一般講演

論文一覧

B21-B2 パワーエレクトロニクスデバイス（Si）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-001	直流側配線の周波数特性を考慮したスイッチング波形への影響評価
4-001	◎野中凌・和田圭二（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-001 直流側配線の周波数特性を考慮したスイッチング波形への影響評価 ◎野中凌・和田圭二（首都大学東京）電力変換回路のスイッチング時における，サージ電圧や高周波振動成分は直流側配線に起因するインダクタンスが大きく影響することが知られている。近年では，直流側配線構造に起因するインピーダンスを電磁界解析から求めて回路シミュレーションが行われた結果が示されている。本稿では，パワーデバイスのターンオフ後に生じる減衰振動成分のみに着目して検討を行う。特に，直流側配線の高周波成分の抵抗に着目し，配線抵抗のモデリング手法について検討を行ったので報告を行う。
4-002	相互インダクタンスを用いたサージ電圧とスイッチング損失抑制可能なゲート駆動回路の設計手法
4-002	◎緒形航・和田圭二（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-002 相互インダクタンスを用いたサージ電圧とスイッチング損失抑制可能なゲート駆動回路の設計手法 ◎緒形航・和田圭二（首都大学東京）近年，次世代パワーデバイスの研究・開発が活発的に行われてきており，電力変換回路の高パワー密度化が急速に達成されてきている。その一方スイッチング動作の高速化に伴い，nHオーダのインダクタンスによっても回路特性が変化してしまい，誤動作によって回路が故障する原因となっている。次世代パワーデバイスを適切に動作させるためにはゲート抵抗の値を決めるだけではなく，ゲート駆動回配線構造を適切に設計する必要がある。本稿では，SiC-MOSFETを用いたスイッチング回路のターンオン，オフ時において異なるゲート駆動回路構造を適用することにより，スイッチング特性を改善できることを実験により示す。
4-003	IGBT並列駆動時の電流アンバランスの定量的評価
4-003	◎平野真希子・瀧本和靖（東芝）電気学会全国大会講演要旨 4-003 IGBT並列駆動時の電流アンバランスの定量的評価 ◎平野真希子・瀧本和靖（東芝）スイッチング素子を並列接続して使用する際に、素子特性のばらつきや導体構造により素子間の電流アンバランス等が発生すると、突発的な破壊や素子寿命の短縮の原因となる。故に、導体構造や素子特性が電流アンバランスに与える影響を定量的に把握し、設計で活用できる手法を確立することが望まれる。本稿ではIGBTをモチーフに、並列駆動時におけるターンオフ時の電流アンバランスと接続位置との関係に着目して検討した。その結果、配線インダクタンスがターンオフ損失に大きく影響することが分かった。今後、IGBTのみならず、各種スイッチング素子の応用設計に活かしていく。
4-004	多直列多並列接続HVIGBTモジュールのスイッチング試験
4-004	◎鶴田遼司・石橋卓治・小柳公之（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 4-004 多直列多並列接続HVIGBTモジュールのスイッチング試験 ◎鶴田遼司・石橋卓治・小柳公之（三菱電機）本論文では，HVIGBTモジュールの多直列多並列接続による電力変換器の大容量化の基礎検討を目的として，HVIGBTモジュールの2直列3並列接続の試験装置を構築し，スイッチング試験を実施した結果について報告する。
4-005	大容量半導体モジュールの配線インダクタンスを用いた電流検出回路の開発
4-005	◎長瀧仁貴・長洲正浩（茨城工業高等専門学校）・稲葉政光（日立パワーデバイス）電気学会全国大会講演要旨 4-005 大容量半導体モジュールの配線インダクタンスを用いた電流検出回路の開発 ◎長瀧仁貴・長洲正浩（茨城工業高等専門学校）・稲葉政光（日立パワーデバイス）半導体モジュールの配線インダクタンスに発生する電圧を積分し，電流を検出する電流検出回路の開発を進めている．電流検出の際，半導体モジュールの配線がもつ抵抗成分の影響により大きな誤差が生じるため，配線抵抗の影響を抑制する回路の検討が本研究の目的である．検出回路の入力部にMOSFETを付加し，半導体モジュール配線で発生する電圧が基準電圧より高い場合のみ積分するという動作によって，配線抵抗の影響を抑制する回路を提案した．大容量半導体モジュールを用いた短絡試験を実施し，配線抵抗の影響を抑制し電流検出できることを確認した．
4-006	導電性高分子アルミ固体電解コンデンサの高周波スイッチング回路における平滑能力評価 -1MHzスイッチング動作SiC昇圧回路での従来品との比較
4-006	○杵村弘志・舟木剛・井渕貴章（大阪大学）・津野眞仁（ニチコン）電気学会全国大会講演要旨 4-006 導電性高分子アルミ固体電解コンデンサの高周波スイッチング回路における平滑能力評価 -1MHzスイッチング動作SiC昇圧回路での従来品との比較 ○杵村弘志・舟木剛・井渕貴章（大阪大学）・津野眞仁（ニチコン）近年のDC-DCコンバータ等のスイッチング電源回路の高周波化に伴い周辺部品の性能も向上している。前報(H28 電学全大 4-189)では導電性高分子アルミ固体電解コンデンサを動作周波数500kHzまでのSiスイッチング回路で評価したが、本報告ではワイドギャップ半導体(SiC)を用いた1MHzスイッチング回路を試作し、当該コンデンサの平滑能力評価を行った。またノイズ除去用セラミックコンデンサとの並列接続での周波数特性評価も実施した。

B21-A2 パワーエレクトロニクスデバイス（SiC/GaN）（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-007	LC共振を利用したSiC-MOSFETの寄生インダクタンスの評価方法
4-007	◎昆野賢太郎・中村悠太・葛本昌樹・赤木泰文（東京工業大学）・椋木康滋・堀口剛司・中山靖（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 4-007 LC共振を利用したSiC-MOSFETの寄生インダクタンスの評価方法 ◎昆野賢太郎・中村悠太・葛本昌樹・赤木泰文（東京工業大学）・椋木康滋・堀口剛司・中山靖（三菱電機） LC共振を利用することでMOSFETのドレイン，ソースの寄生インダクタンスとその結合係数kの簡易な評価方法を提案し，測定結果を報告する。評価対象としてTO-247パッケージでモールドされたディスクリートのSiC-MOSFETを用いた。本MOSFETは裏面にベース板が露出している。そのベース板に並行平板のキャパシタC_Bを接続する。C_Bと寄生インダクタンスがLC共振する経路でインピーダンスを測定することで，寄生インダクタンスを算出した。さらにドレイン，ソース間のインピーダンスを測定し，寄生容量C_DSとのLC共振を用いることで経路中のインダクタンスを算出した。先に算出した寄生インダクタンスを用いて，結合係数kを分離した。
4-008	多層セラミック基板を用いたSiCパワーモジュールの低インダクタンス化の効果に関する一検討 -基板実装したスナバコンデンサの容量がサージ電圧に与える影響-
4-008	◎福永崇平・舟木剛（大阪大学）電気学会全国大会講演要旨 4-008 多層セラミック基板を用いたSiCパワーモジュールの低インダクタンス化の効果に関する一検討 -基板実装したスナバコンデンサの容量がサージ電圧に与える影響- ◎福永崇平・舟木剛（大阪大学）高電圧の電力変換回路にSiCパワーデバイスを適用することで、Siパワーデバイスと比べ高速スイッチング動作が可能となり、回路の小型化や低損失化が期待される。一方で高速スイッチング動作は、回路の寄生インダクタンスにより大きなピークサージ電圧が発生し、デバイスを破壊する恐れがある。以前の研究において高速スイッチング動作時に生じるピークサージ電圧を低減するため、寄生インダクタンスの低減を目的とした多層セラミック基板を用いたSiCハーフブリッジモジュールを開発し、開発したモジュールに直接スナバコンデンサを実装してピークサージ電圧を低減できることを確認している。本稿ではさらにピークサージ電圧のスナバコンデンサ容量依存性の検討を行った。
4-009	SiC-MOSFETのMHz動作に向けたRCDスナバ用ダイオードの適性検証
4-009	◎山下夕貴・古田潤・小林和淑（京都工芸繊維大学）電気学会全国大会講演要旨 4-009 SiC-MOSFETのMHz動作に向けたRCDスナバ用ダイオードの適性検証 ◎山下夕貴・古田潤・小林和淑（京都工芸繊維大学） SiCデバイスは高速スイッチングにより電力変換回路の小型化を行える一方、高速動作下ではEMIノイズや信頼性の低下が懸念される。リンギング対策の一つであるRCDスナバ回路は、RCパラメータのみならず、ダイオードも最適なものを選定する必要がある。本稿ではSiC-MOSFETの高速スイッチングに最適なスナバダイオードを、動特性および周波数特性評価により選定した。評価測定の結果、逆回復が原理的に存在しないSiC-SBD(Schottky Barrier Diode)をスナバダイオードとして用いれば、遅延を最小限にとどめながら、ノイズ抑制を効果的に行えることが確認された。
4-010	走査型プローブ顕微鏡による炭化ケイ素製ショットキーバリアダイオードの局所物性観測
4-010	◎潤間威史・佐藤宣夫・山本秀和（千葉工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-010 走査型プローブ顕微鏡による炭化ケイ素製ショットキーバリアダイオードの局所物性観測 ◎潤間威史・佐藤宣夫・山本秀和（千葉工業大学）走査型プローブ顕微鏡の一つである，AFM/KFM/SCFMの複合装置を開発し，デバイスへの電圧印加下において，局所電子物性評価を行った．市販の炭化ケイ素製ショットキーバリアダイオード（SiC-SBD）を断面研磨し，我々が開発しているAFM/KFM/SCFMによって観察した．表面電位像から測定領域を推定した結果，本測定の領域はカソード電極寄りのSiC領域であることが考えられる．また，異なる箇所における表面電位差を表面準位へ捕捉された電子による影響と仮定すると，当該領域にてSCFMの信号がピーク値を持つことから，SCFMによって表面準位を評価し得ることが示された．従って本開発装置は，SiC製デバイスの動作下観察に適用あることが示唆された．
4-011	SiC-MOSFET動作時における誤ターンオンのHigh-sideゲート抵抗依存性に関する検討
4-011	◎倉持拓弥・磯部高範・只野博（筑波大学）電気学会全国大会講演要旨 4-011 SiC-MOSFET動作時における誤ターンオンのHigh-sideゲート抵抗依存性に関する検討 ◎倉持拓弥・磯部高範・只野博（筑波大学） SiC-MOSFETはSi-IGBTと比べて高速スイッチングが可能であり、パワエレ機器に適用すれば小型化や高効率化が可能と期待されている。しかし、高速で動作させた際にMOSFETの誤ターンオンが発生し問題となっている。この誤ターンオンは回路内部の寄生成分やゲート抵抗、電圧などの様々なパラメータの影響で発生する。そのため、これらのパラメータが誤ターンオンに与える影響を検証する必要がある。そこで、本研究ではHigh-side側のゲート抵抗に着目し、MOSFETの誤ターンオンにおけるゲート抵抗の影響を実験とデバイスシミュレーションにより検証したので報告する。
4-012	SiC SBD接合容量モデルの高周波領域における精度検証
4-012	◎前田凌佑・奥田貴史・引原隆士（京都大学）電気学会全国大会講演要旨 4-012 SiC SBD接合容量モデルの高周波領域における精度検証 ◎前田凌佑・奥田貴史・引原隆士（京都大学）大電力でのスイッチングの高速化にはワイドバンドギャップ半導体であるSiCを利用したデバイスに注目が集まっている. しかし高周波スイッチングのブーストコンバータにおいてSiC ショットキーバリアダイオード(以下 SBD)が機能していない状態が確認されている. 本報告ではどの物理現象, パラメータがSiC SBDの特性を左右するかを理解するため, C-V, I-V特性を表した式に基づきモデルを作成する. そしてSiC SBDを利用した半波整流回路について, 高周波の正弦波を入力した際の作成したモデルのシミュレーションと実際の測定を比較, 検証する.
4-013	素子単独SiC-MOSFETによる直流電圧10,000Vのスイッチング特性
4-013	○北井秀憲・穂積康雄・福田憲司（産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 4-013 素子単独SiC-MOSFETによる直流電圧10,000Vのスイッチング特性 ○北井秀憲・穂積康雄・福田憲司（産業技術総合研究所）直流電圧10,000 V以上のスイッチングをするためには、現在市販されている最高耐圧の電圧制御トランジスタが6,500V IGBTであるために、直列接続か多段接続が必要である。しかしながら、多段直列接続は、部品点数が多く、非同期的なゲート信号による直列接続された素子間の分担電圧の不平衡が生じることを防止するために、ゲート駆動回路が複雑になる。SiCデバイスは10,000 Vを超える電圧領域でも、多段直列接続することなく、素子単独で使用することが可能であることが報告されている。そこで、我々は、多段直列接続することなく、素子単独で定格電圧13,000 VのSiC MOSFETを製作し、直流電圧10,000 Vでスイッチング試験を実施したので報告する。

B21-B1 パワーエレクトロニクスデバイス（SiC/GaN）（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-014	シングル形LC発振回路によるゲートドライバの素子容量変動に対する発振周波数安定化
4-014	後藤健斗・中村孝基・石橋尚之（長崎大学）・広川正彦（TDK）・○甲木昭彦（長崎大学）電気学会全国大会講演要旨 4-014 シングル形LC発振回路によるゲートドライバの素子容量変動に対する発振周波数安定化後藤健斗・中村孝基・石橋尚之（長崎大学）・広川正彦（TDK）・○甲木昭彦（長崎大学）電子機器の小型化に伴って電源装置にも小型化が強く求められているが、スイッチング周波数の高周波化を図る場合、高効率が得られる共振型コンバータが有用であり、広く実用に供されている。共振型コンバータの出力電圧は基本的にスイッチング周波数で制御されるが、出力を制御する目的で周波数を積極的に変化させる場合であっても、あるいはスイッチング条件保持やノイズ対策の目的で周波数を一定に保つ場合であっても、ゲートドライバの発振周波数を正確に知ることが必要である。VHF帯において最適と考えられるシングル形LC発振回路によるゲートドライバについて、特定の周波数付近で発振し、かつ動作状態によって変動するMOSFETの内部容量が発振周波数にできるだけ影響を与えないようにするための条件を検討した。回路をコルピッツ形として動作させ、ゲートに直列挿入するインダクタを適切に選ぶと約110 MHzで安定的に発振することが分かった。
4-015	ゲート信号と駆動電力を同時に伝送可能なSAWフィルタを用いたゲート駆動回路の実験検証
4-015	◎金井七重・久保慶太・和田圭二・五箇繁善（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-015 ゲート信号と駆動電力を同時に伝送可能なSAWフィルタを用いたゲート駆動回路の実験検証 ◎金井七重・久保慶太・和田圭二・五箇繁善（首都大学東京）ゲート信号と駆動電力を同時に伝送可能なSAWフィルタを用いたゲート駆動回路の実験検証本論文では，SAWデバイスを用いたゲート駆動回路を適用することによって，ゲート駆動信号と電力を同時に伝送可能であることを実験により明らかにする。中心周波数の異なる2種類のSAWフィルタを用い, 単相ハーフブリッジインバータを動作させる実験結果から，SAWフィルタを用いたゲート駆動回路により，ゲート信号と駆動電力を同時に伝送でき，ゲート駆動回路を簡素化できることを示した。
4-016	GaNFETによるMHzスイッチングアプリケーションの試作例
4-016	○齋藤真（芝浦工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-016 GaNFETによるMHzスイッチングアプリケーションの試作例 ○齋藤真（芝浦工業大学）本論文では、1MHzスイッチングのワールドワイド入力500W臨界モードPFCコンバータと低圧大電流出力1.15kW LLCコンバータについて、試作を通じて得られた電気的特性と熱特性を抜粋して報告する。
4-017	GaN FET搭載ゲートドライバによるSiC MOSFETの20 MHz駆動
4-017	◎奥田貴史・引原隆士（京都大学）電気学会全国大会講演要旨 4-017 GaN FET搭載ゲートドライバによるSiC MOSFETの20 MHz駆動 ◎奥田貴史・引原隆士（京都大学）本グループでは駆動周波数10 MHzを超える高周波電力変換回路の実現を目指している．現在，絶縁ゲートドライバの高周波化が大きなボトルネックとなっている．そこで我々は，GaN FETを用いたゲートドライバを昨年度に提案した．GaN FETは優れたスイッチング特性を有しており，ゲートドライバを高周波化するとともに駆動能力の向上が期待できる．本報告では，提案したゲートドライバの動作について詳細に調べ，ゲートドライバの駆動周波数を制限している要因について検討した．その結果，駆動周波数の向上に成功し，本ゲートドライバを用いることでSiCパワーMOSFETを20 MHzで駆動することに成功した．
4-018	GaNパワーデバイスを用いたDualActiveBridgeコンバータの性能検証
4-018	○吉川覚・居安誠二・林裕二（日本自動車部品総合研究所）・村上達也（デンソー）電気学会全国大会講演要旨 4-018 GaNパワーデバイスを用いたDualActiveBridgeコンバータの性能検証 ○吉川覚・居安誠二・林裕二（日本自動車部品総合研究所）・村上達也（デンソー） Dual Active Bridgeコンバータのスイッチング素子にパナソニック製GaN-GIT を使用し，駆動制御として最も単純な一次二次間の位相シフト制御で動作させた場合の効率を測定し，SJ-MOSFETを使用した場合と比較した．
4-019	試作SiC-pチャネルMOSFETを適用したフル-SiC相補型インバータの実機検証
4-019	◎奥田一真・高嶋薫・磯部高範・只野博・岩室憲幸（筑波大学）電気学会全国大会講演要旨 4-019 試作SiC-pチャネルMOSFETを適用したフル-SiC相補型インバータの実機検証 ◎奥田一真・高嶋薫・磯部高範・只野博・岩室憲幸（筑波大学）デッドタイムに起因する出力電圧誤差を低減することを目的として相補型インバータに着目し，試作SiC-pMOSFETと既製SiC-nMOSFETを使用したフル-SiC相補型インバータの試作と動作実験を行った。実機による原理検証の観点から，実験は主回路構成が最もシンプルとなるハーフブリッジインバータで行った。±100 V直流電源，出力電流1 A, 50 Hzの条件で試作インバータの運転を行った結果，試作インバータは交流出力可能であることを出力波形から確認した。動作実験時での出力電流の100次までの全高調波歪(THD)は4.6%であり，デッドタイム補償なしでもTHDを低く保つことが出来た。インバータ運転時の素子電流波形から，SiC-pMOSFETの逆回復電流はSiC-nMOSFETと同様に非常に小さいことを確認した。

D22-C1 パワーエレクトロニクスデバイス・実装・周辺部品
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-020	SiC-MOSFETを用いた400kW-200kHz高周波誘導加熱電源の開発
4-020	◎金井隆彦・小野徹也・生田文昭・三阪佳孝・川嵜一博（高周波熱錬）・舟木剛（大阪大学）電気学会全国大会講演要旨 4-020 SiC-MOSFETを用いた400kW-200kHz高周波誘導加熱電源の開発 ◎金井隆彦・小野徹也・生田文昭・三阪佳孝・川嵜一博（高周波熱錬）・舟木剛（大阪大学）大容量SiC-MOSFETを使用して400kW-200kHz高周波誘導加熱電源を開発実用化した。SiC素子の特徴である高耐圧、低損失を活かし従来のSi素子と比較して電源の損失を半減させた。しかし更なる高周波側でSiC素子を動作させるには、素子のパッケージが持つ寄生インダクタンスの低減が必要となるので、SiC素子のさらなる性能向上を期待したい。
4-021	高周波リアクトル向けトロイダルコア用ガイドの提案
4-021	○綾野秀樹・藤村彬・松井義弘・林丈晴（東京工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-021 高周波リアクトル向けトロイダルコア用ガイドの提案 ○綾野秀樹・藤村彬・松井義弘・林丈晴（東京工業高等専門学校）本論文では，高周波数向けのリアクトルを実現するためのトロイダルコア用ガイドを提案する。さらに，このトロイダルコア用ガイドを用いたリアクトルにおける寄生容量低減効果，および，インダクタンスとして見なせる周波数帯域の拡大効果について実験評価を実施する。トロイダルコア用ガイドは3Dプリンタを使用して製作する。この結果，トロイダルコア用ガイドを用いた提案方式のリアクトルでは従来型のリアクトルに対して，寄生容量を約 0.74 倍に低減でき，インダクタンスとして見なせる周波数を約 240 kHz 高周波数化できることを示す。
4-022	騒音解析による高圧インバータ用冷却システムの最適化設計
4-022	◎テイクアンチュン・鈴木健一郎（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 4-022 騒音解析による高圧インバータ用冷却システムの最適化設計 ◎テイクアンチュン・鈴木健一郎（明電舎）高圧インバータなどパワエレ製品は小型化・高効率化のために冷却ファンの最適化設計と低騒音化が不可欠である。冷却に必要な風速を保持しつつ、ファン騒音の音源探索と騒音が低減できる回転数の最適化を実施した。音源探索の解析結果の事前把握と設計へのフィードバックにより、騒音の未然対策によるフロントローディングが可能とした。また、回転数の低減と風速の関係を求めることで回転数のの最適化ができた。
4-023	流体解析による高圧インバータの最適化設計
4-023	◎田中佑磨・鈴木健一郎（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 4-023 流体解析による高圧インバータの最適化設計 ◎田中佑磨・鈴木健一郎（明電舎）近年、パワーエレクトロニクス機器の高密度化が進んでおり、将来SiCデバイスの適用によりさらなる高密度化が加速すると考えられる。そのため、冷却性能を向上させるための最適設計が求められており、試作ロスによる大幅な期間短縮が可能であるシミュレーション技術の確立が急務である。本論文では、高圧インバータを対象とし、流体解析によって盤内に流入する風量を求め、実測値との比較を行った事例を報告する。
4-024	アルミ電解コンデンサにおける等価直列抵抗の温度依存性の評価
4-024	◎浦田一輝・清水敏久（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-024 アルミ電解コンデンサにおける等価直列抵抗の温度依存性の評価 ◎浦田一輝・清水敏久（首都大学東京）近年，半導体電力変換回路の高電力密度化に伴い，回路の中でも大きな体積を占めるコンデンサの温度上昇は静電容量や寿命に大きな影響を与えるため，回路設計において正確な特性の把握が必要となっている。コンデンサの等価回路は配線インダクタンス，配線抵抗，電解質の抵抗などを考慮してR，L，Cの直列回路で示される。本論では電流リップルによるアルミ電解コンデンサの温度上昇とその時の等価直列抵抗(ESR)の関係を調べたので報告する。
4-025	パワーデバイスパッケージの熱抵抗に対するダイアタッチのボイドの影響
4-025	◎安井亮祐・舟木剛（大阪大学）電気学会全国大会講演要旨 4-025 パワーデバイスパッケージの熱抵抗に対するダイアタッチのボイドの影響 ◎安井亮祐・舟木剛（大阪大学）半導体電力変換機器の高性能化・小型化に伴う電力密度増大において、パワーデバイスの放熱設計がより重要となる。特に、発熱源であるパワーデバイスのパッケージの熱抵抗が放熱設計に与える影響は大きい。本研究では、パワーデバイスパッケージにおけるダイアタッチのボイドの熱抵抗への影響を評価、検討する。まず、デバイスから45°でリードフレーム中を熱が広がると仮定し、熱の拡散部分の熱容量を求めた。次に、求めた熱容量を基準として構造関数から熱抵抗を求めた。ダイアタッチの接合面積と各部熱抵抗の関係性を評価した結果、ダイアタッチの厚みやボイド分布が熱抵抗へ影響を与えることを示した。
4-026	異なるインバータ励磁下のアモルファスリングの鉄損特性
4-026	◎塚田航平・八尾惇・藤﨑敬介（豊田工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-026 異なるインバータ励磁下のアモルファスリングの鉄損特性 ◎塚田航平・八尾惇・藤﨑敬介（豊田工業大学）モータードライブシステムなどのインバータ励磁波形には、電力用半導体素子のスイッチング動作により、必然的に時間高調波が含まれる。したがって、時間高調波分だけ、正弦波励磁と比較し、磁性材料（コア）の鉄損に異差が生じる。このようなインバータ特有の損失を減らすため、高周波特性の良いアモルファス材や(1)、従来のSi-IGBTInverter（INV）よりスイッチング損失が小さいGaN-FET-INVが開発されている。これらの材料やスイッチング素子が磁気特性に与える影響を評価することは、更なる電気機器の低損失化を実現させる上で重要である。本研究では、高周波特性の良い材料であるアモルファス材を用いて、インバータ回路の損失改善に効果があるとされる電力損失の割合が小さいGaN-FET-INVが鉄損に与える影響を評価する。

