一般講演

論文一覧

A32-B1 電力システム（開閉機器・避雷器） GCB
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-001	ポリマーがい管を使用した300kV 6000A用および8000A用ガスブッシングの製品化
6-001	○藤澤和広・伊藤寛・佐治舞（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-001 ポリマーがい管を使用した300kV 6000A用および8000A用ガスブッシングの製品化 ○藤澤和広・伊藤寛・佐治舞（東芝）東芝ではポリマーがい管を使用した300kV 6000A用および8000A用ガスブッシングを製品化した。これまで2000A用、4000A用ポリマーがい管を使用したガスブッシングを納入した実績がある。今回の6000A用および8000A用のガスブッシングを納入したことで300kV定格の全定格電流に対応できる製品を取り揃えた。
6-002	三相一括操作遮断器に適用した変圧器励磁突入電流抑制装置
6-002	関口智弘・阿部祐希・松本光裕・工藤優一・千葉孝（東北電力）・○丸山志郎・長谷川伸・平野勇一・岩撫直和（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-002 三相一括操作遮断器に適用した変圧器励磁突入電流抑制装置関口智弘・阿部祐希・松本光裕・工藤優一・千葉孝（東北電力）・○丸山志郎・長谷川伸・平野勇一・岩撫直和（東芝）変圧器を系統に投入する際に，磁気回路を持つ変圧器が系統側の電源回路に任意の位相で接続されると，大きな励磁突入電流が流れる場合があり，特に電源の弱い系統では，大きな電圧変動を引き起こす可能性がある。筆者らは，三相一括操作型遮断器による変圧器の系統への投入において，遮断器の投入位相を制御する位相制御投入方式を採用した変圧器励磁突入電流抑制装置を開発した。今回，従来装置よりも目標投入位相決定アルゴリズムを高精度化した装置を開発し，現地据付を完了した。本論文では，この装置の概要と据付試験結果について報告する。
6-003	ガス遮断器における電極相対動作の特性検討
6-003	○寺田将直・中井雄輝・浦井一（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-003 ガス遮断器における電極相対動作の特性検討 ○寺田将直・中井雄輝・浦井一（日立製作所）信頼性向上，省メンテナンス性のためガス遮断器の低操作力化が求められている。操作力を小さくするには，対向する両電極を互いに逆動作させ，片方の速度を落とした電極相対動作方式が有効である。両電極の開離と同時に高電圧が印加される進み小電流遮断では，電圧ピークまでの各時刻における電極位置が耐電圧特性を決定するため速度の制御が重要となる。今回，操作力を可能な限り低減することを目的に，一方の速度曲線をスプラインで表現し，その制御点を設計パラメータとした動作特性設計法を構築した。本報告では，本手法を用いた最適速度曲線の例について報告する。
6-004	CO₂アークプラズマの輻射輸送解析に用いるHybrid平均吸収係数の提案
6-004	◎坂井智春・矢田部優樹・藤野貴康（筑波大学）・吉野智之・河野広道・森正（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-004 CO₂アークプラズマの輻射輸送解析に用いるHybrid平均吸収係数の提案 ◎坂井智春・矢田部優樹・藤野貴康（筑波大学）・吉野智之・河野広道・森正（東芝）電力用ガス遮断器において発生するアークプラズマの輻射輸送解析において，吸収係数の振動数依存性を簡単化するためにPlanck平均やRosseland平均による平均吸収係数を用いる手法があるが，解析対象の光学的厚さに応じて適切な手法を判断しなければならない。そこで本研究では，平均吸収係数の光学的厚さに対する適応範囲を拡張するためにHybrid平均を提案し， CO₂アークプラズマを対象に輻射輸送解析を行い，Hybrid平均を用いた計算の結果をLine by Line計算，Planck平均を用いた計算，Rosseland平均を用いた計算の結果と比較した。
6-005	配線用遮断器のアークモデルの検討
6-005	◎小川祥央・腰塚正（東京電機大学）・浅草剛一・若狭強志（三菱重工業）電気学会全国大会講演要旨 6-005 配線用遮断器のアークモデルの検討 ◎小川祥央・腰塚正（東京電機大学）・浅草剛一・若狭強志（三菱重工業）高電圧遮断器のアークを模擬するためにCassie、Mayrモデルが知られている。これらのモデルを組み合わせてSF6ガス遮断器やCO2ガス遮断器の近距離線路故障遮断の成否を解析で求めることが可能である。近年、再生可能エネルギーの普及により配電系の遮断器の遮断責務が変化しつつある。本論文では、配線用遮断器を用いて測定したアーク電圧、電流の結果と配線用遮断器の遮断性能を解析で求めるため、構築したアークモデルについて述べる。アークモデルはCassieモデルと2つのMayrモデルを組み合わせた3直列アークモデルを使用し、遮断電流値とシミュレーションで設定したMayrモデルのアーク損失には相関関係がみられた。
6-006	高抵抗接地系統における進み小電流遮断解析
6-006	◎山田知宏・腰塚正（東京電機大学）・萩森英一・池田久利（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-006 高抵抗接地系統における進み小電流遮断解析 ◎山田知宏・腰塚正（東京電機大学）・萩森英一・池田久利（東京大学）無負荷送電線に流れる進み小電流を遮断した際、送電線の容量性負荷には電圧の波高値(最大値)が充電される。また、発電機側からは、商用電源が送り出されるため、時間によって約2倍の電圧値が遮断器極間に印加される。また現在IEC及びJEC規格において、進み小電流遮断での電源側条件を有効接地系及び非有効接地系に大別してあつかっているため、各々の実際的系統条件での解析をすることが重要であると考えられる。そのため今回は、進み小電流を遮断した際、遮断器極間に発生する回復電圧、容量性負荷にかかる電圧を様々な系統条件においてシミュレーションを行い、定性的評価及び検討を行う。
6-007	近距離線路故障遮断における固有TRVの電流零点の実測による検討
6-007	◎澤田裕季・腰塚正（東京電機大学）・池田久利・萩森英一（東京大学）・新海健（東京工科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-007 近距離線路故障遮断における固有TRVの電流零点の実測による検討 ◎澤田裕季・腰塚正（東京電機大学）・池田久利・萩森英一（東京大学）・新海健（東京工科大学）日本短絡試験協会(JSTC)は遮断器の過渡回復電圧（TRV）測定系の不確かさについて検討を行っている。遮断器の遮断成否に影響するTRVは、理想遮断器で電流遮断した際の回路固有のもので検討すべきであるが、実際には遮断器の代わりにダイオードなどを用いた低電圧で計測されることが多い。これまでの検討で2パラメータBTF（端子短絡故障）遮断時ダイオードの順方向電圧降下の影響下において電流零点の位置をシミュレーションと実測において特定できた。そこで本報告では近距離線路故障遮断（Short Line Fault：SLF）の短絡試験回路におけるダイオード遮断時の電流零点について実測とシミュレーションより検討した結果を述べる。

A32-C2 電力システム（開閉機器・避雷器） GIS（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-008	最新技術を適用した550kV縮小形GISの開発・実用化
6-008	○原田孝・柳井健人・中内慎一郎・清水芳則・箱井信夫（三菱電機）・上田正人・岩根裕典・古賀雄貴（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-008 最新技術を適用した550kV縮小形GISの開発・実用化 ○原田孝・柳井健人・中内慎一郎・清水芳則・箱井信夫（三菱電機）・上田正人・岩根裕典・古賀雄貴（関西電力）関西電力では，基幹系統の信頼性向上を目的に系統変更工事を計画しており，その一環として金剛開閉所構内で500kV変電所新設工事および紀北変換所や紀の川変電所の500kV引出設備の増強工事を進めており，これらに適用する設備として，最新技術を駆使した大容量550kV縮小形を開発適用した。ここでは大容量550kV縮小形GISについて，その特徴や設計上の配慮事項などについて報告する。
6-009	500kV変電所の大容量化・大規模更新工事における信頼性および利用率向上
6-009	上田正人・岩根裕典・◎古賀雄貴（関西電力）・笹森健次・箱井信夫・前田猛・伊与田英次・伊東啓太（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-009 500kV変電所の大容量化・大規模更新工事における信頼性および利用率向上上田正人・岩根裕典・◎古賀雄貴（関西電力）・笹森健次・箱井信夫・前田猛・伊与田英次・伊東啓太（三菱電機） 1970年代半ばに建設された変電所において，老朽化対策・短絡容量の増大対策（50kA→63kA）を目的に，気中設備および変圧器の更新工事を実施している。当該変電所は大規模電源に直接連系し，また，他社連系線を有する重要な変電所である。このため，工事実施にあたっては作業停電範囲および作業停電期間の短縮化による利用率向上など様々な検討を実施している。本論文では，この大規模・大容量化更新工事の信頼度向上策ならびに利用率向上策について報告する。
6-010	500 kV気中開閉設備の大容量GIS化更新
6-010	○大塚卓弥・柳井健人・久世裕子・平塚正樹・鷲谷隆司（三菱電機）・上田正人・岩根裕典・古賀雄貴（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-010 500 kV気中開閉設備の大容量GIS化更新 ○大塚卓弥・柳井健人・久世裕子・平塚正樹・鷲谷隆司（三菱電機）・上田正人・岩根裕典・古賀雄貴（関西電力）関西電力では，1970年代半ばに建設された大規模500 kV変電所において，短絡容量の増大（50→63 kA）や老朽化対策を目的に更新工事を実施している。ここでは昨今実施された550 kV気中開閉設備のGIS化更新事例に関し，その特徴や設計上の配慮事項などについて報告する。
6-011	550kV 4点切り GCBの劣化調査
6-011	上田正人・岩根裕典・○村田政文（関西電力）・箱井信夫・笹森健次・大塚卓弥・福島助三（三菱電機）・大塚明（三菱電機プラントエンジニアリング）電気学会全国大会講演要旨 6-011 550kV 4点切り GCBの劣化調査上田正人・岩根裕典・○村田政文（関西電力）・箱井信夫・笹森健次・大塚卓弥・福島助三（三菱電機）・大塚明（三菱電機プラントエンジニアリング） 1977年頃から1983年にかけて，550kV系統に接続されるガス絶縁遮断器（GCB）として三菱電機製油圧操作形4点切りGCBを設置し運用をしてきた。これら機器については，納入後，約40年を迎えようとする高経年機器であり，今後，更なる経年ならびに開閉動作による劣化，それによる性能低下・不具合発生が懸念される。今回，除却機器を活用した解体調査による劣化度の調査を実施した概要を報告する。
6-012	550kVポリマブッシングの健全性確認試験(第2報)
6-012	◎三重堀徹・小野寺充・安孫子拓（日立製作所）・久世直樹・室田勇・竹田正史（北陸電力）電気学会全国大会講演要旨 6-012 550kVポリマブッシングの健全性確認試験(第2報) ◎三重堀徹・小野寺充・安孫子拓（日立製作所）・久世直樹・室田勇・竹田正史（北陸電力）近年,日本国内においても,変電機器へのポリマブッシング適用が拡大している。ポリマブッシングの性能検証に関しては,国内でも多々報告されているが,国内最高送電電圧550kV級における実器運用中の調査事例は少ない。今回は,国内550kV系統への実器適用としては最も早い事例の1つである,北陸電力南福光変電所の550kV GISにおいて,据付から12年4ヶ月目のポリマブッシングに対し,健全性確認試験(水分量/撥水性/撥水性回復特性/漏れ電流/表面汚損度)を実施し,健全性確認および劣化評価を行った。
6-013	77kV初期形GISの劣化評価
6-013	◎坪井清浩・伊藤保則（中部電力）・村田政文・岩根裕典（関西電力）・前田誠次・大羽博文（九州電力）・小山公一・加藤達朗（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-013 77kV初期形GISの劣化評価 ◎坪井清浩・伊藤保則（中部電力）・村田政文・岩根裕典（関西電力）・前田誠次・大羽博文（九州電力）・小山公一・加藤達朗（日立製作所）日立製作所（株）の77kVGISは1969年に相分離形，その後1976年に全三相一括形，1986年に縮小形，1997年には新縮小形が開発され現在に至る。初期形GISとは，一般的にこの縮小形GIS開発前のGISを総称して呼ばれている。筆者らは， GISが初めて導入されてから45年以上が経過しており，高経年GISに対する寿命見極めが重要な課題となっていることから，77kV初期形GISの解体調査により劣化評価を実施した。

A32-C3 電力システム（開閉機器・避雷器） GIS（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-014	145kV 3150A 40kA ガス絶縁開閉装置形式試験実施
6-014	◎大賀博文・村岡琢正・藤澤力・柳沼宣幸・坂口信二・篠原亮一（日立製作所）・廣谷仁一（日立パワーシステムズインドネシア）電気学会全国大会講演要旨 6-014 145kV 3150A 40kA ガス絶縁開閉装置形式試験実施 ◎大賀博文・村岡琢正・藤澤力・柳沼宣幸・坂口信二・篠原亮一（日立製作所）・廣谷仁一（日立パワーシステムズインドネシア）日立製作所開閉装置部門では、海外での急速な市場拡大が見込まれる電力流通分野で受注拡大を図るため、海外拠点での直接受注-販売(外-外ビジネス)を進めている。今回外-外ビジネス拡大につなげるべく、海外拠点の1つである日立パワーシステムズインドネシア(以下「HPSI」)でサウジアラビア向145kVGISを製作し、第3者機関による形式試験を実施したので紹介する。
6-015	国内向け120kV V-GISの開発
6-015	◎加藤和也・米山圭祐・縣祐介・福田英昭・津森昭彦・村上達郎・小林徹（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-015 国内向け120kV V-GISの開発 ◎加藤和也・米山圭祐・縣祐介・福田英昭・津森昭彦・村上達郎・小林徹（明電舎） VCBは、保守点検の容易性、遮断時に分解ガスを発生しないなどから、高電圧・大容量化が期待されている。当社では、2015年度に145 kV 1点切りVCBを搭載した管路形GIS (以下、V-GIS)を開発・製品している。今回、本機種において、国内JEC規格に対応した120 kV V-GISをアレンジ開発した。基本的には、IEC規格で包含しているが、線路ESの誘導電流開閉試験においては、JEC規格の方がIEC規格Class Aよりも開閉電流および回復電圧ともに、厳しい要求仕様となっている。したがって、線路ESの誘導電流開閉試験を追加試験で実施し、良好な結果を得た。本機器は、2017年度に国内1号器を納入する予定であり、今後、新規・リプレースに対応して、拡販に努めていきたい。
6-016	海外向け36kV C-GISのシリーズ化
6-016	◎芹澤慎晶・松澤祐介・菊地徳明・鶴田豊久（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-016 海外向け36kV C-GISのシリーズ化 ◎芹澤慎晶・松澤祐介・菊地徳明・鶴田豊久（明電舎）海外向け36kV C-GISのシリーズ化【概要】従来のボトムエントリーケーブル接続を、リアアクセスT型ケーブル接続へと変更したモデルを開発した。本稿では本スイッチギヤの構造と特長・設計に際し採用した検討手法に関して紹介する。【検討手法】ガス流速・圧力シミュレーションを用いて閉鎖盤の強度検討を行った。【結果】内部閃絡試験を実施し、IEC62271-200 6.106.5に規定されているcriterion No.1〜5を満足する、良好な結果を得た。【まとめ】当社は、ガス流速・圧力シミュレーションを用いて、リアアクセスT型ケーブル接続に対応した30GBシリーズを開発することができた。
6-017	非線形抵抗部を有する固体絶縁材料のくさびギャップ中のインパルス電界緩和効果の解析
6-017	◎松岡直哉・前田健太・小迫雅裕・匹田政幸（九州工業大学）・和田純一・岡部成光（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-017 非線形抵抗部を有する固体絶縁材料のくさびギャップ中のインパルス電界緩和効果の解析 ◎松岡直哉・前田健太・小迫雅裕・匹田政幸（九州工業大学）・和田純一・岡部成光（東京電力ホールディングス）著者らは、電力機器の小形化のためにマイクロバリスタを用いた非線形抵抗材料(non-linear resistive material: NRM)による電界緩和の検討を進めている(1)。これまで、数値解析によりNRMの電界緩和効果を示してきたが、実験による検討には至っていない。そこで、今回、固体/SF6ガス複合絶縁系へのNRMの適用を想定した実験系を考案し、同実験系におけるインパルス部分放電実験のための予備的検討として、NRMの電界緩和効果を解析的に検討した結果を報告する。
6-018	可変配合注型法による誘電率傾斜機能材料を適用したGISスペーサの絶縁破壊電圧の推定
6-018	宮路仁崇・大石涼太・◎落合健太・小島寛樹（名古屋大学）・加藤克巳（新居浜工業高等専門学校）・早川直樹（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-018 可変配合注型法による誘電率傾斜機能材料を適用したGISスペーサの絶縁破壊電圧の推定宮路仁崇・大石涼太・◎落合健太・小島寛樹（名古屋大学）・加藤克巳（新居浜工業高等専門学校）・早川直樹（名古屋大学）ガス絶縁開閉装置(GIS)の電界利用率向上に対し，誘電率傾斜機能材料(ε-FGM)のGISスペーサへの適用を提案している．これまで筆者らは，遠心力法によりε-FGMを作製し，その適用効果を検証してきた．しかし，遠心力法では大型化が困難であるなどの課題を有している．そこで本稿では，ε-FGMの新しい作製方法として可変配合注型法を想定し，その電界緩和効果ならびにSF6ガス中における絶縁破壊電圧をVolume-Time理論を用いて評価した．その結果，対数正規分布状の誘電率分布により，三重点近傍の最大電界を64%緩和することができ，高ガス圧領域において絶縁破壊電圧を70%向上し得ることを明らかにした．
6-019	導電性多層コーティングによる導電率傾斜機能材料(σ-FGM)の作製・評価
6-019	◎大石涼太・宮路仁崇・小島寛樹（名古屋大学）・加藤克巳（新居浜工業高等専門学校）・早川直樹（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-019 導電性多層コーティングによる導電率傾斜機能材料(σ-FGM)の作製・評価 ◎大石涼太・宮路仁崇・小島寛樹（名古屋大学）・加藤克巳（新居浜工業高等専門学校）・早川直樹（名古屋大学）ガス絶縁開閉装置(GIS)の電界利用率向上に向けて，筆者らは，導電率傾斜機能材料(σ-FGM)のGISスペーサへの適用を目指している．今回，導電性多層コーティングによるσ-FGMを想定し，作製技術の検証を行った．その結果，ディップコーティング法を用いることにより，導電性3層コーティングを有する円錐台形スペーササンプルを作製することができた．また，導電性コーティングに使用する材料特性を考慮した電界解析の結果，商用周波数において，σ-FGMはTJ近傍の最大電界を33%緩和するとともに，電界分布の平滑化効果を有することを明らかにした．
6-020	微小欠陥を含むエポキシの低電界V-t特性
6-020	○植田玄洋・和田純一（東京電力ホールディングス）・清水芳則・井波潔・亀井光仁（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-020 微小欠陥を含むエポキシの低電界V-t特性 ○植田玄洋・和田純一（東京電力ホールディングス）・清水芳則・井波潔・亀井光仁（三菱電機）現在，ガス絶縁開閉装置（GIS）の高経年化が進みつつあり，その健全性の見極めが重要となってきている。GISの絶縁面での寿命を決める支配的要因の一つとして，絶縁スペーサの劣化が考えられる。GISを長期に信頼性を保ちつつ使用するには，経年による絶縁物の劣化特性を把握する必要がある。本課題に対し，これまでエポキシ絶縁物中に微小クラック欠陥が存在した場合の劣化特性（V-t特性）を電界加速試験および周波数加速試験により取得してきた。これらの試験は，比較的短時間から1年程度以内での破壊特性であり，今回は更に低電界領域での長時間V-t特性を取得したので報告する。
6-021	球-平板電極における針状異物のファイアフライ挙動
6-021	○野嶋健一・安岡孝倫・松原愛帆・阿部裕太・椎木元晴・武井雅文（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-021 球-平板電極における針状異物のファイアフライ挙動 ○野嶋健一・安岡孝倫・松原愛帆・阿部裕太・椎木元晴・武井雅文（東芝）直流ガス絶縁装置の絶縁性能を評価する際に重要となる針状金属異物のファイアフライ現象の基礎特性を球－平板電極を用いて調査した。ファイアフライ現象を維持するのに必要な電界や、一定印可電圧のもとでのファイアフライ現象の継続時間の異物長さ依存性について得られた結果を報告する。
6-022	実規模ガス絶縁母線におけるファイアフライ現象の調査
6-022	◎安岡孝倫・野嶋健一・松原愛帆・阿部裕太・椎木元晴・武井雅文（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-022 実規模ガス絶縁母線におけるファイアフライ現象の調査 ◎安岡孝倫・野嶋健一・松原愛帆・阿部裕太・椎木元晴・武井雅文（東芝）ガス絶縁開閉装置の直流絶縁性能を評価する際、金属異物のファイアフライ現象を詳細に把握することが重要となる。筆者らは、これまでに報告事例のほとんどない実規模ガス絶縁母線を用いてファイアフライ現象を調査した。その結果、ファイアフライの継続時間は印加電圧や異物長さに強く依存することが明らかとなった。
6-023	電界解析データの有効利用のための人工知能の活用に関する検討
6-023	○加藤克巳・加藤茂・松友真哉（新居浜工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 6-023 電界解析データの有効利用のための人工知能の活用に関する検討 ○加藤克巳・加藤茂・松友真哉（新居浜工業高等専門学校）数値電界解析は電力機器の電気絶縁設計にとって必要不可欠なものとなっている。一方で、電力機器形状や機器配置が与えられたときに、解析技術者は自らの経験に基づく一種の「感覚」を頼りに、おおよその電界分布や電界強度をイメージすることができる。このような「感覚的要素」は、多くの解析の経験を通じて培われるともいえる。本研究では、このような「感覚的要素」を、人工知能を用いて既存の電界解析データ群から抽出することで、コンピュータが、人間（解析技術者）の感性に近い形で電界分布や電界強度を算出できるような機能を目指している。今回第一段階として、ニューラルネットワークの学習機能を用いた結果について報告する。

A21-A1 電力システム（開閉機器・避雷器） DC-CB
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-024	電気接点とパワーデバイスを並列接続したハイブリッド直流遮断器のシミュレーション
6-024	◎中山恭太郎・早川達也・全俊豪・安岡康一（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-024 電気接点とパワーデバイスを並列接続したハイブリッド直流遮断器のシミュレーション ◎中山恭太郎・早川達也・全俊豪・安岡康一（東京工業大学）近年，直流送配電の増加に伴い，直流遮断器の需要が増加している。電流を遮断する際に電気接点を開くとアーク放電が発生するが，直流は電流ゼロ点がないのでアークの消弧が困難であり，その結果直流電流の遮断は困難である。この課題を解決するため機械式遮断器と半導体遮断器を並列接続したハイブリッド直流遮断器の研究が現在盛んに行われている。ハイブリッド直流遮断器では半導体素子への転流時に，接点間電圧の値が沸騰電圧を超えると，アーク放電が発生し，超えないとアークレスに転流が可能である。本研究ではハイブリッド直流遮断器の転流時の実測波形を元に転流時の接点間抵抗の値を求め，回路シミュレータ上で電気接点を模擬した。
6-025	ハイブリッド直流遮断器を用いたアークレス直流遮断
6-025	◎全俊豪・早川達也・中山恭太郎・安岡康一（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-025 ハイブリッド直流遮断器を用いたアークレス直流遮断 ◎全俊豪・早川達也・中山恭太郎・安岡康一（東京工業大学）近年，太陽光発電や分散型電源の導入増加により直流送配電が見直されている。しかし，直流送配電は交流に比べ送電ロスが小さい，位相制御をしなくてよいなどの利点があるが，電流を遮断する際，電流零点を持たないため，電流遮断が難しいという課題があった。本研究グループは電気接点とパワーデバイス(SiC-MOSFET)を用いたハイブリッド直流遮断器を開発し，低定常損失とアークレスで高速な電流遮断の両立が可能である。本発表では300 V, 150 Aのアークレス直流遮断実験に成功したことを報告する。
6-026	直流送電向けハイブリッド直流遮断器の原理検証
6-026	◎長谷川隆太・瀧本和靖・松本寿彰・飯尾尚隆（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-026 直流送電向けハイブリッド直流遮断器の原理検証 ◎長谷川隆太・瀧本和靖・松本寿彰・飯尾尚隆（東芝）多端子直流送電システム上では，系統故障時の電圧低下拡大を防ぐため，数msで故障点除去が可能な直流遮断器が必要となる。東芝はNEDOの委託業務を通じて機械遮断部と半導体遮断部を並列構成した低損失なハイブリッド直流遮断器の開発を進めている。電流遮断時には，機械遮断部より半導体遮断部に電流を転流し，半導体遮断部にて電流を遮断する。本稿では，ハイブリッド直流遮断器の動作原理を説明し，10kV原理検証器による試験結果について報告する。
6-027	直流送電向けハイブリッド直流遮断器の真空遮断部の電流遮断性能
6-027	○丹羽芳充・大坊昂・坂口亙・金谷和長・安藤正将（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-027 直流送電向けハイブリッド直流遮断器の真空遮断部の電流遮断性能 ○丹羽芳充・大坊昂・坂口亙・金谷和長・安藤正将（東芝）高電圧直流送電システムにおいては，短絡や地絡などの事故が発生した際に，数kAの事故電流を数msで遮断する直流遮断器が必要である。そのため，半導体遮断部と機械遮断部を並列接続した，ハイブリッド直流遮断器（DCCB）の開発を進めている。電流遮断時には，機械遮断部より半導体遮断部に電流を転流し，半導体遮断部にて電流を遮断する。数msで機械遮断部より半導体遮断部に電流を転流する必要があるため，機械遮断部は電流遮断後の絶縁回復が速い真空遮断部と断路部を直列構成とし，電源により真空遮断部に遮断電流と逆向きの電流を通電することで強制的に電流零点を生成し，真空遮断部の電流を遮断する構成とした。縦磁界電極を用いた真空遮断部について，遮断性能を評価した結果，必要な遮断性能を達成できた。
6-028	直流送電向けハイブリッド直流遮断器の半導体遮断性能向上検討
6-028	◎瀧本和靖・石黒崇裕・松本寿彰（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-028 直流送電向けハイブリッド直流遮断器の半導体遮断性能向上検討 ◎瀧本和靖・石黒崇裕・松本寿彰（東芝）多端子直流送電システム上では、数ms で事故点除去が可能な直流遮断が必要となる。東芝はNEDOの委託業務を通じて機械遮断部と半導体遮断部を並列構成した低損失なハイブリッド直流遮断器（DCCB）の開発を進めている。本稿では、半導体にスナバ回路を付加することで、遮断性能を向上させた結果を報告する。
6-029	直流送電向けハイブリッド直流遮断器の電磁操作機構
6-029	◎金谷和長・網田芳明・丹羽芳充・飯尾尚隆（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-029 直流送電向けハイブリッド直流遮断器の電磁操作機構 ◎金谷和長・網田芳明・丹羽芳充・飯尾尚隆（東芝）多端子直流送電システム上では，数msで事故点除去が可能な直流遮断器が必要となる．その中で，東芝はNEDOの委託業務を通じて機械遮断部と半導体遮断部を並列構成したハイブリッド直流遮断器（以下，DCCB）の開発を進めている．ハイブリッドDCCBは定常運転時のエネルギー損失を小さくできるが，機械遮断部の接点を駆動する操作機構には高速な駆動と，確実な制動が要求される．本稿はDCCBの機械遮断部向け電磁操作機構について，開路動作試験による原理検証と，そのシミュレーションモデルについて紹介する．
6-030	直流送電向けハイブリッド直流遮断器の遮断試験法の開発
6-030	◎橋本優平・宮崎健作・種子田賢宏・乙幡将吾・飯尾尚隆（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-030 直流送電向けハイブリッド直流遮断器の遮断試験法の開発 ◎橋本優平・宮崎健作・種子田賢宏・乙幡将吾・飯尾尚隆（東芝）多端子直流送電システム上では，数msで事故点除去が可能な直流遮断器が必要となる．その中で，東芝はNEDOの委託業務を通じて機械遮断部と半導体遮断部を並列構成した低損失なハイブリッド直流遮断器の開発を進めている．これを実現するためには新しい試験法が必要であり，本稿では開発した試験法の原理と試験結果について報告する．

A32-A3 電力システム（開閉機器・避雷器） VCB・スイッチギア
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-031	真空中の絶縁破壊過程におけるフレアプラズマの電極材料依存性評価
6-031	◎永井裕之・山口正太郎・松岡成居・熊田亜紀子・日髙邦彦（東京大学）・稲田優貴（埼玉大学）・塩入哲・市川貴善（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-031 真空中の絶縁破壊過程におけるフレアプラズマの電極材料依存性評価 ◎永井裕之・山口正太郎・松岡成居・熊田亜紀子・日髙邦彦（東京大学）・稲田優貴（埼玉大学）・塩入哲・市川貴善（東芝）本稿ではアノードを銅クロム(Cr:25%)、カソードを銅にした場合と、アノードをタングステン、カソードを銅にした場合のフレア進展を、ハイスピードカメラSIM(Specialized Imaging社製)を用いて観測した。絶縁破壊後どちらもアノード、カソードからフレアが進展していく様子が見られた。アノードフレアはアノード表面の蒸発によって生じるため、融点の高いタングステンの方が蒸発しにくくアノードフレアの体積は小さくなると考えられる。しかし、アノードをタングステンとした方が、アノードフレアの体積は大きく、アノードフレア優勢の絶縁破壊が起こっていた。
6-032	平等電界下の電界電子放出電流に与える雰囲気気体圧力の影響
6-032	◎岩渕大行・大山力（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-032 平等電界下の電界電子放出電流に与える雰囲気気体圧力の影響 ◎岩渕大行・大山力（横浜国立大学）現在SF6 ガス遮断器の代替機器として真空遮断器が注目され、さらなる大容量化や高耐圧化が望まれている。しかしながら、真空の放電メカニズムはガス中とは大きく異なり、真空特有の放電現象としてNSDD(Non-Sustained Disruptive Discharge: 非持続性破壊放電) が生じることが知られている。NSDD現象は詳細な発生メカニズムやその影響が未解明であり、現象の解明が望まれている状況である。著者らは真空ギャップ間におけるNSDD現象の発生メカニズムを実験とシミュレーションの両面から明らかにする研究を行ってきた。その中で、今回はNSDD現象の一要因として電極からの電界電子放出現象に着目し、電界電子放出電流の増倍機構が周辺気体の圧力によってどのように変化するかをシミュレーションに基づいて検証したので報告する。
6-033	電極表面の温度測定及び熱入力による表面温度解析
6-033	◎八幡裕人・池田昂平・金子英治（琉球大学）電気学会全国大会講演要旨 6-033 電極表面の温度測定及び熱入力による表面温度解析 ◎八幡裕人・池田昂平・金子英治（琉球大学）真空遮断器において、大電流遮断時に電極表面が溶融し金属粒子及び蒸気が多く発生し、また、電極の溶融により電極形状が変形してしまうことがある。本研究では、電極設計の際に指標となる基礎知見を得ることを目的としている。真空中において大電流遮断をした際の電流零点以降のアノード電極表面温度の測定を行った。また、電流遮断時のアノード電極の温度分布、溶融の状態を把握するために電極表面からの深さ方向の一次元熱入力解析を行った。それぞれ、単位面積当たりに供給されるアークエネルギーを見積もった。
6-034	電界緩和シールドリング付き円筒型絶縁体の繰り返し電圧印加後の真空中帯電特性の推移
6-034	◎藤田一誠・山納康（埼玉大学）・山本修（京都大学）・福田英昭・石川啓太・佐野陽（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-034 電界緩和シールドリング付き円筒型絶縁体の繰り返し電圧印加後の真空中帯電特性の推移 ◎藤田一誠・山納康（埼玉大学）・山本修（京都大学）・福田英昭・石川啓太・佐野陽（明電舎）真空遮断器の高電圧化において、遮断部である真空インタラプタの絶縁物表面において帯電を伴って発生する沿面放電が問題となっている。沿面放電・帯電抑制方法の一つとしてトリプルジャンクション付近の電界を低減させるために電界緩和シールドが適用されている。これを最適に設計するには絶縁物の帯電特性の把握が重要である。本研究では、真空インタラプタを模擬したシールド付き円筒型絶縁体試料に交流電圧を繰り返し印加することによる帯電分布の推移について調査した。結果、初回の電圧印加の場合を除き, 両試料とも印加電圧の増加とともに帯電は増加する傾向を示した。また、繰り返し電圧を印加することにより帯電量は低くなり、ある帯電量に落ち着いていった。
6-035	真空遮断器における電流遮断時の金属粒子挙動特性
6-035	◎小島大樹・岩渕大行・大山力（横浜国立大学）・金子英治（琉球大学）電気学会全国大会講演要旨 6-035 真空遮断器における電流遮断時の金属粒子挙動特性 ◎小島大樹・岩渕大行・大山力（横浜国立大学）・金子英治（琉球大学）現在，ガス遮断器に用いられている主な媒体のSF6ガスが京都議定書により排出規制対象となったために温暖化ガスを利用しない真空遮断器(以下「VCB」)への期待が高まっている。VCBにおいては「非持続性絶縁破壊現象(Non-sustained Disruptive Discharge, 以下『NSDD』)」と呼ばれる特有の絶縁破壊現象が発生することが知られており，その発生機構の解明が課題として挙げられている。しかしVCBにおけるNSDDに関する詳細な報告は行われておらず，その発生機構は未解明である。そこで本研究では，NSDD現象の支配要因として電極間の微小な金属粒子に着目し，VCBでの電流遮断後の粒子の挙動や特性を高速度カメラを用いて解析したので報告する。
6-036	真空中コンディショニング過程における放電電荷量制御の効果
6-036	◎野田昌嗣・小島寛樹（名古屋大学）・長谷川光佑・榊正幸（明電舎）・早川直樹（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-036 真空中コンディショニング過程における放電電荷量制御の効果 ◎野田昌嗣・小島寛樹（名古屋大学）・長谷川光佑・榊正幸（明電舎）・早川直樹（名古屋大学）環境適合性の高い真空遮断器の高電圧化のためには，真空中の耐電圧を向上させるスパークコンディショニング特性の把握が必須である．本論文では，コンディショニングを高速に進展させた上で，より高いコンディショニング効果を得ることを目指し，最適値より大きな放電電荷量での初期コンディショニングの後，放電電荷量を抑制したコンディショニングを施した際のコンディショニング特性の検討を行った．その結果，初期コンディショニングにより高速にコンディショニングを進展させることが可能であったが，最低破壊電圧が低下した．この結果は，初期コンディショニング時に生じた電極表面の損傷が完全には改善されていないことを示している．
6-037	異なるガス環境での熱処理がアルミナセラミックスの部分放電特性に与える影響
6-037	◎竹松俊彦・道念大樹・古賀博美・糸谷孝行（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-037 異なるガス環境での熱処理がアルミナセラミックスの部分放電特性に与える影響 ◎竹松俊彦・道念大樹・古賀博美・糸谷孝行（三菱電機）真空遮断器のキーパーツである真空バルブには絶縁材料としてアルミナセラミックスが用いられる。アルミナセラミックスを大気中で熱処理すると、部分放電の原因となる表面帯電電位が低減する効果や絶縁破壊電圧が上昇する効果が報告されている。これらの効果はセラミックス表面の酸素原子の脱離（酸素欠陥）が大気中で熱処理することにより修復され、欠陥部での電子の束縛が抑制されるためであると考えられている。本研究では真空バルブの製造工程において想定される各種ガス環境下における熱処理がセラミックスの部分放電特性や酸素欠陥の形成に与える影響について調べた。
6-038	環境対応形スイッチギヤの開発
6-038	中谷英之・近藤誠・磯谷智生・○東村伸（日新電機）電気学会全国大会講演要旨 6-038 環境対応形スイッチギヤの開発中谷英之・近藤誠・磯谷智生・○東村伸（日新電機） SF6ガス絶縁スイッチギヤや固体絶縁スイッチギヤは充電部の露出が無い事から周期環境の影響を受け難く、点検周期が長い等の高信頼度の製品であるが、機器の汎用性に乏しく長期間の保守面から見て高度な製品と言える。そこで同等性能の実現を狙って、SF6ガスを使用しない環境対応形スイッチギヤを開発した。主な特長として1）周囲環境の影響を受け難い（耐環境性）2）汎用機器採用、定期点検の延伸化、SF6 ガス不使用（保守省力化）3）充電部の露出が無い（安全性）4）密閉ユニットに封入したドライエアは絶縁媒体としてでなく、収納機器に対する好環境（汚損・結露防止）を目的とする。
6-039	海外向け12kV VCBの開発
6-039	◎宮本晴望・菊地徳明・佐藤聡・勝又清仁・小林徹（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-039 海外向け12kV VCBの開発 ◎宮本晴望・菊地徳明・佐藤聡・勝又清仁・小林徹（明電舎）近年、真空遮断器(VCB)においては、小型・軽量化、信頼性・安全性、保守省力化及びLCC(Life cycle cost)の低減が求められている。当社は従来、12kV VCBを生産し、東南アジアを中心に数多く納入してきた。今回、海外向け12kV VCBにおいて従来モデルと同じ容量を維持しながら、最新のIEC規格に準拠し、保守省略化及びLCCを低減したAIS用のVCBを開発した。本VCBは、第3者認定試験機関であるKERI試験場において630A/1250A及び2000A定格において形式試験を実施し、短絡試験、耐電圧試験、温度上昇試験に合格し、認証を取得した。本稿では、本VCBの定格事項、特長、多数回遮断性能について紹介する。

A32-A1 電力システム（開閉機器・避雷器）アーク（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-040	高温SF₆ガスの火花電界導出に関する一検討
6-040	村北慶輔・◎小島勇輝・横水康伸・松村年郎（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-040 高温SF₆ガスの火花電界導出に関する一検討村北慶輔・◎小島勇輝・横水康伸・松村年郎（名古屋大学）消弧ガス封入遮断器の電流遮断プロセスにおいては，接触子間に高温ガスが残留する。電気絶縁気体の研究分野では，Schumannの条件式が知られ，火花電界が求められている。しかし，Schumannの条件式を高温領域に適用した例はない。そこで，SF₆ガスを取り上げ，Schumannの条件式を用い，高温ガスでの火花電界E_St(Sch)を導出した。さらに，高温ガスの電子数密度を考慮した火花電界E_St(pro)の導出式を考案し，考察した。計算の結果，ガス温度300~2250 Kでは，E_St(Sch)とE_St(pro)はほぼ等しいことが分かった。一方，2500~4000 Kでは，E_St(Sch)は温度に対してほぼ一定であるが，E_St(pro)は温度上昇に対して低下特性を示すことが分かった。これより，本稿の条件下では，2500~4000 Kの温度域において，考案式を適用することが順当であると考えた。
6-041	放電チャネル進展時の電流-電磁波相関に基づく電磁波放射源に関する検討
6-041	◎加藤拓・杉野一樹・小島寛樹・早川直樹（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-041 放電チャネル進展時の電流-電磁波相関に基づく電磁波放射源に関する検討 ◎加藤拓・杉野一樹・小島寛樹・早川直樹（名古屋大学） UHF法によるGIS絶縁診断について，筆者らは，部分放電(PD)に伴い放射される電磁波強度が，ガス種・圧力に依存せず，PD電流波形の傾きの最大値に依存することを示した．本稿では，PD発生時の電磁波の放射源について，PD電流波形，発光像，放射電磁波強度の相関より検討した．大気圧乾燥空気を封入した金属容器内に，金属異物を模擬した針－平板電極系を設置した．正極性雷インパルス電圧を印加し，電流・電磁波波形および発光像を同期測定した．その結果，導電率が高いリーダ型放電と導電率の低いストリーマ放電では電流電磁波-相関の傾向が異なり，針電極のみならず，放電チャネルも電磁波放射源として働くことを示唆した．
6-042	圧力0.6 MPa下の高温SF₆ガス中における衝突電離・電子付着反応の反応速度係数
6-042	◎村北慶輔・横水康伸・小島勇輝・松村年郎（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-042 圧力0.6 MPa下の高温SF₆ガス中における衝突電離・電子付着反応の反応速度係数 ◎村北慶輔・横水康伸・小島勇輝・松村年郎（名古屋大学）電力機器において高温ガスが形成されると，電圧印加の下では，その高温ガスを通じて火花放電が起こることがある。この火花破壊は，以下の現象に起因すると考えられる。電界印加により加速された電子は，ガス中の粒子と衝突し，電離，付着また解離反応を起こし，電子なだれが成長する。これら衝突反応の回数は，反応速度係数kを用いて表される。つまり，火花放電の現象を解明するに当たり，kは重要なパラメータであるといえる。本稿では，高温SF₆ガスを対象とし，ガス中で起こる衝突電離・電子付着反応に関する反応速度係数を導出した。温度2000 Kの場合，SF₆粒子と電子との衝突電離反応のみならず，SF₅，SF₄，SF₃，SF₂粒子と電子との衝突電離反応が電子なだれの成長に寄与することがわかった。
6-043	液体中直流アークの基礎特性
6-043	○新海健・野呂拓己・榎本淳・高橋宣之・高木茂行（東京工科大学）・腰塚正（東京電機大学）電気学会全国大会講演要旨 6-043 液体中直流アークの基礎特性 ○新海健・野呂拓己・榎本淳・高橋宣之・高木茂行（東京工科大学）・腰塚正（東京電機大学）液中アークの高いアーク電圧による限流効果を用いた直流遮断器を検討している。液中アークの基礎特性の実験結果について述べる。気中アーク、水中アークの電圧電流特性を比較した。その結果、水中アークでは300Aにおいて気中アークの5倍程度のアーク電圧が得られた。また、シリコンオイルとハイドロフルオロエーテル中のアークについても調査した結果を報告する。
6-044	アーク発生下でのミスト状絶縁油燃焼時のチャンバー内圧力上昇に関する数値解析的検討
6-044	○古川静枝・宮城吏・田中慎一・岩田幹正（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-044 アーク発生下でのミスト状絶縁油燃焼時のチャンバー内圧力上昇に関する数値解析的検討 ○古川静枝・宮城吏・田中慎一・岩田幹正（電力中央研究所）油入電力機器内において，万一の短絡故障等によりアークが発生した場合，機器の破損口等から絶縁油が燃焼する場合がある。従って，アーク発生下でのミスト状の絶縁油の燃焼現象の解明や圧力上昇予測が重要である。そこで，当所では，チャンバー内でアークを着火し，ミスト状絶縁油を噴霧した際の圧力上昇に関する実験的検討を行ってきた。今回は、熱流体解析ソフトを用い，実験系を模擬した計算条件下で圧力上昇に関する数値解析的検討を行った。圧力上昇値の計算結果は，ミスト状油の燃焼エネルギーを考慮した時刻から時間に比例して顕著に上昇する様相を示し，測定値と概ね一致した。
6-045	アーク放電時におけるミスト状絶縁油の燃焼による圧力上昇基礎特性（その2） ―燃焼生成ガスの調査―
6-045	◎宮城吏・田中慎一・古川静枝・岩田幹正・田所兼（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-045 アーク放電時におけるミスト状絶縁油の燃焼による圧力上昇基礎特性（その2） ―燃焼生成ガスの調査― ◎宮城吏・田中慎一・古川静枝・岩田幹正・田所兼（電力中央研究所）油入電力機器内において，万一の短絡故障等によりアークが発生した場合，機器の破損口等から絶縁油が燃焼する場合がある。このため，アーク発生下でのミスト状の絶縁油の燃焼現象の解明等が重要である。そこで，当所では絶縁油がアークにより着火・燃焼した場合の圧力上昇基礎特性を把握するため，実験データの取得を行っている。また，実験データに基づいた圧力上昇解析モデルの構築に関する基礎研究についても進めている。そこで，本稿では，圧力上昇を解析により予測する際に必要となる，絶縁油の燃焼エネルギーモデルを検討するため，絶縁油が着火・燃焼した際に生成されるガスを測定したので，その結果について報告する。
6-046	Study on Effect of the High Current Interruption on the Polymer Material Characteristics of an Air Circuit Breaker
6-046	◎NORRAWIT TONMITR・金城鴻一・我那覇和奎・金子英治（琉球大学）・林田丈博（戸上電機製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-046 Study on Effect of the High Current Interruption on the Polymer Material Characteristics of an Air Circuit Breaker ◎NORRAWIT TONMITR・金城鴻一・我那覇和奎・金子英治（琉球大学）・林田丈博（戸上電機製作所） Nowadays polymer materials have been used in air circuit breakers. As well know, usage of polymer materials in the quenching chamber is the methods of improving performance of air circuit breaker. When a fault occurs, inside a chamber of an air circuit breaker, arc discharge across the separating electrodes touches the insulator, and ablation gasses are generated and emitted. In order to clarify the ablation characteristics of polymer materials and improve the breaking performance of air circuit breakers, we conducted the experiments with four kinds of polymer materials by using high current interruption.

