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G202-B1 電力システム（開閉器・避雷器） GIS3月13日午前 G棟 G202教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-001	直流GISにおけるスペーサ帯電の絶縁への影響評価
6-001	菊地佑輔・中信公志・伊藤保則・森田淳吾（中部電力）・鴨志田真一・○加藤達朗・渡辺篤司・山極時生（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-001 直流GISにおけるスペーサ帯電の絶縁への影響評価菊地佑輔・中信公志・伊藤保則・森田淳吾（中部電力）・鴨志田真一・○加藤達朗・渡辺篤司・山極時生（日立製作所）電力の効率的な運用を考慮すると世界規模での大容量直流送電が求められており，環境影響を配慮すると金属タンクに収納する直流GISの適用が有効である。直流GISに適用されるスペーサに対して，帯電状況を観測し絶縁への影響を定量的に評価した。実器モデルで直流電圧を印加してスペーサを帯電させ，異なるスペーサ形状に対して帯電電荷密度を測定した。結果として，運転状況を考えた場合には形成された帯電電荷量はスペーサ形状によらず，絶縁性能に与える影響は極めて小さいことがわかった。
6-002	直流GISにおける絶縁スペーサの帯電現象：4000時間経過後のエポキシスペーサ上の表面帯電特性
6-002	◎嶋川肇・松岡成居・熊田亜紀子・日高邦彦（東京大学）・安岡孝倫・保科好一・武井雅文（東芝エネルギーシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-002 直流GISにおける絶縁スペーサの帯電現象：4000時間経過後のエポキシスペーサ上の表面帯電特性 ◎嶋川肇・松岡成居・熊田亜紀子・日高邦彦（東京大学）・安岡孝倫・保科好一・武井雅文（東芝エネルギーシステムズ）直流GIS内の絶縁スペーサでは，直流電圧印加時の帯電によって逆極性電圧印加時の絶縁破壊電圧が低下すると指摘され，機器の性能向上のためにはその帯電現象の解明は必須となる。本研究では，直流GIS摸擬環境下でシリカ充填エポキシ樹脂製の絶縁スペーサを用いた長時間電圧印加帯電特性を測定した。今回4000時間経過後の結果を報告する。実験結果として，中心電極付近には印加電圧と同極性の正電荷，接地電極付近には負電荷が帯電し，時間経過に従い帯電が進展した。また，スペーサ上の各点の帯電量は一定値に収束する傾向があった。その時定数は700時間から1000時間となり，スペーサ表面の誘電率と抵抗率から算出した時定数とよく一致した。
6-003	直流ガス絶縁電力機器の極性反転時における傾斜機能材料の電界制御効果
6-003	◎伊豆淳宏・小島寛樹（名古屋大学）・加藤克巳（新居浜工業高等専門学校）・早川直樹（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-003 直流ガス絶縁電力機器の極性反転時における傾斜機能材料の電界制御効果 ◎伊豆淳宏・小島寛樹（名古屋大学）・加藤克巳（新居浜工業高等専門学校）・早川直樹（名古屋大学）ガス絶縁開閉装置(GIS)等の小型化に向けて，傾斜機能材料(FGM)によるスペーサ周辺の電界制御について検討している．これまでに交流GISスペーサへのFGM適用による電界制御，直流GISスペーサの定常電圧印加時におけるFGMの電界制御について報告してきた．今回，直流GISの極性反転時におけるFGM適用効果について検討を行った．その結果，誘電率により交流定常時の電界制御を行い，導電率により直流定常時の電界制御行うことにより誘電率と導電率分布を複合したε/σ-FGMにより極性反転時の最大電界を制御し得ることがわかった．
6-004	ガス絶縁開閉装置内のガス-固体複合絶縁における直流電界ストレスの時間・空間推移特性
6-004	◎中根龍一（愛知工業大学）・加藤克巳（新居浜工業高等専門学校）・岡本健次（富士電機）・大久保仁（愛知工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-004 ガス絶縁開閉装置内のガス-固体複合絶縁における直流電界ストレスの時間・空間推移特性 ◎中根龍一（愛知工業大学）・加藤克巳（新居浜工業高等専門学校）・岡本健次（富士電機）・大久保仁（愛知工業大学）信頼性のある直流電力システムの実現のため，直流ガス絶縁開閉装置(DC-GIS)内における直流電界分布特性の現象究明が求められている．筆者らは，これまで直流電圧印加時の複合絶縁系における固体絶縁物表面上の電荷蓄積および，それにともなう直流電界ストレスの時間変化特性について報告してきた．今回は，実形状絶縁スペーサを想定した解析モデルを用いて，直流電圧印加時の絶縁スペーサ表面上の電荷密度分布ならびにガス中電界ストレスの時間変化特性の検討を行った．その結果，ガス中電界ストレスとその最大電界となる場所は，複合絶縁系の導電特性，すなわち電荷供給状態に依存して時間・電界空間的に変化することを定量的に明らかにした．
6-005	可変配合注型法によるコーン型FGM絶縁スペーサの作製
6-005	落合健太・伊豆淳宏・◎鳥前勇作・小島寛樹（名古屋大学）・加藤克巳（新居浜工業高等専門学校）・渡辺桂司（ナガセケムテックス）・満留博・柳瀬博雅・岡本健次（富士電機）・早川直樹（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-005 可変配合注型法によるコーン型FGM絶縁スペーサの作製落合健太・伊豆淳宏・◎鳥前勇作・小島寛樹（名古屋大学）・加藤克巳（新居浜工業高等専門学校）・渡辺桂司（ナガセケムテックス）・満留博・柳瀬博雅・岡本健次（富士電機）・早川直樹（名古屋大学） NEDO プロジェクト「電力機器用革新的機能性絶縁材料の技術開発」において，機器内の電界緩和を実現するべく，誘電率傾斜機能材料（FGM）を適用した絶縁スペーサの開発・実用化を目指している．今回，可変配合注型法によるコーン型FGM 絶縁スペーサの作製および，そのフラッシオーバー電圧の評価を試みた．その結果，SrTiO3コンポジットおよびSiO2 コンポジットを用い，高電圧導体の軸方向に比誘電率が12 から4 まで傾斜するFGM スペーサの作製に成功した．FGM スペーサのフラッシオーバー電圧は誘電率一定のスペーサよりも約10%高く，FGM の誘電率傾斜による電界緩和効果を検証することができた．
6-006	FGM絶縁スペーサの誘電率分布逆求解に関する基礎検討
6-006	○加藤克巳（新居浜工業高等専門学校）・小島寛樹・早川直樹（名古屋大学）・満留博・柳瀬博雅・岡本健次（富士電機）・大久保仁（愛知工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-006 FGM絶縁スペーサの誘電率分布逆求解に関する基礎検討 ○加藤克巳（新居浜工業高等専門学校）・小島寛樹・早川直樹（名古屋大学）・満留博・柳瀬博雅・岡本健次（富士電機）・大久保仁（愛知工業大学）筆者らは，高電圧機器のコンパクト化を目的として，誘電率傾斜機能材料（e-FGM）の適用を目指している。今回，e-FGMによる電界緩和効果を最大化するための，誘電率分布逆求解手法を検討し，基礎計算による検証を行った。逆求解で得られた誘電率分布を適用した結果，最大電界強度の20％低減と，電界の一様化をはかることができた。
6-007	誘電率傾斜絶縁スペーサにおける流動解析により求めた樹脂分布の妥当性検証
6-007	○今井隆浩・竹内美和（東芝インフラシステムズ）・保科好⼀（東芝エネルギーシステムズ）・小島寛樹・早川直樹（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-007 誘電率傾斜絶縁スペーサにおける流動解析により求めた樹脂分布の妥当性検証 ○今井隆浩・竹内美和（東芝インフラシステムズ）・保科好⼀（東芝エネルギーシステムズ）・小島寛樹・早川直樹（名古屋大学）ガス絶縁スイッチギヤ（GIS）用絶縁スペーサの誘電率を傾斜することで，高電圧導体近傍の電界を緩和し，GISタンク径の縮小を目指している。絶縁スペーサは，金型にエポキシ注型樹脂を流し込むことで作製される。今回，誘電率の異なる樹脂を，順次，金型に流し込むシミュレーションにより，絶縁スペーサ内における樹脂分布を求めた。また，実験により作製した絶縁スペーサとの比較検証により，シミュレーションによる樹脂分布が妥当であることを確認した。

G202-B2 電力システム（開閉器・避雷器） GIS・LA3月13日午前 G棟 G202教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-008	72kV縮小型C-GISの開発
6-008	◎村上達郎・片山晴理・武脇大樹・長綱望・鶴田豊久・小林徹（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-008 72kV縮小型C-GISの開発 ◎村上達郎・片山晴理・武脇大樹・長綱望・鶴田豊久・小林徹（明電舎）近年，変電所の設置をビルの屋上や地下，また既設変電所の空き地へ行うなどスペースの有効利用の要求が一段と強くなっている。そのため，今まで以上に機器の小型化，軽量化が求められている。今回，72kV C-GISにおいて小型化をコンセプトに開発を行った。小型化は当社の現行72kV C-GISを縮小した構造とし容積で約15％縮小した。その概要と本開発に用いた解析技術について報告する。
6-009	GISタンク内面の非線形抵抗被覆による金属異物の挙動抑制
6-009	◎川野涼子・吉村学・中内慎一朗・菅健一（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-009 GISタンク内面の非線形抵抗被覆による金属異物の挙動抑制 ◎川野涼子・吉村学・中内慎一朗・菅健一（三菱電機）ガス絶縁開閉装置（GIS）を小形化するには，金属異物に対する配慮は一層重要である。GIS内に混入した金属異物の挙動を抑制する目的で，非線形抵抗材料を含む塗料をGISタンク内面に塗布する方法が知られている。本報告では，接地タンクからの電荷移動を抑制する目的で，非線形抵抗膜の下層にさらに絶縁膜層を設けた二層膜を検討した。タンク底面上の金属異物に機械的振動が加わらない状態（静置状態）での挙動開始電界と，開閉機器等の機械的振動を想定した衝撃力をタンクに与え金属異物を強制挙動させた場合の挙動特性を，非線形抵抗膜のみの一層膜と比較し，挙動抑制効果を検証した。
6-010	ガス絶縁開閉装置の電流遮断時の絶縁性能解析
6-010	○榎並義晶・高尾宣行・磯崎優・山田直人（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-010 ガス絶縁開閉装置の電流遮断時の絶縁性能解析 ○榎並義晶・高尾宣行・磯崎優・山田直人（富士電機） SF₆ガス絶縁開閉装置の絶縁性能を解析するために電界－熱流体の連成シミュレーションを応用した手法について述べる。電界解析で計算した電界強度Eと熱流体解析にて算出した密度から求めた基準電界E_Sの比を評価指標とすることでホットガスによる絶縁破壊の可能性が高い箇所と時刻を可視化できることを示した。また試作機による検証で，地絡の有無によるE／E_Sの違いが実機の結果と整合していることから，この手法が絶縁性能の評価手法として妥当であることが確認できた。
6-011	超々高耐圧素子を適用した550kV GIS用避雷器の開発
6-011	市原怜・吉田一輝（東京電力パワーグリッド）・◎久保克隆・水谷学・春日靖宣・深野孝人（東芝エネルギーシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-011 超々高耐圧素子を適用した550kV GIS用避雷器の開発市原怜・吉田一輝（東京電力パワーグリッド）・◎久保克隆・水谷学・春日靖宣・深野孝人（東芝エネルギーシステムズ）経済性と環境負荷低減の観点から，GIS機器については大幅なコンパクト化が求められており，変電機器の絶縁強調の要である避雷器においても同様である。当社では，2002年に400V/mm級の高耐圧素子の1.5倍の動作電圧を有する600V/mm級の超高耐圧素子を適用することにより素子直列枚数を高耐圧素子の約3分の2に低減した避雷器を世界で初めて製品化している。今回，さらに超高耐圧素子の約1.3倍の動作電圧を有する800V/mm級の超々高耐圧素子を適用することによって，大幅に小型・軽量化した550kVGIS用新形避雷器を開発したため報告する。
6-012	550kV GIS避雷器用超々高耐圧素子の開発
6-012	◎堀口匠・春日靖宣・深野孝人（東芝エネルギーシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-012 550kV GIS避雷器用超々高耐圧素子の開発 ◎堀口匠・春日靖宣・深野孝人（東芝エネルギーシステムズ）経済性と環境負荷低減の観点から，GIS機器については大幅なコンパクト化が求められており，変電機器の絶縁協調の要である避雷器においても同様である。避雷器の全高寸法は積層される電流－電圧非直線抵抗体(ZnO素子)の枚数に依存するため，コンパクト化においては，ZnO素子の単位厚さ当たりの動作電圧を高くし(高耐圧化)，積層枚数を低減する方法が有効な手段となる。当社ではこれまで，600V/mm級の超高耐圧素子を提供してきたが，今回，さらなる高耐圧化を実現した，世界最高耐圧となる800V/mm級の超々高耐圧素子の開発を完了し，製品化したため報告する。
6-013	ZnO-Bi2O3系アレスタ素子の熱処理と粒界物性 -微分C-V法によるドナー密度分布測定-
6-013	津田孝一・三宅純一郎・宮田素之・島田祐樹・○綿引聡史（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-013 ZnO-Bi2O3系アレスタ素子の熱処理と粒界物性 -微分C-V法によるドナー密度分布測定- 津田孝一・三宅純一郎・宮田素之・島田祐樹・○綿引聡史（日立製作所） ZnOアレスタ素子の熱処理温度と粒界物性の関係を調べ，粒界にできる二重ショットキー障壁の高さがV-I非直線係数αと深い関係があることを，既に報告した。今回は，二重ショットキー障壁高さと密接に関係するドナー密度の空乏層内での深さ分布を微分C-V法で測定した。その結果，αが大きく低下する温度では，ドナー密度分布も大きく変化することを見出した。微分C-V法はドナー密度分布を高感度で測定することができるので，ZnOアレスタ素子の劣化解明にも適用できる可能性がある。

G203-A1 電力システム（開閉器・避雷器） VCB（Ⅰ）3月12日午前 G棟 G203教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-014	CuCr電極間における真空プラズマフレア中の金属蒸気密度分布
6-014	◎菊池諒・永井裕之（東京大学）・稲田優貴（埼玉大学）・松岡成居・熊田亜紀子・日高邦彦（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-014 CuCr電極間における真空プラズマフレア中の金属蒸気密度分布 ◎菊池諒・永井裕之（東京大学）・稲田優貴（埼玉大学）・松岡成居・熊田亜紀子・日高邦彦（東京大学）大型真空遮断器では銅とクロムの混合材料であるCuCrが電極材料として広く利用されている。本研究では銅クロム電極間に高電圧を印加して絶縁破壊させることでプラズマフレアを発生させ，分光観測を行い得られたスペクトルからプラズマフレア内における銅とクロムの金属蒸気組成比を測定した。また，シャックハルトマン法を用いて総金属蒸気密度分布を測定した。これらの結果を組み合わせることにより，電極間における銅，クロムの蒸気密度分布を算出した。その結果，アノードに近づくに従い銅蒸気密度は大きくなる。一方，クロム蒸気密度はあまり変化しないことを明らかにした。
6-015	アルミナ絶縁筒内部における電界緩和リング長さと真空中沿面絶縁耐力の関係
6-015	◎草龍太郎・藤田一誠・山納康（埼玉大学）・福田英昭・山村健太（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-015 アルミナ絶縁筒内部における電界緩和リング長さと真空中沿面絶縁耐力の関係 ◎草龍太郎・藤田一誠・山納康（埼玉大学）・福田英昭・山村健太（明電舎）真空インタラプタを模擬したアルミナ絶縁筒型試料にインパルス電圧を印加し，トリプルジャンクション（TJ）の電界を緩和する電界緩和リングの長さが沿面絶縁耐力に与える影響について調査した。試験結果は次のようになった。リングが短いとTJの電界緩和が不十分であることから耐電圧は低くなった。リングを長くしていくと耐電圧も上昇するが，長くしすぎるとリング先端の電界が強くなり，また沿面距離が短くなることから耐電圧は低下した。以上のことから，電界緩和リングはTJの電界を十分に緩和できる長さが必要となるが，リング先端の電界も考慮に入れる必要があることが示された。
6-016	真空インタラプタ開口モデルにおける放電パターン診断の検証
6-016	○小島寛樹（名古屋大学）・道念大樹・木村俊則・小倉健太郎（三菱電機）・早川直樹（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-016 真空インタラプタ開口モデルにおける放電パターン診断の検証 ○小島寛樹（名古屋大学）・道念大樹・木村俊則・小倉健太郎（三菱電機）・早川直樹（名古屋大学）筆者らはこれまでに，真空インタラプタ（VI）の内部における放電パターンに対して，放電経路長と放電電圧・放電進展時間との間にほぼ一意の相関があることを明らかにした。この関係を用いてVI内部の放電パターンを推定する手法を提案し，模擬電極系で検証した。本手法が実際のVI形状で適用可能かの検証を行うため，本発表では，放電箇所を観測可能な開口部を備えた実機形状VI開口モデルを用い，本手法の有効性を検証した。ギャップ放電，沿面放電ともに，放電長と放電電圧・放電進展時間の関係は，従来の基礎データとほぼ一致し，実機VI形状においても放電パターン診断の可能性が示唆された。
6-017	MPS法数値解析モデルによる低気圧アーク蒸気の挙動解析 -電極外シールド壁によるガス粒子反射の影響-
6-017	◎宮崎貴充・田中康規・上杉喜彦・石島達夫（金沢大学）・浅沼岳・恩地俊行（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-017 MPS法数値解析モデルによる低気圧アーク蒸気の挙動解析 -電極外シールド壁によるガス粒子反射の影響- ◎宮崎貴充・田中康規・上杉喜彦・石島達夫（金沢大学）・浅沼岳・恩地俊行（富士電機）近年，真空バルブ(VI) の高電圧化が進み，真空遮断器 (VCB) をより高電圧の系統において適用することがなされてきている。この真空遮断器の性能を向上させるためには真空アーク・低気圧アークの挙動を詳細に把握する必要がある。本研究では，理論数値解析から，低気圧アーク・蒸気の挙動を把握することを検討している。本研究室ではこれまで，低気圧アークにおける重粒子挙動を粒子法の一つである MPS 法で解析し，電子挙動を有限体積法で解析するハイブリッド法を用いた数値解析モデルを構築した。本報では，構築した数値解析モデルに絶縁シールドを追加し，シールド壁によるガス粒子反射による蒸気挙動を検討した。
6-018	磁界強度が異なるCuCr縦磁界電極におけるアークエネルギーおよび表面温度の測定
6-018	◎加藤和也・諏訪晃弘・松井芳彦（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-018 磁界強度が異なるCuCr縦磁界電極におけるアークエネルギーおよび表面温度の測定 ◎加藤和也・諏訪晃弘・松井芳彦（明電舎）筆者らは，真空遮断器（VCB）の高電圧・大容量化に向けた基礎的なデータ取得を進めている。縦磁界電極における磁界強度は，大電流遮断性能を決定する要因の一つであり，その特性を定量的に明らかにすることが重要である。そこで，本稿では，磁界強度の異なる縦磁界電極を用いて，大電流遮断時のアークエネルギーおよび電極表面温度を測定し，その特性を定量的に明らかにした。
6-019	直流送電向けハイブリッド直流遮断器の真空バルブにおける高速遮断時のアーク挙動
6-019	◎大坊昂・丹羽芳充（東芝インフラシステムズ）・網田芳明・金谷和長（東芝エネルギーシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-019 直流送電向けハイブリッド直流遮断器の真空バルブにおける高速遮断時のアーク挙動 ◎大坊昂・丹羽芳充（東芝インフラシステムズ）・網田芳明・金谷和長（東芝エネルギーシステムズ）多端子HVDCシステムにおいて，数msで事故点を切り離して運転継続を可能とするための直流遮断器が必要である。そこで半導体遮断部と機械遮断部を組み合わせたハイブリッド直流遮断器（DCCB）の開発を進めている。事故時に機械遮断部から半導体遮断部に転流し，数ms内で電流を遮断する。機械遮断部には，縦磁界電極を搭載した真空バルブを用いている。また操作機構には高速開極が可能な電磁操作機構を用いた。 10kV原理検証機にて遮断電流9kAの遮断に成功しているが，真空バルブ内のアーク挙動が明らかでなかった。本論文ではDCCBの機械遮断部の真空バルブにおける高速遮断時のアーク挙動について報告する。
6-020	真空バルブ端部に誘電材料を塗布した場合の気中沿面絶縁性能に関する電界解析による評価
6-020	◎竪山智博・浅利直紀・吉田剛（東芝インフラシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-020 真空バルブ端部に誘電材料を塗布した場合の気中沿面絶縁性能に関する電界解析による評価 ◎竪山智博・浅利直紀・吉田剛（東芝インフラシステムズ）高圧配電用真空遮断器に用いられる真空バルブの絶縁媒体は大気であることから，真空バルブの気中側沿面で絶縁破壊する可能性が高い。そのため，真空バルブ内部に加え，絶縁耐力の低い気中沿面絶縁性能についても十分な絶縁耐力を有する必要がある。そこで，気中沿面絶縁性能の向上案として封着部近傍に誘電材料を塗布する手法を検討している。今回，真空バルブの封着部端部に誘電材料を塗布した場合の気中沿面絶縁性能向上効果について電界解析により簡易評価を行い，比誘電率が高いほど，また塗布厚が薄く塗布長が短い領域でフラッシオーバ電圧が高くなる傾向が得られた。