D22-C2 パワーエレクトロニクス PMモータ（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-027	調整レスによる高効率を実現するモータ制御技術
4-027	○會澤敏満・小湊真一・袖澤純・大村直起（東芝）電気学会全国大会講演要旨 4-027 調整レスによる高効率を実現するモータ制御技術 ○會澤敏満・小湊真一・袖澤純・大村直起（東芝）ブラシレスDCモータのモータ誘起電圧とモータ電流の位相を調整することなく自動で一致させる制御技術(InPAC:Intelligent Phase Control)について説明する。インバータの各相出力の下側トランジスタに流れる電流によって発生する電圧の符号によりモータ電流の向き(極性)を判定し，ホールICなどの位置センサで検出した誘起電圧位相に比較して電流位相が遅れている場合はモータ駆動電圧位相を進め，電流位相が進んでいる場合は駆動電圧位相を遅らせて，モータの誘起電圧と電流の位相を合わせる。従来の位相を調整しない制御と比較して，InPACではモータ回転数，負荷トルク，電源電圧によらず常に高効率な制御を実現できる。
4-028	単気筒ディーゼルエンジンに接続した永久磁石同期発電機の振動抑制
4-028	◎麻尾一正・星伸一・内田晃介（東京理科大学）・秋山和成・樋口久・内山嘉博（ACR）電気学会全国大会講演要旨 4-028 単気筒ディーゼルエンジンに接続した永久磁石同期発電機の振動抑制 ◎麻尾一正・星伸一・内田晃介（東京理科大学）・秋山和成・樋口久・内山嘉博（ACR）単気筒ディーゼルエンジンを原動機として用いる発電機が開発されている。しかし, 単気筒ディーゼルエンジンはトルク脈動が大きいため，発電機の回転数に脈動が生じ, 振動, 騒音, 機器の劣化等の問題を引き起こす可能性がある。そのため，発電機における回転数の脈動を軽減することが求められている。本研究では発電機の指令トルクにエンジンのトルク脈動を打ち消すような補償指令を重畳することで振動の抑制を行う制御法を提案している。本稿では，単気筒ディーゼルエンジンに接続した永久磁石同期発電機に提案振動抑制制御を適用することにより，発電機の回転数の脈動を約25%低減可能であることを実験により示した。
4-029	電解コンデンサレスインバータの瞬時電圧制御と制御法の検討
4-029	◎阿部晃大・赤間洋祐・大石潔・芳賀仁・横倉勇希（⻑岡技術科学⼤学）電気学会全国大会講演要旨 4-029 電解コンデンサレスインバータの瞬時電圧制御と制御法の検討 ◎阿部晃大・赤間洋祐・大石潔・芳賀仁・横倉勇希（⻑岡技術科学⼤学）産業・家電系において，AC-DC-ACシステムを用いたモータの可変速駆動技術が広く普及している。 AC-DC-ACシステムに関する研究の中でも，ローコスト・小型化を実現するものとして電解コンデンサレスインバータで構成されたモータドライブシステムが提案されている。本稿では，瞬時電圧制御を用いた力率改善制御器および電流制御器の簡単化，d軸電流指令値の算出法を検討する。提案制御系の動作特性は実機実験により確認する。
4-030	直流母線電流検出方式のパルス修正法によるモータのキャリア電磁騒音に関する考察
4-030	◎原崇文・青柳滋久・安島俊幸（日立製作所）・柳沢浩晃・吉津力弥（日立オートモティブシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 4-030 直流母線電流検出方式のパルス修正法によるモータのキャリア電磁騒音に関する考察 ◎原崇文・青柳滋久・安島俊幸（日立製作所）・柳沢浩晃・吉津力弥（日立オートモティブシステムズ）直流母線電流から交流電流を再現する直流母線電流検出法は，三相のパルス幅の差を用いて検出するため運転状態によって変化する直流母線電流のパルス幅を所定値以上確保しなければ，電流を検出できない課題がある。その対策としては，平均電圧が等しくなるようにPWM信号を位相シフトするパルス修正法が提案されている。この手法はモータの電流指令が0のときもキャリア周波数数の高周波電流を通電するため，キャリア周波数のキャリア電磁騒音が発生する。特にインダクタンスが小さいモータはこのキャリア電磁騒音が大きくなる傾向がある。本報告は，このキャリア電磁騒音について同一出力でインダクタンスが異なる2つのモータを対象とし，パルス修正法によるキャリア電磁騒音を評価し，低減手法を検討したので，報告する。
4-031	2相インバータの3相ベクトル制御のための変換行列の導出
4-031	エコングウフォートウフォート・◎白石拓也・森本雅之・稲森真美子（東海大学）電気学会全国大会講演要旨 4-031 2相インバータの3相ベクトル制御のための変換行列の導出エコングウフォートウフォート・◎白石拓也・森本雅之・稲森真美子（東海大学） This paper proposes a transformation matrix to generate Pulse Width Modulation (PWM) signals for the voltage control of a two phase inverter using vector control. The feasibility of the voltage control strategy is verified by proving the power invariance before and after the transformation.
4-032	フレミングの左手の法則によるIPMSMのトルク式導出
4-032	◎坂本博亮・後藤善克・小山正人（金沢工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-032 フレミングの左手の法則によるIPMSMのトルク式導出 ◎坂本博亮・後藤善克・小山正人（金沢工業大学）同期モータの制御では、回転座標系における電圧電流方程式やトルク式を利用することによって、等価的に直流モータと同じように制御するベクトル制御法が広く使われている。そのため、直流モータと同期モータの回転原理を関連づけて理解することが必要である。現在、同期モータの回転原理は、永久磁石と電機子巻線の磁極によって生じる吸引力によって説明されている。しかし、この説明では直流モータと同期モータのトルク式の等価性を把握することが困難である。そこで、本稿では、埋込磁石式同期モータのトルク式をフレミングの左手の法則を用いて導出したので、導出方法を報告する。
4-033	パワーデバイスの過電流検出用センスセルを用いたモータ電流検出
4-033	◎風岡諒哉・入江将嗣・山本昌弘・土田正裕・山田隆弘・笹谷卓也（デンソー）電気学会全国大会講演要旨 4-033 パワーデバイスの過電流検出用センスセルを用いたモータ電流検出 ◎風岡諒哉・入江将嗣・山本昌弘・土田正裕・山田隆弘・笹谷卓也（デンソー）永久磁石同期モータ（PMSM）はEVやHV等の電動車の走行用駆動モータとして広く普及している。PMSMを駆動するインバータには、モータ制御に必要なモータ電流を検出するホール式電流センサが組み込まれている。電動車の普及とともにインバータの小型化、低コスト化のニーズは高まっている。このようなニーズに対応するため、ホール式電流センサを用いないモータ電流検出とモータ制御手段を開発した。本発表では、過電流検出用のセンスセルを用いてモータ制御に必要な精度で電流検出を実現する検出回路、および電圧利用率が高い領域でもモータ電流を安定して検出するアルゴリズムについて説明し、それらを適用したモータ制御の実証結果を報告する。

D22-C4 パワーエレクトロニクス PMモータ（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-034	永久磁石同期モータの電流検出誤差がパラメータ同定特性に及ぼす影響
4-034	◎小粥康宏・森本茂雄・真田雅之・井上征則（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 4-034 永久磁石同期モータの電流検出誤差がパラメータ同定特性に及ぼす影響 ◎小粥康宏・森本茂雄・真田雅之・井上征則（大阪府立大学）永久磁石同期モータ (PMSM) は高性能・高効率なモータとして注目されており，産業用機械，家庭用機器をはじめ広く利用されている。 PMSMをより高性能な制御をするために，温度変化などにより変化するモータパラメータを正確に把握し，制御に反映させることが望まれている。パラメータを把握する手法としてオンラインパラメータ同定があるが，同定に用いる電流には検出誤差が含まれる可能性がある。本論文では，u相電流に検出誤差としてゲインを与えた場合のパラメータ同定特性に及ぼす影響をシミュレーションにより検討する。さらにこの影響を数式を用いて表現することで一般化し，電流検出誤差の影響を明らかにする。
4-035	同期リラクタンスモータの磁気飽和特性を考慮した最大トルク／電流制御の実験結果
4-035	◎彦根修・野村尚史（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 4-035 同期リラクタンスモータの磁気飽和特性を考慮した最大トルク／電流制御の実験結果 ◎彦根修・野村尚史（富士電機）同期リラクタンスモータ（SynRM）において，最大トルク／電流 (MTPA)条件を満たす電流ベクトル位相は，磁気飽和の影響を無視すれば45[deg]となる。しかし，上述の影響を考慮した場合，MTPA条件を満たす電流ベクトル位相は，負荷の増加に伴い45[deg]よりも大きくなることが知られている。本稿では実際に試験用SynRMの磁気飽和特性を計測し，それに基づきMTPA条件を満たす電流指令を作成して実験を行った結果を示す。
4-036	DTCを用いたIPMSM駆動システムにおける高速運転のための指令トルク計算法
4-036	◎篠原篤志・井上征則・森本茂雄・真田雅之（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 4-036 DTCを用いたIPMSM駆動システムにおける高速運転のための指令トルク計算法 ◎篠原篤志・井上征則・森本茂雄・真田雅之（大阪府立大学）埋込磁石同期モータを高速運転するための制御方法として最大トルク／磁束制御が報告されているが, 直接トルク制御を用いた駆動システムでは不安定になりやすい。本発表では最大トルク／磁束制御の漸近線を用いることで高速運転への対応と安定性の確保を両立する方法を提案する。実機実験により提案法による出力特性を電流制御方式による最大出力特性と比較する。
4-037	モデル予測制御に基づく永久磁石同期モータ電流制御系の近似伝達関数の導出
4-037	◎横山静香・嶋岡雅浩・道木慎二（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 4-037 モデル予測制御に基づく永久磁石同期モータ電流制御系の近似伝達関数の導出 ◎横山静香・嶋岡雅浩・道木慎二（名古屋大学）近年、移動体の動力源として永久磁石同期モータが利用されている。このようなモータは、高出力・高応答化が求められており、限られた電源電圧を有効利用可能な手法が求められている。そこで、我々はインバータの非線形性を考慮する事で、優れた過渡性能を実現可能なモデル予測制御を用いた電流制御系(MPC)に着目している。しかし、MPCは非線形制御系であるため、線形制御理論で利用される伝達関数等の表現での記述や線形制御理論の適用も困難である。本稿では、MPC電流制御系の近似伝達関数の導出の可能性についてシミュレーションによる検討を行い、その結果、MPC電流制御系及び制御器の近似伝達関数を導出したので報告する。
4-038	DTCを用いた超高速PMSM駆動システムのFPGA実装と運転特性の検討
4-038	◎安村昂平・井上征則・森本茂雄・真田雅之（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 4-038 DTCを用いた超高速PMSM駆動システムのFPGA実装と運転特性の検討 ◎安村昂平・井上征則・森本茂雄・真田雅之（大阪府立大学）永久磁石同期モータ(PMSM)は，高効率で可変速範囲が広く様々な分野で活用されている。近年では，超高速駆動が注目されておりPMSMの高精度な制御が不可欠となっている。さらに，数百kHzオーダーのスイッチング周波数を実現するSiC-MOSFETインバータにより，マイクロ秒オーダーでの高速制御を実現する駆動システムが求められている。また，FPGAは，ハードウェア記述言語により構成可能な論理集積回路であり，その高速処理能力からモータの制御システムへの応用も検討されている。モータ制御の一つに，電機子鎖交磁束に同期したM-T座標上での直接トルク制御(DTC)がある。本論文では，FPGAへの実装に適したDTCの構成を提案し，シミュレーションと実機実験により妥当性を検証した。
4-039	最大トルク制御座標系における弱め磁束制御を用いたIPMSMの高出力化
4-039	◎山本拓也・岩田大輝・大沼巧（沼津工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-039 最大トルク制御座標系における弱め磁束制御を用いたIPMSMの高出力化 ◎山本拓也・岩田大輝・大沼巧（沼津工業高等専門学校）従来のモータのベクトル制御報ではIPMSMのようなモータは逆突極性を考慮したd軸q軸電流を流す必要がある。本研究室では、これを容易に実現するような最大トルク制御座標系(f-t軸)を提案している。しかし、f-t軸上での高速域での高出力な運転方法については十分に検討されていなかった。本稿では、f-t軸上で弱め磁束制御を行うことでモータの高出力化を図る。そのためのf-t軸電流指令値決定法と最大出力制御に適したf-t軸電流リミッタを提案し、そのシミュレーション結果を示す。
4-040	直接トルク制御を用いたPMSM駆動システムにおいて磁束推定法がトルク制御特性に及ぼす影響
4-040	◎田端遼平・井上征則・森本茂雄・真田雅之（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 4-040 直接トルク制御を用いたPMSM駆動システムにおいて磁束推定法がトルク制御特性に及ぼす影響 ◎田端遼平・井上征則・森本茂雄・真田雅之（大阪府立大学）永久磁石同期モータ(PMSM)は電気自動車(EV)の駆動用など多岐にわたる分野で利用されており，モータの高出力化や運転特性の拡大が要求されている。実際のモータ駆動システムでは，センサ検出誤差やモータパラメータ誤差などが生じるため，高効率運転や高精度なトルク制御が困難となる場合がある。本研究では，M-T 座標上での直接トルク制御(DTC)を用いたPMSM 駆動システムのトルク制御特性について検討している。本報告では，電機子抵抗の変動と電流オフセットを想定し，磁束推定法の違いがトルク制御特性に与える影響をシミュレーション結果により示す。
4-041	モデル予測制御に基づくPMSM電流制御系の電圧位相分解能の速度依存性に関する検討
4-041	◎嶋岡雅浩・道木慎二（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 4-041 モデル予測制御に基づくPMSM電流制御系の電圧位相分解能の速度依存性に関する検討 ◎嶋岡雅浩・道木慎二（名古屋大学）我々はモータ駆動システムの高出力化・高応答化を実現する方法としてモデル予測制御の適用を検討している．モータ駆動システムの制御性能の鍵は電圧の位相分解能であり，これの細かさが制御性能に影響する．我々が提案する手法は予測周期を導入することにより，平均スイッチング周波数を上昇させることなく電圧位相分解能を向上させている．過去の検討において，ある特定の動作点で予測周期を0.1µsまで短縮することで，PI制御と同等の定常的な制御性能を実現できることを確認した．そこで本稿では，様々な速度において電圧位相分解能と制御性能の関係と電圧位相分解能の設計方針について検討する．
4-042	直接トルク制御において電圧ベクトル位置に応じて指令磁束を変化させるインバータ過変調駆動の運転特性
4-042	◎藤井嵐・井上征則・森本茂雄・真田雅之（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 4-042 直接トルク制御において電圧ベクトル位置に応じて指令磁束を変化させるインバータ過変調駆動の運転特性 ◎藤井嵐・井上征則・森本茂雄・真田雅之（大阪府立大学）近年，埋込磁石同期モータ(IPMSM)は高効率と高出力密度なモータとして幅広い製品で利用されている。中でも電気自動車などのバッテリで駆動するシステムの利用が増加しており，限られた電源における高出力化としてインバータの過変調・方形波駆動が盛んに研究されている。本論文では，M-T座標上での直接トルク制御によるIPMSM駆動システムにおいて，電機子電圧ベクトルに応じて指令磁束とスイッチング信号を変化させることによるインバータの過変調駆動を提案する。提案システムを用いたシミュレーション結果から出力トルクの拡大が見られ，過変調駆動が行うことができた。

D22-C3 パワーエレクトロニクスモータ制御応用
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-043	直流電動車いすの段差越えのためのハードウェア・フェイルセーフ・チョッパ
4-043	◎平井俊光・小原秀嶺・河村篤男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 4-043 直流電動車いすの段差越えのためのハードウェア・フェイルセーフ・チョッパ ◎平井俊光・小原秀嶺・河村篤男（横浜国立大学）少子高齢化社会の進行に伴い、電動車いすの普及が進んでいる。しかし電動車いすは、段差を越える際の安全性に関して問題がある。電動車いすが大きな段差に接触した時に平地と同じ速度で段差を越えることは、特に高齢者にとって危険である。また、段差を越える速度をソフトウェア的に制御する手法は、コントローラが段差を認識できなければ同様に危険となる。本研究では大きな段差の前で一度停止し、その間にエネルギを蓄え、それを使って段差を登ることができるハードウェア・フェイルセーフなチョッパ回路を提案する。また、提案回路を電動台車に用いた段差越えの実験結果について報告する。
4-044	異なる巻線起因特性をもつ独立二重三相巻線永久磁石同期モータの効率駆動法(第1報：5連立非線形方程式の構築)
4-044	○新中新二・梅野和希・中村直人（神奈川大学）電気学会全国大会講演要旨 4-044 異なる巻線起因特性をもつ独立二重三相巻線永久磁石同期モータの効率駆動法(第1報：5連立非線形方程式の構築) ○新中新二・梅野和希・中村直人（神奈川大学）近年，永久磁石同期モータ(PMSM)を駆動対象としたモータ駆動システムの高性能化，高機能化の一環として，モータ固定子に独立の二重三相巻線を施し，各巻線に独立のインバータを配した独立二重駆動システムの開発が進められている。既報の独立二重巻線PMSMは，独立二重三相巻線の配置の観点から，三相同期モータ，六相同期モータ，三相逆同期モータの3種に分類される。本論文は，異なる巻線起因特性をもつ独立二重巻線PMSMの高効率駆動制御法の確立に必須な5(または4)連立の非線形方程式の構築を行ったので，この要点を提示する。
4-045	異なる巻線起因特性をもつ独立二重三相巻線永久磁石同期モータの効率駆動法(第2報：5連立非線形方程式の再帰形解法Ⅰ)
4-045	◎梅野和希・細岡竜・新中新二（神奈川大学）電気学会全国大会講演要旨 4-045 異なる巻線起因特性をもつ独立二重三相巻線永久磁石同期モータの効率駆動法(第2報：5連立非線形方程式の再帰形解法Ⅰ) ◎梅野和希・細岡竜・新中新二（神奈川大学）近年，永久磁石同期モータ(PMSM)を駆動対象としたモータ駆動システムの高性能化，高機能化の一環として，モータ固定子に独立の二重三相巻線を施し，各巻線に独立のインバータを配した独立二重駆動システムの開発が進められている。本論文は，異なる巻線起因特性をもつ独立二重巻線PMSMに必須な最小銅損電流指令値決定法として，多変数ニュートン・ラプソン法を直接活用した方法を新規提案する。
4-046	異なる巻線起因特性を持つ独立二重三相巻線永久磁石同期モータの効率駆動法（第3報：5連立非線形方程式の再帰形解法Ⅱ）
4-046	◎細岡竜・梅野和希・新中新二（神奈川大学）電気学会全国大会講演要旨 4-046 異なる巻線起因特性を持つ独立二重三相巻線永久磁石同期モータの効率駆動法（第3報：5連立非線形方程式の再帰形解法Ⅱ） ◎細岡竜・梅野和希・新中新二（神奈川大学）近年，永久磁石同期モータを駆動対象としたモータ駆動システムの高性能化，高機能化の一環として，モータ固定子に独立の二重三相巻線を施し，各巻線に独立のインバータを配した独立二重駆動システムの開発が進められている。著者らは，第1報にて，異なる巻線起因特性をもつ独立二重巻線PMSMの高効率駆動制御法の確立に必須な5(または4)連立の非線形方程式の構築を行った。本論文では，5連立の非線形方程式の数値解法として，ブーツストラップ形式の再帰形解法を新規提案し，数値検証によりこの有用性を確認する
4-047	異なる巻線特性をもつ独立二重三相巻線永久磁石同期モータの効率駆動法（第4報：効率電流の最小二乗近似）
4-047	◎中村直人・新中新二（神奈川大学）電気学会全国大会講演要旨 4-047 異なる巻線特性をもつ独立二重三相巻線永久磁石同期モータの効率駆動法（第4報：効率電流の最小二乗近似） ◎中村直人・新中新二（神奈川大学）近年，耐故障性，二重安全性，駆動性能の向上などを目的とし，固定子に独立の二重三相巻線を施した永久磁石同期モータの研究，開発が進められている。本モータの発生トルクは第1巻線，第2巻線の各電流とその相互干渉により決定される。このため，発生トルクと損失の関係は，通常の永久磁石同期モータと比較して格段に複雑であり，効率駆動のための最適電流の求解は従来以上に困難なものとなる。本論文は，第1報に続いて，独立二重巻線PMSMの最小銅損電流（効率電流）の解析を行い，本モータの効率駆動法を新たに提案する。提案法は効率電流の最小二乗近似に基づいており，電流指令値はトルクの多項式として容易に決定される。
4-048	同期電動機の高力率・高起動トルク制御
4-048	◎渡邉文雄・中村雅史・岡利明（東芝三菱電機産業システム）電気学会全国大会講演要旨 4-048 同期電動機の高力率・高起動トルク制御 ◎渡邉文雄・中村雅史・岡利明（東芝三菱電機産業システム）マイニング分野の鉱石を粉砕するミル等で、大容量の同期電動機を駆動するシステムの需要がある。この用途においては、高起動トルクを得る必要がある。また、大容量の装置が必要とされるため、高効率であることも重要である。以上の背景から、一定以上の誘起電圧がある速度では力率を1に制御し、また起動時はポジションセンサを用いて高起動トルクを出力できる制御方法を提案する。
4-049	磁気変調形モータのベクトル制御と動力分配の実機検証
4-049	◎本橋勇人・野口季彦（静岡大学）・青山真大（スズキ）電気学会全国大会講演要旨 4-049 磁気変調形モータのベクトル制御と動力分配の実機検証 ◎本橋勇人・野口季彦（静岡大学）・青山真大（スズキ）磁気変調形モータはHEVシステムの集積化に向けて研究されている2つの回転部をもつ特殊な構造のモータである。このモータは磁気的な変調子を有するため，磁石磁束が変調されてステータコイルに鎖交する。従って，PMロータの磁極位置に基づくdq座標では直接磁気変調形モータを制御することはできない。筆者らは，dq座標に代わる新たな回転座標系としてγδ座標を定義することで磁気変調形モータのベクトル制御を検討してきた。また，インバータからの入力電力とPMロータへの機械入力を同期周波数の関係に従って任意に分配し，変調子より機械出力が得られることを実験的に確認したので報告する。
4-050	マルチインバータ方式エレクトロニクモータのフォールトトレランスシステム
4-050	◎岡安正憲・堺和人（東洋大学）電気学会全国大会講演要旨 4-050 マルチインバータ方式エレクトロニクモータのフォールトトレランスシステム ◎岡安正憲・堺和人（東洋大学）現在では、高速鉄道や電気自動車等の主動機としてモータが使用されている。そのため、モータおよびドライブシステムの故障に対する高い信頼性が求められている。モータドライブシステムの高信頼性・高性能化が期待できる技術としてマルチインバータ制御方式がある。本稿では複数インバータをモータと複合化し、インバータの機能停止時のモータドライブの振舞いを明らかにした。
4-051	すべり周波数制御によるマルチインバータ方式エレクトロニクスモータの極数変換の検討
4-051	◎河内謙吾・岡安正憲・堺和人（東洋大学）電気学会全国大会講演要旨 4-051 すべり周波数制御によるマルチインバータ方式エレクトロニクスモータの極数変換の検討 ◎河内謙吾・岡安正憲・堺和人（東洋大学）消費電力量は年々増加しており、その半数がモータによるものである。産業部門において三相誘導電動機の電力消費量はその7割を占めている。そこで、誘導機の効率を改善することで大幅な省エネルギー化が可能であると考えられる。誘導機の効率を改善する方法として、ある回転速度においてその時点に最適な極数に変換する極数変換が挙げられる。本稿では、3相インバータを2台用いてすべり周波数制御により誘導機の各コイルの電流位相を制御することによって電気的に極数を変更する方式を考案し、シミュレーションにて検討している。
4-052	運転状態判別を不要とした誘導電動機の適応制御手法
4-052	◎吉田崇伸・只野裕吾・野村昌克（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 4-052 運転状態判別を不要とした誘導電動機の適応制御手法 ◎吉田崇伸・只野裕吾・野村昌克（明電舎）誘導電動機を高精度にベクトル制御するためには，制御パラメータが電動機の実パラメータと一致している必要がある。しかし，電動機の実パラメータは運転中の巻線温度の影響などで変化するため，正確な設定は困難であるそこで，駆動回生の4象限で適応制御するための手法が提案されているが，この手法では力行回生の切り替わりで適応制御ゲインを切り替えることで4象限での適応制御を実現している。しかし，この手法ではトルク指令と回転数といった運転状態の情報が必要となってしまう。本論文では，運転状態の判別を必要としない適応制御手法の原理について説明し，シミュレーション結果を示す。