A32-A2 電力システム（開閉機器・避雷器）アーク（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-047	珪砂封入空間でのPA66製円筒の配置による直流アーク電圧上昇効果
6-047	◎上田祐介・横水康伸・松村年郎（名古屋大学）・高木慎一郎（太平洋精工）電気学会全国大会講演要旨 6-047 珪砂封入空間でのPA66製円筒の配置による直流アーク電圧上昇効果 ◎上田祐介・横水康伸・松村年郎（名古屋大学）・高木慎一郎（太平洋精工）本研究は，ヒューズによる直流電流遮断に関して，遮断時間の短縮および遮断容量の向上を目指している。筆者らはこれまでに，アーク電圧上昇手法の試みとしてPA66製角棒を電極周辺に配置し，珪砂封入空間でのアーク電圧を測定してきた。本稿では，さらなるアーク電圧上昇を目指して，高分子材料の形状を変更し，電極間にPA66製円筒を設置した。珪砂中にPA66製円筒を配置することでアーク電圧が高まり，特に円筒C _8-18設置条件で最も高くなった。今回測定されたアーク電圧は，以前に報告したPA66製角棒設置条件よりもさらに高いものとなった。
6-048	アーク電位軸方向分布の非接触測定に向けた検討－電位と半径の同時測定－
6-048	◎南翔太・横水康伸・松村年郎（名古屋大学）・真島周也・内井敏之（東芝）・鈴木克巳（東京電機大学）電気学会全国大会講演要旨 6-048 アーク電位軸方向分布の非接触測定に向けた検討－電位と半径の同時測定－ ◎南翔太・横水康伸・松村年郎（名古屋大学）・真島周也・内井敏之（東芝）・鈴木克巳（東京電機大学）消弧ガス吹き付け遮断器において，ノズル内アークの状態は，急速な過渡変化を示し，遮断性能に大きな影響を与えている。筆者らは，アークの状態を非接触にて測定することを目指している。これまでに，測定手法確立の第1段階として，アークの代わりに抵抗素子を対象とした測定を行ってきた。そして，状態の一つである電位を非接触で検出し，復元することに成功した。今回は，電位に加えて通電領域の半径を同時推定する手法を考案したので報告している。本手法を用いることで，被測定部の電位を非接触で復元できた。また，被測定体となる抵抗素子の半径を高精度で推定することに成功した。
6-049	限流抵抗方式を用いたSiC-MOSFET型直流モデル遮断器の直流電流遮断とチップ温度推定
6-049	◎玉尾一真・日比野真也・横水康伸・松村年郎（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-049 限流抵抗方式を用いたSiC-MOSFET型直流モデル遮断器の直流電流遮断とチップ温度推定 ◎玉尾一真・日比野真也・横水康伸・松村年郎（名古屋大学）筆者らはIGBTやSiC-MOSFET等を用いた低圧直流用遮断器を試作し，その特性評価を行ってきた。さらに，限流遮断過程においてSiC-MOSFET型モデル遮断器のゲート・ソース間(G-S間)電圧を二段階で低下させる方式，すなわちTwo-step methodを提案してきた。本方式では，G-S間電圧を初期期間では小さい時定数で，次期間では大きな時定数で低下させる。本稿では，新たに限流抵抗を具備した回路構成である限流抵抗方式を考案し，モデル器に直流電流の遮断責務を課した。電流遮断過程における素子のチップ温度を導出し，限流抵抗方式はチップ温度の低下および遮断限界の向上を達成していることを確認した。
6-050	アークコラム抵抗の上昇に関する実験的検討 -電極引き離し過程における低圧直流アーク特性-
6-050	◎伊藤雅大・横水康伸・大島和也・松村年郎（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-050 アークコラム抵抗の上昇に関する実験的検討 -電極引き離し過程における低圧直流アーク特性- ◎伊藤雅大・横水康伸・大島和也・松村年郎（名古屋大学）直流アーク消弧過程の基礎検討として，実験用直流アーク消弧装置に直流電流の遮断を課した。電源電圧を150〜300 Vに調整し，遮断すべき直流電流を10〜100 Aに設定した。実験結果から単位長さ当たりのアークコラム抵抗および入力パワーを検討した。電源電圧150 Vでは，遮断過程において，入力パワーが臨界値20〜22 W/mmまで減少した直後，抵抗が大きく上昇し，アークは消弧されると考えられる。電源電圧200および300 Vの条件に対しても同様に考察したところ，その臨界値はそれぞれ約18および11 W/mmであることがわかった。以上より，単位長さ当たりの入力パワーが11〜22 W/mmまで減少した直後，抵抗が大きく上昇し，アークが消弧されると考えている。
6-051	PA66製高分子板を配置した消弧板空間における直流アーク電圧と溶発量に関する検討
6-051	◎小川拓真・横水康伸・南翔太・上田祐介・松村年郎（名古屋大学）・市川貴善・丹羽芳充・坂口亙（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-051 PA66製高分子板を配置した消弧板空間における直流アーク電圧と溶発量に関する検討 ◎小川拓真・横水康伸・南翔太・上田祐介・松村年郎（名古屋大学）・市川貴善・丹羽芳充・坂口亙（東芝）直流電流の遮断過程における消弧板空間の電圧上昇方法として，消弧板間隙への高分子板対の設置に加え，さらにその中間に高分子片を設置した。結果アークに混入する高分子蒸気が増えたが，アーク電圧の上昇は，高分子片を追加したものとそうでないもので，大きな差は見られなかった。
6-052	ブラシ・整流子片開離過程における電極間電圧の発生と直流電流の減少に関する検討
6-052	◎大島和也・横水康伸・福塚隆司・松村年郎（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-052 ブラシ・整流子片開離過程における電極間電圧の発生と直流電流の減少に関する検討 ◎大島和也・横水康伸・福塚隆司・松村年郎（名古屋大学）模擬装置においてブラシ(固定電極)と整流子片（可動電極）との開離過程に関して，電極間電圧と瞬時電流の時間推移を測定した。電源電圧を12.6 Vに設定し，設定電流Iを10 Aとした。回路インダクタンスは約100 μHである。本実験条件では，電極を流れる電流は，アーク点弧直前に約4 VのBreaking voltageによって限流され，アーク形成中には約14 Vの電極降下電圧によって限流される。よって，Breaking voltageと電極降下電圧は電流減少を左右するファクタである。他の設定電流I=5, 15, 20 A条件下においても，電極間に同程度のBreaking voltageおよび電極降下電圧が発生することがわかった。
6-053	エタノール燃料中に浸漬されたDCモータにおけるブラシ・整流子片間のアーク発生・消滅とエネルギー評価
6-053	◎福塚隆司・浅井洋光（デンソー）・横水康伸（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-053 エタノール燃料中に浸漬されたDCモータにおけるブラシ・整流子片間のアーク発生・消滅とエネルギー評価 ◎福塚隆司・浅井洋光（デンソー）・横水康伸（名古屋大学）地球温暖化や排出ガス低減への対策として，アルコール燃料の実用化が進んでいる．燃料の圧送にはブラシ付きDCモータが用いられ，ブラシは回転するコイルへ整流子を介し，摺動しながら通電する部品である．ブラシや整流子間ではアーク放電が発生し，その損傷が寿命を左右する要因となっている．本研究はアルコール燃料中のDCモータに関して，エタノール下における模擬DCモータにおいて，ⅰ)残留電流およびⅱ)アーク継続時間を測定し，さらにⅲ)アークエネルギーを評価した．結果として，エタノール下ではガソリンに比べ，残留電流およびアーク継続時間が増加し，それにともないアークエネルギーが増加する傾向を明らかにした．

A32-A4 電力システム（開閉機器・避雷器）アーク（Ⅲ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-054	擬似TRV印加時におけるノズル内CO$_2$再発弧アークの挙動観測
6-054	◎田畑裕・中野智之・田中康規・上杉喜彦・石島達夫（金沢大学）・富田健太郎（九州大学）・鈴木克巳（東京電機大学）・稲田優貴（埼玉大学）・新海健（東京工科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-054 擬似TRV印加時におけるノズル内CO$_2$再発弧アークの挙動観測 ◎田畑裕・中野智之・田中康規・上杉喜彦・石島達夫（金沢大学）・富田健太郎（九州大学）・鈴木克巳（東京電機大学）・稲田優貴（埼玉大学）・新海健（東京工科大学） SF6ガスは，地球温暖化係数（GWP）が非常に高く， SF6の使用量を削減するためには，代替ガスの検討が必要である。このためには，アーク消弧に関するより深い理解が求められる。本報では，ノズル内で点弧・維持されたDC 50 Aの直流CO2アークを，パワー半導体により意図的に減衰させ電流零点を作り，その後，任意の時間遅れtdでピーク値8 kV，RRRV = 2 kV/μsの擬似過渡回復電圧(擬似TRV)を印加した。実験の結果，再発弧する確率が50%となる電流零点からの擬似TRV印加遅れ時刻td50％は200 L/minの場合で150 μs，100 L/minの場合で250 μsと見積もられた。再発弧時においては，直前までに最も減衰の進行していた箇所が激しく発光する様子が見られた。
6-055	CO₂ガス吹き付けアーク特性に与える輻射の吸収の効果
6-055	◎神津俊介・坂井智春・矢田部優樹・藤野貴康（筑波大学）・吉野智之・河野広道・森正（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-055 CO₂ガス吹き付けアーク特性に与える輻射の吸収の効果 ◎神津俊介・坂井智春・矢田部優樹・藤野貴康（筑波大学）・吉野智之・河野広道・森正（東芝）本研究ではCO₂を作動ガスとして，遮断器のノズル内定常アークに及ぼす輻射の影響について理解することを目的とする。円柱形状のノズルに対しNet Emission Coefficient を用いることにより輻射の吸収を考慮した軸対称2次元電磁流体解析を行い，温度が約10000 K と高温なアーク中心部における輻射の吸収の効果について検討した。温度が約10000 K と高温な場合，周波数が1.2×10¹⁵ Hz 以上の周波数領域において，吸収を考慮した正味の放射量は吸収を考慮しない場合の放射量に比べて値が10分の1以下になることがわかった。また，周波数が1.2×10¹⁵ Hz 以下の場合，吸収を考慮した正味の放射量は吸収を考慮しない場合の放射量と値がほぼ変わらないことも確認できた。
6-056	高圧のCO2あるいはSF6を吹付けたノズル内Arアークの挙動観測
6-056	◎中野智之・田畑裕・田中康規・上杉喜彦（金沢大学）・富田健太郎（九州大学）・鈴木克巳（東京電機大学）・新海健（東京工科大学）・稲田優貴（埼玉大学）電気学会全国大会講演要旨 6-056 高圧のCO2あるいはSF6を吹付けたノズル内Arアークの挙動観測 ◎中野智之・田畑裕・田中康規・上杉喜彦（金沢大学）・富田健太郎（九州大学）・鈴木克巳（東京電機大学）・新海健（東京工科大学）・稲田優貴（埼玉大学）ガス遮断器に使用されるSF6ガスは温室効果が高いため，使用量を減らすことが望ましい。そのために，ガス遮断器の小型化や大体ガスの開発が急務となっている。しかしながら，ガス遮断器のさらなる改良には，現在よりもさらに詳細なガス吹付けアークに関する理解が必要である。本論文では，アルゴンアークに対して，7気圧の背圧でSF6およびCO2ガスを吹付け，それぞれのガスがアークに及ぼす影響について調査した。実験の結果，CO2は吹付け開始後45 ms以内にアークを消弧させた。一方，SF6は吹付け開始後75 ms以内にアークを消弧させた。CO2の方がSF6よりも早くアークを消弧した。これは，SF6の吹付け流速がCO2よりも低かったことに起因すると考えている。
6-057	低圧開閉器における繰り返しバウンスアーク発生時の接点溶着力の推移
6-057	◎堀田克輝・稲口隆（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-057 低圧開閉器における繰り返しバウンスアーク発生時の接点溶着力の推移 ◎堀田克輝・稲口隆（三菱電機）開閉器寿命を決める要因の一つである閉極時のバウンスアークによる接点溶着現象について、繰り返しバウンスアークにより消耗した接点の溶着力推移を調査し、接点表面粗さが大きくなるほど単位電極加熱エネルギーあたりの溶着力は低下することを明らかにした。これは、接点表面の凹凸が大きくなることで閉極時の接点接触面積が減少し、バウンスアークで溶融しても対向接点に溶着しない領域が増加するためと考えられる。
6-058	転流回路を備えた開閉機器における接点開離時アークのアークエネルギーと存続時間
6-058	◎石倉智史・渡邉真也（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-058 転流回路を備えた開閉機器における接点開離時アークのアークエネルギーと存続時間 ◎石倉智史・渡邉真也（三菱電機）電機開閉装置に用いられる電気接点は接点開離時に発生するアークとの熱反応で接点表面が損耗，変形し，接触抵抗が増大する問題がある．そこで本研究では，転流回路を備えた場合に生じるアークが接点に及ぼす熱負荷を明確化するため，転流完了するまでに生じるアークのエネルギーと存続時間について評価した．結果として，転流回路の抵抗が大きくなるほど，アーク存続時間が長くなり，発生するアークエネルギーも大きくなる．また，転流回路に発生する電圧降下を最小アーク電圧以下となるように，転流回路の抵抗を選定することで，接点間に発生するアークの存続時間及びアークエネルギーをそれぞれ約0.1ms，約1J 以下に抑えることが可能となる．
6-059	傾斜抵抗値分布を有するヒューズエレメントのアーク発弧の様子と動作過電圧
6-059	◎若宮将・山納康（埼玉大学）電気学会全国大会講演要旨 6-059 傾斜抵抗値分布を有するヒューズエレメントのアーク発弧の様子と動作過電圧 ◎若宮将・山納康（埼玉大学）サブストレートヒューズが立ち上がりの遅い直流電流の遮断においても十分な遮断性能を発揮するために、遮断部の溶断を制御するためにヒューズエレメント内の抵抗値分布に傾斜を持たせると言う処理を考えた。これが有効かを調べるため、抵抗値分布に大小2通りの傾斜を持たせたものと持たせないもので直流遮断試験を行い、遮断性能を比較したところ、適切な傾斜を持たせることができれば、迅速な溶断や急峻で高いアーク電圧の発生により、持たせない場合よりも高い遮断性能が得られるが、傾斜の大きさを誤るとかえってアーク電圧が出なくなる等、遮断に逆効果となってしまうことがわかった。
6-060	SiC-MOSFET型直流用モデル遮断器へのゲート・ソース間電圧2段階低下方式の適用と遮断限界測定
6-060	横水康伸・◎日比野真也・玉尾一真・松村年郎（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-060 SiC-MOSFET型直流用モデル遮断器へのゲート・ソース間電圧2段階低下方式の適用と遮断限界測定横水康伸・◎日比野真也・玉尾一真・松村年郎（名古屋大学）筆者らはSiC-MOSFET型直流用モデル遮断器にゲート・ソース間電圧を2段階で低下させる方式，すなわちTwo-step methodを適用し，その突入電流遮断実験を行った。本実験ではゲート・ソース間電圧を20Vに保ち，遮断時は時定数0.05msで15Vまで高速に低下させた後，時定数5msで0Vまでゆっくりと低下させることで，直流電流を限流遮断する。回路全体のインダクタンス値は0.17,1.4及び4.2mHの3通りとし，モデル器にピーク値が80Aから270Aまでの突入電流の遮断責務を課した。実験の結果，回路インダクタンス値0.17及び4.2mHにおいては，ピーク値220Aの遮断に失敗し遮断限界は200Aとなった。回路インダクタンス値1.4mHでは，遮断限界は260Aと測定された。

A32-C1 電力システム（開閉機器・避雷器）機器監視
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-061	TEV法による現地ノイズ環境下での部分放電高感度センシング手法の検討
6-061	◎藤井祐樹・長広明・中村勇介（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-061 TEV法による現地ノイズ環境下での部分放電高感度センシング手法の検討 ◎藤井祐樹・長広明・中村勇介（東芝）電力機器の絶縁劣化診断技術において、絶縁破壊の予兆現象である部分放電を、筐体壁面への取付けで簡便に計測できる過渡接地電圧（Transient Earth Voltage: TEV）法が広く検討されている。本報告では、当手法によって、現地据付スイッチギヤ盤でのフィールドノイズと、実験室環境下での部分放電信号を計測。その部分放電信号特性から、電磁波由来である数100MHz帯の接地電位変動成分を抽出するとき、フィールドノイズに対して十分なS/N比が得られることを明らかにした。
6-062	SF₆ガスリーク高精度検出アルゴリズムの開発
6-062	○稲波久雄・楯身優・六戸敏昭・廣瀬誠（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-062 SF₆ガスリーク高精度検出アルゴリズムの開発 ○稲波久雄・楯身優・六戸敏昭・廣瀬誠（日立製作所） GISに封止されるSF6のガスリークを検出するため，測定したガス圧力を基準温度のガス圧力に補正し，補正ガス圧力の変化をモニタする方法がある。ガス温度を直接測定できないため，熱流体解析による平均ガス温度の算出方法を前回報告した。本手法では，圧力容器や導体の寸法情報が必要であり，サイト毎に解析する必要がある。本研究では，解析を行わず，実験的に平均ガス温度を算出するアルゴリズムを検討した。算出した平均ガス温度を用いてガス圧力を補正し，アルゴリズムの有用性を検討した結果，本アルゴリズムがタンク表面温度を用いた圧力換算よりも高精度であることを確認した。
6-063	金属筐体中の模擬部分放電による過渡接地電圧信号の伝搬特性における接地影響評価
6-063	◎糸瀬晶彦・古賀嵩章・吉積弘将・小迫雅裕・匹田政幸（九州工業大学）・藤井祐樹・中村勇介・長広明（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-063 金属筐体中の模擬部分放電による過渡接地電圧信号の伝搬特性における接地影響評価 ◎糸瀬晶彦・古賀嵩章・吉積弘将・小迫雅裕・匹田政幸（九州工業大学）・藤井祐樹・中村勇介・長広明（東芝）近年，変圧器等の電力用受変電設備をオンラインで診断するために遠隔監視技術と診断技術の高度化が望まれている。診断技術の手法として機器の絶縁破壊の前駆現象である部分放電（partial discharge: PD）の検出が有用である。このうち機器に容易に取り付けが可能な過渡接地電圧（transient earth voltage: TEV）センサによるPD信号測定技術が注目されており，特に海外で多くの実施例が報告されている。本稿では，変圧器を模擬した金属筐体内にて模擬パルスおよび実PDを発生させてTEV信号を測定し，本稿では、金属筐体への接地線の接続方法の違いによるTEV信号伝搬特性について，実験及びFDTD法を用いた電磁界解析の両面から検討した結果について述べる。
6-064	GIS内部の部分放電発生場所への各種外部センサの出力依存性
6-064	◎浜口真周・木村敬一・村瀬洋（愛知工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-064 GIS内部の部分放電発生場所への各種外部センサの出力依存性 ◎浜口真周・木村敬一・村瀬洋（愛知工業大学）ガス絶縁開閉装置（GIS）の絶縁診断法として、絶縁破壊の前兆現象である部分放電により発生する電磁波の検出が注目されている。本論文は、GIS内部で発生する部分放電の電磁波を、その外部に設置したセンサ（アンテナ）により検出する方法に関する。これまで、信号源に部分放電模擬パルス信号発生器を用いてGIS母線内にパルス波を注入し、薄型曲面スロットアンテナと同軸導波管変換器アンテナという特徴の異なる外部センサ二つを用いて部分放電発生場所への依存性を調査してきた。そこで今回、Book型曲面スロットアンテナを用いて、各種外部センサの部分放電発生場所における出力依存性について比較検討した。本稿では、この結果について報告する。
6-065	バリスタのインバータサージ低減効果と責務
6-065	楠瀬達也・前田隆貴・谷村和也・○石辺信治（津山工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 6-065 バリスタのインバータサージ低減効果と責務楠瀬達也・前田隆貴・谷村和也・○石辺信治（津山工業高等専門学校）インバータ－モータ回路では、パワーデバイスのスイッチングにより、立ち上がりが急峻な電圧がケーブルを伝搬し、モータ端で理論的に2 p.u.の過電圧が生じるが、この過電圧の低減に関する研究報告は殆んど無い。インバータサージは1 shotの電荷量は非常に小さいが数千回／秒〜数万回／秒の頻度で発生するため、バリスタにとって非常に厳しい用途になる。そこで、インバータサージ電圧とバリスタ処理エネルギーの実測と解析を行い、バリスタによるサージ電圧低減の効果と課題について検討したので報告する。
6-066	温度による避雷器劣化診断に関する研究
6-066	◎谷村和也・古谷嘉偉・石辺信治（津山工業高等専門学校）・齋藤弘樹・吉田大輔（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-066 温度による避雷器劣化診断に関する研究 ◎谷村和也・古谷嘉偉・石辺信治（津山工業高等専門学校）・齋藤弘樹・吉田大輔（三菱電機）温度による避雷器劣化診断に関する研究谷村和也＊，古谷嘉偉，石辺信治（津山工業高等専門学校）齋藤弘樹，吉田大輔（三菱電機株式会社） Study on the diagnosis of surge arresters by temperature detection Kazuya Tanimura, Kai Kotani, and Shinji Ishibe (National Institute of Technology, Tsuyama College) Hiroki Saito, and Daisuke Yoshida (Mitsubishi Electric Corp.) 避雷器は劣化により漏れ電流が増加し，温度が上昇する。そのため温度測定により劣化診断が可能であるが，劣化度合いと温度の定量的な関連づけはこれまで殆んど報告がない。本論文は，ポリマー形避雷器の温度による劣化判定法を検討するため，避雷器の温度上昇測定と測定された温度から素子の状態把握を可能とするための解析を実施し，両者を比較したものである。
6-067	変電所の気中断路器無停電点検手法の検討
6-067	○杉本敏文・三宅勝幸・植田俊明（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-067 変電所の気中断路器無停電点検手法の検討 ○杉本敏文・三宅勝幸・植田俊明（中部電力）変電所の気中断路器は構造が簡単で，点検を行いやすい反面，導電部が屋外暴露されているため導電部の過熱異常等が発生しやすいと考えられる。そのため異常発見の都度，点検・手入れのために作業停電が必要となってきているが，急な作業計画は系統運用上，支障を生じる。そこで，無停電で気中断路器の導電部を点検・手入れする手法を検討した。具体的には点検・手入れを地上から絶縁棒を用いて行う手法を検討した。その結果，活線による接触抵抗測定と電動工具を用いた導電部接触面の磨き手入れについて，耐高電界性能を確認したうえで作業性を評価し，77kVクラスの気中断路器での点検・手入れが可能である見込みを得た。

112-C1 電力システム（系統運用・解析）安定度（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-068	新型単独運転検出機能付きPVを対象としたFRTの解列判定時間の違いが過渡安定度に与える影響
6-068	◎小松宏旭・佐野元希・堤謙介・高野浩貴・田岡久雄（福井大学）・坂田知昭（北陸電力）電気学会全国大会講演要旨 6-068 新型単独運転検出機能付きPVを対象としたFRTの解列判定時間の違いが過渡安定度に与える影響 ◎小松宏旭・佐野元希・堤謙介・高野浩貴・田岡久雄（福井大学）・坂田知昭（北陸電力）太陽光発電（PV）のFRT要件では，残電圧20[%]以上において高圧連系PVで0.3[sec]，低圧連系PVで1.0[sec]，事故時に運転継続することが定められている。しかし，新型単独運転検出機能付きPVを考慮した上で過渡安定度に与える影響について十分な検討は行われていない。本研究では，新型単独運転検出機能付きPVを対象にFRT要件における解列判定時間の違いが過渡安定度に与える影響を検討した。その結果，解列判定時間を1.0[sec]とすると，新型単独運転検出機能による過渡安定度の低下はあるものの0.3[sec]の場合よりも過渡安定度が向上した。これより，新型単独運転検出機能付きPVが導入された系統において，高圧連系PVの解列判定時間も1.0[sec]とすることが望ましい。
6-069	電力系統に連系された風力発電機の出力が過渡安定度に与える影響に関する基礎検討
6-069	◎阿部翔太・織原大・飯岡大輔・斎藤浩海（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-069 電力系統に連系された風力発電機の出力が過渡安定度に与える影響に関する基礎検討 ◎阿部翔太・織原大・飯岡大輔・斎藤浩海（東北大学）近年,電力系統において風力発電(Wind Farm:WF)などの再生可能エネルギーの連系量が増加しており,将来的に電力の供給過剰になる可能性がある.この対策の一つとして,再生可能エネルギーの出力制御がある.出力制御の第一の目的は需給バランスを維持することである.一方で,WF の導入量は過渡安定度に影響を及ぼす可能性があると考えられるが,過渡安定度の観点から,どの程度の出力制御が必要であるかについては明らかになっていない.そこで本研究では,電力系統の過渡安定度を損なわないWF の最適な出力制御量を提案することを目標としている.その第一段階として,本稿では臨界故障除去時間の観点から WF の連系量が過渡安定度に及ぼす影響を解析した.
6-070	風力発電の出力変動に伴う電力系統過渡安定度の変化に関する基本的検討
6-070	◎岩舘康熙・織原大・斎藤浩海（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-070 風力発電の出力変動に伴う電力系統過渡安定度の変化に関する基本的検討 ◎岩舘康熙・織原大・斎藤浩海（東北大学）近年の風力発電導入量の増加に伴い、風力発電機を含んだ系統における正確な過渡安定性解析が必要である。従来の風力発電を導入した電力系統における過渡安定性解析では，風力発電の出力が一定となっている状況を想定した検討が多い。しかし，実際には風力発電出力は常に変動しており，それに伴い同期発電機の運転状態も絶えず変化するため，たとえ風力発電の出力が同じであっても、同期発電機の状態が異なるケースは多々存在するものと考えられる。本稿では，系統事故発生時刻近傍における電源の状態および挙動が過渡安定性に与える影響を解析した。その結果，風力発電機出力が等しい場合においても，同期発電機の状態によってCCTが変化した。
6-071	ループ系統における太陽光発電大量導入時の過渡安定度解析
6-071	◎小平哲史・加藤政一（東京電機大学）・尾上幸浩・小野幹典（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-071 ループ系統における太陽光発電大量導入時の過渡安定度解析 ◎小平哲史・加藤政一（東京電機大学）・尾上幸浩・小野幹典（中部電力）日本ではPV導入が期待されており、電力品質への影響が懸念されている。系統事故による瞬時電圧低下時には、PVは系統から脱落する恐れがある。PV脱落による電力品質悪化の対策としてFRT要件が規定されている。FRT要件は主に周波数安定性に対して有効であるが、過渡安定度に対する影響の評価は不十分である。また、低電圧系統の変圧器や送電線等のインピーダンスや中小容量の電源によって、基幹系統での事故による瞬時電圧低下とPVの連系される負荷側の母線電圧の変化は異なる。本研究ではPV大量導入時のPV脱落、FRT要件、発電機出力および容量の調整、二次系統を考慮したループ系統における過渡安定度を解析する。
6-072	太陽光発電のFIT導入量を考慮した場合のFRT継続時間の差異が過渡安定度に与える影響
6-072	○入口毅・定塚剛・駒見慎太郎（北陸電力）電気学会全国大会講演要旨 6-072 太陽光発電のFIT導入量を考慮した場合のFRT継続時間の差異が過渡安定度に与える影響 ○入口毅・定塚剛・駒見慎太郎（北陸電力）太陽光発電（PV）は系統連系規程のFRT要件に準拠したFRT機能を搭載する必要があるが，要件の1つであるFRT継続時間において，高圧連系の値（0.3秒）と低圧連系の値（1.0秒）が異なっている。既にFRT機能をもたないPVとFRT継続時間が0.3秒である高圧連系PVの普及が進んでいることから，2016年3月時点のPV導入量の実績を考慮して，今後普及する高圧連系PVのFRT継続時間が0.3秒または1.0秒とした場合に，その時間の差異が過渡安定度に与える影響について検討した。
6-073	下位系統を考慮した大規模系統における太陽光発電の仮想同期発電機制御による系統安定化効果
6-073	◎野上駿・横山明彦（東京大学）・大部孝・清水浩一郎（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-073 下位系統を考慮した大規模系統における太陽光発電の仮想同期発電機制御による系統安定化効果 ◎野上駿・横山明彦（東京大学）・大部孝・清水浩一郎（関西電力）近年，太陽光発電（Photovoltaic Generation : PV）が大量に系統に導入されており，今後も，益々の増加が見込まれている。しかし，PVは従来の同期発電機と異なり慣性を持たないという特徴がある。そのため系統におけるPV導入比率の増加に伴い，系統全体の慣性が低下し，微小擾乱に対しても，系統の安定運用が損なわれる可能性がある。その対策として，PVのインバータに電力貯蔵装置を付加し，同期発電機の慣性を模擬する仮想同期発電機（Virtual Synchronous Generator : VSG）の研究がなされている。しかし，それらの研究は，基幹系統などの大規模系統での安定化効果については検証がなされていないのが現状である。本稿では，大規模系統として，電気学会西10機系統モデルを用いて，PVのVSG制御の系統安定化効果と，VSGモデル制御に必要な電力貯蔵装置の容量について検討を行う。
6-074	大規模系統における過渡電圧安定度向上に寄与する太陽光発電の最適力率決定手法
6-074	◎大山貴央・野上駿・横山明彦（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-074 大規模系統における過渡電圧安定度向上に寄与する太陽光発電の最適力率決定手法 ◎大山貴央・野上駿・横山明彦（東京大学）太陽光発電(PV：Photovoltaic Generation)が大量導入された電力系統においてPVの有効・無効電力出力による系統の電圧の変化が過渡電圧安定度に大きな影響を及ぼすと考えられており，様々な解析・考察が行われている。本稿では，大規模系統において事故除去後の電圧回復に最適なPV力率を，電気学会西10機系統モデルの下位系統を1負荷無限大母線系統と見立ててシミュレーションを行うことで決定し，それが下位系統の状態によって異なるという結果を得た。

112-C2 電力システム（系統運用・解析）安定度（Ⅱ）
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講演番号	著者名（所属名）
6-075	Robust Power System Security against Uncertainties - Monitoring of Total Transfer Capability
6-075	◎ムハマドアブディラ・餘利野直人・佐々木豊・造賀芳文（広島大学）電気学会全国大会講演要旨 6-075 Robust Power System Security against Uncertainties - Monitoring of Total Transfer Capability ◎ムハマドアブディラ・餘利野直人・佐々木豊・造賀芳文（広島大学） This paper proposes a method to measure a feasible region size of total transfer capability (TTC) under uncertainties in robust power system security, where positive size indicates feasibility, while negative, infeasibility. A six-bus power system model is used to examine the effectiveness of the proposed method. The simulation results show that the proposed method is useful to assess a feasible region of TTC for 24-hour in guaranteeing the security criterion, which is applied to the dynamic economic dispatching problem using DC power flow model.
6-076	内部位相角を考慮した多入力電力安定化装置の評価
6-076	◎大谷侑輝・山口順之（東京理科大学）・定本知徳（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-076 内部位相角を考慮した多入力電力安定化装置の評価 ◎大谷侑輝・山口順之（東京理科大学）・定本知徳（東京工業大学）遠隔地からの送電電力を増大させるための安定度向上技術は，電力輸送設備の有効活用，コスト低減の面から非常に重要である。そのため，電力系統には柔軟・ロバスト性が求められ，より一層安定な系統運用が重要とされている。本研究では，さらなるロバスト性を追求するために発電機の影響に大きく関わる内部位相角と長距離送電に対しての抑制に有効である無効電力を新たな入力とした多入力PSSを提案する。
6-077	模擬送による同期機過渡特性の検討（第2報）
6-077	◎向山信治・宮前翔平・野崎大・上村洋市・鈴木一浩（東芝）・雪田和人・子安拓夫（愛知工業大学）・平松大典（日本電気技術者協会）電気学会全国大会講演要旨 6-077 模擬送による同期機過渡特性の検討（第2報） ◎向山信治・宮前翔平・野崎大・上村洋市・鈴木一浩（東芝）・雪田和人・子安拓夫（愛知工業大学）・平松大典（日本電気技術者協会）同期発電機は，従来から電力用として広く用いられている。近年の単機大容量化はめざましく， 2極1,200,000kVA，4極1,500,000kVAクラスの大容量タ－ビン発電機の製作，国内外へ納入実績が報告されている。一方，発電機の単機大容量化とともに，系統との関係から，安定度に対する評価精度の向上が望まれる。本報告では，過渡安定度について原点に立ちかえり，その解析の適切性を検証するべく，模擬送を用いた試験結果と，過渡現象解析プログラム(ATP-EMTP)による解析を比較・評価した結果を報告する。特に、今回は、解析における有効電力/無効電力の波形について、調速機のモデルを修正することの影響と、その際の解析結果と実測結果との比較検討の注意点について詳しく報告する。
6-078	多地点位相計測データに基づく太陽光発電大量導入に伴う同期化力同定の基礎的検討
6-078	◎寺師純・下釜巧巳・西村直己・植村尚喜・三谷康範（九州工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-078 多地点位相計測データに基づく太陽光発電大量導入に伴う同期化力同定の基礎的検討 ◎寺師純・下釜巧巳・西村直己・植村尚喜・三谷康範（九州工業大学）再生可能エネルギー導入量が急激に増加してきた近年、電力会社によっては太陽光発電が全発電量のおよそ6割を占める場合も発生している。天候依存のため将来的に電力系統の信頼性の低下につながっていくことが心配されている。そこで本研究は電力系統の位相差情報を用いて時々刻々と変化する電力系統をリアルタイムで監視し、状態を的確に把握することで電力系統の経済性、信頼性に貢献することを最終的な目的としている。具体的には位相差と電力の広域動揺成分に着目し、系統全体の慣性、同期化力を把握することで太陽光発電の稼動量の定量的評価方法を提案し、リアルタイムでの監視・制御技術に寄与することを目的としている。
6-079	模擬送による同期機過渡安定度の検討(第3 報)
6-079	◎新實健秀・子安拓夫・田中陽志・雪田和人（愛知工業大学）・向山信治・宮前翔平・野崎大・上村洋市・鈴木一浩（東芝）・平松大典（日本電気技術者協会）電気学会全国大会講演要旨 6-079 模擬送による同期機過渡安定度の検討(第3 報) ◎新實健秀・子安拓夫・田中陽志・雪田和人（愛知工業大学）・向山信治・宮前翔平・野崎大・上村洋市・鈴木一浩（東芝）・平松大典（日本電気技術者協会）発電機の単機大容量化とともに，系統との関係から，安定度に対する評価精度の向上が望まれる。そのため，我々は，3kVA の小容量模擬送を用いて，発電機の抵抗成分などを考慮することで，大容量機挙動を模擬し，その過渡時挙動の測定結果により，過渡現象解析プログラム(ATP-EMTP)による解析の検証を行ってきた。本報告では，その次のステップとして過渡現象時の自動電圧調整器AVR の発電機挙動への影響について，ATP-EMTPによる解析結果を，模擬送により検証した結果を報告する。
6-080	広域減衰制御器の通信遅延が電力系統安定度に及ぼす影響に関する基礎検討
6-080	◎潮崎祐亮・山口順之（東京理科大学）・定本知徳（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-080 広域減衰制御器の通信遅延が電力系統安定度に及ぼす影響に関する基礎検討 ◎潮崎祐亮・山口順之（東京理科大学）・定本知徳（東京工業大学）電力系統の広域運用の拡大により，電力系統間で発生する0.3〜0.5Hzの長周期の電力動揺の抑制が解決すべき課題である。この動揺は，主同期機の有効電力偏差を入力とする電力安定化装置の出力を励磁系に入力するだけでは効率よく減衰することが困難である。そこで，広域信号を入力とした広域減衰制御器WADCの設計が海外で研究されており，このWADCの出力を励磁系に入力することによって，長周期電力動揺を効率よく減衰することが期待できる。しかし，広域信号はリモート信号であるため，通信遅延が生じ，WADCのダンピング性能を悪化させる可能性がある。本研究では，WADC付き電力系統の数値モデルを構築し，電気学会EAST30機系統モデルを用いて通信遅延の影響評価を行う。
6-081	過渡安定度および電圧安定性と潮流状態の関係に関する検討
6-081	◎吉牟田銀二・新谷和也・餘利野直人・造賀芳文・佐々木豊（広島大学）・杉原弘章（中国電力）電気学会全国大会講演要旨 6-081 過渡安定度および電圧安定性と潮流状態の関係に関する検討 ◎吉牟田銀二・新谷和也・餘利野直人・造賀芳文・佐々木豊（広島大学）・杉原弘章（中国電力）電力系統は常に雷などの外乱にさらされており，多数の想定故障を考慮して系統の安定度を高精度に解析する必要がある。安定度には主に，過渡安定度と電圧安定性がある。我々はこれまでに，新しい過渡安定度解析手法として，系統の安定限界に相当する動揺方程式の解を計算し，臨界故障除去時間（CCT）を直接的に求める臨界トラジェクトリー法を提案してきた。CCTは系統故障の除去後，再び安定な運用状態に戻ることができる限界の故障除去時間であり過渡安定度評価に有効な指標である。本論文では，系統潮流状態に対する過渡安定度と電圧安定性について，提案する臨界トラジェクトリー法と連続潮流計算法を用いて安定性余裕を比較した結果を報告する。