G203-A2 電力システム（開閉器・避雷器） VCB（Ⅱ）3月12日午前 G棟 G203教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-021	真空中スパークコンディショニングにおける微小突起の生成および溶融可能性
6-021	◎近藤史規・小島寛樹（名古屋大学）・福田英昭・榊正幸（明電舎）・早川直樹（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-021 真空中スパークコンディショニングにおける微小突起の生成および溶融可能性 ◎近藤史規・小島寛樹（名古屋大学）・福田英昭・榊正幸（明電舎）・早川直樹（名古屋大学）真空中コンディショニング効果について実験・検討を行った．真空中に設置した銅製の棒-平板電極系に雷インパルス電圧を印加してコンディショニングを施した．実験前後の陰極表面状態を比較した結果，コンディショニング後の陰極に突起を生じることを確認した．これは，絶縁破壊時に陽極からの材料付着によって生じたと考えられる．その突起の溶融可能性を検討したところ，残存した突起は絶縁破壊時の電流で溶融してなお残ったものであると考えられる．
6-022	24/36kV HS-X 形 C-GIS の開発(1)～全体構成～
6-022	◎河西克紀・パウデルサロジュ・井上直明（三菱電機）・中込暢彦・助原正己（東芝三菱電機産業システム）電気学会全国大会講演要旨 6-022 24/36kV HS-X 形 C-GIS の開発(1)～全体構成～ ◎河西克紀・パウデルサロジュ・井上直明（三菱電機）・中込暢彦・助原正己（東芝三菱電機産業システム）海外受電設備において配変電に採用される電圧は24kV，36kVが一般的で，その需要は非常に多い。今回，海外市場で要求される定格電流2500A，定格短時間耐電流40kAに対応した24/36kV HS-X形C-GISを開発し，KEMA大電力試験場(オランダ)にてIEC62271に基づく各種試験に合格，認証を取得した。そこで，24/36kV HS-X形C-GISの特徴である二重母線構造でのDS/ES の前面操作化，大容量DS/ES の低接圧化構造，母線接続部に固体絶縁母線アダプタを採用したプラグイン構造の技術について報告する。
6-023	24/36kV HS-X形 C-GISの開発(2) ～内部アークに対する検討～
6-023	◎Saroj Paudel・河西克紀・井上直明（三菱電機）・中込暢彦・助原正己（東芝三菱電機産業システム）電気学会全国大会講演要旨 6-023 24/36kV HS-X形 C-GISの開発(2) ～内部アークに対する検討～ ◎Saroj Paudel・河西克紀・井上直明（三菱電機）・中込暢彦・助原正己（東芝三菱電機産業システム）三菱電機は24/36kVクラスのキュービクル型ガス絶縁開閉装置（C-GIS）として定格電流1250A，定格遮断電流25kA仕様のHS-X形C-GISを製品化している。海外市場のニーズに対応するため定格電流2500A，定格遮断電流40kAで，最新の国際規格IEC62271に準拠したC-GISを開発した。IEC62271では，C-GIS内部の短絡事故で発生する内部アークに対する安全性（内部アーク性能）を要求されている。本稿ではHS-X形C-GISの内部アーク設計を中心に紹介する。
6-024	海外向け固体絶縁スイッチギヤ(定格36kV-2500A-40kA)の開発
6-024	◎瀬木寛人・宮内康寿・近藤淳一・清原悟（東芝インフラシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-024 海外向け固体絶縁スイッチギヤ(定格36kV-2500A-40kA)の開発 ◎瀬木寛人・宮内康寿・近藤淳一・清原悟（東芝インフラシステムズ） IEC規格に準拠した海外向け固体絶縁スイッチギヤ(定格：36kV-2500A-40kA)の製品紹介に関する報告である。開発の課題である通電性能向上と遮断性能向上に対して，下記2点の改良を実施した。 (1)真空遮断器用モールド真空バルブの通電軸径及び電極径を最適化 (2)モールド部の寸法及び形状の最適化結果，IEC規格で定められた形式試験にすべて合格し開発が完了。今後海外市場への更なる拡販を進めていく。
6-025	真空インタラプタ内真空度劣化時の部分放電特性とシールド電位の経時変化
6-025	◎中野裕介・小迫雅裕・匹田政幸（九州工業大学）・田中荘・小林将人（日立産機システム）電気学会全国大会講演要旨 6-025 真空インタラプタ内真空度劣化時の部分放電特性とシールド電位の経時変化 ◎中野裕介・小迫雅裕・匹田政幸（九州工業大学）・田中荘・小林将人（日立産機システム）真空遮断器の経年劣化の一つに遮断部となる真空インタラプタ（Vacuum interrupter: VI）の真空漏れが挙げられる．本稿では，VIの真空度劣化進行時に初めて測定されうる放電について，極性毎の放電特性について検討を行った．パルス状PDの前駆放電の存在を示唆し，その後は微小電流によってシールド電位が変化することを明らかにした．
6-026	真空アーク時間分解面分光の可能性について
6-026	○松井芳彦・諏訪晃弘・加藤和也（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-026 真空アーク時間分解面分光の可能性について ○松井芳彦・諏訪晃弘・加藤和也（明電舎）分光観測は真空アークの研究に広く用いられている。分光観測では通常スリットを用いて空間1次元についての波長情報を得るが，視野全体について波長情報を取得できれば現象の把握に有効である。天文分野では「面分光」(Integral Field Spectroscopy) と呼ばれる方法が行われており，これと高速度ビデオを組み合わせた「時間分解面分光」について検討し，真空アークの観測への適用を試みた。
6-027	各種電極材料における真空遮断器の直流遮断性能評価
6-027	◎諏訪晃弘・加藤和也・松井芳彦・榊正幸（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-027 各種電極材料における真空遮断器の直流遮断性能評価 ◎諏訪晃弘・加藤和也・松井芳彦・榊正幸（明電舎）超高圧直流送電技術の発展，太陽光発電などの再生可能エネルギーや，新興国を中心とした電気鉄道の普及により，直流系統の拡大が見込まれ，系統保護の点から，直流遮断技術の確立が必要となる。近年，安全性・保守性に優れ，環境負荷の低い真空遮断器（以下，VCB）による直流遮断が注目されている。本稿では，VCBによる直流遮断に最適な電極材料を明確化することを念頭に，各種電極材料におけるVCBの直流遮断性能を比較・検討した。

G203-C3 電力システム（開閉器・避雷器）アーク（Ⅰ）3月14日午後 G棟 G203教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-028	雷インパルスアークによるOPGW溶損の基礎検討
6-028	◎中野智之・神足将司・大髙聡也・合田豊・岩田幹正（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-028 雷インパルスアークによるOPGW溶損の基礎検討 ◎中野智之・神足将司・大髙聡也・合田豊・岩田幹正（電力中央研究所）送電系統で使用されている光ファイバ複合架空地線（OPGW）が雷撃を受けると，OPGW の素線が溶損し溶断に至ることがある。本論文では雷インパルスアークをOPGW上に発生させた場合におけるOPGWの素線の溶損状況およびアークの様相を報告する。波頭長8us，波尾長20us，電流波高値50kAの雷インパルスアークによって， OPGWを構成する複数の素線が溶損した。アーク様相の高速カメラ観測結果から，アーク径はOPGWの直径と同程度あるいはそれ以上となっていることが分かった。また，アークの中心部には電流密度の高いフィラメント状の高放射強度領域が存在することが示唆された。
6-029	アーク電位の非接触測定へ向けた検出回路に関する検討
6-029	◎高橋明里・中村晃也・兒玉直人・横水康伸（名古屋大学）・真島周也・内井敏之（東芝エネルギーシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-029 アーク電位の非接触測定へ向けた検出回路に関する検討 ◎高橋明里・中村晃也・兒玉直人・横水康伸（名古屋大学）・真島周也・内井敏之（東芝エネルギーシステムズ）ガス遮断器において，ノズル内アークの状態は，急速な過渡変化を示し，遮断性能に大きな影響を与える。筆者らは，過渡アークの状態を非接触にて測定する手法の開発を目指している。これまでにアークの代わりに抵抗素子を対象とした測定を行い，電位および通電領域直径の同時測定に成功した(1)。次段階として遮断アークを対象に電位および通電領域半径の測定を実施した。しかし，数百 V級のアーク電位の測定を試みた際に，検出回路へ入力された電位がボルテージフォロワの許容電圧範囲を超過した。素子値の検討を行ったものの解決は困難であった。そこで，本報告では，遮断アークを対象とした測定へ向け，アーク電位を検出するための回路に求められる仕様および復元手法の候補を挙げる。さらに，回路シミュレーションを行い，電位の復元を行った結果を報告する。
6-030	発光分光法によるヒューズ内部アークの温度・電子密度および導電率の測定
6-030	◎高安直樹・深井悠介・前山光明・稲田優貴・山納康（埼玉大学）電気学会全国大会講演要旨 6-030 発光分光法によるヒューズ内部アークの温度・電子密度および導電率の測定 ◎高安直樹・深井悠介・前山光明・稲田優貴・山納康（埼玉大学）ヒューズは，事故電流が発生するとエレメントが溶断され発生したアーク放電により事故電流を限流し遮断している。従って，電流遮断時の電流電圧波形によりヒューズの動作を把握することは重要であり，これらの波形はアーク性状と深く関わっている。そのため，アーク放電の電気伝導，消弧特性を定量的に解析するためには，アーク温度・電子密度などのプラズマパラメータが必要不可欠である。ヒューズボックスを用いてヒューズ内部に発生するアーク放電の発光分光測定を行うことで，顕著に現れるCu及びSiスペクトルを観測した。これらの観測されたスペクトルから電流零点前におけるヒューズに発生するアークの温度，電子密度および導電率等の各種プラズマパラメータの実測及び算出を行った。
6-031	消弧グリッドの組み合わせがアークに与える影響
6-031	◎松山広喜・腰塚正（東京電機大学）・長崎豊毅（戸上電機製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-031 消弧グリッドの組み合わせがアークに与える影響 ◎松山広喜・腰塚正（東京電機大学）・長崎豊毅（戸上電機製作所）負荷開閉器や配線用遮断器では装置内部に消弧装置として消弧グリッドが備わっている。このグリッドによって電流を遮断した際に発生するアークを分断，冷却し限流遮断を行っている。しかしながら，消弧グリッドは複数回使用することで性能が低下し遮断性能が低下する。このことから，遮断性能向上には消弧グリッドの働きを明らかにする必要がある。本論文では，材質や異なる厚さおグリッドを組み合わせた場合のアークに対する影響の測定と解析を行った。結果より最もアーク電圧が上昇したのは，異なる厚さのグリッドを組み合わせた場合であった。
6-032	低圧直流遮断時におけるアークコラム抵抗に関する検討
6-032	◎長谷川知帆・津坂亮博・松村年郎・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・宮本淳史・伊藤裕幸（日東工業）・横水康伸（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-032 低圧直流遮断時におけるアークコラム抵抗に関する検討 ◎長谷川知帆・津坂亮博・松村年郎・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・宮本淳史・伊藤裕幸（日東工業）・横水康伸（名古屋大学）直流対応の配線用遮断器では，アーク電圧の増大によって電流を限流し，遮断を行っている。しかし，その限流遮断現象は十分に解明されていない。筆者らは，遮断すべき直流電流を10 ～100 Aとし，実験用直流アーク消弧装置（電極引き離し）を用いて電流遮断実験を行った。簡易アーク消弧装置の限流遮断過程におけるアーク電圧および電流波形を測定した。本稿では，実際のアーク長を考慮してアークコラム電圧および抵抗について検討を行った。その結果，アーク長を観測し，アークコラム抵抗を評価したところ，電流遮断過程にばらつきがあっても，また，遮断すべき直流電流が異なっても，アーク電流瞬時値に対して同じ特性を示すことが確認できた。
6-033	Mayrモデルを用いた低圧直流アーク消弧過程におけるアークパラメータ推定に関する研究
6-033	◎津坂亮博・長谷川知帆・松村年郎・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・宮本淳史・伊藤裕幸（日東工業）・横水康伸（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-033 Mayrモデルを用いた低圧直流アーク消弧過程におけるアークパラメータ推定に関する研究 ◎津坂亮博・長谷川知帆・松村年郎・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・宮本淳史・伊藤裕幸（日東工業）・横水康伸（名古屋大学）筆者らは，直流アーク消弧過程の研究を行っている。現在，交流遮断アークに対しては，いくつかの数式モデルや物理的モデルが提案されている。しかし，直流遮断アークに関しては，適切な数式アークモデルが提案されていない。本稿では，直流遮断アークに適した数式アークモデルの構築を目指して，直流遮断実験を行い，その電流遮断過程をMayrアークモデルの基本に基づいて解析し，新しいアークパラメータの推定方法を試みた。その結果，遮断すべき電流が異なっても，その電流遮断過程は，パラメータQを適切な値としたとき，一貫したアークパラメータで表せることを明らかにした。
6-034	細隙空間における衝突アーク電圧に樹脂材料が与える影響とその回数依存性
6-034	◎細越文彦・春名賢一・川名隆志・渡邉真也（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-034 細隙空間における衝突アーク電圧に樹脂材料が与える影響とその回数依存性 ◎細越文彦・春名賢一・川名隆志・渡邉真也（三菱電機）遮断器に対する市場要求として，小型化や遮断電圧の高電圧化が挙げられる。筆者らはアーク電圧の高電圧化技術として，アークを磁気駆動し樹脂材にぶつけて冷却・圧縮させる制御方法を検討しており，今回は樹脂に対する複数回のアーク衝突がアーク電圧に与える影響を検討した。 3種類の樹脂へ最大3回アークを衝突させ，衝突回数とアーク電圧の関係について定量的評価を行った結果，特にフェノール樹脂成形材料に対してアーク衝突を2回以上行った場合，衝突後30msec経過時のアーク電圧が大幅に低下する結果を得た。これは1回目のアーク衝突時に樹脂表面へ形成された炭化層が，2回目以降のアーク電圧低下に寄与したものと推定される。
6-035	低圧開閉器の開極開始時通電加熱による接点消耗
6-035	◎堀田克輝・渡邉真也・稲口隆（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-035 低圧開閉器の開極開始時通電加熱による接点消耗 ◎堀田克輝・渡邉真也・稲口隆（三菱電機）低圧開閉器の接点寿命を決める要因の一つに，開極時に生じるアークによる接点消耗(質量損失)がある。この接点消耗には開極開始時電流に依存し，アーク時間に依存しない消耗 (Mbとする) が存在し，その割合が大きいことを明らかにしてきた。今回，開極開始時の通電により接点が加熱される熱量と開極開始時の接点消耗Mbとの関係について検討し，Mbは開極開始からアーク発生までの通電加熱により生じたブリッジや溶融金属の消耗であることを明らかにした。
6-036	接点間距離が及ぼす直流アーク走行速度への影響
6-036	◎松岡洋平・浅沼岳・渡邉和幸・恩地俊行（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-036 接点間距離が及ぼす直流アーク走行速度への影響 ◎松岡洋平・浅沼岳・渡邉和幸・恩地俊行（富士電機）接点部とアークホーンを備えた装置を用いて，電流，ギャップ（接点間距離）をパラメータにした遮断試験を実施し，接点間に発生したアークが接点上を走行する様子，接点からアークホーンへ転流する様子について観察し，各パラメータがアーク走行速度へ及ぼす影響を調査した。アークが接点間に発生してから接点端部に到達するまでの時間はギャップが広く，電流値が大きい場合，短縮する傾向が見られた。アークが接点端部からアークホーンに転流するまでの時間はパラメータによる差異は見られなかった。
6-037	空気中自由空間におけるFe電極の蒸発および蒸気混入を考慮した10 kA級大電流故障アークの電磁熱流体解析
6-037	◎竹島徹・田中康規・上杉喜彦・石島達夫（金沢大学）電気学会全国大会講演要旨 6-037 空気中自由空間におけるFe電極の蒸発および蒸気混入を考慮した10 kA級大電流故障アークの電磁熱流体解析 ◎竹島徹・田中康規・上杉喜彦・石島達夫（金沢大学）高エネルギーアーク損傷（HEAF; High Energy Arcing Fault）と呼ばれる大規模アーク放電事故が，国内外の原子力発電所の電気設備などで発生する場合がある。この場合，アークにより熱，光，金属の蒸発および圧力上昇などが発生し，これにより急激なエネルギーの放出が生じる。これがHEAFである。発生する高い圧力や熱流束は，電源盤・配電盤自身などに大きな損傷を与える。 HEAFの規模や挙動を明らかにするには，理論数値解析的に大電流空気アークの基礎特性を明らかにすることが有効である。 HEAFによるアーク発生時，数 kAから数十 kA級の大電流が流れる。そこで今回，電流値が15 kAピークの電流値を対象とし， Fe電極間に生じた大電流空気アークの電磁熱流体解析を行った。 Fe電極蒸発の大電流アークの解析を実現するために電極直径を以前の6 mmから20 mmに大きくした。