A31-B2 パワーエレクトロニクス整流器
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-053	数百V,1000A,1kHz級次世代電力変換器の検討
4-053	◎三角拓也・船渡寛人・春名順之介（宇都宮大学）・福田剛（IHI）電気学会全国大会講演要旨 4-053 数百V,1000A,1kHz級次世代電力変換器の検討 ◎三角拓也・船渡寛人・春名順之介（宇都宮大学）・福田剛（IHI）低電圧大電流を必要とする装置では，電源に用いる電力変換器に特別な注意が必要となる。一方，近年の航空機では，各種アクチュエータの電動化や機内エンターテイメント装置の普及などで電力需要が急増しており1000kWに達する勢いである。しかし，航空機用の電力変換器は，機体空間が限られることと上空で気圧が下がるため，電圧をあまり高くすることができず，低圧(600V)の範囲で高圧用途並の数千Aを給電することが求められる。本稿では，数百Vクラスの低圧で千A級かつ交流周波数1kHz級の電力変換を行うシステムについて，デバイスの並列数や回路方式の現実的な制約を考慮に入れて最適な回路方式の基礎検討を行ったので報告する。
4-054	高調波注入方式による三相24ステップダイオード整流回路の開発
4-054	○笠原邦彦・枡川重男（東京電機大学）電気学会全国大会講演要旨 4-054 高調波注入方式による三相24ステップダイオード整流回路の開発 ○笠原邦彦・枡川重男（東京電機大学）本論文では、三相ダイオード整流回路の入力側に設けた三相単巻変圧器の中性点に、補助回路から電源周波数の3倍からなる凸形方形波電圧を注入するだけで、入力相電圧を多段多重方式と同等な24ステップに改善する方式を提案する。また、図式解析から補助変圧器の電圧比の最適値を求めると共に、シミュレーションにより、回路動作、提案方式の波形改善効果を確認した。本方式の三相ダイオード整流回路素子の最大定格電流は系統からの入力電流に対し50％高める必要があるが、従来の24ステップ方式より簡潔な回路構成となる。補助回路として単相変圧器を2台必要とするが、これらを足し合わせた容量は定格容量の6.73％であることを明らかにした。
4-055	フライングキャパシタ式3レベルPFC
4-055	◎田中秀典・根本裕次・藤田悟・山田隆二（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 4-055 フライングキャパシタ式3レベルPFC ◎田中秀典・根本裕次・藤田悟・山田隆二（富士電機）単相交流400V入力、数百W級の電源装置向けに、フライングキャパシタ(FC)式3レベル回路を適用したPFCを開発した。直流電圧710Vに対し、スイッチング素子には600V耐圧のものが適用可能である。動作モードは4つあり、スイッチング部の電圧がそれぞれ、Mode1: 0V (短絡)、Mode2: FC電圧、Mode3: 直流電圧－FC電圧、Mode4: 直流電圧となる。FC電圧≒直流電圧/2なので、Mode2およびMode3では、この電圧は概ね直流電圧/2である。FCはMode2で充電、Mode3で放電されるので、PWM制御の際にこれらのモードの時間幅を補正して、FC電圧を所望の値になるようにする。 415V入力、700W 出力の試作器を製作した。定格条件において、入力電流が正弦波に制御できることを確認した。効率は97.0%であった。
4-056	部分スイッチング整流回路の三相化
4-056	飴井賢治・◎熊谷彰人・大路貴久・清田恭平・作井正昭（富山大学）電気学会全国大会講演要旨 4-056 部分スイッチング整流回路の三相化飴井賢治・◎熊谷彰人・大路貴久・清田恭平・作井正昭（富山大学）部分スイッチング整流回路は、低次高調波低減と高効率化を両立する回路方式として単相整流回路で既に製品化されている。本論文では、部分スイッチング方式を三相整流回路に導入する手法を提案する。主として回路構成と制御方式、シミュレーション結果について報告する。
4-057	6素子複合PWM単相AC-DC電流形コンバータの動作解析
4-057	◎橘鷹也・帆足昭典・松本洋和・柴戸洋次郎・根葉保彦（福岡大学）電気学会全国大会講演要旨 4-057 6素子複合PWM単相AC-DC電流形コンバータの動作解析 ◎橘鷹也・帆足昭典・松本洋和・柴戸洋次郎・根葉保彦（福岡大学）本論文では，単相交流の2倍周波数瞬時電力を交流チョッパ回路で吸収する6素子2レグ構成のAC-DC電流形コンバータについて，数値解析から出力制御時の理論入出力特性を計算し実測値と比較して結果を報告する。本コンバータは交流チョッパ回路を付加しており，直流側に接続する平滑インダクタを低減できるとともに，直流電流を平滑化して正弦波電源電流を得ることができる。状態空間法による厳密解析を行った結果，出力制御時の瞬時計算波形は実測値とよく一致し理論からも本コンバータの特長を確認できた。
4-058	コンバータ協調制御を用いた高力率マルチレベルAC/DCコンバータの開発
4-058	◎豊田基・近藤亮太・高原貴昭・岩蕗寛康（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 4-058 コンバータ協調制御を用いた高力率マルチレベルAC/DCコンバータの開発 ◎豊田基・近藤亮太・高原貴昭・岩蕗寛康（三菱電機）省エネの観点から, 公共用, 産業用及び一般家庭用電気機器に搭載されるPFCコンバータには高効率化が一層強く求められている。これまで筆者らは, 高効率化を目的として階調制御方式高力率AC/DCコンバータを提案した。本コンバータは, 高効率である半面, 一般的なPFCコンバータよりも電解コンデンサを多く用いる必要があり信頼性の観点から課題であった。そこで, コンバータ協調制御を用いた高力率マルチレベルAC/DCコンバータを提案する。提案制御により, 複数のコンバータを交互にスイッチングし, 協調して高力率制御することで, 従来と同一回路にてコンデンサ容量を低減し, 電解コンデンサからフィルムコンデンサへの置き換えを検討する。本稿では, 提案制御の動作原理を構築し, 実機動作を実証したので報告する。

B21-C1 パワーエレクトロニクス電力制御
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-059	3ポート電力ルータにおける非干渉電流フィードバック制御システムの実装
4-059	◎西本浩也・門勇一（京都工芸繊維大学）・和田圭二（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-059 3ポート電力ルータにおける非干渉電流フィードバック制御システムの実装 ◎西本浩也・門勇一（京都工芸繊維大学）・和田圭二（首都大学東京）近年、再生可能エネルギー源と蓄電池をネットワーク化した電力融通システムが注目されており、著者らは、3ポート間で電力融通が可能な3ポート電力ルータを用いた自立型DCマイクログリッドを提案している。 3ポート電力ルータの非干渉電流フィードバック制御システムに関して検討し、試作機に実装・実験を行うことで、構築したシステムの妥当性を確認した。その結果、各端子の電流が設計した伝達関数通りの波形で指令値に収束すること、各端子の電流が独立に制御できていることから、提案システムにより、非干渉電流フィードバック制御が実現できることを示した。
4-060	3ポート電力ルータの動特性
4-060	◎中川翔太・荒井純一・笠嶋亮輔・西本浩也・門勇一（京都工芸繊維大学）・和田圭二（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-060 3ポート電力ルータの動特性 ◎中川翔太・荒井純一・笠嶋亮輔・西本浩也・門勇一（京都工芸繊維大学）・和田圭二（首都大学東京）著者らは3ポート電力ルータを基本セルとした電力融通システムを提案している。3ポート電力ルータの電力潮流制御を担うTriple-Active Bridge (TAB) コンバータを試作し、各ポートに直流電源が接続された場合の、閉ループ電力潮流制御システムの基本動作は既に確認している。今後、次世代電力ネットワークの研究開発のためには、TABコンバータのシミュレーションモデルが必要になる。本稿では、PSIMⓇを用いて、試作機を模擬したシミュレーションモデルを構築し、試作機のTABコンバータから得られる実験結果と同様の動特性を得た。この結果から、開発したシミュレーションモデルの妥当性が確認できた。
4-061	3ポートDC電力ルータとAC/DC変換器を接続した電力フロー制御実験
4-061	◎片桐啓吾・黒澤健人・笠嶋亮輔・中川翔太・門勇一（京都工芸繊維大学）・和田圭二（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-061 3ポートDC電力ルータとAC/DC変換器を接続した電力フロー制御実験 ◎片桐啓吾・黒澤健人・笠嶋亮輔・中川翔太・門勇一（京都工芸繊維大学）・和田圭二（首都大学東京）次世代の電力流通システムを実現する基本機能として3ポート電力ルータを提案している。近年、IoTが注目を集める中で、分散配置されるエッジ・サーバに3ポート電力ルータを介して系統から給電する方法が有効であると考えている。その際、余剰分の電力を蓄電池に充電し、災害時などの電力不足時には蓄電池からサーバへ給電を行うことを想定している。本稿では、上記の応用を想定し、3ポート電力ルータの電力潮流制御機能を担うTriple-Active Bridge (TAB)コンバータとAC/DC変換器を接続し、AC200V電力系統(三相交流200 V)から蓄電池への充電量を制御する基礎実験を行った結果を報告する。
4-062	交流電力ルータによるチョッピング動作に関する実験的検討
4-062	◎奥津泰志・高橋亮・引原隆士（京都大学）電気学会全国大会講演要旨 4-062 交流電力ルータによるチョッピング動作に関する実験的検討 ◎奥津泰志・高橋亮・引原隆士（京都大学）開発した交流電力ルータは, マトリクスコンバータとの構造上の類似性から, 電力変換器としての利用が考えられる. ルーティング機能と電力変換機能の両立を図ることで, 分散電源の導入が容易になる可能性がある. 本報告では, 電力変換の基本的な動作であるチョッピングの機能を, 交流電力ルータに付与できることを実験的に検証する. ここでは, 60Hzの単相交流電圧に対して, 交流電力ルータの双方向スイッチをスイッチング周波数10kHz, デューティ比50%でスイッチングさせ, チョッピング動作が達成されることを確認した.
4-063	2 種の異なるPWM コンバータを統合したマルチポートコンバータへのデカップラの導入
4-063	◎永田光・鵜野将年（茨城大学）電気学会全国大会講演要旨 4-063 2 種の異なるPWM コンバータを統合したマルチポートコンバータへのデカップラの導入 ◎永田光・鵜野将年（茨城大学）システム内に複数の電源を内包する多電源システムは電源毎にコンバータが必要となるため複雑化ならびに高コスト化する傾向にある。この課題を解決するために、複数台のコンバータを1台へ統合したマルチポートコンバータ（MPC: Multi-Port Converter）が提案されている。しかしMPCでは1台のコンバータで複数出力を同時に制御するが故に、各出力に対する制御の相互干渉が懸念される。この相互干渉はMPCの応答速度を低下させるため、制御の相互干渉を除去可能なデカップラの導入が提案されている。本稿では、2種のコンバータを統合したMPCにデカップラを導入し、シミュレーション結果よりデカップラによって相互干渉は取り除かれ、MPCの2つの出力が個別に制御可能になることが確認された。
4-064	DABコンバータを用いた1kW級LED投光器駆動電源のLED電流制御法の検討
4-064	◎山中悠広・山田洋明・田中俊彦（山口大学）・岡本昌幸（宇部工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-064 DABコンバータを用いた1kW級LED投光器駆動電源のLED電流制御法の検討 ◎山中悠広・山田洋明・田中俊彦（山口大学）・岡本昌幸（宇部工業高等専門学校） 2013年の水銀に関する水俣条約を受け，水銀灯は2021年以降に製造禁止となる見込みである。したがって，街路灯や球場などの産業用照明LEDへの転換が進められており，様々なLED照明駆動電源が提案されている。しかし，ちらつきを抑制するための平滑用キャパシタなどの影響から調光時や点滅時の応答に課題がある。本論文では，Dual Active Bridge(DAB)コンバータを用いた1kW超級LED投光器駆動電源の制御法を提案する。DABは消灯時にLED側のキャパシタの蓄積エネルギーを入力側へ回生する事で，LED照明の消灯や点滅時の応答を改善できる。計算機シミュレーション結果から，消灯時にLED側のキャパシタの蓄積エネルギーを入力側へ回生する事で，LED照明の消灯時の応答を83.4%改善できることを明らかにした。
4-065	回生機能を付加した燃料電池駆動電動カートのチョッパ効率を改善する燃料電池電流値の検討
4-065	◎大寺史耶・山本吉朗・出水直人（鹿児島大学）電気学会全国大会講演要旨 4-065 回生機能を付加した燃料電池駆動電動カートのチョッパ効率を改善する燃料電池電流値の検討 ◎大寺史耶・山本吉朗・出水直人（鹿児島大学）近年，水素社会の実現に向けて，燃料電池システムの高効率化が求められている。本研究では，燃料電池と電気二重層キャパシタ（EDLC）を直列接続した電源を持つ電流可逆チョッパ付 PWMインバータ回路を提案し，その検討を進めてきた。この回路は，2つの電流可逆チョッパにより，直流リンク電圧とEDLC充放電電流を制御できるため，燃料電池電流を負荷電力に関係なく任意の値に設定できる。本稿では，提案回路を実装した電動カートの運転状況に応じてチョッパ効率を向上させるような燃料電池電流値の算出方法を提案し，走行実験によりその妥当性を検討したので報告する。

B21-A3 パワーエレクトロニクス系統制御
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-066	小型STATCOMの開発(1)―機器単体性能の検証―
4-066	○百武宏記・福島浩・野田貴史・梶原幸治・高山利春・横大路啓紀・小西研也・金澤一伸・鈴木雅彦・林秀美（キューヘン）電気学会全国大会講演要旨 4-066 小型STATCOMの開発(1)―機器単体性能の検証― ○百武宏記・福島浩・野田貴史・梶原幸治・高山利春・横大路啓紀・小西研也・金澤一伸・鈴木雅彦・林秀美（キューヘン）筆者らは再生可能エネルギーの普及促進と効率的なエネルギー運用の観点から、太陽光発電およびスマートグリッド対応機器などに取り組んできた。それらに伴う、お客さまの電力品質維持の対応として、様々な電圧調整装置(SVR, TVR, SVC, ShR)を供給するとともに、300kvar自励式無効電力補償装置(STATCOM)の開発を進めている。今回、施工等が既存SVC相当で、早期に実用化が図れるH柱装架機(愛称：Q-STATCOM)を開発し良好な性能が確認できた。今後、引き続き、電力系統への導入に向けた更なる信頼性および保守性の向上に向けて取り組む予定である。
4-067	小型STATCOMの開発（2）－6.6kV模擬配電線路による実証試験－
4-067	○石橋弘次・張本毅（九州電力）・福島浩・百武宏記・野田貴史・林秀美（キューヘン）電気学会全国大会講演要旨 4-067 小型STATCOMの開発（2）－6.6kV模擬配電線路による実証試験－ ○石橋弘次・張本毅（九州電力）・福島浩・百武宏記・野田貴史・林秀美（キューヘン）筆者らは再生可能エネルギーの普及増等に伴うお客さまの電力品質維持対応として、小型で保守性に優れた300kvar自励式無効電力補償装置（STATCOM）の開発を進めている。本稿では、当社薩摩川内試験場の模擬配電設備において、負荷及び太陽光発電（PV）の出力変動を模擬した条件下におけるSTATCOMの連続運転安定性について実証試験を行ったので、その結果について報告する。
4-068	小型STATCOMの開発（3） - LPF制御による電圧制御効果 -
4-068	○張本毅・石橋弘次（九州電力）・池上健吾・野田貴史・林秀美（キューヘン）電気学会全国大会講演要旨 4-068 小型STATCOMの開発（3） - LPF制御による電圧制御効果 - ○張本毅・石橋弘次（九州電力）・池上健吾・野田貴史・林秀美（キューヘン）当社の配電系統にて現在運用中のSVCは、SVRの2次側に設置する場合、SVRの動作を妨げないよう不感帯幅を広く設定し、SVRの不感帯を超過した急峻な電圧変動だけに対応している。この度、最近の太陽光発電(以下、PV)の連系量増加に対応して、より効果的な運用ができるように、筆者らが開発したSTATCOMにPVによる電圧変動も補償可能な新たな制御方式を搭載し、シミュレーション及び当社薩摩川内試験場の模擬配電設備において、PVの出力変動に対する効果を検証したため、その成果を報告する。
4-069	小型STATCOMの開発(4)－複合運用の性能－
4-069	◎林秀美・福島浩・百武宏記・野田貴史・梶原幸治・高山利春・横大路啓紀・小西研也・金澤一伸・鈴木雅彦（キューヘン）電気学会全国大会講演要旨 4-069 小型STATCOMの開発(4)－複合運用の性能－ ◎林秀美・福島浩・百武宏記・野田貴史・梶原幸治・高山利春・横大路啓紀・小西研也・金澤一伸・鈴木雅彦（キューヘン）筆者らは、再生可能エネルギー対応として、自励式無効電力補償装置(愛称：Q-STATCOM)を開発した。従来から、トンネル工事および工場などでのフリッカ対策機器として、他励式の600~900kvar級のフリッカ補償装置を提供してきたが、これらの装置には、小型化や高性能化、さらに対象負荷に応じたより柔軟な適応能力が期待されている。今回、これらの対応として、開発したQ-STATCOM をフリッカ補償装置として運用する場合の効果を、1~3台による複合運用を含めて実験検証し、良好なフリッカ補償性能を確認したので、その成果について報告する。
4-070	UPFCの直列形変換器を用いたノード電圧制御と線路損失低減
4-070	◎池均宣・前川拓也・竹下隆晴（名古屋工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-070 UPFCの直列形変換器を用いたノード電圧制御と線路損失低減 ◎池均宣・前川拓也・竹下隆晴（名古屋工業大学）最近，日本の配電系統では次第に増加している太陽光発電などによって逆潮流が発生することがある。これにより配電系統の電圧を上昇させ，配電系統のノード電圧が適正範囲を超えることがある。また,需要家に設置されている進相コンデンサにより軽負荷時には配電系統に進み電流が流れ，線路損失が増加する。本論文ではUPFC(Unified Power Flow Controller) の直列形変換器を用いて，ノード電圧制御と無効電流による線路損失の低減を同時に実現する制御法を提案し，実験により有効性を確認する。
4-071	不平衡な偶数調波電圧成分に起因するSVC直流電流成分の特性検討
4-071	○吉野輝雄・中山直之・張飛（東芝三菱電機産業システム）電気学会全国大会講演要旨 4-071 不平衡な偶数調波電圧成分に起因するSVC直流電流成分の特性検討 ○吉野輝雄・中山直之・張飛（東芝三菱電機産業システム）サイリスタ制御リアクトル(TCR)を用いた静止形無効電力補償装置(SVC：Static Var Compensator）において，交流電圧の偶数調波成分により直流電流成分が発生することが知られており，第二調波成分を対象に検討されている。これまでに，そのメカニズムを検討し，直流電流成分をオンラインで推定する手法を提案した。さらに，その推定結果を用い，直流電流成分を抑制する方法を提案している。しかし，不平衡な第二調波成分により発生する直流電流成分の特性とその特性を利用した直流電流成分の推定計算方法の妥当性は示されていなかったので報告する。
4-072	無効電流補償装置による放射状配電系統の線路損失を最小とする電圧制御
4-072	◎福谷成希・佐藤貴裕・竹下隆晴（名古屋工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-072 無効電流補償装置による放射状配電系統の線路損失を最小とする電圧制御 ◎福谷成希・佐藤貴裕・竹下隆晴（名古屋工業大学）現在日本の配電系統は1方向に電力の供給を行っている放射状配電系統となっており，末端に向かって電圧が下がるように設計されている。しかし昨今，地球温暖化対策の分散型電源の普及や力率改善のための進相コンデンサの過剰設置により線路に有効電流と進みの無効電流が多く流れ，線路損失の増加やノード電圧が適正範囲から逸脱する問題が生じている。以上のことより，配電系統のノード電圧を適正範囲内に収めることに加えて線路損失を低減させることも重要な課題となっている。本論文では2台の無効電流補償を用いた線路損失を最小としつつ電圧制御する制御法を提案し，試作システムを用いた実験により提案制御法の有効性の検証を行った。
4-073	異系統6.6kV回路の無瞬断切換を目的とした高圧瞬低補償装置の適用
4-073	◎西浦弘貴・大塚敦（東芝三菱電機産業システム）電気学会全国大会講演要旨 4-073 異系統6.6kV回路の無瞬断切換を目的とした高圧瞬低補償装置の適用 ◎西浦弘貴・大塚敦（東芝三菱電機産業システム）半導体，液晶などの製造プラントの電源設備において，停電や瞬時電圧低下（以下，瞬低）への対策として，無停電電源装置が導入されている。従来，停電・瞬低対策装置の補償対象は，最重要負荷に限定されていたが，部分的な補償では製造ラインの停止や原材料ロスなどを防げず，昨今，プラント全体を一括して補償する高圧瞬低補償装置（Voltage Dip Compensation system，以下VDC）の導入が進んでいる。本論文は，異系統の6.6kV回路の無瞬断切換を目的としたVDCの適用事例を紹介し，留意するべき事項について説明する。
4-074	無停電用直流電源装置の接続方式と停電時の負荷電圧挙動について
4-074	◎大藤雄基・野坂一雄（エネルギア・コミュニケーションズ）・太田佳一・北村正伸（京三製作所）電気学会全国大会講演要旨 4-074 無停電用直流電源装置の接続方式と停電時の負荷電圧挙動について ◎大藤雄基・野坂一雄（エネルギア・コミュニケーションズ）・太田佳一・北村正伸（京三製作所）整流器と蓄電池からなる直流電源装置において，整流器交流入力が停電した場合の負荷電圧を観測し，整流器の電圧出力保持時間が一定程度以上ある場合，負荷機器が停止に至らないことを確認した
4-075	繰り返し制御を用いたアクティブフィルタ
4-075	◎石川秀太・田渕朗子・篠本洋介・楠部真作（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 4-075 繰り返し制御を用いたアクティブフィルタ ◎石川秀太・田渕朗子・篠本洋介・楠部真作（三菱電機）ダイオード整流回路を入力とした負荷装置を用いると、電源電流波形が歪み、高調波電流が大きくなる。そこで電力用アクティブフィルタ装置を適用し、高調波電流を打ち消すことで、電流を正弦波状にすることができる。一般的に、負荷のダイオード整流回路の電流を平滑するために、DCリアクトルを挿入するケースが多いが、ダイオードが転流するタイミング電流が急峻に変化するため、高速な電流制御応答が必要となる。そこで電源の周期性を利用し、繰り返し制御を適用したアクティブフィルタの制御方式を開発した。本方式を適用することで電流高調波を5次調波0.90％、7次調波0.55%に低減したことを試作機にて確認した。