112-C3 電力システム（系統運用・解析）安定度（Ⅲ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-082	自励式AVRの励磁電力が同期安定性に与える効果に関する基礎検討
6-082	◎大澤裕輝・坂本織江・仁田旦三（上智大学）電気学会全国大会講演要旨 6-082 自励式AVRの励磁電力が同期安定性に与える効果に関する基礎検討 ◎大澤裕輝・坂本織江・仁田旦三（上智大学）超速応型超電導発電機において，系統事故時に自励式AVRの励磁制御に伴い発電機端子から界磁巻線に流れ込むエネルギーが，同期安定性を向上させる効果を持つことが確認されている。この安定度向上効果は超電導発電機の場合に大きいと考えられているが，自励式AVRを有する超電導ではない従来の同期発電機においても励磁電力が同様に変化するので，励磁機の容量や系統内の設置点によって安定度向上効果をもつことが期待される。本稿では，従来機の励磁電力の効果に関する1機無限大母線系統の線形化モデルに基づく基礎検討の結果と，効果の規模の目安として文献の発電機と励磁機の諸量を用いて求めた界磁巻線の貯蔵エネルギーの試算結果を報告する。
6-083	超電導発電機と現用機の並行運転時の過渡安定性に関するXTAPによる基礎検討
6-083	◎加藤玲子・坂本織江（上智大学）電気学会全国大会講演要旨 6-083 超電導発電機と現用機の並行運転時の過渡安定性に関するXTAPによる基礎検討 ◎加藤玲子・坂本織江（上智大学）近年再生可能エネルギーの導入や電力自由化等の改革によってさまざまな電源が用いられ、電力系統運用の不確実性が高まる現状において、系統内において高効率かつ安定性の高い電源が求められる。超電導発電機は現用機と比較し系統に対し同期安定性の向上、電圧変動率の低減、進相運転領域の拡大等の利点があり、現用機を超電導発電機に置き換えることで系統の安定性が向上し、運転可能範囲が拡大すると考えられる。本稿では電力系統瞬時値解析プログラムXTAPで作成した低速応型超電導発電機のモデルと現用機を含む二機無限大母線系統モデルを作成し、超電導発電機と現用機の並行運転に関する基礎的な検討を行った結果を報告する。
6-084	過渡安定性向上のためのエネルギー関数に基づく発電機励磁制御手法の検討
6-084	◎増田宗紀・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-084 過渡安定性向上のためのエネルギー関数に基づく発電機励磁制御手法の検討 ◎増田宗紀・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学）電力系統において，再生可能エネルギーの大量導入が進んでいる。これに伴い，電力系統運用における事前の潮流状態の把握が難しくなると予想され，想定外の運用状態で系統事故に直面した場合には，既存の安定化技術だけでは電力系統の安定運転を損なう恐れがある。一方で，近年，PMU（Phasor Measurement Unit）を適用した広域情報計測技術の開発が国内外で研究されており，リアルタイムでの系統状態の把握が可能になると期待される。そこで本論文では、広域リアルタイム情報を利用した新たな発電機励磁制御手法の基礎理論を提案する。提案理論では，エネルギー関数の早期減衰を制御指標とすることで，電力系統の過渡安定性の安定化を目指す
6-085	特定動揺モードにおける同期化力・制動力係数推定による簡易的安定度解析手法
6-085	◎宮崎駿・横山明彦（東京大学）・スレシチャンドヴァルマ・栄田真吾（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-085 特定動揺モードにおける同期化力・制動力係数推定による簡易的安定度解析手法 ◎宮崎駿・横山明彦（東京大学）・スレシチャンドヴァルマ・栄田真吾（中部電力）近年，日本では環境問題や原子力発電に代わる新たな電力供給源の必要により，再生可能エネルギーによる発電が推進されている。しかし，再生可能エネルギー発電の多くは従来型の同期発電機と異なる点が多く，系統に大量導入された場合に系統の安定度が悪化すると予想されている。そのため，系統の安定度を監視することはより重要になってくるが，従来の安定度解析手法である固有値解析は計算量が多く，また発電機の内部情報が必要となる。そこで，PMUなどの計測装置によるリアルタイムでの広域計測データから，より簡便に安定度を推定する手法が重要になってくると考えられる。本稿では，一つの動揺モードに注目し，更に系統を動揺の位相によってエリアに分けることで，簡易的に同期化力・制動力係数の推定を行い，その推定係数を用いて簡易的な安定度推定を行った結果について述べる。
6-086	再生可能エネルギー大量導入時の過渡安定度評価指標－WEST10機系統における基礎検討－
6-086	◎白崎圭亮・天野博之（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-086 再生可能エネルギー大量導入時の過渡安定度評価指標－WEST10機系統における基礎検討－ ◎白崎圭亮・天野博之（電力中央研究所）再エネ導入可能量の検討は主に需給バランスの面から行われることが多いが，欧米諸国では需給バランスだけでなく系統事故時の系統安定性（主に過渡安定度，周波数安定性）を含め多面的な評価への取り組みが為されている。一方で，過渡安定度や周波数安定性を対象とした場合，再エネ導入量増加に対する系統条件の変化パターンが多く存在するため解析パラメータも増大し，それらが解析結果へ複雑に影響する。そこで，本研究では再エネ導入量増加に対する過渡安定度の推移を概略的に把握可能とする評価指標「発電機停止率α」について検討した。その結果，過渡安定度は再エネ導入量だけでなく発電機停止率にも依存し，発電機停止率αを用いて再エネ導入前に比しての過渡安定度を概略的に把握できる可能性を示した。
6-087	位相・潮流情報を用いたP-δ曲線描画によるローカル系統安定度評価
6-087	◎西村直己・渡邊政幸・三谷康範（九州工業大学）・大部孝・法京聖士（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-087 位相・潮流情報を用いたP-δ曲線描画によるローカル系統安定度評価 ◎西村直己・渡邊政幸・三谷康範（九州工業大学）・大部孝・法京聖士（関西電力）時々刻々と変化する電力系統状態を的確に把握し，その変化に柔軟に対応できる系統運用が必要となってきている。GPS（Global Positioning System）を用いた時刻同期機能を備えた位相計測装置PMU（Phasor Measurement Unit）により，電力系統における位相情報を得ることができるようになった。また，電力会社において発電所・変電所等に設置して多地点の位相や電力などの各種データが収集されるケースも増えてきており，同期計測データに基づいて系統の特性を監視するための準備が整ってきている。本研究では、中間負荷による安定度への影響度をP-δ曲線上で示し，現在の各系統状態に対応した P-δ曲線を描くことで安定度を視覚的に把握することを目的としている。
6-088	N波脱調を考慮した個別時間領域等面積法を用いた過渡安定度スクリーニング
6-088	◎佐藤吾子・岩本伸一（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-088 N波脱調を考慮した個別時間領域等面積法を用いた過渡安定度スクリーニング ◎佐藤吾子・岩本伸一（早稲田大学）近年、電力自由化や再生可能エネルギーの大量導入により、電力系統は大規模化・複雑化している。また日本の系統のような串型系統においてはN波脱調を考慮する必要もある。電力系統においては高速かつ正確な過渡安定度計算が重要となるが、想定される全ケースについての計算には膨大な時間がかかる。そこで本稿ではN波脱調を考慮した危険事故スクリーニングを行うことを目的とする。解析手法としては、発電機ごとに計算を行う個別時間領域等面積法を提案する。指標としては、加速エネルギー面積と慣性定数を用いた値を提案する。EAST10機47母線系統において、提案指標による危険事故のランキングを作成することでその有効性を確認する。
6-089	N波脱調に対する過渡安定度安定判別手法におけるロジスティック回帰分析の適用
6-089	◎小栁唯・岩本伸一（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-089 N波脱調に対する過渡安定度安定判別手法におけるロジスティック回帰分析の適用 ◎小栁唯・岩本伸一（早稲田大学）近年日本では、再生可能エネルギーの導入により電力系統の大規模・複雑化が進んでいる。そのため、電力供給の安定性を評価する過渡安定度解析の重要性がより一層高まってきており、様々な事故ケースを考慮した高速かつ高精度のシミュレーションモデルが求められている。一方で情報システムの発展により、発電機データをオンラインでよりリアルタイムに入手できるようになっている。本稿では、非線形回帰分析の一つであるロジスティック回帰分析を用いて、N波脱調に対する高速な過渡安定度安定判別手法を提案する。さらに、提案法の有効性を確認するためにシミュレーションを行ない、N波脱調に対して高速な事故検出が行えることを確認する。

112-B1 電力システム（系統運用・解析）系統解析
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-090	模擬系統連系試験に対応した仮想同期発電機モデルの開発（その1）
6-090	◎栄田真吾・浅野充俊・杉本重幸・ヴァルマスレシチャンド（中部電力）・宇田涼介・黒田憲一（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-090 模擬系統連系試験に対応した仮想同期発電機モデルの開発（その1） ◎栄田真吾・浅野充俊・杉本重幸・ヴァルマスレシチャンド（中部電力）・宇田涼介・黒田憲一（三菱電機）太陽光発電のようなインバータを用いた分散電源が大量に導入された場合は，電力系統内の同期発電機の並列台数が減少することが想定され，同期化力が低下することで系統安定度の維持が困難になると考えられる。今回，太陽光発電大量導入時の同期化力，制動力等の低下に対する系統安定度維持対策として仮想同期発電機の適用効果を確認するため，模擬送電線設備との連系試験が可能な仮想同期発電機モデルを開発し，模擬送を用いて各種検証試験を行うこととした。本稿では，開発した仮想同期発電機モデルの制御方式の概要を示し，シミュレーションによる制御方式の検証結果について報告する。
6-091	模擬系統連系試験に対応した仮想同期発電機モデルの開発（その2）
6-091	栄田真吾・浅野充俊・○杉本重幸・ヴァルマスレシチャンド（中部電力）・宇田涼介・黒田憲一（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-091 模擬系統連系試験に対応した仮想同期発電機モデルの開発（その2）栄田真吾・浅野充俊・○杉本重幸・ヴァルマスレシチャンド（中部電力）・宇田涼介・黒田憲一（三菱電機）太陽光発電のようなインバータを用いた分散電源が大量に導入された場合は，電力系統内の同期発電機の並列台数が減少することが想定され，同期化力が低下することで系統安定度の維持が困難になると考えられ，その対策として様々な研究が実施されている。今回，太陽光発電大量導入時の同期化力，制動力等の低下に対する系統安定度維持対策として仮想同期発電機の適用効果を確認するため，模擬送電線設備との連系試験が可能な仮想同期発電機モデルを開発し，模擬送を用いて各種検証試験を行うこととした。本稿では，仮想同期発電機モデルを設計・製作し，模擬送で基本機能確認試験を実施した結果について報告する。
6-092	洞道布設ケーブルの零相循環電流解析手法の検証
6-092	○伊藤英一・三澤和広・白崎隆・千田卓二（東北電力）・田中洋平・野田琢（電力中央研究所）・関場陽一（電力計算センター）電気学会全国大会講演要旨 6-092 洞道布設ケーブルの零相循環電流解析手法の検証 ○伊藤英一・三澤和広・白崎隆・千田卓二（東北電力）・田中洋平・野田琢（電力中央研究所）・関場陽一（電力計算センター）零相循環電流解析で，架空線や管路布設の地中ケーブルには標準モデルがある。しかし，洞道布設ケーブルには標準モデルがないため，著者らは精度良く解析できる標準モデルを開発した。本稿では，零相循環電流を実測し，開発モデルによる解析と対比して，検証を行ったので，概要を報告する。
6-093	小水力発電大量導入時の系統解析技術
6-093	◎平井涼介（芝浦工業大学）・船田鉄朗・竹本泰敏（日本工業大学）・藤田吾郎（芝浦工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-093 小水力発電大量導入時の系統解析技術 ◎平井涼介（芝浦工業大学）・船田鉄朗・竹本泰敏（日本工業大学）・藤田吾郎（芝浦工業大学）近年,地球温暖化をはじめとする環境問題の深刻化が問題視されている．このため,電力供給においても低環境負荷である,太陽光や風力,水力などの再生可能エネルギーを用いた発電システムの導入が進んでいる．また,水力発電は,エネルギー源が太陽光のエネルギーや風力と比較すると比較的安定しているため,発電時の出力変動も太陽光発電,風力発電と比較すると安定性が期待できる．なかでも出力が1000[kW]以下の小水力発電は，小規模な施設で済むので導入しやすいことや，まだまだ未開発な地点が多く存在し，開発余力があることから今後の導入拡大が期待されている．本稿では,小水力発電の導入拡大時に課題となる系統並列時の電気的特性および導入可能量を明らかにすることを目的とする．
6-094	産業用電力系統における発電機過励磁制限の動作特性と電圧回復性
6-094	◎原田友保・渡邊政幸・三谷康範（九州工業大学）・壹岐浩幸（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-094 産業用電力系統における発電機過励磁制限の動作特性と電圧回復性 ◎原田友保・渡邊政幸・三谷康範（九州工業大学）・壹岐浩幸（富士電機）産業用電力系統では，瞬時電圧低下（瞬低）等の事故後に電力系統から切り離して自立運転へ移行することがある。瞬低後の再始動に必要な無効電力を供給するために，発電機には一時的に定格容量を超える励磁電流が生じる。しかし，発電機励磁装置には過励磁制限装置（OEL）が設けられ，励磁巻線の温度が許容値を超えないように励磁電流を制限する。また一般にOELの動作条件はANSI等で規定される巻線耐量よりマージンを持って動作させる。よってOELのマージン設定によっては十分な無効電力供給ができず，電圧回復失敗に陥る恐れがある。そこで本稿では電圧回復性を考慮したOELの動作特性の設定手法を提案している。
6-095	電力系統の誘導機負荷パラメータ同定方法の改善
6-095	駒見慎太郎・○山田誠司（北陸電力）電気学会全国大会講演要旨 6-095 電力系統の誘導機負荷パラメータ同定方法の改善駒見慎太郎・○山田誠司（北陸電力）著者らのこれまでのパラメータ同定手法の欠点を紹介し，その対策を提案した。電圧実効値を求める方法の改善，および同定不能を避けるための手順変更である。電圧実効値を求める手法の変更による同定結果の変化は少なかった。だが手順の変更の影響は大きく，同定不能となるケースは皆無となった。 REの普及が進んでいるM地域において，22％以下の浅い瞬低により負の負荷停止率が現れることが注目される。これは風力発電に適切なFRT機能が普及していないことによる。
6-096	インターネットを利用したPHILにおけるデータ処理時間に関する一検討
6-096	◎玉越祐作・栗本宗明・真鍋勇介・舟橋俊久・加藤丈佳（名古屋大学）・光成真・青木睦（名古屋工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-096 インターネットを利用したPHILにおけるデータ処理時間に関する一検討 ◎玉越祐作・栗本宗明・真鍋勇介・舟橋俊久・加藤丈佳（名古屋大学）・光成真・青木睦（名古屋工業大学）電力機器の新しい制御手法等を実機にて試験するため、電力系統を実時間で演算できるリアルタイムシミュレータ(以下 RTS)にアンプを介して実機を接続するPHIL (Power hardware in-the-loop)テストシステムが用いられる。これに対し、RTSとは別の場所に設置された実機を、インターネットを介して接続できれば、さらに多くの実機を用いた試験を行うことができる。本報では、そのための第一段階として、名古屋工業大学(名工大)のRTSと名古屋大学(名大)の負荷設備とをインターネットを介して接続したPHILの実験環境について、その基礎的な実験結果について述べる。

112-A4 電力システム（系統運用・解析）系統計画
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-097	太陽光発電連系時の過渡安定度の面からみた二次電池の設置点の決定手法
6-097	◎犬飼良佑・小出明（富山大学）・河辺賢一（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-097 太陽光発電連系時の過渡安定度の面からみた二次電池の設置点の決定手法 ◎犬飼良佑・小出明（富山大学）・河辺賢一（東京工業大学）近年，地球温暖化ガスの削減，資源枯渇問題への対応の観点から太陽光発電システム(以下，PV)などの再生可能エネルギーの導入が進められている。中でもPVは再生可能エネルギー固定価格買取制度の施行に伴い導入量が急増している。しかし，PVの大量連系は電力系統の過渡安定度に悪影響を与える可能性があり，供給信頼度の悪化が懸念される。著者らは，これまで過渡安定度向上を目的として系統用の二次電池の活用方法を研究してきた。本稿では過渡安定度向上を目的として，二次電池の設置点の決定手法について検討した。本稿は，その結果を報告する。
6-098	低炭素電源100％の最適電源構成の実現可能性に関する検討
6-098	◎住吉宏章・小宮山涼一・藤井康正（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-098 低炭素電源100％の最適電源構成の実現可能性に関する検討 ◎住吉宏章・小宮山涼一・藤井康正（東京大学） COP21のパリ協定において、世界の平均気温上昇を産業革命前から2度未満に抑える目標が掲げられ、世界全体で低炭素社会を目指す機運が高まる。そのため、日本においても将来の低炭素あるいはゼロエミッションを達成した場合の検討が必要であると考えられる。本研究では、高い時間的解像度と地理的解像度を有し、日本全国の基幹系統を対象に電源運用を最適化することが可能な最適電源構成モデルを用いて、上記の状況を検討する。具体的には、火力発電を考慮する通常のケースと、火力発電を全て除き低炭素電源のみで構成されたケースとを比較することで、発電構成や地域間融通、送電容量の特徴にどのような影響が及ぼされるかを検討する。
6-099	定態安定性・過渡安定性を考慮したグリーンフィールドでの最適な送電系統の設計
6-099	◎伊藤夏・横山明彦（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-099 定態安定性・過渡安定性を考慮したグリーンフィールドでの最適な送電系統の設計 ◎伊藤夏・横山明彦（東京大学）昨今の再生可能エネルギー導入の機運の高まり，電力小売自由化などにより，電力系統は今後複雑化すると予想される。このような背景においても，電力の安定供給が求められ，電力系統の設計手法はより一層重要度を増している。本研究ではまず最も導入的な題材として，送電網が無いグリーンフィールドにおける送電網設計を行う。定態安定度制約や過渡安定度制約などの諸制約条件下でコスト最小となる送電系統の設計及び，これらの諸制約条件が送電系統設計に与える影響の考察が本研究の目的である。
6-100	複数の目的に対応した発電機定期補修計画手法の開発
6-100	○林巨己・近藤英幸・飯坂達也・勝野徹・鈴木立夫（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-100 複数の目的に対応した発電機定期補修計画手法の開発 ○林巨己・近藤英幸・飯坂達也・勝野徹・鈴木立夫（富士電機）近年，電力システム改革の進展に伴って新電力が増加している。新電力が所有する発電機は多様であり，またその形態によって目的関数も異なったものになると考えられる。そこで今回，様々な発電機に対応でき，かつ複数の目的関数に対応可能な発電機定期補修計画手法を開発した。開発手法の有効性を確認するため，独立発電会社を想定した経済性の評価を行った。その結果，開発手法は妥当な計画が立案できることを確認した。
6-101	SVR設置台数の削減に向けた一考察
6-101	◎高橋良太・瀬戸寿之（東北電力）電気学会全国大会講演要旨 6-101 SVR設置台数の削減に向けた一考察 ◎高橋良太・瀬戸寿之（東北電力）人口動態の変化による需要減少や再生可能エネルギーに起因した逆潮流の増加といった環境変化を受け，送配電事業者は既設の配電設備を見直し，合理的な設備形成の実現を目指していくことが求められている。そこで，本研究では，当社が使用している潮流計算を用いて，線路用自動電圧調整装置（以下，SVR）の台数削減に向けた業務フローを考案した。考案した業務フローを検証系統に適用した結果，当該SVRが削減できるという結論に至った。
6-102	再生可能エネルギー導入時の電力需要減少を考慮した変電所縮小計画に関する一考察
6-102	◎永川恭州・岩本伸一（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-102 再生可能エネルギー導入時の電力需要減少を考慮した変電所縮小計画に関する一考察 ◎永川恭州・岩本伸一（早稲田大学）近年、再生可能エネルギー導入量の増加、及び少子高齢化の急速な進展に伴う電力需要の減少が予期されており、将来的に電力系統において不要な変圧器の発生が懸念される。したがって、経済的な設備更新・増強を行う上で、今後変電所の縮小化が不可欠といえる。そこで本稿では、電気学会EAST10機47母線系統を用いて、再生可能エネルギーによる負荷変動を考慮した上で、10年間の変電所縮小計画をいかに遂行するかの手法を提案する。計画を立てるにあたって、変電所の縮小前後の燃料費と変圧器撤去費を用いた評価値を開発する。提案法を用いることにより、変圧器撤去に成功し、10年間の総燃料費を抑えることができ、本手法の有用性を確認した。
6-103	原発縮小に向けた最適電源構成モデルに関する研究
6-103	◎松原智大・長坂研（東京農工大学）電気学会全国大会講演要旨 6-103 原発縮小に向けた最適電源構成モデルに関する研究 ◎松原智大・長坂研（東京農工大学） 2011年の福島第一原子力発電所の事故により今後の電源構成を原発依存度が可能な限り低減した構成にする必要が出てきた．そこで，原子力発電の供給量を縮小させた際の2030年の再生可能エネルギーも含む最適電源構成モデルの構築を本研究の目的とした．本研究では，電源構成モデルに各電源の出力特性を考慮するために2030年の年間電力需要持続曲線を作製した．また，作製した曲線をもとに電力事業連合会が定めた2030年度の二酸化炭素排出量を満たしつつ，発電コストが最小となる2030年の電源構成モデルの構築を行った．その結果，原発供給量を0にした場合，2030年度の二酸化炭素排出量の目標値を維持するためには再生可能エネルギーの設備容量を最大にする必要があった．

C22-A1 電力システム（系統運用・解析）需給計画（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-104	発電機起動停止計画を考慮した連系線の価値に関する一検討
6-104	◎桑原卓也・山口順之（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-104 発電機起動停止計画を考慮した連系線の価値に関する一検討 ◎桑原卓也・山口順之（東京理科大学）電力系統における大規模電源の事故時などの応援融通や、広域的な経済性の向上のために、連系線の運用容量の検討は大変重要である。本研究では、東日本の3エリア北海道、東北、東京エリアを想定し、ユニットコミットメントを混合整数線形計画法で解き、その後、線形計画法を適用しシャドープライスを求める。使用した発電機は火力発電、水力発電、太陽光発電、風力発電である。北海道-東北間、東北-関東間の連系線の容量を変化させ、需給バランス制約と連系線の容量制約に対するシャドープライスの変化を見ることで連系線の価値評価を行った。結果として、連系線により複数エリアでの経済性が向上していることが分かった。
6-105	蓄電池と揚水発電機による調整力確保の発電機起動停止計画モデルに基づく経済性比較
6-105	◎神山修平・赤塚元軌（苫小牧工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 6-105 蓄電池と揚水発電機による調整力確保の発電機起動停止計画モデルに基づく経済性比較 ◎神山修平・赤塚元軌（苫小牧工業高等専門学校）近年，再生可能エネルギー電源の導入量が急速に増加しつつあるが，これらの出力は変動や予測誤差を伴うため，将来的には需給バランス維持に必要な調整力の増大が予想される。さらに，軽負荷期の正午付近に残余需要の減少により調整力不足に陥る可能性がある。その対策として，揚水発電の動力運転が既に行われているが，近年技術開発が活発な蓄電池による充電運転でも同様な効果が期待できる。蓄電池は導入コストが高いものの，短期間で導入可能，応答性に優れる，急速な充放電の切り替えが可能といったメリットを持つ。そこで本研究では，揚水発電を蓄電池に置き換えた場合の運用を発電機起動停止計画問題によってモデル化し，シミュレーションを実施することで，経済性比較を行うことを目的とする。
6-106	日本における揚水発電のSystem Value
6-106	○荻本和彦・片岡和人・占部千由・斎藤哲夫（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-106 日本における揚水発電のSystem Value ○荻本和彦・片岡和人・占部千由・斎藤哲夫（東京大学）我が国の揚水発電所のSystem Valueの分析を行い、電力システムの安定運用に必要となる周波数制御領域、ramp領域の柔軟性の制約条件とその供給方法を変えて、出力が天気、時間により変動するPV、風力発電の導入の二つのシナリオにおける揚水発電所の有無による需給解析に基づき、システム全体の費用の差から、System Valueを算出し、現行の市場を想定した揚水発電所の収支と比較した。その結果、揚水発電所が大きなSystem Valueを持つこと、この価値はスポットエネルギーの取引では個別の発電所の収入に反映されないことが示された。
6-107	雨量計閉局時の冬期ダム残流予測モデル構築手法
6-107	◎長田悠人・飯坂達也（富士電機）・佐藤吉行・江川敏久・松本光裕（東北電力）電気学会全国大会講演要旨 6-107 雨量計閉局時の冬期ダム残流予測モデル構築手法 ◎長田悠人・飯坂達也（富士電機）・佐藤吉行・江川敏久・松本光裕（東北電力）電力会社の発電用ダムでは，出水時のゲート操作及び平水時の発電計画立案のため，残流と呼ばれる上流ダム放流量を除いた流入量予測が必須となる。従来は雨量実績で予測モデルを学習していたが，降雪により雨量計が閉局になる冬期は予測モデルが構築できない問題があった。本稿では，冬期に降雪により閉局する雨量計の代わりに気象予報データを用いて学習し，予測モデルを構築する手法を提案する。東北電力の只見・阿賀野川水系を対象とし，シミュレーションにて予測誤差の評価を行い，夏期と同程度の精度で残流予測が可能であることを確認した。
6-108	積雪融雪を考慮したダム流入量推定
6-108	○秦幸一郎・山口忠徳・ヴァルマスレシチャンド（中部電力）・安部智彦・臼井友秀（日本気象協会）電気学会全国大会講演要旨 6-108 積雪融雪を考慮したダム流入量推定 ○秦幸一郎・山口忠徳・ヴァルマスレシチャンド（中部電力）・安部智彦・臼井友秀（日本気象協会）当社が水力発電用ダムを運用する飛騨川水系では、春先〜初夏にかけての出水には降雨だけでなく融雪が大きく影響しており、効率的なダムの運用を行うためには、融雪を含んだ出水量を精度良く推定する技術が望まれている。本研究では飛騨川水系において、出水量を予測する手法として「積雪」「融雪」「流入」の過程を模擬したモデルを検討・作成し、ダム流入量について計算値と実測値を比較して実用性の評価を行った。その結果、計算値が融雪全期間および出水事例のダム流入量を良好に再現していることを確認し、今回作成したモデルが融雪を含んだ出水予測として有効な手法であることを確認した。
6-109	電気自動車をアンシラリーサービスとして考慮した最適電源構成の分析
6-109	◎吉岡七海・藤井康正・小宮山涼一（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-109 電気自動車をアンシラリーサービスとして考慮した最適電源構成の分析 ◎吉岡七海・藤井康正・小宮山涼一（東京大学）近年、地球温暖化問題への関心の高まりから様々な分野において社会の低炭素化や省エネに向けた取り組みがなされている。電気自動車(Electric Vehicle: EV)の開発もそれらの取り組みの一つであり、日本の温室効果ガス排出量のうち約2割を占める輸送部門からの排出量削減に加え、EVに搭載されたバッテリーを電力系統の安定化のために利用するVehicle-to-Gridも期待されている。本稿はEVのアンシラリーサービスとしての価値を評価することを目的とし、平成17年度道路交通センサスより得られた乗用車の10分値での走行パターンを用いて、関東圏を対象とした2012年7月9日から同年7月15日までの1週間の最適電源構成の計算と分析を行った。
6-110	水素製造装置の導入可能性検討
6-110	○三谷崇・小田拓也・ムハンマッドアズイッズ・上辻敦揮・渡辺陽子・柏木孝夫（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-110 水素製造装置の導入可能性検討 ○三谷崇・小田拓也・ムハンマッドアズイッズ・上辻敦揮・渡辺陽子・柏木孝夫（東京工業大学） RESの増大にともない電力の安定供給の観点から電力会社がRESの接続可能量が発表されているが、接続可能量を超えてRESを導入するためには、余剰となる電力の蓄電可能な設備の導入・運用が重要な課題となる。本研究では余剰電力を貯蔵する設備として水素貯蔵を考える。また、余剰電力を把握するために、様々な電源の機械的制約および電力系統の安定運用のための制約を考慮し、運転コストが最小となる火力発電機の運用を策定する。本研究は、最適な電源運用計画で発生する余剰電力を水素変換貯蔵し、また蓄えられた水素を火力発電機で混焼することを想定した上で、適切な水素変換装置容量およびタンクサイズを算出することを目的とする。

C22-A2 電力システム（系統運用・解析）需給計画（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-111	翌々日の自然変動電源の発電予測値を用いた発電機起動停止計画による供給予備力の分析
6-111	◎泉田悠貴（東京大学）・浅野浩志・坂東茂（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-111 翌々日の自然変動電源の発電予測値を用いた発電機起動停止計画による供給予備力の分析 ◎泉田悠貴（東京大学）・浅野浩志・坂東茂（電力中央研究所）本研究では、太陽光発電を5,000MW，風力発電を2,000MWとする東北電力管内をモデル系統として、翌々日の自然変動電源の予測値を用いた発電機起動停止計画とEDCモデルによって供給予備力の不足について分析を行う。発電機起動停止計画の外生変数として使用する自然変動電源の予測値は、過去の気象実績データと予測データを用いて導出する。また、発電機起動停止計画によって得られた火力機、揚水機の運転状態変数と自然変動電源の発電実績値を外生変数としたEDCモデルを構築し、供給予備力の不足について分析を行う。その結果、約2,100MW、約25,000MWhの蓄電池を導入することによって、自然変動電源の予測誤差による供給予備力の不足を補償できることがわかった。
6-112	電力品質を考慮した再生可能電源の経済性および環境性評価
6-112	◎松本郁哉・加藤政一（東京電機大学）電気学会全国大会講演要旨 6-112 電力品質を考慮した再生可能電源の経済性および環境性評価 ◎松本郁哉・加藤政一（東京電機大学）再生可能電源（RES）の発電出力は気象により変動するため、電力品質を悪化させる要因となる。このため、RES導入の際は、電力品質維持対策が必要となる。また、RESの導入、及び電力品質維持対策によって、主にRESを導入した発電事業者、電気事業者、需要家に利害が発生する。RES導入を進めていくためには、社会全体での利害の合計が利益となることが好ましい。また、その利益が大きいほど好ましい。そこで、筆者らは電力品質維持対策を考慮して、RESを経済性と環境性の二つの面からを評価することによって、RESの総合的な評価を行ってきている。その結果、対策を考慮しても、RESには経済性及び環境性メリットがあることが確認できた。
6-113	再エネ変動電源による残余需要の変動しわと調整用電源の起動停止（その1）
6-113	○品田浩一郎・千田卓二（東北電力）・豊田淳一（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-113 再エネ変動電源による残余需要の変動しわと調整用電源の起動停止（その1） ○品田浩一郎・千田卓二（東北電力）・豊田淳一（東北大学）太陽光や風力を利用する再エネ変動電源は気象条件により出力が不確定に変動するため，調整用火力の起動停止の頻度や稼働率の課題がある。これまで，全天日射量，風速を利用して再エネ変動電源のモデルを構築して調整用電源の起動停止回数を分析してきた。本報告では，ウィンドファームの6年間の実データを用いて調整用電源の起動停止分析を行った。
6-114	再エネ変動電源による残余需要の変動しわと調整用電源の起動停止（その2）
6-114	○豊田淳一（東北大学）・品田浩一郎・千田卓二（東北電力）電気学会全国大会講演要旨 6-114 再エネ変動電源による残余需要の変動しわと調整用電源の起動停止（その2） ○豊田淳一（東北大学）・品田浩一郎・千田卓二（東北電力）起動停止分析に(その1)で紹介している風力ファームの実績値を利用したとき、これまで用いていた単一地点(深浦・風速ベース)モデルを利用したときに比べて、調整用火力機の起動停止回数が大幅に少なくなるという分析結果を得ている。本報告では、(1)異なる風力モデルの（出力、頻度）分布特性から検討した結果と(2)起動停止に及ぼすベース電源の容量の関連について報告する。電力需要と気象データについては、(その1)と同様に2009年度から2014年度に至る6年間にわたる実データを用いている。風力モデルとしては、図1に示す通り、実ファームモデル、模擬ファームモデル、単一地点モデル（これまでの分析に利用）の三種類を検討している。
6-115	電力自由化に対応する発電計画最適化システムの開発
6-115	◎桑原あゆみ・渡邊経夫・橋本篤尚・清水佳子（東芝）・上野邦明・中山英・森田啓介・丹羽雄紀（東京電力F&P）電気学会全国大会講演要旨 6-115 電力自由化に対応する発電計画最適化システムの開発 ◎桑原あゆみ・渡邊経夫・橋本篤尚・清水佳子（東芝）・上野邦明・中山英・森田啓介・丹羽雄紀（東京電力F&P）電力自由化に伴い、発電事業者はインバランスを最小にすべく、運用制約を考慮した緻密な発電計画を作成する必要がある。このため、発電設備の熱効率や出力変化率、気温による最大出力の変化等を30分メッシュ単位で反映する約100項目の基本条件と、定期点検等の運用上の約60項目の制約条件、更に配船計画やガス導管流量、燃料在庫管理等の燃料制約も考慮した、緻密な最適配分を行う発電計画システムを開発した。特に、最大100台の発電機群の運転状態を決める大規模な最適化計算を、最短時間で解くために、ソルバー計算を複数段に分け、ヒューリスティックな計算と複合させたハイブリッド最適化手法について報告する。
6-116	PV出力予測精度を考慮した揚水・火力発電機の週間運用計画決定
6-116	◎加世堂聡樹・村田純一・船木亮平（九州大学）・高野浩貴（福井大学）電気学会全国大会講演要旨 6-116 PV出力予測精度を考慮した揚水・火力発電機の週間運用計画決定 ◎加世堂聡樹・村田純一・船木亮平（九州大学）・高野浩貴（福井大学）太陽光発電（PV）の大量導入により発生する余剰電力の解消と経済運用とを目的として，著者らは火力機と揚水機の週間運用計画手法（以下，従来手法）を提案した。しかし，この手法では，需要予測誤差とPV出力予測誤差を，計画対象期間すべてで同等であるとして扱っていたため，未来での予測精度悪化を考慮する必要があった。本稿では，従来手法を改良し，予測精度の違いを考慮した運用計画の作成法を提案する。改良点の1点目は，想定される予測誤差の大きさに応じて火力機と揚水機の予備力を変更することである。2点目は，運用計画対象期間の長さを7日に保ったまま，運用計画を毎日更新する，いわゆる後退ホライズン方法を導入することである。
6-117	太陽光発電の普及に伴うランプ容量の価値に関する一検討
6-117	◎青山智之・山口順之（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-117 太陽光発電の普及に伴うランプ容量の価値に関する一検討 ◎青山智之・山口順之（東京理科大学）電力需要の増大や環境問題に対する関心の高まりなどを背景に太陽光発電（PV）は今後も導入量が拡大すると考えられる。しかしPVは気象条件によって出力が大幅に変動する間欠性電源であり、将来的にPV大量導入された場合に系統に及ぼす影響が懸念されている。電源系統におけるPVの割合が大きくなると、需給バランスを安定的に保つために電源系統はPVの出力変動を吸収するように動作する必要がある。そのためPV以外の電源系統は将来的に高いランプ容量を求められるようになり、系統運用者は系統大のランプ制約を考慮しなければならないと考えられる。本研究ではPVが普及した電源モデルを定式化しユニットコミットメント（UC）として解くことで、系統大のランプ容量の価値評価を行う。

112-B2 電力システム（系統運用・解析）需要予測
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-118	キャンパスタウン地産地消のための明治大学中野キャンパスにおけるキャンパス電力負荷の分析
6-118	◎中村昌俊・小西素史・田村滋（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-118 キャンパスタウン地産地消のための明治大学中野キャンパスにおけるキャンパス電力負荷の分析 ◎中村昌俊・小西素史・田村滋（明治大学）電力エネルギーの効率的な利用や災害などに対する電力エネルギーの確保、地域の再生可能エネルギーの有効利用などの観点から、地域での電力の地産地消が注目されている。大学キャンパスと、地域蓄電池と、太陽光発電を備えた多数の住宅から成るキャンパスタウンにおいて街区間で電力を融通し合うことによって、少ない地域蓄電池の導入で昼間のキャンパスタウンの地産地消を実現できると考えられる。キャンパスタウンでの電力の地産地消の実現の手始めとして、本稿では各月の時間帯別での中野キャンパスの消費電力量を目的変数として、月・時間帯別の最適な需要予測モデル設計を行い、2015年の各時間帯での予測誤差平均値[kWh]を考慮した2016年の予測結果を紹介する。
6-119	最大電力需要予測の精度向上における人口予測
6-119	◎西村克久・長坂研（東京農工大学）電気学会全国大会講演要旨 6-119 最大電力需要予測の精度向上における人口予測 ◎西村克久・長坂研（東京農工大学）電力の安定供給のためには長期電力需要予測の精度が求められるが、これには人口の影響が大きい。そこで日本における長期電力需要予測の精度向上を目的として人口予測を行う。人口予測には入力要素を平均寿命、合計特殊出生率、平均第一子出生時年齢、前年の人口としたニューラルネットワークを用い、過去のデータを学習してテストデータとの誤差率を求める。パラメータを最適化した結果1.56%の精度で予測可能となり、全データを学習して2016年から2030年の人口予測を行った。その結果、2030年にかけて日本の人口は緩やかな減少の傾向となった。今後はこれが電力需要予測に与える影響を検討していく。
6-120	電力需要の経時変化に対応する適応型の需要予測方式
6-120	◎内海将人・小川広晃・茂森郁雄・渡辺徹（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-120 電力需要の経時変化に対応する適応型の需要予測方式 ◎内海将人・小川広晃・茂森郁雄・渡辺徹（日立製作所）需要家に電気の販売供給を行う小売電気事業者は，自他社電源や市場からの電力確保量の適正化や，計画同時同量制度への対応のため，契約している需要家の翌日や当日の総需要を，30 分毎に高い精度で予測する必要がある。しかし個々の需要家の需要傾向は多様化し，また今後，電気事業者が契約している需要家の構成も変化してゆくものと想定される。これにより予測すべき需要曲線とその支配要因との関係性も経時変化すると考える。この様な中での需要予測は容易ではなく，新たな技術の開発が求められている。本報では，電力需要の周期成分を特徴量としたクラスタ分析に基づく適応型の予測手法，および手法の有効性を示す机上検証結果を報告する。
6-121	JITモデリングを用いた需要予測—複数電力エリアの精度検証—
6-121	◎島崎祐一・飯坂達也・勝野徹（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-121 JITモデリングを用いた需要予測—複数電力エリアの精度検証— ◎島崎祐一・飯坂達也・勝野徹（富士電機）電力システム制度改革により，2016年4月から計画値同時同量が導入された。計画値同時同量では，1時間前までに需要予測値を申告する必要があり，インバランス料金削減のためには高い予測精度が求められる。筆者らはJust-in-Timeモデリングを用いた予測手法を提案し，電力会社を対象とした大規模需要や地域需要等の小規模需要に対して精度検証を行い，その有効性を確認してきた。今回，気象条件等の異なる地域特性を持つ複数の電力エリアに対して，提案した予測手法の精度検証を行い，どの電力エリアでも，良好な結果となることを確認したので報告する。
6-122	曜日情報を用いた住宅地域における毎時負荷と最大負荷予測
6-122	◎藤尾昂弘・植田譲（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-122 曜日情報を用いた住宅地域における毎時負荷と最大負荷予測 ◎藤尾昂弘・植田譲（東京理科大学）再生可能エネルギー発電の導入拡大によって需給バランスへの影響が懸念されている。この問題の解決には需要家側からの調整が必要である。これには，各住宅の負荷や発電量を集約し地域での需給バランスを最適化する需要家アグリゲータの設置や蓄電池の設置が有効である。蓄電池の運用計画を立てるために 1 時間ごとの高精度な負荷予測が求められている。そこで本論文では需要家アグリゲータを想定した住宅地域における翌日 1 時間ごとの負荷予測を行った。曜日情報フラグやベース分の除去が有効であることを確認した。また，1 時間ごとの予測で大外れが出たときに，外れた分をまかなう余力がどれだけあればいいかを事前に知るために最大負荷の予測も行った。
6-123	HEMSにおける個別住宅の翌日電力量の予測手法の開発
6-123	◎本間海・植田譲（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-123 HEMSにおける個別住宅の翌日電力量の予測手法の開発 ◎本間海・植田譲（東京理科大学）太陽光発電システムの大量導入に伴い，電力需給の安定化のためには系統側だけではなく需要家側での対策も重要となる。さらに現在では、ホームエネルギーマネジメントシステムの設置も進んできており、需要家内での効率的なエネルギー運用が必要とされている。しかしながら，それらのためには個別住宅ごとの需要電力量の予測が求められる。しかし，翌日の短時間予測における電力量は居住者の行動に影響されるため予測は困難となる。そこで今回提案する手法は，比較的予測のしやすい日積算電力量と過去のデータから推定した当日の需要パターンを用いて，住宅ごとの短時間時系列電力量を予測する。
6-124	AMI計量データからPV発電量と負荷を分離する手法の開発
6-124	○犬塚達基（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-124 AMI計量データからPV発電量と負荷を分離する手法の開発 ○犬塚達基（日立製作所） PV機器を備える需要家のAMI計量データから，PV発電量と負荷を分離する手法を提案する。本手法は，PV発電量と負荷量は無相関であると仮定して，日射量からPV発電量を算出するPV係数を求める。テストデータを用いてAMIの模擬計量データを生成し，PV発電量と負荷を分離した結果，推定誤差は1%以下であった。