G203-C4 電力システム（開閉器・避雷器）アーク（Ⅱ）3月14日午後 G棟 G203教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-038	積層造形法を用いた熱ガス伝熱冷却に関わる基礎検討
6-038	○飯島崇文・川崎圭・吉野智之・井上徹（東芝エネルギーシステムズ）・酒井美鈴・田代裕樹（東芝）電気学会全国大会講演要旨 6-038 積層造形法を用いた熱ガス伝熱冷却に関わる基礎検討 ○飯島崇文・川崎圭・吉野智之・井上徹（東芝エネルギーシステムズ）・酒井美鈴・田代裕樹（東芝）高電圧・大容量ガス遮断器（以下，GCB）において，電流遮断時の吹付けにより高温のアークに曝された消弧ガスは，高温かつ低密度の熱ガスとなり，通例，消弧室に付設された排気筒を通してタンク間内に放散される。放散された熱ガスの絶縁特性が回復電圧印加時に絶縁性が維持できないと，地絡が発生し電流遮断は失敗となる。今回，排気筒の流路内に積層造形法（Additive Manufacturing, AM）により造形された，低圧損・高効率熱交換を目的とする冷却フィン（以下，AMフィン）を取付け，熱ガス冷却の基礎評価を実施したので報告する。
6-039	PTFE/BN 溶発分解蒸気が混入した高温 SF₆ ガスの衝突電離係数および電子付着係数 -温度 1000 K-
6-039	◎小島勇輝・石井達也・横水康伸（名古屋大学）・寺田将直・浦井一（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-039 PTFE/BN 溶発分解蒸気が混入した高温 SF₆ ガスの衝突電離係数および電子付着係数 -温度 1000 K- ◎小島勇輝・石井達也・横水康伸（名古屋大学）・寺田将直・浦井一（日立製作所）筆者らは，PTFE/BN 溶発分解蒸気が混入した高温 SF₆ ガスを対象として，実効電離係数の考え方に基づき臨界電界を導出してきた。本稿では，代表例として温度 1000 K を対象とし，PTFE/BN 混入率に対する臨界電界を示し，衝突電離係数および電子付着係数について考察した。
6-040	PTFE/BN溶発分解蒸気が混入した高温SF₆ガスの臨界電界の導出 -温度300～4000 K，混入率80%-
6-040	◎石井達也・小島勇樹・横水康伸（名古屋大学）・寺田将直・浦井一（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-040 PTFE/BN溶発分解蒸気が混入した高温SF₆ガスの臨界電界の導出 -温度300～4000 K，混入率80%- ◎石井達也・小島勇樹・横水康伸（名古屋大学）・寺田将直・浦井一（日立製作所）ガス遮断器のノズル種の一部は，PTFE((C₂F₄)_n)を基本材料として，さらに窒化ホウ素BNを添加材として製作されている。電流遮断過程では，ノズル材がアークによって溶発し，その分解蒸気が高温SF₆ガスに混入すると考えられる。高温ガスの諸特性の一つである臨界電界は，そのガスの高温下での絶縁耐力を示す有用な基本量である。そこで，筆者らは，PTFE/BN溶発蒸気が混入した高温SF₆ガスを対象として，実効電離係数の考え方に基づく臨界電界E_Crを導出している。本稿では，例として蒸気混入率80%でのE_Crの温度依存性を示し，さらにPTFE蒸気のみ混入時のE_Crを示す
6-041	輻射エネルギの吸収反射を考慮したガス遮断器熱ガス流解析のノズル材アブレーションモデル
6-041	○石川正典・師岡寿至・白石勝彦・浦井一（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-041 輻射エネルギの吸収反射を考慮したガス遮断器熱ガス流解析のノズル材アブレーションモデル ○石川正典・師岡寿至・白石勝彦・浦井一（日立製作所）ガス遮断器(GCB)は，消弧ガスを電極間に発生したアークプラズマに吹き付け消弧する事で電流を遮断する。遮断性能評価には熱ガス流解析を活用して，消弧ガスの詳細挙動の把握が重要となる。詳細解析を実施する場合，圧力や温度，アークエネルギ，樹脂材のアブレーションなどの各現象を，各現象間の相互作用を含め，モデル化する必要がある。本報告では，輻射エネルギの反射を考慮した樹脂材のアブレーションモデルの検討結果について報告する。
6-042	ガス遮断器のアブレーションガス挙動の分光計測
6-042	◎作山俊昭・小林浩之・石川正典・小辻秀幸・白石勝彦・浦井一（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-042 ガス遮断器のアブレーションガス挙動の分光計測 ◎作山俊昭・小林浩之・石川正典・小辻秀幸・白石勝彦・浦井一（日立製作所）ガス遮断器では，短絡電流遮断時に発生するアークにより，PTFEを主たる材料とするノズルが蒸発し，アブレーションガスが発生する。このガスはガス遮断器の消弧媒体として広く用いられるSF6と比較して絶縁耐力が低下することが報告されている。そのため遮断性能を高めるには，アブレーションガスの挙動を把握することが重要となる。本報告では，アブレーションガスの挙動を詳細に把握するために，モデル遮断器を用いてアークの分光計測を実施した。ガス中に含まれるC2分子に着目し，吹付け過程においてアブレーションガスとSF6ガスが置換される様子を捉えた。さらに，ガスが置換される様子は，熱ガス流解析による各ガスの体積分率の変化と一致した。
6-043	珪砂中へのPMMA円筒設置時における直流アーク抵抗上昇機構の検討
6-043	◎兒玉直人・横水康伸・高橋明里・中村晃也（名古屋大学）・近藤祐介（太平洋精工）電気学会全国大会講演要旨 6-043 珪砂中へのPMMA円筒設置時における直流アーク抵抗上昇機構の検討 ◎兒玉直人・横水康伸・高橋明里・中村晃也（名古屋大学）・近藤祐介（太平洋精工）電気自動車の車載電源の高圧・大容量化が進んでいることから，EV用ヒューズの高遮断容量化が強く求められている．筆者らはこれまでに，珪砂中に高分子材を配置することで，直流アークの電圧上昇が可能であることを示してきた．本報では，珪砂－高分子材配置時におけるアーク電圧の上昇機構について，アーク抵抗の視点から検討した．アークチャンバーにおいて，(1)珪砂充填のみ，(2)円筒設置のみ，および(3)円筒設置－珪砂充填の3条件での実験を行った．測定されたアーク抵抗を比較した結果，電流ピーク値付近では円筒内に封入された珪砂が，そして電流の減衰過程では円筒内壁とアークの接触がアーク抵抗上昇に大きく寄与する結果が得られた．
6-044	珪砂－高分子円筒併設手法を用いたアーク電圧上昇効果－異なる電流ピーク値条件での検討－
6-044	◎中村晃也・兒玉直人・高橋明里・横水康伸（名古屋大学）・近藤祐介（太平洋精工）電気学会全国大会講演要旨 6-044 珪砂－高分子円筒併設手法を用いたアーク電圧上昇効果－異なる電流ピーク値条件での検討－ ◎中村晃也・兒玉直人・高橋明里・横水康伸（名古屋大学）・近藤祐介（太平洋精工）電気自動車(EV)およびハイブリッドEV(HEV)に搭載されている直流電源の高圧・大容量化が進んでいる。よって，EV用ヒューズの遮断容量の向上が要求されている。筆者らのこれまでの研究から，電極間に珪砂と共に高分子材料製円筒を配置することで，アーク電圧上昇効果が得られることを見出した。本報告では，珪砂中に様々な内径の高分子円筒を設置した場合での直流アーク消弧実験を行っている。また，各条件に対して直流減衰電流ピーク値を異なる値に設定している。実験により得られた電極間電圧から，短絡電流ピーク値の変化に対する珪砂－高分子円筒併用時のアーク電圧上昇効果を検討している。

G202-A3 電力システム（開閉器・避雷器）機器監視（Ⅰ）3月12日午後 G棟 G202教室
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6-045	誘電泳動集積した半導体ナノ材料のCF₄ガスセンサへの応用
6-045	○前之園大地・古本匠・Nisarut Phansiri・中野道彦・末廣純也（九州大学）・里秀文（九州電力）電気学会全国大会講演要旨 6-045 誘電泳動集積した半導体ナノ材料のCF₄ガスセンサへの応用 ○前之園大地・古本匠・Nisarut Phansiri・中野道彦・末廣純也（九州大学）・里秀文（九州電力）ガス絶縁開閉装置（GIS）内部には絶縁，消弧性能に優れたSF₆が封入されており，これは部分放電や過熱などの内部異常により分解される。SF₆分解に由来するガス成分のほとんどはSF₆の純度を保つために設置された吸着剤に吸着される。しかし，ガス成分の1種であるCF₄は吸着されにくい性質を有するためSF₆と混在する。そこで，このCF₄ガス濃度を測定することで設備診断が可能である。本研究では，CF₄検出を目的として，酸化すず(SnO₂）ナノ粒子，酸化亜鉛(ZnO)ナノワイヤ，カーボンナノチューブ(CNT)をそれぞれ誘電泳動集積法により電極上に集積したセンサを作製し，CF₄検出を試みた。その結果，SnO₂を用いたセンサが最も高い感度を示した。
6-046	Necessary Sensitivity of CF₄ Gas Sensor for Gas Insulated Switchgear Diagnosis
6-046	◎Nisarut Phansiri・Daichi Maenosono・Takumi Furumoto・Michihiko Nakano・Junya Suehiro（九州大学）・Hidefumi Sato（九州電力）電気学会全国大会講演要旨 6-046 Necessary Sensitivity of CF₄ Gas Sensor for Gas Insulated Switchgear Diagnosis ◎Nisarut Phansiri・Daichi Maenosono・Takumi Furumoto・Michihiko Nakano・Junya Suehiro（九州大学）・Hidefumi Sato（九州電力） CF4 detection and control are necessary for the maintenance process in Gas Insulated Switchgear (GIS). The gas sensor is tested for ability and stability of CF4 detection. Nano-material based gas sensor is a good choice due to its advantage such as real time and on site analysis, low cost, and a large number of detectable gases. However, the target detection of CF4 gas concentration would be lower than 200 mg. Sensing response of gas sensor will be investigated and improved to reach the concentration target of CF4 gas. The present authors have demonstrated that detection of CF4 gas was possible using nanomaterial-based gas sensors. In this paper, we discuss about necessary sensitivity of the CF4 gas sensor for GIS diagnosis.
6-047	微小欠陥を含む実器スペーサにおける部分放電測定
6-047	◎山本尚史・岡部成光（東京電力ホールディングス）・田村佳之・石黒純也・亀井光仁（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-047 微小欠陥を含む実器スペーサにおける部分放電測定 ◎山本尚史・岡部成光（東京電力ホールディングス）・田村佳之・石黒純也・亀井光仁（三菱電機）現在，経年40年以上のガス絶縁開閉装置(GIS)台数が増加している。高経年 GIS の絶縁寿命を決める要因として，固体絶縁物の劣化が挙げられる。先行研究では，1 pC相当の微小欠陥においても，条件次第では実運転電界下で数年以内に絶縁破壊に至るリスクを示唆している。これまでの研究では，直径100 mm，長さ75 mmの小型サンプル内に欠陥を作り試験を行ってきた。今回は，微小欠陥を含む実器大絶縁スペーサを製作し，部分放電電荷量，および周波数特性を実測し，従来の欠陥サンプルと同じく数十MHzに主成分を持つことを確認した。この結果より，数十MHzの信号を検出することで絶縁物欠陥を感度良く検出できると考えられる。
6-048	絶縁物部分放電検出装置の開発
6-048	○田村佳之・石黒純也・亀井光仁（三菱電機）・山本尚史・岡部成光（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-048 絶縁物部分放電検出装置の開発 ○田村佳之・石黒純也・亀井光仁（三菱電機）・山本尚史・岡部成光（東京電力ホールディングス）現在，経年40年以上のガス絶縁開閉装置（GIS)台数が増加している。高経年GISの絶縁寿命を決める要因として，固体絶縁物の劣化が挙げられる。絶縁物における部分放電の特徴として数十MHzを主成分とする部分放電信号（電磁波）を放出する。この信号をGISの外部から高感度で検出する装置を開発した。
6-049	4端子面電流センサを用いた電力機器におけるPDの方向推定に関する検討
6-049	◎林寿樹・野下聖仁・村瀬洋（愛知工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-049 4端子面電流センサを用いた電力機器におけるPDの方向推定に関する検討 ◎林寿樹・野下聖仁・村瀬洋（愛知工業大学）電力機器の絶縁診断技術において絶縁破壊の前駆現象である部分放電によって発生しうる漏洩電磁波の検出が有効な手段として挙げられる。著者らは，その漏洩電磁波をベクトル的に検出可能な面電流センサに着目し，従来の2端子の面電流センサを応用した4端子面電流センサによる機器外部からの信頼性の高い部分放電診断法の開発を目指している。今回，4端子センサに用いる指向性向上のための演算を応用した，部分放電源の方向推定を目的としたプログラムを検討した。その結果，高精度の部分放電電磁波の伝搬方向推定が可能となったので報告する。
6-050	実PD発生装置の製作及び適用可能性の検証
6-050	◎浜口真周・村瀬洋（愛知工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-050 実PD発生装置の製作及び適用可能性の検証 ◎浜口真周・村瀬洋（愛知工業大学）ガス絶縁開閉装置（GIS）の代表的なPD診断手法である外部UHF電磁波法において，外部センサ（アンテナ）のPD検出感度とPD発生場所には相関性が現れることが判明している。しかし，この研究結果はPD模擬パルスを前提としたものである。そこで今回は，GISタンク内部の任意の場所にて実際にPDを発生させられる装置を製作し，そのPDに伴い放射される電磁波を，電波開口部である絶縁スペーサからアンテナにより検出することで，研究への適用可能性を検証した。結果，十分なアンテナ出力を観測できたため，今後の研究においてより実フィールドに忠実な検討を可能とした。
6-051	電力設備の部分放電検出診断に適用可能な簡易センサーの基礎検討－箱型筐体モデルにおけるTEVセンサーの応答特性－
6-051	◎新貝健将・上田尚弥・梅田直希・八島政史（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-051 電力設備の部分放電検出診断に適用可能な簡易センサーの基礎検討－箱型筐体モデルにおけるTEVセンサーの応答特性－ ◎新貝健将・上田尚弥・梅田直希・八島政史（東北大学）電力流通設備における各機器の絶縁性能は，経年により劣化が進行することが懸念されている。そこで，絶縁性能を客観的に監視・診断するための技術として簡易なセンサーを機器の筐体外部に多数にわたり貼り付け，部分放電の検出診断を行う手法が提案されている。本稿では，変圧器のような電力機器の外面に簡易なセンサーを貼り付けた場合の部分放電検出を想定し，箱型筐体モデルを用いた実験によりTEV（Transient Earth Voltage）センサーの検出特性についての検討を行った。また，FDTD法によるシミュレーションを行うことにより，実験結果との比較及び検討を行ったので併せて報告する。
6-052	電力機器診断のための過渡接地電圧信号伝搬機構に基づいた部分放電検出の高精度化
6-052	◎吉積弘将・小迫雅裕・匹田政幸（九州工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-052 電力機器診断のための過渡接地電圧信号伝搬機構に基づいた部分放電検出の高精度化 ◎吉積弘将・小迫雅裕・匹田政幸（九州工業大学）近年，運転中の高電圧受変電設備の壁面に取り付けた過渡接地電圧(transient earth voltage: TEV)センサを用いた部分放電(PD)検出による絶縁診断が試みられている。一方でTEV信号の検出原理や信号伝搬過程，実機でのTEV検出信号の解釈，ノイズとの分別などに関して未解明な点があり，最適なPD監視・診断手法の確立が望まれている。本報告では，TEV信号発生・伝搬・検出の電磁波伝搬シミュレーションによる原理解明，TEV信号の周波数解析，および実フィールドでのTEVセンサによるPD監視・診断適用のそれぞれの試みについて述べる。

