電気学会全国大会講演要旨 3-118 無機固体素子を用いたフィルム状脳内埋植用フレキシブルデバイスの開発 ◎山口貴大・須永圭紀・春田牧人・野田俊彦・笹川清隆・徳田崇・太田淳（奈良先端科学技術大学院大学） CMOSイメージセンサをマウスやラットの脳内に直接埋植することで，脳の活動を光学的に観察することが可能である．しかし，従来のデバイスは柔軟性に乏しいためセンサ素子を複数搭載したデバイスの製作が困難であり，生体への親和性も十分でなかった．素子アレイ化による脳表面の広域計測の実現や生体に対する侵襲性の低減のためには，従来より大幅に柔軟な基板を持つデバイスの開発が必要である．そこで，本研究では特に無機固体素子を複数実装しながら高い柔軟性を持つフィルム状デバイスの実現を目標として，有機フィルム上に素子をアレイ化する実装技術の開発を行い，生体内で動作する光学デバイスの実現を実証した．
3-119	心筋細胞外電位測定のためのPDMS埋め込み型電極アレイ
3-119	○大牧達矢・平井義和・亀井謙一郎・土屋智由・田畑修（京都大学）電気学会全国大会講演要旨 3-119 心筋細胞外電位測定のためのPDMS埋め込み型電極アレイ ○大牧達矢・平井義和・亀井謙一郎・土屋智由・田畑修（京都大学）近年マイクロ流体デバイス内で人体内における生理学的反応を再現した創薬スクリーニングデバイス「Body on a Chip」が注目されている．本発表ではPDMS製のBody on a Chipで心筋細胞外電位を測定し，リアルタイムかつ詳細な薬物動態試験を目的にPDMS埋め込み型電極アレイを提案する．作製した電極アレイの交流インピーダンス特性を評価した結果，心筋細胞外電位を測定するための目標性能の達成を確認した．
3-120	Electrochemical Microdevice for Highly Sensitive Coulometric Detection of Proteins
3-120	◎Isa Anshori・Hiroaki Suzuki（筑波大学）電気学会全国大会講演要旨 3-120 Electrochemical Microdevice for Highly Sensitive Coulometric Detection of Proteins ◎Isa Anshori・Hiroaki Suzuki（筑波大学） Highly sensitive detection of proteins was realized using coulometric detection coupled with metallization. Two microfluidic channels were used to accommodate electrodes for the oxidation of an enzymatic reaction product and deposition of silver that occur simultaneously at the mixed potential. Enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) was conducted and hydrogen peroxide (H2O2) was oxidized on the electrode. The amount of deposited silver was measured by coulometry. By replacing the glucose plug with fresh ones to produce H2O2 additionally, the signal could be increased. Estimated detection limit of 0.4 ng/ml was achieved using the device.

E32-A3 フィジカルセンサフィジカルセンサ（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
3-121	圧電素子によるマイクロフォンの特性シミュレーションモデル
3-121	○佐藤裕樹・瀬志本明・山崎王義・藤原宗（新日本無線）・益一哉・石原昇（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 3-121 圧電素子によるマイクロフォンの特性シミュレーションモデル ○佐藤裕樹・瀬志本明・山崎王義・藤原宗（新日本無線）・益一哉・石原昇（東京工業大学）モバイルデバイスには多数のMEMSマイクロフォンが搭載されている。MEMSマイクロフォンは音響-電気変換を担うトランスデューサーと、電気信号を増幅するアンプ部で構成される。従来のトランスデューサーは静電容量型が一般的であるが、近年では防塵、防水性を備えた圧電型が発表された。圧電型トランスデューサーの動作原理は、圧電膜に音響信号による応力が掛かり、圧電膜内で分極が発生し、電荷が生成されることである。この物理現象を等価回路で表現できれば、性能の根拠、雑音性能を直感的に理解し易くなり、高性能、低雑音な圧電型トランスデューサーを設計できるようになる。そこで、物理現象に則した圧電型トランスデューサーの等価モデルを提案する。
3-122	P(VDF/TrFE)薄膜を用いたMEMS超音波アレイセンサ