B21-C3 パワーエレクトロニクス電気応用
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-076	パワーエレクトロニクス用ワイヤレスセンサのデータ伝送の検討
4-076	◎佐藤龍太郎・和田圭二（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-076 パワーエレクトロニクス用ワイヤレスセンサのデータ伝送の検討 ◎佐藤龍太郎・和田圭二（首都大学東京）パワーエレクトロニクス回路では，回路内部の多数の電圧・電流の計測が行われている。従来は，これらのセンサの信号を検出する場合には，有線により行うことが一般的であるために，多点の信号検出を行う場合には配線の複雑化が課題となる。一方，近年では複数の無線通信規格が汎用化されて各方面で利用が広がっている。本稿では，無線通信規格の一つであるWi-Fiを用いてワイヤレスセンサを用いた場合のデータ伝送手法について検討を行ったので報告する。
4-077	自励発振回路を用いた電気二重層キャパシタにおけるセル電圧平衡化回路
4-077	◎助川祥・大澤寛・浅野洋介（木更津工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-077 自励発振回路を用いた電気二重層キャパシタにおけるセル電圧平衡化回路 ◎助川祥・大澤寛・浅野洋介（木更津工業高等専門学校）近年，化石燃料の枯渇化に加え世界的な環境問題への取り組みにより，再生可能エネルギーに関心が寄せられている．出力が不安定である再生可能エネルギーを利用するには，バッファとして大きなパワー密度を持つ電気二重層キャパシタ(EDLC : Electric Double Layer Capacitor) が有用であるが，耐圧は低く，印加される電圧が高いほど寿命が短くなるという欠点から，通常は複数のEDLC を直列接続することにより電圧が分担されるようにして用いる．その際，静電容量の違いにより寿命にも差が生じるため，モニタ回路によりセルごとの電圧を平衡化させる必要がある．本研究ではそのモニタ回路として，自励発振回路を用いた，複数段直列接続させたEDLC向けのセル電圧平衡化回路を提案する．
4-078	高温下での直流電圧ストレス印加によるアルミ電解コンデンサ加速劣化試験
4-078	◎津崎孝典・長谷川一徳（九州工業大学）・西澤伸一（九州工業大学,産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 4-078 高温下での直流電圧ストレス印加によるアルミ電解コンデンサ加速劣化試験 ◎津崎孝典・長谷川一徳（九州工業大学）・西澤伸一（九州工業大学,産業技術総合研究所）コンデンサは，パワーエレクトロニクス機器の小型化と信頼性向上の制約の一つとなっている。コンデンサは熱に弱く低寿命であり，機器の故障の主な原因となっている。アルミ電解コンデンサは安価で小型かつ大容量を実現できることから多くのアプリケーションで使用されているが，損失が大きく，周波数特性や温度特性が他のコンデンサより劣る。損失は，リプル電流とESR（Equivalent Series Resistance）で計算される。さらに，筆者らは印加される直流電圧によっても損失が変化することを明らかにした。アルミ電解コンデンサは高温下において劣化が加速し，静電容量の低下とESRの増加に影響を与える。一方で，直流電圧の違いによる静電容量とESRの劣化の傾向は明らかになっていない。本稿では，直流電圧ストレス印加による静電容量とESRの変化を測定し，直流電圧ストレスと劣化の関係を加速試験によって明らかにする。
4-079	懸垂型HVDCサイリスタバルブの振動特性
4-079	◎石井優治・上村晃正・亀嶋孝佳・中垣薫雄（東芝）・宮入慧・伊村正幸（東芝三菱電機産業システム）電気学会全国大会講演要旨 4-079 懸垂型HVDCサイリスタバルブの振動特性 ◎石井優治・上村晃正・亀嶋孝佳・中垣薫雄（東芝）・宮入慧・伊村正幸（東芝三菱電機産業システム）従来の自立型構造のHVDCサイリスタバルブとは異なる懸垂型HVDCサイリスタバルブを開発した。今回、開発した懸垂型HVDCサイリスタバルブを自由振動させ，固有振動数を測定し，減衰率を同定した。結果、固有振動数は地震の卓越周波数に対して十分小さく，免震構造として機能すると考える。
4-080	大電流低電圧直流電源用圧電素子駆動接点
4-080	○力石浩孝（核融合科学研究所）電気学会全国大会講演要旨 4-080 大電流低電圧直流電源用圧電素子駆動接点 ○力石浩孝（核融合科学研究所）核融合科学研究所で概念設計を進めているヘリカル型核融合炉(FFHR)では、プラズマ閉じ込磁場生成に直流超電導マグネットを使用し、そのために100kA0.1V級の大電流低電圧直流電源が必要である。この目的で機械接点整流器を提案し概念設計と試作を行ってきた。昨年度までの実験では、動作速度は十分であるが、接点の電圧降下が大きかったため、接点の構造を変更し、複数の整流接点を一組にした小規模実験装置製作し、特性を測定したので報告する。
4-081	限流機能を付加した直流給電システム用半導体遮断器の研究
4-081	○小松正明（釧路工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-081 限流機能を付加した直流給電システム用半導体遮断器の研究 ○小松正明（釧路工業高等専門学校）本研究では遮断器素子候補として、パワーMOSFET、SiC MOSFET、IGBTの3種の電圧制御デバイスを検討している。これらのパワーデバイスはゲート電圧を制御することで遮断器のオン・オフ制御を簡易に行うことができ、また、並列接続による電流容量の調整が容易であり、負荷電流特性に合わせて調整することで、あらゆる負荷に対して適用が可能である。限流機能は、過電流検知・短絡識別後にパワーデバイスの出力特性を、直線領域から飽和領域にゲート電圧を制御し、レーティング電流に一定時間保持することで実現可能である。
4-082	三相インバータ評価試験用無線パルス発生器の開発
4-082	◎小原秀嶺（横浜国立大学）・永田裕二（三喜電機）電気学会全国大会講演要旨 4-082 三相インバータ評価試験用無線パルス発生器の開発 ◎小原秀嶺（横浜国立大学）・永田裕二（三喜電機）近年，高耐圧のIGBTやSiCデバイスの実用化が進み，電力変換器の高電圧用途への応用が進んでおり，ミニモデル実証ではなく，フルスケールでの評価試験を行う必要性が増している。このような背景から，著者らは，先に半導体パワーデバイスの特性評価試験を安全に行うための無線パルス発生器を開発し，報告している。本稿では，新たに三相インバータの試験用に出力信号数を6つに拡張し，三相PWM変調等の種々の機能を実装した無線パルス発生器を開発したので報告する。
4-083	誘導雷故障太陽電池モジュールのI-V特性
4-083	◎阪井誉・桶真一郎（津山工業高等専門学校）・南野郁夫・濱田俊之（宇部工業高等専門学校）・藤井雅之（大島商船高等専門学校）・石倉規雄（米子工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-083 誘導雷故障太陽電池モジュールのI-V特性 ◎阪井誉・桶真一郎（津山工業高等専門学校）・南野郁夫・濱田俊之（宇部工業高等専門学校）・藤井雅之（大島商船高等専門学校）・石倉規雄（米子工業高等専門学校）本報では，誘導雷によって故障した太陽電池モジュールのI-V特性を実測し，バイパスダイオード（BPD）の故障を模擬したシミュレーション結果と比較した。I-V特性は，バイポーラ電源を用いて暗状態において1回あたり30sかけて5回繰り返して計測した。また，3個すべてのBPDが抵抗故障した場合をシミュレーションした。このとき， BPDの故障抵抗値は0.1〜100Ωの範囲で変化させた。結果として故障モジュールのI-V特性は正常なモジュールとは大きく異なっており，計測を繰り返すとグラフの形状が変化した。また，BPDの発熱を確認した。故障を模擬したシミュレーション結果と比較し，雷故障モジュールのBPDの故障抵抗値は0.1〜0.3Ωであると推測した。
4-084	CPV⁺モジュールの発電電力における散乱日射の寄与
4-084	◎地木郁真・桶真一郎（津山工業高等専門学校）・山田昇（長岡技術科学大学）電気学会全国大会講演要旨 4-084 CPV⁺モジュールの発電電力における散乱日射の寄与 ◎地木郁真・桶真一郎（津山工業高等専門学校）・山田昇（長岡技術科学大学）我々のグループでは，全天日射量（GNI）の内，直達日射（DNI）だけでなく散乱日射（DI）も発電に利用する散乱日射活用型CPVモジュール（CPV⁺モジュール）を考案し，2015年の冬から長期フィールド試験を実施してきた。本報では，この結果に基づき，散乱日射が発電電力に与える影響について検討した。結果より，散乱比（DI/GNI）が大きくなるほどCPV ⁺モジュールのメリットが増大することがわかった。ただし，散乱比が0.8程度を超えると，その傾向は見えにくくなる。また，散乱日射強度とともに散乱日射用のストリングの発電電力が大きくなるが，同じ散乱日射強度でも発電電力には約15W/m ²の幅があることがわかった。

D22-B2 パワーエレクトロニクス AC/AC
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-085	共通フライングキャパシタ型5 レベル変換器の転流シーケンスに関する実験検討
4-085	◎長谷川勇・濱田鎮教・漆畑正太・近藤猛（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 4-085 共通フライングキャパシタ型5 レベル変換器の転流シーケンスに関する実験検討 ◎長谷川勇・濱田鎮教・漆畑正太・近藤猛（明電舎）近年、高効率化・小型化に優位とされるトランスレス方式のマルチレベル電力変換装置の研究が注目されている。筆者らは、トランスレス化に加え更なる小型化を実現するためにすべての相モジュールで共通のフライングキャパシタ(FC)を利用した5 レベル変換器とその制御法を提案している。本稿では共通のIGBT をスイッチングした際に起こる転流現象の原理と問題について明らかにする。さらに、上記問題を解決できる転流経路と実現するためのシーケンスに関して検討したので報告する。
4-086	高周波サイクロコンバータ方式絶縁形単相交流－直流変換器のオン損失低減による変換効率の改善
4-086	◎米田昇平・藤田英明（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-086 高周波サイクロコンバータ方式絶縁形単相交流－直流変換器のオン損失低減による変換効率の改善 ◎米田昇平・藤田英明（東京工業大学）筆者らは，高周波サイクロコンバータにパワーデカップリング制御法を適用した絶縁形単相交流－直流変換器を提案し，出力電力脈動の抑制と電源力率の改善が同時に実現できることを確認した。先に提案したサイクロコンバータでは，フィルタコンデンサの進相電流を補償し，電源の基本波力率を1としていた。しかし，フィルタコンデンサの静電容量は小容量であり，進相電流を補償しなくても，大幅な力率低下は生じない。本論文では，進相電流補償の有無によるオン損失低減効果を検討し，100 V，300 Wの実験回路にて，提案する制御法の動作を確認する。
4-087	マトリックスコンバータの電源力率改善及び入力電流高調波低減PWM制御
4-087	◎伊藤達郎・山川智之・竹下隆晴（名古屋工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-087 マトリックスコンバータの電源力率改善及び入力電流高調波低減PWM制御 ◎伊藤達郎・山川智之・竹下隆晴（名古屋工業大学）商用三相交流電源を任意の周波数，電圧に変換する電力変換器であるマトリックスコンバータは，従来のコンバータ・インバータシステムと比較して，小型化・高信頼化・高効率化が可能であり，現在様々な研究が行われている。本論文ではマトリックスコンバータにおいて電源力率を改善しつつ，入力電流高調波を低減する制御法を提案し，提案制御法の有効性を確認する。スイッチングの接続順を反転させ，入力電流高調波を低減する方法を説明する。そして実験によって，提案制御法は従来の電源力率改善制御法と同程度の力率改善をしつつ，その従来制御法より入力電流高調波が低減できることを確認する。
4-088	8素子PWM単相AC-AC電流形コンバータの定常特性解析
4-088	◎高倉悠・松尾照久・松本洋和・柴戸洋次郎・根葉保彦（福岡大学）電気学会全国大会講演要旨 4-088 8素子PWM単相AC-AC電流形コンバータの定常特性解析 ◎高倉悠・松尾照久・松本洋和・柴戸洋次郎・根葉保彦（福岡大学）本稿は，8素子PWM単相AC-AC電流形コンバータにおいて，状態空間法による厳密解析を行い，計算した入出力特性を実測値と比較したものである。本コンバータでは，電源電圧，負荷電圧，負荷力率角と直流電流を検出して平滑直流電流を得るようにチョッパブリッジの制御を行う。状態空間法による定常解析では，各スイッチの状態から考えられる15の動作モードについて，それぞれ等価回路と状態方程式を導出し，解析を行った。入出力特性と各部瞬時波形の計算値は実測とほぼ一致することを示し，理論からも正弦波形を維持して出力調整が可能であることを明らかにした。
4-089	昇圧型三相/単相直接型絶縁変換器の転流方式に関する基礎検討
4-089	春名順之介・◎上田浩史・土屋純平・船渡寛人（宇都宮大学）電気学会全国大会講演要旨 4-089 昇圧型三相/単相直接型絶縁変換器の転流方式に関する基礎検討春名順之介・◎上田浩史・土屋純平・船渡寛人（宇都宮大学）近年，三相商用交流電力からバッテリなどの直流電力を得るための電力変換器が盛んに研究されており，従来のAC/DC/AC方式に代わって，マトリックスコンバータ方式による絶縁型変換器の実用例も報告されている。本論文では，高周波トランス側電圧が三相側電圧よりも高圧となる昇圧型三相/単相直接型絶縁変換器における転流動作について検討したので報告する。
4-090	直列コンデンサとトライアックを用いた可変速同期発電機定格の最適化
4-090	◎合谷秋人・野村新一（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 4-090 直列コンデンサとトライアックを用いた可変速同期発電機定格の最適化 ◎合谷秋人・野村新一（明治大学）洋上風力発電に適用する高圧直流送電では，発電端側の電力変換器は無制御のダイオード整流器で構成することが可能である。しかし，複数の風力発電機を直流連系する場合，発電機の出力電圧と周波数が常に変動するため，直流電圧を制御する必要がある。解決策として，著者らは直列コンデンサとトライアックを組み合わせて，進み力率と遅れ力率の両方で直流電力を制御できる直列補償型ダイオード整流器の開発を進めている。本稿では，風力発電に使用する可変速同期発電機の定格を実験により定めた。実験より，動作電流を小さくするとトライアックの制御範囲は広がり，直列コンデンサには0.4 p.u.程度の電圧容量が要求される。
4-091	高周波IH応用シングルステージZVS-PWM AC-ACコンバータにおける共振周波数追従制御法の一検討
4-091	◎坂本修一・三島智和（神戸大学）・井出千明（富士電子工業）電気学会全国大会講演要旨 4-091 高周波IH応用シングルステージZVS-PWM AC-ACコンバータにおける共振周波数追従制御法の一検討 ◎坂本修一・三島智和（神戸大学）・井出千明（富士電子工業）金属熱処理を目的とした高周波誘導加熱(IH)用コンバータとして，筆者らはブリッジレスブーストフルブリッジ(BFB)ゼロ電圧ソフトスイッチング(ZVS)-PWM 商用周波交流(UFAC)-高周波交流(HFAC)コンバータを提案し，実動作と共にその有用性を報告している。本電力変換システムでは，加熱温度により負荷インピーダンスが大きく変化するため，負荷共振周波数の追従制御が求められる。本稿では，位相シフト(PS)PWMと共振周波数追従制御を組み合わせた制御系を新たに導入し，シミュレーション解析により検討したので報告する。

A31-A1 パワーエレクトロニクス DC/AC（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-092	パワーモジュール内電流センサを用いたインバータの電流制御
4-092	◎鈴木謙介・和田圭二（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-092 パワーモジュール内電流センサを用いたインバータの電流制御 ◎鈴木謙介・和田圭二（首都大学東京）近年, パワーモジュール内蔵型の電流検出用センサに関する研究・開発が進められている。これらのセンサは，主として過電流保護を目的として検討が進められている。本稿では，モジュール内電流センサを積極的に活用することを目的として，パワーデバイスに流れる断続的な電流波形を用いてフィードバック制御する手法について検討を行った。その結果，インバータ回路の上アームのデバイスのON 時の電流をスイッチング周期毎にサンプリングすることによって，単相インバータの電流制御が可能であることをシミュレーションにより示す。
4-093	直接電力変換を用いた非絶縁系統連系インバータ回路の一検討
4-093	◎山口正通・野下裕市（東京都立産業技術高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-093 直接電力変換を用いた非絶縁系統連系インバータ回路の一検討 ◎山口正通・野下裕市（東京都立産業技術高等専門学校）近年，太陽光発電(Photovoltaics：PV)の普及が進んでおり，住宅用の市場は今後も拡大が続くと期待されている。PVから得られる電力は直流であり，出力電圧は電力系統の電圧よりも低い場合が多い。そのため，昇圧チョッパを用いて系統電圧の最大値を上回る電圧源を生成し，電圧型インバータによる降圧動作で連系する2段階変換の構成が一般的である。発電した電力を有効利用するため，電力変換の過程で発生する損失は可能な限り低減させることが求められる。本論文では，系統連系インバータの電力損失低減を目的として，直接電力変換を利用した回路を提案する。提案回路の動作検証をシミュレーションにより行う。
4-094	瞬時無効電力補償装置を並列接続した三相系統連系用インバータの電流波形改善
4-094	◎高木一斗・藤田英明（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-094 瞬時無効電力補償装置を並列接続した三相系統連系用インバータの電流波形改善 ◎高木一斗・藤田英明（東京工業大学）筆者らは先に，瞬時無効電力補償装置を並列接続した三相系統連系用インバータを提案し，抵抗負荷を用いた実験によって損失低減効果を確認した。これは，直流リンクに接続されたインバータが120度通電動作を行い，その高調波電流を補償装置が注入することで系統電流を正弦波に制御する点に特長がある。スイッチングの高周波化に頼らずに，従来回路に比べ，交流インダクタの電流定格を1/2に，その体積を約1/4に低減できる。本論文では，5 kWの実験装置により提案回路の系統連系動作を検討し，その際に生じる電流歪みの改善を講じる。
4-095	単相PWMインバータのディジタル制御におけるインダクタンスパラメータの実時間推定制御
4-095	◎藤原理緒・吉野巧真・横山智紀（東京電機大学）・大橋俊介（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 4-095 単相PWMインバータのディジタル制御におけるインダクタンスパラメータの実時間推定制御 ◎藤原理緒・吉野巧真・横山智紀（東京電機大学）・大橋俊介（富士電機）近年,パワーエレクトロニクス機器の小型・効率化を目的として,SiC や GaN などのワイドバンドギャップ半導体の適用開発が進められている.ワイドバンドギャップ半導体を利用することにより,数十 KHz 以上の高周波スイッチングが可能になる.この周波数領域に用いられるリアクトル鉄心としてはダスト系コア材等が適しているが,電流に対するインダクタンス変動が大きく,波形ひずみなど出力特性の劣化が懸念される .本研究ではダスト系コアを使用したインバータシステムにおいて外乱補償型デッドビート制御にインダクタパラメータ推定を組み合わせることで, インダクタンス変動が大きい場合でも安定に動作する手法を提案し,シミュレーションにて有効性を確認したので報告する.
4-096	コモンモード電圧の低減と直流入力電圧のバランスを考慮した5レベルインバータの空間ベクトル制御法
4-096	麻布昌志・○加藤利次・井上馨（同志社大学）電気学会全国大会講演要旨 4-096 コモンモード電圧の低減と直流入力電圧のバランスを考慮した5レベルインバータの空間ベクトル制御法麻布昌志・○加藤利次・井上馨（同志社大学）本報告は、5レベルインバータに関して、コモンモード電圧の低減と入力直流電圧のアンバランスの2つの課題を解決法を提案するものである。すなわち、本報告は、空間ベクトル変調法により、入力直流電圧を均一バランス化しながら、できるだけコモンモード電圧の低減する方法を提案する。その基本原理は、5レベルインバータでは指定の電圧レベルを出力する空間ベクトルは複数通り存在するので、回路動作モードをⅠⅡの2つに分け、モードⅠではコモンモード電圧を低減するSVを、モードⅡでは入力直流電圧のアンバランスを補正するSVをを選択するものである。
4-097	TPCM電流モードを用いた単相系統連系インバータに関する検討
4-097	◎張剣韜・磯部高範・只野博（筑波大学）電気学会全国大会講演要旨 4-097 TPCM電流モードを用いた単相系統連系インバータに関する検討 ◎張剣韜・磯部高範・只野博（筑波大学）電流不連続モード(DCM)ではインダクタに蓄積エネルギーを低減できる。系統連系インバータに電流不連続を適用することで，連系インダクタの小型化が期待できる。しかし，DCMインバータでは電流ゼロ区間に素子の出力容量と連系インダクタの共振が発生する。この共振電流によって，出力電流のひずみが発生する。また素子ターオン時に出力容量を短絡することがあり，それによる損失とノイズの発生もまた問題である。この問題を解決するために，本研究では，trapezium current mode (TPCM) 動作方式を提案する。今回は，提案法を実機による検証を行い，その有効性について報告する。
4-098	Zソースインバータ方式によるSJ-MOSFETのPWMインバータ適用の検討
4-098	◎鴨志田直樹・飯嶋竜司・磯部高範・只野博（筑波大学）電気学会全国大会講演要旨 4-098 Zソースインバータ方式によるSJ-MOSFETのPWMインバータ適用の検討 ◎鴨志田直樹・飯嶋竜司・磯部高範・只野博（筑波大学）優れた耐圧-オン抵抗のトレードオフを有するデバイスであるSuperjunction-MOSFET (SJ-MOSFET)は，ボディダイオード導通時の逆回復電流の大きさにより，インバータへの適用は困難であった。本研究では，上下短絡動作による昇圧機能を特徴とするZソースインバータ（ZSI）方式を用いて，SJ-MOSFETのPWMインバータへの適用を提案する。本報告では，ZSIのデッドタイムレス運転によるSJ-MOSFETの動作状態についての検討を行った。

A31-A2 パワーエレクトロニクス DC/AC（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-099	周波数逓倍を利用したMHzインバータの鉄損評価
4-099	◎折川幸司・小笠原悟司・竹本真紹（北海道大学）・伊東淳一（長岡技術科学大学）電気学会全国大会講演要旨 4-099 周波数逓倍を利用したMHzインバータの鉄損評価 ◎折川幸司・小笠原悟司・竹本真紹（北海道大学）・伊東淳一（長岡技術科学大学）近年，高効率にISMバンドの電圧を出力する電源が盛んに研究されている。しかし，従来の回路構成では，インバータあるいはトランスの磁性材料の動作周波数は出力周波数と同じになるが，ISMバンドで十分な特性を有する半導体スイッチと磁性材料は存在せず，高効率を実現することは困難である。著者らは，これまでに周波数逓倍に基づくMHzインバータを提案しており，半導体スイッチと磁性材料の動作周波数を出力周波数のn（インバータの相数）分の1に低減し，トランスの鉄損を低減できる利点がある。本論文では，スイッチング周波数500kHz，出力周波数2.5MHzの試作機を対象に，トランス動作周波数の低減による鉄損の抑制について実験検証したので報告する。
4-100	厚銅多層基板を用いたSiC-MOSFET三相インバータの特性評価
4-100	◎石川光亮・小笠原悟司・竹本真紹・折川幸司（北海道大学）電気学会全国大会講演要旨 4-100 厚銅多層基板を用いたSiC-MOSFET三相インバータの特性評価 ◎石川光亮・小笠原悟司・竹本真紹・折川幸司（北海道大学）近年，パワーエレクトロニクス機器の性能向上に伴い，SiCやGaNなどのワイドバンドギャップ半導体を用いたパワーデバイスが研究・開発されている。これらの次世代半導体デバイスは，従来のSiデバイスと比較して，低損失・高周波動作可能である。しかし，デバイスのスイッチング速度が向上するにつれて，動作速度やサージ電圧に起因する主回路の配線インダクタンスのおよぼす影響が大きくなることが懸念される。従来から，この配線インダクタンスを低減するために，ラミネートバスバーやデバイスのパッケージングにおいて対策が講じられてきた。本論文では，先に開発した厚銅多層基板を主回路に用いて，配線インダクタンスを30 nH程度まで低減したSiCインバータについて，スイッチング特性と効率を測定したので報告する。
4-101	パワーデカップリング型パワーコンディショナのLVRT(Low Voltage Ride Through)性能評価
4-101	◎小野寺太輝・清水敏久（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-101 パワーデカップリング型パワーコンディショナのLVRT(Low Voltage Ride Through)性能評価 ◎小野寺太輝・清水敏久（首都大学東京）パワーコンディショナの小型・長寿命化を目的として，パワーデカップリング機能を持つパワーコンディショナの研究結果が多数報告されている。一方，パワーコンディショナでは，系統の受電点電圧上昇やアンチアイランディング，Low Voltage Ride Through (LVRT)などの仕様を満たす必要がある。本論では低力率動作が可能なパワーデカップリング型パワーコンディショナのLVRT制御方式について検討を行ったので報告する。
4-102	中性点クランプ式3レベルインバータの高調波電流による中性点電位脈動抑制
4-102	◎大井一伸・濱田鎮教・小堀賢司・近藤猛（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 4-102 中性点クランプ式3レベルインバータの高調波電流による中性点電位脈動抑制 ◎大井一伸・濱田鎮教・小堀賢司・近藤猛（明電舎）中性点クランプ式3レベルインバータはスイッチング損失の低減に優れ，近年製品への適用が進んでいる。中性点クランプ式インバータの問題点である中性点電位の3次脈動は，零相電圧による抑制法が確立されている。しかし，この抑制法は3相4線式インバータには適用できない課題がある。本論文では，まず出力高調波電流と中性点電流の関係を明らかにした。その結果、中性点電位3次脈動は基本波電流だけでなく逆相5次高調波によっても発生することを確認した。この結果を使用し、逆相5次高調波電流を用いた中性点電位の脈動抑制法を提案、シミュレーションで効果を確認した。
4-103	小型LCL フィルタを有する単相系統連系インバータの高速ゲート遮断を適用したFRT 動作の実機検証
4-103	◎永井悟司・日下佳祐・伊東淳一（長岡技術科学大学）電気学会全国大会講演要旨 4-103 小型LCL フィルタを有する単相系統連系インバータの高速ゲート遮断を適用したFRT 動作の実機検証 ◎永井悟司・日下佳祐・伊東淳一（長岡技術科学大学）系統連系インバータの高周波化により連系リアクトルの小型化が可能である。しかし，小型化した連系リアクトルでは電流変化量が増加し，瞬時電圧低下時(以下，瞬低)の運転継続 (以下，FRT : Fault Ride Through)が困難となる。著者らはこれまでにインバータ出力にあるLCLフィルタの設計法を明確化し，高速ゲート遮断を用いて残電圧0%の瞬低における運転継続 (以下，ZVRT : Zero Voltage Ride Through)が可能であることを確認した。また，出力電流オーバーシュート率を50%以下へ抑制可能であることを理論解析とシミュレーションにより確認している。本論文では1 kWの試作機によりZVRT動作の実機検証を行い，提案方式の有用性を確認する。
4-104	SiC素子と直並列連続切替チョッパを適用した鉄道車両用補助電源装置の基礎試験
4-104	◎森雄生・近藤貴大・大山裕二・畠山卓也（東洋電機製造）・船渡寛人（宇都宮大学）電気学会全国大会講演要旨 4-104 SiC素子と直並列連続切替チョッパを適用した鉄道車両用補助電源装置の基礎試験 ◎森雄生・近藤貴大・大山裕二・畠山卓也（東洋電機製造）・船渡寛人（宇都宮大学）著者らは，鉄道車両用補助電源装置に対し，インバータの前段にチョッパを挿入し，架線電圧変動の影響を抑え，後段の変換器の耐圧を低くし低耐圧素子を適用する手法として，スイッチング素子に印加される電圧が入力電圧ではなく出力電圧に依存する直並列連続切替チョッパおよびそれを含む高周波絶縁APSを提案している。本稿では提案APSに対し，全てSiC素子で構成したフルサイズの試験装置を製作し，基本動作を確認したので報告する。