G202-A4 電力システム（開閉器・避雷器）機器監視（Ⅱ）3月12日午後 G棟 G202教室
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6-053	AI技術を適用したスイッチギヤ絶縁診断技術の開発
6-053	○中村勇介・伴野幸造・藤井祐樹（東芝インフラシステムズ）・笹谷典太（東芝）・高野俊也・岡本徹志（東芝インフラシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-053 AI技術を適用したスイッチギヤ絶縁診断技術の開発 ○中村勇介・伴野幸造・藤井祐樹（東芝インフラシステムズ）・笹谷典太（東芝）・高野俊也・岡本徹志（東芝インフラシステムズ）筆者らはAI技術を適用したスイッチギヤ診断技術を開発している。同開発技術はTEVセンサ―で取得した信号をデノイズ，欠陥種識別，劣化診断全てを AIで実施する診断技術である。本発表においては同診断技術の概要を紹介する。
6-054	AI技術を適用したスイッチギヤ絶縁診断技術の開発2 ～ニューラルネットによる欠陥種の識別～
6-054	○伴野幸造・中村勇介・藤井祐樹・高野俊也・岡本徹志（東芝インフラシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-054 AI技術を適用したスイッチギヤ絶縁診断技術の開発2 ～ニューラルネットによる欠陥種の識別～ ○伴野幸造・中村勇介・藤井祐樹・高野俊也・岡本徹志（東芝インフラシステムズ）筆者らは，固体絶縁スイッチギヤ(SIS)やキュービクル型ガス絶縁スイッチギヤ(C-GIS)の絶縁診断高度化のため，AIの導入を検討している。同開発技術は過渡接地電位(Transition earthed voltage: TEV)センサで取得した信号に対するデノイズ，欠陥種識別，劣化診断全てをAIで実施する診断技術である。本稿においては，AIを適用した欠陥種識別に関して報告する。
6-055	AI技術を適用したスイッチギヤ絶縁診断技術の開発3～部分放電検出のためのデノイズ技術～
6-055	◎笹谷典太・渡辺隆志・松村淳（東芝）・中村勇介・伴野幸造・藤井祐樹（東芝インフラシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-055 AI技術を適用したスイッチギヤ絶縁診断技術の開発3～部分放電検出のためのデノイズ技術～ ◎笹谷典太・渡辺隆志・松村淳（東芝）・中村勇介・伴野幸造・藤井祐樹（東芝インフラシステムズ）スイッチギヤ絶縁診断高度化のため，センサ取得信号に対するデノイズ，欠陥種識別，劣化診断の全てをAIで実施する診断技術を検討しており，本稿ではこのうちAIによるデノイズ技術を提案する。提案方式はConvolutional Neural Networkによりノイズに埋もれた部分放電を検出する。実験室環境で計測した部分放電とフィールドノイズを様々なS/Nで重畳したシミュレーションデータを用い，提案方式と一般的なウェーブレットシュリンケージ(WS)の性能をデノイズ後の欠陥種識別精度に基づいて比較したところ，全てのS/Nにおいて提案方式がWSを上回った。特に800pCのノイズに埋もれた100pCの微小な部分放電に対しては，WSでは欠陥種の識別率が23.9%と低いのに対し提案方式では74.9%の高い識別率が得られた。
6-056	AI技術を適用したスイッチギヤ絶縁診断技術の開発4 ～劣化度の判定～
6-056	○高野俊也・中村勇介・伴野幸造・岡本徹志（東芝インフラシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-056 AI技術を適用したスイッチギヤ絶縁診断技術の開発4 ～劣化度の判定～ ○高野俊也・中村勇介・伴野幸造・岡本徹志（東芝インフラシステムズ）筆者らは，固体絶縁スイッチギヤ(SIS)やキュービクル型ガス絶縁スイッチギヤ(C-GIS)の絶縁診断高度化のため，AIの導入を検討している。同開発技術は過渡接地電位(Transition earthed voltage: TEV)センサ(1-3)で取得した信号に対するデノイズ，欠陥種識別，劣化診断全てをAIで実施する診断技術である。本稿においては，AIを適用した劣化診断に関して報告する。
6-057	72kVタンク型GIS変電所における人工ニューラルネットワークを用いた部分放電識別の検討
6-057	◎柿本康朝・吉川雛・Nuraida Puspitasari・小迫雅裕・匹田政幸（九州工業大学）・枝修・椎名康晴・大塚正則・金子宏（東京電設サービス）電気学会全国大会講演要旨 6-057 72kVタンク型GIS変電所における人工ニューラルネットワークを用いた部分放電識別の検討 ◎柿本康朝・吉川雛・Nuraida Puspitasari・小迫雅裕・匹田政幸（九州工業大学）・枝修・椎名康晴・大塚正則・金子宏（東京電設サービス）近年，電力設備の絶縁診断として，絶縁破壊の前駆現象である部分放電（partial discharge : PD）信号の測定が注目されている。しかし，その絶縁診断技術は未だ確立されていないのが現状である。本研究では，実現場にて機器外部に設置したPDセンサで検出した信号からPDとノイズの識別，および欠陥種を特定する診断技術の確立を目指している。前報では，PD発生位相（phase-resolved PD: PRPD）パターンおよび波形パラメータを入力として採用する2種類の人工ニューラルネットワーク（artificial neural network: ANN）を，実験室で得られた信号を基に構築した。本報では，実変電所において各種センサにて得られたデータを，前報で構築したANNに適用し，信号源の同定を検討した結果を報告する。
6-058	クラスタリング手法の適用による部分放電発生源の推定に関する一検討
6-058	◎長広明・藤井祐樹・中村勇介（東芝インフラシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-058 クラスタリング手法の適用による部分放電発生源の推定に関する一検討 ◎長広明・藤井祐樹・中村勇介（東芝インフラシステムズ）電力機器の電気絶縁性の診断方法として，活線で計測可能な部分放電（Partial Discahrge：PD）測定が知られており，高周波CTや過渡接地電圧（Transient Earth Voltage: TEV）センサによる計測が検討されている。これらの可搬式センサは利便性が高いが，診断対象機器の電圧位相を取得するのが困難であり，PD信号の位相特性からPDの有無や放電源の種類を推定するのが難しい。本報告では，対象機器の受電電圧の位相情報無しにPD源の種類を推定するための手法を検討した。
6-059	SF₆ガス中におけるストリーマ／リーダ放電の放射電磁波特性
6-059	◎余増強・小島寛樹・早川直樹（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-059 SF₆ガス中におけるストリーマ／リーダ放電の放射電磁波特性 ◎余増強・小島寛樹・早川直樹（名古屋大学）電磁波法はガス絶縁開閉装置(GIS)の絶縁診断に広く使われている．部分放電(PD)による電磁波の主な放射源は導電率が高い金属異物であり，ストリーマ放電の同レベルの(di/dt)maxに対して，異物が長くなると電磁波強度も大きくなることが明らかにした．本論文では，導電率が高いリーダチャネルが伸びるリーダ放電とストリーマ放電の放射特性を比較した．その結果，ほとんどのリーダ放電は，ストリーマ放電と同じ電磁波強度と(di/dt)maxの関係が得られた．これは，ほとんどのリーダチャネルは金属異物に比べれば導電率が低く，主な電磁波放射源になっていないと考えられる．従って，放電形態によらず，電磁波強度と(di/dt)maxの関係から異物長さを診断できる可能性が示唆した．

G203-B2 電力システム（開閉器・避雷器）遮断器3月13日午前 G棟 G203教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-060	短絡電流による電磁反発を用いた高速駆動機構の基礎研究
6-060	◎横山拓海・新海健（東京工科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-060 短絡電流による電磁反発を用いた高速駆動機構の基礎研究 ◎横山拓海・新海健（東京工科大学）本研究では短絡電流や故障電流の電磁反発力を電極駆動力の一部に用い高速限流や高速開極を可能にすることを目指して基礎検討を行っている。簡易なRLC回路で短絡電流を模擬した電流を供給し銅製の短絡環を駆動する実験を行った。一次電流の初期電流上昇率は0.2A/μsであり，短絡環は25㎜上昇した。今後，装置を大型化し検討を進める。
6-061	GMCBの零ミス遮断試験波形の再現解析
6-061	◎木村涼・亀井健次・澤田達男・常世田翔・小松健・皆川忠郎（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-061 GMCBの零ミス遮断試験波形の再現解析 ◎木村涼・亀井健次・澤田達男・常世田翔・小松健・皆川忠郎（三菱電機）発電機主回路遮断器の零ミス電流遮断責務は，IEC規格に基づいて行われ，それに対する試験法も開発されている。一方で，実系統に存在する多種の発電機特性を考慮した零ミス遮断試験を行うことは困難であることを想定して，GMCBのアーク特性と試験回路又は実系統回路を組み合わせたシミュレーションの実施を要求しているが，遮断器固有のアーク特性値が明確ではないため，通常の非対称電流遮断試験のアーク特性値が適用できれば有用である。ここでは，零ミスが発生しない大直流分含有率の非対称電流遮断試験の電圧，電流波形から導出したアーク特性値を用いて，実際に行った零ミス遮断試験時の電圧，電流波形が再現できることを示した。
6-062	逆極性電流注入による短絡試験回路の固有過渡回復電圧測定法
6-062	◎野中強也・腰塚正（東京電機大学）・池田久利・萩森英一・日高邦彦（東京大学）・新海健（東京工科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-062 逆極性電流注入による短絡試験回路の固有過渡回復電圧測定法 ◎野中強也・腰塚正（東京電機大学）・池田久利・萩森英一・日高邦彦（東京大学）・新海健（東京工科大学）短絡試験において，遮断器極間に印加される過渡回復電圧（Transient Recovery Voltage：TRV）は低電圧でダイオードを用いて測定されることが多い。しかし，順方向電圧降下などによって電流零点すなわちTRV開始時点が判然としないなどの影響があることが分かっている。本論文では，固有TRV測定用の逆極性電流注入回路を作成したので報告する。この回路は，電流を直接流し込むことで遮断を模擬する。なので，ダイオードの特性の影響を受けずにTRV測定を行うことができる。さらにこの電流注入回路を用いて端子短絡故障（Breaker Terminal Fault ：BTF）遮断を模擬した回路の固有TRVを測定した。
6-063	多数回開閉時におけるガス遮断器の異常検出の実験的考察
6-063	◎野田徹・林義一郎（電源開発）電気学会全国大会講演要旨 6-063 多数回開閉時におけるガス遮断器の異常検出の実験的考察 ◎野田徹・林義一郎（電源開発）ガス遮断器の障害は，操作機構部と遮断部での発生が支配的であり，接触子を含む操作機構の一連動作の計測による異常診断技術の構築が期待されている。また，水力発電所の系統並列用ガス遮断器の動作回数の増加や高経年化が進行しており，従来よりも異常兆候を的確に把握して点検時期を見極める必要がある。ガス遮断器の機械的な部位が起因する異常検知の方法を検討するため，連続多数回動作試験においてストローク計測を含めた開閉特性試験を実施した。その結果，開極のストローク波形に異常が見られ，遮断部の異常予兆としては開極時のワイプ量に増加傾向が認められた。従来の計測に加えストローク計測を用いることで異常診断の精度向上が期待できる。
6-064	ガス遮断器の多点圧力測定によるノズル内超音速流れの評価
6-064	◎小辻秀幸・作山俊昭・浦井一・寺田将直（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-064 ガス遮断器の多点圧力測定によるノズル内超音速流れの評価 ◎小辻秀幸・作山俊昭・浦井一・寺田将直（日立製作所）ガス遮断器は極間のアークに対して高圧のSF6ガスを吹付けることで電流を遮断している。近年，吹付ガスの圧力形成にアークエネルギーを利用したセルフブラスト方式のガス遮断器が製品化されている。セルフブラスト方式を利用した遮断器設計においては圧力形成・吹付過程におけるガス流れの把握が重要である。本報告では，圧力源であるアーク周辺部の圧力特性を把握するためにモデル遮断部を用いて熱パッファ室とノズル内の圧力を測定し，熱パッファ室からノズルスロートにおけるガス流れを評価した。測定の結果，ノズルスロート部における超音速流れの形成や，圧力形成・吹付過程の圧力特性，ガス流れの切替わりを確認できた。
6-065	SiC-MOSFETを用いた低圧直流大電流の遮断過程における接合部温度上昇プロセスに関する考察
6-065	◎小川拓真・横水康伸・小椋陽介（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-065 SiC-MOSFETを用いた低圧直流大電流の遮断過程における接合部温度上昇プロセスに関する考察 ◎小川拓真・横水康伸・小椋陽介（名古屋大学）筆者らはIGBTやSiC-MOSFET等を用いた低圧直流用遮断器を試作し，その特性評価を行ってきた。近年では，数値計算による遮断特性の解明にも着手しており，本研究室が扱う抵抗による限流方式を用いたSiC-MOSFET型モデル遮断器においては，ピーク値2000 Aもの直流大電流の遮断が可能であることを示してきた。本報告では，その遮断過程における接合部温度の上昇プロセスに関して検討を行っている。
6-066	直流送電向けハイブリッド直流電流遮断器の高電圧化
6-066	○児山裕史・竹中浩・瀧本和靖・水谷麻美・松本寿彰（東芝インフラシステムズ）・石黒崇裕（東芝エネルギーシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-066 直流送電向けハイブリッド直流電流遮断器の高電圧化 ○児山裕史・竹中浩・瀧本和靖・水谷麻美・松本寿彰（東芝インフラシステムズ）・石黒崇裕（東芝エネルギーシステムズ）直流送電(HVDC)網では事故回線を切り離して送電を継続するために直流電流遮断器(DCCB)が必要となる。筆者らは機械遮断部と半導体遮断部の組み合せにより定常損失の低減と数msの高速遮断を実現するハイブリッドDCCBを提案・開発している。本稿では，数百kVの実機を見据えた提案ハイブリッドDCCBの高電圧化構成について報告する。

G203-B1 電力システム（開閉器・避雷器）代替ガス3月13日午前 G棟 G203教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-067	Pressure Rise and Decomposed Products due to SF₆ Alternative Gases and SF₆ Arc Discharge
6-067	◎神足将司・新開裕行・三坂英樹・足立和郎（Central Research Institute of Electric Power Industry）電気学会全国大会講演要旨 6-067 Pressure Rise and Decomposed Products due to SF₆ Alternative Gases and SF₆ Arc Discharge ◎神足将司・新開裕行・三坂英樹・足立和郎（Central Research Institute of Electric Power Industry）欧州では，米国3Mが開発した3M^TM Novec^TM絶縁ガス（Novec4710，Novec5110）に自然ガス（CO₂やO₂など）を混合したSF₆代替ガスを適用したガス絶縁開閉装置や遮断器などの研究・開発が盛んに行われている。今後，現行のSF₆の使用に対して規制強化される可能性も懸念されるため，SF₆代替ガスの基礎特性を評価し，新ガス固有の課題を認識し，国際規格などの情勢変化へ速やかに対応できるよう備える必要がある。この取り組みの一環とし，本稿では，SF₆代替ガス種や電極材質をパラメータとし，大電流遮断あるいは内部事故などに伴うアーク放電によって発生する固体分解生成物の質量，およびアーク放電前後の圧力値を実験的に取得し，SF₆との差異を明らかにした。
6-068	CO₂/C₄F₇Nの粒子組成および熱力学特性の数値解析
6-068	◎出村雄樹・田中康規・上杉喜彦・石島達夫（金沢大学）電気学会全国大会講演要旨 6-068 CO₂/C₄F₇Nの粒子組成および熱力学特性の数値解析 ◎出村雄樹・田中康規・上杉喜彦・石島達夫（金沢大学）ガス遮断器では，吹付けガスとしてSF₆が使用されている。しかし，SF₆は地球温暖化係数が非常に高いことから，使用量の削減が望まれている。そこで，本稿では近年代替ガスとして有力視されているCO₂/C₄F₇Nの粒子組成および熱力学特性を数値計算により求めた。定圧比熱の計算結果から，CO₂/C₄F₇Nの場合は1000 K,2500 K，7000 K,15000 K付近で解離や電離によるピークが見られた。
6-069	CO₂吹付け中の各種高分子製ノズルにおける電流遮断過程のアークパラメータ
6-069	◎富沢文基・藤本蛍子・清滝和雄（日新電機）・横水康伸（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-069 CO₂吹付け中の各種高分子製ノズルにおける電流遮断過程のアークパラメータ ◎富沢文基・藤本蛍子・清滝和雄（日新電機）・横水康伸（名古屋大学）電力用ガス遮断器のノズルには一般的にPTFE (poly -tetrafluoroethylene)が使用されている。電流遮断時において，アークの熱エネルギーによってノズルが溶発しアークに混入するため，電流遮断特性に影響を与える可能性があり，その程度はノズル材料の組成に依存すると考えられる。本稿では，PTFEに加え3種類の高分子製ノズルを製作し，遮断性能と密接に関連するアークコンダクタンス及びアークパラメータを，CO₂吹付け中で電流遮断過程のアークを対象に評価した。その結果，PTFEのみが明確にアークコンダクタンスは大きく，アーク損失は小さくなり，乾燥空気吹付けアークと同様であることがわかった。
6-070	CO2/O2混合ガスの熱的遮断基礎特性
6-070	◎真島周也・内井敏之・乙幡将吾・井上徹（東芝エネルギーシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-070 CO2/O2混合ガスの熱的遮断基礎特性 ◎真島周也・内井敏之・乙幡将吾・井上徹（東芝エネルギーシステムズ）高電圧機器関連の世界動向としてSF6ガスを使用しない代替ガスソリューションの研究開発が盛んに行われている。とりわけ，ガス遮断器においてはSF6代替ガス化を進めるにあたり，大電流遮断時の熱的遮断性能の向上は避けては通れない。そこで，代替ガスの候補であるCO2とO2の混合ガスを対象に，SF6と同じようにパッファ室の圧力および電流零点前のアークコンダクタンスが熱的遮断性能の評価指標となりうるか実規模GCBを用いて実験的に確認した。その結果，SF6と同様に前述の2つの指標で熱的遮断性能を評価できることが分かった。
6-071	PTFE溶発蒸気が混入した高温CO2ガスの臨界電界に関する検討
6-071	◎横井俊哉・津坂亮博・長谷川知帆・水野敦也・安田晃・松村年郎・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・石井達也・横水康伸（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-071 PTFE溶発蒸気が混入した高温CO2ガスの臨界電界に関する検討 ◎横井俊哉・津坂亮博・長谷川知帆・水野敦也・安田晃・松村年郎・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・石井達也・横水康伸（名古屋大学）本稿では，高温CO2ガスの誘電特性として，遮断器ノズルの材料にポリテトラフルオロエチレン（PTFE）を想定し，PTFE溶発蒸気が混入したCO2ガスの臨界電界特性を求めた。その結果，溶発蒸気を40％含有したCO2ガスは，3,000 K付近を除いて，300 K～4,000 Kのほぼ全温度範囲において，純粋なCO2よりも高い臨界電界を有する結果が得られている。
6-072	代替消弧ガスCO₂/O₂ へのCF₃CFCH₂, C4-FN あるいはC5-FK の混合：凝縮相炭素の生成と気相化学種
6-072	○横水康伸・兒玉直人・佐藤基宗（名古屋大学）・小倉健太郎（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-072 代替消弧ガスCO₂/O₂ へのCF₃CFCH₂, C4-FN あるいはC5-FK の混合：凝縮相炭素の生成と気相化学種 ○横水康伸・兒玉直人・佐藤基宗（名古屋大学）・小倉健太郎（三菱電機）本資料では，代替消弧ガス候補としてCO₂/O₂/CF₃CFCH₂ 混合ガスについて，300 から20,000 K での化学組成の理論計算結果を示し，約5,000 K以下での気相分子種を述べ，さらにCF₃CFCH₂分子の混合数Y_CHF によっては凝縮相炭素C(c) が約1,000 K 以下で生成されてしまうことを論述している。この結果を検討し，同混合ガスについて，C(c) の生成防止条件として，Y_CHF とO₂ の混合数Y_O2 との割合を明確にしている。次いで，C4-FN あるいはC5-FK が混合したO₂/O₂ ガスに関して，C(c) 生成防止条件を提示している。