3-122	○田中恒久・村上修一・宇野真由美（大阪府立産業技術総合研究所）・山下馨（京都工芸繊維大学）・佐藤和郎（大阪府立産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 3-122 P(VDF/TrFE)薄膜を用いたMEMS超音波アレイセンサ ○田中恒久・村上修一・宇野真由美（大阪府立産業技術総合研究所）・山下馨（京都工芸繊維大学）・佐藤和郎（大阪府立産業技術総合研究所）自動走行車の普及が進み小型かつ高性能な障害物センサの開発が求められている。超音波センサは近距離の障害物検知センサに適しており，超音波センサを2次元アレイ化しフェイズド・アレイ方式の電子走査を行えば物体の3次元計測が可能である。超音波センサをMEMS化すれば小型化が可能であるが，受信面積減少のために受信感度の低下が懸念される。受信感度向上を目指してP(VDF/TrFE)薄膜を用いたMEMS超音波アレイセンサ（以下MEMS超音波センサと略す）の試作実験を行ったので報告する。
3-123	圧電MEMSダイアフラムセンサ用ゾル・ゲルPZT薄膜の残留応力評価
3-123	◎塩見丈・山下馨・西海太貴・野田実（京都工芸繊維大学）電気学会全国大会講演要旨 3-123 圧電MEMSダイアフラムセンサ用ゾル・ゲルPZT薄膜の残留応力評価 ◎塩見丈・山下馨・西海太貴・野田実（京都工芸繊維大学）我々は空中超音波での3次元計測を目的として，圧電MEMSダイアフラム型超音波センサを開発している。これまでダイアフラムが上向きに撓むことで高感度となることを明らかにし，高感度の上向き撓みを自動的に実現するセンサ作製プロセスを開発してきた。ゾル・ゲルPZT膜の引張応力が上向き撓みを実現するが，応力が強すぎると撓み量そのものが減少するため，PZTの残留応力制御が重要である。今回我々は，ゾル・ゲル製膜条件によりPZT残留応力を制御することを試みた。今回の条件では(100)配向400℃仮焼成膜が残留応力の点から最適であることが分かったが，今後電気特性を含めた評価を進める予定である。
3-124	高圧水素ガス中で水素の影響を受けないCr-Nひずみセンサ薄膜
3-124	○丹羽英二（電磁材料研究所）・三上浩（昭和測器）電気学会全国大会講演要旨 3-124 高圧水素ガス中で水素の影響を受けないCr-Nひずみセンサ薄膜 ○丹羽英二（電磁材料研究所）・三上浩（昭和測器）近年、家庭用燃料電池の普及、燃料電池自動車の販売および水素ステーションの建設など水素エネルギー社会の実現に向けた動きが加速しつつある。そのような中、水素環境下で用いるひずみセンサが必要とされ、（株）共和電業から販売されるに至ったが、ゲージ率は約2.5と低い。そこで、高圧水素中で使用可能な高感度なひずみセンサの開発を目的として、ゲージ率が約14と大きいCr-N薄膜への高圧水素ガス環境下での水素の影響を調べた結果、Cr-N薄膜は水素の影響を受けないことが確認された。その結果について報告する。
3-125	シングルビームルビジウム原子磁力計の磁気感度評価
3-125	○前沢翔・大坊真洋（岩手大学）電気学会全国大会講演要旨 3-125 シングルビームルビジウム原子磁力計の磁気感度評価 ○前沢翔・大坊真洋（岩手大学）光ポンピング原子磁力計は、光ポンピングとそれによるアルカリ金属原子に磁場を印加したときに起こるスピン偏極を用いた磁気センサである。我々は、楕円偏光とアルカリ金属としてルビジウムを用いることにより、シングルビームルビジウム原子磁力計を構築した。本報告では構築したルビジウム原子磁力計の磁気感度の評価について述べる。レーザーの波長を780.110 nm、偏光の楕円率を0.28、ルビジウムセルの温度を125°Cへ最適化することにより、周波数 2.99 kHzで1.4 pTの磁気感度が得られた。

E32-A4 フィジカルセンサフィジカルセンサ（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
3-126	超高感度静電誘導を用いた椅子への乗移り動作の検出
3-126	○栗田耕一・茨木貴裕・阪東涼（近畿大学）電気学会全国大会講演要旨 3-126 超高感度静電誘導を用いた椅子への乗移り動作の検出 ○栗田耕一・茨木貴裕・阪東涼（近畿大学）私たちが普段日常的に行っている動作には各個人の特徴や癖のようなものが存在している。そこで、この個人固有の特徴を数値データや波形として簡便に抽出することができれば個人認証技術や高齢者・障害者へのライフサポート、病気の早期発見など様々な分野への応用が期待できると考えた。筆者らは人体動作の際に生じる人体電位の変動を静電誘導により検出する方法を開発した。この方法を用いることにより人体にセンサ等を装着することなく完全非接触で歩行運動等の人体動作の検出が可能であることを示した。本研究では人体の基本動作の一つとなる「椅子の乗移り動作」を例に、静電誘導電流波形の検出を試みた。
3-127	乳酸計測用マイクロフローシステムを用いた長時間連続計測の検討
3-127	◎河合望・榎本圭吾・工藤寛之（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 3-127 乳酸計測用マイクロフローシステムを用いた長時間連続計測の検討 ◎河合望・榎本圭吾・工藤寛之（明治大学）乳酸は筋肉における嫌気代謝の指標として、スポーツ医学や臨床医学などで注目を集めている。しかし一般的に用いられる採血による計測は、例えば数時間おきの計測では、乳酸量の推移を調べる目的には適さない。そこで著者らは、ポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane, PDMS) 製の小型の流路と、乳酸酸化酵素(Lactate oxidase, LOD)が生成する過酸化水素を西洋ワサビペルオキシダーゼ(Horseradish peroxidase, HRP) とオスミウム錯体を用いた反応系（Os-HRP）により電気化学的に検出するバイオセンサを組み合わせ、サンプリングから計測まで連続的に行うマイクロフローシステムを開発した。本稿では、本システムを24時間程度のモニタリングに利用することを目的として検討した結果について報告する。