A21-B2 電力システム（系統運用・解析）需給制御
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-125	地域冷暖房を用いた需給バランス向け調整力確保
6-125	◎高野彰久・伊藤雅一・林泰弘（早稲田大学）・進士誉夫・八木貴大（東京ガス）電気学会全国大会講演要旨 6-125 地域冷暖房を用いた需給バランス向け調整力確保 ◎高野彰久・伊藤雅一・林泰弘（早稲田大学）・進士誉夫・八木貴大（東京ガス）地域冷暖房は，総合効率の高さから，大容量のコージェネレーションシステム（CGS）が併設されていることが多い。一方，再生可能エネルギーの普及策が進められているが，変動のある電源の大量導入のためには，需給バランス調整や周波数調整向けの調整力の確保が必要となる。この費用抑制のため，多様な発電事業者の参画による調整力の増大，質の向上と，一般送配電事業者による調整力の活用が期待されている。そこで，本研究では，CGSが併設された地域冷暖房による，需給バランス向け調整力確保の可能性の検討のため，調整力の確保方法と，費用の導出方法を提案した。数値シミュレーションにより経済性を評価した結果，調整力確保が可能であることを示した。
6-126	再生可能エネルギーと蓄電池をベースとする電力システムの検討：需給制御方式(その1)
6-126	◎岡安翔・野呂康宏（工学院大学）電気学会全国大会講演要旨 6-126 再生可能エネルギーと蓄電池をベースとする電力システムの検討：需給制御方式(その1) ◎岡安翔・野呂康宏（工学院大学）近年，再生可能エネルギーの導入は次第に増加しており，いずれその導入量は50%を超え，さらに100%に向かう可能性がある。そのとき想定し得る将来の電力システムは，再生可能エネルギーと需給バランス確保のための蓄電池からなる。本研究では，系統の周波数偏差から需給アンバランスを推定し，過不足分を出力指令として電源および蓄電池に配分する需給制御システムについて検討している。蓄電池の出力制御にはインバータが用いられており，本稿ではそのインバータ制御における位相補償の効果を示した。3機のループ状系統を用いて，負荷の急変を想定したシミュレーションを行った。その結果，位相補償挿入前は出力が次第に発散し，挿入後は発散が抑えられた。
6-127	PV出力の予測誤差を考慮した工場における電力供給運用手法
6-127	◎和田知佳・南島新樹・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）・竹内雅靖（日新電機）電気学会全国大会講演要旨 6-127 PV出力の予測誤差を考慮した工場における電力供給運用手法 ◎和田知佳・南島新樹・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）・竹内雅靖（日新電機）電力小売全面自由化後，小売事業者は計画値同時同量制度により供給計画と実際の供給実績を30分単位で一致させる必要があり，同時同量逸脱時には一般送配電事業者に対してインバランス料金を支払わなければならない。この時，小売事業者の需要予測誤差の影響がインバランス料金に直結することが懸念される。これに対して，需要家が事前に30分の需要計画を提出し，それに基づき運用することで小売事業者のインバランス料金の削減に寄与することが可能となる。そこで，本稿では前日の需要計画の同時同量達成を目的にPV予測誤差を蓄電池の充放電制御によって補償するアルゴリズムを検討し，更に工場が買電計画値の同時同量を達成することにより，小売事業者のインバランス料金へ与える影響について検討する。
6-128	再生可能エネルギー導入時の二地域電力系統における電力貯蔵装置の運用計画に関する研究
6-128	◎宇喜多航・横山明彦（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-128 再生可能エネルギー導入時の二地域電力系統における電力貯蔵装置の運用計画に関する研究 ◎宇喜多航・横山明彦（東京大学）近年、再生可能エネルギー電源の電力系統への大量導入が進んでいるが、その出力は天候条件に大きく左右されるため大量導入時には対策が必要不可欠である。その対策には電力貯蔵装置の利用や再生可能エネルギー電源の発電出力予測などが候補として挙げられる。また昨今の電力小売全面自由化により、更なる地域間連系線の活用が見込まれている。本研究の目的は地域間連系線を考慮した再生可能エネルギー電源大量導入時の二地域電力系統における揚水発電所および蓄電池システムの最適週間運用計画の作成手法の提案とし、需給シミュレーションにおける運用計画の評価によって連系線による電力融通を行うことで供給信頼度が向上することを確認した。
6-129	複数エリアのピーク電力最小化を目的とした電力融通における動的な蓄電池パラメータ設定
6-129	◎田尻航太・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・佐野豊（日立製作所）・栄千治（日建設計）電気学会全国大会講演要旨 6-129 複数エリアのピーク電力最小化を目的とした電力融通における動的な蓄電池パラメータ設定 ◎田尻航太・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・佐野豊（日立製作所）・栄千治（日建設計）ピーク電力削減による電気料金低減を目的として、特定供給を利用した電力融通が検討されている。対象とする太陽光発電（PV）と蓄電池を有するエリア間の電力融通においては、特定供給の制約上PV電力を融通前に一度蓄電池に溜める必要があり、自エリアのピーク電力削減に用いる蓄電池の容量を一部PV電力用に割く必要がある。先行研究ではPV電力用蓄電池を常に一定容量確保することで、自エリアのピーク電力削減に悪影響を与える問題があった。本稿ではPV用蓄電池容量を状況に応じて変化させる手法を提案し、実負荷データを用いた数値実験により複数エリアのピーク電力低減効果を確認し、提案手法に基づく電力融通の有用性について述べる。
6-130	平均合意アルゴリズムに基づくSOC同期機能を備えた電気自動車群による周波数変動抑制制御
6-130	◎木村昇太・織原大・斎藤浩海（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-130 平均合意アルゴリズムに基づくSOC同期機能を備えた電気自動車群による周波数変動抑制制御 ◎木村昇太・織原大・斎藤浩海（東北大学）太陽光・風力発電増加時の周波数変動対策のひとつとして、現在普及が進んでいる電気自動車(EV)に搭載された蓄電池を活用する手法が検討されている。需要家のEVを用いる際には需要家間の公平性を考慮する必要がある。本稿では各EVの充電状態(SOC)の推移を同期させ、EV間の容量劣化の偏りを防ぐことで公平性を保ちながら周波数変動抑制に貢献させる充放電制御手法を提案する。しかし全蓄電池のSOCをリアルタイムに取得するには莫大な通信量が必要になってしまう。そこで、マルチエージェントシステムの平均合意制御を用いて、少量の通信によってSOCの平均値を全てのEVで共有し、その平均値に近づくように充放電を行うことでSOCを同期させる手法を考案した。

A21-A2 電力システム（系統運用・解析）電力経済（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-131	需要家の蓄電池と電力市場連携による電力需給管理手法の検討
6-131	○大崎善朗・鳥羽廣次・水谷麻美（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-131 需要家の蓄電池と電力市場連携による電力需給管理手法の検討 ○大崎善朗・鳥羽廣次・水谷麻美（東芝）スマートコミュニティや電力自由化環境など、複数のドメインが送配電システムを共同利用する環境では、各ドメインの需給管理が必要であるが、需要規模が小さいことや需要家数の増減により、十分な予測管理が難しくなっている。これに対して需要家に設置した複数の小規模蓄電池を制御することで、需給管理を行う手法の検討を行っている。これまでに、数kWhの蓄電池を需要家の一部に設置したシミュレーションにより、インバランスの低減効果を確認したが、季節や期間によるインバランスの余剰・不足特性により、効果が得られないケースがあった。そこで、蓄電池の溢れ状態・枯渇状態を事前に検知し、電力市場との連携によりそれを回避することで、インバランスの低減効果を維持する手法の検討、および検証を行った。本稿ではその結果を報告する。
6-132	日本卸電力取引所のスポット市場におけるシステムプライスの予想
6-132	◎岸上卓矢・田村滋（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-132 日本卸電力取引所のスポット市場におけるシステムプライスの予想 ◎岸上卓矢・田村滋（明治大学） 2005年4月より、日本卸電力取引所（略称JEPX：Japan Electric Power Exchange）が電力の取引を開始した。2003年にJEPXが設立されたその目的は、電力の有効活用と電力価格指標の形成を担うことである。 2016年4月より、電力の全面自由化が開始し、JEPXにおける電力取引の状況が変化していると思われる。そこで、JEPXのスポット市場におけるシステムプライスに関する過去の研究成果と最近の状況の違いについて調査するため、システムプライスに関する分析および予想を行ったので、それを報告する。
6-133	Fuzzy c-Varietiesを前処理とした電力価格予測手法
6-133	◎板羽智史・森啓之（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-133 Fuzzy c-Varietiesを前処理とした電力価格予測手法 ◎板羽智史・森啓之（明治大学）本稿では一般化ラジアル基底関数ネットワーク(以下, GRBFNと略記) に, 前処理として楕円型ファジィクラスタリングを用いた電力価格予測モデルを提案する。近年, 電力の自由化が世界中の多くの地域で進んでいる。電力市場のプレイヤーが電力売買の取引において利益を得るためには高精度な電力価格の予測手法が求められる。本稿ではスパイクを持つ時系列データである電力価格を予測するためにニューラルネットワーク(以下, ANNと略記) の一種であるGRBFNを用いる。また, GRBFNのモデル精度を向上させるため楕円型ファジィクラスタリングを用いた前処理を行う。
6-134	インバランス料金単価の翌日予測の検討
6-134	○志賀慶明・遠藤侑介・進博正・柿元満・豊嶋伊知郎（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-134 インバランス料金単価の翌日予測の検討 ○志賀慶明・遠藤侑介・進博正・柿元満・豊嶋伊知郎（東芝）小売電力自由化によって施行された計画値同時同量制度では、小売事業者が電力の計画値と実績値を一致させるインセンティブとして、インバランス清算が行われる。小売事業者が電力調達コストを抑えた最適な電力調達を実現するためには、あらかじめインバランス清算単価を予測することが有効であると考えている。我々は、気象予測の精度差に基づくインバランス量予測と、スポット市場データに基づく需給曲線形状推定を組み合わせたインバランス清算単価の予測方法を提案し、その評価結果について報告する。
6-135	インバランス料金単価予測手法の検討
6-135	須藤慧・◎金子奈々恵・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-135 インバランス料金単価予測手法の検討須藤慧・◎金子奈々恵・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）小売り事業者は「30分計画値同値同量」ルールに従って需給をバランスさせる必要があり，供給計画及び需要計画と実需給が一致しない場合はその誤差量にインバランス料金単価を乗じた金額をインバランス料金として精算する。インバランス料金単価は系統全体の需給状況によって変動し、実需給後にわかるため予見しにくい仕組みになっている。しかし，もしインバランス料金単価の予測が可能であれば，例えば単価が高い場合に電力市場からの調達量を増やし電力系統に流すことで利益の向上が見込める。そこで，本稿ではインバランス料金単価の予測を目的に，機械学習に基づく複数の手法を提案しシミュレーションにてその比較，検討を行う。
6-136	再エネ大量導入下での電力需給解析モデルによる連系系統のマージナルコスト分析
6-136	○中山寿美枝・蓑津真一郎（電源開発）・東仁・磯永彰・福留潔（JPビジネスサービス）・荻本和彦・片岡和人（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-136 再エネ大量導入下での電力需給解析モデルによる連系系統のマージナルコスト分析 ○中山寿美枝・蓑津真一郎（電源開発）・東仁・磯永彰・福留潔（JPビジネスサービス）・荻本和彦・片岡和人（東京大学）変動性の再生可能エネルギー（V-RES）が大量に導入された電力システムにおいては、V-RESの有効利用のためには調整力の確保とフレキシブルな運用が従来なかった新しい課題であり、欧米の電力市場では既に問題が生じている例も見られる。再エネ導入拡大と電力市場拡大が進む日本でも近い将来大きな問題となる可能性が高いことから、その状況を連系線によるエネルギー及び調整力融通を考慮した広域電力需給解析モデルを用いて模擬し、マージナルコストに着目して解析を行い、系統連系線を用いて調整力融通を行うことで、V-RES抑制低減の効果があることを確認した。
6-137	価格反応型マイクログリッドが一時間前の電力系統需給運用に与える影響の検討
6-137	◎馬天虎・馬場旬平・岩船由美子（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-137 価格反応型マイクログリッドが一時間前の電力系統需給運用に与える影響の検討 ◎馬天虎・馬場旬平・岩船由美子（東京大学）太陽光発電(PV)が電力系統に大量導入されると、系統運用者による需給バランスの維持が困難になる。その対策としてマイクログリッドを構築し、負荷側機器の電力制御による系統貢献が提案されているが、技術実現可能性と経済価値評価の検討が必要である。本稿ではマイクログリッドの合計連系導入容量が0GW、5GW及び10GWのケースについて、マイクログリッドが一日前市場価格と一時間前市場価格に反応した場合を仮定し、一時間前の電力系統需給運用に与える影響を考察し、系統側とマイクログリッド側の経済性を評価した結果を報告する.

A21-A3 電力システム（系統運用・解析）電力経済（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-138	不確実環境下におけるリスク選好を反映した小売事業者の意思決定問題の解
6-138	◎関崎真也・西崎一郎・林田智弘（広島大学）電気学会全国大会講演要旨 6-138 不確実環境下におけるリスク選好を反映した小売事業者の意思決定問題の解 ◎関崎真也・西崎一郎・林田智弘（広島大学） 2016年4月より電力小売自由化が開始されており，多様な電気料金を提示する小売事業者が今後新規に参入することが予想される。本研究では，複数ロードカーブと競争相手，および電気料金に対する需要家の応答を考慮した上で小売事業者の最適な電力調達量と電気料金を決定する意思決定問題の解法を提案する。
6-139	配電系統シミュレーションによるEV充電オークション制度の評価
6-139	◎喜久里浩之・芳澤信哉・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・花田真一（金沢星稜大学）・五十川大也・大橋弘（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-139 配電系統シミュレーションによるEV充電オークション制度の評価 ◎喜久里浩之・芳澤信哉・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・花田真一（金沢星稜大学）・五十川大也・大橋弘（東京大学）配電系統では太陽光発電（PV）の余剰電力を電気自動車（EV）に充電することで，PVの出力抑制量および電力量の削減が期待される。 PV・EV所有住宅を複数有する低圧配電系統内において，任意の時間帯に発生するPVの余剰電力には限りがあるため，系統内のPV出力抑制量および電力コストの削減を最大化するためには適切な組合せの住宅がEVの充電を行う必要がある。そこで本研究では，オークション制度を導入により系統への貢献度が高い住宅にインセンティブを与えることでPVの余剰電力によるEV充電を促す仕組みを検討する。また，オークション制度の導入効果を検証するために，配電系統モデルを用いたシミュレーションを行う。
6-140	JEPX先渡商品が約定するまでの日数に関する統計分析
6-140	○大藤建太（会津大学）電気学会全国大会講演要旨 6-140 JEPX先渡商品が約定するまでの日数に関する統計分析 ○大藤建太（会津大学）日本卸電力取引所JEPXの活性化にむけて，先渡市場の流動性について理解を深めることは重要だろう。そこで本稿では，先渡商品の約定までの日数に着目し，これに作用する要因について調べた。 JEPX先渡商品の約定確率に影響しうる要因として，①スポット価格，②輸入原油価格，③需給ひっ迫指数，④スポット取引量の系統需要比を考慮し，2005年4月〜2014年8月の約2000商品の約定実績についてCox比例ハザードモデルで推定した。その結果，原油価格や需給ひっ迫指数，スポット取引量は先渡約定確率に影響を与えており，さらにそれらは時間が経過し最終取引日が迫るほど増強されていく傾向が見いだされた。
6-141	蓄電池普及シナリオに対する蓄電事業者の事業性評価に関する意思決定モデルに関する検討
6-141	◎大野祥・圓山啓介・根岸信太郎・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）・種村健一・出野賢一・広瀬道雄（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-141 蓄電池普及シナリオに対する蓄電事業者の事業性評価に関する意思決定モデルに関する検討 ◎大野祥・圓山啓介・根岸信太郎・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）・種村健一・出野賢一・広瀬道雄（関西電力）太陽光発電（PV）や風力発電といった再生可能エネルギーの変動対策やエネルギーマネジメントシステムへの活用が見込まれる蓄電設備は今後急速に普及することが予測される。その結果，価格低下が進み，電力市場を活用した蓄電設備運用によって利益を得られる可能性が出てくる。蓄電設備運用による新規事業性を評価するにあたって，長期的な運用による利益を算出することが必要となる。そこで本稿では，将来的な状況を考慮するため，蓄電設備の普及予測を行い，3つのシナリオを用意する。各シナリオに沿って蓄電設備を導入し，運用を行うことにより得られる利益を算出する。その結果をもとにNPV法を用いて蓄電事業者の事業性の評価を行う。
6-142	強化学習を用いた調整力市場におけるオークション方式の検討
6-142	◎界波・辻隆男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-142 強化学習を用いた調整力市場におけるオークション方式の検討 ◎界波・辻隆男（横浜国立大学）再生可能エネルギー電源の普及拡大が進展する中，その出力変動の不確実性に起因したインバランスを適切に補償するために，調整力を経済的に確保することの重要性が高まっている。その市場メカニズムの詳細は国ごとに差異があるが，限界費用に基づく方式とPay-as-bidによる手法に大別される傾向にある。著者らはこれまでに，強化学習に基づいて調整力市場の参加者の行動をモデリングし，その約定点とオークション方式との関係を検討してきた。しかし同文献では，調整力市場の参加者は簡易的にモデル化され，現実的な設定には基づいておらず，その結果は定量的に議論できるものではなかった。そこで本稿は，より現実に合わせて調整力市場のモデル化を検討し，市場参加者がuniform priceおよびpay-as-bid オークションの二つの落札方式の下で，自己の利益最大化を目指して行動した場合にもたらされる約定点の妥当性について，検討を進めるものである。
6-143	発電事業投資ポートフォリオのRSVM評価
6-143	◎古川義英・宮内肇（熊本大学）・三澤哲也（名古屋市立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-143 発電事業投資ポートフォリオのRSVM評価 ◎古川義英・宮内肇（熊本大学）・三澤哲也（名古屋市立大学）我々は、発電事業の事業価値評価に、純現在価値法（NPV法）に代わって、投資家のリスクに対する態度を考慮した期待効用理論に基づいた事業価値評価法（UNPV法）を適用した結果について報告している。UNPV法で特に指数型の効用関数を用いた場合をリスク鋭感的価値尺度（RSVM）と呼び、RSVMでは規模のリスクも考慮でき、その結果から最適事業規模などを求めることができ、さらには発電事業のポートフォリオも調べることができる。本研究では、石油火力とLNG火力により2000MW の電源投資を行う際の発電事業ポートフォリオ（最適配分値）をRSVMを用いて求め、一般的に用いられる平均分散アプローチによる結果と比較し、その違いを明らかにする。
6-144	天候数値化予測手法の適用による太陽光発電のkWh価値およびkW価値の検討
6-144	福永青空（東京都市大学）・菅原啓太（大成建設）・○佐々木三郎・太田豊・中島達人（東京都市大学）電気学会全国大会講演要旨 6-144 天候数値化予測手法の適用による太陽光発電のkWh価値およびkW価値の検討福永青空（東京都市大学）・菅原啓太（大成建設）・○佐々木三郎・太田豊・中島達人（東京都市大学）天候情報の数値化による太陽光発電（PV）の発電量を予測する手法を適用し、我が国全体の太陽光発電量すなわちkWh価値を地域別に予測した。この結果、我が国全体のPV発電量の総計は2013年は6,560GWh、2015年は23,180GWhとなった。また、2030年時点のPV発電量は約60,000GWhと想定した。さらに、雲量と発電量の相関を解析しkWh価値の予測精度向上ならびに雲量の時系列データの適用による数時間先の発電出力すなわちkW価値を定量化する方法を検討した。
6-145	欧州の国際連系線利用電力量に関する統計分析
6-145	◎原田祥平（関西大学）・安田陽（京都大学）電気学会全国大会講演要旨 6-145 欧州の国際連系線利用電力量に関する統計分析 ◎原田祥平（関西大学）・安田陽（京都大学）欧州各国では、過去10年間で年間消費電力量が増えていない国が多い。一般に、消費の拡大が見込めない状況では、投資やイノベーションは起こりづらいとされているが、欧州では消費電力量が伸びないにも関わらず、国際連系線への投資は盛んである。本稿では、この「欧州では消費電力量が伸びないにも関わらず、なぜ国際連系線への投資は盛んなのか？」という問に答えるために、国際連系線の利用電力量（＝輸入電力量＋輸出電力量）に着目して統計分析を行ったので報告する。
6-146	再生可能エネルギー電源のみで構成された日本の電力市場の制度設計
6-146	◎坂上瑛亮・手塚哲央・Benjamin McLellan（京都大学）電気学会全国大会講演要旨 6-146 再生可能エネルギー電源のみで構成された日本の電力市場の制度設計 ◎坂上瑛亮・手塚哲央・Benjamin McLellan（京都大学）本稿では限界費用ゼロという特徴を持つ再生可能エネルギー電源のみで構成された電力市場を想定し,地域の電力需給を保つ事を目的とした市場ルールの検討を行った結果について報告する.具体的には，各個人の利己的・利他的行動を考慮した上で，市場ルールが地域全体の需給バランスに与える影響をモデルシミュレーションにより定量的に分析し，望ましい市場ルールのあり方について検討した．結果として地域の電力需給の過不足を最小化するには需要家が利他的な行動を行い,現在の需要に過去の需要実測値の変動パターンを掛け合わせることで算出する需要予測値と供給予測値を利用する料金体系を採用し,電力分配量に上限を設ける方法が有効であることが判明した.
6-147	日本における容量市場の導入と市場設計
6-147	長坂研・◎近藤容平（東京農工大学）電気学会全国大会講演要旨 6-147 日本における容量市場の導入と市場設計長坂研・◎近藤容平（東京農工大学）近年、電力システム改革が促進され、今後も電力自由化が進むと考えられる。海外で電力自由化を行った先例から、自由化後の課題として供給予備力の確保が挙げられており、各国の電力事情に合わせた政策がなされている。特に米国では、発電電力量ではなく、発電所の発電能力を金銭価値化して取引する容量市場が導入されている。容量市場における容量取引価格は、系統運用者によって目標予備率に応じて決定される。本研究では、LOLP解析から得られた必要供給予備力を基準とし、容量市場を導入する際の市場設計を行う。容量市場の存在により、予備力確保のインセンティブが働き、安定した電力供給が可能になると考えられる。

301-C1 電力システム（系統運用・解析）周波数制御（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-148	発電機停止率制約の需給バランスへの影響評価
6-148	◎花井悠二・天野博之（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-148 発電機停止率制約の需給バランスへの影響評価 ◎花井悠二・天野博之（電力中央研究所）再エネ導入時の過渡安定度を概略的に把握する指標として「発電機停止率」が活用できる可能性が示されている。発電機停止率の考え方を制約条件に組み込むことで，概略的に過渡安定度を考慮した需給シミュレーション解析が可能と考えられる。そこで，本稿では「発電機停止率」の考え方に基づき同期機容量に制約を課した場合の需給バランスへの影響を評価したので報告する。
6-149	大型蓄電池システムによる周波数制御効果の評価その1－実証試験データから周波数制御効果を評価する手法の提案
6-149	◎飛田雄一・天野博之・徳光啓太（電力中央研究所）・細越秀男・品田浩一郎・和山亘（東北電力）電気学会全国大会講演要旨 6-149 大型蓄電池システムによる周波数制御効果の評価その1－実証試験データから周波数制御効果を評価する手法の提案 ◎飛田雄一・天野博之・徳光啓太（電力中央研究所）・細越秀男・品田浩一郎・和山亘（東北電力）東北電力は，2015年2月に西仙台変電所の大型蓄電池システムを運転開始し，蓄電池による周波数調整力の拡大効果を検証する実証事業を進めている。本実証事業では，蓄電池による周波数制御効果を実証試験データから評価する手法の検討を進めている。本稿では，実証試験データから，蓄電池による周波数制御効果を適切に評価するために満たすべき2つの条件を示すとともに，パワースペクトルを利用することで両条件を満足する評価手法を提案した。なお，本稿の提案手法を，実証試験データに対して適用した結果については，本大会にて別途報告する。
6-150	大型蓄電池システムによる周波数制御効果の評価その2－実証試験データの分析による周波数制御効果の評価結果
6-150	○細越秀男・品田浩一郎・和山亘（東北電力）・飛田雄一（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-150 大型蓄電池システムによる周波数制御効果の評価その2－実証試験データの分析による周波数制御効果の評価結果 ○細越秀男・品田浩一郎・和山亘（東北電力）・飛田雄一（電力中央研究所）東北電力は，2015年2月に西仙台変電所に設置した大型蓄電池システムを運転開始し，蓄電池制御による周波数調整力の拡大効果を実証することを目的に実証事業を進めている。本稿では，実証試験データをもとに，蓄電池による周波数制御効果について，周波数領域別に制御残を規格化して評価した結果について報告する。その結果，蓄電池制御が対象としている周波数領域において制御残を低減できていることを確認した。
6-151	太陽光発電の出力抑制運転を考慮したUCにおけるLFC制約条件に関する一検討
6-151	◎村瀬右・栗本宗明・真鍋勇介・舟橋俊久・加藤丈佳（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-151 太陽光発電の出力抑制運転を考慮したUCにおけるLFC制約条件に関する一検討 ◎村瀬右・栗本宗明・真鍋勇介・舟橋俊久・加藤丈佳（名古屋大学）現在の日本では，気象条件に依存する太陽光発電システム(PVS)の大量導入が進んでおり，PVSによる電力系統の安定運用への影響が懸念されている。大容量のPVSが導入された状況では、負荷周波数制御(LFC)においてPVS出力の短周期変動に対する調整力を確保する必要がある。一方で、そのような状況では、PVSは出力抑制運転が要請される可能性がある。 LFCの調整力を増加させた場合，LFCの調整力として用いる火力機の起動台数が増加し，出力が増加するため，PVSは大きく出力抑制され，周波数偏差は小さくなることが予想される。本報では、発電機起動停止計画(UC)において、PVSの短周期変動に対応しつつ、PVSの出力抑制運転を考慮したLFC制約条件について検討した。
6-152	太陽光発電大量導入時における電気とガスのハイブリッド空調機を用いた負荷周波数制御
6-152	◎澤俊季・大山力・辻隆男（横浜国立大学）・進士誉夫・八木貴大（東京ガス）電気学会全国大会講演要旨 6-152 太陽光発電大量導入時における電気とガスのハイブリッド空調機を用いた負荷周波数制御 ◎澤俊季・大山力・辻隆男（横浜国立大学）・進士誉夫・八木貴大（東京ガス）本稿では、電気とガスのハイブリッド空調機のLFCへの有用性を示す事を目的とし、周波数偏差を解析する電力系統モデルでシミュレーションを行う。発電不足、発電過剰の2つのシナリオにおいて、PV導入限界量を算出し、空調機のLFC活用に伴うPV導入増加量を算出する。結果として、消費電力が200MWに相当するハイブリッド空調機の使用で、PV導入限界量が0.6~0.9GW増加する事が示された。効果としては発電機の容量不足を補う事に加えて、起動発電機が少ない軽負荷期においては出力変化速度不足にも大きく貢献した。
6-153	実測データに基づく出力抑制時の太陽光発電システムを用いた自律分散制御による短周期電動補償
6-153	◎田村潤・近藤健一・馬場旬平（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-153 実測データに基づく出力抑制時の太陽光発電システムを用いた自律分散制御による短周期電動補償 ◎田村潤・近藤健一・馬場旬平（東京大学）近年、日本では太陽光発電 (PV) の導入量が増加しているが、それに伴い電力需給調整能力の低下が問題となる。そこで調整能力確保のために PV 出力抑制が行われる可能性があるが、抑制量は可能な限り削減したい。また、現在導入されている PV には殆ど通信設備が導入されておらず、今後全ての PV に通信設備が導入されるとは限らない。そこで本研究では、出力抑制された PV の出力を系統側からの指令を受けない自律分散制御により制御し、系統の負荷周波数制御(LFC)に貢献させ、周波数維持に必要な出力抑制量削減効果について集中制御と比較しながら検証した。また、PV 出力は多数地点の実測の日射量値を用いて作成した。
6-154	太陽光および風力発電の予測誤差が電力系統の需給運用に与える影響の分析
6-154	◎松林宏弥・七原俊也・河辺賢一（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-154 太陽光および風力発電の予測誤差が電力系統の需給運用に与える影響の分析 ◎松林宏弥・七原俊也・河辺賢一（東京工業大学）近年，太陽光（PV）・風力発電が増大しつつありわが国では2030年に最大需要の4割の容量が導入されると予想されている。PV・風力の出力変動およびその予測誤差は大きく，導入量が増えるとそれらが電力系統の需給運用に及ぼす影響が懸念される。本論文では太陽光（PV）・風力発電の容量を増大させた状況下で、PV・風力発電の予測値を火力機の起動停止計画の際に考慮すべきか検討する。

301-C2 電力システム（系統運用・解析）周波数制御（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-155	火力機のタービン応答遅れおよび負荷設定制御を考慮した需給インバランス推定手法
6-155	◎織原大・斎藤浩海（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-155 火力機のタービン応答遅れおよび負荷設定制御を考慮した需給インバランス推定手法 ◎織原大・斎藤浩海（東北大学）電力系統では、需要の変動に対して発電機出力を追従させることで、安定した周波数の電力を供給している。需要は直接計測することが困難であるため、周波数の変動から需給インバランス量を推定し、それを電源の出力制御に用いている。この推定を高い精度で行うことは、過不足のない需給調整や、周波数制御の性能評価において重要である。従来では、需給インバランスの推定値として、地域要求量ARが用いられてきた。しかし、ARは負荷および発電機の静特性のみを考慮して算出されるため、動特性を含む現実の系統における利用は適当ではない。本稿では、周波数制御を主として担う火力電源の動特性のうち、タービン応答遅れおよび負荷設定制御を対象として、ARと需給インバランスの誤差に与える影響を解析した。また、その結果を基に、電源の動特性を考慮した上で需給インバランスを推定する手法を提案し、その有効性を示した。
6-156	フルスケールコンバータ風力発電を用いた系統周波数制御
6-156	友成洸太・生井芳樹・○田村滋（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-156 フルスケールコンバータ風力発電を用いた系統周波数制御友成洸太・生井芳樹・○田村滋（明治大学）近年、再生可能エネルギーの導入が増加している。再生可能エネルギー電源は出力が天候に依存して不確実に変動するため、系統内の需要と供給のインバランス量を増大させ周波数安定性を劣化させることが懸念されている。周波数安定性を向上させる周波数制御の方法として、風力発電の出力を自由に制御できるフルスケールコンバータ風力発電を提案する。また、風力発電の出力で賄えない供給力を蓄電池で賄うことも検討していく。フルスケールコンバータ風力発電が上げ余力を持つとき、その分の風エネルギーの損失となることも考慮し、負荷周波数制御においてフルスケールコンバータ風力発電と蓄電池の経済的・効果的な利用方法を検討する。
6-157	EVの自律分散制御による周波数制御
6-157	◎馬籠希・磯崎拓也・田村滋（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-157 EVの自律分散制御による周波数制御 ◎馬籠希・磯崎拓也・田村滋（明治大学）近年、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーによる発電機の導入が進んでいるが、これらの発電方式で生み出された電力は天候や風速などに大きく依存するため，その出力が激しく変動する。この出力変動に起因して，電力系統全体の需給バランスに影響が及ぼされ，系統の周波数制御が難しくなる恐れがある。その対策として電力を貯蔵できる蓄電池(Battery Energy Storage System : BESS) の利活用は必須であり，その大量導入は一般的な手段とされている。本研究では，需要家の電気自動車に使用されているバッテリーをBESSの代替として用いたVehicle to Grid(V2G)による負荷周波数制御手法を提案する。V2Gを行うにあたり，地域要求量AR(Area Requirement)は計算せず，周波数変動Δfのみを入力信号とした自律分散制御を行う。本研究の目的は，EVの自律分散制御による周波数変動抑制効果を定量的に確認することである。本論文では，そのシミュレーション結果を報告する。
6-158	系統周波数制御における蓄電池長寿命化を考慮した最適運用
6-158	◎堀田昌希・熊野照久（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-158 系統周波数制御における蓄電池長寿命化を考慮した最適運用 ◎堀田昌希・熊野照久（明治大学）近年, 環境問題への対策の一環として再生可能エネルギーを用いた発電が注目されている。その中でも太陽光発電(PV)の導入が進んでおり,今後もさらに普及していくと考えられる。PVには天候の変化により発電量が大きく変動する特性があり,普及が拡大していった場合,系統周波数制御への影響が懸念されている。現在,系統周波数制御に蓄電池を利用する研究が行われているが蓄電池が高コストであること,蓄電池の経年劣化によるパフォーマンスの低下等の問題がある。本研究では系統周波数制御に蓄電池を利用する際,蓄電池の急激な充放電,過充放電を抑制し,長寿命化を考慮した最適運用を求める。
6-159	系統用蓄電池による変動緩和と余剰吸収の多目的制御に関する基礎検討
6-159	◎赤木覚・芳澤信哉・伊藤雅一・吉永淳・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・矢野孝・中幡英章・久田俊哉（住友電気工業）電気学会全国大会講演要旨 6-159 系統用蓄電池による変動緩和と余剰吸収の多目的制御に関する基礎検討 ◎赤木覚・芳澤信哉・伊藤雅一・吉永淳・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・矢野孝・中幡英章・久田俊哉（住友電気工業）近年，配電系統への太陽光発電の大量導入に伴う系統の短長周期の需給バランスの悪化が問題となっている。このような問題に対して実証試験が行われており，系統用蓄電池の多目的制御が検討されている。しかし，蓄電池を多目的に利用する場合には，目的ごとの制御の優先順位や容量の割り当てなどをうまく行わないと特定の目的のみの電池制御が機能して，多目的制御の実現が難しくなる恐れがあるため，充放電指令を適切に行う制御手法が必要となる。そこで本稿では，制御の優先順位を考慮した系統用蓄電池の多目的制御手法を提案し，提案手法非適用時と適用時の制御結果および運用に必要な容量を比較することで，提案手法の有効性を確認する。
6-160	大規模太陽光発電所と電力系統に設置された蓄電池の協調
6-160	◎小俣真吾（東京大学）・浅野浩志・坂東茂（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-160 大規模太陽光発電所と電力系統に設置された蓄電池の協調 ◎小俣真吾（東京大学）・浅野浩志・坂東茂（電力中央研究所）再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入によって太陽光発電 (PV) の系統連系量が増大している。PVは短時間に出力が変動するため、大量連系による短周期の周波数調整力の不足が懸念されており、対策として蓄電池によるPV出力変動の緩和が検討されている。本研究では、大規模太陽光発電所におけるPV出力を日射量から推定した上で、出力変動緩和に関する実際の技術要件に則り、PVの出力変化速度が上下限値を超える際に蓄電池による出力変動緩和が行われるとして必要な蓄電池容量の試算を行った。さらに大規模太陽光発電所と電力系統に設置された蓄電池の協調により、社会全体で必要な蓄電池容量を約1割削減できることを示した。
6-161	負荷周波数制御におけるANNを用いた蓄電池制御手法に関する一考察
6-161	◎田邉龍・岩本伸一（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-161 負荷周波数制御におけるANNを用いた蓄電池制御手法に関する一考察 ◎田邉龍・岩本伸一（早稲田大学）近年わが国では，風力発電や太陽光発電等の変動電源の導入が進み，負荷周波数制御（LFC）の悪化が懸念されている。その対策としてLFCへの蓄電池の活用が検討されている。蓄電池は応答速度に優れる反面導入コストが高く，効率的な運用が求められる。その為には蓄電池の充電状態（SOC）の維持が重要である。加えて非同期電源の割合が高まることで，系統全体の慣性力が低下し，LFC悪化の懸念がある。従って本稿では，LFCでのSOC変動抑制を目的として， ANNを用いたLFCでの蓄電池制御手法を提案し，またANNによって系統の慣性を考慮したLFCでの蓄電池制御が可能かどうか検討する。2地域系統モデルを用いたシミュレーションを行い，提案手法の有効性を確認する。