G301-A1 電力システム（系統運用・解析）安定度（Ⅰ）3月12日午前 G棟 G301教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-073	再生可能エネルギー電源を電源制限する場合の系統安定化効果に関する基礎検討
6-073	◎下尾高廣・木村操・石原祐二・前田隆文（東芝エネルギーシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-073 再生可能エネルギー電源を電源制限する場合の系統安定化効果に関する基礎検討 ◎下尾高廣・木村操・石原祐二・前田隆文（東芝エネルギーシステムズ）従来の同期安定性を維持する系統安定化システムでは，従来電源の電源制限（電制）量を増加させることで安定な状態を見つける手法が多く用いられている。再エネ比率が高い今後の系統においては，同期機と再エネの組合せによる最適な安定化制御とする必要がある。この系統では，同期機を電制すると慣性・同期化力の減少や電圧維持源の減少の影響が強く表れ，不安定な状態に陥る懸念もあるため，それを考慮した新たな制御手法が必要であると筆者達は考える。本論文ではその基礎検討として，簡易な系統モデルにより，同期機電制と再エネ電制の系統安定化効果の差異を定性的に考察する。次に，それに対応したシミュレーションを行い，定量的に比較評価する。
6-074	調整力の出力計画変更による過渡安定度の向上効果とそのコストに関する一考察
6-074	◎山嵜朋秀・下尾高廣・木村操・高崎耕太郎・市川量一（東芝エネルギーシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-074 調整力の出力計画変更による過渡安定度の向上効果とそのコストに関する一考察 ◎山嵜朋秀・下尾高廣・木村操・高崎耕太郎・市川量一（東芝エネルギーシステムズ）今後中長期的に再生可能エネルギー（以下再エネ）の大量導入が見込まれており，従来と比較して同期発電機を多く停止した運用が想定される。同期発電機の停止に伴い同期化力が低下する点と，再エネ増大により系統の潮流は重潮流化・不確実化する点を考慮すると，過渡安定度向上のために同期発電機の出力調整や並列台数増加が必要となる。本稿では，2022年相当の再エネ導入量を想定した系統で，発電事業者が発電コストを最小化する計画を策定した場合における過渡安定度を評価する。また，系統運用者が過渡安定度を向上させるように調整力の出力計画を見直した場合に発生しうるコストを評価する。
6-075	太陽光発電導入時のPV解列を考慮した過渡安定度解析
6-075	◎山下和伸・植木竜弥・加藤政一（東京電機大学）・阿知和大和・杉山健太（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-075 太陽光発電導入時のPV解列を考慮した過渡安定度解析 ◎山下和伸・植木竜弥・加藤政一（東京電機大学）・阿知和大和・杉山健太（中部電力）近年，地球温暖化及び資源の枯渇防止のため再生可能エネルギーの導入が活発である。特に太陽光発電(以下PV）導入量は増加する傾向にあり，2030年までに日本全体で64[GW]のPV導入が予想されている。PV導入時には既存の発電機出力を調整し，電力系統の需給バランスを保つ必要がある。発電力の調整には様々な方法があり，それによって過渡安定度への影響も違ったものになる。例を挙げると，発電機を停止せず，容量を一定として，出力を減少させた場合には，低出力で運転することになり，発電効率が悪化し，経済性が損なわれる。一方，発電機を停止させ，容量が減少した場合は，電力系統の同期化力や電圧維持能力が低下し，電力品質への影響が懸念される。
6-076	大規模ウィンドファームを有する電力系統の可変速揚水発電機による過渡安定度改善
6-076	◎後藤誠弥・梅村敦史・高橋理音・田村淳二（北見工業大学大学）・松村喜治・田口司・山田明（北海道電力）電気学会全国大会講演要旨 6-076 大規模ウィンドファームを有する電力系統の可変速揚水発電機による過渡安定度改善 ◎後藤誠弥・梅村敦史・高橋理音・田村淳二（北見工業大学大学）・松村喜治・田口司・山田明（北海道電力）近年，様々な環境問題の観点から，環境負荷が少ない風力発電等の再生可能エネルギーを用いた発電の導入拡大が進んでいる．しかしながら，落雷などの地絡故障が原因で停電が引き起こされる可能生がある．例えば大規模な風力発電所近傍で故障が発生すると連系点電圧が低下し，Grid Codeとの兼ね合いで風力発電所がトリップする場合が想定される.従って，風力発電等の再エネ電源導入拡大をする上で，系統事故時の電力系統の安定性を維持する必要がある．そこで本論文では大規模風力発電所がトリップした際の電力系統の過渡安定度を可変速揚水発電機で改善する制御法を提案し，有効性を確認するとともに，従来型の固定速揚水発電機との比較検討を行う.
6-077	大規模ウィンドファームを有する電力系統の直流連系線による過渡安定度改善
6-077	◎新野翔・梅村敦史・高橋理音・田村淳二（北見工業大学）・松村喜治・田口司・山田明（北海道電力）電気学会全国大会講演要旨 6-077 大規模ウィンドファームを有する電力系統の直流連系線による過渡安定度改善 ◎新野翔・梅村敦史・高橋理音・田村淳二（北見工業大学）・松村喜治・田口司・山田明（北海道電力）近年，低炭素社会実現のため，風力発電などの再生可能エネルギー導入が進められている。しかし，我が国では，風況が良好な風力発電に適した地域が北海道や東北等の一部地域に偏っている。それに伴い，風力発電が一部地域に大規模導入された場合に引き起こる課題の一つに，地絡故障による瞬時電圧低下を起因とする大規模解列がある。この課題に対処するため，既設の直流連系線を用い，高速に潮流制御を行うことで周波数の大規模な低下を改善することが多面的な観点においても有効である。本稿では，直流連系線への仮想慣性制御を含むファジィPID制御の適用を試み，その制御法の過渡安定度改善を確認するとともに，他の制御法との比較検討を行った。
6-078	東北エリアにおける再生可能エネルギー大量導入が過渡安定度に及ぼす影響の一考察
6-078	○宍戸浩司・白崎圭亮・青木廉・北内義弘（電力中央研究所）・飛田雄一・関沼和浩（東北電力）電気学会全国大会講演要旨 6-078 東北エリアにおける再生可能エネルギー大量導入が過渡安定度に及ぼす影響の一考察 ○宍戸浩司・白崎圭亮・青木廉・北内義弘（電力中央研究所）・飛田雄一・関沼和浩（東北電力）東北エリアでは，再エネ出力の増加に伴い，電源構成が従来から大きく変化し，系統に並列される同期発電機の減少が見込まれる。これにより，系統の同期化力や電圧維持能力等が低下し，東北エリアを含む東地域の過渡安定度が低下することが懸念される。本研究では再エネ出力と発電機の運転状態（並列条件・出力条件）に着目し，事故時の過渡安定度に及ぼす影響を東北エリア全域の系統データを用いてY法シミュレーションにより検討した。その結果，東北エリアにおける再エネ出力増加時の過渡安定度は，発電機停止による電圧維持能力や慣性減少の影響だけでなく，発電機停止位置による基幹系統の潮流の変化による影響も大きいことを把握した。
6-079	リアルタイム情報を用いた最大リアプノフ指数による過渡安定度推定
6-079	◎大山貴央・横山明彦（東京大学）・栄田真吾・ヴァルマスレシチャンド（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-079 リアルタイム情報を用いた最大リアプノフ指数による過渡安定度推定 ◎大山貴央・横山明彦（東京大学）・栄田真吾・ヴァルマスレシチャンド（中部電力）近年の再生可能エネルギー電源の大量導入や電力改革システムの進展に伴って，電力系統の複雑化と電源の分散化が進んでいる。その中において電力系統のリアルタイム監視・安定度把握技術の重要性は今後さらに増していくと考えられる。一方で，近年，系統監視制御システム技術としてPMU（Phasor Measurement Unit）の導入が進んでおり，特徴として高サンプリングレートかつ位相差が取得可能といったことが挙げられる。本稿ではシミュレーション上でPMUから得られるリアルタイム情報から最大リアプノフ指数（Maximal Lyapunov Exponent; MLE）を用いて系統の過渡安定度推定を行う手法について検討を行った。

G301-A2 電力システム（系統運用・解析）安定度（Ⅱ）3月12日午前 G棟 G301教室
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6-080	電力系統の過渡安定性向上を目的とした広域リアルタイム情報に基づく発電機励磁制御手法の検討―推定器による情報遅延の影響の緩和―
6-080	◎増田宗紀・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-080 電力系統の過渡安定性向上を目的とした広域リアルタイム情報に基づく発電機励磁制御手法の検討―推定器による情報遅延の影響の緩和― ◎増田宗紀・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学）将来の電力系統では，再生可能エネルギーの大量導入に伴い，想定外の不安定現象の発生が懸念される。これに対し著者らは，広域リアルタイム情報に基づく発電機励磁制御システムであるWBS(WAMS-Based Stabilizer)を提案してきた(1)。先行研究(1)では，WBSによって励磁電圧を制御することにより，既存の励磁制御システムを適用した場合と比較して過渡安定性を向上できる可能性を明らかにした。一方で，WBSの広域情報の遅れが長い場合には，WBSの適用によってダンピングが悪化する恐れがあることがわかった。本論文では，広域情報の遅れへの対策として，WBSで必要な広域情報を削減するための制御則の近似，およびWBSで必要な広域情報である角速度の推定器の導入を提案した。
6-081	クープマンモード分解による西日本電力系統における広域動揺モードの評価
6-081	◎古市泰浩・渡邊政幸・三谷康範（九州工業大学）・薄良彦・石亀篤司（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-081 クープマンモード分解による西日本電力系統における広域動揺モードの評価 ◎古市泰浩・渡邊政幸・三谷康範（九州工業大学）・薄良彦・石亀篤司（大阪府立大学）西日本の電力系統では2~3秒周期の広域動揺が発生している。近年では自然変動電源の導入が拡大し，出力変動の不確定性が増大するとともに，広域動揺の特性も変化しており，電力系統の運用においてはその状態変化を正確に把握することが重要である。そこで，本研究では西日本に設置した同期位相計測装置から取得した電圧位相データに対しクープマンモード分解を適用することで，広域動揺成分を抽出し，その動揺周波数と減衰率の時間変化を評価する。クープマンモード分解は複雑なダイナミクスを表す時系列データを単一の周波数を有する時系列データに分解する手法であり，FFT解析では推定の難しい動揺の減衰性を定量的に推定することが可能である。
6-082	PMU 測定値に基づく背後電圧・インピーダンス推定の基礎検討 -非線形最小二乗法による推定-
6-082	◎大金武志・太田豊・中島達人（東京都市大学）・中地芳紀・Verma Suresh Chand（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-082 PMU 測定値に基づく背後電圧・インピーダンス推定の基礎検討 -非線形最小二乗法による推定- ◎大金武志・太田豊・中島達人（東京都市大学）・中地芳紀・Verma Suresh Chand（中部電力）太陽光・風力発電などインバータ連系電源の導入にともなう同期発電機の並列台数や地域的な構成の変化は, 電力システムの安定性に影響を与える可能性がある。同期発電機の並列台数が少なくなると, 慣性が低下し, 周波数変動が起こりやすくなるといわれている。また, 同期発電機の並列台数が少なくなると, ネットワークの背後インピーダンスが大きくなり, 電圧安定性に影響を与えることとなる。これに対して, PMUのようなセンサ情報を基に, これまで把握することが困難であった慣性定数やネットワークインピーダンスなど安定性に関わる状態量を推定し, 系統制御機器等を機動的に運用する方法が検討されている。本研究では, 送電ネットワークのインピーダンスに注目し, 同期発電機の並解列にともない変化するインピーダンスをリアルタイムで推定する。ネットワークの背後電圧の変動によりインピーダンスの推定誤差が生じることが報告されているが, 本研究では, 背後電圧・インピーダンスの両者を推定することで, 推定精度の向上を図る。
6-083	PSOを用いた発電機AVRのパラメータ推定手法
6-083	○金尾則一（北陸電力）電気学会全国大会講演要旨 6-083 PSOを用いた発電機AVRのパラメータ推定手法 ○金尾則一（北陸電力）特高系統以下の発電機を含む系統において，再エネが系統の安定度に与える影響をより正確に把握するためには，発電機の振る舞いを精度よく再現しておくことが重要である。特高以下の発電機AVRには不確かなものがあり，その場合は標準的なAVRモデル（制御定数含む）を用いている場合が多い。本稿では，電力系統の安定度計算の解析精度向上を目的として，発電機AVRのインディシャル応答から粒子群最適化手法(Particle Swarm Optimization；PSO)を用いて，AVRの制御パラメータを推定する手法を検討した。
6-084	無効電力の必要制御容量を考慮したPVの分散制御による電力系統の安定化制御方式
6-084	◎鴨田啓二・辻隆男・大山力（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-084 無効電力の必要制御容量を考慮したPVの分散制御による電力系統の安定化制御方式 ◎鴨田啓二・辻隆男・大山力（横浜国立大学）近年，電力系統に導入が推進されている太陽光発電(PV)のようなインバータを介した分散電源は，原理的に有効・無効電力を高速に制御できる機能を有している。この機能は系統事故の除去に貢献できると考えられる。そこで本研究では，PVを系統に大量導入された場合に，系統事故時の過渡安定度への影響を，有効電力の制御を事故発生直後の第一波の電力動揺に対して先に適用し，これにより生じた空き容量を活用して，無効電力制御を適用する手法を用いて検討した。また，事故の影響によるPCSの周波数検出への影響などを考慮するため，瞬時値解析用プログラム「XTAP」を用いて，瞬時値解析に基づいた電力系統モデルにより提案手法の有効性を検討した。
6-085	二次電池制御時の過渡安定度高速推定手法
6-085	◎白川克也・田中和幸・小出明（富山大学）電気学会全国大会講演要旨 6-085 二次電池制御時の過渡安定度高速推定手法 ◎白川克也・田中和幸・小出明（富山大学）近年，太陽光発電(PV:PhotoVoltaic)など再生可能エネルギーの大量導入時の対策として，二次電池電力貯蔵システム(BESS:Battery Energy Storage Systems)の適用が検討されている。BESSは制御応答速度が速いため，需給制御に加え，系統安定化を目的とした制御への適用も期待されている。BESS制御による過渡安定度への影響は，地点毎，運用方法毎により変化するため，BESS候補地点の中から過渡安定度向上に貢献するBESSを選定し制御する必要がある。本稿では，BESSによる加速エネルギーの変化量を評価することで地点毎，運用毎の効果を高速に推定し評価する手法を検討した。
6-086	動揺周期に着目した二段階最適化による系統安定化装置設計
6-086	◎中村好秀・松川義明・渡邊政幸・三谷康範（九州工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-086 動揺周期に着目した二段階最適化による系統安定化装置設計 ◎中村好秀・松川義明・渡邊政幸・三谷康範（九州工業大学）直列に長く連系した系統では，周期が2 ~ 数秒で弱制動の特質を有する長周期動揺の発生が特徴となっており，連系線の重潮流化や不規則な潮流変化により，その不安定性が問題となる可能性がある。長周期動揺抑制のために使用される制御器の一つとして，系統安定化装置（PSS : Power System Stabilizer）がある。本稿では，動揺周期に着目し，長周期動揺モードと短周期動揺モードに対応する固有値に分類し，一段階目の設計では長周期動揺の抑制，二段階目の設計では短周期動揺の抑制も考慮した目的関数を定式化し，メタヒューリスティクスを用いて最適解を探索することで，支配的な動揺モードを安定方向に移動させ，効果的に動揺を抑制可能なPSSの設計方法を提案する。