3-128	応力発光Al材におけるスクラッチ発光の検出
3-128	◎澤田僚・大路貴久・飴井賢治・堀田裕弘・松田健二・沖野浩二・柴田啓司・李昇原（富山大学）電気学会全国大会講演要旨 3-128 応力発光Al材におけるスクラッチ発光の検出 ◎澤田僚・大路貴久・飴井賢治・堀田裕弘・松田健二・沖野浩二・柴田啓司・李昇原（富山大学）近年，東日本大震災や熊本地震などの大規模地震が発生し，地震に対する防災機能の強化対策が急務となっている。また，防災・減災のためのICT関連システムとして情報デバイスの開発と高機能化，省電力化が進んでいる。本研究は，蓄光作用を持つ粒子をアルミニウム内に均一分布させたAl基複合材料（応力発光アルミニウム: SL-Al）の応力発光特性に着目し，外力に呼応し発光する地震検知用センサの開発を目的としている。本稿では，地震発生時の状況として停電時（照射光消灯後）を想定したスクラッチ発光実験について報告する。
3-129	シールド電極を用いた半導体型土壌インピーダンスセンサの開発
3-129	○小笠原慎・伊藤巽（静岡大学）・小松満（岡山大学）・草野健一郎（ラピスセミコンダクタ宮城）・渡辺実（ラピスセミコンダクタ）・秋田一平（豊橋技術科学大学）・平野陽豊・二川雅登（静岡大学）電気学会全国大会講演要旨 3-129 シールド電極を用いた半導体型土壌インピーダンスセンサの開発 ○小笠原慎・伊藤巽（静岡大学）・小松満（岡山大学）・草野健一郎（ラピスセミコンダクタ宮城）・渡辺実（ラピスセミコンダクタ）・秋田一平（豊橋技術科学大学）・平野陽豊・二川雅登（静岡大学）我々は斜面崩壊の事前検知を目標に半導体型土壌水分量センサの研究を行っているが、これまでに開発したセンサでは低い水分量土壌での計測を行うことが出来なかった。本研究では、半導体内にシールド電極を設けたセンサの設計を行い、半導体基板内を流れる電流（リーク電流）を除外することで低水分量土壌土壌での計測を実現した。
3-130	降雪粒子観測装置の形状再現性向上
3-130	◎斎藤佑紀・津田紀生・山田諄（愛知工業大学）・民田晴也（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 3-130 降雪粒子観測装置の形状再現性向上 ◎斎藤佑紀・津田紀生・山田諄（愛知工業大学）・民田晴也（名古屋大学）レーダ降雪強度推定の実用化には、降雪粒子のマイクロ波散乱特性の知見深化が必要である。本研究では、降雪粒子の立体形状、落下速度および粒径分布を計測するラインスキャナ型のLaser Disdrometer (LD)を開発している。立体形状から後方散乱断面積を理論計算、粒径分布で積分して得たレーダシグナルの理論値を観測値と比較することで降雪強度の推定精度向上を目標としている。レーザラインスキャナを45°間隔に配置、4方向から得た粒子影画から粒子立体形状を再現し、40°ラインスキャナで取得する影絵は粒子の奥行、凹形状の情報を含まないため、上方から2台のカメラで撮影した画像を再現立体形状と重ね合わせ余分な個所を削り、立体形状再現性の向上を図る。

E32-B1 センサ・マイクロマシン　ビギナーズセッションビギナーズセッション（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
3-131	SiGeによるコンボセンサ実現に向けた磁気センサの設計
3-131	◎氏家朱理・廣田朝地・神田健介・藤田孝之・前中一介（兵庫県立大学）電気学会全国大会講演要旨 3-131 SiGeによるコンボセンサ実現に向けた磁気センサの設計 ◎氏家朱理・廣田朝地・神田健介・藤田孝之・前中一介（兵庫県立大学）近年，さらなるセンサシステムの集積化が要求されており，コンボセンサはシステムの集積化に有利である。集積化コンボセンサの製造をモノリシック融合にて行うことで，ノイズを誘起し故障率を増大させるワイヤボンディングを削減できるなどの利点がある。SiGeはGe濃度を変えることにより応力を制御でき，CMOSに影響を与えにくい温度で堆積可能であることから，モノリシック融合に適した材料である。本研究では，SiGeを用いたコンボセンサの作製に向け，その1要素として磁気センサを作製するため，設計を行った。設計した磁気センサについて有限要素解析により計算した結果，検出可能な静電容量が得られることが確認できた。
3-132	パーマロイ磁気コンセントレータによる磁場勾配を用いた共振型磁気センサ
3-132	◎諏訪亘・猪股直生・戸田雅也・小野崇人（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 3-132 パーマロイ磁気コンセントレータによる磁場勾配を用いた共振型磁気センサ ◎諏訪亘・猪股直生・戸田雅也・小野崇人（東北大学）本研究では，軟磁性体であるパーマロイビームから構成された磁気コンセントレータを用いた共振型の磁気センサを提案し，その作製，および評価を行った．本センサにおいて，パーマロイコンセントレータは外部の一様磁場を磁場勾配に変換する役割を担い，パーマロイコンセントレータ内に形成されたSi振動子上の磁性粒子に磁気力が働き，振動子の共振周波数が変化する．大気中の自励発振条件下で，本センサの動作を確認した結果，その磁気分解能は5.1×10^-7 [T]であった．実験結果から，振動子の小型化，パーマロイコンセントレータの形状を改善することによって1.7×10^-14 [T]まで磁気分解能を向上させることができる可能性が示された．