A31-A3 パワーエレクトロニクス DC/AC（Ⅲ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-105	バイパス機能付き高電圧マルチレベルインバータ
4-105	◎山口治之・金子和秀・木下真吾・李天健（東芝三菱電機産業システム）電気学会全国大会講演要旨 4-105 バイパス機能付き高電圧マルチレベルインバータ ◎山口治之・金子和秀・木下真吾・李天健（東芝三菱電機産業システム）産業分野において、高電圧出力のインバータを用いた高電圧電動機の可変速化が進んでおり、3kV〜11kVの電圧範囲に適用できる高電圧マルチレベルインバータが適用されている。国内外の市場として、より信頼性の高いセルインバータが求められている。そこで、バイパス回路を搭載したセルインバータを開発した。バイパス回路には信頼性、構造的制約より半導体素子を用いた。セルインバータ故障発生時は三相一括にてセル一段分のバイパス回路を動作させ、バイパス運転へと移行させる。実機試験にて、バイパス回路が正常に動作することを確認した。これによりセルインバータに故障が発生しても、バイパス機能により装置が稼働し続けることが可能となる。
4-106	電流引き抜き回路を用いたゼロボルトスイッチングブーストコンバータ
4-106	◎植松健人・佐藤隆英・小川覚美（山梨大学）電気学会全国大会講演要旨 4-106 電流引き抜き回路を用いたゼロボルトスイッチングブーストコンバータ ◎植松健人・佐藤隆英・小川覚美（山梨大学）インダクタと容量の共振現象を利用したゼロボルトスイッチングでは、インダクタを流れる電流の変化が大きいためインダクタの鉄損が大きい。そこで、容量の放電を行う電流引き抜き回路を用いたゼロボルトスイッチングを提案している。提案するスイッチング方式では、共振現象を用いないため電流連続モードのままゼロボルトスイッチングが実現でき、インダクタの鉄損が低減可能となる。インダクタの鉄損の低減効果と新たに付加した電流引き抜き回路における損失を理論的に算出し、提案回路が有効であることを理論的に確認している。提案するスイッチング方式を用いたブーストコンバータを作製し、98.3%の変換効率を得ている。
4-107	モジュラー・マルチレベルDSCC変換器を用いた高圧高速電動機模擬装置の実験検証
4-107	◎斉藤健一朗・岡崎佑平・赤木泰文（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-107 モジュラー・マルチレベルDSCC変換器を用いた高圧高速電動機模擬装置の実験検証 ◎斉藤健一朗・岡崎佑平・赤木泰文（東京工業大学）本論文では,二重スター方式のモジュラー・マルチレベル変換器(DSCC変換器)を使用した高圧高速電動機模擬装置を提案する。DSCC変換器を2台使用した同期電動機模擬装置(三相200 V, 2 極, 300 Hz)を設計・作成し, その妥当性を実験により確認する。実験では,電動機模擬装置の回転速度を零速度から定格速度まで上昇させた。その際, 始動トルク(20%)を与えた状態で安定に動作することを確認した。また, 電動機と負荷を含めた機械系の慣性モーメントを2%の誤差で模擬することができた。これは, 同期電動機の機械系を正確に模擬できていることを意味する。
4-108	高効率昇降圧マルチレベルチョッパの検証
4-108	◎藤原賢司・奥田達也（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 4-108 高効率昇降圧マルチレベルチョッパの検証 ◎藤原賢司・奥田達也（三菱電機）絶縁型DC-DCコンバータにおいて，小容量のUPSなど蓄電池電圧が低くDCバス電圧が高い場合は2直列のコンデンサで構成されたDCバスをそれぞれ昇圧チョッパと出力反転型の昇降圧チョッパを用い、1回路あたりの昇圧比率を下げていた。これまで昇圧チョッパの高効率化手法として，フライングキャパシタ方式のマルチレベルチョッパが知られている。本開発では同フライングキャパシタを用いて昇降圧チョッパのマルチレベル化による高効率化開発を実施した。本開発では出力極性反転型昇降圧マルチレベルチョッパの評価試験により電池電圧60V仕様での定格出力にて従来機試算値より3.6％高い95.5％を示し，出力反転型昇降圧チョッパの高効率化を実証した。
4-109	拡張型Zソースインバータと部分影補償器を統合した統合型マイクロインバータ
4-109	◎篠原俊樹・鵜野将年（茨城大学）電気学会全国大会講演要旨 4-109 拡張型Zソースインバータと部分影補償器を統合した統合型マイクロインバータ ◎篠原俊樹・鵜野将年（茨城大学）近年、太陽電池（PV: Photovoltaic）システムの電力利用率の向上を狙い、マイクロインバータ（MI: Micro-Inverter）によるパネル毎の系統連系が一般的になりつつある。しかしMI方式はパネル毎に昇圧回路とインバータが個別に必要となりシステムが複雑化する傾向がある。さらに部分影によるPVパネルからの抽出電力低下を防ぐためには、MIとは別個に部分影補償器が必要となる。本稿では、昇圧機能を持つZソースインバータの派生方式である拡張型qZSI（Quasi Z-Source Inverter）を用いたMIと倍電圧整流回路を用いた部分影補償器を、回路素子を削減しつつ1台に集約した統合型MIを提案する。提案回路に対するシミュレーション解析の結果、部分影補償によって抽出電力を大幅に向上させつつ昇圧動作が可能であることを確認した。
4-110	インバータ主回路用平滑コンデンサの小型化に向けた過電圧保護機能の検討
4-110	◎恩田航平・家澤雅宏・篠原亮・岩蕗寛康（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 4-110 インバータ主回路用平滑コンデンサの小型化に向けた過電圧保護機能の検討 ◎恩田航平・家澤雅宏・篠原亮・岩蕗寛康（三菱電機）近年、産業機器やHEV/EV、電鉄等に適用されるモータ駆動用インバータの高パワー密度化が重要な競争軸になっている。半導体素子や冷却器は、SiCやGaNデバイス適用による低損失化で小型化が進んでいるが、一方で体積占有率が大きいフィルム型の平滑コンデンサの小型化が課題である。特に、平滑コンデンサには、異常時に回生電力を吸収して主回路の過電圧を防止する役割があり、必要容量の律速条件の一つとなっていた。本稿では、この律速条件の緩和を目的として検討したアクティブクランプ型の過電圧保護機能について、放電動作の定式化と回生電力10kWのミニモデル検証の結果を報告する。
4-111	昇圧機能のインバータで構成する小容量パワーコンディショナー ― 簡易型PCSの追求 ―
4-111	○松井景樹・大石英司・河田恭孝（みんな電力）・梅野正義・安林幹翁・内田秀雄・長谷川勝（中部大学）電気学会全国大会講演要旨 4-111 昇圧機能のインバータで構成する小容量パワーコンディショナー ― 簡易型PCSの追求 ― ○松井景樹・大石英司・河田恭孝（みんな電力）・梅野正義・安林幹翁・内田秀雄・長谷川勝（中部大学）各種インバータでは直流電圧を昇圧して使う用途が多く、一般には一段目に昇圧コンバータBCを用いている。直流電圧を昇圧して使う理由は送電効率の改善の他、太陽光発電ではピーク値の高い系統電圧以上の昇圧電圧が必要なためであり、電気自動車では同様な送電効率向上の他、より高圧のモータを使用することで大幅な効率改善が認められるためである。このようなことから昇圧用のBC設置が必然的となりINVと合わせた複雑な2段構成となる。これに伴う制御回路も倍増し回路を構成する素子の増設など高コスト化することは避けられない。本研究は素子の増設することなく単体で昇圧機能を有するインバータ構成を提案するものである
4-112	小型パワーコントロールユニットの開発
4-112	◎矢野新也・中山靖・小林浩・平松星紀・吉田基・恩田航平・林功明・山崎浩次（三菱電機先端技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 4-112 小型パワーコントロールユニットの開発 ◎矢野新也・中山靖・小林浩・平松星紀・吉田基・恩田航平・林功明・山崎浩次（三菱電機先端技術総合研究所）フルSiC適用、はんだ接合によるパワーモジュールの高放熱化等の技術を適用することで、2モータ方式ストロングハイブリッド車に対応するパワーコントロールユニット(PCU)において、業界最小クラスの体積5L、電力密度86kVA/Lという小型なPCUを開発した。本稿ではその内容を報告する。

A31-A4 パワーエレクトロニクス DC/AC（Ⅳ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-113	直列型2ストレージシステムの検討
4-113	○竹島由浩・原田茂樹・岩蕗寛康（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 4-113 直列型2ストレージシステムの検討 ○竹島由浩・原田茂樹・岩蕗寛康（三菱電機）近年、エネルギー利用効率向上を目的として、減速エネルギーの積極的回収を行う2電源系の電源システムが用いられている。高圧バッテリとしてリチウムイオンバッテリ(LIB)が用いられることが多いが、低温環境時にLIBの内部抵抗が大きくなり所定の電圧/電流を供給できなる点と、LIB 充放電電流の急峻変化が寿命劣化の要因である点が課題である。本稿では上記課題を解決するため、低温環境動作でも所定の電圧/電流を供給でき、LIB電流の立ち上り速度をコントロールできる直列型2ストレージシステムを提案する。充放電特性の異なる2つの蓄電デバイスと、電動機の小型/高出力化に寄与できる昇圧コンバータを組み合わせ、蓄電デバイス間のエネルギー授受が可能となることの原理検証を行う。
4-114	需給制御を可能とするインバータの制御方式の検討
4-114	◎苅田知明・野呂康宏（工学院大学）電気学会全国大会講演要旨 4-114 需給制御を可能とするインバータの制御方式の検討 ◎苅田知明・野呂康宏（工学院大学）インバータのみで電力系統を構築する場合には、複数のインバータが電圧や周波数の協調を取りながら制御する仕組みが必要である。その具体的な制御方法を検討し、シミュレーションで確認する。インバータ2台接続時のシミュレーション結果より負荷を増加させたとき電源用インバータ2台は安定かつ同期して動いていることが確認できた。周波数も2台とも同様の変化をし、理論値として予想される値まで変化していることが確認できた。また出力指令の動作で周波数が元の50Hzに戻ることを確認できた。電圧も1puになることが確認できた。この結果よりインバータ2台接続時には安定に動作していると考えられる。
4-115	超大容量2 MWクラス高効率UPSの開発
4-115	◎白銀尚明・原田高明（東芝三菱電機産業システム）電気学会全国大会講演要旨 4-115 超大容量2 MWクラス高効率UPSの開発 ◎白銀尚明・原田高明（東芝三菱電機産業システム）無停電電源装置（UPS）は各種情報装置の電源高信頼化を請け負う重要な装置として，様々な場面で活躍している。近年では，データセンターのクラウド化や専門事業者（コロケーションまたはマルチテナントデータセンター）の拡大に伴い，超大規模データセンター（ハイパースケールデータセンター）の普及が進み，UPSのさらなる大容量化の需要が高まってきている。本論文では，これらの市場要求に対応すべく開発した高効率超大容量UPS（三相入出力400 V系，2 MW）で良好な試験結果を得たので報告する。本UPSは，変換回路に双方向スイッチ式NPCを適用することで，負荷率が低い領域でも95%以上の変換効率（最高効率97.0%）を達成し，据付面積は世界最小クラスとした。
4-116	交流電圧源として連系するインバータを用いたマイクロ水力用単独運転防止装置
4-116	○大島正明（オリジン電気）・瀧沢雅仁（東京発電）電気学会全国大会講演要旨 4-116 交流電圧源として連系するインバータを用いたマイクロ水力用単独運転防止装置 ○大島正明（オリジン電気）・瀧沢雅仁（東京発電）交流電圧源で電力系統に連系するインバータを用いて，マイクロ水力用の新しい単独運転防止装置を開発し，製品化した。装置構成と制御法の概要を述べる共に，その性能及び試験結果を紹介する。
4-117	空調用高効率インバータ装置の開発と実用化
4-117	◎吉村公志・金森正樹・石田圭一（東芝キヤリア）・餅川宏（東芝）電気学会全国大会講演要旨 4-117 空調用高効率インバータ装置の開発と実用化 ◎吉村公志・金森正樹・石田圭一（東芝キヤリア）・餅川宏（東芝）近年、空調機では最も運転頻度の高い低負荷領域での効率向上が求められており、その効率向上手段の一つとして、圧縮機モータを高巻数化する手法が挙げられる。この手法では、高回転時にモータ誘起電圧が増大するため、昇圧回路を適用することで圧縮機モータの運転範囲を確保している。しかし、昇圧回路素子を高周波動作させるため、回路損失低減に課題がある。本稿ではSJ-MOSFETを用いた同期整流型の昇圧回路にA-SRB(Advanced Synchronous Reverse Blocking)回路を適用することで、SJ-MOSFETの低導通損失特性を最大限有効利用した。これにより、高周波動作によるスイッチング損失を最小限に抑制でき、一般的な昇圧チョッパ回路に対し、高効率な動作を実現したので報告する。

B21-A4 パワーエレクトロニクス DC/DC（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-118	位相制御されたフライバックコンバータ回路の挙動解析
4-118	◎大里辰希・佐藤宣夫（千葉工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-118 位相制御されたフライバックコンバータ回路の挙動解析 ◎大里辰希・佐藤宣夫（千葉工業大学）電源回路に求められる性能指標は，電力生成とその安定性に集約される．また各種の電源回路方式が検討される中で，比較的小容量（数十W程度）の電源回路には，部品点数の少なさから，フライバックコンバータ回路が採用されることが多い．特にスイッチング周波数の高速化に伴い，一周期当たりに扱うエネルギー量を減少し，インダクタやキャパシタのサイズを縮小することで，電源回路全体の小型化と軽量化が達成される．本研究では，10MHzで動作するフライバックコンバータ回路の具現化を目指す．その際，2次側の整流素子にはパワーMOSFETを用いて，制御信号の位相調整により同期整流制御されたフライバックコンバータ回路を提案および設計し，高周波動作時の回路挙動を評価・解析した．
4-119	LED駆動電源における並列接続した均等出力電力フライバックコンバータの協調制御法
4-119	◎矢田智春・藤原宗（新日本無線）・山田洋明（山口大学）電気学会全国大会講演要旨 4-119 LED駆動電源における並列接続した均等出力電力フライバックコンバータの協調制御法 ◎矢田智春・藤原宗（新日本無線）・山田洋明（山口大学）著者らは先に，LED照明の調光範囲拡大を目的とした並列接続したフライバックコンバータの協調制御法を提案し，その有効性を計算機シミュレーションにより明らかにした⁽¹⁾。本論文では，駆動電源設計の簡素化および電力損失の均等化を目的とした一段並列構成のフライバックコンバータの協調制御法を提案し，実機により提案方式の有効性を確認したので報告する。
4-120	Dual Active Bridgeコンバータにおける高調波を考慮した力率・損失解析
4-120	◎徳安啓佑・星伸一（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 4-120 Dual Active Bridgeコンバータにおける高調波を考慮した力率・損失解析 ◎徳安啓佑・星伸一（東京理科大学） Dual Active Bridge(DAB)コンバータの電流に含まれる高調波は、Hブリッジ回路間の位相シフト量により変化する。このとき、力率が悪化すると無効電力が増加し，皮相電力が大きくなり電源に負担をかけてしまうだけでなく，無効電流により損失が増加する。そこで、本稿ではDABコンバータのトランス部分において高調波を考慮した等価回路を用いて，力率と損失の解析を行った。解析結果により力率と損失のコンター図を描き比較すると，力率の悪い条件においては巻線抵抗における損失の割合も大きくなることが確認できた。また，PSIMのシミュレーションにより，解析結果が正しいことを確認した。
4-121	インバータのデューティーサイクルと周波数に着目したDC/DCコンバータのデュアルポート出力制御
4-121	◎清水一樹・野口季彦・松下由憲（静岡大学）電気学会全国大会講演要旨 4-121 インバータのデューティーサイクルと周波数に着目したDC/DCコンバータのデュアルポート出力制御 ◎清水一樹・野口季彦・松下由憲（静岡大学）近年，車両補機の消費電力増大に伴って補機用電源電圧を12 Vから48 Vとする動きが活発化している。しかし，当面は両電圧の併用が見込まれるため，車載用絶縁形DC/DCコンバータをマルチポート化して複数の電圧出力を独立に制御することが求められる。降圧チョッパを用いれば48 V出力ポートから容易に12 V出力も得られるが，電力変換が多段化するため総合効率の悪化が懸念される。そこで，本稿では絶縁形DC/DCコンバータにおいて一次側Hブリッジインバータの出力パルス幅と周波数に着目し，共振回路のインピーダンスの周波数特性を利用することで，デュアルポートの出力電圧を独立に制御する手法をシミュレーションし，その妥当性を立証した。
4-122	直流マイクログリッドにおける高速電流制御実現のためのマルチレベルコンバータ適用に関する検討
4-122	◎片山正也・大野達樹・小原秀嶺・河村篤男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 4-122 直流マイクログリッドにおける高速電流制御実現のためのマルチレベルコンバータ適用に関する検討 ◎片山正也・大野達樹・小原秀嶺・河村篤男（横浜国立大学）本研究では，直流マイクログリッドにおいて，高速かつ高精度な電力潮流制御を実現する電力変換器として，マルチレベルコンバータを用いることを検討する。マルチレベルコンバータは，レベル数を増やすほど出力フィルタの小型化が可能となり，直流マイクログリッドの低インピーダンス配電線路においても電流制御性能の向上が見込める。本稿では，直流マイクログリッド全体の設計の基礎となる2要素間のフィルタを含めたパワーフロー制御回路の設計例を示し， 2レベルコンバータを用いた場合とフライングキャパシタ形のマルチレベルコンバータを用いた場合の電流制御性能の比較を行う。
4-123	マルチレベルフライングキャパシタ形DC-DCコンバータにおける複数個のキャパシタ電圧の独立制御
4-123	◎日下佳祐・伊東淳一（長岡技術科学大学）電気学会全国大会講演要旨 4-123 マルチレベルフライングキャパシタ形DC-DCコンバータにおける複数個のキャパシタ電圧の独立制御 ◎日下佳祐・伊東淳一（長岡技術科学大学）本論文ではマルチレベルフライングキャパシタ形DC-DCコンバータにおいて，複数個のフライングキャパシタ電圧を入力電流への干渉なく独立に制御する手法を提案し，シミュレーションによる検証を行った。
4-124	99.5%変換効率のHEECSチョッパの試験評価
4-124	○弦田幸憲・小島一祥・河村篤男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 4-124 99.5%変換効率のHEECSチョッパの試験評価 ○弦田幸憲・小島一祥・河村篤男（横浜国立大学）著者らは前稿で，新たなHEECSチョッパを提案し，単体試作した検証試験結果を報告した。本稿では，単体試作器の検証評価結果を踏まえ，2相HEECSシステム回路方式とした100[kW]部分昇圧試験用ラック装置を製作して，試験評価を行ったので報告する。
4-125	ノーカットFINEMET変圧器を使用した双方向絶縁形DC/DCコンバータの効率改善
4-125	◎BYAMBADORJ TUMENBAYAR・赤木泰文・羽根田崚（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-125 ノーカットFINEMET変圧器を使用した双方向絶縁形DC/DCコンバータの効率改善 ◎BYAMBADORJ TUMENBAYAR・赤木泰文・羽根田崚（東京工業大学）本論文では，750 Vdc，100 kW，20 kHz 双方向絶縁形DC-DCコンバータの20 kHz 変圧器の磁性材料としてノーカットFINEMETを使用した場合の電力変換効率について検討した。その結果、DC-DCコンバータの最高効率は98.8%から99.4%まで、定格運転時(P = 100 kW)の効率は98.0%から98.3％まで向上した。
4-126	1段Cockcroft-Walton回路を用いた高周波絶縁DC-DCコンバータの周波数特性
4-126	◎安田匠・南政孝・茂木進一・道平雅一（神戸市立工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-126 1段Cockcroft-Walton回路を用いた高周波絶縁DC-DCコンバータの周波数特性 ◎安田匠・南政孝・茂木進一・道平雅一（神戸市立工業高等専門学校）絶縁DC-DCコンバータには小型化のため, 比較的素子数が少ないフライバックコンバータを用いることが多い. さらに, 近年のスイッチング素子の発展によって高速動作が可能となり, 受動素子を小容量にすることで, より一層回路の小型化が進められている. 一方で,著者らはCW回路にインダクタを挿入することで出力電圧が増加することを示した. この成果により, CW回路の段数を減少させることができ, 小型化が可能であると考える. 本報告では, フライバックコンバータの2次側にインダクタとCW回路を接続した絶縁DC-DCコンバータを提案する. 従来回路では周波数の増加に伴い出力電圧が減少するが, 提案回路では出力電圧が増加することを示す.