G205-B2 電力システム（系統運用・解析）系統解析（Ⅰ）3月13日午前 G棟 G205教室
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6-087	北海道内の風力大量導入を始めとする電力増大が送電系統に与える影響の考察
6-087	◎佐竹暁仁・大山力（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-087 北海道内の風力大量導入を始めとする電力増大が送電系統に与える影響の考察 ◎佐竹暁仁・大山力（横浜国立大学）北海道地方では，北本連系線増強や，風力発電導入の増加，新たなLNG発電所の設立など，系統内の電力増大が盛んに行われている。しかしながら，そういった電力増大が系統内に及ぼす影響については詳しくわかっていない。本研究では，送電系統に着目し，想定事故解析を行った。解析では，各設備が増設された場合を想定し，各送電線で1回線が短絡した後，遮断機によって解放状態になった際に，過負荷になっていなかどうかを潮流計算によって確認した。その結果，全ての事故パターンにおいて，送電線が過負荷になることはなかった。また，風力発電およびLNG火力発電所による影響についても確認することができた。
6-088	分散電源を含んだ電力系統モデルにおける負荷の動特性模擬の検討
6-088	◎石原潤弥・北條昌秀・山中建二（徳島大学）電気学会全国大会講演要旨 6-088 分散電源を含んだ電力系統モデルにおける負荷の動特性模擬の検討 ◎石原潤弥・北條昌秀・山中建二（徳島大学）近年，電力システムに対して太陽光発電（PV）や風力発電などの自然エネルギー利用電源の連系が急速に進んできている。需要端に接続される分散電源という視点から見れば，動特性を有する負荷以外にもこうしたPVなどの動特性が負荷の挙動に与える影響について検討が必要と考えられ，そのモデル化とシミュレーションによる解析等が重要であるといえる。これまでのシミュレーション解析では，負荷の静特性のみを考慮したものが多いようである。本稿では，こうした分散電源を含む系統で，負荷の動的な挙動を考慮に入れた系統モデルを検討し，3相短絡故障を想定したシミュレーション解析を行い，比較・検討した結果について報告する。
6-089	電力系統における高調波の実態
6-089	○福田泰史（電気事業連合会）電気学会全国大会講演要旨 6-089 電力系統における高調波の実態 ○福田泰史（電気事業連合会）高調波発生機器から配電線などを通じて電力系統へ流入する高調波電流は，線路などの系統インピーダンスに応じた高調波電圧を発生する。この高調波電圧が商用電源電圧に重畳されると，電力系統の電圧を歪ませ，お客さま機器の停止などの誤動作，異音などさまざまなトラブルをもたらす。高調波を発生する機器の普及に伴い，流出する高調波電流の影響も懸念されるため，一般送配電事業者10社では電力系統の電圧歪みの観測を行っており，その結果を紹介する。高調波電圧歪み率の伸び率は，至近12ヶ年では各電圧階級ともほぼ横ばいの傾向にあるが，一部では若干の増加傾向が見られるため，今後も継続的に実態の把握を行い，動向を注視していく。
6-090	適応フィルタを用いた理論高調波解析の評価
6-090	◎溝口輝・渡邊政幸・三谷康範（九州工業大学）・加戸良英（旭化成）・壹岐浩幸（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-090 適応フィルタを用いた理論高調波解析の評価 ◎溝口輝・渡邊政幸・三谷康範（九州工業大学）・加戸良英（旭化成）・壹岐浩幸（富士電機）電力系統内の高調波発生量を測定する場合，高調波発生源が点在する環境下においては，従来用いられてきた高調波抑制対策ガイドラインでの評価は困難であることが指摘されている。また時々刻々と変化する高調波発生量に対して精度よく検出するためには，その他の方法による高調波解析が求められている。本稿では，LMS（Least Mean Square）アルゴリズムを採用した適応フィルタを用いた高調波検出において，精度よく検出するためのパラメータの選定を行い，理論高調波を含む信号を模擬した三相不平衡信号に対して解析を行ったので報告する。
6-091	Harmonics in Power Systems and Mitigation Techniques for Power Quality Improvement
6-091	○Gresson Daima・大山力（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-091 Harmonics in Power Systems and Mitigation Techniques for Power Quality Improvement ○Gresson Daima・大山力（横浜国立大学） In this article, it is referred about some individual harmonics measured at Point of Common Coupling (PCC) at the Moma Substation in Nampula Province Mozambique which are above the maximum values admissible according to the IEEE 519 -2014 standardization. This harmonics are result of non- linear loads, VSD (Variable Speed Drives) existing in Moma mining factory which are affecting the utility system. These harmonics can cause energy losses, overheating, overloading in electrical network and malfunction of many equipment. In other to solve this problem and improve power quality, it is proposed to use Harmonic mitigation Techniques. So it is proposed the use of Shunt Passive Filter as a solution of low cost and best performance.
6-092	スマートインバータの多機能活用が送電系統および配電系統に与える影響の解析
6-092	◎國分海斗・織原大・飯岡大輔（東北大学）・玉井昌彦・小松貴彦（テプコシステムズ）・青砥由貴・喜久里浩之・橋本潤・合田忠弘・大谷謙仁（産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-092 スマートインバータの多機能活用が送電系統および配電系統に与える影響の解析 ◎國分海斗・織原大・飯岡大輔（東北大学）・玉井昌彦・小松貴彦（テプコシステムズ）・青砥由貴・喜久里浩之・橋本潤・合田忠弘・大谷謙仁（産業技術総合研究所）近年，環境問題への意識の高まり等から太陽光発電の導入量が拡大していているが，それに伴い電圧問題や需給制御力不足への懸念が増してきている。この対応策としてスマートインバータの活用が考えられているが，スマートインバータの動作や多機能活用が電力系統全体に及ぼす影響についての検討例は少ない。そこで本稿では筆者らが開発をしている系統解析シミュレータ「SoRA-Grid」を用いてスマートインバータの電圧調整機能や周波数調整機能，また両機能を同時に用いた際に送電系統および配電系統に与える影響について解析し，多機能活用時には機能間で干渉が生じる可能性があることを明らかにした。
6-093	BSOを用いたUPFC最適配置問題の解法
6-093	◎髙橋朋章・森啓之（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-093 BSOを用いたUPFC最適配置問題の解法 ◎髙橋朋章・森啓之（明治大学）近年，電力系統の高速な潮流制御が可能なFACTS(Flexible AC Transmission System)機器の系統への導入が進んでいる。FACTS機器は新規の送電線を設置せずに，電力潮流，母線電圧，電力品質，送電容量などを改善することが可能である。その中でもUPFCはP, V, Qの3変数の制御が可能である。UPFCの最適化問題とはUPFCの効果を最大限に発揮できる配置場所と出力を決定する問題である。しかし，配置場所は離散変数，出力は連続変数として表される結果，問題は非線形混合整数問題として定式化される。そのため，最適解の発見が困難である。この問題は現在まで様々な手法が提案されてきた。本稿では，BSO (Brain Storm Optimization)を用いた UPFC最適配置法を提案する。提案法の有効性は例題系統を用いることで示される。

G205-C1 電力システム（系統運用・解析）系統解析（Ⅱ）3月14日午前 G棟 G205教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-094	最適潮流計算を用いた風力連系多端子自励式直流送電システムの運用とその経済性評価
6-094	◎SANGWON KIM・横山明彦（東京大学）・高口雄介・高野富裕・森一之（三菱電機）・泉井良夫（金沢工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-094 最適潮流計算を用いた風力連系多端子自励式直流送電システムの運用とその経済性評価 ◎SANGWON KIM・横山明彦（東京大学）・高口雄介・高野富裕・森一之（三菱電機）・泉井良夫（金沢工業大学）多端子自励式直流送電システムを導入し, その運用に最適潮流計算を用いる手法を提案する。風力の発電電力が大きいときは主に風力発電電力の送電を行う。また, 風力発電電力が小さいときは変換器の最適な出力を決めることによって交流側で発電された電力の送電も可能になる。その結果, 多端子自励式直流送電システムの設備利用率を高め, より高い経済的利益を得ることを目的とする。
6-095	同期位相計測を用いた広域動揺解析に基づく慣性推定手法の検討
6-095	◎米澤実・三谷康範（九州工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-095 同期位相計測を用いた広域動揺解析に基づく慣性推定手法の検討 ◎米澤実・三谷康範（九州工業大学）近年，慣性を有していない再生可能エネルギーの導入量増加により電源脱落量から推定される以上に周波数が変動してしまうといった擾乱に対する耐性の低下が懸念されている。こうした系統の剛性を把握するために位相計測装置によって取得される位相情報から広域動揺を観測し，注目する地域が持つ慣性の推定を試みている。本稿では東日本50Hz系統における2地域の連系部分に着目し，その位相差情報を用いて地域系統における慣性の推定手法を様々な観点から評価し，手法の有効性について検討を行っている。
6-096	PCSの位相制御による疑似慣性モデル
6-096	◎片桐裕基・阿拉木斯・董文康・中西要祐（早稲田大学）・伊藤秀之・高野幸雄（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-096 PCSの位相制御による疑似慣性モデル ◎片桐裕基・阿拉木斯・董文康・中西要祐（早稲田大学）・伊藤秀之・高野幸雄（富士電機）再生可能エネルギーの導入により，従来の同期発電機の持つ特性である慣性や同期化力が減少している。このため，インバータに同期発電機の特性を模擬する疑似慣性制御を付加する系統安定化技術が提案されている。一方で，蓄電池システムにより，分散型電源の出力を平準化し，需給バランスを保つ技術も提案されている。本稿では，同期発電機の特性を疑似的に持たせたインバータであるVSGとして機能するPCSを報告する。そしてVSGの制御としては，従来の制御方式とは異なり，制動力と同期化力に注目した，演算コストが小さい新たな簡易慣性模擬方式を提案する。この方式を用いたVSGの系統安定化技術の有効性を検証していく。
6-097	我が国の将来の電力システムにおけるシステム慣性の課題
6-097	○荻本和彦・岩船由美子・占部千由・斉藤哲夫・片岡和人（東京大学）・東仁・礒永彰（JPビジネスサービス）電気学会全国大会講演要旨 6-097 我が国の将来の電力システムにおけるシステム慣性の課題 ○荻本和彦・岩船由美子・占部千由・斉藤哲夫・片岡和人（東京大学）・東仁・礒永彰（JPビジネスサービス） PVや風力が主力電源となる過程では，同期機の従来の同期機の割合が減少することを始めとし，様々な電力システムの運用・管理の課題が発生する。本報告では，再生可能エネルギーの導入量が増加に伴い，電力システムにおける新たな課題の中で，システム慣性が低下することが示す。今後の課題としては，将来の様々な需給シナリオにおけるシステム慣性力の減少特性の把握，周波数の常時変動や事故時変動・変動率などの管理目標の精査と，需給運用の変更あるいは分散資源による新たな周波数管理などの対策の検討，そして，これらを統合して，将来の我が国の電力システムに関する戦略，技術開発，導入普及の計画・実施につなぐことが必要と考えられる。
6-098	PMU 測定値に基づく背後電圧・インピーダンス推定の基礎検討 —背後電圧誤差によるリアクタンス推定—
6-098	◎須藤直人・大金武志・太田豊・中島達人（東京都市大学）・中地芳紀・スレシ・チャンドヴァルマ（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-098 PMU 測定値に基づく背後電圧・インピーダンス推定の基礎検討 —背後電圧誤差によるリアクタンス推定— ◎須藤直人・大金武志・太田豊・中島達人（東京都市大学）・中地芳紀・スレシ・チャンドヴァルマ（中部電力）太陽光・風力発電などインバータ連系電源の導入にともなう同期発電機の並列台数や地域的な構成の変化は, 電力システムの安定性に影響を与える可能性がある。同期発電機の並列台数が少なくなると, 慣性が低下し, 周波数変動が起こりやすくなるといわれている。また, 同期発電機の並列台数が少なくなると, ネットワークの背後インピーダンスが大きくなり, 電圧安定性等に影響を与えることとなる。これに対して, PMUのようなセンサ情報を基に, これまで把握することが困難であった慣性定数やネットワークインピーダンスなど安定性に関わる状態量を推定し, 系統制御機器等を適正に運用する方法が検討されている。本研究では, 送電ネットワークのインピーダンスに注目し, 同期発電機の並解列にともない変化する背後インピーダンスをリアルタイムで推定する。背後インピーダンス推定時に背後電圧の変動により誤差を生じることが報告されているが, 本研究では, 背後電圧・背後インピーダンスの両者を推定することで, 推定精度の向上を図る。
6-099	Advanced Inertial Response Control Based on Disturbance Observer in Island Microgrid Considering Rotational Speed of Wind Turbines
6-099	◎斉晶婷・辻隆男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-099 Advanced Inertial Response Control Based on Disturbance Observer in Island Microgrid Considering Rotational Speed of Wind Turbines ◎斉晶婷・辻隆男（横浜国立大学） This study applied the disturbance of observer (DOB) to inertial response (IR) control which can mitigate frequency drop effectively by using the kinetic energy which stored at rotating blades to increase the wind power output and developed a comparably detailed model of microgrid with wind turbine, photovoltaics and two diesel engine generators. In addition, the diesel engine generator model was developed based on the ISO Standard 8528-1 to 8528-5, which describe reciprocating internal combustion engine driven alternating current generating sets with application, ratings and performance of a standard model. The relative parameters used in diesel engine generator model were regulated according to the ISO standard and other references.
6-100	母線電圧の変動が小擾乱同期安定性に与える効果に関する基礎検討
6-100	◎櫻井聡史・坂本織江・仁田旦三（上智大学）電気学会全国大会講演要旨 6-100 母線電圧の変動が小擾乱同期安定性に与える効果に関する基礎検討 ◎櫻井聡史・坂本織江・仁田旦三（上智大学）同期機の小擾乱同期安定性の検討やそれに基づく励磁制御系の設計を行う際に，一機無限大母線を用いた線形化モデルが用いられる。このモデルは対象機の接続先母線の電圧が一定であるとして導出される。しかし，近年の系統には再生可能エネルギー(RE)を用いた分散型電源が多数接続されており，これらの出力が気象条件に依って変化し，その潮流変化により系統電圧が変動し，対応が必要となっている。分散型電源の導入が増加していくと，系統内で無限大母線とみなせる場所が減少すること，ひいては系統の同期安定性にへの影響も無視できなくなることが考えられる。本研究では，母線電圧の変動を考慮して線形化モデルを導出し，RE電源の出力変化とそれによる母線電圧の変動が小擾乱同期安定性に与える影響についての基礎検討を行った。

G205-C2 電力システム（系統運用・解析）系統解析（Ⅲ）3月14日午前 G棟 G205教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-101	系統不平衡故障時におけるPVの単独運転検出機能の影響確認試験
6-101	◎水谷良介・嶋田誠一郎・佐藤孝（中電シーティーアイ）・壬生賢一・柳田雅紀（中部電力）・白崎圭亮（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-101 系統不平衡故障時におけるPVの単独運転検出機能の影響確認試験 ◎水谷良介・嶋田誠一郎・佐藤孝（中電シーティーアイ）・壬生賢一・柳田雅紀（中部電力）・白崎圭亮（電力中央研究所）太陽光発電（PV）のPCSには，単独運転を確実に防止するため，単独運転検出機能が備えられている。しかし，FRT要件の規定前に連系したPVの単独運転検出機能は，系統故障時に発生する電圧位相の変化等により不要動作し，系統から解列することが懸念されている。また，故障種別や電力系統の設備構成によって電圧低下等の状況が異なり，単独運転検出機能に影響を与える可能性がある。そこで，上位系統で発生した不平衡故障がPVの単独運転検出機能（電圧位相跳躍方式）に与える影響を中部電力保有のハイブリッドシミュレータを用いて確認し，故障様相と故障点からPV連系点までのY-Δ結線変圧器等の系統構成およびPVの検出方法が要因となり不要動作することを明らかにした。
6-102	模擬送による同期機FRT特性の検討(第3報)
6-102	雪田和人・◎福山剛健・小林優介・濵仲真和・新實健秀・松村年郎（愛知工業大学）・平松大典（日本電気技術者協会）電気学会全国大会講演要旨 6-102 模擬送による同期機FRT特性の検討(第3報) 雪田和人・◎福山剛健・小林優介・濵仲真和・新實健秀・松村年郎（愛知工業大学）・平松大典（日本電気技術者協会）同期発電機は，従来から電力用として広く用いられている。近年の単機大容量化はめざましく， 2極1,200,000kVA，4極1,500,000kVAクラスの大容量タ－ビン発電機の製作，国内外へ納入実績が報告されている。系統安定維持の要求として，特に，海外では発電機システムに対してGrid Code(系統連系要件)を指定される場合が多く，Grid Code要求の主要仕様としてFRT(Fault Ride Through：送電線事故時のプラント出力維持能力)があり，その挙動は，解析にて評価を行っている。同期発電機は，従来から電力用として広く用いられている。近年の単機大容量化はめざましく， 2極1,200,000kVA，4極1,500,000kVAクラスの大容量タ－ビン発電機の製作，国内外へ納入実績が報告されている。系統安定維持の要求として，特に，海外では発電機システムに対してGrid Code(系統連系要件)を指定される場合が多く，Grid Code要求の主要仕様としてFRT(Fault Ride Through：送電線事故時のプラント出力維持能力)があり，その挙動は，解析にて評価を行っている。
6-103	電力系統のじょう乱に伴う再エネ電源の振舞い
6-103	○豊田淳一（東北大学）・尾出友実・和山亘・品田浩一郎（東北電力）電気学会全国大会講演要旨 6-103 電力系統のじょう乱に伴う再エネ電源の振舞い ○豊田淳一（東北大学）・尾出友実・和山亘・品田浩一郎（東北電力）近年，海外（とくに米国）においてインバータベースの電源である再エネ電源が，基幹となる電力系統に発生する事故に伴って，その出力を中断する事例が発生し，基幹系統の信頼度に及ぼす影響が懸念されている。古くは，2006年11月4日に欧州で発生した大規模な3地域分割（旧UCTE系）事故において，過周波数地域から不足周波数地域に向けて9GWのライドスルー（frequency ride through）されていた風力の電力が移送されて，周波数維持に貢献していた。本稿では，2016年ごろから顕在化しているインバータベース電源の系統事故に伴う出力中断の振舞いについて，南カリフォルニア（2事例），南オーストラリア（2事例），テキサス（5事例）の調査結果を報告する。
6-105	指数関数型ルンゲクッタ法を用いた電力系統解析手法の開発
6-105	◎河村集平・小関英雄（電力中央研究所）・内田直之（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-105 指数関数型ルンゲクッタ法を用いた電力系統解析手法の開発 ◎河村集平・小関英雄（電力中央研究所）・内田直之（東京理科大学）近年では再生可能エネルギー電源やパワエレ機器の更なる導入拡大が見込まれており，これらの機器には速い時間領域で動作する時定数の短い要素が含まれている場合が考えられる。電力系統の実効値解析で用いられる4段4次の陽的ルンゲクッタ法は陽解法の一種であり，計算対象の時間刻みに対して時定数の短い要素が含まれている場合に，数値不安定現象が起こる恐れがある。そこで本研究では数値不安定性を生じさせない指数関数型の数値積分手法であるETDRK法を組み込んだ電力系統解析手法を提案し，その数値安定性および精度について検証を行った。
6-106	IEC 61850を適用した系統解析シミュレータの開発
6-106	○高橋竜生・石上雄太・杉山周平（富士電機）・壬生賢一・柳田雅紀（中部電力）・秋田晃佑（中電シーティーアイ）電気学会全国大会講演要旨 6-106 IEC 61850を適用した系統解析シミュレータの開発 ○高橋竜生・石上雄太・杉山周平（富士電機）・壬生賢一・柳田雅紀（中部電力）・秋田晃佑（中電シーティーアイ）近年，電気所では，IPネットワーク技術を適用した電気所全体の情報通信ディジタル化（フルデジタル化）が検討されている。変電所のフルデジタル化には，ステーションバスからプロセスバスに接続可能なIED（Intelligent Electronic Device）が必須である。今回開発したIEDは,IEC 61850やIEC 61588等の国際標準規格に準拠する通信機能の実装と，変電所プロセスバスに必要な通信機能を実装した。本報告では，電気所のフルデジタル化に対応可能なIED開発と，それらIEDを適用し，変電所のフルデジタル化を想定した電力系統シミュレータの開発と導入状況を報告する。
6-107	誘導電動機の逆相インピーダンスに関する基礎検討
6-107	◎岡本理輝・青木睦（名古屋工業大学）・岩月秀樹・國井康幸・上田玄（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-107 誘導電動機の逆相インピーダンスに関する基礎検討 ◎岡本理輝・青木睦（名古屋工業大学）・岩月秀樹・國井康幸・上田玄（中部電力）近年，配電系統に分散型電源として家庭用PVが普及したことで，電圧不平衡が拡大する配電系統が増加している。そのため，配電系統のより正確な不平衡解析が求められている。配電系統の電圧不平衡は，主に接続される単相負荷の接続相の偏りを原因とする逆相電流により発生するが，系統内に接続される三相機器に流れる逆相電流により，機器端の電圧不平衡を打ち消す効果があると推測される。しかし，三相機器の影響は不明確であるため，電圧不平衡の解析には反映できていない。本論文では，誘導電動機の不平衡に対する機器特性を整理するために，様々な不平衡の電源パターンで実験を行い，逆相インピーダンスを求めた結果について述べる。