3-133	生体モニタリングデバイスの低消費電力化
3-133	◎中村建太・服部喜優・藤原潤・神田健介・藤田孝之・前中一介（兵庫県立大学）電気学会全国大会講演要旨 3-133 生体モニタリングデバイスの低消費電力化 ◎中村建太・服部喜優・藤原潤・神田健介・藤田孝之・前中一介（兵庫県立大学）本研究室では、人の体温や心拍数などの生体情報をモニタリングする絆創膏型のデバイスを開発している。先行研究において、運動量抽出ASIC、心拍抽出ASICの開発によってMPUの動作時間を大幅に削減し、低消費電力化に成功した。本研究では、システムのMPUについて最適化を行うことで消費電力を更に削減し、これらのASIC及びMPUを将来的に一つのASICとすることを前提に、1チップの小型かつ低消費電力なFPGAに実装した。このFPGAを用いたシステム全体の消費電力は150μWとなり、250mAhのコイン電池を用いた場合に2ヶ月以上の連続動作が可能である。
3-134	微小変位計測装置の製作及び評価
3-134	◎西川良介・佐藤宣夫（千葉工業大学）電気学会全国大会講演要旨 3-134 微小変位計測装置の製作及び評価 ◎西川良介・佐藤宣夫（千葉工業大学）機械的振動に基づくエネルギーハーベスティング技術に着目し，微小な振動を精密計測するための装置を製作，評価した．具体的な方法は，構造共振が計算によって容易に判明するカンチレバー構造体を用いて理論値と実測値を比較，評価した．
3-135	摩擦感テスタによる布地の計測と官能評価
3-135	◎三島伊吹・井上祐輔・八幡拓真（名城大学）・中山貴裕（トヨタ自動車）・室山真徳（東北大学）・野々村裕（名城大学）電気学会全国大会講演要旨 3-135 摩擦感テスタによる布地の計測と官能評価 ◎三島伊吹・井上祐輔・八幡拓真（名城大学）・中山貴裕（トヨタ自動車）・室山真徳（東北大学）・野々村裕（名城大学）ロボットに人間と同様の触覚センシングを持たせることで、格段の機能向上が図られる。人間の持つ感性を指標とした官能表現と物理測定値との関係を見出すための初期段階として、「摩擦感テスタ」を用い、布地の測定および評価を試みた。布地は手触りの異なるもの約200種収集し、一般成人男性10人のもとで布地を選定し、「やわらかさ感」に対し官能強度(1-6段階、数字が大きい程、やわらかさ感大)を表す標準標本試料を選び出し測定した。5種のデータの中でが「やわらかさ感数」との対応が良いものは布地の平均摩擦係数(MIU)であった。「やわらかさ感数」が高くなる程、センサヘッドの沈み込みが深くなる傾向が見られ、摩擦係数が増加すると考えられる。

E32-C3 センサ・マイクロマシン　ビギナーズセッションビギナーズセッション（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
3-136	無機半導体pn接合を用いたアレイ化二次元電気化学センサの研究
3-136	◎小杉恵太・長谷川有貴・内田秀和（埼玉大学）電気学会全国大会講演要旨 3-136 無機半導体pn接合を用いたアレイ化二次元電気化学センサの研究 ◎小杉恵太・長谷川有貴・内田秀和（埼玉大学）近年、医薬品産業の需要は大きく成長し，新薬創出のスクリーニングを効率よく行う手法の開発が期待されている。本研究は電流計測型の二次元電気化学センサであるLight Addressable Amperometric Sensor (LAAS)をアレイ化センサとして利用し，個別の微量サンプルを多数並列測定できるデバイスの実現を目指すものである。LAASは酵素センサなどに広く応用実績のあるアンペロメトリに基づくデバイスで，酵素阻害剤などの開発に有望と考えられる。これまで有機バルク接合型LAAS，有機ヘテロ接合型LAAS，無機ショットキー接合型LAASを実現しているが，本研究ではより高感度な特性を期待できる無機pn接合型LAASを試作し，二次元測定に成功したので報告する。本研究ではより高感度が期待できるpn接合を用いたアレイ化LAASデバイスの試作についての結果と考察を述べる。
3-137	圧電MEMS超音波センサ用ゾル・ゲルPZT薄膜の作製条件とセンサ感度
3-137	◎中島将太・塩見丈・山下馨・野田実（京都工芸繊維大学）電気学会全国大会講演要旨 3-137 圧電MEMS超音波センサ用ゾル・ゲルPZT薄膜の作製条件とセンサ感度 ◎中島将太・塩見丈・山下馨・野田実（京都工芸繊維大学）我々は空中超音波での3次元計測を目指して圧電ダイアフラム型センサを開発している。これまでにダイアフラムの撓みがセンサ感度に影響を与えることを見出し，またゾル・ゲルPZTの製膜条件によってダイアフラムの撓みが変化することを報告してきた。今回は，製膜条件によるPZT薄膜の特性及びダイアフラムの撓み量と感度の関連を評価した。その結果，仮焼成温度により結晶性と応力および強誘電性が変化したが，センサ感度はほぼ応力に起因するダイアフラム撓み量のみとの相関が大きいことが示された。
3-138	視覚・触覚複合MEMSセンサのエラストマ形状による力感度制御
3-138	◎佐藤周平・安部隆（新潟大学）・野間春生（立命館大学）・寒川雅之（新潟大学）電気学会全国大会講演要旨 3-138 視覚・触覚複合MEMSセンサのエラストマ形状による力感度制御 ◎佐藤周平・安部隆（新潟大学）・野間春生（立命館大学）・寒川雅之（新潟大学）本研究では、視覚・触覚複合MEMSセンサにおけるエラストマ形状の再デザインおよび比較を行い、力に対する感度を大幅に向上した。近年、人間のような器用な動作を行うロボットや人間の感性の定量的評価が注目されているが、それらにおいては人間に近い視覚・触覚の検知が必須である。我々が開発しているセンサは、半導体の光電効果とエラストマに埋め込まれたMEMS構造によるひずみ検知により単一のセンサで複合して計測が可能であり、それらの用途で有用である。本報告では、このセンサのエラストマの形状を変更することにより、従来の7倍以上の垂直荷重に対する出力を得ることができ、MEMSの設計を変更することのない感度制御の可能性を示した。