B21-C2 パワーエレクトロニクス DC/DC（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-127	インダクタの小型・軽量化が実現可能な双方向チョッパの過渡特性
4-127	◎大西晴菜・萩原誠（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-127 インダクタの小型・軽量化が実現可能な双方向チョッパの過渡特性 ◎大西晴菜・萩原誠（東京工業大学）近年, 直流電気鉄道への電池電力貯蔵システムの適用が進んでいる。電池電力貯蔵システムでは, 一般に双方向チョッパを用いて電力変換を行うため, インダクタ重量・体積の低減は重要な課題である。筆者らは, インダクタの小型・軽量化が実現可能な双方向チョッパ回路を提案し, 150 Vミニモデルを用いた実験, および「PSCAD」を用いたシミュレーションにより良好な定常特性を確認した。本論文では, 双方向チョッパの過渡特性に関して実験とシミュレーションにより検証を行い, 回路の有効性を確認する。
4-128	ディジタルピーク電流モード制御を用いた位相シフト方式フルブリッジ回路型DC-DCコンバータの出力電流制御
4-128	◎居安誠二・金城博文・林裕二（日本自動車部品総合研究所）・中村公計・半田祐一（デンソー）電気学会全国大会講演要旨 4-128 ディジタルピーク電流モード制御を用いた位相シフト方式フルブリッジ回路型DC-DCコンバータの出力電流制御 ◎居安誠二・金城博文・林裕二（日本自動車部品総合研究所）・中村公計・半田祐一（デンソー）近年、位相シフト方式フルブリッジ型DC-DCコンバータ（以下、PSFB）は、絶縁が必要とされ、大電力のアプリケーションである電気自動車用充電器や通信機器用電源などに広く用いられている。一方で、PSFBはトランスの直流偏磁が発生する問題が指摘されており、筆者らは一次側電流を検出したディジタルピーク電流モード制御により、追加部品なしで偏磁抑制できることを実証している。本報では、追加の電流センサを配置することなく、2次側の出力電流を高精度で定電流制御するディジタル制御手法を提案し、その有効性を実機検証にて確認したので報告する。
4-129	ディジタルピーク電流モード制御を用いた位相シフト方式フルブリッジ型DC-DCコンバータの偏磁抑制
4-129	○林裕二・金城博文・居安誠二（日本自動車部品総合研究所）・中村公計・半田祐一（デンソー）電気学会全国大会講演要旨 4-129 ディジタルピーク電流モード制御を用いた位相シフト方式フルブリッジ型DC-DCコンバータの偏磁抑制 ○林裕二・金城博文・居安誠二（日本自動車部品総合研究所）・中村公計・半田祐一（デンソー）近年，位相シフト方式フルブリッジ型DC-DCコンバータは絶縁が必要とされる電気自動車用充電器や太陽光発電システムなどの大電力アプリケーションに対して広く用いられている．このフルブリッジ型DC-DC コンバータではトランスに正負電圧を印加するため，トランスが小型化できるという特徴を有する反面，直流偏磁が発生しやすいという問題が指摘されている。本発表では，受動部品を追加することなく偏磁を抑制する手法としてディジタル制御マイコンを用いたピーク電流モード制御による制御法を提案し，その有効性を実機検証により確認したので報告する。
4-130	2次側位相シフト制御ZVZCS-PWMインターリーブDC-DCコンバータの提案
4-130	◎中山和思・三島智和（神戸大学）電気学会全国大会講演要旨 4-130 2次側位相シフト制御ZVZCS-PWMインターリーブDC-DCコンバータの提案 ◎中山和思・三島智和（神戸大学）位相シフトPWM制御高周波(HF)リンクDC-DCコンバータの循環電流を完全に除去する回路方式として、筆者らは2次側位相シフト制御ゼロ電圧ゼロ電流ソフトスイッチング(ZVZCS)-PWMDC-DCコンバータを提案している。本稿では、その容量増加と出力フィルタ小型化を実現する入出力並列2相インターリーブ回路トポロジーを新たに提案する。
4-131	DAB DC-DCコンバータにおけるDual Pulse-Width ModulationのZVS条件に関する検討
4-131	◎松岡裕起・M.Hazarul A.b.A.M・柿ヶ野浩明（立命館大学）電気学会全国大会講演要旨 4-131 DAB DC-DCコンバータにおけるDual Pulse-Width ModulationのZVS条件に関する検討 ◎松岡裕起・M.Hazarul A.b.A.M・柿ヶ野浩明（立命館大学） DAB DC-DC コンバータはソフトスイッチング機能，双方向昇降圧動作，および回路構成が簡単であるといった利点を備えている。この回路においてパラメータの自由度が3つ(φ，τ_p，τ_s)存在するSingle Pulse-Width Modulation (SPWM)とDual Pulse-Width Modulation (DPWM)を組み合わせた。Combined Pulse-Width Modulation (CPWM)を適用した場合，従来の位相シフトを適用した場合と比べ入出力電圧比r≠1において変換効率が高くなることが確認されている。しかし，低出力電力範囲を担う DPWM における変換効率が低いことが依然として課題である。そこで本稿では，DPWMにスイッチング素子の出力容量の完全放電を考慮したソフトスイッチングを実現する条件を適用することで低出力電力において変換効率を改善できることを確認する。
4-132	DC1500V級2.5MW太陽光発電用屋外型PCSの単独運転防止機能の実機検証
4-132	◎多和田義大・Ruben Inzunza・木本兼一（東芝三菱電機産業システム）・大谷謙二・橋本潤（産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 4-132 DC1500V級2.5MW太陽光発電用屋外型PCSの単独運転防止機能の実機検証 ◎多和田義大・Ruben Inzunza・木本兼一（東芝三菱電機産業システム）・大谷謙二・橋本潤（産業技術総合研究所）これまで大規模太陽光発電システムは、国内外ともにDC1000Vを最大電圧としたシステムが主流であった。今後は高電圧化で直流配線損失や太陽電池並列数の低減による配線数削減等のプラントコスト低減のため、DC1500Vシステムの導入が進んでいく。ただし、既存の電力系統へ太陽光発電システムを接続する場合、停電発生時の単独運転防止が規格で要求され、その検証が重要な課題となっているが、DC1500Vで定格容量がMWを超える実証試験設備はなかった。本論文では、このDC1500Vシステムに適用する定格2.5MWの大容量屋外型PCSの単独運転防止機能実証試験を、平成28年4月に開所した国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研) 福島再生可能エネルギー研究所(FREA) スマートシステム研究棟にて実施したのでその結果を報告する。
4-133	リチウムイオンキャパシタを用いたDC-DCコンバータのLCスナバの検討
4-133	◎仙田智章（愛知工業大学）・中田篤史（静岡理工科大学）・鳥井昭宏・道木加絵・元谷卓（愛知工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-133 リチウムイオンキャパシタを用いたDC-DCコンバータのLCスナバの検討 ◎仙田智章（愛知工業大学）・中田篤史（静岡理工科大学）・鳥井昭宏・道木加絵・元谷卓（愛知工業大学）本研究は，リチウムイオンキャパシタ(LIC)と双方向コンバータを用いて，太陽光発電システムの出力変動を抑制することを目的としている。筆者らは，PCS内のDCリンクからLICへ充電する電力フローについて検討してきた。これまでにフルブリッジインバータINVを位相シフト方式で制御した場合，FETにサージ状の電圧が発生することをシミュレーションで明らかにした。INVのハイサイド同士またはローサイド同士がオフになる期間がない制御方式で制御することで発生しないことを示した。本稿ではトランスの漏れインダクタンスを考慮したモデルを用い，INVにハイサイド同士またはローサイド同士がオフになる期間がない制御方式を入力した場合，FETにパルス状の電流が流れることを示す。対策としてLCスナバを用いた場合，パルス状の電流が発生しないことを示す。

D22-A3 パワーエレクトロニクス EMI
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-134	150kHz以下EMCに関する国際規格化動向
4-134	◎吉岡康哉（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 4-134 150kHz以下EMCに関する国際規格化動向 ◎吉岡康哉（富士電機）半導体スイッチング素子の動作周波数帯域を含む2kHzから150kHzの周波数帯域の伝導性電磁妨害が，電力用メーターの電力計測精度を劣化させ，スマートメーターと呼ばれる電力用メーターの通信手段の一つである150kHz以下での電力線搬送通信に対し障害を与えることが欧州で問題となっており，IECでは，2kHzから150kHzの周波数帯域で電気機器が発生する伝導性電磁妨害の限度値や，他の機器が発生する伝導性電磁妨害に対する耐性のレベル，また，電磁両立性の定義やレベルなどの新たな規定追加が検討されている。本論文では，2011年から始まったIECでの電磁両立性に関する国際規格改定について，2016年の検討状況について報告する。
4-135	パワエレ機器が発生する放射電界強度の理論演算法
4-135	○玉手道雄・佐々木達見子・林美和子・勝又洋樹・小高章弘（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 4-135 パワエレ機器が発生する放射電界強度の理論演算法 ○玉手道雄・佐々木達見子・林美和子・勝又洋樹・小高章弘（富士電機）パワエレ機器が発生する放射電界強度の理論演算法について提案した。試作した降圧チョッパに形成される2種の放射源（パワー半導体デバイス直近のループアンテナ，入力ケーブルのダイポールアンテナ）を抽出し，放射電界強度を理論演算することで，電磁界解析を用いることなく30M〜120MHzの領域で誤差5dB以下と高精度に求められることを示した。これにより，放射電界強度の導出時間を大幅に短縮できるだけでなく，放射源ごとに分離して放射電界強度を導出することで支配的な放射源の探索にも活用できる。
4-136	アクティブコモンモードフィルタによるインバータコモンモード電圧の減衰特性
4-136	◎高橋翔太郎・小原峻介・小笠原悟司・折川幸司・竹本真紹（北海道大学）・玉手道雄（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 4-136 アクティブコモンモードフィルタによるインバータコモンモード電圧の減衰特性 ◎高橋翔太郎・小原峻介・小笠原悟司・折川幸司・竹本真紹（北海道大学）・玉手道雄（富士電機）インバータのスイッチングに伴う急峻な電圧変動は電磁妨害を生じる。この電磁妨害の特に高い周波数成分は電力ケーブルをアンテナとして空間を伝搬し，他の電子機器に悪影響を及ぼす放射性EMIの要因となる。筆者らは電力ケーブルを伝搬するコモンモード（CM）電圧に対して，高速オペアンプを用いたフィードバック補償を施すことでCM電圧を低減するアクティブコモンモードフィルタ（ACF）を提案し，電波暗室においてACFがケーブルからの放射ノイズを抑制できることを確認した。しかし，これまでは発振器をノイズ源とした評価であった。本論文では，実際のインバータが発生する電磁妨害に対して，ACFのCM電圧低減効果を実験により検討する。その結果，ACFをケーブルに取り付けることで6 MHzから70 MHzの広帯域に渡り，インバータが発生するCM電圧を最大30 dB程度減衰できることを示す。
4-137	アクティブコモンノイズキャンセラとコモンモードチョークの減衰特性の比較
4-137	◎小原峻介・小笠原悟司・竹本真紹・折川幸司（北海道大学）・山本融真（東芝三菱電機産業システム）電気学会全国大会講演要旨 4-137 アクティブコモンノイズキャンセラとコモンモードチョークの減衰特性の比較 ◎小原峻介・小笠原悟司・竹本真紹・折川幸司（北海道大学）・山本融真（東芝三菱電機産業システム）高効率に直流を交流に変換するインバータは様々な製品に使用されている一方で，スイッチング動作に起因する電磁妨害(EMI)を発生する。さらに，近年の半導体デバイスの性能向上によるスイッチング速度の高速化は，EMIの増大と広帯域化をまねいている。筆者らは先に，インバータが発生するコモンモード電圧に逆極性のコモンモード電圧を加え補償することで，EMIを抑制するアクティブコモンノイズキャンセラ(ACC)の改良型を開発した。本論文では，改良型ACCのコモンモードノイズ抑制効果を評価し，改良型ACCと同一のフェライトコアと巻線を用いたコモンモードチョーク(CMC)との比較結果について報告する。
4-138	エンジン発電機を模擬した系統連系インバータのEMI測定とその等価回路モデリング
4-138	◎相原雄也・小笠原悟司・竹本真紹・折川幸司（北海道大学）・藤澤俊暢（ヤンマー）電気学会全国大会講演要旨 4-138 エンジン発電機を模擬した系統連系インバータのEMI測定とその等価回路モデリング ◎相原雄也・小笠原悟司・竹本真紹・折川幸司（北海道大学）・藤澤俊暢（ヤンマー）パワーエレクトロニクス機器のスイッチング時に発生するノイズが電磁妨害を引き起こす恐れがある。このEMIを装置試作前に推定し対策することを目的に，高精度のEMI解析を行うモデリングに関する研究が行われている。本論文では，エンジン発電機を模擬することを目的に，実際のエンジン発電機のコモンモードの静電容量と同じYコンデンサを絶縁変圧器の変換器側に接続するとともに，絶縁変圧器の電源側にフェライトコアを挿入し伝導性EMIの測定を行った。さらに，このシステムについて全体の等価回路モデリングを行い，伝導性EMIのシミュレーションを行った。その結果，広い周波数領域で良好なEMI解析結果が得られたので報告する。
4-139	SJ-MOSFETのターンオフにおけるノイズシミュレーション
4-139	◎安住壮紀・山下浩明・小野昇太郎・松毛和久（東芝）電気学会全国大会講演要旨 4-139 SJ-MOSFETのターンオフにおけるノイズシミュレーション ◎安住壮紀・山下浩明・小野昇太郎・松毛和久（東芝） SJ-MOSFETのスイッチング動作時に発生する電磁ノイズについて，発生メカニズムを実機の等価回路シミュレーションにより分析した結果について述べる。
4-140	エアコン用インバータの電流検出回路における信号ノイズ・熱解析
4-140	○近藤玲・小山義次・原田浩一・田中三博（ダイキン工業）電気学会全国大会講演要旨 4-140 エアコン用インバータの電流検出回路における信号ノイズ・熱解析 ○近藤玲・小山義次・原田浩一・田中三博（ダイキン工業）近年，グローバル市場においてエアコンのインバータ化が年々進みつつあり，多様な機種をスピーディに開発することが求められている。このような中，電装品のノイズと熱の対策が大きな課題となっている。従来，これらの対策は勘と経験に頼っていることが多く，試作を繰り返すことで開発期間の長期化が生じていた。エアコン用インバータ回路の中でも，電流検出回路は部品配置や配線パターン形状などのレイアウトにより，ノイズと熱の問題が発生しやすい。本稿では，電流検出回路設計のフロントローディング化に向けた，信号ノイズと熱のシミュレーションについて述べる。
4-141	半導体電力変換回路がCAN通信にもたらす電磁干渉解析に向けた基礎検討
4-141	◎白井諒・清水敏久・福本聡・松﨑頼人・許斐康司（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-141 半導体電力変換回路がCAN通信にもたらす電磁干渉解析に向けた基礎検討 ◎白井諒・清水敏久・福本聡・松﨑頼人・許斐康司（首都大学東京）半導体電力変換回路と車載LANの通信線が近接することで生じる電磁干渉が問題となっている。一般的には通信ケーブルにシールドを施すことなどにより電磁干渉を抑制するが，筆者らが把握する限りでは電磁干渉の発生メカニズムに基づいた効率的な抑制手法を適用している例が少ない。そこで本論では具体的に降圧チョッパ回路が代表的な車載LAN規格の一種であるCAN通信に対して，どのように電磁干渉を引き起こしているのかを解析するための基礎検討を行う。
4-142	SiCデバイスを用いた絶縁型AC/DCコンバータの伝導性ノイズの検討
4-142	◎川村勇貴・田中英俊・鈴木一馬・北川亘・竹下隆晴（名古屋工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-142 SiCデバイスを用いた絶縁型AC/DCコンバータの伝導性ノイズの検討 ◎川村勇貴・田中英俊・鈴木一馬・北川亘・竹下隆晴（名古屋工業大学）近年、SiCのような高速電力用半導体素子の発展に伴って、PWMを用いたAC/DCコンバータのキャリア周波数の高周波化が進み、高周波漏れ電流や電磁障害(EMI)が問題となっている。そこで、本論文では安全面を考慮した絶縁型AC/DCコンバータを用いて、高周波トランスにおける浮遊容量を介した漏れ電流の分離方法を提案し、その実験システムの有用性を雑音端子電圧の測定結果から示した。また、一回のスイッチングによる漏れ電流波形をRLC回路に近似し、換算した雑音端子電圧のシミュレーション結果を測定結果と比較することで本解析法の有用性を示した。
4-143	インバータのスイッチングノイズを回避した電流検出方法
4-143	○黒田岳志・劉江桁（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 4-143 インバータのスイッチングノイズを回避した電流検出方法 ○黒田岳志・劉江桁（富士電機）交流電動機の高性能なトルク制御を実現するために、PWMインバータの出力相電流検出値を用いた電流フィードバック制御が用いられる。モータの高速回転化や電圧利用率の向上に伴い、広い運転範囲でモータを安定に駆動することが求められている。しかしながら、高周波数、かつ、高変調率の条件において、電流検出値にインバータのスイッチングノイズが重畳され、これが電流制御の外乱となり、電流制御が振動的になる問題がある。本論文では、上記問題に対応可能なノイズ回避アルゴリズムを提案し、その効果を実験により確認した。

D22-A2 パワーエレクトロニクスセンサレス制御（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-144	位置センサレス制御を目的としたパターンマッチング手法における位置制御誤差の事前評価法
4-144	◎宋河珉・道木慎二（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 4-144 位置センサレス制御を目的としたパターンマッチング手法における位置制御誤差の事前評価法 ◎宋河珉・道木慎二（名古屋大学）非正弦波状に変化するインダクタンス空間分布を持つIPMSMの位置センサレス手法としてパターンマッチング手法が提案されている。パターンマッチング手法を用いてクローズドループ位置センサレス制御を行うと特定の磁極位置で位置誤差が発生するが，その位置誤差を解析的に把握することやシミュレーションを通して把握することが困難であった．本稿では全ての電流位相角の特徴量のテーブルを用意し，位置誤差に合わせて電流位相角を変化させながらパターンマッチングすることにより，事前に位置誤差の評価が可能となるシミュレーション手法を提案する．さらにシミュレーション結果と実機実験結果を比較することにより提案法の有効性を示す．
4-145	パルス電圧印加によるIPMSMの初期位置推定法の一方法
4-145	◎米山良輔・林洋一・大道哲二（青山学院大学）電気学会全国大会講演要旨 4-145 パルス電圧印加によるIPMSMの初期位置推定法の一方法 ◎米山良輔・林洋一・大道哲二（青山学院大学）埋込永久磁石同期電動機（IPMSM）の位置センサレスでは始動時の磁極位置推定が必要である。初期位置推定では関数による演算や電流値の比較を繰り返す方法が多く提案されている。しかし、突極比の異なる他のIPMSMへの適用が課題である。そこで本稿では、突極比の異なる2種類のIPMSMを用いて、IPMSMの定数を用いない初期位置推定法を提案し、汎用性と自動化の観点から提案する推定法の有用性を検証した。
4-146	PMSM位置センサレス制御のための高周波重畳信号起因の拡張誘起電圧推定におけるパラメータ誤差の影響
4-146	◎近藤翔太・道木慎二（名古屋大学）・冨田睦雄（岐阜工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-146 PMSM位置センサレス制御のための高周波重畳信号起因の拡張誘起電圧推定におけるパラメータ誤差の影響 ◎近藤翔太・道木慎二（名古屋大学）・冨田睦雄（岐阜工業高等専門学校）永久磁石同期モータは、省スペース化、低コスト化の観点から位置センサレス制御が望まれている。その手法の1つとして拡張誘起電圧を推定する方法が存在する。筆者らは、低速域における位置センサレス制御を行うために、モータに重畳した高周波信号のみを抽出し、拡張誘起電圧を推定する手法を提案してきた。本稿では、この手法におけるパラメータ変動の影響に関する数式的な解析及び、この手法の有用性を報告する。
4-147	埋込磁石同期電動機の停止・低速域における磁気飽和にロバストな位置および最大トルク位相推定法
4-147	◎尾崎真・松本純・長谷川勝（中部大学）電気学会全国大会講演要旨 4-147 埋込磁石同期電動機の停止・低速域における磁気飽和にロバストな位置および最大トルク位相推定法 ◎尾崎真・松本純・長谷川勝（中部大学）本稿では埋込磁石同期電動機の停止・低速域においても磁気飽和現象にロバストな磁極位置および最大トルク位相を推定する手法を提案している。本手法は著者らが提案している磁気飽和現象に対してロバストな数学モデルに基づく手法であり，この数学モデルに基づいて高周波信号重畳を行うことにより，停止・低速域にまで適用範囲を拡大したものである。これにより，磁気飽和現象の影響を大きく受けるq軸インダクタンスを用いることなく，磁極位置および最大トルク位相の推定を行っている。本稿ではシミュレーションにより，その妥当性を検証している。
4-148	コンプレッサ用IPMSM速度センサレス制御のための周期的速度リップル補償
4-148	◎中村元春・林洋一・大道哲二（青山学院大学）電気学会全国大会講演要旨 4-148 コンプレッサ用IPMSM速度センサレス制御のための周期的速度リップル補償 ◎中村元春・林洋一・大道哲二（青山学院大学）レシプロ式コンプレッサでは、ピストンが上下に運動することによってシリンダーの容積を変化させ、吸気・圧縮・吐出・膨張の4工程を繰り返して圧縮を行う。これらの工程は一様な負荷とならないため、機械角に対して1倍周期の速度リップルが生じる。また、ピストンの上下運動によって機械角に対して2倍の速度リップルが生じる。本研究では、定常時にコンプレッサの構造によって生じるこれらの速度リップルを低減する補償電流重畳法を検討し、補償前と比較して約70〜50％まで速度リップルを改善することができた。
4-149	PMSMの操作量飽和情報を利用した位置センサレス弱め磁束制御
4-149	◎松本純・大原悟史（中部大学）電気学会全国大会講演要旨 4-149 PMSMの操作量飽和情報を利用した位置センサレス弱め磁束制御 ◎松本純・大原悟史（中部大学）本稿では埋込磁石同期モータの操作量飽和情報を利用したフィードバック型の弱め磁束制御法を位置センサレス制御系に適用し，その際のトルク制御性能をシミュレーションにより検証している。本手法は操作量の飽和量および飽和に至るまでのマージン量を用いることで，直接的にはモータパラメータを使用せず，かつ，任意の回転座標系上においてもほぼ適切な弱め磁束制御を実現することができる。これにより，従来の位置センサレス弱め磁束制御に比べて，位置推定誤差発生時のトルクの減少を抑制することができる。
4-150	拡張誘起電圧モデルに基づく位置センサレス制御の抵抗誤差による位置推定誤差を基準とした信号電流自動調整法
4-150	◎河合将和・大沼巧（沼津工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-150 拡張誘起電圧モデルに基づく位置センサレス制御の抵抗誤差による位置推定誤差を基準とした信号電流自動調整法 ◎河合将和・大沼巧（沼津工業高等専門学校）位置センサレス制御に適したモデルとして拡張誘起電圧モデルが提案されている。しかし、拡張誘起電圧モデルは、用いているモータパラメータが変動することにより位置推定誤差が生じることが課題となっている。特に低速域においては、抵抗変動に対する位置推定誤差が大きく生じてしまう。抵抗変動による位置推定誤差を抑えるためには、信号電流をモータに印加し、信号重畳に適したモデルを用いることが必要だと分かっている。本報告では、この結果を利用し抵抗誤差を基準値以下に抑える指標を与えることで、必要な信号電流の大きさを自動的に調整する方法を提案し、シミュレーション結果と比較することで提案調整法が適していることを確認する。