G204-C2 電力システム（系統運用・解析）系統計画3月14日午前 G棟 G204教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-108	不確実な再生可能電源に対する送電計画の検討
6-108	◎城山智吉・安田裕一・梅谷明生・大坪直哉・伊庭健二（明星大学）電気学会全国大会講演要旨 6-108 不確実な再生可能電源に対する送電計画の検討 ◎城山智吉・安田裕一・梅谷明生・大坪直哉・伊庭健二（明星大学）大規模な風力発電の建設進んでいるが，これらの電源は需要の少ない地域に適地に広く分散しているうえ，電力自由化に伴う発送分離政策により送電線の建設計画が難しくなっている。本稿では列挙法を用いて接続可能なすべての送電網を多様な目的関数を用いて評価して，広範囲に分散した再生可能エネルギー電源を結ぶ送電網計画の基礎的研究を行った。具体的には列挙法などで送電網の候補に対して送電線の亘長を元に算出した建設コストや送電損失，送電線のルート断事故に対する信頼性の評価等を定量的に評価し，その特徴を分析した。
6-109	再生可能エネルギー大量導入下における電力流通設備の利用に関する分析
6-109	◎中澤理・小宮山涼一・藤井康正（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-109 再生可能エネルギー大量導入下における電力流通設備の利用に関する分析 ◎中澤理・小宮山涼一・藤井康正（東京大学）近年,太陽光発電導入の機運が高まっている.PVの大量導入により,潮流に変化が生じ,逆潮流が発生する可能性が存在する.送配電網においては電圧帯が上位になるほど需要の不等時性が均され,潮流量も平滑化されるが,PVによる逆潮流は同時に発生する.よって従来の潮流を念頭に形成された設備に対し,逆潮流の与える負荷は大きいと予期される.また,PVは気候状況によって出力が異なり,地理的解像度を上昇させるほど上位系統ではその出力が平滑化されうる.従って,送配電網への負荷は電圧帯によって異なることが予想される.そこで本稿では電圧帯を考慮し,地理的解像度を高めた系統モデルによりPVの大量導入が流通設備に与える影響の考察を行った.
6-110	再生可能エネルギー電源導入拡大・電力需要減少下における設備増強・縮小の両面を考慮した多目的送電系統計画
6-110	◎伊藤夏・永田真幸・横山明彦（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-110 再生可能エネルギー電源導入拡大・電力需要減少下における設備増強・縮小の両面を考慮した多目的送電系統計画 ◎伊藤夏・永田真幸・横山明彦（東京大学）電力小売完全自由化や再生可能エネルギー電源導入の機運の高まり，電力需要の減少など，日本の電力系統を取り巻く環境は大きく変化している。また，設備の高経年化への対応も課題となっている。需要減少や設備の高経年化により，利用率向上や設備の維持コスト低減のために送電設備の縮小が求められる一方で，再エネ電源導入の拡大などにより送電設備の拡充が必要となる場合も予想される。したがって，送電網の縮小と拡充の両面が適切に考慮された系統計画が望まれる。
6-111	超電導発電機を考慮したグリーンフィールドにおける最適送電網設計
6-111	◎鈴木宏尚・伊藤夏・横山明彦（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-111 超電導発電機を考慮したグリーンフィールドにおける最適送電網設計 ◎鈴木宏尚・伊藤夏・横山明彦（東京大学）再生可能エネルギーの大量導入，電力小売り全面自由化，発送電分離などに伴い，電力システムの複雑化が懸念される。このような状況においても電力を安定に運用するためには，電源側に自己安定性を持たせることも重要となってくる。そのための方策の一つとして，超電導発電機の導入がある。超電導発電機は小型軽量，高発電効率であることに加え，空隙巻線の採用による同期リアクタンスX_dの低下，界磁巻線の超電導化による過渡開放時定数T_d0^'の大幅な上昇などの特徴を有する。これらの特徴から，超電導発電機の導入による電力系統安定度向上が期待できる。本稿は，送電線のないグリーンフィールドにおいて超電導発電機を導入して最適送電網設計を行うことで，超電導発電機の電力系統導入による安定度への影響や最適導入地点の考察を行う。
6-112	Brain Storm Optimizationによる確率的供給信頼度評価法
6-112	◎丹下恵介（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-112 Brain Storm Optimizationによる確率的供給信頼度評価法 ◎丹下恵介（明治大学）本稿では送電系統における確率的供給信頼度評価のための進化的計算を用いた新しい手法を提案する。近年，電力自由化の進展や再生可能エネルギーの導入により，送電ネットワークはより複雑化している。それに伴い，確率的信頼度指標の重要性が増大している。従来法としてモンテカルロシュミレーションが用いられたが多大な計算時間を要する難点がある。本稿の提案法では確率的供給信頼度指標EENS（Expected Energy Not Supply）を進化的計算法Brain Storm Optimization を用いて計算する
6-113	電力市場参加者を考慮した停電作業系統の評価に関する研究
6-113	◎佐々木翔太郎・川原耕治（広島工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-113 電力市場参加者を考慮した停電作業系統の評価に関する研究 ◎佐々木翔太郎・川原耕治（広島工業大学）筆者らは，停電作業時における高い供給信頼度を維持するために，想定故障に伴う供給支障と過負荷の評価指標により，停電作業系統候補の生成を試みてきた。しかし，電力自由化の進展に伴い，電力市場に送電会社・発電会社・需要家等の複数のプレーヤーが参入する。従来の評価法では，全てのプレーヤーの利益が守られていると言い難く，プレーヤー毎の利益や目標を表す評価指標を新たに設ける必要がある。そこで本稿では，各プレーヤーを考慮した評価指標による新たな停電作業系統の評価方法を提案する。最後に，電気学会の地域供給系統モデルを用いたシミュレーションを行い，提案法の有効性を報告する。
6-114	N-1事故時の拡散潮流指数を利用した再生可能エネルギー導入可能量の高速算定手法
6-114	◎猪飼裕人・小出明・田中和幸（富山大学）電気学会全国大会講演要旨 6-114 N-1事故時の拡散潮流指数を利用した再生可能エネルギー導入可能量の高速算定手法 ◎猪飼裕人・小出明・田中和幸（富山大学）近年，再生可能エネルギー(RE)の大量導入量が進む中，RE導入を検討する際はN-1基準をはじめ，運用制約等を満足する系統計画が必要である．著者らは，N-1基準を考慮したOPFによりRE導入可能量の算定手法を提案した．しかし，系統規模が大きくなるほど計算負荷が増大し，厳密解の導出が困難となる．そのため，本報告では，線路定数から導出した事故時における拡散潮流指数を利用した高速算定手法を提案し，数値計算に基づき有効性を確認する．

G206-C1 電力システム（系統運用・解析）需給計画（Ⅰ）3月14日午前 G棟 G206教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-115	太陽光発電の出力急変を考慮した電力需給計画作成手法
6-115	◎馬場貴之・加藤政一（東京電機大学）電気学会全国大会講演要旨 6-115 太陽光発電の出力急変を考慮した電力需給計画作成手法 ◎馬場貴之・加藤政一（東京電機大学）現在，地球温暖化や化石燃料の枯渇などの問題から，太陽光発電(PV)などの再生可能電源の導入が促進されている。しかし，PVが大量に導入されると，昼間のPV出力ピーク時に余剰電力が発生し，系統周波数が許容範囲を逸脱する恐れがあり，PVが出力抑制を余儀なくされる可能性がある。また，PVの出力が予測と異なり急変した場合，系統運用に影響を及ぼす恐れがあるため，予めこれを考慮した対策を講じる必要がある。本研究では大量導入されたPVの出力急変を考慮した上でPVの発電機会の損失を抑え，かつ燃料費が安価となる電力需給計画作成手法の検討を行い，評価することを目的とする。
6-116	Coordinated Generator and BESS Scheduling Method in Power System with Large Photovoltaic Generation
6-116	○Rajitha Udawalpola（ルフナ大学）・Taisuke Masuta（名城大学）・Hideaki Ohtake（産業技術総合研究所）・Joao Gari da Silva Fonseca Junior（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-116 Coordinated Generator and BESS Scheduling Method in Power System with Large Photovoltaic Generation ○Rajitha Udawalpola（ルフナ大学）・Taisuke Masuta（名城大学）・Hideaki Ohtake（産業技術総合研究所）・Joao Gari da Silva Fonseca Junior（東京大学） We have developed methods for coordinated scheduling of thermal generators and BESS to decrease supply-demand imbalances in power systems with large PV generation [1-2]. In [1], we proposed a simultaneous scheduling method of generators and BESS using prediction intervals, which is a possible range of the actual PV power output at a given confidence level. However, the constraints of the response characteristics of thermal generators were not sufficiently considered. Also, the inverter and battery capacities of the BESS were ignored. In this study, we improved the previous method and developed a new scheduling method of thermal generators and BESS considering startup/stopping costs of thermal and the inverter and battery capacities. We evaluate the effectiveness of the proposed method by numerical simulations of the Kanto area power system for 3 months.
6-117	Optimal Weekly Operation Scheduling with Variable Reserve Rates by Stochastic Programming with Recourse
6-117	◎中野晴也・谷口暢・横山明彦（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-117 Optimal Weekly Operation Scheduling with Variable Reserve Rates by Stochastic Programming with Recourse ◎中野晴也・谷口暢・横山明彦（東京大学）太陽光発電および風力発電の導入量増加に伴い，需給アンバランスや周波数変動，供給力不足や余剰電力の発生が起きることが懸念されており，適切な予備力確保の重要性が増している。本稿では，週間需給運用計画に対して償還請求を有する確率計画法を適用することによる効果について述べる。
6-118	EV・FCVの普及が再生可能エネルギー大量導入された電力系統の発電機起動停止計画に与える影響評価
6-118	◎久井智晴・原亮一・北裕幸（北海道大学）電気学会全国大会講演要旨 6-118 EV・FCVの普及が再生可能エネルギー大量導入された電力系統の発電機起動停止計画に与える影響評価 ◎久井智晴・原亮一・北裕幸（北海道大学）近年，再生可能エネルギー電源の導入が進んでいるが，それに伴い，余剰電力の発生など系統の安定運用への悪影響も表面化してきている。一方で，電気自動車（EV）の普及と，燃料電池自動車（FCV）の技術開発が進んでいる。EVは比較的エネルギー効率が高いものの，EVがプラグインする時間帯に大きな電力需要が発生するため，系統側もそれに合わせた対策が必要となる。一方FCVでは，水電解装置を使用して電力で水素を製造する場合，FCVの総合エネルギー効率はEVより低くなるが，水素の製造とFCVへの水素充填が同時である必要がなくエネルギー供給の自由度が高い。そこで本研究では北海道を対象として，EVもしくはFCVが普及した場合に発電機起動停止計画(UC)に与える影響を比較検証する。
6-119	多地域系統における広域予備力融通を考慮した発電機および電力貯蔵装置の最適週間運用計画
6-119	◎谷口暢・横山明彦（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-119 多地域系統における広域予備力融通を考慮した発電機および電力貯蔵装置の最適週間運用計画 ◎谷口暢・横山明彦（東京大学）近年，再生可能エネルギー電源(RE)が電力系統に大量導入されているが,REは出力が天候によって大きく変動するため,その対策は必須である。また,昨今の電力システム改革により,地域間連系線の活用による広域運用の拡大が見込まれている。そこで本稿では，RE導入時の多地域電力系統において,連系線を介した地域間での予備力融通を可能とした場合の,週間運用計画の作成と需給シミュレーションについて2つのケースの検討を行った。その結果，予備力を広域的に共有した上で,各地域における電力不足のシナリオを複数考慮し,それぞれに対して制約条件を立てる手法が,運用コストおよび供給信頼度の面から有効だと示した。
6-120	確率論的発電機起動停止計画に基づくエネルギー貯蔵装置の最適運用に関する検討
6-120	◎神山修平・原亮一・北裕幸（北海道大学）電気学会全国大会講演要旨 6-120 確率論的発電機起動停止計画に基づくエネルギー貯蔵装置の最適運用に関する検討 ◎神山修平・原亮一・北裕幸（北海道大学）近年，再生可能エネルギー電源の導入量の増加に伴って需給バランス維持に必要な調整力もまた増加することが予想される．揚水発電の動力運転による需要創造などの対策もあるが，その量には限界があり，従来のやり方とは異なる新しい調整力確保を検討する必要がある．その一つとして，蓄電池の充放電電力の活用が期待されている．一方で導入コストが高いため，系統が必要とする設備量を正確に見積もることが国民経済的にも重要である．そこで本研究では，再生可能エネルギーの発電シナリオを考慮する確率論的発電機起動停止計画を用いて，エネルギー貯蔵装置の運用手法を検討する．
6-121	HP/BG併用熱供給システムによる風力発電出力ランプ変動抑制の検討 -実証設備による計画発電の検証-
6-121	◎横山凌・原亮一・北裕幸・石川志保（北海道大学）電気学会全国大会講演要旨 6-121 HP/BG併用熱供給システムによる風力発電出力ランプ変動抑制の検討 -実証設備による計画発電の検証- ◎横山凌・原亮一・北裕幸・石川志保（北海道大学）近年，原子力発電発電機の停止やエネルギー資源問題への取り組みから，再生可能エネルギー（RE）への関心が高まっている。また，電気事業の規制緩和により電力の小売自由化などが進む中，RE電源を所有する発電事業者においても，電力市場で発電電力を取引する形態が世界的に現れている。本研究では，RE電源を所有する発電事業者が市場を通して売電を行う際に通告する発電出力通告値に含まれるRE予測誤差をHP/BG併用熱供給システムによって補償する計画発電を検討している。本稿では，実証設備の実機特性を反映した制御モデルによるシミュレーションで制御パラメータを決定し，実証設備を用いた試験により有効性を検証する。

G206-C2 電力システム（系統運用・解析）需給計画（Ⅱ）3月14日午前 G棟 G206教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-122	地理的・時間的解像度を詳細化した世界エネルギーシステムモデルによる自然変動電源の導入可能性評価
6-122	◎大槻貴司・小宮山涼一・藤井康正（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-122 地理的・時間的解像度を詳細化した世界エネルギーシステムモデルによる自然変動電源の導入可能性評価 ◎大槻貴司・小宮山涼一・藤井康正（東京大学）世界的に自然変動電源（VRE）の導入拡大が顕著であるが，一方で出力変動性や資源偏在性等のシステム統合面の課題が懸念されている。本研究では，地理的・時間的解像度を詳細化した最適化型の世界エネルギーモデルを開発し，システム統合策を明示的に考慮した上で，世界低炭素化におけるVREの導入可能性を評価する。予備的検討の結果，VREは2050年の世界の発電電力量の約25%を占めた。発電部門の低炭素化にVREは重要な役割を果たし得る。
6-123	動学的多部門エネルギー経済モデルを用いた日本の長期電源計画の準備的検討
6-123	◎磯貝基・小宮山涼一・藤井康正（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-123 動学的多部門エネルギー経済モデルを用いた日本の長期電源計画の準備的検討 ◎磯貝基・小宮山涼一・藤井康正（東京大学）世界のエネルギー問題の議論はすでに2050年へと移行している．それら議論に定量的な示唆を与えるエネルギーモデルの持つ役割は重要であり，本研究もまたその一端を担うものである．本モデルは，経済モデルをベースとし，電力部門を皮切りに，非電力エネルギー部門，素材部門を独自の定式化によって詳細化がなされてきた．経済モデルをベースとすることで，エネルギーシステムそのもので閉じるのではなく，経済への影響を考慮しつつ．最適な電源運用や投資を模索することが可能である．本研究会では，本モデルの具体的な定式化およびモデル計算に基づく準備的な検討について発表を行う予定である．
6-124	関門連系線に着目した確率的手法による連系系統の必要予備力算定
6-124	○田中創士（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-124 関門連系線に着目した確率的手法による連系系統の必要予備力算定 ○田中創士（横浜国立大学）必要供給予備力の算定手法は供給信頼度の考え方，エリア間応援ロジック，容量市場の制度設計に向けたもの，連系線のマージンの扱いなどの多岐にわたり，課題が多く残されている。本研究ではその中でも連係線容量を起こしやすいとみられる関門連系線に着目して，供給力不足が発生した時のエリア間の連系手法や連系線の計画停止を考慮した確率的手法によって必要予備力算定をすることを目的とする。
6-125	再生可能エネルギーの大量導入を考慮した需給計画
6-125	◎野澤大貴・加藤政一（東京電機大学）電気学会全国大会講演要旨 6-125 再生可能エネルギーの大量導入を考慮した需給計画 ◎野澤大貴・加藤政一（東京電機大学）エネルギー資源委乏しく，エネルギー供給の大部分を占める化石燃料の大半を海外からの輸入に頼っている日本において太陽光，風力といった再生可能エネルギーは純国産エネルギー，温室効果ガスを排出しないという点で重要であるが，天候などによって出力が変動するため，安定供給の面で対策が必要である。近年，太陽光，風力が急増しており，それによって供給力が需要を上回ってしまう場合の対策として出力を抑制する段階的な手順を示す優先給電ルールが整備された。優先給電ルールを適用した再生可能エネルギーの導入可能量の検討とその評価が必要である。本研究では優先給電ルールを考慮した需給計画策定手法とその需給計画の評価を行った。
6-126	不確実性を考慮した発電計画の修正手法
6-126	◎矢口航太・山嵜朋秀・下尾高廣・木村操（東芝エネルギーシステムズ）・若江智秀（東芝インフラシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-126 不確実性を考慮した発電計画の修正手法 ◎矢口航太・山嵜朋秀・下尾高廣・木村操（東芝エネルギーシステムズ）・若江智秀（東芝インフラシステムズ）将来の電力系統は，再生可能エネルギー電源（以下，再エネ電源）の導入促進や電力システム改革等により，現在以上に複雑化していくと予想される。そのような状況下において，系統事故発生時の供給信頼度を高いレベルで維持するためには，再エネ電源の出力予測や需要予測に基づく一点の潮流状態だけではなく，不確実性を考慮した様々な潮流状態の安定性を評価した上で，供給信頼度が高い潮流状態に誘導する仕組みが必要になると考えられる。そこで，数十分～数時間程度先の不確実性を含む再エネ電源出力等の予測値から様々な潮流状態を想定し，想定事故発生時における供給信頼度がより高くなる潮流状態へと誘導する発電計画修正手法を提案する。
6-127	揚水機の柔軟性を考慮した発電機起動停止計画・電力需給運用モデルの構築
6-127	◎小豆澤諒太・今中政輝・栗本宗明・杉本重幸・加藤丈佳（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-127 揚水機の柔軟性を考慮した発電機起動停止計画・電力需給運用モデルの構築 ◎小豆澤諒太・今中政輝・栗本宗明・杉本重幸・加藤丈佳（名古屋大学）太陽光発電(PV)の普及に伴い，より柔軟性の高い電力需給運用が求められている。そこで筆者らは，翌日の発電機起動停止計画(UC)と当日の経済負荷配分制御(EDC)に関する計算モデルを構築してきた。しかし，これらの検討では，各日の貯水量の初期値および最終値を50%に固定し，EDCモデルについても最適化計算を用いており，実際の需給運用を適切に模擬しているとは言えない。そこで本研究では，貯水量の目標値を最適化計算によって計画できるようUCモデルを修正し，EDCモデルを時系列計算とすることで需給運用をより適切に模擬することを試みている。本報では，計算結果の一例を示し，揚水機の柔軟性を活用するための需給運用のあり方について考察する。