141-A1 電力システム（系統運用・解析）配電系統（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-162	配電系統シミュレータの開発
6-162	○玉井昌彦・小松貴彦（テプコシステムズ）・三谷崇（東京工業大学）・合田忠弘・橋本潤・大谷謙仁（産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-162 配電系統シミュレータの開発 ○玉井昌彦・小松貴彦（テプコシステムズ）・三谷崇（東京工業大学）・合田忠弘・橋本潤・大谷謙仁（産業技術総合研究所）配電系統に接続される再生可能エネルギー発電（以下、RES）の多くは、太陽光発電（以下、PV）であり、パワーコンディショナ（以下、PCS）を介して配電系統に接続している。近年は、蓄電池なども普及してきており、電力系統に与える影響も複雑化している。これらの機器を最適に運用する研究も行われているが、研究者毎の数値計算環境で実施されており、他者が検証をしにくいなどの問題があった。そこで、今後大量導入が予想されるRESが、電力系統の諸制約の中で如何に動作するか、またその制約を変えれば如何に運用出来るか、更には電力系統に与える影響及びその解決策の検討等が可能な解析用シミュレータを開発する。
6-163	配電電圧勾配の非線形ODEによる一解析解とその数値的検証
6-163	◎水田直斗・薄良彦（大阪府立大学）・太田豊（東京都市大学）・石亀篤司（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-163 配電電圧勾配の非線形ODEによる一解析解とその数値的検証 ◎水田直斗・薄良彦（大阪府立大学）・太田豊（東京都市大学）・石亀篤司（大阪府立大学）近年，蓄電池を搭載した電気自動車(Electric Vehicle; EV)の普及の流れの中で，車載蓄電池群(アグリゲーション)による電力システムへのアンシラリーサービスの提供に注目が集まっている．この場合，空間的に分散配置されたEV群の充放電が配電電圧の空間分布―配電電圧分布―に与える影響を考慮したシステム設計が必要となる．提案された配電電圧分布の非線形ODEは，電圧振幅の位置による微分―電圧振幅勾配―を陽に評価可能であり，EV群のように空間分布する分散蓄電池群の充放電が配電電圧分布に与える影響を評価するのに適している．本報告では，アンシラリーサービスのシステム設計に資することを目的として，非線形ODEから電圧振幅勾配の一解析解を近似的に導出し，その妥当性を非線形ODEの数値シミュレーションにより検証する.
6-164	高低圧配電系統の電圧分担最適化を目的とした配電系統代表モデル作成の基礎検討
6-164	◎佐藤由彬・飯岡大輔・斎藤浩海（東北大学）・佐々木俊介・石川博之・山田琢寛（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-164 高低圧配電系統の電圧分担最適化を目的とした配電系統代表モデル作成の基礎検討 ◎佐藤由彬・飯岡大輔・斎藤浩海（東北大学）・佐々木俊介・石川博之・山田琢寛（中部電力）配電系統は配電用変電所から配電線を介して高圧および低圧需要家に電力を供給しているが，供給エリアの電力需要密度や地形などの影響から，配電線の経路，亘長，分岐数はさまざまである。一方，供給電圧を適切に制御するためには，配電系統の高圧側と低圧側それぞれの電圧降下を適正範囲の中でどのように分担して制御するかがポイントとなる。しかしながら，電圧分担をどのように設定するかについては，数が膨大で多様性がある配電系統の特性を考えると極めて難しい問題である。本稿では高圧配電線および低圧配電系統の情報を用いて配電系統の代表モデルを作成する方法について述べるとともに，作成した代表モデルを用いて高圧側および低圧側における電圧降下を算出した例を示す。
6-165	特定地域内における千世帯規模の住宅群を対象とした需要シミュレーションモデルの開発
6-165	○上野剛・篠原靖志・宮永俊之・近藤修平・安岡絢子（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-165 特定地域内における千世帯規模の住宅群を対象とした需要シミュレーションモデルの開発 ○上野剛・篠原靖志・宮永俊之・近藤修平・安岡絢子（電力中央研究所）電力需要パターンの複雑化が進んだ状況において、配電設備の合理的運用・形成と多様な顧客の便益の維持・向上を両立させるためには、地域を対象とした新しい電力需給のマネジメント手法が必要となる。当所ではそのために、地域を対象とした新しい電力需給のマネジメント手法の確立を目指している。そのためにはまず、地域単位での需要の推定が必要となるが、地域差や需要家種別の差を考慮し、時間ごとの需要を推定するためのツールは見当たらない。そこでツール構築の第一歩として、数百〜千世帯規模の住宅群を対象として需要家の多様性を考慮しつつ群全体の特徴を表現できる、用途別・時刻別の消費電力を推定するためのモデルを構築した。
6-166	EMS技術評価のための都市規模解析モデルの構築−その1 代表日配電負荷・需要家契約電力に基づく需要家の想定−
6-166	◎山口容平・下田吉之（大阪大学）・竹延祐二・渋谷彩音・丸山由香・吉永淳・藤本悠・田辺新一・林泰弘（早稲田大学）・渡辺雅人（東京電力パワーグリッド）・佐々木俊介（中部電力）・小池健（関西電力）
6-167	EMS技術評価のための都市規模解析モデルの構築 −その2 都市構成を考慮した需要家情報と配電線情報の特徴量解析−
6-167	◎渋谷彩音・竹延祐二・丸山由香・吉永淳・藤本悠・田辺新一・林泰弘（早稲田大学）・山口容平・下田吉之（大阪大学）・渡辺雅人（東京電力パワーグリッド）・佐々木俊介（中部電力）・小池健（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-167 EMS技術評価のための都市規模解析モデルの構築 −その2 都市構成を考慮した需要家情報と配電線情報の特徴量解析− ◎渋谷彩音・竹延祐二・丸山由香・吉永淳・藤本悠・田辺新一・林泰弘（早稲田大学）・山口容平・下田吉之（大阪大学）・渡辺雅人（東京電力パワーグリッド）・佐々木俊介（中部電力）・小池健（関西電力）需要家と供給側が協調したEMSを評価・検討する重要性が高まっており、需要家を面的に捉えた都市規模の評価モデルが必要となる。また分散型電源などが接続される配電系統の情報も含みながら包括的な解析を行うことが重要である。国内外において、詳細な需要家情報をもち、かつ地域特性を考慮した面的な配電系統情報を含む評価モデルはなく、広域に渡る詳細な系統情報は情報セキュリティの観点から使用はできない。そこで、1配電線単位の系統情報に基づいて面的に広がる大規模（都市規模）な配電系統モデル構成手法を開発することを目的に、構築した配電線モデルが都市を構成する代表モデルと考え、実地域の建物用途および階数分布を模擬する配電線モデル群の選定方法を提案する。
6-168	EMS技術評価のための都市規模解析モデルの構築 −その3 座標情報付き大規模配電系統の構成−
6-168	◎竹延祐二・渋谷彩音・丸山由香・吉永淳・藤本悠・田辺新一・林泰弘（早稲田大学）・山口容平・下田吉之（大阪大学）・渡辺雅人（東京電力パワーグリッド）・佐々木俊介（中部電力）・小池健（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-168 EMS技術評価のための都市規模解析モデルの構築 −その3 座標情報付き大規模配電系統の構成− ◎竹延祐二・渋谷彩音・丸山由香・吉永淳・藤本悠・田辺新一・林泰弘（早稲田大学）・山口容平・下田吉之（大阪大学）・渡辺雅人（東京電力パワーグリッド）・佐々木俊介（中部電力）・小池健（関西電力）近年，分散型電源の普及や，ディマンドレスポンスを含む需要制御など，需要家におけるエネルギーの消費形態が目まぐるしく変化する中で，需要家と供給側（配電系統）が協調したエネルギー管理システム（EMS）を評価・検討する重要性が高まっている。本研究では，配電線に連系される個々の需要家の振る舞いを模擬し，かつ，都市規模のエネルギーシステムの評価を可能とする，EMS解析モデルの構築を目的とする。本報では，サンプルとして与えられる複数配電線から，変電所単位あるいは，1営業所単位の設備構成を決定する手法を提案する。

141-A2 電力システム（系統運用・解析）配電系統（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-169	島モデル並列離散型EPSOを用いた配電系統再構成法
6-169	◎池上広光・森啓之（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-169 島モデル並列離散型EPSOを用いた配電系統再構成法 ◎池上広光・森啓之（明治大学）本稿では、電力損失最小化を目的とした配電系統再構成に対し、島モデル並列離散型EPSOを用いた手法を提案する。従来、配電系統再構成問題の解法として、数理計画法、ヒューリスティクス、メタヒューリスティクスが研究されてきた。しかし、数理計画法やヒューリスティクスは局所解に陥る、計算時間が長いなどの欠点がある。そのため、本稿ではメタヒューリスティクスであるEPSOに注目した。PSOと比較して、提案法は進化的戦略、離散型モデル、島モデル並列化を導入することで計算時間の短縮と解の精度を向上させる。
6-170	配電損失を指標とした配電系統構成切替手法の有効性評価
6-170	◎由岡友太・疋田裕幸・辻隆男・大山力（横浜国立大学）・小池健・山本享慶・伊藤隆治（関西電力）・渡辺雅人（東京電力パワーグリッド）・西田悠介（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-170 配電損失を指標とした配電系統構成切替手法の有効性評価 ◎由岡友太・疋田裕幸・辻隆男・大山力（横浜国立大学）・小池健・山本享慶・伊藤隆治（関西電力）・渡辺雅人（東京電力パワーグリッド）・西田悠介（東京電力ホールディングス）近年、太陽光発電などの分散型電源の増加に伴い、配電系統における電圧管理が重要な課題となっている。太陽光発電出力の増加により逆潮流が生じると、配電系統末端側の電圧が大きく変動することで、電圧適正範囲を逸脱する恐れがある。このような電圧管理問題の対策の一つとして、区分開閉器制御により配電系統構成を適宜切り替える手法が挙げられる。著者らは、局所的な探索を繰り返すことにより、軽い計算負荷で準最適な系統構成を導出する手法を提案したが、より広域的に最適解を探索することで、より良好な解を発見できる可能性が残されていた。そこで本稿では、同手法の有効性を、遺伝的アルゴリズムによる最適解との比較を通じて検討した。
6-171	CDMAを用いた配電方式の提案
6-171	○藤村元彦・西本太樹・山本温・山岡正拓・崎山一幸・山田徹（パナソニック）電気学会全国大会講演要旨 6-171 CDMAを用いた配電方式の提案 ○藤村元彦・西本太樹・山本温・山岡正拓・崎山一幸・山田徹（パナソニック）エネルギーの地産地消に向けては、様々な発電資源を有効に活用して電力負荷配分を最適化する新しいローカル配電方式が期待されている。本稿では、互いに発電量や電圧などが異なる様々な発電資源から効率的に所定の負荷へ配電する方式として、符号分割多元接続（CDMA：Code Division Multiple Access）を用いた新しい配電方式を提案する。本方式では、発電資源の電圧、周波数などが互いに異なる場合においても、効率的に負荷へ配電するだけでなく、各電源から各負荷への供給電力量を個別に識別して配電することも可能となる。CDMAを用いた配電方式の原理や、その電力伝送特性を検討したので、この内容について報告する。
6-172	分散型電源を含む配電系統における事故点標定手法の検討
6-172	◎西上裕樹・辻隆男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-172 分散型電源を含む配電系統における事故点標定手法の検討 ◎西上裕樹・辻隆男（横浜国立大学）現在の日本の配電系統はその大部分が樹枝状方式で構成されている。これは事故時の停電区間を最小限抑えることができ，また比較的低コストで実装できるというメリットのためである。このように，ループ運用を実現するためには，事故時にその影響が広範囲に広がり，供給信頼度の低下に繋がることを避ける技術が必要になる。特に事故点を高速に検出できれば，速やかに事故区間だけを切り離して電力供給を再開できると期待できるため，事故点標定手法の高度化は重要な課題であろう。一方で分散型電源の拡大は，事故発生時の配電系統の挙動の複雑化ももたらすため，事故点標定手法の性能は分散型電源の挙動を適切に考慮して検討されなければならない。そこで本研究では，特に事故点評定技術の高度化を目的とし，ループ配電と分散電源をそれぞれ組み込んだ系統に対して各種評定手法の評価を行った。
6-173	配電線断線時の電圧様相に関する考察
6-173	◎前波晃生・永田隼・小林和博（三英社製作所）・柴田道博（北海道電力）電気学会全国大会講演要旨 6-173 配電線断線時の電圧様相に関する考察 ◎前波晃生・永田隼・小林和博（三英社製作所）・柴田道博（北海道電力）配電設備の高経年化により、高圧配電線の断線事故等の増加が懸念されている。そのため電圧不平衡率、零相電圧の変化によって、断線点より負荷側での断線検出する方法が考えられている。しかしながら、一相断線点より負荷側に接続される三相誘導電動機が線間電圧低下や零相電圧の発生を抑制することが指摘されており、断線を判定するための閾値には妥当な根拠が得られていない。そこで、適切な閾値を検討する前段階として、一相断線時の電圧不平衡率、零相電圧の様相を把握するためにシミュレーションを行い考察した。
6-174	地絡事故検出方法の高精度化に関する検討
6-174	◎永田隼・小林和博（三英社製作所）・菊地大輔・武蔵利行（東北電力）電気学会全国大会講演要旨 6-174 地絡事故検出方法の高精度化に関する検討 ◎永田隼・小林和博（三英社製作所）・菊地大輔・武蔵利行（東北電力）東北電力では、事故点の早期発見と迅速な復旧を目的とし、事故区間表示機能付開閉器(FTAS:Fault Targetting Air Switch)等を配電線の任意の場所に設置し、零相電圧・零相電流のレベルにより地絡事故の発生、零相電流－零相電圧位相差により事故方向の判定を行っている。しかし従来の地絡事故検出方法では残留零相電圧が大きい箇所では、微地絡（高抵抗地絡）発生時に方向判定を誤る可能性がある。また、単相2線式にて供給されている箇所においては、開閉器は一相未入力となり、常時大きな残留零相電圧が観測され正確な事故検出ができなかった。そこで残留零相成分を除去することで三相3線、単相2線の両方式に対応した地絡検出方法を開発した。
6-175	不確実な状況に対応した配電ネットワーク事故復旧問題に関する研究
6-175	◎菅原明徳・高野浩貴・田岡久雄（福井大学）・村田純一（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 6-175 不確実な状況に対応した配電ネットワーク事故復旧問題に関する研究 ◎菅原明徳・高野浩貴・田岡久雄（福井大学）・村田純一（九州大学） PVの導入拡大により負荷量が不確実な状況下での配電NW事故復旧は，見かけ負荷を負荷の想定値とする従来の問題の枠組みでは，これに対応し切れない．一方，著者らはロバスト最適化の考え方に基づき，PVの不確実性の影響を受けない配電NW復旧問題の枠組みを検討してきた．しかしこれまでの取り組みでは，得られる配電NW構成が過度に保守的となる場合があり，設備投資や迅速な復旧という点に課題を残していた．本論文では，ロバスト最適化の保守性を緩和するため，VaRやCVaRの考え方を取り入れた問題の枠組みを提案し，数値シミュレーションで，提案内容の妥当性を検証した．その結果，提案内容がロバスト最適化の保守性を緩和する点において有効であることを確認した。

141-A3 電力システム（系統運用・解析）配電系統（Ⅲ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-176	電圧変動値の確率密度関数近似に基づくロバストなSVR整定値決定手法
6-176	◎村上晃平・芳澤信哉・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・佐々木俊介・石川博之・梶川拓也（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-176 電圧変動値の確率密度関数近似に基づくロバストなSVR整定値決定手法 ◎村上晃平・芳澤信哉・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・佐々木俊介・石川博之・梶川拓也（中部電力）近年, 配電系統への導入量が増加しているPVシステムに起因した電圧上昇や急峻な電圧変動に伴う電圧逸脱の懸念から, 配電系統の電圧制御は高度化が求められている。これまでに, 配電線への設置が進んでいるセンサ内蔵開閉器のリアルタイムの計測情報を用いた集中型電圧制御手法が研究されているが、実運用に向けてコストや通信の安定性などを配慮する必要がある。そこで本研究では, 蓄積されたセンサ内蔵開閉器の過去の計測情報に基づいてSVRの整定値を決定し, これを用いた自律型電圧制御手法を提案する。そして, 実配電系統モデルを用いたシミュレーションにおいて提案手法の電圧制御性能を評価し, 提案手法の有効性を評価する。
6-177	PV大量導入時におけるLDC制御パラメータ平面決定手法の提案と評価
6-177	◎金子曜久・河野俊介・伊藤雅一・林泰弘（早稲田大学）・小池健・山本享慶・伊藤隆治（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-177 PV大量導入時におけるLDC制御パラメータ平面決定手法の提案と評価 ◎金子曜久・河野俊介・伊藤雅一・林泰弘（早稲田大学）・小池健・山本享慶・伊藤隆治（関西電力）配電系統では，PVの普及拡大に伴う潮流状態の複雑化により，電圧を適正範囲に維持することが困難になると予想されている。この問題に対し，筆者らは，センサ開閉器等で計測された過去の電流・電圧値のデータから導いた方程式を連立させることで，PV大量導入時に対応したLDC制御パラメータを決定する手法を検証してきた。本稿では，これまで提案した手法を拡張し，過去の計測データの重回帰または代表4点からそれぞれ「LDC制御パラメータ平面」を描き，LDC制御パラメータを決定する2つの手法を提案する。さらに，2つの提案手法により決定されたLDC制御パラメータの電圧制御性能を，高圧系統における電圧逸脱量の観点から評価し，提案手法の有効性を確認する。
6-178	分散電源対応型SVRの変電所方向判定精度に関する評価検討
6-178	◎久富和郎・河内祐也・白土紀明（ダイヘン）・加用随縁・岡本行平・古田将空（関西電力）・八太啓行（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-178 分散電源対応型SVRの変電所方向判定精度に関する評価検討 ◎久富和郎・河内祐也・白土紀明（ダイヘン）・加用随縁・岡本行平・古田将空（関西電力）・八太啓行（電力中央研究所）近年、分散型電源の導入拡大に伴い、配電系統で逆潮流が生じるケースが増えている。一方、配電系統の電圧調整に用いられてきた従来型のSVRは、潮流方向により変電所方向を判定した上で負荷側電圧の調整を行うため、逆潮流が発生すると変電所方向を誤判定し、その結果、変電所側電圧を調整しようとして電圧調整異常が生じてしまう。このことから、潮流方向によらない新たな変電所方向判定機能を備えた分散電源対応型SVRが近年普及してきている。そこで我々は、実用化されている2種類の変電所方向判定方式について、長恒長の配電線やPV連系により急峻な電圧変動が発生する配電線を模擬した系統にてその判定精度の検証を行った。その成果を報告する。
6-179	低圧用STATCOMによる配電系統の電圧制御手法
6-179	小山真明・◎鈴木恵太郎・川﨑章司（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-179 低圧用STATCOMによる配電系統の電圧制御手法小山真明・◎鈴木恵太郎・川﨑章司（明治大学）近年，太陽光発電（PV）システムは地球温暖化対策への貢献が期待され，系統への連系台数が増加している。しかし，PVシステムの出力は天候に左右され不安定であり，系統電圧の適正範囲からの逸脱を引き起こす可能性がある。PVシステムは主に低圧系統に連系される機器であり，従来の負荷時タップ切替変圧器（LRT）や自動電圧調整器（SVR）などによる高圧系統側からの制御では低圧系統全体の電圧を制御することが困難となる。そこで本稿では，低圧系統にSTATCOMを導入することにより，低圧系統の電圧を制御する手法を提案し，数値計算によりその有用性を検証する。
6-180	PV発電量予測の信頼区間を利用したLVRのLDC制御パラメータ決定手法
6-180	◎小林将矢・喜久里浩之・吉永淳・藤本悠・粂川奈穂・若尾真治・林泰弘（早稲田大学）・茂木規行・山下裕輔（東光高岳）電気学会全国大会講演要旨 6-180 PV発電量予測の信頼区間を利用したLVRのLDC制御パラメータ決定手法 ◎小林将矢・喜久里浩之・吉永淳・藤本悠・粂川奈穂・若尾真治・林泰弘（早稲田大学）・茂木規行・山下裕輔（東光高岳）太陽光発電システム（PV）の大量導入に起因する局所的な電圧逸脱の対策として，自動タップ切換器付柱上変圧器（LVR）を用いた予測・運用・制御一貫型電圧管理の枠組みが検討されている。従来手法では各時間断面でPV発電量の予測値を一意に定める点予測に基づいて制御パラメータを決定していたため，予測誤差が大きい時間断面で電圧適正範囲からの逸脱が懸念される。本稿ではPV発電実測値が取り得る範囲を統計的に推定した信頼区間を利用し，予測誤差が大きい時間断面でも電圧逸脱回避が可能な制御パラメータの決定手法を提案する。また，配電系統モデルを用いた数値シミュレーションを行い，提案手法による電圧逸脱量の削減効果を評価する。
6-181	配電系統におけるEV用急速充電器を用いた電圧制御に関する検討‐電圧不感帯設計が制御効果に与える影響‐
6-181	◎中村勇太・原亮一・北裕幸・田中英一（北海道大学）電気学会全国大会講演要旨 6-181 配電系統におけるEV用急速充電器を用いた電圧制御に関する検討‐電圧不感帯設計が制御効果に与える影響‐ ◎中村勇太・原亮一・北裕幸・田中英一（北海道大学）著者らは，太陽光発電の導入促進に伴い深刻化する配電系統内の電圧上昇への対策として，近年市街地への設置が進んでいる電気自動車用の急速充電器の無効電力補償による電圧制御手法を開発している(以下，提案手法)。提案手法では，短周期の電圧変動を抑制するための「短周期制御」と，短周期制御および負荷時タップ切替変圧器による制御では解消できない定常的な(長周期の)電圧変動を解消するための「長周期制御」の2つの機能の実現を目指している。前報ではこれらの制御手法について議論しており、本報では提案手法の長周期制御で用いる電圧不感帯の設計が電圧制御効果に与える影響について議論する。
6-182	SVRとSVCの協調制御についての考察
6-182	○田中俊生・河原克樹・副田正裕・大野祐司（九州電力）・片山陽平・古川健太（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-182 SVRとSVCの協調制御についての考察 ○田中俊生・河原克樹・副田正裕・大野祐司（九州電力）・片山陽平・古川健太（日立製作所）太陽光発電が配電線に大量に連系された場合、適正電圧を維持するため電圧調整機器を追加する対策を行っている。これまでの検討結果から、適正電圧を維持するためには、電圧一定制御のSVCを配電線末端に設置することが最も効果的であることが分かった。しかしながら、SVRが設置された配電線にSVCを追加するためには、SVRの電圧調整タップの固定及び柱上変圧器タップの変更といった対策を行う必要がある。このため、SVRとSVCの電圧制御の特性を踏まえた、SVRとSVCの協調制御の可能性についてシミュレーションによる検討及び実証試験を行ったので報告する。
6-183	SVRにおける制御末端電圧推定に基づく二次側電圧補償に関する一検討
6-183	◎三田慎一・泉健児・白土紀明・宮里健司（ダイヘン）電気学会全国大会講演要旨 6-183 SVRにおける制御末端電圧推定に基づく二次側電圧補償に関する一検討 ◎三田慎一・泉健児・白土紀明・宮里健司（ダイヘン）近年，地球問題を背景に，太陽光発電などの分散型電源が多数連系されている。分散型電源は，自然エネルギーに因る発電を行うため，天候によっては供給量が変化し，これによる潮流，電圧分布の変化が顕著になりつつある。従来より，電圧管理についてはSVRなどにより制御されている。SVRは設置点より二次側（負荷側）電圧を制御する装置であり，線路電圧降下補償器によって，負荷中心までの電圧降下量を求め，計測電圧を補償している。しかし，PV発電によって負荷中心が変化した場合は，この補償が適切に行われず，適正制御ができない懸念がある。そこで本稿では，負荷中心の変化がある場合でも，計測電圧を適正に補償できる方法を提案する。
6-184	SVRの不感帯を考慮したSTATCOMの目標値の検討
6-184	◎橋本和也・青木睦（名古屋工業大学）・佐々木俊介・小嶋利朗（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-184 SVRの不感帯を考慮したSTATCOMの目標値の検討 ◎橋本和也・青木睦（名古屋工業大学）・佐々木俊介・小嶋利朗（中部電力）近年，太陽光発電(PV)の導入が進められており，配電系統において，急激な電圧変動や電圧上昇を起因とする電圧管理上の問題が懸念されている。この対策として，自励式無効電力補償装置(STATCOM)による高速制御により，電圧変動を抑制できる装置として注目されている。本研究では，SVRとSTATCOMが設置された配電系統において，自端情報のみでそれらの協調動作を可能にするためのSTATCOMの目標電圧の設定法について検討している。具体的には，変化の速い電圧変動には，STATCOMが対応し，変化の遅い電圧変動にはSVRが動作するような目標電圧の設定法である。本論文では，SVRの不感帯を考慮したSTATCOMの目標電圧の決定手法を提案し，その有用性について実測データと実配電系統を基に作成した配電系統モデルを用いたシミュレーションにより検証した。
6-185	6.6kV模擬配電設備を用いたSVC複数台設置時の相互干渉性評価
6-185	○河原克樹・田中俊生・副田正裕・大野祐司（九州電力）電気学会全国大会講演要旨 6-185 6.6kV模擬配電設備を用いたSVC複数台設置時の相互干渉性評価 ○河原克樹・田中俊生・副田正裕・大野祐司（九州電力）太陽光発電（Photovoltaic，以降PV）が配電系統へ大量に連系した場合，PV出力の影響により配電系統の電圧上昇や電圧変動が発生する。その場合，電力品質を維持する対策としてSVCを設置するケースがある。 SVCは高速かつ連続制御が可能であり電圧を適正管理値内に制御する効果が高い。その一方で，同一系統に複数台SVCを設置した場合の電圧制御の相互干渉が危惧されており，相互干渉を回避するための条件や運用手法を評価する必要がある。そこで，当社スマートグリッド実証試験の一項目として，模擬配電設備にSVCを設置し制御方式の変更や整定値を調整した場合の相互干渉性について評価したので報告する。

141-A4 電力システム（系統運用・解析）配電系統（Ⅳ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-186	加熱能力可変な家庭用ヒートポンプ給湯機の実機特性測定と電力変動補償能力評価
6-186	◎堀立磨・馬場旬平（東京大学）・榊原久介・社本道雄（デンソー）電気学会全国大会講演要旨 6-186 加熱能力可変な家庭用ヒートポンプ給湯機の実機特性測定と電力変動補償能力評価 ◎堀立磨・馬場旬平（東京大学）・榊原久介・社本道雄（デンソー）本稿は、加熱能力可変な家庭用ヒートポンプ給湯機(HPWH)の実機特性を取得し、可制御負荷としての能力を評価したものである。変動性電源が大量導入された電力系統の需給バランス維持の1つの手段として、系統側から可制御負荷の消費電力を直接制御することが考えられている。本稿では、可制御負荷として特にHPWHに注目し、加熱能力を外部からの入力で変更可能なように改造したHPWHを用いて、指令値と加熱能力の関係、指令値への応答特性、熱生成特性を取得し、可制御負荷として運用する場合の能力の評価を行った。
6-187	低圧配電系統に大量導入された太陽光発電装置の進相制御による電圧上昇抑制に関する検討－高圧配電線を考慮－
6-187	◎立脇健人・横水康伸・松村年郎（名古屋大学）・石井佑弥・石川博之・岩月秀樹（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-187 低圧配電系統に大量導入された太陽光発電装置の進相制御による電圧上昇抑制に関する検討－高圧配電線を考慮－ ◎立脇健人・横水康伸・松村年郎（名古屋大学）・石井佑弥・石川博之・岩月秀樹（中部電力）近年，太陽光発電装置(PV)の大量連系により，系統電圧が上昇する事象が発生している。この電圧上昇を抑制する方法として，PV出力を制限する方法と進相無効電力を出力し制御する方法とが考えられる。本稿では実際の高圧および低圧の配電系統を模擬してシミュレーションを実施し，高圧配電系統を考慮した場合のパワーコンディショナー(PCS)による進相制御の効果を確認した。シミュレーションの結果，低圧配電線のみではなく，高圧配電線を含めて考えた場合，進相制御の効果が大きく現れることが確認できた。また，末端のPCSで進相制御を行う方が効果が大きいことも確認できた。
6-188	不確実な太陽光発電の導入分布における配電系統の電圧逸脱リスク評価に関する基礎検討
6-188	◎芳澤信哉・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-188 不確実な太陽光発電の導入分布における配電系統の電圧逸脱リスク評価に関する基礎検討 ◎芳澤信哉・林泰弘（早稲田大学）太陽光発電の導入が進む配電系統において，配電線の電圧上昇，電圧変動等の太陽光発電の導入に起因する電圧問題を解決することは喫緊の課題である。加えて，配電系統に連系される太陽光発電の導入量とその導入分布は不確実であるため，今後はどのような太陽光発電の導入分布においても，需要家の電圧品質を確保できる電圧管理手法の開発が必要である。さらに，配電系統運用を行う上では，不確実な太陽光発電の導入分布に対して，電圧逸脱が発生するリスクがどの程度存在するかを定量的に算出する必要がある。本論文では，配電系統への不確実な太陽光発電の導入分布に対する電圧逸脱発生リスクの定量的な評価手法を提案し，実配電系統モデルによって検証を行う。
6-189	単相SCを用いた電圧不平衡抑制装置が配電系統の高調波電圧に与える影響の検証
6-189	◎猪飼千真・青木睦（名古屋工業大学）・藤田悠・小林浩（トーエネック）・小栗美香・山田琢寛（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-189 単相SCを用いた電圧不平衡抑制装置が配電系統の高調波電圧に与える影響の検証 ◎猪飼千真・青木睦（名古屋工業大学）・藤田悠・小林浩（トーエネック）・小栗美香・山田琢寛（中部電力）筆者らは，進相コンデンサを用いた電圧不平衡抑制装置(SC装置)の開発を行なっている。SC装置は，高調波への影響が懸念される。わが国のほとんどの配電系統は非接地系統であるため，3相平衡の条件では零相である第3次高調波電圧は線間電圧では現れないが，電圧不平衡状態では第3次高調波電圧の影響が出る。また，家電機器のインバータ化により単相の高調波源が増加すると，高調波源の不平衡が増大し，第3次高調波電圧に影響を与える。本稿では，SC装置設置が高調波電圧に及ぼす影響を検証した結果について述べる。
6-190	非線形負荷を考慮した配電系統モデルにおける高調波の影響解析
6-190	小笠原元気・◎望月柾成・川﨑章司（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-190 非線形負荷を考慮した配電系統モデルにおける高調波の影響解析小笠原元気・◎望月柾成・川﨑章司（明治大学）近年，太陽光発電や風力発電といった分散型電源が注目されており，配電ネットワークへの連系台数が急激に増加している。また，パワーエレクトロニクス技術の進展により，非線形負荷が多様化している。それに伴い，系統の高調波が増加する恐れがあり，電力品質に及ぼす影響が懸念されている。これに対し，高調波の研究は簡易的な配電系統モデルで解析されていることが多く，詳細モデルにおける影響解析は難しい。そこで本稿では，詳細な高調波解析モデルでの影響解析に先立ち，非線形負荷を含む配電系統モデルを用いて高調波の影響解析を行う。
6-191	実配電系統を対象にした電力損失最小化構成時の定量的評価
6-191	◎内山慎距・竹延祐二・吉永淳・林泰弘（早稲田大学）・渡辺雅人（東京電力パワーグリッド）・山本良太（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-191 実配電系統を対象にした電力損失最小化構成時の定量的評価 ◎内山慎距・竹延祐二・吉永淳・林泰弘（早稲田大学）・渡辺雅人（東京電力パワーグリッド）・山本良太（東京電力ホールディングス）電力損失低減の有効手段として系統構成制御が挙げられる。近年，系統構成制御において最適化技術の進展や通信・計測インフラの整備など電力損失最小化運用のための環境が整備されつつある。これにより，数百の開閉器からなる実用規模の配電系統での精度の高い解の導出，系統状態の詳細な把握が可能となり，構成の最適化や運用評価の精度の向上が期待できる。このような背景の中，早稲田大学と東京電力パワーグリッドはJST，CRESTの一環で，センサ開閉器の計測情報を利用した配電系統の電力損失最小化の実証試験を行う。本稿では，変電所での計測情報と線路定数情報をもとに，配電損失最小化構成時の評価を行ったので，これについて報告する。

A32-B2 電力システム（系統運用・解析）配電系統（Ⅴ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-192	配電系統状態推定へのDifferential Evolutionary Particle Swarm Optimizationの適用
6-192	◎岩田壮兵・福山良和（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-192 配電系統状態推定へのDifferential Evolutionary Particle Swarm Optimizationの適用 ◎岩田壮兵・福山良和（明治大学）配電系統における分散電源の導入，自由化の進展等に対応し次世代配電自動化システムにおけるオンライン監視・制御高度化の基盤技術として，配電系統に特化した状態推定手法の研究が行われている。従来の配電系統の状態推定は，対象とする関数の連続性や微分可能性を前提としている。しかし,配電系統の実際の機器をモデル化すると非線形要素となり,潮流方程式が微分不可能や不連続になってしまう。進化計算は目的関数の微分可能性や連続性が必要なく，目的関数そのものの情報のみを用いた最適化手法であり，PSOの最新の改良手法の一つであるDEEPSO を用いた状態推定を提案する。提案法により，以前のHPSOよりさらに良質な解を生成できることを確認した。
6-193	低圧配電系統におけるスマートメータを活用した最大実負荷電流予測に関する検討
6-193	◎伊藤広和・瀧ヶ﨑光・佐野常世（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-193 低圧配電系統におけるスマートメータを活用した最大実負荷電流予測に関する検討 ◎伊藤広和・瀧ヶ﨑光・佐野常世（東京電力ホールディングス）従来，柱上変圧器等の最大実負荷電流を把握するために，統計的に予測する方法が用いられ，その予測値を管理値として設備構築を行ってきた。一方，近年ではスマートメータ（以下SM）の普及に伴い，個々の需要家で計測される30分使用電力量によって時系列の負荷状況を把握できる環境が整備されてきている。予測による画一的な負荷管理から，実測による負荷管理への移行により，変圧器等の適切な設備容量の選定が可能になると考えられる。しかし，需要家新設時ではSMが設置されてから重負荷期の最大実負荷電流が計測されるまでの期間は，実測値による最大負荷を把握することができない。そこで本稿では，SM実測値を活用した最大実負荷電流予測を提案し，その精度検証を実施した。
6-194	スマートメーター情報を用いた配電系統の電圧分布推定に関する基礎検討
6-194	◎児玉有徒・原亮一・北裕幸（北海道大学）・田邊隆之（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-194 スマートメーター情報を用いた配電系統の電圧分布推定に関する基礎検討 ◎児玉有徒・原亮一・北裕幸（北海道大学）・田邊隆之（明電舎） 2020年代前半までに全需要家にスマートメーターが設置される予定である。スマートメーターは各需要家における電力の使用量と時刻情報を記録し，その情報を電力会社等が通信により収集することが可能である。スマートメーター情報は，地理的・時間解像度的に粒度の細かいビッグデータとして，系統の運用・制御・設備計画などにも活用できる可能性があると著者らは考えている。一方近年，配電系統への太陽光発電の導入に伴い，電圧上昇や電圧変動などといった配電系統の電圧管理の複雑化が顕在化している。適切な電圧管理を実現するために，系統内の電圧分布を正確に把握することがより重要である。そこで本稿では，スマートメーター情報を用いた配電系統の電圧分布推定の可能性について検証する。
6-195	スマートメータ計測情報を用いた低圧負荷管理手法の基礎検討
6-195	○瀧ケ崎光・伊藤広和・佐野常世（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-195 スマートメータ計測情報を用いた低圧負荷管理手法の基礎検討 ○瀧ケ崎光・伊藤広和・佐野常世（東京電力ホールディングス）近年，低圧配電系統への太陽光発電（以下PV）の連系が急増し，PVが低圧配電系統に及ぼす影響を考慮した負荷管理が必要となっている。これまで低圧配電系統は，需要家の契約高により予測した最大実負電流を順潮流分として管理していた。しかし，PVが連系している低圧系統では，PVの最大出力を逆潮流分として加味する必要性が高まっている。一方，スマートメータ（以下SM）の取り付けが進んでおり，時系列に正確な負荷実績を把握できるようになってきた。このような背景により今までの予測値のみで管理していた手法から，SMによる実績値を活用した管理手法が提案できる環境が整備されつつある。以上を踏まえ，これからの低圧配電系統の負荷管理は，PVをはじめとした分散型電源の発電量や実負荷予測を行いつつ，SMの実績値を活用することで，より精度の高い管理手法を実現していく必要があると考えられる。そこで本稿では，SM計測情報を低圧配電系統の負荷管理へ活用する際に必要となる変換手法と課題点について，SMの実計測データを用いて検証を行ったので，その結果について述べる。
6-196	負荷特性が配電系統の電圧－消費電力特性に与える影響の評価
6-196	◎益田泰輔・浅野彰太（名城大学）・グエンヴィエット（Hanoi University of Sciense and Technology）電気学会全国大会講演要旨 6-196 負荷特性が配電系統の電圧－消費電力特性に与える影響の評価 ◎益田泰輔・浅野彰太（名城大学）・グエンヴィエット（Hanoi University of Sciense and Technology）我が国では再生可能エネルギー電源の導入量が増加しており、住宅地域の配電系統にも大量の太陽光発電が導入されていくことが予想される。太陽光発電の出力変動による電圧変動や需給不均衡発生が懸念されており、これまで配電系統レベルでは主として電圧維持対策についての検討がなされてきたが、需給バランス維持方策については検討事例が少ない。本論文では、配電系統レベルでの需給バランス維持方策検討の一環として、需要家負荷特性が、配電系統の電圧－消費電力特性に与える影響について評価する。負荷特性モデルとして、定インピーダンス負荷、定電流負荷、低電圧負荷を考慮できるZIPモデルを考慮し、ZIPの特性をさまざまに変化させて配電系統の電圧と消費電力の変化を分析する。
6-197	配電系統の負荷予測における予測精度の低い系統の傾向分析
6-197	◎南雲俊宏・伊藤広和・瀧ケ崎光・佐野常世（東京電力ホールディング）電気学会全国大会講演要旨 6-197 配電系統の負荷予測における予測精度の低い系統の傾向分析 ◎南雲俊宏・伊藤広和・瀧ケ崎光・佐野常世（東京電力ホールディング）近年，急増している太陽光発電の連系により，配電系統においては負荷電流と発電電流の差し引きの電流しか計測できなくなり，負荷電流の把握が困難となる。そこで筆者らはこれまでに，需要家契約高から統計的に負荷を予測する手法に関して報告しているなど。過去の検討より予測精度は9 割の配電系統で平均予測誤差率10 %程度と手法の有効性を確認しているが，実運用では予測精度の低い配電系統に関しても別途把握することが重要となるため，本稿では統計的負荷予測において予測精度が低い配電系統の傾向を分析した結果を報告する。
6-198	配電系統におけるPV発電量と負荷との分離解析
6-198	○塚本政和・青山直弘（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-198 配電系統におけるPV発電量と負荷との分離解析 ○塚本政和・青山直弘（中部電力）配電系統においてPVが起因となる無効電力の変化に着目し、配電用変電所で測定できる有効電力Pと無効電力Qの相関のみでPVの発電量と負荷とを分離する解析手法を考案した。その解析論理および手法の紹介と、実際の測定値からの解析結果を示し、解析の確からしさを表した。

301-C4 電力システム（系統運用・解析）直流送電
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-199	多端子直流系統を用いた洋上風力発電の潮流制御方式
6-199	◎塚原史矢・福井伸太（東洋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-199 多端子直流系統を用いた洋上風力発電の潮流制御方式 ◎塚原史矢・福井伸太（東洋大学）複数箇所の大規模再生可能エネルギー電源を用いた多端子直流系統による潮流制御について検討した。直流側、自励式変換器、交流側における電圧、電流、電力の関係式を用いて、交流側への潮流配分制御方式を考案した。多端子直流系統モデルはCIGREのTest Systemから抽出し、多端子化により洋上風力発電所で発電された電力を陸上の交流系統へさまざまな潮流配分が行えることをMATLABを用いたシミュレーションにより確認した。この研究により、需要地から離れた洋上発電所から、陸上変電所の増設する数を抑え、既存の系統へ接続し様々な潮流配分のもと、送電が可能となると期待する。
6-200	風力発電用フルスケールコンバータの直流電圧制御による系統周波数制御への貢献
6-200	◎藤ノ木俊宏・太田豊・中島達人（東京都市大学）電気学会全国大会講演要旨 6-200 風力発電用フルスケールコンバータの直流電圧制御による系統周波数制御への貢献 ◎藤ノ木俊宏・太田豊・中島達人（東京都市大学）近年，地球温暖化から再生可能エネルギーが注目されている。交直変換器を用いて連系される再生可能エネルギー電源が増加すると電力系統全体の慣性が低下し，系統擾乱時に周波数が変動しやすくなる。本論文では，直流送電に連系されたフルスケールコンバータ洋上風力発電を対象として，フルスケールコンバータの直流電圧制御により，陸上系統の周波数制御に貢献する手法の提案とEMTPシミュレーション解析を行う。その結果，提案手法は，系統擾乱直後の陸上系統の周波数急変が制御無では50.3Hzであったものを50.24Hz程度に抑制（変動幅比で20%削減）する効果があることが明らかになった。
6-201	洋上風力発電用直流送電システムの電圧一定制御に関する基礎検討
6-201	◎藤井孝紀・中村健二・一ノ倉理・岡本達希（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-201 洋上風力発電用直流送電システムの電圧一定制御に関する基礎検討 ◎藤井孝紀・中村健二・一ノ倉理・岡本達希（東北大学）現在，大規模な洋上風力発電施設において，高圧交流送電（HVAC）が一般的であるが，送電損失の増大や，昇圧用の商用トランスのサイズ・重量が大きくなるなどの問題が指摘されている。そのため最近では，DC-DCコンバータを用いた高圧直流送電（HVDC）が注目されている。本稿では，DC-DCコンバータを用いた洋上風力発電システムの構成の妥当性と有用性を明らかにするため，小型の模擬実験システムを構築し，実証実験を行うことを目的とし，その事前検討として，汎用回路シミュレータを用いてDC-DCコンバータによる電圧一定制御について検討を行った。その結果，DC-DCコンバータの入力側トランジスタのデューティ比を適切に調整することで，入力電圧が指令値通りに一定に制御できることが確認された。
6-202	洋上風力連系直流送電システムの系統事故時運転の基礎検討
6-202	◎吉原徹・木村守（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-202 洋上風力連系直流送電システムの系統事故時運転の基礎検討 ◎吉原徹・木村守（日立製作所）環境負荷低減を背景に，洋上ウインドファーム(WF)の大量導入が進んでいる。洋上WFの発電電力を陸上まで送電するには，交流送電より直流送電(HVDC)が適している。日本でも現在，洋上WF連系直流送電システム(WF-HVDC)に関する技術開発が進められている。WF-HVDCの技術課題の1つとして，洋上系統事故時にHVDC変換所が運転停止すると，WFの送電が継続できない課題がある。本稿では，WF-HVDCにおける洋上系統事故時の基礎検討と，洋上系統事故時のHVDC運転継続シミュレーション結果について報告する。
6-203	MMC-HVDCの直流線路事故時の高速再起動方式に関する実験検証
6-203	◎梶山拓也・菊地健・灘香帆・森修・藤井俊行（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-203 MMC-HVDCの直流線路事故時の高速再起動方式に関する実験検証 ◎梶山拓也・菊地健・灘香帆・森修・藤井俊行（三菱電機）高圧直流送電(High Voltage Direct Current、以下HVDC)向けの変換器一つとして、モジュラーマルチレベルコンバータ(Modular Multilevel Converter、以下MMC) の研究開発が進められており、MMCを適用したHVDC(MMC-HVDC)の実用化もされている。また今後、架空線適用HVDCや多端子HVDCへの適用拡大が予想される。特に、架空線適用HVDCや多端子HVDCでは、直流線路事故が発生した場合においても、事故が除去されるまで変換器を一度停止し、事故除去後、再起動することが期待される。本稿では、MMC-HVDCの直流線路事故時の再起動方式を検討し、3.5kVAの実験システムを用いた動作検証結果を報告する。
6-204	大容量洋上風力発電のMMC適用によるトランスレス直流送電システムの運転継続性能評価
6-204	◎上田裕之・福井伸太（東洋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-204 大容量洋上風力発電のMMC適用によるトランスレス直流送電システムの運転継続性能評価 ◎上田裕之・福井伸太（東洋大学）近年MMCを適用した洋上風力発電の直流送電が始まり、大容量・高電圧化が進んでいる。大容量・高電圧化に伴いトランスも大型化し今後、接地スペースや建設コストといった課題や火災事故発生時に直流送電システムの長期に渡る停止といった危険性が考えられる。そこで、本稿では、MMCを適用した洋上風力発電の直流送電システムの陸上側トランスをトランスレス化したモデルをCIGRE DC Grid Test Systemを基にEMTP-RV上に構築する。電力系統に連系する際、系統の安定運用に貢献するために、MMCにはFRT性能が要求されるため、系統連系点で事故を発生させ、トランスレス化したことによるMMCの運転継続性能への影響をCIGRE DC Grid Test Systemの運転継続性能と比較することで評価する。