3-139	微小流体チップ対応水晶発振回路式液体センサの電極サイズ最適化
3-139	○江端亮・坂井了・寒川雅之・安部隆（新潟大学）電気学会全国大会講演要旨 3-139 微小流体チップ対応水晶発振回路式液体センサの電極サイズ最適化 ○江端亮・坂井了・寒川雅之・安部隆（新潟大学）本研究では、微小流体チップ中の液体を分析するための水晶発振回路式の微小容量センサの作製と評価を行い、液体の導電率や誘電性変化を高感度で測定可能な最適な電極サイズを見出したので報告する。

E32-B2 マイクロマシン・センサシステムマイクロマシン・センサシステム
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
3-140	プローブ型共焦点内視鏡用2次元レーザー走査ユニット
3-140	◎石河範明・河村幸則・窪田正雄（富士電機）・澤田廉士（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 3-140 プローブ型共焦点内視鏡用2次元レーザー走査ユニット ◎石河範明・河村幸則・窪田正雄（富士電機）・澤田廉士（九州大学）共焦点蛍光顕微鏡の原理を応用したプローブ型共焦点内視鏡は、高倍率で患部の情報を取得することが可能なデバイスである。通常内視鏡の鉗子チャネル（内径φ3mm程度）に挿入可能なサイズに小型化することで、従来困難であった疾患部位の直接診断と処置を同時に行うことが可能となり、患者への負担を軽減することが期待される。本研究では外径φ3mmの円管に搭載可能な2次元レーザー走査ユニットを設計、作製した。1軸MEMS光スキャナを2個直列に配置したスキャナチップと台形形状の反射プリズムを組み合わせることで、外径φ3mmの円筒に搭載可能なサイズの2次元レーザー走査ユニットを作製し、レーザーのリサージュ走査を実現した。
3-141	MEMS双安定構造による低周波数振動に向けた静電型振動ハーベスタの設計
3-141	◎山本弘貴・藤田孝之・神田健介・前中一介（兵庫県立大学）電気学会全国大会講演要旨 3-141 MEMS双安定構造による低周波数振動に向けた静電型振動ハーベスタの設計 ◎山本弘貴・藤田孝之・神田健介・前中一介（兵庫県立大学）近年，IoT (Internet of Things) の実現に向けた無線センサネットワークWSN (Wireless Sensor Network)の研究が行われている。WSN センサネットワークは，身の回りの環境データの取得を容易にすることを目的とする。しかしながら，超長期間環境データを収集するためには半永久的に使用可能な電源が必要不可欠である。従来のWSNセンサに用いられているコイン電池は設置環境の制約があり，また定期的な交換作業が必要となる。我々は，代替電源となるためのMEMS (Micro Electromechanical Systems)振動型ハーベスタに向けた双安定構造に関する研究を行っている。双安定構造により，非線形共振現象を用いた発電機構を実現でき，従来の単共振現象を用いたハーベスタ構造に比べ低周波数，非周期振動での発電に有利となるのが特徴である。本研究では，特に身の回りの非周期性振動の1つであるHVAC (Heating, Ventilation, and Air Conditioning) からの振動に焦点を当てている。本稿では，MEMS双安定構造の設計，および発電シミュレーションの結果を述べる。先行研究で試作評価したエレクトレットハーベスタと双安定構造を組み合わせることにより1.1 G の加速度印加で 0.48 µWの電力が取り出せることが分かった。
3-142	シリコンナノワイヤ熱電変換の第一原理解析とデバイス設計
3-142	○中村康一（京都大学）電気学会全国大会講演要旨 3-142 シリコンナノワイヤ熱電変換の第一原理解析とデバイス設計 ○中村康一（京都大学）第一原理計算によってシリコンナノワイヤ（SiNW）における閉じ込め効果の詳細と熱電変換特性値のワイヤ径依存性を議論するとともに、SiNWを用いたMEMSデバイスモデルの特性を有限要素法シミュレーションにより検討した。第一原理シミュレーションにより<001>長手方向のSiNWが熱電変換に最も有利であることが示され、1次元への閉じ込め効果が及ぶ場合はワイヤ径に関わらず同程度の大きさのゼーベック係数が得られた。新たにSiNWバンドルから構成される熱電変換発電MEMSデバイスを設計し、第一原理シミュレーション値をパラメータとして設定して、キャリア・熱の拡散や起電力に関する有限要素法計算を行い、デバイスの構成やスケールの最適化を行った。
3-143	フォークリフト転倒防止ための重心位置の検出