D22-A4 パワーエレクトロニクスセンサレス制御（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-151	拡張誘起電圧と搬送波に同期した電圧重畳に基づくIPMSMの位置センサレス制御における静音化
4-151	◎山下大貴・久保田寿夫（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 4-151 拡張誘起電圧と搬送波に同期した電圧重畳に基づくIPMSMの位置センサレス制御における静音化 ◎山下大貴・久保田寿夫（明治大学）一般にPMSMのセンサレス制御は速度領域によって推定法が異なる。通常、低速領域では高調波信号を重畳して位置推定を行っているが、中高速領域では位置推定をするのに十分な起電力を得ることが可能であり、これを用いた誘起電圧による磁極位置推定が利用されている。本論文では高周波信号重畳と拡張誘起電圧による方法を組み合わせ、回転速度に応じて必要な時にのみ高調波信号を重畳する制御をしているが、キャリア周波数成分による騒音が発生する問題点がある。そこで人間の耳には聞こえづらいとされる可聴領域外に近い15kHzという高いキャリア周波数を用いて提案法の有効性を実機実験により検証する。
4-152	エアコンにおけるV/f 制御とセンサレスベクトル制御の消費電力比較
4-152	◎MINH TUAN HOANG・加藤尚和・東井孝途・伊東淳一（長岡技術科学大学）電気学会全国大会講演要旨 4-152 エアコンにおけるV/f 制御とセンサレスベクトル制御の消費電力比較 ◎MINH TUAN HOANG・加藤尚和・東井孝途・伊東淳一（長岡技術科学大学）エアコンに用いられる埋込磁石同期電動機は一般的にセンサレスベクトル制御で駆動される。センサレスベクトル制御は磁極位置を推定するため，モータパラメータが必要となる。そのため，モータパラメータの誤差や検出誤差が存在する場合，磁極位置推定誤差が発生し，制御性能が悪化する。一方，オープンループV/f 制御では，本質的に磁極位置推定が不要である。本論文では，両制御法の有用性を確認するため，家庭用エアコン実機を各制御法で駆動した際の消費電力の比較を行った。その結果， V/f 制御で駆動時のほうがセンサレスベクトル制御適用時より最大で6.77%増加するが，全速度領域で両制御法の消費電力がほぼ同じである。
4-153	電流引き込み方式によるPMモータの磁極位置合わせにおける引き込み電流値の一検討
4-153	◎五十嵐寿勝・劉江桁（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 4-153 電流引き込み方式によるPMモータの磁極位置合わせにおける引き込み電流値の一検討 ◎五十嵐寿勝・劉江桁（富士電機）磁極位置センサー付きPMモータの可変速制御において，インバータとPMモータを組み合わせる時に，磁極位置センサーの検出結果と実際の磁極位置との間のオフセットを計測し，インバータに記憶させる磁極位置合わせを行う必要がある。磁極位置の推定には，PMモータのセンサレスベクトル制御技術に応用されている電流引き込みを使った方式がある。本稿では，電流引き込み方式を用いた磁極位置合わせについて，磁極位置合わせが可能な引き込み電流の上限値と，原理的に重畳する誤差角を最小化する引き込み電流値の最適値を理論検討し，実験検証により，その妥当性を確認した。
4-154	Consideration of the Output Voltage Error Compensation for Speed/Position Encoder Sensorless Control When the Current is nearly Zero
4-154	◎大道哲二・林洋一（青山学院大学）電気学会全国大会講演要旨 4-154 Consideration of the Output Voltage Error Compensation for Speed/Position Encoder Sensorless Control When the Current is nearly Zero ◎大道哲二・林洋一（青山学院大学） A deadtime causes the output voltage error in a voltage source inverter, which deteriorates the speed/position sensorless motor control performance. In the case of using an ideal switch in computer simulation, the output current is clamped around the zero crossing point because the ac-side output terminal of the clamped phase is electrically disconnected from the dc voltage side. This paper indicates that the ideal switch model is not appropriate to consider the output voltage compensation because the experimental result showed that the inverter ac-side output terminals were never disconnected from the dc-side.
4-155	IPMSMの回転子の突極性を利用したセンサレス制御のオートチューニング
4-155	○野村尚史（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 4-155 IPMSMの回転子の突極性を利用したセンサレス制御のオートチューニング ○野村尚史（富士電機） IPMSM（Interior Permanent Magnet Synchronous Motor）の回転子の突極性を利用して磁極位置検出器なしで運転するセンサレス制御が実用化されている。センサレス制御を実現するためには，IPMSMのインダクタンスを使ってパラメータを調整する必要がある。この論文は，IPMSMの回転子の突極性を利用したセンサレス制御のパラメータをオートチューニングする方法について報告する。実験の結果，提案法はチューニング時の高周波電流を正確に目標値に制御でき，センサレス制御に必要な高周波電圧や高周波電流の情報を正確に得られることを確認できた。
4-156	開放相電圧を利用したセンサレス制御における正弦波駆動に関する検討
4-156	◎柴野勇介・前川佐理・関原聡一（東芝）・呉夢悦・久保田寿夫（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 4-156 開放相電圧を利用したセンサレス制御における正弦波駆動に関する検討 ◎柴野勇介・前川佐理・関原聡一（東芝）・呉夢悦・久保田寿夫（明治大学） PM（Permanent Magnet：永久磁石）モータの低速域でのセンサレス制御について，突極性を利用する方法が提案されいているが，突極性がない場合は利用できない。これに対して、モータ駆動中に通電しない相（開放相）に発生する磁気飽和を利用した位置検出方法が提案されている。開放相を発生させるためには、矩形波駆動が必要となるため，トルクリプルが発生する。本論文では，トルクリプルが低減できる正弦波駆動での磁気飽和を検出する方法について検討した結果を報告する。
4-157	センサレス制御における不安定要因の定量的解析
4-157	◎前川佐理・杉本麻梨子（東芝）・石田圭一・野木雅也（東芝キヤリア）電気学会全国大会講演要旨 4-157 センサレス制御における不安定要因の定量的解析 ◎前川佐理・杉本麻梨子（東芝）・石田圭一・野木雅也（東芝キヤリア）永久磁石同期モータのセンサレスベクトル制御において，中〜高速領域では回転子磁束を推定する方式が用いられるが，推定に用いるモータ定数の真値との誤差，モータの磁気飽和特性，d-q軸の干渉など複合的な要因により，センサレス制御が不安定化する。これらの不安定化要因のうち，磁気飽和に起因したq軸インダクタンスLqの設定誤差による影響は詳細な分析が報告されているが，制御ゲインなどの影響と複合的に検証された報告例はほとんどない。そこで，本論文では，空調機用圧縮負荷をモチーフに，有限要素法(FEM)による磁界解析により磁気飽和の非線形性を考慮したモータモデルを用いてセンサレス制御をシミュレーションし，Lq の設定誤差と3つのフィードバック制御の制御帯域が安定性へ及ぼす影響を検証した結果について報告する。
4-158	IPMSMのV/f制御における安定化制御の根配置に基づくパラメータ設計法
4-158	◎東井孝途・加藤尚和・伊東淳一（長岡技術科学大学）電気学会全国大会講演要旨 4-158 IPMSMのV/f制御における安定化制御の根配置に基づくパラメータ設計法 ◎東井孝途・加藤尚和・伊東淳一（長岡技術科学大学）埋込磁石形同期電動機(IPMSM)の磁極位置情報を必要としない制御法の一つとして，V/f制御がある。IPMSMをオープンループのV/f制御で駆動した場合，原理的に不安定になることがわかっている。そのため，安定化の一手法として，有効電流フィードバックを用いた安定化制御が提案されている。従来，安定化制御におけるパラメータは2次近似した状態方程式を用いて設計されている。しかし，安定化ゲインを増加させることで，2次近似式では無視した根の影響により，制御系が不安定になる。これに対し，著者らは5次状態方程式を用いた根配置に基づく安定化制御のパラメータ設計法について提案している。本論文では，実機検証にてその有用性について確認したため報告する。

A31-B1 パワーエレクトロニクスマルチレベル
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-159	モジュラー・マルチレベルSTATCOMの分散制御―通信遅延の段間ばらつきの影響の理論的検討―
4-159	◎児山裕史（東芝）・磯部高範（筑波大学）電気学会全国大会講演要旨 4-159 モジュラー・マルチレベルSTATCOMの分散制御―通信遅延の段間ばらつきの影響の理論的検討― ◎児山裕史（東芝）・磯部高範（筑波大学）単位変換器をカスケード接続したModular Multilevel Converter (MMC)回路構成は低損失と低高調波に寄与するが、半導体スイッチング素子が多いためゲート信号線が増大する。この解決法として、MMCの各種制御を相や単位変換器に分散して実装する分散制御が考えられるが、制御間の通信遅延に対する検討は殆どなされていない。本稿ではMMC構成の無効電力補償装置 (STATCOM)を例に、通信遅延の段間ばらつきが制御性に与える影響を理論的に検討した。
4-160	フライングキャパシタ形DABコンバータの動作モード切替時の過渡応答改善
4-160	◎比嘉隼・伊東淳一（長岡技術科学大学）電気学会全国大会講演要旨 4-160 フライングキャパシタ形DABコンバータの動作モード切替時の過渡応答改善 ◎比嘉隼・伊東淳一（長岡技術科学大学）本論文では高圧直流バスと低圧バッテリを接続するフライングキャパシタ(FC)形デュアルアクティブブリッジ(DAB)コンバータによる動作モード切替時の直流偏差抑制法を提案する。FC形DABコンバータでは電圧および負荷変動に対して，3種類の動作モードを切り替えることで高効率化を達成している。動作モードを切り替える場合，各レグのゲート信号の位相差を変える必要がある。しかし，各レグの位相差を同時に変更するとトランス電流に直流偏差が発生し，電流ピーク値が増加する。提案法では各キャリアの位相シフト量の更新タイミングを基準キャリアの山と谷に分けることで動作モード切替時の直流偏差を抑制する。提案法により動作モード切り替え時の直流偏差を抑制できることを実験により確認した。
4-161	3次高調波成分による3レベルSHEPWMが中性点電圧へ及ぼす影響
4-161	◎管勃・道木慎二（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 4-161 3次高調波成分による3レベルSHEPWMが中性点電圧へ及ぼす影響 ◎管勃・道木慎二（名古屋大学） 3レベルコンバータは様々な利点を持つことから中高圧・高出力な応用に活用されている。3レベルコンバータにおいては、中性点電圧の制御が極めて重要であり、様々な手法が提案されてきた。例えば、零相電圧を重畳することで線電圧を維持し、相電圧を調整することで中性点電圧のバランス制御を実現している。SVPWMの視点から二つの小ベクトルを調整することで、等価な制御を実現した。その多くはSPWMやSVPWMを対象としており、スイッチング周波数が制限される中高圧・高出力分野で多用されるSHEPWMへの適用は困難な場合がある。例えば、SHEPWMでは事前に波形を演算して利用することから、従来の手法を適用することは容易ではない。本稿では、3レベルSHEPWM時の中性点電圧制御に対して、3次高調波成分により中性点電圧への影響を検討した。さらに、最適な3次高調波成分の幅値を導き、中性点電圧の低減が可能であることを確認した。中性点電圧脈動の抑制により、3レベルSHEPWM時においても直流側コンデンサの低容量化が可能となる。
4-162	2重Y結線MMCの直流キャパシタ電圧制御に関する基礎検討
4-162	◎桑原健人・鈴木雄也・柿ヶ野浩明（立命館大学）電気学会全国大会講演要旨 4-162 2重Y結線MMCの直流キャパシタ電圧制御に関する基礎検討 ◎桑原健人・鈴木雄也・柿ヶ野浩明（立命館大学）直流送電システムに適用する自励式変換器としてモジュラーマルチレベル変換器(Modular Multilevel Converter, MMC)が検討されている。MMCとは，ハーフブリッジ変換器またはフルブリッジ変換器を複数個直列に接続した構成の変換器である。2重Y結線MMCは直流リンクを有する点が特徴であり，HVDCや電力系統用BTBシステムに適用が進められている。2重Y結線MMCを制御するにあたり各セルの直流キャパシタ電圧を適正な値に制御する必要がある。本稿では，各セルの直流キャパシタ電圧の不平衡を解消するための上下アーム間のバランス制御と相間のバランス制御を提案し，シミュレーションにより動作検証をする。
4-163	新しい二相PWM法を適用した三相電圧形5レベルインバータにおける出力電圧の時間周波数解析
4-163	◎苅山明伸・茂木進一（神戸市立工業高等専門学校）・土屋貴史・枡川重男（東京電機大学）電気学会全国大会講演要旨 4-163 新しい二相PWM法を適用した三相電圧形5レベルインバータにおける出力電圧の時間周波数解析 ◎苅山明伸・茂木進一（神戸市立工業高等専門学校）・土屋貴史・枡川重男（東京電機大学）三相電圧形変換器のスイッチング損失を低減する方法として二相PWM法が広く検討されている．しかし，交流側出力電圧に含まれる高調波がキャリア周波数を中心とした広い周波数帯に分散する問題点がある．そこで，三相電圧形5レベルインバータのための前記分散を生じない二相PWM法を紹介し，時間周波数解析の一種であるウェーブレット変換を用いて交流側線間電圧の解析を行う．
4-164	フライングキャパシタ形線形増幅回路の提案および動作解析
4-164	◎大野達樹・片山正也・小原秀嶺・河村篤男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 4-164 フライングキャパシタ形線形増幅回路の提案および動作解析 ◎大野達樹・片山正也・小原秀嶺・河村篤男（横浜国立大学）電力変換回路ではスイッチングによって高い変換効率を実現している。しかし，スイッチングを用いた電力変換回路の出力電圧は急峻に変化するため出力波形に高調波成分が多く含まれることや電磁ノイズの発生が問題となっている。その解決手段の一つとしてマルチレベルインバータの回路方式の一つであるダイオードクランプ形を応用したダイオードクランプ形線形増幅回路が提案されているが，本研究ではマルチレベルインバータの別の回路方式のフライングキャパシタ形を応用したフライングキャパシタ形線形増幅回路を提案する。本論文ではフライングキャパシタ形線形増幅回路の動作解析を行い，ダイオードクランプ形線形増幅回路との比較を行った。
4-165	NPCインバータを用いた無効電力補償装置の高調波補償法
4-165	○常盤歩夢・山田洋明・田中俊彦（山口大学）・渡邉誠・白井昌尚・寺西雄二（中国電機製造）電気学会全国大会講演要旨 4-165 NPCインバータを用いた無効電力補償装置の高調波補償法 ○常盤歩夢・山田洋明・田中俊彦（山口大学）・渡邉誠・白井昌尚・寺西雄二（中国電機製造）著者らは先に，Neutral-Point-Clamped(NPC) インバータを用いた無効電力補償装置を構成し，良好な無効電力補償効果が得られることを実験により確認した。しかしながら，負荷側に三相回路で支配的な5次と7次の高調波電流と基本波無効電流を補償する場合では，基本波無効電流制御ブロックに加え5次および7次調波に同期したd-q座標上のPIコントローラが必要となり演算量が増大する問題がある。本論文では，直流キャパシタ電圧一定制御のみを用いた基本波無効電流補償機能を有する高調波法を提案し，その有効性を計算機シミュレーションにより確認したので報告する。

A31-C2 パワーエレクトロニクス非接触給電（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-166	非共振型非接触給電システムの高効率化手法
4-166	◎太田涼介・水主村賢吾・星伸一・佐藤大記（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 4-166 非共振型非接触給電システムの高効率化手法 ◎太田涼介・水主村賢吾・星伸一・佐藤大記（東京理科大学）共振を用いずに電力を伝送する非接触給電方式がある。この方式では一次側、二次側コイルの電圧の位相差を利用して，伝送電力を調整する方法が提案されている。しかし，この方法では低電力を伝送する際の効率が著しく低下してしまう。加えて提案された設計法では伝送効率については議論がされていなかった。そのため，最大効率値の低下を招く恐れがあった。本論文では，理論式から高効率なコイルの設計法を提案し，最大となる伝送効率値の増加を図る。加えて，一次側電圧，二次側電圧，一次側と二次側電圧の位相差の3点を適切に制御し，低電力を高効率で伝送するための制御法を提案する。そして，シミュレーションにより提案法の妥当性を示す。
4-167	棒状1次コイルアレイと平面状2次コイルの壁掛非接触給電への有用性検証
4-167	○安倍秀明（パナソニック）電気学会全国大会講演要旨 4-167 棒状1次コイルアレイと平面状2次コイルの壁掛非接触給電への有用性検証 ○安倍秀明（パナソニック）会議室等で有用な壁掛非接触給電等に適した新しい磁気結合形態の有用性を示す。広い給電面上の任意の位置にある機器にスポット給電できる方法が必要であるが、従来の平面状コイルを密接配置した1次コイルアレイでは、コイル材料が給電面の面積分必要になる。本稿は、短小棒状の1次コイルをアレイ化することで、大幅な省資源化が図れると共に、給電面の任意の位置での結合係数が安定化され、共振回路との組み合わせで負荷変動も含めた受電電圧の安定化が図れることを示す。磁束や磁気抵抗で示した磁気結合モデルとその磁気回路からこのしくみの着想を得、理論と実験により有効性を検証した。
4-168	漏れ磁界を低減する2並列構成44kW級EVバス向け無線給電システムの伝送特性評価
4-168	◎新明脩平・真木康次・松下晃久・竹内文章・鈴木正俊・司城徹・石原寛明（東芝）電気学会全国大会講演要旨 4-168 漏れ磁界を低減する2並列構成44kW級EVバス向け無線給電システムの伝送特性評価 ◎新明脩平・真木康次・松下晃久・竹内文章・鈴木正俊・司城徹・石原寛明（東芝）電気自動車（EV）の普及が期待されて久しいが，現時点では普及しているとは言い難い。これは電池のエネルギー密度が低いことが主要因といえよう。しかし，EVバスの場合は所定のルートを行き来し，高い頻度で充電させることが可能である。そのため，エネルギー密度が低くてもシステムの構成が可能となる。バスだけでなく，一般乗用車も無線給電のインフラを共用すれば，一層，各種車両のEV化に繋がるはずである。無線給電システムでは，漏れ磁界の低減，また，実用時の信頼性の担保が課題として挙げられる。これらの課題に対して，本稿では回路に冗長自由度を用いて解決することを提案し，電力伝送時の特性評価を行ったので報告する。
4-169	2系統並列無線電力伝送システム間の干渉結合が0となるコイル位置関係の式導出
4-169	○司城徹・岸本誠也・小川健一郎・尾林秀一（東芝）電気学会全国大会講演要旨 4-169 2系統並列無線電力伝送システム間の干渉結合が0となるコイル位置関係の式導出 ○司城徹・岸本誠也・小川健一郎・尾林秀一（東芝）環境省の委託を受け「EVバス早期普及にむけた充電設備を乗用車と共有するワイヤレス充電バスの実証研究」をテーマとして、EVバス向けのワイヤレス急速充電システムを開発している。10kHz以上の高周波電流を利用しているため、電波法における高周波利用設備としての許可を受ける必要がある。許可を得るには、利用周波数による発射及び不要発射による磁界強度又は電界強度を許容値以下にする必要があり、開発したシステムでは電力回路を2系統に分け、それぞれ逆相で送電することで、放射磁界を打ち消し合わせ、許容値以下とする方法を採用している。システムを2系統に分けたことで、2系統間の不要干渉が課題となる。EVバス向けワイヤレス充電システムでは、2系統の電力伝送パッドの位置関係を調整することで不要結合の低減を行っている。今回、電力伝送パッドを斜めに配置することで不要結合が0になる位置関係があることを式導出により示す。
4-170	無線電力伝送におけるアクティブキャンセルを用いた磁界強度の低減
4-170	◎小川健一郎・司城徹・鈴木正俊・石原寛明・尾林秀一（東芝）電気学会全国大会講演要旨 4-170 無線電力伝送におけるアクティブキャンセルを用いた磁界強度の低減 ◎小川健一郎・司城徹・鈴木正俊・石原寛明・尾林秀一（東芝）電気自動車(PHEV/EV)やEVバス向けに、85kHz帯を使ったワイヤレス充電システムを開発している。10kHz以上の高周波を利用している為、電波法における高周波利用設備の扱いとなる。高周波利用設備としての許可を受けるには、放射磁界強度を許容値以下にする必要がある。ワイヤレス充電において、インバータにより基本波の交流電流を発生させた場合に、奇数次の高調波成分が発生し、電力伝送コイルからの基本波と高調波の放射磁界が懸念される。基本波の抑制は伝送電力の低下につながる為、フィルタなどで抑圧する事が出来ない。本稿では、アクティブキャンセルにより、電力伝送コイルから放射される基本波の磁界を打ち消し、磁界強度を低減させる手法を提案する。
4-171	直列補償回路による非接触給電用高周波インバータのコイルパラメータに応じた効率最適化
4-171	◎大澤順・渡邊直也・磯部高範・只野博（筑波大学）電気学会全国大会講演要旨 4-171 直列補償回路による非接触給電用高周波インバータのコイルパラメータに応じた効率最適化 ◎大澤順・渡邊直也・磯部高範・只野博（筑波大学）電気自動車用非接触給電では、コイル間ギャップの変動によってコイルパラメータが変化する。そのため、一般的に補償コンデンサとして用いられている固定容量のコンデンサでは最適な補償を維持することができず、インバータ出力力率が低下する。それによって、デバイスのターンオフ損失が増大してしまう。そこで、本研究では非接触給電の補償コンデンサに等価的に可変容量コンデンサとして機能する直列補償回路GCSCを適用した非接触給電システムを提案し、その効果を検証実験で確認した。提案システムでは、コイル間ギャップ変動時においてインバータ出力力率を高く維持し、システム全体効率を改善できることを確認した。
4-172	PDM制御DE級ZVS高周波インバータを応用した非接触給電共振形コンバータ—第一報—
4-172	◎田畑洋一郎・三島智和（神戸大学）電気学会全国大会講演要旨 4-172 PDM制御DE級ZVS高周波インバータを応用した非接触給電共振形コンバータ—第一報— ◎田畑洋一郎・三島智和（神戸大学）誘導加熱装置や電磁誘導方式ワイヤレス給電(IPT)などの非接触エネルギー伝送システムには，高効率に高周波電流を生成しうる高周波(HF)インバータが求められる。本稿では，負荷直列共振に加えて部分共振を組み合わせたDE級HFインバータに着目し，電力制御方式としてパルス密度変調(PDM)を適用した広範囲なZVSを実現するIPT共振形コンバータを提案して，その有効性を試作器実験により明らかにしたので報告する。