112-C4 電力システム（系統運用・解析）電圧無効電力制御
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-205	電圧無効電力制御に対するディペンダブル並列DEEPSOのパラメータ感度解析
6-205	◎吉田武尊・岩田壮平・福山良和（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-205 電圧無効電力制御に対するディペンダブル並列DEEPSOのパラメータ感度解析 ◎吉田武尊・岩田壮平・福山良和（明治大学）我が国においては,今後，再生可能エネルギーの大量導入や,電力自由化に伴い,より大規模な電圧無効電力制御を短時間に計算する事が必要になると予想される。このため,高速に最適化問題を解く必要があり,この解決方法の1つとして並列分散処理による高速化が考えられる。さらに社会インフラの1つとしての電力系統の位置付けを考慮すると，制御の継続性が必要であり，著者らはPSO及びPSOの改良手法であるDEEPSOを用いたディペンダブルな並列計算を検討してきた。本論文では，VQCに対するディペンダブルな並列DEEPSOに対して，パラメータ感度解析を行った結果について報告する。
6-206	Real Time Simulatorを用いた階層的分散協調型電圧制御手法の検証
6-206	◎新二日市裕希・青木睦（名古屋工業大学）・山口忠徳・中地芳紀（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-206 Real Time Simulatorを用いた階層的分散協調型電圧制御手法の検証 ◎新二日市裕希・青木睦（名古屋工業大学）・山口忠徳・中地芳紀（中部電力）近年，自動デマンドレスポンスや，分散型電源の急激な出力変動により，急激な電圧変動が生じ，従来の自端情報のみの制御では，電圧制御機器の動作回数や適正電圧の逸脱回数の増加が懸念される。これに対し，筆者らはData Field(DF)を用いて，複数の変電所間で情報をやり取りすることで，協調型自律分散制御手法を実現し，制御機器の動作回数を低減できた。しかし，基本的な動作の確認のみを行ったため，DFへの情報の読み込みや書き込みのタイミングは考慮していない。そこで，本論文では，実時間で計算が可能なReal Time Simulatorを用いて検証を行い，情報の読み書きのタイミングを考慮した場合でも，提案法により，制御機器の動作回数を低減できることを確認した。
6-207	送電系統におけるPV大量導入時の推定予測誤差と急峻変動を考慮した電圧制御手法
6-207	◎相原祐太・岩本伸一（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-207 送電系統におけるPV大量導入時の推定予測誤差と急峻変動を考慮した電圧制御手法 ◎相原祐太・岩本伸一（早稲田大学）我が国では固定価格買取制度(FIT: Feed-in Tariff)の影響もあって、太陽光発電（PV）の系統への大量導入が計画されている。一般にPVの出力は気象情報や日射量予測を利用して予測されている。しかし、曇りの日は雲による急な陰りによってPV予測値の外れや、PVの急峻な変動により電力系統内では電圧逸脱を起こす問題が懸念されている。本稿では、送電系統を対象として、この問題に対し、15分先のPV予測値と系統状態から電圧を個別VQCによる先行制御を行う手法に加えて、PVの推定予測誤差と急峻変動による電圧逸脱を予防する制御手法を提案する。そして、本稿の最後に、修正Ward-Hale系統モデルを用いたシミュレーションを行ない、本研究の有効性を確認する。
6-208	PV大量導入による電圧無効電力制御への影響評価
6-208	◎河野俊介・金子曜久・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・杉村修平・植田喜延・田邊隆之（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-208 PV大量導入による電圧無効電力制御への影響評価 ◎河野俊介・金子曜久・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・杉村修平・植田喜延・田邊隆之（明電舎）基幹系統の電圧無効電力制御では、個別VQC方式によって、2次側電圧と通過無効電力量が目標値（整定値）に近づくように変圧器タップと調相設備投入量が制御される。送電損失削減のためには最適な整定値を設定する必要があるが、今後，太陽光発電（PV）の導入量が増加すると，PVが発電している時間断面と発電していない時間断面において最適な目標値が異なるため，時々刻々と変化する系統状態に合わせて，整定値を更新することが必要不可欠であると考えられる。本論文では，PVが大量に連系されることによる，最適な個別VQC整定値に与える影響を，電気学会EAST30機系統モデルを用いた数値計算を通して評価したので報告する。
6-209	誘導機直接連系型風力発電を含む小規模系統におけるエネルギー貯蔵装置の無効電力制御に関する考察
6-209	◎長山航大・坂本織江（上智大学）電気学会全国大会講演要旨 6-209 誘導機直接連系型風力発電を含む小規模系統におけるエネルギー貯蔵装置の無効電力制御に関する考察 ◎長山航大・坂本織江（上智大学）小規模独立系統に風力発電等の再生可能エネルギー電源を導入する際の周波数変動や電圧変動への対策の一つとして，エネルギー貯蔵装置の設置が想定される。これまでに著者らは瞬時値解析用のフライホイール電力貯蔵装置(FESS)モデルを開発し，かご形誘導機型風力発電機(WT)を直接連系した際の瞬時電圧低下を効果的に抑制するためのFESSの運転方法や既存のディーゼル発電機の励磁制御系との協調に関する検討を行った。本研究では，新たに外部の数値データを入力として解析出来るようWTモデルを改良し，FESSの無効電力補償制御部による電圧安定化効果を検討した。

141-C1 電力システム（系統運用・解析）日射予測（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-210	スマートメータ情報のビッグデータ分析による太陽光発電出力の推定精度向上
6-210	◎三宅翔太・竹内康介・福島敏・鶴岡健・梅本潤・篠原伸夫（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-210 スマートメータ情報のビッグデータ分析による太陽光発電出力の推定精度向上 ◎三宅翔太・竹内康介・福島敏・鶴岡健・梅本潤・篠原伸夫（関西電力）太陽光発電（以下，PV）は日射の変化で出力が大きく変動するため，周波数を一定に維持する需給制御に影響を及ぼすことが懸念されており，広域のPV出力の把握や数時間先の出力予測が可能なシステムが望まれていた。そこで当社は，㈱気象工学研究所と開発した日射量短時間予測システム「アポロン」を活用したPV出力推定・予測システムを平成28年3月に中央給電指令所に導入した。システムの導入や改良に際し，PV出力推定・予測の精度検証が必要である。当社は30分ごとの需要を計測できるスマートメータから得られる膨大なデータをビッグデータ分析することにより，PV出力推定精度の検証および更なる向上を実現したので、その概要を紹介する。
6-211	自己組織化マップによる日射量予測データのクラスタリング
6-211	◎春日紫吹・桶慎一郎（津山工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 6-211 自己組織化マップによる日射量予測データのクラスタリング ◎春日紫吹・桶慎一郎（津山工業高等専門学校）近年，太陽光発電システムの大量導入時に，発電電力の変動による電力系統への悪影響が懸念されている。そのため，電気系統の安定運用するために日射量予測の活用が望まれている。著者らのグループでは，サポートベクターマシンを用いた日射量予測において，学習データに含まれる不要なデータによる予測への悪影響が指摘されてきた。本研究では，自己組織化マップを用いたデータクラスタリングにより不要なデータの除外を試みた。結果，学習には最低限のデータ数は必要だが，不要なデータを増やすと予測に悪影響を及ぼすことがわかった。
6-212	数値気象予報モデルに基づく数時間先の空間平均日射予測への衛星画像情報の追加の効果
6-212	◎榎本隼也・栗本宗明・真鍋勇介・舟橋俊久・加藤丈佳（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-212 数値気象予報モデルに基づく数時間先の空間平均日射予測への衛星画像情報の追加の効果 ◎榎本隼也・栗本宗明・真鍋勇介・舟橋俊久・加藤丈佳（名古屋大学） NWPモデルの格子点値（MSM-GPV）を利用した翌日の空間平均日射強度の予測手法を構築しているが，MSM-GPVの予報値自体の大外れにより大きな予測誤差が生じる場合がある。そこで直近のNWPモデルの予報値や気象衛星画像を利用し高精度化する。本研究ではその一環として次のような手法を構築した。まずMSM-GPVの風速予測値の空間分布を考慮して赤外画像に基づく大気場の移動予測を行う。次に予測対象地域に到達する可能性がある周辺の複数の矩形領域の赤外画像のうちから、予測対象地域に到達すると判定した衛星画像を選び出す。最後に選んだ衛星画像とMSM-GPVの雲量情報などから日射強度を予測する。
6-213	地上日射量の変動性と気象場との関係
6-213	○渡邊武志（東海大学）電気学会全国大会講演要旨 6-213 地上日射量の変動性と気象場との関係 ○渡邊武志（東海大学）地表面日射量の変動は太陽光発電システムの出力の変動の原因となる。日射量変動に関する理解を深めることで、太陽光発電システムへの日射量変動のための効果的な対策を検討が可能となる。本研究では、急激な日射量の変化を起こす日射量変動に注目する。そのような日射量変動が生じるときの気象の状態がどのような特徴を持つかを、気象モデルの出力値と地上観測日射量データを用いて考察する。日射量の急激な変化が生じやすい場合の気象場の特徴について解析を行う。
6-214	ベイジアンネットワークによる日射量予測精度低下時の天候パターン抽出に関する基礎検討
6-214	◎福原真熙・髙橋康人・藤原耕二（同志社大学）電気学会全国大会講演要旨 6-214 ベイジアンネットワークによる日射量予測精度低下時の天候パターン抽出に関する基礎検討 ◎福原真熙・髙橋康人・藤原耕二（同志社大学）本研究では，日射量予測においてどのような天候パターンで予測精度が低下するのか統計的な調査を行うため，ベイジアンネットワークと呼ばれる確率推論を用いた．まず，日射量予測を行い，予測誤差を算出した．そして予測誤差と日射量予測に用いた入力パラメータとの相関関係を有向非循環グラフで表現し，条件付き確率を算出した．その結果，冬以外の昼間において，特に中層雲量が高い時間で過大予測となる傾向が確認できた．また，予測精度低下時の天候パターンを高精度に抽出するためには，多様な情報（入力パラメータ）を用いて，長期間のデータに基づきベイジアンネットワークを算出することが有効であることを明らかにした．
6-215	回帰分析を用いた短時間先日射予測手法の気象再現データを用いた精度評価
6-215	◎比護貴之・益富和之・鶴見剛也・由本勝久（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-215 回帰分析を用いた短時間先日射予測手法の気象再現データを用いた精度評価 ◎比護貴之・益富和之・鶴見剛也・由本勝久（電力中央研究所）本研究では、地理的解像度が低い日射観測データの代わりに、40km解像度の気象再現データを用いて、回帰分析を用いた短時間先日射予測手法のシミュレーション実験を行い、次の知見を得た。(1)回帰分析で用いる学習データについては、8年前までの過去データを活用することで予測精度を改善できる。(2)学習データは、予測対象日の前後25日程度の同季節のデータに絞るのが適している。 (3)重回帰の場合、予測対象地点から半径80km以内の観測地点を用いることで予測精度が向上する。(4) 季節別の誤差の傾向としては、夏季（6〜8月）の予測誤差が相対的に大きく、冬季（11〜1月）の予測誤差が相対的に小さく、4月と5月は誤差のばらつきが大きい。(5)地域別の誤差の傾向としては、日本海側よりも太平洋側、九州よりも北海道の予測誤差が小さい。
6-216	GIS(地理情報システム)を利用した部分影解析シミュレーションの評価
6-216	◎渕野凱・角本悠輔・小屋松裕貴・塩田淳・佐竹昭泰・三谷康範（九州工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-216 GIS(地理情報システム)を利用した部分影解析シミュレーションの評価 ◎渕野凱・角本悠輔・小屋松裕貴・塩田淳・佐竹昭泰・三谷康範（九州工業大学）近年、太陽光発電は我が国で注目を集め導入が進んでいる。しかし、太陽光発電システムに部分影が入りこむと発電量に大きな影響を与え、また出力低下は実際に部分影で覆われている面積以上の出力低下が起きるということが広く知られている。しかし部分影は天候不良による低日照と異なり日照部分の出力を活用することで影響を緩和可能である。本研究はGIS（地理情報システム）を利用し、部分影の解析に取り組む研究である。GISとは位置に関連付けられた様々な情報を、作成、加工、管理、可視化、共有するための情報技術である。GIS上で高さ情報を用いることでPVシステムにかかる部分影を解析し、その結果が正当なものか写真と比較し評価した。

141-C2 電力システム（系統運用・解析）日射予測（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-217	太陽光発電出力推定手法の距離に関する適用可能性評価
6-217	○安並一浩（関西電力）・鷲尾隆（大阪大学）電気学会全国大会講演要旨 6-217 太陽光発電出力推定手法の距離に関する適用可能性評価 ○安並一浩（関西電力）・鷲尾隆（大阪大学）太陽光発電（以下，PV）大量導入時の課題の代表的なものとしては，PV発電出力を電力会社などの系統を運用する側で把握できないことが挙げられる。そこで，著者らも，変電所などで測定した電力潮流（有効電力）と日射強度から，PV発電出力を推定する手法を提案し，実用化に向けた検証を進めている。本稿では，「提案手法を適用できるエリアの広さの限界を知る」という観点から，これまでの検証で利用してきた電力系統よりも広い電力系統の実測データを利用して，提案手法の妥当性を検証したため，その結果について報告する。
6-218	太陽光発電出力実績推定システムの高度化
6-218	○瀧川喜義（四国総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-218 太陽光発電出力実績推定システムの高度化 ○瀧川喜義（四国総合研究所）我々は四国電力と共同で電力会社管内のPV出力をリアルタイムに把握できるPV出力実績推定システムを開発し、平成26年10月より四国電力の中央給電指令所において実運用に活用している。ここではPVの設備容量データの改良による推定精度向上と気象庁が気象官署で観測している全天日射量のバイアス補正への適用について報告する。
6-219	複数予報機関のアンサンブル予測を用いた日射量予測大外しの予見可能性
6-219	◎宇野史睦・大竹秀明（産業技術総合研究所）・松枝未遠（筑波大学/オックスフォード大学）・山田芳則（気象庁気象研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-219 複数予報機関のアンサンブル予測を用いた日射量予測大外しの予見可能性 ◎宇野史睦・大竹秀明（産業技術総合研究所）・松枝未遠（筑波大学/オックスフォード大学）・山田芳則（気象庁気象研究所）数時間から前日以上の日射量予測は気象モデルによる予測精度が最も高く、日射量・太陽光発電予測の入力値として利用されている。しかし、1つの予報機関の予測値のみを利用する場合や決定論的予報を使用すると大きく予測を外す可能性が高い。本研究では4つの予報機関（日本・欧州・英・米）のアンサンブル予測を用いることで単一の予報機関による予測値よりも予測精度が良いことを示した。また、アンサンブル予測のばらつきの情報が日射量の大外しの発生可能性や予測の信頼性を示す1つの指標として利用できる可能性を示した。
6-220	日射量予測における学習データの追加候補の考察
6-220	◎西村諭則・馬郡英樹・中西要祐（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-220 日射量予測における学習データの追加候補の考察 ◎西村諭則・馬郡英樹・中西要祐（早稲田大学）本研究ではサポートベクターマシン(SVM)を用いて学習データ追加候補の検討を行い，翌日の日射量推移の予測精度向上を目指した。
6-221	短時間先日射予測の信頼性に関する検討－分位点回帰による予測誤差の分布範囲の推定法の提案－
6-221	○鶴見剛也・比護貴之・益富和之・由本勝久（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-221 短時間先日射予測の信頼性に関する検討－分位点回帰による予測誤差の分布範囲の推定法の提案－ ○鶴見剛也・比護貴之・益富和之・由本勝久（電力中央研究所）太陽光発電（PV）が大量に導入された場合，電力系統の運用に影響を及ぼすため，精度の高い日射予測が望まれている。こうした日射予測において，予測実施時点で予測結果の信頼性（例えば，予測誤差の大きさ，ばらつき等）を推定することは，需給運用の安定性確保の観点からも有益であると考えられる。そこで本稿では，短時間先日射予測において，予測実施時点の日射強度と残差の分布範囲との関係を示す区分線を，分位点回帰から求める手法を提案する。また，得られた区分線から予測誤差の分布範囲を推定するための補正方法についても，検討を行なう。
6-222	大規模研究施設におけるスマートエネルギーシステムの研究その7 太陽光発電の予測手法の詳細と実績
6-222	○小島義包・小山岳登・小関由明・藤田尚志・小野島一（大林組）電気学会全国大会講演要旨 6-222 大規模研究施設におけるスマートエネルギーシステムの研究その7 太陽光発電の予測手法の詳細と実績 ○小島義包・小山岳登・小関由明・藤田尚志・小野島一（大林組） O社技術研究所構内に構築したスマートエネルギーシステムは、太陽光発電による再生可能エネルギーを施設全体で最大限有効活用することを特徴としている。筆者らは実装する太陽光発電の発電電力量予測方法の検証を行い、シミュレーション検討を加え改善を継続して行っている。本報では発電予測手法を詳述し、その実績事例を紹介する。
6-223	広域エリアでの太陽光発電導入量を加味した発電量推定
6-223	○大竹秀明・宇野史睦（産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-223 広域エリアでの太陽光発電導入量を加味した発電量推定 ○大竹秀明・宇野史睦（産業技術総合研究所）現在, 太陽光発電（以下, PV）が大量に導入されつつある。しかし, 地上に降り注ぐ日射量に伴い, 特定のエリアにおいて, どの程度PV発電電力量（以下, 発電量）が期待されるのか把握することは, 系統の安定運用のためにも重要な情報である。しかし, 時々刻々と変化するPVの導入状況や発電量のモニタリングシステムの導入は十分に行われている状況ではなく,リアルタイムに特定の広域エリアにおいてどの程度PV発電量があるのかをオーダー的にも十分把握されているとはいえない。そのため, 時間・空間解像度の高い日射量データ, PV導入量データなど複数のデータを組み合わせて, 広域エリアにおけるPV発電量の把握が必要となる。本稿では, PV導入量の最新状況と気象衛星データから推定された地上日射量（以下, 衛星推定日射量）データを組み合わせて広域エリアでのPV発電量の推定を試みた。

141-B1 電力システム（系統運用・解析）太陽光（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-224	太陽光発電の抑制量の低減と公平化を実現する出力抑制計画方式
6-224	◎丸山龍也・阿部政紀・石井良和・横田登志美・澤敏之（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-224 太陽光発電の抑制量の低減と公平化を実現する出力抑制計画方式 ◎丸山龍也・阿部政紀・石井良和・横田登志美・澤敏之（日立製作所）国内では再生可能エネルギーの導入加速に向け，太陽光発電(PV)等の出力抑制による接続可能量の拡大が議論されている。出力抑制の課題は発電事業者間の抑制量の公平化，最小化である。本研究では個別PVサイトの出力を確率分布で仮定し，各PVサイトへの抑制率を決定する方法を提案する。出力期待値合計の最大化，PVサイト間の抑制割合の公平化を図る最適化問題として定式化し，粒子群最適化を適用した。PVサイト数10，時間断面数168，PV出力をベータ分布に基づく乱数としてシミュレーション評価した。単純な輪番方式に対し，出力期待値合計を43%向上し，PVサイト間の抑制率の標準偏差を48%低減する効果を確認した。
6-225	家庭用コージェネレーションを用いた太陽光発電出力変動補償制御と調整力の検討
6-225	◎古林建人・サミンダロシャン・三谷康範（九州工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-225 家庭用コージェネレーションを用いた太陽光発電出力変動補償制御と調整力の検討 ◎古林建人・サミンダロシャン・三谷康範（九州工業大学）太陽光発電は、天候に従い出力が変動する特徴を持っている。太陽光発電の導入が進むとその分、短周期変動電力も増加し、電力系統の安定運用に悪影響を及ぼす可能性がある。その対策として本論文では、熱電併給システムであるコージェネレーションの発電電力で太陽光発電の変動補償を行うことを提案し制御系を構築、制御効果の評価を行う。また、大量の太陽光発電電力により、夕方時（15時〜19時）に調整力としての火力発電が増大するといった課題も発生する。本論文では、夕方時の調整力の増強を目指して、コージェネレーションの発電電力を調整力として評価し、これにより全必要調整力のうちのコージェネの貢献率を求める。
6-226	住宅用パワーコンディショナにおける電圧上昇抑制機能の相互干渉に関する実験的検討
6-226	○清水洋隆・川田吉弘（職業能力開発総合大学校）・松村年郎（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-226 住宅用パワーコンディショナにおける電圧上昇抑制機能の相互干渉に関する実験的検討 ○清水洋隆・川田吉弘（職業能力開発総合大学校）・松村年郎（名古屋大学）筆者らはこれまでに，住宅用パワーコンディショナ（PCS）の電圧上昇抑制機能の詳細がPCSの機種によって異なることを確認している。今回，電圧上昇抑制機能の異なる2台のPCSが設置されている場合を想定し，お互いの機能が影響を及ぼし合うかどうかについて実験的に検討した。その結果，片方のPCSのみが電圧上昇抑制を行う場合や，一方のPCSの電圧上昇抑制によって，もう一方のPCSの電圧上昇抑制制御が変化するなど，各PCSの電圧上昇抑制機能，電圧の上昇値等の条件によっては，お互いの制御が影響を及ぼし合う可能性があることを示した。
6-227	太陽光発電大量連系時における新型電圧制御装置の電圧制御手法
6-227	◎鈴木宏規・青木睦（名古屋工業大学）・上田玄・國井康幸・佐々木俊介・小嶋利朗・野村英生（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-227 太陽光発電大量連系時における新型電圧制御装置の電圧制御手法 ◎鈴木宏規・青木睦（名古屋工業大学）・上田玄・國井康幸・佐々木俊介・小嶋利朗・野村英生（中部電力）近年，太陽光発電システム（PV）の大量連系が進んでおり，配電系統において急峻な電圧変動が生じることが懸念されている。この問題に対し，タップ切替回路（TVR）とインバータ回路を組み合わせることにより，高速制御性能と低コストを両立できる新型電圧制御装置（HVR）が提案されている。HVRはインバータ回路を持つため連続的な電圧制御が可能であり，SVRやTVRなどの段階的な電圧制御に比べ細かく電圧を調整することが可能となる。そこで，本論文では，PV大量連系時による急峻な電圧変動を考慮し，線路電圧降下補償（LDC要素）を導入したHVRの制御方法について検討し，実配電系統を基に作成した配電系統モデルを用いてシミュレーションを行った。
6-228	吉野ヶ里メガソーラーにおける発電量データ処理および可視化システムの開発
6-228	○原重臣・嘉数誠（佐賀大学）・増富康記（佐嘉吉野ヶ里ソーラー）電気学会全国大会講演要旨 6-228 吉野ヶ里メガソーラーにおける発電量データ処理および可視化システムの開発 ○原重臣・嘉数誠（佐賀大学）・増富康記（佐嘉吉野ヶ里ソーラー）メガソーラー発電所の測定データは大規模であるので、それを処理するコンピュータソフトウエアが不可欠である。吉野ヶ里メガソーラーの測定データと、そこに我々が構築した高速測定システムの測定データを処理できるソフトウエアを開発した。測定データの任意期間の折れ線グラフ表示、偏差値、ヒストグラム、マップ表示などの統計表示が可能である。マップ表示によってメガソーラーの一部の発電量が雲の陰によって低下している様子が分かった。測定データの検索や読み出しを行う部分と、表示を行う部分がほぼ完成したので発表する。今後は不具合の検出を目標にデータ解析部の開発を進める予定である。
6-229	計画値同時同量を達成するPV発電計画の検討
6-229	◎飯尾歩・植田譲（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-229 計画値同時同量を達成するPV発電計画の検討 ◎飯尾歩・植田譲（東京理科大学） 2016年4月から計画値同時同量制度が導入されたことにより，発電事業者はPVの発電量を事前に予測し，最適な発電計画を作成する必要がある。計画値に対し当日の発電電力量に過不足が発生した場合，不足分の電力を市場価格に連動した高額なインバランス料金で精算するため，大きな損失が生じる。本論文ではインバランス料金による損失を軽減することを目的とし，計画値同時同量を達成するPV発電計画についての検討を行った。その結果，予測が過大・過小・均等に行われた場合において最適な計画が異なることが確認でき，また提案した計画によって生じたインバランス料金と機会損失がとり得る値の限界値の推定が可能となった。
6-230	系統周波数制御に貢献する太陽光発電の出力制御に関する実験的検討
6-230	◎金原佑樹・栗本宗明・真鍋勇介・舟橋俊久・加藤丈佳（名古屋大学）・杉本重幸（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-230 系統周波数制御に貢献する太陽光発電の出力制御に関する実験的検討 ◎金原佑樹・栗本宗明・真鍋勇介・舟橋俊久・加藤丈佳（名古屋大学）・杉本重幸（中部電力）近年、太陽光発電(PV)の導入が進み、従来の火力発電所の発電比率減少による周波数調整力の低下が懸念されている。そこで、出力抑制状態を基準としてPVを運転させ、Droop制御により、周波数変動を抑えるように出力を増減させるPV制御手法を構築した。PV模擬電源、同期発電機、ベース負荷400W、制御信号により投入・解列可能な580W負荷からなる小規模系統を模擬した実験環境を構築し、負荷変動により周波数変動を発生させて提案手法の動作確認を行った。Droop制御を用いた場合とDroop制御を用いず出力抑制のみを行った場合の結果を比較し、周波数変動の抑制効果を実験的に確認した。

141-B2 電力システム（系統運用・解析）太陽光（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-231	次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティに関する検討 -その2 欧米事例をふまえた解析手法の提案-
6-231	◎今中政輝・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）・飯岡大輔（東北大学）・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・浅野浩志（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-231 次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティに関する検討 -その2 欧米事例をふまえた解析手法の提案- ◎今中政輝・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）・飯岡大輔（東北大学）・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・浅野浩志（電力中央研究所）太陽光発電(PV)導入は、21世紀に入り本格化し、年数〜十数GWの導入が欧州・日本・米国・中国などで見られる。その中で配電系統での電圧や過電流などの問題が顕在化している。本稿では、配電系統に接続可能な分散型資源量を定量化する手法として欧米で開発されてきた「ホスティングキャパシティ」について、その概略と用例を紹介し、日本での活用法を提案する。本稿ではホスティングキャパシティの概要と代表的な解析手順を述べた上で、イタリアでの中圧・低圧系統での導入解析例の紹介、米国EPRIにおける検討動向、および米国の実系統での解析例を紹介する。その上で、日本での解析に向けた簡素な解析手法例を提案する。
6-232	次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティ―その3 PVが集中導入された場合―
6-232	◎三浦幸也・飯岡大輔（東北大学）・町田舞・今中将輝・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・浅野浩志（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-232 次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティ―その3 PVが集中導入された場合― ◎三浦幸也・飯岡大輔（東北大学）・町田舞・今中将輝・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・浅野浩志（電力中央研究所）近年、環境問題への関心の高まりから太陽光発電(Photovoltaic:PV)等の再生可能エネルギー導入の動きが強くなってきている。PVが配電系統に大量に導入されることにより電圧逸脱、電流過多などの問題が生じる可能性がある。そこで筆者らはこれまでPVが大量に導入された将来における配電系統のあるべき姿を明らかにすることを目的として，さまざまな対策ケースを想定し，PVの導入可能量であるホスティングキャパシティを明らかにしてきた。本稿では，新たに追加した対策ケースとPV出力の力率を調整した場合のホスティングキャパシティをまとめた結果を述べる。また，対策を行ったケースの配電損失を比較した結果についても述べる。
6-233	次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティに関する検討－その6 フィーダー単位の経済性評価－
6-233	○高木雅昭・坂東茂・田頭直人・永田豊・浅野浩志（電力中央研究所）・野極日出男・石原正浩・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・馬場旬平（東京大学）・飯岡大輔（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-233 次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティに関する検討－その6 フィーダー単位の経済性評価－ ○高木雅昭・坂東茂・田頭直人・永田豊・浅野浩志（電力中央研究所）・野極日出男・石原正浩・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・馬場旬平（東京大学）・飯岡大輔（東北大学）本研究の目的は、20〜30年後の配電系統のあるべき姿を明らかにすることであり、PVが大量導入された際の逆潮流による電圧上昇問題に対して、最も経済な対策の検討を行っている。配電系統を22kVに部分昇圧する方法と既存の電圧階級6kVでの対策（制御の高度化）について、電気的特性分析の結果に基づいた経済性の評価を行う。経済性評価においては、資材費と工費の他、修繕費と配電損失費を積算する。本稿では、1フィーダーを対象として、PVの導入可能量と対策に必要な費用の関係を明らかにする。
6-234	次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティに関する検討－その7 変電所単位の経済性評価－
6-234	高木雅昭・○坂東茂・田頭直人・永田豊・浅野浩志（電力中央研究所）・野極日出男・石原正浩・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・馬場旬平（東京大学）・飯岡大輔（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-234 次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティに関する検討－その7 変電所単位の経済性評価－高木雅昭・○坂東茂・田頭直人・永田豊・浅野浩志（電力中央研究所）・野極日出男・石原正浩・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・馬場旬平（東京大学）・飯岡大輔（東北大学）本研究の目的は、20〜30年後の配電系統のあるべき姿を明らかにすることであり、PVが大量導入された際の逆潮流による電圧上昇問題に対して、最も経済な対策の検討を行っている。配電系統を22kVに部分昇圧する方法と既存の電圧階級6kVでの対策（制御の高度化）について、電気的特性分析の結果に基づいた経済性の評価を行う。経済性評価においては、資材費と工費の他、修繕費と配電損失費を積算する。本稿では、変電所供給エリアを対象として、PVの導入可能量と対策に必要な費用の関係を明らかにする。
6-235	次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティに関する検討－その1 課題抽出－
6-235	◎石原正浩・河瀬和貴・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・馬場旬平（東京大学）・飯岡大輔（東北大学）・太田豊（東京都市大学）・浅野浩志（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-235 次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティに関する検討－その1 課題抽出－ ◎石原正浩・河瀬和貴・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・馬場旬平（東京大学）・飯岡大輔（東北大学）・太田豊（東京都市大学）・浅野浩志（電力中央研究所）本稿では、我が国の次々世代の配電系統のあるべき姿を明らかにすることを目指し、配電系統高度化のあり方について議論する。著者らが提案した、配電系統の一部に特別高圧の電圧階級を部分的に適用する部分昇圧と、配電線の太線化や電圧調整機器等を用いる6kV級対策の検討課題について整理する。
6-236	次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティに関する検討 -その5 PV分散導入時の制約と損失-
6-236	◎町田舞・菊池翔太・今中政輝・馬場旬平（東京大学）・飯岡大輔（東北大学）・太田豊（東京都市大学）・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・浅野浩志（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-236 次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティに関する検討 -その5 PV分散導入時の制約と損失- ◎町田舞・菊池翔太・今中政輝・馬場旬平（東京大学）・飯岡大輔（東北大学）・太田豊（東京都市大学）・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・浅野浩志（電力中央研究所）太陽光発電 (PV) の導入拡大に伴い、配電系統における電圧上昇や系統容量の不足に対する対策が急務となっている。本研究ではPVが分散配置された農山村地域を対象として、従来、太線化、昇圧、昇圧＋太線化の4ケースについて低圧側最大・最小電圧、ホスティングキャパシティ、損失を算出し、比較した。太線化や昇圧のみでは無効電力制御を行ってもホスティングキャパシティは3〜8割程度しか増加しなかった。一方で、昇圧＋太線化では無効電力制御を行うことで従来の6倍まで増加させることが可能であった。損失については同量のPVで比較すると、太線化では66%、昇圧では79%、昇圧＋太線化では94%低減した。
6-237	次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティに関する検討－その4 PV分散導入時の電圧上昇要因分析－
6-237	◎菊池翔太・町田舞・今中政輝・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）・飯岡大輔（東北大学）・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・浅野浩志（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-237 次々世代の配電系統における太陽光発電のホスティングキャパシティに関する検討－その4 PV分散導入時の電圧上昇要因分析－ ◎菊池翔太・町田舞・今中政輝・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）・飯岡大輔（東北大学）・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・浅野浩志（電力中央研究所）太陽光発電(PV)をはじめとした再生可能エネルギー電源の大量導入によって、需給バランス維持の困難化や電圧上昇、配電線の過負荷などの問題が生じている。本研究ではPVが大量導入された農山村地域を対象として、従来、太線化、昇圧、太線化＋昇圧の4ケースを想定し、それに無効電力の制御の有無を加えた8パターンで解析を行った。電圧上昇の内訳について、制御をかけないケースでは6.6 kV 配電線における電圧上昇が大きくなったが、制御をかけたケースでは低圧側における電圧上昇が顕著に大きくなった。また、PV導入量ごとの低圧系統の電圧変動は、力率を1から0.85にすることで電圧上昇が42.7 % 抑えることができる。

112-A1 電力システム（系統運用・解析）風力発電（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-238	確率計画法を用いた蓄電池併設型風力発電所の発電計画決定手法に関する検討
6-238	◎中山正哉・根岸信太郎・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-238 確率計画法を用いた蓄電池併設型風力発電所の発電計画決定手法に関する検討 ◎中山正哉・根岸信太郎・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）近年，風力発電は代表的な再生可能エネルギーの一つとして注目されている。しかし風力発電の出力予測には不確実性が伴うため，今後計画値同時同量を課された場合それを達成できずインバランス料金の支払いが発生してしまう。そのため，風力発電事業者は風車出力の不確実性やそれによって発生し得るインバランス料金について考慮したうえで期待利益が最大となる発電計画を作成する必要がある。そこで，本稿では確率計画法を用いて出力予測の不確実性やインバランス料金を考慮した蓄電池併設型風力発電所の発電計画作成を方法を提案する。
6-239	(N-1)基準を考慮した風力発電の最適導入地点決定手法
6-239	◎杉浦侑弥・小出明（富山大学）・河辺賢一（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-239 (N-1)基準を考慮した風力発電の最適導入地点決定手法 ◎杉浦侑弥・小出明（富山大学）・河辺賢一（東京工業大学）再生可能エネルギー固定価格買取制度の施行に伴い、今後更なる導入量の増加が予想されている。しかし、系統の再生可能エネルギー導入量の増加に伴い系統内の電力潮流が変化し、系統計画・運用に影響を与えることが懸念されている。著者らは，これまで火力経済負荷配分を考慮した風力発電最適導入地点の決定手法を提案してきた。本研究では加えて、（N-1）基準を反映した風力発電所の最適導入地点決定手法について検討した。その結果を報告する。
6-240	大容量洋上ウィンドファームの最適な系統接続方法の定量的手法の検討
6-240	◎田中未来・村田義直・太田一雄・真山修二（住友電気工業）・所健一（電力中央研究所）・荻原義也（日新電機）・横山明彦（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-240 大容量洋上ウィンドファームの最適な系統接続方法の定量的手法の検討 ◎田中未来・村田義直・太田一雄・真山修二（住友電気工業）・所健一（電力中央研究所）・荻原義也（日新電機）・横山明彦（東京大学）大容量洋上ウィンドファームを既存の陸上系統へ連系する場合の、信頼性と経済性を兼ね備えた最適な送電システムを定量的に評価する手法の開発を最終目的とする。本検討では、開発の第一段階として、送電距離による交流送電システムと直流送電システムの経済的優位性について最適化技術を用いて定量的に評価した結果を報告する。洋上ウィンドファームを陸上に連系するための最適な送電システムを評価する上では、ウィンドファームの設備利用率を考慮することが重要である。
6-241	出力上限値による出力抑制を考慮した風力発電計画手法に関する検討
6-241	◎溝畑裕一・吉田孝太郎・根岸信太郎・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-241 出力上限値による出力抑制を考慮した風力発電計画手法に関する検討 ◎溝畑裕一・吉田孝太郎・根岸信太郎・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）風力発電はウインドファーム（以下WF）という形式で風況の良い地域に大量連系されており，24時間いつでも発電可能という大きなメリットがある。その一方で風況は時間や天候，季節，地域などで大きく変化し不規則に変動するため，WF出力は大きく変動してしまい，特段の措置なく系統連系されると，周波数や電圧に悪影響を及ぼす懸念がある。悪影響を防ぐためにWFに蓄電池を加えるだけでなく，出力抑制を考慮し更なる蓄電池容量の低減を目指すものとして，WFの出力抑制を考慮した発電計画作成手法について提案し，シミュレーションを通して所要蓄電池容量の削減効果について評価する。
6-242	風力発電出力予測誤差と蓄エネルギー装置の充電レベルを考慮した翌日発電計画値作成手法
6-242	◎金成宇輝・伊藤雅一・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-242 風力発電出力予測誤差と蓄エネルギー装置の充電レベルを考慮した翌日発電計画値作成手法 ◎金成宇輝・伊藤雅一・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）風力発電電力は，再生可能エネルギー固定価格買取制度（FIT）により固定価格で売電されているが，電源調達期間終了後，または，FIT終了後は卸電力取引所等での売買のため，同時同量で発電する必要があると考えられる。風力発電は風に依存するため，同時同量を満たすためには蓄エネルギー装置等が必要であるが，必要最小限が良い。本研究は，計画逸脱量を減らし，蓄エネルギー装置の所要容量の削減のため，翌日計画値作成手法を二つ提案する。一つは当日の充電レベルを考慮した手法，もう一つは風力発電出力予測の予測誤差と，それによる充電レベルの推移を考慮した手法である。シミュレーションにより年間計画逸脱量と所要容量をどの程度削減できるか検証し，有効性を確認した。
6-243	HP/BG併用熱供給システムによる風力発電出力ランプ変動抑制の検討-運用計画策定手法の改良と予測精度向上の効果-
6-243	◎市川翼・原亮一・北裕幸・石川志保（北海道大学）電気学会全国大会講演要旨 6-243 HP/BG併用熱供給システムによる風力発電出力ランプ変動抑制の検討-運用計画策定手法の改良と予測精度向上の効果- ◎市川翼・原亮一・北裕幸・石川志保（北海道大学）風力発電(WF)の増加は電力系統の需給調整に悪影響を与える恐れがあることから，出力変動への対策技術の開発は喫緊の課題である。このような背景から，本研究はNEDOによる「電力系統出力変動対応技術研究開発事業」において，ヒートポンプ(HP)とバイオガス発電機(BG)を組み合わせたHP/BG併用熱供給システムを用いて，WF出力に含まれるランプ変動を抑制するための技術を開発している。提案システムによる変動抑制手法は，運用計画を最適化により決定する「運用計画策定」とWF実出力に基づいて運用計画を修正する「リアルタイム制御」の2段階で構成されている。本稿では，運用計画策定手法の改良と予測精度向上による変動抑制能力の評価を行った。
6-244	HP/BG併用熱供給システムによる風力発電出力ランプ変動抑制の検討―複数サイトを対象とした運用計画の検討―
6-244	◎床本彩帆・原亮一・北裕幸・石川志保（北海道大学）電気学会全国大会講演要旨 6-244 HP/BG併用熱供給システムによる風力発電出力ランプ変動抑制の検討―複数サイトを対象とした運用計画の検討― ◎床本彩帆・原亮一・北裕幸・石川志保（北海道大学）風力発電（WF）の大量導入に伴いその出力変動が問題となっている。そこで著者らは，ヒートポンプ（HP）と家畜系廃棄物由来のバイオガスを用いた発電機（BG）とを組み合わせたHP/BG併用熱供給システム（以下，提案システム）を用いて，WF出力のランプ変動を抑制するための技術開発を検討している。中でも，複数の提案システムを統合的に制御して出力変動抑制を行うことを検討しており，本稿では，複数提案システムの運用に必要な運用計画策定の具体的な方法について提案している。