3-143	◎肖明（首都大学東京）・山本慈英・笠原美佐和（都立産業技術高等専門学校）・森泰親（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 3-143 フォークリフト転倒防止ための重心位置の検出 ◎肖明（首都大学東京）・山本慈英・笠原美佐和（都立産業技術高等専門学校）・森泰親（首都大学東京）フォークリフトは重心が不安定な乗り物のため「車体の急停止、急カーブ」、「過積載」、「段差へ乗り上げ」などの人為的なミスにより事故が発生している。そのため、重心位置を制御して転倒を防止するシステムが必要とされている。本研究では、転倒防止システム開発の前段階として、フォークリフトを模擬したモデルを製作し、転倒条件を検証する実験を行う。本体の作成には、TETRIX(R)を使用する。重心計測を行うため、前輪左タイヤ、後輪右、左タイヤの4か所にも秤量センサを配置した。フォークリフトモデルに異なる重量の積荷を載せて走行し、各点の秤量センサのデータを記録した。これらの計測値より、車体重心の位置を計算で求める。重心と転倒の関係に検討し、転倒が発生する条件が明らかした。

E32-A1 ケミカルセンサケミカルセンサ（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
3-144	SnO₂ナノ粒子修飾カーボンナノチューブガスセンサ二酸化窒素応答に対するUV照射の影響
3-144	○難波佑至・井上翔太・中野道彦・末廣純也（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 3-144 SnO₂ナノ粒子修飾カーボンナノチューブガスセンサ二酸化窒素応答に対するUV照射の影響 ○難波佑至・井上翔太・中野道彦・末廣純也（九州大学）カーボンナノチューブ(CNT)は様々な優れた特性を有し、ガスセンサを始めとする多くの分野に応用されている。著者らは、これまでにCNT等のナノマテリアルをマイクロ電極上に集積するセンサ作製法(誘電泳動集積法)を開発し、同集積法によって作製したCNTガスセンサを用いてNO₂等の酸化性ガス及びNH₃等の還元性ガスの室温検出を行った。更にCNTガスセンサにSnO₂ナノ粒子を修飾することでN₂中におけるNO₂応答の感度が向上することを示した。ただし、NO₂は空気中での検出が求められているが、空気中での検出には感度向上が得られなかった。本研究では、空気中におけるNO₂検出に対するUV照射の影響を調査したので報告する。
3-145	誘電泳動集積法による電界効果トランジスタ型カーボンナノチューブガスセンサの作製
3-145	◎大関貴大・金川将也・中野道彦・末廣純也（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 3-145 誘電泳動集積法による電界効果トランジスタ型カーボンナノチューブガスセンサの作製 ◎大関貴大・金川将也・中野道彦・末廣純也（九州大学）金属電極間をナノワイヤで橋絡した電子デバイスは、誘電泳動集積法(DEP)によって得られる。この手法では、集積と同時に電極間のインピーダンを測定することで、集積量を定量化することができる。我々は、DEPによって、シリコン層と絶縁体層の2層を有するウエハーの絶縁体層上のドレイン電極とソース電極間をカーボンナノチューブ(CNT)で橋絡させ、各金属電極とCNTを電気的に接続させた。加えて、シリコン層にゲート電極を配することで、電界効果トランジスタ(FET)型CNTガスセンサを作製した。作製したCNT-FETガスセンサのサブスレッショルド係数は最小で約5V/decとなった。これより、電極間に集積したCNTの量とサブスレッショルド係数を関連づけることが出来る。
3-146	Pt超薄膜を用いたブリッジ型水素センサの開発
3-146	◎天野薫・古川遼・井並祥太・堺健司・紀和利彦・塚田啓二（岡山大学）電気学会全国大会講演要旨 3-146 Pt超薄膜を用いたブリッジ型水素センサの開発 ◎天野薫・古川遼・井並祥太・堺健司・紀和利彦・塚田啓二（岡山大学） Ptの超薄膜が水素に対して抵抗値変化をする特性を見出し，その特性を利用した水素センサの開発を行っている．以前報告したセンサは抵抗変化をとらえているため，環境温度変化が測定に影響する問題があった．そこで今回はこれらの課題に対しブリッジ回路を用いたセンサを開発し特性を評価した．ブリッジ回路構成として水素に感度が高い抵抗体と感度の低い抵抗体で構成した．感度の低い抵抗体としてPt表面をAl2O3でカバーした構造を取った．絶縁体のAl2O3の被覆の有無の違いにより水素応答感度が異なるPt薄膜によるブリッジ回路を実現することができた．このセンサにより良好な水素応答特性と温度特性を確認することができたので報告する．
3-147	基板上で光成長させた金属ナノ構造のSERS活性評価
3-147	◎李景韶・渡邊真司・荒木聡・佐々文洋・林健司（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 3-147 基板上で光成長させた金属ナノ構造のSERS活性評価 ◎李景韶・渡邊真司・荒木聡・佐々文洋・林健司（九州大学）近年，ラマン分光法は様々な分野で応用されており，特定の化学物質の識別はその中の一つであるが，希薄な物質に対しては十分な信号強度が得られない．表面増強ラマン散乱（SERS）を利用することでそのラマン信号の強度を大幅に改善することができ，単なるラマンスペクトルでは検知できない濃度まで検知することが可能である．特にその物質が二つの金属の中間に位置している時，ラマン散乱光のエネルギーは数億倍に増強され[1]，このような増強が生じる場所はホットスポットと呼ばれている．今回光による金属成長を利用しで金属ナノ粒子間の距離を調整することで，ホットスポットを形成するようなナノ構造の作製した．良好なSERS活性を持つ金属ナノ構造，その成長条件に対するSERS活性の評価を行った．
3-148	導電性MIPインクによるプリンタブルケミレジスタガスセンサの開発