A31-C3 パワーエレクトロニクス非接触給電（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-173	非接触給電における1次側情報に基づいた相互インダクタンスおよび負荷抵抗の推定法
4-173	◎原翔平・三浦友史・伊瀬敏史（大阪大学）電気学会全国大会講演要旨 4-173 非接触給電における1次側情報に基づいた相互インダクタンスおよび負荷抵抗の推定法 ◎原翔平・三浦友史・伊瀬敏史（大阪大学）近年，電気自動車への給電方式として，地上側(1次側)と車両側(2次側)のそれぞれにコイルと共振コンデンサを配置した非接触給電方式(WPT: Wireless Power Transfer)が注目されている。電力を高効率なWPTによって車両側に供給するためには，駐車時の1次・2次側コイルの位置ずれにより変動するコイル間の相互インダクタンスおよび2次側に搭載されたバッテリーの充電状態(負荷抵抗)を正確に推定し，それらを用いた給電制御を行う必要がある．本稿では，1次側電圧・電流の位相差に基づいた，1次・2次側コイル間の相互インダクタンスおよび2次側負荷抵抗の推定法を示し，そのシミュレーション結果を報告する。
4-174	時間領域差分法を用いた非接触給電装置の数値解析
4-174	◎石田弘樹（岡山理科大学）・古川裕人・経田僚昭（富山高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-174 時間領域差分法を用いた非接触給電装置の数値解析 ◎石田弘樹（岡山理科大学）・古川裕人・経田僚昭（富山高等専門学校）本研究では、これまで超低周波（400Hz以下）における非接触給電（WPT）装置について検討してきた。一般的にWPTの数値解析には、有限要素法が用いられている。一方、FDTD法は、コンデンサなど電子部品を集中定数素子として表現できることやPSpiceなどの回路シミュレーターと直接接続できるなどWPTのシミュレーションに適した側面をもつ。一方で波長が解析領域に比べ十分に大きな対象では、クーランの安定条件により反復処理の繰り返し回数が増え、膨大な計算時間が掛かるという欠点もある。本研究では、グラフィックスプロセッシングユニット（GPU）を電磁界計算に使用することでFDTD法により超低周波のWPTシミュレーターが可能か否か検討した。
4-175	直列補償回路を用いた非接触給電システムにおける出力電力制御法の提案と実験的検証
4-175	◎渡邊直也・只野博・磯部高範（筑波大学）電気学会全国大会講演要旨 4-175 直列補償回路を用いた非接触給電システムにおける出力電力制御法の提案と実験的検証 ◎渡邊直也・只野博・磯部高範（筑波大学）電気自動車の充電方式として，高い利便性から非接触給電が注目されている。電気自動車の充電において，蓄電池の充電状況に応じた出力電力制御を行うことが望ましい。従来方式として，DC-DCコンバータを用いてインバータの電源電圧を可変とするシステム構成が挙げられる。本研究では，等価的に可変容量コンデンサとして機能する直列補償回路を用いた新しいシステム構成を提案する。提案方式では，共振コンデンサ容量を等価的に可変とすることでインバータから見込んだ力率を制御し，出力電力制御を実現する。発表では，従来方式に対する提案方式の優位性について検証実験を行ったので，その結果について報告する。
4-176	防水ケース内の空気層で共振させた海中非接触給電の評価
4-176	◎佐光祐哉・権田貴紀・元谷卓・道木加絵・鳥井昭宏（愛知工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-176 防水ケース内の空気層で共振させた海中非接触給電の評価 ◎佐光祐哉・権田貴紀・元谷卓・道木加絵・鳥井昭宏（愛知工業大学）防水ケース内の空気層で共振させた海中非接触給電の評価 ◎佐光祐哉・権田貴紀・元谷卓・道木加絵・鳥井昭宏(愛知工業大学) WPTの各種方式において, 水・海水の影響に関する検討は幾つか報告されている。しかし, そのほとんどは空気中の伝送路上に水・海水が存在する場合での検討であり, 磁束の回り込みの影響を考慮していない。本研究では受電コイルに防水対策を施し海中に沈めた状態で伝送特性を評価した。ファンクションジェネレータで10Vp-pの電圧を出力し, アンプで5倍に増幅したものを給電側の共振器に印加した。非接触給電を行い, 受電側の共振器へ電力伝送し, パワーアナライザを用いて整流後の電力を測定した。結果として, 共振周波数が低い方が伝送可能な電力が高くなり, 0.85MHzの時に約5Wの電力を伝送できた。
4-177	磁界共振結合非接触給電におけるソレノイドコイル型中継アンテナの巻方向と給電効率の関係
4-177	◎淀川翔太・丸山達也・森下明平（工学院大学）電気学会全国大会講演要旨 4-177 磁界共振結合非接触給電におけるソレノイドコイル型中継アンテナの巻方向と給電効率の関係 ◎淀川翔太・丸山達也・森下明平（工学院大学）我々はこれまで磁気浮上技術を用いた搬送車に磁界共振結合方式を用いた非接触給電を応用する研究を進めてきた。本項ではソレノイドコイル型共振アンテナの巻き方向に着目し，送受電アンテナに対して中継アンテナの巻き方向が与える影響を検討している。受電アンテナが移動した際，送受電アンテナに対して逆巻きの共振アンテナを中継アンテナとして使用すると，順巻きを使用した場合と比較して平均電力が約10 [%] 低下する。また，逆巻きの中継アンテナ順巻きと比較して中継能力が劣ることが判明した。
4-178	磁界結合型無線電力伝送におけるコイル線形状の検討
4-178	○國吉雅紀・相知政司・高橋和史（千葉工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-178 磁界結合型無線電力伝送におけるコイル線形状の検討 ○國吉雅紀・相知政司・高橋和史（千葉工業大学）無線電力伝送は，家電機器，電気自動車などへの応用が期待されており，近年，盛んに研究開発が行われている技術である。これまでの研究成果では，送受信コイルに断面が円形の銅線を使用したものや，プリント基板を用いた送受信コイルが多かった。しかし，断面が円形の銅線コイルは作成に手間がかかるのが欠点であり，プリント基板コイルは銅の断面積が小さく，抵抗値が大きくなる欠点があった。そこで，本研究では断面が円形の銅線を用いたコイルとプリント基板コイルを製作し，2種類のコイルを送受信コイルに使用した場合の理論的最大効率を比較検討した。結果，PCBコイルはPEWコイルに比べ，抵抗値が大きいが有用であることが分かったが，理論最大効率はPEWコイルより若干減少することが明らかになった。
4-179	コイル位置ずれ時におけるスペクトラム拡散による非接触給電システムのノイズ低減
4-179	日下佳祐・井上拳斗・○伊東淳一（長岡技術科学大学）電気学会全国大会講演要旨 4-179 コイル位置ずれ時におけるスペクトラム拡散による非接触給電システムのノイズ低減日下佳祐・井上拳斗・○伊東淳一（長岡技術科学大学）本論文では，非接触給電システムで生じる放射ノイズを抑制する手法としてスペクトラム拡散を用いる方式を提案する。特に，非接触給電システムの入力インピーダンスに基づいて伝送周波数を選択する確率分布にバイアスを与えることで，基本波および低次高調波のノイズを周波数領域で分散する手法を適用した場合の非接触給電システムの特性を実験的に示す。さらに，伝送コイルに位置ずれが生じた場合においても，提案法が有用であることを確認した。
4-180	ワイヤレス電力伝送システムにおけるスペクトラム拡散を用いた放射ノイズレベル低減効果の検証
4-180	◎井上拳斗・日下佳祐・伊東淳一（長岡技術科学大学）電気学会全国大会講演要旨 4-180 ワイヤレス電力伝送システムにおけるスペクトラム拡散を用いた放射ノイズレベル低減効果の検証 ◎井上拳斗・日下佳祐・伊東淳一（長岡技術科学大学）近年，電磁誘導現象を用いたワイヤレス電力伝送システムにおいて，放射ノイズレベルの抑制手法が研究されており，これまで筆者らはインバータのスイッチング周波数を限定された範囲で可変させながら電力伝送を行う手法を提案してきた。本論文では，これまでの電流高調波ではなく，実際にコイルから放射される放射ノイズが抑制可能かについて磁界プローブを用いてノイズ測定を行い，ノイズレベル低減手法の有用性を確認した。その結果，これまでの電流高調波での評価と同様に，2種類の提案手法による放射ノイズの低減効果を確認し，効率に対する影響がほとんどないことも確認した。
4-181	電磁誘導方式を用いた非接触電力伝送の負荷条件に関する一考察
4-181	◎松浦智史・井上征則・森本茂雄・真田雅之（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 4-181 電磁誘導方式を用いた非接触電力伝送の負荷条件に関する一考察 ◎松浦智史・井上征則・森本茂雄・真田雅之（大阪府立大学）ワイヤレス電力伝送の歴史は長く，今まで家庭用電化製品の充電やICカードへの利用など様々な用途で利用されている。また，今後の展開としてウェアラブルデバイスや医療機器への利用が考えられる。これらの用途の実現化に向けて，幅広い出力電力制御や大ギャップ伝送や駆動周波数帯などが課題として挙げられる。本研究では，電磁誘導方式によるワイヤレス電力伝送についてシミュレーションおよび実機実験により伝送特性を検討している。本稿では, スイッチング素子のオン時間に対する出力電力特性と効率特性を示す。また，最大電力をとる負荷条件を導出し，負荷抵抗に対する出力電力特性と効率特性について考察する。

A31-C4 パワーエレクトロニクス非接触給電（Ⅲ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-182	ワイヤレス給電システムにおける電圧変換率に対するQの影響
4-182	◎前田昂海・安部征哉（九州工業大学）・松垣佳克・林祐輔・二宮保（北九州市環境エレクトロニクス研究所）電気学会全国大会講演要旨 4-182 ワイヤレス給電システムにおける電圧変換率に対するQの影響 ◎前田昂海・安部征哉（九州工業大学）・松垣佳克・林祐輔・二宮保（北九州市環境エレクトロニクス研究所）ワイヤレス給電回路の一つである磁界共振結合型は，距離や位置ずれによって，出力電圧が著しく変化するため，出力電圧安定化が重要な課題となっている[1, 2]．出力電圧安定化のためには，共振回路のQ値，コイル間の結合係数などのパラメータに対する出力電圧の周波数特性を把握する必要がある．本稿では，電圧変換率の周波数特性を解析により導出すると共に，Q値の影響について検討する．
4-183	走行中非接触給電システムに適した回路方式の検討
4-183	◎津田和真・山田潤・金子裕良（埼玉大学）電気学会全国大会講演要旨 4-183 走行中非接触給電システムに適した回路方式の検討 ◎津田和真・山田潤・金子裕良（埼玉大学）電気自動車の走行中非接触給電に関する研究は盛んに行われている。走行中非接触給電システムでは受電コイルと送電コイル間が十分離れているとき無負荷状態になる。従来のSS方式などでは入力インピーダンスが低下し、過大な電流が流れてしまうため並列接続での駆動はできない。この解決手段として一次並列二次直列方式(PS方式)が有効である。しかしながら、一次側並列コンデンサに過大な共振電流が流れる課題がある。これに対し、一次側の巻数を増やすことで対策可能だが、電源電圧を大きくする必要があり、実用上問題がある。本稿では共振電流を増加させずに電源電圧を小さくできる回路方式を提案し、従来のPS方式との給電特性を比較した。
4-184	中継コイルを用いた非接触コンセントの検討
4-184	◎柿沼賢造・金子裕良（埼玉大学）電気学会全国大会講演要旨 4-184 中継コイルを用いた非接触コンセントの検討 ◎柿沼賢造・金子裕良（埼玉大学）近年、ショートによる発火や感電の危険性がない非接触給電技術を家庭内直流給電のコンセントプラグに用いる研究が進められている。従来、広く用いられている一次直列二次並列コンデンサ方式(SP方式)の場合、二次側装置が不在になると入力インピーダンスが低下し、過大な入力電流が流れる。これを対策するために中継コイルを用いてインピーダンス変換を行う方法が提案されている。本稿では差込式の非接触コンセントとして適応可能なコの字型ソレノイドトランスに中継コイルを応用し、SP方式と給電特性を比較することで中継コイルの有効性について検討する。
4-185	低周波送電回路と受電回路の検討
4-185	○中田篤史（静岡理工科大学）・寺島淳史・元谷卓・鳥井昭宏（愛知工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-185 低周波送電回路と受電回路の検討 ○中田篤史（静岡理工科大学）・寺島淳史・元谷卓・鳥井昭宏（愛知工業大学）近年，海洋国家である我が国では洋上風力発電等，海から得る自然エネルギーの利用法が模索されてきている。我が国の排他的経済水域は広大であり，ここで得られたエネルギーを効率よく電力消費地へ送電できることが望ましい。長距離送電法として直流送電がある。線路のリアクタンスを無視できるため電圧降下が少なく，最大電圧が直流電圧であるためケーブル耐電圧まで利用できるといった長所がある。しかし，安価なCVケーブルに直流電圧を印加すると絶縁体内に空間電荷が蓄積し絶縁破壊を引き起こすため，高価な無機充填剤入りのCVケーブルや油入りケーブル（OF ケーブル）を用いる必要がある。これらの問題を解決するために，5-10Hz 程度の低周波送電が提案されている。本論文では海上に太陽電池を浮かべ，マルチレベルインバータを用いて低周波送電を行い，地上側へ効率よく送電するシステムのシミュレーション結果について報告する。
4-186	可変インピーダンスを考慮した回路方式の検討と特性評価
4-186	◎山田潤・金子裕良（埼玉大学）電気学会全国大会講演要旨 4-186 可変インピーダンスを考慮した回路方式の検討と特性評価 ◎山田潤・金子裕良（埼玉大学） PHEVやEVはバッテリー容量の制約により連続航続距離が短いという欠点があるが，非接触給電により走行中給電が可能となり，連続航続距離の拡大が考えられる。従来の回路方式では、位置ずれや無負荷状態ではインピーダンスが低下し、過大に電流が流れてしまうが，中継コイルを用いた方式では，位置ずれ等でインピーダンスが増加し，過大な電流を抑えることができる。別の回路方式として，一次並列二次直列にコンデンサを配置したPS方式が提案されており，中継コイル方式と同様に位置ずれ等でインピーダンスを増加させることができる。本稿では中継コイル方式の設計方法を提案し，PS方式と理論的な観点から比較，特性評価を行った。
4-187	E級インバータを適用した6.78 MHz生体影響評価用磁界発生装置の基礎検討
4-187	◎松原壱樹・和田圭二（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-187 E級インバータを適用した6.78 MHz生体影響評価用磁界発生装置の基礎検討 ◎松原壱樹・和田圭二（首都大学東京）近年,6.78 MHz 帯を使用した小形電子機器向けの無線電力伝送(WPT) システムの研究・開発がおこなわれている。小形電子機器向けのWPT システムは人体の近傍での使用が想定されるため，これらの交流磁界の生体への影響が懸念されている。磁界発生装置用電源のとしての検討を行うために，GaNFET を使用したE 級インバータを試作したので報告する。

A31-C1 パワーエレクトロニクス太陽光・インバータ
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-188	部分影補償機能を有するスイッチトキャパシタマルチポートコンバータの基礎動作検証
4-188	◎杉山一希・鵜野将年（茨城大学）電気学会全国大会講演要旨 4-188 部分影補償機能を有するスイッチトキャパシタマルチポートコンバータの基礎動作検証 ◎杉山一希・鵜野将年（茨城大学）蓄電池を有する太陽電池（PV: Photovoltaic）システムではPVパネルと蓄電池に対して個別にコンバータが必要になるのに加え、PVパネルに発生する部分影による抽出電力の低下を防ぐ部分影補償器が必要となるため、システムが複雑化する傾向にある。この課題を解決するために、システムにおける複数台のコンバータを1台に集約したマルチポートコンバータ（MPC: Multi-Port Converter）が提案されている。本研究ではシステムの簡素化と小型化を目的にスイッチトキャパシタコンバータを用いた部分影補償器を基礎としたMPCを提案する。試作回路を用いた実験により、提案回路は2つの出力（蓄電池と負荷）に対する電力制御と部分影補償を実現可能であることを示した。
4-189	PCSを有する小容量風力発電システムにおける可変周速比制御
4-189	○成定佑樹・山田洋明・田中俊彦（山口大学）・田村智弘・山田誠治（山口県産業技術センター）・岡本昌幸（宇部工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-189 PCSを有する小容量風力発電システムにおける可変周速比制御 ○成定佑樹・山田洋明・田中俊彦（山口大学）・田村智弘・山田誠治（山口県産業技術センター）・岡本昌幸（宇部工業高等専門学校）小容量風力発電は，主に都市部の風況の厳しい条件下での運転が想定されている。風況の厳しい環境下でも風車の回転速度を失速しにくい安定した領域で運転することが可能となる周速比制御が提案されている。本論文では，ダンプロードなしでPCS(Power Conditioning System)の保護が可能な可変周速比制御を提案する。可変周速比制御が風速変動時でも有用であることを，PLECSを用いた計算機シミュレーションにより確認する。
4-190	パワーMOSFETを用いた太陽電池モジュールの直並列切り替え回路の評価
4-190	◎種茂真道・野村新一（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 4-190 パワーMOSFETを用いた太陽電池モジュールの直並列切り替え回路の評価 ◎種茂真道・野村新一（明治大学）太陽光発電では、影によって太陽光が遮られると出力が低下してしまう。太陽電池モジュールに部分影が出来ると、発電量が低下し内部抵抗が増加するため焼損する恐れがある。従来の方式では、バイパスダイオードにより発電量が低下した太陽電池モジュールを切り離すことで焼損を防いでいる。しかしその際、出力特性に極大点が複数生じるため山登り法を用いたMPPT制御では最大出力を追従できない可能性がある。これまで著者らは、部分影ができた太陽電池モジュールを隣のモジュールと並列接続することによって、極大点が複数できることを回避し、出力が低下したモジュールを切り離さずに発電量の向上が期待する直並列切り替え方式の可能性を検討している。本研究では、パワーMOSFETを用いた太陽電池モジュールの直並列切り替え方式の発電量向上の可能性を検討する。
4-191	正負対称接続チョッパを用いた電灯動力共用結線向け太陽光発電用連系インバータの損失低減効果の解析
4-191	◎山口大輝・藤田英明（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 4-191 正負対称接続チョッパを用いた電灯動力共用結線向け太陽光発電用連系インバータの損失低減効果の解析 ◎山口大輝・藤田英明（東京工業大学）筆者らは先に，電灯動力（灯動）共用結線向け太陽光発電用連系インバータの高効率化が可能な新しい回路方式と制御方式を提案した。提案回路は，3相レグのうち1相だけをチョッパに接続することにより，交互にスイッチングを休止し，他の2レグでは直流リンク電圧の低圧化により，スイッチング損失を低減する点に特徴がある。先の報告では，提案回路と制御法を適用することで，灯動共用結線向け連系インバータの高効率化が可能であることを実験実証している。本論文では，定格容量8 kW，三相200 Vの実験システムを用いて損失の内訳を測定し，提案回路と制御法の損失低減効果を解析する。
4-192	バレーフィル回路を用いた太陽電池発電動作点制御方式
4-192	◎前田宏樹・清水敏久（首都大学東京）電気学会全国大会講演要旨 4-192 バレーフィル回路を用いた太陽電池発電動作点制御方式 ◎前田宏樹・清水敏久（首都大学東京）太陽光発電システムにおいて，太陽電池パネルと直列に接続したストリング内の一部のパネルが雲やビルなどによる陰（部分陰）で覆われてしまうと，ストリング全体の発電量が大幅に低下する問題が指摘されており，その改善手法も提案されている。本論では新たな原理に基づく発電動作点制御（GCC）について基本原理の検証を行ったので報告する。
4-193	PV発電電力量を改善する蓄電デバイスシステムの制御法の実験検証
4-193	◎石橋幹弥・芳賀仁（長岡技術科学大学）・伊東洋一・加藤康司・中納啓介・島尾敏裕（サンケン電気）・有松健司・松田勝弘（東北電力）電気学会全国大会講演要旨 4-193 PV発電電力量を改善する蓄電デバイスシステムの制御法の実験検証 ◎石橋幹弥・芳賀仁（長岡技術科学大学）・伊東洋一・加藤康司・中納啓介・島尾敏裕（サンケン電気）・有松健司・松田勝弘（東北電力）近年，メガソーラーなどの太陽光発電システム(PV)の導入が急速に進められている。PVは曇天時のように日射が不安定な場合発電電力が低下し，パワーコンディショナ(PCS)が停止する場合がある。PCSが停止すると，日射が回復しても再起動までの待機時間があるため，この間は発電電力を得る機会を損ねてしまうことになる。これまで蓄電デバイスからPCSへ電力を供給することで，可能な限り停止を回避し，発電電力を補償するシステムについて検討してきた。本稿では，本システムの充放電動作時の制御法を検討，実験検証し，PV発電電力量を改善するシステムとして有用であることを確認したので報告する。
4-194	電流不連続モードを応用した降圧形アクティブバッファ付き単相系統連系インバータの制御法
4-194	◎櫻庭友和・伊東淳一（長岡技術科学大学）電気学会全国大会講演要旨 4-194 電流不連続モードを応用した降圧形アクティブバッファ付き単相系統連系インバータの制御法 ◎櫻庭友和・伊東淳一（長岡技術科学大学）従来のアクティブバッファでは，バッファキャパシタ電圧を制御するための追加回路が必要であり，変換器が大型となる。そこで著者らは，昇圧チョッパの電流不連続モード(DCM)を用いてバッファキャパシタ電圧を昇圧するDCMアクティブバッファを提案した。しかし，昇圧形の回路方式では，高い耐圧のスイッチング素子が必要となるため，追加素子に低ON抵抗の素子を適用できない。そこで本論文では，GaN-FETなどの低ON抵抗素子の適用が可能で，尚且つ追加の磁気部品を必要としないDCM降圧形アクティブバッファを提案する。定格電力1 kWの実機実験により本回路による単相電力脈動補償の有用性，および最高効率が出力電力600 W時に96.0%となることを確認したので報告する。

D22-B1 パワーエレクトロニクスマトリックスコンバータ
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
4-195	高周波出力三相/単相マトリックスコンバータの制御 -ソフトスイッチングに適した周波数制御-
4-195	◎小高渉・小笠原悟司・折川幸司・竹本真紹（北海道大学）・兵頭貴志（オムロン）電気学会全国大会講演要旨 4-195 高周波出力三相/単相マトリックスコンバータの制御 -ソフトスイッチングに適した周波数制御- ◎小高渉・小笠原悟司・折川幸司・竹本真紹（北海道大学）・兵頭貴志（オムロン）マトリックスコンバータ（MC）を用いた三相AC/DC変換は，従来のAC/DC変換と比較して，効率の向上およびシステムの小型・軽量・長寿命化が可能である。筆者らは，高周波トランスの小型化のために，MCの出力を高周波化する制御方法を提案した。さらに入力電流のひずみと出力電流の変動を抑制する制御方法を提案している。本論文では入力電流のひずみと出力電流の変動を抑制しつつ，出力周波数を制御することで，出力基本波力率が最大となるソフトスイッチングを達成する制御方法を提案する。シミュレーションにより，制御の妥当性を確認する。
4-196	ノーマリオン型交流スイッチを用いた直接型マトリックスコンバータにおける環流動作に関する研究
4-196	◎塚本脩仁・増田祥悟・成慶珉（茨城工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 4-196 ノーマリオン型交流スイッチを用いた直接型マトリックスコンバータにおける環流動作に関する研究 ◎塚本脩仁・増田祥悟・成慶珉（茨城工業高等専門学校）直接交流から交流へ電力を変換するマトリックスコンバータは制御電源の異常を想定し負荷電流の環流経路を確保するための補助回路が必要となる。先行研究では間接型マトリックスコンバータにノーマリオン型交流スイッチを導入することで補助回路なしに負荷電流の環流経路を確保できたことを報告した。本研究ではノーマリオン型交流スイッチを用いた直接型マトリックスコンバータにおいて誘導機を接続し実験を行った。実験結果よりノーマリオン型交流スイッチによる負荷電流の環流経路の確保を確認し、補助回路の除去を可能にした。
4-197	マトリックスコンバータを適用した双方向絶縁型AC/DC変換器におけるデッドタイムの影響
4-197	◎繁内宏治（千葉大学）・徐進・下里昇（Mywayプラス）・佐藤之彦（千葉大学）電気学会全国大会講演要旨 4-197 マトリックスコンバータを適用した双方向絶縁型AC/DC変換器におけるデッドタイムの影響 ◎繁内宏治（千葉大学）・徐進・下里昇（Mywayプラス）・佐藤之彦（千葉大学）著者らは，双方向絶縁形AC/DC変換器として，マトリックスコンバータを適用したDAB形の回路構成に着目している。この方式は全ての半導体スイッチでソフトスイッチングを行える点で優れている。これまでに入力電流歪みを低減する変調方法を提案した。新たにデッドタイムを考慮し，一般的なデッドタイム補償を実装したシミュレーションを行った結果，電力の誤差が大きく，入力電流が大きくひずむ動作領域があることが分かった。本稿ではそのシミュレーション結果を報告し，デッドタイムが電力の誤差と入力電流波形に及ぼす影響を示す。
4-198	中性線を持つ三相-単相マトリクスコンバータの負荷電圧一定制御
4-198	青木啓太・◎西本政宗・山村直紀・石田宗秋（三重大学）電気学会全国大会講演要旨 4-198 中性線を持つ三相-単相マトリクスコンバータの負荷電圧一定制御青木啓太・◎西本政宗・山村直紀・石田宗秋（三重大学）近年，環境問題に関心が深まることで太陽光発電や風力発電等の自然エネルギーを用いた系統連系型マイクログリッドが注目されている。中性線を持つ三相-単相マトリクスコンバータ(以下，単相MC)は，三相交流電圧を変圧器を介することなく，振幅，位相，周波数の異なる電圧に変換することができる。単相MCの負荷電圧一定制御は提案されているが，負荷電圧推定ブロック内のローパスフィルタによる制御応答遅れが課題とされている。そこで本稿では，直接変換方式の特徴を利用した新たな負荷電圧算出手法を提案し，制御応答をシミュレーションにより評価する。
4-199	クォターニオンによる三相マトリクスコンバータのスイッチング行列の実現
4-199	○中村一男・Irfan Jamil（九州大学）・劉暁龍（中国西南物理研究所）・御手洗修（カナダサスカチュワン大学）・長谷川真・徳永和俊・荒木邦明・図子秀樹・花田和明・藤澤彰英（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 4-199 クォターニオンによる三相マトリクスコンバータのスイッチング行列の実現 ○中村一男・Irfan Jamil（九州大学）・劉暁龍（中国西南物理研究所）・御手洗修（カナダサスカチュワン大学）・長谷川真・徳永和俊・荒木邦明・図子秀樹・花田和明・藤澤彰英（九州大学）複素数を拡張したクォターニオン（四元数）は3次元ゲーム理論に見られるように3次元回転の記述が得意である。その特徴を活かして、マトリクスコンバータにおける3相の相回転を、αβ座標における2次元回転に変換するのではなく、3次元空間における回転にて解析する。クォターニオンは3次元空間における回転だけでなく、3次元の複素ベクトルの割算が可能であるので、本論文ではその特徴をマトリクスコンバータのスイッチング行列の実現に活用する。その特徴を活用して最初の(original)ベチュリニ法であるスイッチング行列を実現することができた。空間ベクトル法に基づくマトリクスコンバータのスイッチング行列の実現にも活用したい。
4-200	パルスパターン改善空間ベクトル変調方式マトリックスコンバータの入力力率制御の実験
4-200	◎宮﨑貴将・山本吉朗・江平翔（鹿児島大学）電気学会全国大会講演要旨 4-200 パルスパターン改善空間ベクトル変調方式マトリックスコンバータの入力力率制御の実験 ◎宮﨑貴将・山本吉朗・江平翔（鹿児島大学）マトリックスコンバータは，商用三相交流電圧を振幅可変，周波数可変の交流電圧に直接変換する変換器であり，従来の整流器－インバータシステムと比較すると，大容量の電解コンデンサを必要とせず，変換器の小形化，長寿命化を可能にすることから注目されている。本研究室では，マトリックスコンバータによる電力制御を実現させるために，パルスパターン改善空間ベクトル変調方式を用いる入力力率制御法を既に提案している。本論文では，提案法を用いて入力力率角指令値を変化させたときの入力力率特性と出力電圧特性について，実験とシミュレーションで検討を行ったので報告する。

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