112-A2 電力システム（系統運用・解析）風力発電（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-245	時間枠に対する最大出力変動幅が指定された連系要件における風力発電出力抑制制御による蓄エネルギー装置の所要容量削減効果
6-245	○伊藤雅一・藤本悠・光岡正隆・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-245 時間枠に対する最大出力変動幅が指定された連系要件における風力発電出力抑制制御による蓄エネルギー装置の所要容量削減効果 ○伊藤雅一・藤本悠・光岡正隆・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）風力発電の増加により，経済負荷配分制御，負荷周波数制御の負担が増えている。これを抑制するため，ある時間枠に対する最大出力変動幅を決めた技術要件を求められることがある。これへの対応には，蓄エネルギー装置の利用が考えられるが，一般的に高額であり，環境負荷軽減のためにも所要容量は小さい方が良い。本稿では，時間枠に対する最大出力変動幅が設定された技術要件において，風力発電出力抑制による蓄エネルギー装置の所要容量削減効果を，単一と複数のウィンドファームに対し，20分あたり10%，6時間あたり30%の時間枠と最大出力変動幅を設定してシミュレーションを実施した。その結果，25%から89%所要容量を削減できることが分かった。
6-246	Frequency Control in Microgrid with Inertial Response of Wind Power considering Rotational Speed Characteristic
6-246	◎斉晶婷・辻隆男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-246 Frequency Control in Microgrid with Inertial Response of Wind Power considering Rotational Speed Characteristic ◎斉晶婷・辻隆男（横浜国立大学） It is of prime importance to keep supply and demand balance in microgrid with high penetration of renewable energy sources such as wind turbine or photovoltaic. In order to save investment cost, the contribution to frequency regulation from renewable energy sources has been highly expected. The authors also have developed the frequency regulation methods based on combinational application of active power curtailment and inertial response control of wind turbine. In this paper, more detailed wind turbine model including the rotational speed characteristic was newly added to the wind turbine model and the effectiveness of the inertial response control was examined through numerical simulation.
6-247	蓄電池併設型WFを想定した同時同量制御手法に関する基礎検討
6-247	◎吉田孝太郎・根岸信太郎・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-247 蓄電池併設型WFを想定した同時同量制御手法に関する基礎検討 ◎吉田孝太郎・根岸信太郎・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）近年，化石燃料の枯渇や二酸化炭素排出量の増加などの問題を解決する手段として，再生可能エネルギーである太陽光発電や風力発電が注目されている。特に，風力発電は他のRE電源に比べ，発電コストが低いため，将来的には調整力のある火力発電と同等の発電コストになると期待されている。また，電力自由化の一環として，2016年4月から計画値同時同量制度が施行された。そこで，同時同量を達成するために，発電計画に追従させるようなWFと蓄電池の運用手法について検討を行う必要がある。本稿では，同時同量制御手法の提案を行い，年間運用シミュレーションにより，提案手法を適用した場合の計画からの逸脱電力量を試算する。
6-248	風力発電出力の短周期変動抑制制御における変動抑制効果と逸失電力
6-248	○占部千由・斉藤哲夫・片岡和人（東京大学）・池上貴志（東京農工大学）・荻本和彦（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-248 風力発電出力の短周期変動抑制制御における変動抑制効果と逸失電力 ○占部千由・斉藤哲夫・片岡和人（東京大学）・池上貴志（東京農工大学）・荻本和彦（東京大学）パリ協定の発効により、発電時に温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーとして、風力発電や太陽光発電の導入がますます加速すると考えられる。このような状況下で、風況により出力が大きく変動する風力発電の大量導入により、その短周期変動が系統に及ぼす影響が無視できない場合に備えて、風力発電の短周期変動抑制制御の開発を行っている。このような変動抑制は逸失電力とトレードオフの関係にあるため、本講演では、最大出力抑制制御機能および出力変化率制限機能を用い、それぞれに与える制御パラメータと逸失電力率および変動抑制効果の関係について、東北エリアの風力発電出力実績値を用いて、適切な制御パラメータの組み合わせについて報告を行う。
6-249	New Method for Assessing Prediction Error of Wind Power Generation -- Discrimination between Phase and Amplitude Errors --
6-249	◎Pattarawut Charatpangoon・Toshiya Nanahara・Kenichi Kawabe（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-249 New Method for Assessing Prediction Error of Wind Power Generation -- Discrimination between Phase and Amplitude Errors -- ◎Pattarawut Charatpangoon・Toshiya Nanahara・Kenichi Kawabe（東京工業大学） Renewable energy sources (RES), such as wind and solar power, play a big role in a recent power system. Although the main stream research has been focusing on power prediction methods, not so many researchers have examined prediction errors. However, their impacts on a power system largely depend on their error characteristics. The indicators such as RMSE (root mean square error) are used for assessing its error, but it only gives a measure for the scale of errors. This paper newly proposes an error evaluation method for a wind power generation. The proposed method can identify the phase and amplitude errors in prediction errors. The performance of the proposed method is analyzed with artificial and real data.
6-250	角度のK平均法によるクラスタリングを利用した風力発電所内配電線ネットワークのコスト最小化問題
6-250	◎小林良（早稲田大学）・伊庭健二（明星大学）・中西要祐（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-250 角度のK平均法によるクラスタリングを利用した風力発電所内配電線ネットワークのコスト最小化問題 ◎小林良（早稲田大学）・伊庭健二（明星大学）・中西要祐（早稲田大学）風力発電所内配電線最適配置問題に対して列挙法を利用し配電線ネットワークのコスト最小解問題を解く。ここで有限時間内での求解を考え、角度のK平均法を用いたクラスタリングと、候補ブランチの限定を提案した。これら提案法により、各クラスター単位で求まる最適解（または準最適解）を求め、大域的最適解の導出を目指した。導出された解に対して線路長合計及び、遮断送電電力量の期待値も評価した。その結果としてコストを下げつつ、比較的事故に強い系統を求めることが出来た。

A21-B1 電力システム（系統運用・解析）風力発電予測
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-251	領域気象アンサンブル予測を用いた風力発電ランプ現象予測の不確実性評価
6-251	○野原大輔・大庭雅道・門倉真二（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-251 領域気象アンサンブル予測を用いた風力発電ランプ現象予測の不確実性評価 ○野原大輔・大庭雅道・門倉真二（電力中央研究所）再生可能エネルギー発電出力量の予測には，自然現象に起因する予測の不確実性が避けられず，確率的な予測情報が必要となる．確率的な予測には，アンサンブル予測手法が有用であり，気象予測モデルWRFを用いて高解像度・高頻度に出力する領域気象アンサンブル予測手法を開発した．東北地方でランプ現象が発生した2012年4月3日を対象に，4月1日21時を初期値としたアンサンブル予測による風力発電出力予測を模擬した．予測当日の風力発電出力は午前6時から12時にかけて急上昇したが，アンサンブルメンバーのそれぞれが低気圧の位置やその強度を異なった結果を予測し，発電出力が急増する時刻の不確実性を10時間と予測した．
6-252	風力発電ランプ現象を予測するー不均衡データに基づく機械学習の観点からー
6-252	○藤本悠・高橋由佳・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-252 風力発電ランプ現象を予測するー不均衡データに基づく機械学習の観点からー ○藤本悠・高橋由佳・林泰弘（早稲田大学）周囲を海に囲まれている日本は風況に恵まれており，風力発電の導入拡大に対する期待が大きい。一方で，大量導入下で天候に伴い稀に起こり得る大きな出力変動（ランプ）が電力系統全体の需給バランスへ与える影響が懸念されている。本稿では風力発電量の急変対応のための予備電源立ち上げなどの対策を適切に実施するための補助情報提示を目的として，広域の気象予測データと発電実績データを利用したエリア規模での風力発電総量の推移におけるランプ現象予測の機械学習的アプローチの枠組みを提案する。特に急変実績の発生頻度の少なさに起因するデータの不均衡性に伴う課題とそれに対する対策，及び実データを利用した比較検証結果を報告する。
6-253	擬似風力発電プロファイル生成のための風速推定における距離尺度学習の検討
6-253	○濱洸貴・藤本悠・村田昇・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-253 擬似風力発電プロファイル生成のための風速推定における距離尺度学習の検討 ○濱洸貴・藤本悠・村田昇・林泰弘（早稲田大学）風力発電は将来の構成電源の一端を担う技術として導入拡大が進められているが、不安定な出力を有するため電力系統に影響を与えることが懸念されている。その対策の一つの取り組みとして蓄電池の併設など、風力発電設備に対しての検討にあたって対象エリアの風況特性を考慮した適切な風力発電データが必要となるため、対象地点で想定される尤もらしい擬似プロファイルの生成に関する検討がこれまでにも議論されてきた。本稿では季節的汎用性の高い擬似風力プロファイルの生成を目的として対象箇所の風速推定に際して、周辺箇所の風況情報のデータ同士の関連性から学習される距離尺度に基づく共分散関数を利用するプロファイル生成の枠組みを提案する。
6-254	エリア風力発電量予測における深層学習の応用の検討
6-254	◎東山和寿・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-254 エリア風力発電量予測における深層学習の応用の検討 ◎東山和寿・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）風力発電設備が大量導入された状況下において、ランプ（短時間における急激な出力変動）は電力系統に周波数変動を引き起こす一因となり得る。その出力変動を補償するための限られた設備資源を適切に運用するにあたって、発電量予測の高精度化が求められる。本研究では、気象場予測データと発電実績データを入力とした、深層学習手法の一つであるConvolutional Neural NetworkとMulti-layer Perceptronに基づく発電量予測モデルを構築した。従来⼿法との比較実験により、特に3 時間先以降においてその有⽤性を確認した。
6-255	状態に依存した複数時系列予測の統合
6-255	○平田祥人・奥野峻也・寳来俊介・合原一幸（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-255 状態に依存した複数時系列予測の統合 ○平田祥人・奥野峻也・寳来俊介・合原一幸（東京大学）風力発電出力の予測には、様々な方法があるが、大きく分けると2種類に分けられる。1つは、気象の数値モデルを用いて予測を行う方法、もう1つは、過去に観測された時系列データを用いて予測を行う方法である。このような様々な時系列予測手法をどのように統合するかというのが、風力発電出力予測の精度向上の上で、大きな問題である。そこで、我々は、機械学習の1つの手法であるexpert adviceの方法を発展させて、複数予測の統合方法を構築している。特に、それぞれの時系列予測には、得意とする気象条件があると考えられる。そこで、状態空間の場所に応じて、重みを連続に変化させながら複数の時系列予測を統合する方法について議論する。
6-256	深層学習ニューラルネットワークを用いた風力発電予測手法
6-256	◎大蔵惣一朗・森啓之（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-256 深層学習ニューラルネットワークを用いた風力発電予測手法 ◎大蔵惣一朗・森啓之（明治大学）本稿では深層学習ニューラルネットワークの事前学習としてオートエンコーダを用いることで従来法よりも優れたによって風力発電予測の手法を提案する。従来、風力発電予測には層が少ないニューラルネットワークを用いる手法が主流であったが、AEと多層パーセプトロンから成る深層学習ニューラルネットを用いることで高精度な予測法を開発する。

112-A3 電力システム（系統運用・解析）潮流計算
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-257	負荷持替を考慮した過渡安定度制約付き多目的最適潮流計算法に関する研究
6-257	◎中山賢人（広島大学）・久保川淳司（広島工業大学）・餘利野直人・造賀芳文・佐々木豊（広島大学）・高藤耕哉・吉田央・杉山健太（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-257 負荷持替を考慮した過渡安定度制約付き多目的最適潮流計算法に関する研究 ◎中山賢人（広島大学）・久保川淳司（広島工業大学）・餘利野直人・造賀芳文・佐々木豊（広島大学）・高藤耕哉・吉田央・杉山健太（中部電力）電力系統は安全かつ経済的に運用されることが望まれる。しかし安全性と経済性は相反する関係にあるため，安全性を確保しつつもその中でより経済的な運用点を求めるために，最適潮流計算法(OPF)が研究されている。また，慣性中心に対する位相角の大きさを制約条件に加えることにより，想定故障後の過渡安定度を考慮した最適潮流計算法(TSCOPF)を研究してきた。電力系統を経済的に運用するには複数の目的関数を同時に最適化する必要がある。多目的関数最適化を行う方法として，本研究では，NBI法を採用する。NBI法では多目的最適化問題を単一の目的関数の制約問題に分割することでPareto解をPareto面に沿って均一に求めることができるため，任意の点を設定することで求めたい解を正確に得ることができる。本研究では，OPFの活用幅を広げるため，負荷持替を考慮した多目的のTSCOPFの実現を目的とする。
6-258	GPU Performance Evaluation for Concurrent Power Flow Calculations
6-258	Igor Araujo・Vincent Tadaiesky・◎Adamo Santana（Federal University of Para）・福山良和（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-258 GPU Performance Evaluation for Concurrent Power Flow Calculations Igor Araujo・Vincent Tadaiesky・◎Adamo Santana（Federal University of Para）・福山良和（明治大学） This study aims to assess the implementation of Powerflow calculation in one of its most used methods for numerical solution, the Newton-Raphson algorithm, under a General Purpose GPU architecture, for multiple simultaneous Powerflow evaluations.
6-259	Analyzing the Effects of Temperature Dependent Overhead Line Resistance on the Optimal Power Flow Solution with Dynamic Line Ratings
6-259	◎Bonface Ngoko・英治杉原・剛舟木（大阪大学）電気学会全国大会講演要旨 6-259 Analyzing the Effects of Temperature Dependent Overhead Line Resistance on the Optimal Power Flow Solution with Dynamic Line Ratings ◎Bonface Ngoko・英治杉原・剛舟木（大阪大学） In this paper, an assessment of the effect that an overhead conductor’s thermal characteristics, particularly the resistance-temperature dependence, has on the Optimal Power Flow (OPF) solution is carried out. It is confirmed that conductor temperature has a small effect on power flow, but a comparatively larger effect on transmission loss. Therefore, while inclusion of the conductor’s thermal characteristics to set the line rating with Dynamic Line Ratings (DLR) could increase line loadability, the effect on the formulation of the OPF problem and hence its complexity is minimal.
6-260	Economic Evaluation of VSC HVDC system from Small-Signal Stability Viewpoint considering Tie Line Operation
6-260	◎SANGWON KIM・横山明彦（The University of Tokyo）・高野富裕・橋本博幸・泉井良夫（Mitsubishi Electric Corporation）電気学会全国大会講演要旨 6-260 Economic Evaluation of VSC HVDC system from Small-Signal Stability Viewpoint considering Tie Line Operation ◎SANGWON KIM・横山明彦（The University of Tokyo）・高野富裕・橋本博幸・泉井良夫（Mitsubishi Electric Corporation） This paper proposes a voltage-source converter high voltage direct current (VSC HVDC) system as an effective solution to install huge wind farms in a East Japan power system while guaranteeing the small-signal stability. The economic benefits of the VSC HVDC system is evaluated by optimal power flow (OPF) calculation with small-signal stability constrained. Two cases, with and without considering the tie line operation, are compared as well.
6-261	周波数計算を実装した潮流計算手法
6-261	◎堀江俊介・竹村和哲・松島裕也・合田忠弘・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・三谷崇（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-261 周波数計算を実装した潮流計算手法 ◎堀江俊介・竹村和哲・松島裕也・合田忠弘・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・三谷崇（東京工業大学）近年、導入が加速化されている自然エネルギー起源の発電設備を安定に運用する為には蓄電設備の適用が有効である。しかし蓄電設備は現状高価の為に設置容量を出来るだけ減らしたい。電力系統の周波数は需給のアンバランスと密接に関連するために、周波数の許容範囲を利用し需給のアンバランス分を吸収すると蓄電池の設置容量を減らすことができる。そこで、周波数計算可能な潮流計算により簡単に多断面の解析が可能な手法を開発し、一日を通じた受給アンバランス、周波数と蓄電設備容量の関係が解析可能な手法の開発を目的とする。本稿では第一歩として周波数計算可能な潮流計算手法を記載する。
6-262	再生可能エネルギー電力系統における電圧安定度マージンの最大化手法
6-262	◎岡田真那美・森啓之（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-262 再生可能エネルギー電力系統における電圧安定度マージンの最大化手法 ◎岡田真那美・森啓之（明治大学）本稿では、電力系統の電圧安定度特異点の評価を行い、電圧安定度のマージン最大化の最適なキャパシタ配置を決定する。近年、電力市場の完全自由化や再生可能エネルギーの大量導入により、電力系統の不確定性が増加しているため、電圧不安定性の発生が懸念されている。電圧不安定性は大規模停電を起こしうるため、その解析は非常に重要なものとなっている。そこで本稿では、連続型潮流計算を用いて特異点評価を行い、最適化技術を用いて最適キャパシタ配置を決定する。連続型潮流計算にはCPFLOWを用い、最適化手法にはEPSO（Evolutionary Particle Swarm Optimization）を用いる。
6-263	N-1想定事故を考慮した可観測信頼性に基づくPMU配置最適化
6-263	◎松川義明・渡邊政幸・三谷康範（九州工業大学）・Mohammad Lutfi Othman（マレーシアプトラ大学）電気学会全国大会講演要旨 6-263 N-1想定事故を考慮した可観測信頼性に基づくPMU配置最適化 ◎松川義明・渡邊政幸・三谷康範（九州工業大学）・Mohammad Lutfi Othman（マレーシアプトラ大学）近年の電圧・電流分布が複雑化している電力系統において，時々刻々と変化するその状態を把握するために，同期位相計測装置（PMU）による正確な電力系統監視技術が注目されている。しかしながら実際の系統監視に用いられる典型的なPMUは高価であり，系統規模が大きくなると全母線に設置することは現実的に不可能であるため，PMUの配置最適化問題が定義され様々な解法が提案されてきた。本稿では配置されるPMU数の最小化に加え，特にN-1想定事故を考慮した可観測信頼性を最大化する複数の目的関数を有する最適化問題を定義し，メタヒューリスティクス手法を適用して多段階最適化による方法を提案する。
6-264	ノード指定値の相関を考慮したMCSによる電力系統静的状態推定におけるPMUの最適配置
6-264	◎小川彰太・森啓之（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-264 ノード指定値の相関を考慮したMCSによる電力系統静的状態推定におけるPMUの最適配置 ◎小川彰太・森啓之（明治大学）本稿では、ノード指定値の相関を考慮した効率的なモンテカルロシミュレーションによる電力系統の静的状態推定におけるPMUの最適配置法を提案する。近年、米国を中心に従来の観測器より高精度なPMUが注目されている。しかし、PMU配置には経済的な課題が存在し、有限個数のPMUを最適配置することが課題となっている。従来のPMU最適配置法では系統状態の複数のシナリオを考慮したシミュレーションが十分に行われていない。そこで、本稿ではノード指定値の相関を考慮した効率的なモンテカルロシミュレーションによる電力系統静的状態推定におけるPMUの最適配置に離散型EPSOを提案し、その有効性を検討する。
6-265	PMUを用いたPV大量導入時における短周期潮流変動の推定
6-265	○福田恵太・福井伸太（東洋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-265 PMUを用いたPV大量導入時における短周期潮流変動の推定 ○福田恵太・福井伸太（東洋大学）位相計測装置（Phasor Measurement Unit : PMU）を用いて1秒単位で配電用変電所の下流側に多量に導入されたPV出力を含めた潮流状態の推定を行う手法について検討する。負荷の変動周期に対して、PV出力の変動は短周期であることからPVが大量導入された電力系統の潮流・電圧変動が大きくなってきている。配電用変電所の下流側の配電線に導入された多くのPVを等価的に一つのPVと考え、例えば66kV系統の上流側と下流側のそれぞれの電圧位相を、PMUを用いて観測する。PV出力を含めた潮流変動を負荷変動の短周期成分より更に小さい1秒毎の短周期で推定する。 IEEE 14母線系統モデルにより、PMUを用いた状態推定とPMUを用いない状態推定を行い、状態推定結果の推定精度を評価する。
6-266	電力系統構成が系統の事故波及に及ぼす影響ー事故後の過負荷解消の効果ー
6-266	◎内田健志・谷口治人・馬場旬平（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-266 電力系統構成が系統の事故波及に及ぼす影響ー事故後の過負荷解消の効果ー ◎内田健志・谷口治人・馬場旬平（東京大学）電力系統の擾乱に対する強靭さはその系統構成（送電ネットワーク構成）によっても影響を受けると言われている。本稿では、そうした系統構成が事故波及に与える影響について検討を行うため、単位系統の形状としてメッシュ状と放射状の2種類、それらを結ぶ連系線の構成として2種類を考え、計4つの系統構成例を用意して事故波及を模擬したシミュレーションを行い、停電の発生という観点から各系統構成の信頼度に関する解析を行った。特に最適潮流計算による対策の有無による各系統構成の信頼度の違いに焦点を当て、考察を行った。

A21-A4 電力システム（系統運用・解析）デマンドレスポンス
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-267	農業水利設備の運用手法変更による系統電力需要ピークカット手法の基礎検討
6-267	◎内山雄斗・今中政輝・馬場旬平（東京大学）・比嘉直人（すまエコ）電気学会全国大会講演要旨 6-267 農業水利設備の運用手法変更による系統電力需要ピークカット手法の基礎検討 ◎内山雄斗・今中政輝・馬場旬平（東京大学）・比嘉直人（すまエコ）昨今デマンドレスポンスなどの概念をもとにさまざまな機器の消費電力制御による系統電力需要ピークカットやピークシフトが検討されている。そこで本論文では、農業水利設備の運用手法を提案し、その手法による系統電力需要ピークカットの可能性を検討し、それによる農業水利設備の貯水槽の水位への影響をシミュレーションによって検討した。それによって、実在する電力系統で系統電力需要ピークカットの可能性と、系統電力需要ピークカットと農業水利設備の貯水槽の水位低下との関係を示した。
6-268	需要家の既設蓄電池を用いたデマンドレスポンス供出可能量の概算とその評価
6-268	◎恒藤祐輔・伊庭健二・原口嵩康（明星大学）電気学会全国大会講演要旨 6-268 需要家の既設蓄電池を用いたデマンドレスポンス供出可能量の概算とその評価 ◎恒藤祐輔・伊庭健二・原口嵩康（明星大学）現在、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーの普及拡大が求められている。しかし、これらは天候により出力変動が激しく出力変動の大きな電源と需要のバランスを常時維持することが必要である。そこで、需要家に需要の増減指令を依頼するDR(Demand Response)が期待されている。 DRには電気料金型デマンドレスポンスとインセンティブ型デマンドレスポンスの2種類がある。後者は電力会社と需要家との間に契約を交わし、決められた時間帯に需要家に需要抑制を求めるものであり、確実な抑制効果が期待されている。本稿ではこのインセンティブ型デマンドレスポンスを明星大学の実績の需要データを用いて模擬することで蓄電池を有する需要家のDR可能量を試算し、効果を分析しDR利益がどれくらいになるかと調べた。
6-269	デマンドレスポンスと負荷平準化を目的とした蓄電池の多目的運用の検討
6-269	◎原口嵩康・恒藤祐輔・伊庭健二（明星大学）電気学会全国大会講演要旨 6-269 デマンドレスポンスと負荷平準化を目的とした蓄電池の多目的運用の検討 ◎原口嵩康・恒藤祐輔・伊庭健二（明星大学）現在、電力自由化により電力系統に大量の再生可能エネルギーが導入する事が予期される。しかし、再生可能エネルギーは天候等により出力が急激に変動してしまうので、需給の調整が難しくなる。そこで、需要家側が負荷を抑えるデマンドレスポンスが期待されている。特に需要家が所有している蓄電池の余力をDRに供出することは、系統の安定運用に寄与することで対価を得られるので、相対的に経済性を高め多目的運用による運用効率を高めることになる。本稿では蓄電池を負荷平準化とDRのふたつの目的に対して多目的運用のシミュレーションを行った。DRの発令は夏季と秋季の昼間の需要抑制指令を想定し、従来の負荷平準化運転に加えてDR要請に応じられるかの可否を評価した。また、負荷平準化とDRの目的に対して蓄電池へ割り振る容量の検討も行った。
6-270	リアルタイムプライシングと蓄電池付ADRによる需給調整力創出の可能性検証
6-270	◎廣部智也・崔錦丹・植田譲（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-270 リアルタイムプライシングと蓄電池付ADRによる需給調整力創出の可能性検証 ◎廣部智也・崔錦丹・植田譲（東京理科大学）今後電力系統に太陽光発電が大量普及すると時間帯により余剰電力が発生するため，需要を増やす方が，系統全体の高効率な運用につながる可能性がある。本研究では，PV大量導入時において，発電事業者や需要家アグリゲータから構成されるバランシンググループを想定し、バランシンググループ全体を最適に運用する目標潮流を元に，需要家アグリゲータが目標潮流達成のための蓄電池充放電計画を各需要家に与える。その上で、デマンドレスポンスの一つであるリアルタイムプライシング（RTP）を導入し、需要家群にRTPを付与したときの負荷変動によって蓄電池の充放電量を削減することで、需給調整力を創出できる可能性を検討する。
6-271	需要抑制に対する需要家余剰の変化に基づくインセンティブの設定方法に関する基礎検討
6-271	◎奥村明日香（福井大学）・高野浩貴・田岡久雄・小原敦美（福井大学学術研究院）電気学会全国大会講演要旨 6-271 需要抑制に対する需要家余剰の変化に基づくインセンティブの設定方法に関する基礎検討 ◎奥村明日香（福井大学）・高野浩貴・田岡久雄・小原敦美（福井大学学術研究院）需給逼迫時の節電要請の有力な手段として、デマンドレスポンス(DR)が注目されている。DRの一つに、ピークタイムリベート(PTR)がある。PTRは、節電した電力量に応じて、電力会社が需要家にインセンティブを支払うことで電力の消費パターンを変化させる手法である。PTR適用時に支払うべきインセンティブの算出のために、本稿では、需要家と発電会社の効用関数を仮定して社会的余剰問題(SWP)を定義した。SWPに対しラグランジアンを定義すると、ラグランジュ乗数は電力価格を表す。SWPを解くことにより社会的余剰が最大となる最適需要電力を求めるとともに、DR実施前後における需要家余剰の差を補うようインセンティブを設定する方法を検討した。
6-272	デマンドレスポンス下における快適さを考慮した電力消費の検討
6-272	◎黒田智大・加藤政一（東京電機大学）電気学会全国大会講演要旨 6-272 デマンドレスポンス下における快適さを考慮した電力消費の検討 ◎黒田智大・加藤政一（東京電機大学）デマンドレスポンス（DR）により，家庭でのエネルギー機器（HEMS制御機器）の1日における使い方が変化する可能性がでてきた。居住者はDRに応じるかどうかの判断を電気料金および居住環境の快適さと比較し，HEMS制御機器を使用することとなる。筆者は，先の研究で夏期1日におけるDR要請下でのHEMS制御機器（エアコン，洗濯機および掃除機）の使用パターンおよび電気料金の最適化を線形計画問題として扱ったが，居住環境の快適さの観点から課題があった。その点について検討を重ねた結果，快適さを向上させたより良い制約条件となったので報告する。
6-273	IoTの進展を踏まえた需要ディスパッチ検討
6-273	○馬場博幸・今中政輝・宇田川佑介・荻本和彦（東京大学）・天津孝之・増田浩（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-273 IoTの進展を踏まえた需要ディスパッチ検討 ○馬場博幸・今中政輝・宇田川佑介・荻本和彦（東京大学）・天津孝之・増田浩（東京電力ホールディングス）太陽光発電設備大量導入に伴う集中電源の下げ代不足をユースケースとして，家電機器のように今後IoT化が想定される多様な需要を系統の状況に合わせてディスパッチし，供給、需要双方の協調により需給調整する考えと，その制御フロー例を紹介する。その際には，中央給電指令所に加えアグリゲーターが重要な役割を果たすと考えられる。

A21-C2 電力システム（系統運用・解析）マイクログリッド（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-274	小規模グリッド向け需給運用計画の最適化に関する研究
6-274	◎塩見竜平・高野浩貴・田岡久雄（福井大学）・村田純一（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 6-274 小規模グリッド向け需給運用計画の最適化に関する研究 ◎塩見竜平・高野浩貴・田岡久雄（福井大学）・村田純一（九州大学）安定供給性と経済性に優れた小規模グリッドを実現するには，適切な需給運用計画の作成が重要となる。本研究では，小規模グリッドの需給運用計画を決定する手法を提案する。小規模グリッドの需給運用計画問題は，各時刻における可制御電源の出力と蓄電池の充放電とを決定する問題であり，一般には求解が困難とされる。本研究では，蓄電池の充放電を可制御電源出力などで代替して上記最適化問題を表現し，列挙法と二次計画法の組み合わせでこの問題を解く方法について検討した。また，計算機シミュレーションによって，提案内容が経済性の向上を実現することを示した。その要因は，蓄電池による負荷平準化と可制御電源の起動停止のタイミングや長さが変わったことであった。
6-275	レジリエンスを考慮した系統連系マイクログリッド最適運用計画決定手法の検討
6-275	◎劉安東・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-275 レジリエンスを考慮した系統連系マイクログリッド最適運用計画決定手法の検討 ◎劉安東・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）わが国では東日本大震災後の電力供給支障などを契機として，既存の電力インフラに全面的依存をせずに, 地域や建物単位に分散型電源を配置しバックアップ電源として機能させるマイクログリッド（MG）が注目されている。本稿ではレジリエンス（ここでは既存系統からの供給なしで自立運転によって電力供給を継続できる能力として定義）を一定時間確保した上で，エネルギーコスト最小化を目指した系統連系MG最適運用計画決定手法を提案し, 1年間の実データを基に計算シミュレーションによって，エネルギーコストやレジリエンス性（自立運転平均継続日数と自立運転最低日数）を指標として定量的評価を行った結果を報告するものである。
6-276	マイクログリッドの無停電自立移行のための予測型自己防衛自立制御の開発
6-276	◎今林正剛・中村亮介・熊谷正俊・渡辺雅浩（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-276 マイクログリッドの無停電自立移行のための予測型自己防衛自立制御の開発 ◎今林正剛・中村亮介・熊谷正俊・渡辺雅浩（日立製作所）本稿では商用系統停電直後のマイクログリッド（MG）域内周波数変動による自家発と負荷機器の脱落を防止する，予測型自己防衛自立制御を提案する。MGが系統との連系運転から自立運転へ移行する時，系統からの受電電力が0に減少することで，MG内の需給アンバランスよる周波数変動が発生し，自家発や負荷機器脱落につながる恐れがある。この問題に対して，UPS等の蓄電池の追加導入により無停電で自立移行することが考えられるが，蓄電池の高い導入コストが課題となる。そこで，本報告では蓄電池の追加導入なしでの無停電自立移行を可能にするMG内の機器制御手法を提案する。
6-277	離島のオフグリッドにおける発電設備量および蓄電設備量の決定手法
6-277	◎釜壮一郎・吉永淳・広橋亘・林泰弘（早稲田大学）・渡辺雅人（東京電力パワーグリッド）・瀧ヶ崎光（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-277 離島のオフグリッドにおける発電設備量および蓄電設備量の決定手法 ◎釜壮一郎・吉永淳・広橋亘・林泰弘（早稲田大学）・渡辺雅人（東京電力パワーグリッド）・瀧ヶ崎光（東京電力ホールディングス）近年、太陽光などの再生可能エネルギー、ガスタービンなどの分散型電源を用いて、電力系統から独立して、電力供給を行うオフグリッドの検討が進められている。この実現により、変電所から離れた地点への電力供給の際の、送電設備投資の抑制、自然災害などによる停電リスクの解消が期待される。オフグリッドを導入する際には、電力系統から切り離されているため、導入発電設備容量選定が重要となる。本稿では、現在、自家発電によって電力需要を行っている遠隔地に対してオフグリッド化を行った際のコストを最小化する導入発電設備容量とディーゼルエンジンの運転回数、蓄電池の容量の削減を目指して最適な初期SOCを決定する手法を提案する。
6-278	再生可能エネルギー電源が大量導入された離島系統における蓄電池と需要家機器の最適協調運転計画に関する一考察
6-278	◎杉本圭太・横山明彦（東京大学）・三川玄洋・河内清次（中国電力）電気学会全国大会講演要旨 6-278 再生可能エネルギー電源が大量導入された離島系統における蓄電池と需要家機器の最適協調運転計画に関する一考察 ◎杉本圭太・横山明彦（東京大学）・三川玄洋・河内清次（中国電力）近年，地球環境問題などにより，再生可能エネルギー電源の導入が加速している。しかし，再生可能エネルギー電源は出力が不安定であるため，需給バランス維持の問題がこれまで論じられてきた。このような問題は，離島系統においてより深刻である。離島においては，燃料輸送費による高い火力発電コストを抑えるために，再生可能エネルギーを利用する機運が高く，実際に導入が進んでいる。本研究では，再生可能エネルギー潜在量の高い離島系統に着目し，蓄電池（BESS: Battery Energy Storage System）及び需要家機器の協調制御による需給運用への効果を検証する。本稿においては，導入が想定されるBESS及び家庭用ヒートポンプ給湯機（HP: Heat Pump Water Heater）の協調運転による需給運用コストの削減効果について検討を行い、HPとBESSの最適化順序による結果の違いを示した。
6-279	電気自動車と太陽光・風力発電が導入された離島系統のエネルギー分析
6-279	◎大野雄輝・太田豊・中島達人・佐々木三郎（東京都市大学）電気学会全国大会講演要旨 6-279 電気自動車と太陽光・風力発電が導入された離島系統のエネルギー分析 ◎大野雄輝・太田豊・中島達人・佐々木三郎（東京都市大学）離島では燃料費削減のために再生可能エネルギー導入の要望が強い。本論文は離島系統に接続可能な再生可能エネルギーの導入量とディーゼル発電機の燃料削減効果について評価する。ディーゼル発電機の振る舞いと電気自動車の走行パターン,そして再生可能エネルギーとして太陽光発電と風力発電の天候状況を考慮した需給シミュレーションを行う。電気自動車を充放電制御し,分散型電力貯蔵装置として活用することで,ディーゼル発電機の運転効率向上や離島系統に接続可能な風力発電・太陽光発電導入量を増加でき,燃料費に晴天時5円/kWh、曇天時2円/kWh程度の削減効果が得られた。
6-280	車載蓄電池を活用したビル内電力マネジメントの形式手法に基づく一設計
6-280	◎木村祥子・薄良彦・石亀篤司（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-280 車載蓄電池を活用したビル内電力マネジメントの形式手法に基づく一設計 ◎木村祥子・薄良彦・石亀篤司（大阪府立大学）本報告では、電気自動車（EV）を含む分散型電源を活用したビルディング内電力マネジメントを検討する。具体的には、ビル内配電系統のブレーカに相当する電力システムのスイッチを、システムを取り巻く環境の変化に応じてリアクティブに決定する制御ルールを設計する。このルールにより、重要度に応じてレベル分けされた負荷への電力を供給可能にする。本設計に向けて、EVの移動を含むビル内分散型電源並びに配電系統の動作要件を線形時相論理（LTL）で記述し、記述したLTLからオープンソフトウェアを用いてスイッチのオン／オフルールを表すオートマトンを生成する。

A21-C3 電力システム（系統運用・解析）マイクログリッド（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-281	都市型マイクログリッドにおける蓄電池のSOCを考慮した連系点潮流制御手法
6-281	○安達友紀・山口順之（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-281 都市型マイクログリッドにおける蓄電池のSOCを考慮した連系点潮流制御手法 ○安達友紀・山口順之（東京理科大学）エネルギー需給制御に需要家の所有する分散型電源や蓄電池，制御可能な負荷を活用することが検討されている。そこで，分散型電源を商用系統と連系するための最適なシステム構成や分散型電源の制御手法が議論されている。先行研究では，蓄電池容量を使い切った際に短時間の変動に対応できず，買電電力の変動が大きくなることやマイクロガスタービンの出力変動が大きく，定格運転できないことが指摘されている。本報告では都市型マイクログリッドとしてマイクロガスタービンと蓄電池を導入した施設を系統連系させる想定のもとシミュレーションモデルを構築し，蓄電池のSOCを考慮してマイクロガスタービンを制御する手法を提案し，連系点潮流平滑化効果を評価した。
6-282	ハイブリッドマイクログリッドシステムにおける二次蓄電池と EDLC の協調制御による直流母線安定化の検討
6-282	◎齋藤明登・呉国紅（東北学院大学）電気学会全国大会講演要旨 6-282 ハイブリッドマイクログリッドシステムにおける二次蓄電池と EDLC の協調制御による直流母線安定化の検討 ◎齋藤明登・呉国紅（東北学院大学）本研究では、再生可能エネルギー発電を含む直流/交流マイクログリッドシステムにおける直流母線電圧の安定化について検討する。このシステムでは、直流母線に常に変動する再生可能エネルギー発電および直流負荷またはインバータを介して交流負荷が接続され、その電圧の安定化が課題であり、本論文はこれに焦点を絞り研究する。そのため、ハイブリッドマイクログリッドのシステム構成と異なる二種の蓄電デバイスを用いた直流電圧補償及びその協調制御を設計した。その上、シミュレーションモデルを作成・動作確認し、提案したシステムにおける協調制御の電力補償効果を確認できた。
6-283	400V級直流マイクログリッドの経済性および環境性評価の一考察
6-283	◎則竹政俊・廣瀬圭一（NTTファシリティーズ）・松村年郎・横水康伸（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-283 400V級直流マイクログリッドの経済性および環境性評価の一考察 ◎則竹政俊・廣瀬圭一（NTTファシリティーズ）・松村年郎・横水康伸（名古屋大学）新たな省エネルギー給電方式として直流給電方式がデータセンタや通信ビルを中心に普及が進んでいる。直流給電方式は太陽光発電などの再生可能エネルギーとの親和性が高いため、直流マイクログリッドへの展開も期待されている。本稿では、直流化による経済性および環境性の評価を実施するため、実証実験で得られたデータを基に、シミュレーションにより複数の条件に対する検証を行った。直流化により、年間を通じて16.6%の電気料金削減効果と、16.0%のCO2排出量削減効果が確認できた。
6-284	大災害時の避難所における独立型電力供給システムの検討（その1）
6-284	◎梅田拓磨・野呂康宏（工学院大学）電気学会全国大会講演要旨 6-284 大災害時の避難所における独立型電力供給システムの検討（その1） ◎梅田拓磨・野呂康宏（工学院大学）災害時において避難所は情報発信や避難生活の拠点となる需要施設であるため、自家発電設備の設置の声も高まっている。PVや蓄電池を用いて避難所に電力供給するシステムの検討例も幾つか存在する。しかし、東京都の公立小・中学校の空調機設置率はほぼ100％であるが、空調機を想定したものは少ない。そこで本研究では空調機の消費電力を含め避難所に必要となる機器および消費電力を想定し、首都直下型地震が起こった際の住宅地区にある避難所にPVと蓄電池で電力供給することを考えた。空調機の消費電力を計算により求めた結果外気温に則したものとなった。それを踏まえ需給バランスシミュレーションした結果PV容量は86[kW]、蓄電池容量は541[kWh]と求まった。
6-285	近似確率動的計画法による災害を考慮した CGS最適運用に関する分析
6-285	◎松下大介・小宮山涼一・藤井康正（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-285 近似確率動的計画法による災害を考慮した CGS最適運用に関する分析 ◎松下大介・小宮山涼一・藤井康正（東京大学）日本は一定の周期で大規模な地震が発生するリスクをかかえている．大地震の発生により停電をはじめとした大規模なエネルギー供給途絶が発生する．大規模なエネルギー供給途絶が社会に与える影響を軽減するため，対策を講じる必要がある．システムの強靭性と危機からの速やかな復旧を意味するレジリエンスの向上が必要である．そこで本研究では，災害によるエネルギー供給途絶を不確実性とし，数種類のエネルギー備蓄を状態変数とした，近似確率動的計画法により数理モデルを構築し，分析を行う．本研究では電力と比較し，供給途絶リスクの小さい都市ガスと備蓄可能なLPガスを利用可能なコージェネレーションシステムについてその最適運用について分析する．
6-286	分散エネルギー源による電力系統調整力提供のためのエネルギーマネジメント（燃料電池とCO2ヒートポンプ給湯機）
6-286	○安芸裕久・村田晃伸・近藤康彦・河尻耕太郎（産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-286 分散エネルギー源による電力系統調整力提供のためのエネルギーマネジメント（燃料電池とCO2ヒートポンプ給湯機） ○安芸裕久・村田晃伸・近藤康彦・河尻耕太郎（産業技術総合研究所）太陽光発電の大規模導入時に懸念される電力余剰と需要ランプアップに対し，需要家に設置された分散エネルギー源（DER）を活用して課題の低減を図ることが提案されている。DERを制御するためのエネルギーマネジメントシステムを開発した。経済インセンティブとして複数の時間帯別電気料金を用いた運用シミュレーションを行った。その結果からエネルギーマネジメントによって課題の低減が可能であるこちが示された。
6-287	家庭用ハイブリッドシステムにおけるFCとELの最適運用に関する研究
6-287	◎橋本幸輝・川原耕治（広島工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-287 家庭用ハイブリッドシステムにおけるFCとELの最適運用に関する研究 ◎橋本幸輝・川原耕治（広島工業大学）近年、太陽電池（PV）、蓄電池、燃料電池（FC）などの分散電源を制御し、二酸化炭素の排出量減少や系統内の事故時の安定な電力供給を目指しているスマートハウスが注目されている。我々の研究室では、PVにFC及び電気分解装置(EL)を併用した家庭用ハイブリッドシステムを構築し、運用実験及びデータの計測・収集を行っている。このような分散電源システムにおいて、翌日のシステムの最適運用計画を立てることで、さらなる省エネルギー性や運用コストの削減が期待される。本研究ではシステムの運用計画問題を、運用コストの期待値を最小にする確率計画問題として定式化した。本稿では立案計画による運用シミュレーションを行い、日射量等の不確実性を考慮せずに立てた計画との運用コスト比較を行う。
6-288	エネルギー効率を考慮した運転手法に基づく空調機器による需給調整規模の検討
6-288	◎木幡始史・坂本織江（上智大学）電気学会全国大会講演要旨 6-288 エネルギー効率を考慮した運転手法に基づく空調機器による需給調整規模の検討 ◎木幡始史・坂本織江（上智大学）本研究では再生可能エネルギーの出力変動に対する需給バランスの調整力として、エアコンを用いた負荷側での制御による調整規模について先行研究に基づいて検討した結果と、エアコン実機による負荷特性実験の結果を報告する。調整規模については、オフィスビルと一般家庭を対象として夏場のピークカット効果、天気の急変への対応、下げ代不足への対策についてエアコンの設定温度、運転台数の変更による消費電力調整幅の検討を行った。実験については、家庭用エアコンを用いて室内の熱負荷の変化に対するエアコンのCOP(エネルギー効率)と消費電力の特性ならびに、エアコンの運転周期を計測し、需給調整力の検討の参考にした。
6-289	地産地消率の向上を目的とした住宅タウンでのエネルギー管理手法の基礎検討
6-289	◎谷哲郎・芳澤信哉・吉永淳・広橋亘・林泰弘（早稲田大学）・梅岡尚・塩将一（積水化学工業）電気学会全国大会講演要旨 6-289 地産地消率の向上を目的とした住宅タウンでのエネルギー管理手法の基礎検討 ◎谷哲郎・芳澤信哉・吉永淳・広橋亘・林泰弘（早稲田大学）・梅岡尚・塩将一（積水化学工業）省エネルギー基準の改正により，年間の一次エネルギー消費量を正味でゼロにするネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの実現が，新築住宅においては明確化されている。実現には太陽光発電の設置が必要不可欠であり，蓄電池を併設させ，創エネ・蓄エネ設備を活用したエネルギー管理手法の開発が求められる。住宅一軒単位で考えるエネルギー管理よりも住宅タウンとして電力融通を行うことで，電力系統連系点での電力潮流低減や設備容量の削減に期待できることから，本稿では，太陽光発電と蓄電池が設置された住宅からなる住宅タウンを想定し，地産地消率の向上を目的として，各住宅の蓄電池を活用したエネルギー管理手法を提案する。