3-148	◎姜成坤・篠原翔・佐々文洋・林健司（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 3-148 導電性MIPインクによるプリンタブルケミレジスタガスセンサの開発 ◎姜成坤・篠原翔・佐々文洋・林健司（九州大学）本研究では電極のみならず感応部も含めた，センサ全てを印刷により作製することを目標とし，Molecularly Imprinted Polymer(MIP)に基づく分子選択性を持ったガス応答導電性インクを開発した．MIPとは，高い特異性で特定の目標分子と結合することができるポリマである．MIPにカーボンブラックを添加することでインクに導電性を付与し[2]，ガスセンサを作製することができる．
3-149	SAWマルチセンサの開発 -反射器のセンサ化に関する検討-
3-149	◎榊原直樹・齋藤敦史・原田晃季・荒木昂平・横塚大地（芝浦工業大学）電気学会全国大会講演要旨 3-149 SAWマルチセンサの開発 -反射器のセンサ化に関する検討- ◎榊原直樹・齋藤敦史・原田晃季・荒木昂平・横塚大地（芝浦工業大学）圧電結晶表面を伝搬する弾性表面波(SAW)は，周囲の物理的・化学的条件に依存して，SAWの伝搬特性が変化する．この特徴を利用した各種の物理・化学センサが開発されている． SAWセンサの実現方法は様々な方式が検討されており，その1つとして反射器をセンサ化する方式を検討している．この方式は，反射器にセンサ用薄膜を装荷することで，反射器そのものをセンサとして用いることが可能である．そのため，複数の反射器を配置することで，マルチセンサ化が容易に実現可能である．本研究では，温湿度センサを実装し，反射型SAWセンサに適する基板材料・反射器構造，およびIDT型反射器において外部負荷接続による反射特性の調整について検討した．
3-150	自由対流圏における水銀挙動測定システム
3-150	○野田和俊・兼保直樹（産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 3-150 自由対流圏における水銀挙動測定システム ○野田和俊・兼保直樹（産業技術総合研究所）本発表では、近傍のローカル発生源の影響を受けにくい2000m以上の自由対流圏高度での水銀汚染状況を通年観測することを目的に、これに必要な測定システムを新たに構築したので簡潔に報告する。金電極素子QCMと小型のロガーを活用し、バッテリ駆動によって通年で自由対流圏における水銀の挙動測定システムを構築し、現在も測定を継続中である。実際運用時の課題を克服しながらシステム改良を進める予定である。

E32-A2 ケミカルセンサケミカルセンサ（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
3-151	匂い物質検出のための逆オパール型フォトニック結晶アレイの開発
3-151	◎小森雄仁・小野寺武・都甲潔（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 3-151 匂い物質検出のための逆オパール型フォトニック結晶アレイの開発 ◎小森雄仁・小野寺武・都甲潔（九州大学） In this study, we developed an odor sensor based on inverse opal photonic crystal array. Inverse opal photonic crystal has a nanoporous solid structure and the changeable structural color which depends on its refractive index and lattice constant. We tried to identify three odorous substances using the inverse opal photonic crystal array. Firstly, six inverse opal photonic crystals are fabricated and individually functionalized with different six alkoxysilanes to acquire different surface adsorption properties for vapor species. Secondly, after one saturated odorous substance vapor exposure, reflection spectrums of six inverse opal photonic crystals are individually obtained. Six kinds of shift ratios are calculated using the reflection spectrum peak of before and after exposure to the odorous substance. The six shift ratios are represented as a radar chart which is called the “fingerprint” of the odorous substance. As a result, obtained three radar charts were significantly different, demonstrating that three odorous substances can be identified using the individually surface-functionalized inverse opal photonic crystal array.