A21-C4 電力システム（系統機器・制御）蓄電池
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-290	発熱因子を考慮したリチウムイオン電池温度制御法
6-290	◎伊藤駿・長岡直人（同志社大学）電気学会全国大会講演要旨 6-290 発熱因子を考慮したリチウムイオン電池温度制御法 ◎伊藤駿・長岡直人（同志社大学）リチウムイオン二次電池は大容量蓄電媒体として様々な機器に搭載されている。しかし，電池の異常発熱により，発火・破裂等深刻な事故が発生している。そのため，電池の温度制御を行い，熱暴走を未然に防ぐ必要がある。従来の，温度上昇に対して電流を減少させる負帰還による制御法は，温度係数が正である不安定負荷に対しては，内部温度の急峻な変化に対応できない場合がある。したがって，電池温度を正確に制御できる手法が求められる。本稿ではまず，熱等価回路を用いてリチウムイオン電池表面温度波形から発熱因子を解析し，発熱と電池電流の関係を明らかにする。次に，電流制御により電池表面温度を目標値に追従させる手法を提案する。
6-291	デューティ比デジタル制御法による高効率 4直列キャパシタモジュール蓄電技術
6-291	甲斐亮太・田畑大輝・槙大輔・○中田俊司（近畿大学）電気学会全国大会講演要旨 6-291 デューティ比デジタル制御法による高効率 4直列キャパシタモジュール蓄電技術甲斐亮太・田畑大輝・槙大輔・○中田俊司（近畿大学）近年風力発電や太陽光発電に代表される再生可能エネルギーが注目されている。今後これら再生可能エネルギーが大量に商用系統に接続される場合に、交流周波数を一定とするためにエネルギー平準化を行う必要がある。エネルギー平準化のためには、充放電回数や動作可能温度の観点から電気2重層キャパシタへの蓄電が今後重要になると考えられる。キャパシタへの充電技術として、シャント抵抗を用いない構成のステップ電圧充電回路が提案されている。今回この回路の充電効率について考察したので報告する。
6-292	異なる分散型電源を導入したDCマイクログリッドシステムにおける蓄電池の動特性
6-292	◎長谷川知帆・細江忠司・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-292 異なる分散型電源を導入したDCマイクログリッドシステムにおける蓄電池の動特性 ◎長谷川知帆・細江忠司・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）低炭素化社会実現のために再生可能エネルギーを用いた太陽光発電などの導入が進んでおり、分散型電源を有するスマートグリッドやマイクログリッドが注目され、今後大小様々な規模のグリッドが電力系統内に構築されるものと思われる。本研究では、異なる分散型電源が導入された小規模系統を構築し、DCマイクログリッドシステムにおける蓄電池の動特性について検討した。
6-293	1.5MW蓄電池システム用屋外型PCSの開発
6-293	◎小松宏禎・平前正樹・川上紀子（東芝三菱電機産業システム）電気学会全国大会講演要旨 6-293 1.5MW蓄電池システム用屋外型PCSの開発 ◎小松宏禎・平前正樹・川上紀子（東芝三菱電機産業システム）国内では，太陽光発電や風力発電の系統への接続容量に制限が発生しており，その解決策の一つとして，蓄電池を用いた負荷平準や周波数制御による系統安定化があり，大容量蓄電池システムが変電所に導入されている。また，再生可能エネルギーを積極的に導入している北米では，大規模太陽光発電所との併設や市場化されているアンシラリーサービス向けの大容量蓄電池システム導入が拡大している。本論文では，北米市場向けに開発した，1.5MW-PCS について報告する。大容量蓄電池システムの導入拡大にあたりシステムコスト低減の観点から，電池の高電圧化も進んでおり，PCS の台数や設置工数の低減を図るために耐環境性の高い大容量屋外型PCS とした。
6-294	蓄電装置を導入した系統における制御運用の実験的検討
6-294	◎大脇大輝・細江忠司・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・谷口和彦・森田祐志（きんでん）・太田拓弥・三好宏明（山洋電気）電気学会全国大会講演要旨 6-294 蓄電装置を導入した系統における制御運用の実験的検討 ◎大脇大輝・細江忠司・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・谷口和彦・森田祐志（きんでん）・太田拓弥・三好宏明（山洋電気）近年，地球温暖化など地球環境問題が深刻になってきており，再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入が拡大と共に蓄電装置への期待が高まっている。この蓄電装置に関しては，電力コストの抑制，および災害時においてのバックアップ対策等に使用する需要家用蓄電装置への期待も高まっている(1)。本論文では，本学にある講義研究棟のグリッドシステムを使用し，蓄電装置の制御運用方法について検討を行ったので報告する。
6-295	南相馬変電所における蓄電池システムを活用した電圧変動抑制実証試験
6-295	○植田喜延・金山哲也・加藤信行・露木和生・田島健二（明電舎）・関口智弘・早川有史・松本光裕（東北電力）電気学会全国大会講演要旨 6-295 南相馬変電所における蓄電池システムを活用した電圧変動抑制実証試験 ○植田喜延・金山哲也・加藤信行・露木和生・田島健二（明電舎）・関口智弘・早川有史・松本光裕（東北電力）再生可能エネルギー（再エネ）の大量連系に伴い、再エネの出力変動に伴うローカル系統の電圧変動の発生が懸念されている。（一社）新エネルギー導入促進協議会が公募した「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」において、需給バランスの改善を目的として東北電力（株）南相馬変電所に導入された大容量蓄電池システムの無効電力出力機能を活用し、ローカル系統の電圧変動を抑制するための無効電力制御盤を開発・設置し、平成28年2月から運用を開始している。本稿では運用開始後約半年間の実証試験データの評価結果について報告する。
6-296	EVバスの運用に対する費用対効果
6-296	◎菊池拓仁・古川義英・宮内肇・松田俊郎（熊本大学）電気学会全国大会講演要旨 6-296 EVバスの運用に対する費用対効果 ◎菊池拓仁・古川義英・宮内肇・松田俊郎（熊本大学）地方のバス会社の多くは輸送人員の低下に加え、資金力の点から燃費の良くない高車齢のバスが多く事業経営が苦しい。そこで中古バスを安価にEVバス（電気バス）に改造する検証事業に着手し、その実用化を目指している。しかし、現在のEVバスはバッテリ容量が小さく航続距離が短いことに加え、安価に改造するとは言え特に初期費用が多額となるため投資回収が問題となる。本研究では、郊外バス路線を想定し、検証事業で得られた試作EVバスの諸元を元に、初期投資額と、想定路線にEVバスを運用した場合の運用コストを算定し、従来のディーゼル車を運用し続ける場合のコストとの差から、初期投資はおよそ7年で回収できることを示す。

141-C3 電力システム（系統機器・制御）配電システム（Ⅰ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-297	磁束制御型高圧電圧調整装置のシミュレーションおよび実測による協調動作検証
6-297	○大日向敬・有松健司（東北電力）・山田真・小島武彦（富士電機）・一ノ倉理（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-297 磁束制御型高圧電圧調整装置のシミュレーションおよび実測による協調動作検証 ○大日向敬・有松健司（東北電力）・山田真・小島武彦（富士電機）・一ノ倉理（東北大学）再生可能エネルギー導入拡大に伴う電圧変動や上昇への対応として，筆者らは，磁束制御技術を適用した電圧調整機器の開発を進めている。これまで可変インダクタの開発，可変インダクタを適用した電圧調整装置の開発や動作特性および他機器との協調動作について検証してきた。本論文では，電圧調整装置の制御モードや整定値の設定による他機器を含めた動作について，計算機シミュレーションおよびフィールド実証による検証結果について述べる。
6-298	太陽光発電インバータの単独運転検出用高調波能動信号の同期注入手法
6-298	◎佐伯颯太・布村直人・吉田義昭（広島工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-298 太陽光発電インバータの単独運転検出用高調波能動信号の同期注入手法 ◎佐伯颯太・布村直人・吉田義昭（広島工業大学）単独運転の検出は配電系統の保護保安上重要である。特に太陽光発電の発電量と負荷が平衡すると単独運転時の周波数変動の検出が困難であるため，高調波電圧変化の検出が有効である。しかし，系統や負荷の条件によっては単独運転時の高調波電圧が十分に変化しない場合が考えられる。単独運転時に負荷によって発生した高調波電圧をPVインバータの能動信号で増大させることができれば，周波数変動がほとんどない場合の単独運転検出に有効であろう。本研究では，単独運転時の負荷による高調波電圧を増大させる方向に，高調波能動信号を同期注入する手法を提案し，基礎的な実験検証を行う。なお，PVインバータは同期位相の推定を自端情報から行う。
6-299	改良のこぎり波乗算形による PFC コンバータを用いた無効電力制御が直流出力電圧変動に与える影響
6-299	◎近藤健一・馬場旬平（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-299 改良のこぎり波乗算形による PFC コンバータを用いた無効電力制御が直流出力電圧変動に与える影響 ◎近藤健一・馬場旬平（東京大学）配電系統の電圧上昇を抑制する対策として無効電力制御が考えられている。無効電力制御機器を追加設置するのではなく,既存の需要家機器内部の PFC (Power Factor Correction) コンバータで無効電力を制御する方法が検討されている。単相回路での無効電力制御はエネルギーの入出が必要であり，出力コンデンサがこのエネルギーを蓄積していると考えられ，無効電力制御によりコンバータの直流出力電圧変動が増加することが考えられる。本稿では無効電力制御時の直流出力電圧変動幅を検討し，直流コンデンサの容量が大きい場合，変動幅と入力皮相電力の関係が線形に近似できることを示した。また，シミュレーションにより，この線形関係を確かめた。本検討より機器定格以内での無効電力制御を行う場合，機器が想定する出力電圧変動幅を超えることがないと言える。
6-300	自励変換器における異常現象発生有無の判別手法の提案
6-300	○宜保直樹（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-300 自励変換器における異常現象発生有無の判別手法の提案 ○宜保直樹（電力中央研究所）電力系統に自励変換器を連系する前の試験等で異常現象を判別できれば電力品質の劣化や需要家機器等への影響を防ぐことができる。また、異常現象の原因解明のため変換器制作メーカーから変換器制御ブロックが提供されるとは限らないため、できるだけ容易な判別手法が望ましい。以上のことから、本稿では、変換器制御ブロックが不要で、かつ、実器を対象にソフトに起因した異常現象の発生有無を容易に判別できる手法を提案する。
6-301	分岐線用単柱装架形TVRの開発
6-301	◎平野南洋・久富和郎・河内祐也・白土紀明（ダイヘン）・加用随縁・岡本行平・古田将空（関西電力）・八太啓行（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-301 分岐線用単柱装架形TVRの開発 ◎平野南洋・久富和郎・河内祐也・白土紀明（ダイヘン）・加用随縁・岡本行平・古田将空（関西電力）・八太啓行（電力中央研究所）近年、太陽光発電(PV)の普及拡大に伴い、配電系統の電圧変動に対して適切に電圧調整することが重要となってきている。一方、PVが集中連系した分岐線の場合、幹線の分岐点電圧、PV出力量および分岐線亘長等によっては分岐線末端の電圧が逸脱し、幹線のSVRによる電圧調整では解消できないケースが起こりうる。そこで我々は上記の問題を解決するため、分岐線用に特化した小容量かつ小型の単柱装架形サイリスタ式自動電圧調整器(TVR)を開発した。本稿ではその仕様の概略を紹介するとともに、実系統における通常運転や異常発生状況を模擬したフィールド試験(保護機能検証試験)結果について報告する。
6-302	スマートインバータのVolt-VAR機能の制御パラメータ変更による無効電力出力量への影響評価
6-302	◎高澤佑太・赤木覚・芳澤信哉・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-302 スマートインバータのVolt-VAR機能の制御パラメータ変更による無効電力出力量への影響評価 ◎高澤佑太・赤木覚・芳澤信哉・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）近年，持続可能なエネルギーシステムの実現に向けた太陽光発電（以下，PV）の導入に伴い，配電系統における電圧上昇が問題となっている。この問題に対し，従来の制御では導入時に制御方式や制御パラメータを設定することが一般的であるが，今後はPV導入が進むにつれてPV出力・系統電圧は天候やPV 導入量によって大きく変化することが予想され，従来の制御に代わる柔軟な制御が期待される。本論文では，この柔軟性を持たせる機器として開発されているスマートインバータを用い，通信機能によって電圧制御機能の一つであるVolt-VAR機能のパラメータを天候によって変更することの有効性を無効電力出力量をもとに定量的に評価する
6-303	脈動補償インダクタ付き三相-三相マトリックスコンバータを用いた三相電圧不平衡補償
6-303	○山田理泰・小泉裕孝（東京理科大学）・廣瀬健太郎（東京電力パワーグリッド）・伊藤広和（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-303 脈動補償インダクタ付き三相-三相マトリックスコンバータを用いた三相電圧不平衡補償 ○山田理泰・小泉裕孝（東京理科大学）・廣瀬健太郎（東京電力パワーグリッド）・伊藤広和（東京電力ホールディングス）単相低圧分散型電源の普及により発生が懸念される高圧配電系統の三相電圧不平衡補償対策として、マトリックスコンバータを用いた補償システムが提案された。この研究では負荷が不平衡であることに起因する電流不平衡の補償は行っていないため、二次側電力は系統周波数の2倍の周波数で脈動する成分を持つ。脈動電力の存在によりマトリックスコンバータの一次側と二次側における電力の対称性が取れなくなり、一次側電流の低周波成分が増大し、入力電流のTHDが増大する。低周波成分は素子値の大きいフィルタでないと除去することが困難である。本研究では、パワーデカップリング技術を適用することにより、二次側電圧不平衡対策と同時に、一次側電流の歪みを抑制する手法を提案する。
6-304	PCSの単独運転検出機能に付加するFRT機能に関する研究
6-304	◎矢野淳平・川﨑章司（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-304 PCSの単独運転検出機能に付加するFRT機能に関する研究 ◎矢野淳平・川﨑章司（明治大学） PVの今後の大量導入に伴い，系統に不安定な影響が出てくる可能性が懸念されている。その一つとして，落雷などの系統事故による瞬時電圧低下（以下，瞬低）の発生に伴い，パワーコンディショナー（PCS）が不要動作を引き起こし，本来解列すべきでないPCSが次々に解列して大規模停電に繋がる恐れがある。このためPCSには事故時に運転継続させるためのFRT（Fault Ride Through）機能の設置が求められている。また電力系統において単独運転が発生すると，公衆感電の恐れがあるため，これを確実に防止するためにPCSには単独運転検出機能が備わっている。本研究では，PCSに付加するFRT機能を提案し，FRT機能と単独運転検出機能との相互作用について解析及び検証を行う。
6-305	A Study on Reduction of EMI Noise Emissions from PV Panels
6-305	◎ヒシャムミュラッド・長岡直人（同志社大学）電気学会全国大会講演要旨 6-305 A Study on Reduction of EMI Noise Emissions from PV Panels ◎ヒシャムミュラッド・長岡直人（同志社大学） In this paper, electromagnetic noise radiated from a real PV power system was measured. High level noise was detected at 38 MHz. The measured results were proved by a calculation using FDTD method. Two solutions were proposed to reduce the noise radiated from the panels. Both proposed methods reduced the noise by 80%.
6-306	太陽光発電の出力変動に対する自動電圧調整機器の挙動の考察
6-306	◎杉村修平・田邊隆之（明電舎）・柴田道博・冨士重之（北海道電力）電気学会全国大会講演要旨 6-306 太陽光発電の出力変動に対する自動電圧調整機器の挙動の考察 ◎杉村修平・田邊隆之（明電舎）・柴田道博・冨士重之（北海道電力）配電系統において、太陽光発電の短周期変動に対応できる電圧制御機器としてTVRが注目されている。TVRは動作が早く、短周期変動に対応できるが、一方で回廊構成上タップ切替時に素通しタップに切替える必要があり、頻繁にタップ切替が行われると、短周期変動が増加する虞がある。そこで、本稿では、SVRとTVRモデルを作成し、電圧制御に用いることで、太陽光発電の出力変動に対する両者の挙動を比較した。

141-C4 電力システム（系統機器・制御）配電システム（Ⅱ）
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-307	太陽光発電の出力波形の分類に基づく出力抑制待機効果の天候特性の評価
6-307	◎成瀬裕矢・芳澤信哉・吉永淳・林泰弘（早稲田大学）・緒方司郎（オムロン）電気学会全国大会講演要旨 6-307 太陽光発電の出力波形の分類に基づく出力抑制待機効果の天候特性の評価 ◎成瀬裕矢・芳澤信哉・吉永淳・林泰弘（早稲田大学）・緒方司郎（オムロン）昨今，PCSによる出力抑制の動作時限が電圧制御機器と協調した値に整定できるように系統連系規程が改定された。出力抑制の動作時限設定は出力抑制待機を意味しており，逆潮流増加による電圧上昇時に出力抑制が働く前に電圧制御機器の動作を促し，抑制量緩和と効果的な電圧制御に期待できる。一方，待機時には電圧逸脱も想定されるため，抑制量削減効果と電圧逸脱リスクを考慮した待機時間設定が必要となる。また，抑制待機効果は天候に依存した結果が想定されるため，各天候の系統への影響を把握した上での待機時間設定には意義があると考える。そこで本論文では，PV波形を分類し，各分類結果での待機の有無による出力抑制量，電圧逸脱量，タップ動作の差から抑制待機効果の天候特性を把握する。
6-308	力率制御と連系開閉器制御による電圧制御方式
6-308	◎栗栖慎也・永田武（広島工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-308 力率制御と連系開閉器制御による電圧制御方式 ◎栗栖慎也・永田武（広島工業大学）本稿では，太陽光発電装置に併設されるPCSを用いる方法に着目し，フィーダに連系する複数の分散電源の力率制御とフィーダ間連系開閉器制御との組合せによる電圧制御方式を検討した。システムを構築する上では分散型システムを容易に構築できるシステムの一つであるマルチエージェントシステムを採用した。フィーダエージェントはフィーダ内完結型制御を実施し，フィーダ内に解が存在しない場合にはフィーダグループエージェントが連系開閉器を操作し，電圧制御を実施するという2階層の制御方式を実装している。シミュレーションの結果から，分散電源の有効活用に加えて，系統構成を変更することにより，力率制御量の低減化の可能性を示した。
6-309	Voltage Control in PV Connected Distribution System via Cooperation Control of BESS and SVR
6-309	◎閻青源・青木睦（名古屋工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-309 Voltage Control in PV Connected Distribution System via Cooperation Control of BESS and SVR ◎閻青源・青木睦（名古屋工業大学） In this paper, BESS along with the established devices, Step Voltage Regulator (SVR), is cooperated to control the voltage in distribution system. Because BESS is relatively with high cost, it needs to be used with proper state of charge (SOC) to protect it from overcharge/discharge. The combination of BESS and SVR realize the SOC management of BESS, and the method to deal with the delay of SVR in voltage regulation is proposed.
6-310	Missing Meter Readings Estimation in Secondary Distribution Networks
6-310	◎Daisuke Kodaira・Sekyung Han（Kyungpook National University）電気学会全国大会講演要旨 6-310 Missing Meter Readings Estimation in Secondary Distribution Networks ◎Daisuke Kodaira・Sekyung Han（Kyungpook National University） Smart meters often fail to measure or transmit energy consumption data, called meter readings, due to faulty measuring equipment or unreliable communication modules. Existing studies don’t address successive and non-periodical missing meter readings. In this paper, missing readings observed at a missing meter node are estimated using circuit theory principles, leveraging minimum data of voltage and current of adjacent nodes. In a case study the proposed method successfully estimate missing readings over the whole day containing outages and unpredictable perturbations.
6-311	自立運転継続を目的とした発電機器および負荷機器制御手法
6-311	○吉永淳・広橋亘・林泰弘（早稲田大学）・三宅治良（東京ガス）・大橋誠（オムロン）電気学会全国大会講演要旨 6-311 自立運転継続を目的とした発電機器および負荷機器制御手法 ○吉永淳・広橋亘・林泰弘（早稲田大学）・三宅治良（東京ガス）・大橋誠（オムロン）自立運転の継続を目指し，発電機器の制御に加え，負荷機器の制御法について検証を行う。なお，HEMS－機器間は，国内の標準通信規格であるECHONET Liteを活用し，停電時の家庭内自立運転システム制御におけるECHONET Liteの有効性を検証する。
6-312	可制御負荷利用を目指したチラー冷凍機の性能評価
6-312	◎深井威志・近藤健一・竹内悠・馬場旬平（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-312 可制御負荷利用を目指したチラー冷凍機の性能評価 ◎深井威志・近藤健一・竹内悠・馬場旬平（東京大学）近年，再生可能エネルギーの系統への導入が進んでいる。太陽光発電や風力発電は天候により出力が変動する。また，これらの再生可能エネルギーの増加により従来需給調整を担っていた系統側の火力・水力発電の割合が減少し，需給調整に悪影響を与え，周波数維持が困難になる。本研究では，需給調整，周波数維持に貢献するため需要家機器の消費電力を制御することを考え，チラー製氷機の消費電力及び熱系のモデルを作成し，制御方法を検討する。本稿では，モデル化に必要となるチラー製氷機の COP 特性，配管等の熱損失を実データから取得し，報告する。
6-313	将来の配電系統における電圧制御システムへの国際標準規格の適用検討
6-313	◎古賀雄一郎・梅崎一也・吉田高・磯谷仁志・金澤康久・大丸清旭・高橋竜生（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-313 将来の配電系統における電圧制御システムへの国際標準規格の適用検討 ◎古賀雄一郎・梅崎一也・吉田高・磯谷仁志・金澤康久・大丸清旭・高橋竜生（富士電機）再生可能エネルギーの拡大に伴い電圧調整機器を配電線全体で最適制御する電圧制御システムが必要となる。一方、国際標準化において、配電分野へのIEC 61850の適用が検討されている。そこで将来の配電系統における電圧制御システムへのIEC 61850適用の検討評価の結果を報告する。

A21-C1 電力システム（系統機器・制御）分散電源
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-314	日射強度実測値による分散型エネルギーシステムの運用の検討
6-314	竹本泰敏・◎牧田大毅（日本工業大学）・平井涼介・藤田吾郎（芝浦工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-314 日射強度実測値による分散型エネルギーシステムの運用の検討竹本泰敏・◎牧田大毅（日本工業大学）・平井涼介・藤田吾郎（芝浦工業大学）近年では，環境問題への対策として再生可能エネルギーの導入促進，電力系統の効率化が求められている．また，情報通信技術を用いて効率的な運用を行うことや電力の地産地消を行うことで効率化を進めることも注目されている．しかし，再生可能エネルギーの利用拡大は，自然変動を有するエネルギー源であるため太陽光発電，風力発電等は，発電出力の不確実性等の課題がある．そこで本研究では，電力資源の地産地消を目的としたエネルギーの効率的な運用を行うため，安定的に電力供給が可能な分散型エネルギーシステムの構築および運用方法の提案する．また，数値解析によりこれらを評価することを目的とする．
6-315	DFIGを用いたガスエンジン発電システムの励磁分担制御による定常運転特性の向上
6-315	◎吉川敦盛・三浦友史・伊瀬敏史（大阪大学）・板屋貴大・小林和伸・山室幸三（大阪ガス）電気学会全国大会講演要旨 6-315 DFIGを用いたガスエンジン発電システムの励磁分担制御による定常運転特性の向上 ◎吉川敦盛・三浦友史・伊瀬敏史（大阪大学）・板屋貴大・小林和伸・山室幸三（大阪ガス）二次励磁型誘導発電機(DFIG)を用いたガスエンジン発電システム運転領域拡大及び効率向上を目的としている。本研究では、発電システムの系統連系運転時において回転子側変換器(RSC)と系統側変換器(GSC)の両方を用いて励磁分担制御を行う。RSCを用いた二次側からの励磁に加えて、GSCを用いた一次側からの励磁を行うことで二次電流が減少することにより発電システムの運転領域を拡大できる。また、二次電流の減少に伴い、DFIG内部及びRSCにおける損失が減少することから、発電システムの発電効率が向上する。この制御方式について10kW級実験装置を用いて効率特性の測定実験を行うことで、励磁分担制御によるDFIG発電システムの運転領域拡大及び発電効率の向上を示した。
6-316	系統連系時の潮流発電システムの電流応答－二次側から系統連系した場合の検討－
6-316	◎辻健太郎・直井和久・塩野光弘（日本大学）電気学会全国大会講演要旨 6-316 系統連系時の潮流発電システムの電流応答－二次側から系統連系した場合の検討－ ◎辻健太郎・直井和久・塩野光弘（日本大学）我々は、ダリウス形水車と二重給電誘導発電機（DFIG）を接続した潮流発電システムを提案した。これまでに、このシステムが最大出力点追従制御方式で運転する場合の速度制御システムの応答についてシミュレーションにより検討を行った。しかし、発電開始流速未満の流速においても系統と連系されているため、系統から電力供給を受ける時間が存在していた。本稿では、この時間を無くすことを目的として、DFIGの一次側、二次側に開閉器を設けることを提案した。次に、開閉器を二次、一次の順に投入する際、電流のピーク値を最小とする二次電圧および一次電圧の投入位相に対する電流応答についてシミュレーションにより検討を行った。
6-317	小水力発電用コンバータにおける連系/自立運転の自動切換方式の動作検証
6-317	◎矢野淳也（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-317 小水力発電用コンバータにおける連系/自立運転の自動切換方式の動作検証 ◎矢野淳也（明電舎）当社では再生可能エネルギーの中で安定した電力供給が可能な小水力発電に関する製品開発を行っている。永久磁石発電機(PMG)と電力変換装置を組み合わせたシステム構成によって，系統停電時でも発電した電力を所内系統に供給する自立運転機能を特長としている。自立運転には災害時の電源確保としての市場ニーズが高いため，システム停止による所内系統の停電時間短縮を目的とした，系統の停電・復電に応じた運転モードの自動切換を行う技術が要望されている。本論文では，自立運転で動作している状態から系統が復電して無瞬断で連系運転に切換える際に，過電流発生を抑制する制御方式を提案し，その実験結果を報告する。
6-318	雪氷冷熱利用温度差発電システムのコスト評価
6-318	◎森永成・原亮一・北裕幸・田中英一（北海道大学）電気学会全国大会講演要旨 6-318 雪氷冷熱利用温度差発電システムのコスト評価 ◎森永成・原亮一・北裕幸・田中英一（北海道大学）気候が温暖な地域では海洋温度差発電の研究が進められている。海洋温度差発電は再生可能エネルギー発電の一種であり、資源の枯渇がなく、発電時における温暖化ガスの排出がない。また、天候依存性が少なく、安定した出力が期待できるといった多くのメリットを有する。また、北海道では冬季に多くの降雪があり、雪氷の持つエネルギーの有効利用に向けた取り組みが進められている。しかし、雪冷房システムでは、貯雪庫周辺の建物にしか冷房を供給できないことや、そもそも北海道のような夏が短い地域では冷熱を利用できる時期が限定されてしまうなどの使いにくさも有する。本稿では雪氷エネルギーを冷房用の冷熱源として使用するのではなく、OTECと同様の温度差発電として雪氷冷熱利用温度差発電を提案している。本稿では提案システムの概要を説明するとともに、その経済性を評価する。
6-319	蓄電池用スマートインバータの外部制御に対する相互運用性の試験法の開発
6-319	◎橋本潤・大谷謙仁（産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-319 蓄電池用スマートインバータの外部制御に対する相互運用性の試験法の開発 ◎橋本潤・大谷謙仁（産業技術総合研究所）本稿では蓄電池用スマートインバータに実装が進む次世代系統サポート機能の通信制御に係わる相互運用性の試験法開発について報告する。また開発した試験法による試験結果の一部を紹介する。国際スマートグリッド研究施設ネットワーク（SIRFN）に加盟する4つの研究機関（米SNL、墺AIT、伊RES、日AIST）共同でIEC TR61850-90-7に基づきかつ各国の系統連系規定に適合する蓄電池用スマートインバータの制御プロトコル及び相互運用性確認試験の試験法ドラフトをまとめた。策定した試験法に基づき、各研究機関で試験を実施し、試験結果の妥当性について相互検証を行っている。
6-320	自家用電気設備モデルの設計と電源切替模擬による妥当性検証
6-320	◎矢渡遼・三田村和也・片山明彦・高野浩貴・田岡久雄・本堂義記（福井大学）・谷口和彦・森田祐志（きんでん）電気学会全国大会講演要旨 6-320 自家用電気設備モデルの設計と電源切替模擬による妥当性検証 ◎矢渡遼・三田村和也・片山明彦・高野浩貴・田岡久雄・本堂義記（福井大学）・谷口和彦・森田祐志（きんでん）自家用電気設備では定期点検を行い、設備の状態を把握する必要がある。しかし、実際の自家用電気設備で設備の状態を正確に把握するのは現実的ではなく、点検中に問題が確認されても、その原因を究明することは困難となる。数値解析ソフトウェアで忠実に設備を再現することは、設備内各箇所の測定かつシームレスな数値シミュレーションができることや、問題が発生した際などでも設備の状態を容易かつ詳細に把握できる。本研究では，自家用電気設備の汎用モデルを設計し，数値解析ソフトウェアを使用して，動作試験を再現できる環境を構築することを目的としている。本稿では，XTAPを用いて自家用電気設備モデルを構築し，電源切替試験の再現による動作検証を行った。その結果，電源切替試験における設備の状態を、モデルで再現できたことを確認した。

301-C3 電力システム（系統保護・制御装置）保護リレー・監視制御
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-321	保護リレーユニット交換の対象範囲拡大
6-321	○西誠・山本康弘・大槻浩二・深田勉（日新電機）・堀口和洋・三島祐一（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-321 保護リレーユニット交換の対象範囲拡大 ○西誠・山本康弘・大槻浩二・深田勉（日新電機）・堀口和洋・三島祐一（関西電力） 1980〜1990年代にかけて電力会社へ納入された700mm幅静止形送電線保護リレー装置の更新方法としてユニット交換による更新工事を行っている。今回、適用対象範囲の拡大を目的として、350mm幅静止形送電線保護リレー装置のユニット交換方法を検討し、実施したため紹介する。
6-322	変圧器ダイナミックレイティング装置の開発
6-322	安田忠彰・萩元信彦・竹井勝則・市川義治（東京電力パワーグリッド）・◎渡辺真也・三浦祥吾・新庄敏・若松直樹（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-322 変圧器ダイナミックレイティング装置の開発安田忠彰・萩元信彦・竹井勝則・市川義治（東京電力パワーグリッド）・◎渡辺真也・三浦祥吾・新庄敏・若松直樹（東芝）本稿では，現在の設備使用条件下での熱的許容限度（熱的に設備運用を許容できる限界）を把握することで定格容量を超えた運用を可能にするダイナミックレイティングという運用手法を変圧器へ適用した，変圧器ダイナミックレイティング装置（以下，DTR装置）の開発内容とフィールド試験結果について報告する。 DTR装置は巻線温度，油温，寿命損失を演算し，運用支援情報を運用者へ通知すると共に，平常時は定格容量を超えないよう，再生可能エネルギーおよび発電機に発電出力抑制信号を出力し，緊急時は発電機および変圧器への遮断信号を出力する機能を実装している。また，フィールド試験では実際の外気温，油温センサ情報を用いてDTR装置の演算の妥当性評価を行った。
6-323	オンライン事前演算型系統安定化システムにおける電制量の事前補正方法
6-323	○木村操・石原祐二・前田隆文・井上泰典（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-323 オンライン事前演算型系統安定化システムにおける電制量の事前補正方法 ○木村操・石原祐二・前田隆文・井上泰典（東芝）系統事故時の発電機脱調を防止するオンライン事前演算型系統安定化システムの課題の一つに、演算周期中に生じた系統状態変化への対応がある。その解決策として、予め求めておいた系統状態と電制量の関係を表す回帰式を用いて、電制量を補正する方法について述べる。電気学会標準系統EAST30をベースに、負荷や再エネ出力などを様々な条件とした系統データを作成、シミュレーションで電制量を求めて教師データとし、回帰式を構築した。シミュレーションの電制量を正として回帰式の電制量の誤差を評価したところ、最大で229MWと比較的小さい結果であった。
6-324	事故点標定を目的とした6．6kV通電線路でのパルス波によるTDR測定
6-324	◎竹谷大輔・笹岡毅志・加用随縁（関西電力）・松嶋徹・久門尚史・和田修己（京都大学）電気学会全国大会講演要旨 6-324 事故点標定を目的とした6．6kV通電線路でのパルス波によるTDR測定 ◎竹谷大輔・笹岡毅志・加用随縁（関西電力）・松嶋徹・久門尚史・和田修己（京都大学）架空配電系統における事故点標定に、パルス波を用いたTDR測定[1]の適用を検討している。これまでの研究から、架空配電系統に注入したパルス波は、事故点だけでなく線路の分岐や装柱によりインピーダンスが不整合となる事故点以外でも反射することがわかっており、事故点の反射波を特定する方法が必要になっている。本報告では、事故前（通電状態）と事故後（停電状態）の差分により事故点の変化だけを抽出することを志向し、事故前想定の6.6kV通電状態で行ったTDR測定結果について報告する。 [1]Time Domain Reflectometry:入射信号と反射信号の時間差によりターゲットまでの距離を標定する技術
6-325	高低圧混触地絡事故の低圧配電線側からの直接検出に関する基礎検討
6-325	○吉田義昭・佐伯颯太・布村直人（広島工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-325 高低圧混触地絡事故の低圧配電線側からの直接検出に関する基礎検討 ○吉田義昭・佐伯颯太・布村直人（広島工業大学）従来，高圧側と低圧側は柱上変圧器を介して接地系が分離されているため，低圧側から高圧配電線側の地絡事故を検出（直接検出）することは定常状態を扱う交流理論では不可能とされてきた。確かに高圧側の零相電圧や零相電流を低圧側で検出することは困難である。そこで，著者らは地絡事故による高圧三相電流は不平衡が著しいことから，線路インピーダンスにより電圧降下が生じ，線間電圧や電圧不平衡に変化が起きる可能性を検討する。本論文では非対称三相交流回路の解析により，高低圧混触事故時の低圧側の線間電圧に生じる変化を定量的に明らかにする。検討の結果，線間電圧の変化は1%程度であるが，低圧系統からの地絡事故直接検出の可能性が示された。
6-326	鳥によるテンションセンサー誤動作の予防対策
6-326	○佐藤信之・菅野純弥（東京電力ホールディングス）・石塚良成（東京電力パワーグリッド）電気学会全国大会講演要旨 6-326 鳥によるテンションセンサー誤動作の予防対策 ○佐藤信之・菅野純弥（東京電力ホールディングス）・石塚良成（東京電力パワーグリッド） 2015年12月にある変電所において、テンションセンサーの誤動作が頻発した。その要因は、鳥類（主にカラス）が大量にテンションセンサー上に貯留し、その自重にて誤動作していることが判明した。そこで、我々は太陽光発電所で実験したテグスによる忌避装置の適用を検討した。本論文では、鳥忌避装置の適用方法とその効果について報告する。
6-327	風車用雷撃検出カウンタの開発
6-327	◎柴田啓介・山本和男・角紳一（中部大学）電気学会全国大会講演要旨 6-327 風車用雷撃検出カウンタの開発 ◎柴田啓介・山本和男・角紳一（中部大学）風力発電設備は周囲に建物が少ない場所に建設されることが多く，落雷の対象となりやすい。風車へ落雷があると着雷場所によってはブレードが破損し，一部が飛散することがあり，公衆の安全を確保するためにはこのような事故は避けなければならない。このような事故を防ぐには，風車に雷撃があった時にそれをすばやく正確に検知し，風車を停止・点検することが重要となる。本論文では風車への雷撃を正確に検知する装置を開発したので報告する。
6-328	四国電力(株)坂出発電所2号機向けセンサレス制御を適用したサイリスタ起動装置
6-328	◎安司寛貴・塩﨑裕一・影山隆久・熊田英男・種田智明（東芝）・石橋次郎・藍谷公生（四国電力）・杉本政義（四電エンジニアリング）電気学会全国大会講演要旨 6-328 四国電力(株)坂出発電所2号機向けセンサレス制御を適用したサイリスタ起動装置 ◎安司寛貴・塩﨑裕一・影山隆久・熊田英男・種田智明（東芝）・石橋次郎・藍谷公生（四国電力）・杉本政義（四電エンジニアリング）四国電力(株)の坂出発電所2 号機発電設備の経年劣化に伴い，(株)東芝は，LNG を燃料とするコンバインドサイクル発電方式(ガスタービン + 蒸気タービン)にリプレースを行った。コンバインドサイクルで使用するガスタービンは，自立起動できないため，所定の回転速度まで昇速する外部駆動として，サイリスタ起動装置(LCI装置)と組み合わせて使用する。今回LCI 装置に(株)東芝の最新制御コントローラを採用することで，LCI のセンサレス制御を実現した。センサレス制御を適用したLCI装置により，低回転速度領域の発電機電圧が低い所で，磁束推定から回転角度を検出し，発電機の回転速度を昇速することを確認したため，本稿にて報告する。

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電気学会全国大会 講演要旨

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