3-152	匂いセンサ用感応膜塗布の安定的手法の確立
3-152	◎木村聡太・中本高道（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 3-152 匂いセンサ用感応膜塗布の安定的手法の確立 ◎木村聡太・中本高道（東京工業大学）これまでの匂いセンサはQCM(Quartz crystal microbalance)の膜の塗布方式は安定性から霧化方式を使用して膜の塗布を行っていた。しかし、霧化法で感応膜を塗布する場合、素子全面に膜塗布できるが基板を部分的に選択して膜塗布することはできない。小型の匂いセンサを実現するためにはone chip上に複数センサを製作することが有効であり、そのためには部分的に選択できる膜塗布法が有効である。そのような膜塗布法としてはインクジェット方があるが気泡の影響を受けやすく簡便で安定に動作させることが困難であった。そこで、電磁弁を導入することにより安定的に、微細な制御が可能な膜塗布方法を確立した。
3-153	Odor Source Localization Strategy using Multiple Sensor Nodes under Simulated Dynamic Turbulent Environment
3-153	◎Muis Muhtadi・中本高道（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 3-153 Odor Source Localization Strategy using Multiple Sensor Nodes under Simulated Dynamic Turbulent Environment ◎Muis Muhtadi・中本高道（東京工業大学） An odor source localization strategy using multiple sensor nodes is developed to address turbulent environment. This strategy employs combination of anemotaxis and infotaxis techniques to search for an odor source (ethanol). The anemotaxis strategy means the nodes use wind information and move zigzag toward upwind direction in tracking and scanning odor plume while infotaxis strategy means the obtained odor information during the scanning is put into an odor information map. Odor plume map is used as a guidance of the searching when the nodes lost odor information during the plume tracking due to the dynamics of odor distribution.
3-154	高速電磁弁による液滴射出制御と嗅覚ディスプレイへの応用
3-154	◎加藤真悟・中本高道（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 3-154 高速電磁弁による液滴射出制御と嗅覚ディスプレイへの応用 ◎加藤真悟・中本高道（東京工業大学）嗅覚ディスプレイは映像コンテンツとの融合、医療検診、VRヘの応用といった用途として高い需要が見込まれている。これまで開発してきたデバイスでは、液溜めから香料を抽出し空気中へ拡散させるまでの過程において、香料の量を簡便かつ精密に制御することは困難であった。香料をSAWデバイスへ滴下して霧化する方式の嗅覚ディスプレイにおいて、本研究では滴下する香料の量を微小量かつ正確に制御する手法として高速電磁弁の使用を提案する。高速電磁弁の駆動試験を行い、従来の方法よりも取扱いが容易であり、正確な滴下量制御が可能であることを確認した。
3-155	嗅覚受容体発現細胞センサアレイを用いた匂い識別の基礎的検討
3-155	◎祐川侑司・Totok Mujiono・中本高道（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 3-155 嗅覚受容体発現細胞センサアレイを用いた匂い識別の基礎的検討 ◎祐川侑司・Totok Mujiono・中本高道（東京工業大学）生物は多数の嗅覚受容体からの応答パターンによって匂いを認識している。本研究では，嗅覚受容体発現細胞を利用してセンサアレイを構築し，細胞の蛍光イメージングによって得られた画像データに対して，主成分分析を適用することで匂い物質に対する応答パターンの解析を行うことで，匂い識別の実現可能性について検討した。実際に匂い物質に対する応答を測定した結果，第1及び第2主成分で構成される2次元散布図において，匂い物質ごとに応答が局在化することが確認された。蛍光イメージングで取得した画像データには匂い物質に対する応答を分離・識別するために必要な情報が含まれていることがわかり，匂い識別の実現可能性が示唆された。
3-156	ナノウェル光導波路による表面吸着物質の検出
3-156	◎内山田健・大久保喬平・浅川潔・鈴木博章（筑波大学）電気学会全国大会講演要旨 3-156 ナノウェル光導波路による表面吸着物質の検出 ◎内山田健・大久保喬平・浅川潔・鈴木博章（筑波大学）光ファイバー、プラズモニクス、干渉型導波路等の光センサは、非破壊、非接触、高感度、実時間測定が可能といった利点から、バイオセンサへの応用例が報告されている。しかしその多くはセンサ面積の向上のためにそのサイズがmm〜cmオーダーであり、そのサイズは目的によっては無視できない。そこで本研究では、干渉型導波路の一種である方向性結合器をベースとし、そのセンサ領域にナノスケールの微小な縦穴を開けた構造をセンサとし、より光の強い導波路内部をセンシングに用いることで、センサの小型化を試みた。シミュレーション計算の結果、ナノウェルのない場合と比較し、表面吸着物質に対して6倍の感度が得られることが分かった。
3-157	二次元電気化学センサ“LAAS”を用いた水溶液中におけるイオン拡散のリアルタイム観測
3-157	◎尾崎拓真・長谷川有貴・内田秀和（埼玉大学）電気学会全国大会講演要旨 3-157 二次元電気化学センサ“LAAS”を用いた水溶液中におけるイオン拡散のリアルタイム観測 ◎尾崎拓真・長谷川有貴・内田秀和（埼玉大学）電気化学センサは、主として電極を用い水溶液中の電位変化や電荷移動を直接検出するセンサであり、医療・製薬・生物化学等の分野で幅広い利用が期待される。このセンサは半導体の光励起技術と組み合わせることで、電極のどの箇所でどの程度の化学物質が存在するのかを測定し、ph変化や酵素反応等の二次元分布を観測することが可能となる。我々はこれまで、創薬研究への応用を考慮し、酵素反応の二次元的な観測に向け酸化還元種の濃度測定を可能とする電気化学センサ”LAAS”を考案し基礎研究を行ってきた。本研究では、LAASを用い水溶液中でのイオン拡散による酸化還元種濃度の時間的な変化をリアルタイムで観測した結果を示す。