G206-A3 電力システム（系統運用・解析）需要予測3月12日午後 G棟 G206教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-128	翌日最大電力負荷予測における異常値を考慮したコレントロピーに基づくDEEPSOを用いたANNの適用
6-128	櫻井大士・◎佐藤尚輝・福山良和（明治大学）・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-128 翌日最大電力負荷予測における異常値を考慮したコレントロピーに基づくDEEPSOを用いたANNの適用櫻井大士・◎佐藤尚輝・福山良和（明治大学）・飯坂達也・松井哲郎（富士電機）電力負荷のピーク時間帯に対する信頼性の高い電力供給は，系統運用の基本的要求であり，ピーク時負荷に対し信頼性の高い電力供給を行うために，翌日の最大電力需要をあらかじめ高精度に予測することが必須となっている。また，データに異常値が含まれる場合，高精度な予測のために異常値を取り除くことが必須である。これらの背景により，翌日最大電力負荷予測における異常値を考慮したコレントロピーに基づくDEEPSOを用いたANNの適用を提案する。
6-129	電力需要予測のリスク低減を考慮した誤差改善
6-129	◎荻原航大・浦野昌一（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-129 電力需要予測のリスク低減を考慮した誤差改善 ◎荻原航大・浦野昌一（明治大学）電力需要予測を行うことは運用系統において重要である。私たちの生活を支える電力は様々な問題から高精度な予測を立て，計画的で安定的な運用をしていくことが必要である。電力需要予測においては予測精度や予測結果のバラツキがリスクとなるため，精度向上と共にバラツキの抑制が必要とされる。そのような観点から本稿では精度向上及びリスク低減を目指す。本稿では，入力要素に新たに気象条件を加えたモデルを提案する。シミュレーションでは，今回は東京電力管轄内の10地点の平均気温を入力要素として加えた。シミュレーション結果より，入力要素に気温を加えたHybrid予測モデルでは，予測精度向上を可能とすることを確認したので報告する。
6-130	時間前市場を考慮した個別住宅の需要電力量予測の修正手法
6-130	◎吉木幹人・植田譲（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-130 時間前市場を考慮した個別住宅の需要電力量予測の修正手法 ◎吉木幹人・植田譲（東京理科大学） FIT終了に伴い，小売電気事業者やアグリゲータが需要家に電気を売買することが想定される。その際小売電気事業者やアグリゲータは需要予測を行い，インバランスを少なくすることができれば，無駄なく電力の取引が可能になる。本研究では，PVや蓄電池を考慮し個別住宅ごとに翌日24時間の需要予測を行う。さらに，時間前市場に合わせて，当日の実需要により短時間先を予測し修正を加えていくことを目的とする。その結果，住宅1軒毎の年間の日積算電力量の予測誤差の平均値は改善されたが，1日単位では修正がうまくいかない時間帯も存在した。そのため，1日単位で予測を外す可能性の高い時間帯に修正が行えるように検討していく必要がある。
6-131	二段階学習による翌日住宅地域電力需要予測
6-131	◎平野創・植田譲（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-131 二段階学習による翌日住宅地域電力需要予測 ◎平野創・植田譲（東京理科大学）近年，需要家側への太陽光発電や蓄電池等のDER(分散型エネルギーリソース)の普及拡大が進んでいるが，これらを最適に制御することは負荷平準化や省エネルギー，ひいては3E+Sの達成に繋がる。現実にDERの制御を行う事業者として想定されるアグリゲータが最適制御を行うには制御対象の翌日需要を高精度に予測できることが重要だが，適切な予測手法は需要家の種類・規模に応じて変わるため，それぞれについて予測手法の検討が必要である。本研究では住宅地域における翌日需要の一時間値の予測手法について，一段目で複数の入力変数と予測手法を用いて様々な予測パターンの予測値を算出し，それらを二段目の予測モデルの入力に使用することで最終的な予測値を算出する二段階学習による予測手法の検討を行った。
6-132	x-meansを用いたRBFネットワークによる小規模エリアでの電力需要予測
6-132	◎羽柴雄太・浦野昌一（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-132 x-meansを用いたRBFネットワークによる小規模エリアでの電力需要予測 ◎羽柴雄太・浦野昌一（明治大学）従来の電力会社では大規模エリアでの予測が中心であることに加え，過去の予測実績によるノウハウの蓄積があるが，街ごとや小規模エリアでの予測は十分研究出来ているとは言えない。そこで時系列データやニューラルネットワーク等を用いて，コミュニティ単位の場合でも高精度な予測を可能とするモデルの検討が必要であると考える。そこで，本稿では，RBFネットワークとx-meansを用いて予測モデルを構築することで，中間層のユニット数を自動的に決定する予測モデルを提案する。これにより，エリアごとに予測モデルを再構築する必要がなくなる。
6-133	需要カーブ予測に向けた負荷・PV発電波形のクラスタ分析
6-133	◎川野辺章人・若尾真治（早稲田大学）・泰間智也・菅野伯浩・馬渕裕之（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-133 需要カーブ予測に向けた負荷・PV発電波形のクラスタ分析 ◎川野辺章人・若尾真治（早稲田大学）・泰間智也・菅野伯浩・馬渕裕之（東京電力ホールディングス）近年，需要家において，太陽光発電（PV）電力の余剰分を有効利用するため，蓄電池の導入が段階的に進むと考えられる。現時点では，大量導入されたPVの逆潮流により需要家の見かけ上の電力需要カーブ（トータル需要カーブ）は変化している。今後，蓄電池の運用という不確定性が追加されることでトータル需要カーブの予測は一層困難となり，配電系統の運用上支障をきたす可能性がある。このような背景のもと本論文では，先ずは低圧需要家に焦点を当て，スマートメータ（SM）の実測データに基づき，負荷波形，PV出力波形，およびこれらの重ね合わせである余剰電力波形のクラスタ分析を行い，各代表波形を明らかにしたので報告する。これらの代表波形は，今後のトータル需要カーブの予測において，有益な情報になるものと期待できる。
6-134	スマートメータを活用した変圧器単位の負荷カーブ予測手法に関する検討
6-134	○福場伸哉・菅野伯浩・馬渕裕之（東京電力ホールディングス）・三好佑弥（東京電力パワーグリッド）電気学会全国大会講演要旨 6-134 スマートメータを活用した変圧器単位の負荷カーブ予測手法に関する検討 ○福場伸哉・菅野伯浩・馬渕裕之（東京電力ホールディングス）・三好佑弥（東京電力パワーグリッド）これまで低圧配電系統は，需要家の契約高により予測した最大実負荷電流をもとに管理されてきた。しかし，近年，スマートメータ（以下SM）の取り付けが進んでおり，時系列に正確な負荷実績を把握できるようになってきた。このような背景により今までの予測値のみで管理していた手法から，SMによる実績値を活用した管理手法が提案できる環境が整備されつつある。東京電力ではSMによる実績値を活用し低圧系統単位，つまり変圧器単位の負荷カーブ予測手法を検討してきた。本研究では，更なる予測精度の向上による設備スリム化に向け，低圧系統の一需要家単位の負荷カーブ予測手法を新たに検討し，その予測値にもとづく変圧器単位の負荷カーブ予測手法について検討したので，本稿で紹介する。
6-135	季節特徴を考慮し動的変数選択を行う翌日住宅地域負荷予測モデルの開発
6-135	◎椙村駿平・植田譲（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-135 季節特徴を考慮し動的変数選択を行う翌日住宅地域負荷予測モデルの開発 ◎椙村駿平・植田譲（東京理科大学）近年再生可能エネルギーの大量導入により逆潮流や余剰電力が発生している。これらを効率よく制御するために住宅地域において蓄電池の運用を行う需要家アグリゲータを想定し翌日需要予測モデルの開発を行った。住宅にはそれぞれ特徴があり，季節ごとによって消費電力が大きくなる住宅そうでない住宅が存在する。本研究では夏季冬季の消費電力の特徴よりクラスタリングを行い，ニューラルネットにより需要予測を行った。この際に複数の入力因子パターンによって予測を行い最適な入力因子を動的に選択し予測を行った。この結果予測精度が向上した。また，クラスタリングごとに採用された入力因子は異なりそれぞれの特徴が確認できた。
6-136	家庭用燃料電池の運用計画作成のための給湯需要予測手法に関する一検討
6-136	◎土屋祐太・藤本悠・吉田彬・天野嘉春・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-136 家庭用燃料電池の運用計画作成のための給湯需要予測手法に関する一検討 ◎土屋祐太・藤本悠・吉田彬・天野嘉春・林泰弘（早稲田大学）需要家による省エネルギー対策が求められている中で，発電と同時にその排熱を給湯に利⽤できる⾼効率なシステムとして家庭⽤燃料電池の普及が拡⼤している。このシステムは，家庭の需要に合わせた蓄熱を⾏うことでさらに効率的な運⽤が可能となることから，家庭の電⼒・給湯需要の時間推移をあらかじめ予測し，それに合わせた運⽤計画を作成する⼿法が先⾏的に提案されている。本稿では，燃料電池の蓄熱量の決定に大きく影響を与えるにも関わらず，一般的な需要予測では考慮されにくい総給湯需要量のような一日全体の需要の特徴を捉えるために，運用計画の良し悪しに大きく影響する給湯需要の時間推移を系列として一度に予測する手法を提案する。
6-137	気温応答性を考慮した業務用電力需要データセットの作成
6-137	◎石塚諒・渡邉郁弥・川口貴弘・石崎孝幸・井村順一（東京工業大学）・佐々木崇宏・植田譲（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-137 気温応答性を考慮した業務用電力需要データセットの作成 ◎石塚諒・渡邉郁弥・川口貴弘・石崎孝幸・井村順一（東京工業大学）・佐々木崇宏・植田譲（東京理科大学）電力需要を管理するアグリゲータがシミュレーションに用いる日本各地の電力需要のデータセットが求められている。本研究では，電力需要と気温の強い相関関係に着目し，電力需要を時間と気温の関数で表す気温応答モデルを構築した。構築の際，混合ガウスモデルによるクラスタリングを用いて，需要家をいくつかのクラスタに分類した。最後に，分類されたクラスタを日本標準産業分類の小分類と対応づけ，構築した気温応答モデルを用いて都道府県ごとの総電力需要を模擬したデータセットを作成した。模擬した電力需要データからは，気温による消費電力への影響が確認できた。

G206-A1 電力システム（系統運用・解析）需給制御（Ⅰ）3月12日午前 G棟 G206教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-138	2エリア間の広域需給調整に関する基礎検討
6-138	◎徳光啓太・花井悠二・天野博之（電力中央研究所）・寺尾良輔・小野幹典・大石侑甫（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-138 2エリア間の広域需給調整に関する基礎検討 ◎徳光啓太・花井悠二・天野博之（電力中央研究所）・寺尾良輔・小野幹典・大石侑甫（中部電力）現在の我が国における需給・周波数制御は，主に各エリアの一般送配電事業者が公募により調達した調整力を用いて実施しているが，より効率的かつ経済的な調整力の調達及び運用を目的とし，2021年度を目途に需給調整市場の創設が予定されている。また，調整力の調達および運用については，段階的に広域化が進められるとされており，三次調整力①，②については，2020年度を目途に一般送配電事業者による広域運用が順次開始される予定である。そこで，筆者らは既開発の中部エリアの需給制御モデルに加え，他エリアおよび広域需給調整システムの簡易モデルを構築し，15分周期の広域需給調整に関するシミュレーション検討を実施している。本稿では，モデルの概要およびシミュレーション結果の一例を紹介する。
6-139	需給制御の性能評価手法の提案—制御判定角の連系線潮流偏差への適用拡大—
6-139	◎鈴木聖人・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-139 需給制御の性能評価手法の提案—制御判定角の連系線潮流偏差への適用拡大— ◎鈴木聖人・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学）最近，地球温暖化への関心の高まりから，再生可能エネルギーの導入が進んでいる。一方，出力変動が大きい電源が増えると電力系統の需給制御が困難となる恐れがあるため，負荷周波数制御(LFC)等の一層の最適化が必要となる。筆者らは，需給制御の性能をスペクトル解析によって評価する手法を提案してきた。しかし同手法で評価に用いるデータは，実際には測定できないものであった。そこで本論文では同手法を拡張し，実測可能な連系線潮流偏差に適用した手法を提案する。また同手法を，電気学会電力需給・周波数シミュレーションの標準モデルのシミュレーション結果に適用し，手法の有効性の検証を図る。
6-140	RES変動時におけるパレート最適解集合を用いた調整用発電機の価値評価手法に関する基礎検討
6-140	◎浅見拓一知・金子曜久・林泰弘（早稲田大学）・野中俊介（電源開発）電気学会全国大会講演要旨 6-140 RES変動時におけるパレート最適解集合を用いた調整用発電機の価値評価手法に関する基礎検討 ◎浅見拓一知・金子曜久・林泰弘（早稲田大学）・野中俊介（電源開発）広域系統運用は，RES出力変動を補償する調整力確保への貢献が期待されている。一方で，管理地域拡大に伴う潮流変化の複雑化への懸念から，補償のためには複数の系統指標を考慮しつつ調整用発電機に出力分担することが望ましい。ここで，出力分担値と系統指標の関係を評価し，各調整用発電機の系統指標向上への貢献度を導出することは，より安定的な系統運用や設備計画に貢献すると考えられる。そこで本稿では，多目的最適化問題を解くことで得られる，パレート最適解集合における出力分担値に基づき，調整用発電機の調整力価値を評価する手法を提案した。また，提案手法に基づく調整用発電機の価値評価の一例として，RESを追加模擬した電気学会EAST30機系統モデルを用い数値計算を行った。
6-141	太陽光発電予測を用いた蓄電池システムと火力発電の協調運用手法の比較検討
6-141	◎高橋康平・小林大貴・益田泰輔（名城大学）・Rajitha Udawalpola（University of Ruhuna）・大竹秀明（産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-141 太陽光発電予測を用いた蓄電池システムと火力発電の協調運用手法の比較検討 ◎高橋康平・小林大貴・益田泰輔（名城大学）・Rajitha Udawalpola（University of Ruhuna）・大竹秀明（産業技術総合研究所）太陽光発電による発電電力を有効利用するためには，蓄電池システムなどのエネルギー蓄積装置を使用することで日中にエネルギーを貯蔵し，夜に放電をする必要がある。先行研究では，太陽光発電予測を用いて，発電機起動停止計画・蓄電池充放電計画を協調して作成・修正する手法の提案と評価を行ったが，充放電計画と発電機起動停止計画は別々に作成していた。そして，実際には蓄電池容量（バッテリー容量，インバータ容量）も考慮する必要がある。本論文では，蓄電池容量を考慮し，混合整数線形計画法で，蓄電池充放電計画と発電機起動停止計画を同時に作成する手法を提案し，提案手法と先行研究の手法のシミュレーション結果を比較・評価する。
6-142	周波数制御機能を備えた需給制御マネージャの開発
6-142	◎漆崎裕介・佐々木豊・餘利野直人・造賀芳文（広島大学）電気学会全国大会講演要旨 6-142 周波数制御機能を備えた需給制御マネージャの開発 ◎漆崎裕介・佐々木豊・餘利野直人・造賀芳文（広島大学）近年，環境負荷低減の観点から運用時に化石燃料を消費しない再生可能エネルギー電源（Renewable Energy Source; RES）が注目されている．再生可能エネルギーは温室効果ガスを排出せず，国内で生産できることから，エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で，重要な低炭素の国産エネルギーという位置づけになっている.特に，太陽光発電（Photovoltaic Power Generation; PV），風力発電（Wind-Turbine Power Generation; WT）については，国策により積極的な導入設置が行われている．一方，このようなPVやWTのような再生可能エネルギー電源（Renewable Energy Source;RES）は天候に応じて出力が変動するため，周波数や電圧に影響を及ぼすことが懸念される.そのため，既存系統の火力発電機や分散型電源であるディーゼル発電機等の可制御電源によって，出力制御を行いながら供給安定化を図らなければならない．また，PVやWTの導入拡大や電力系統全体の効率的運用および供給信頼度の維持を考慮すると，既存の火力発電機群など制御可能な電源のポテンシャルを十分に解析し最大限に利用していくことが不可欠である.このような背景から，一般に予測手法の開発に加え予測に基づく高度な発電機の需給制御手法が重要視されている.本研究室では，発電機と蓄電池（Storage Battery; BT）の柔軟な運用により，RESの不確定性に対応する需給制御マネージャ(1)（図1）を開発している．需給制御マネージャでは制御階層を分割し，階層間で必要最低限の情報のやりとりを行うように設計している.

G206-A2 電力システム（系統運用・解析）需給制御（Ⅱ）3月12日午前 G棟 G206教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-143	風力発電予測の更新により計画を修正する需給運用シミュレータの開発
6-143	◎西辻裕紀・宇田川佑介・荻本和彦・斉藤哲夫（東京大学）・請川克之（構造計画研究所）・福留潔（JPビジネスサービス）電気学会全国大会講演要旨 6-143 風力発電予測の更新により計画を修正する需給運用シミュレータの開発 ◎西辻裕紀・宇田川佑介・荻本和彦・斉藤哲夫（東京大学）・請川克之（構造計画研究所）・福留潔（JPビジネスサービス）風力発電の不確実性は今後の電力の安定的な需給運用に対する大きな障害となる可能性があるが，その出力の不確実性を減少させるために，出力予測を新しく得られるデータで頻繁に更新することが考えられる。予測更新の効果は，火力発電機の起動に一定の時間がかかるという特徴を持つ需給運用に即して評価する必要があることから，風力発電出力予測の更新により発電機起動停止計画を立て直し，その計画に則って需給運用を行うシミュレーションツールを開発した。30分毎に更新される風力発電予測を用いたシミュレーションを行った結果，予測更新により供給力不足は3分の1以下となった。一方，火力発電機と揚水発電機による発電の平均コストは0.03%程度上昇した。
6-144	当日PV予測を用いた蓄電池システム充放電計画・発電機起動停止計画における予測外れ対応
6-144	◎小林大貴・柴田晃輝・益田泰輔（名城大学）・大竹秀明（産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-144 当日PV予測を用いた蓄電池システム充放電計画・発電機起動停止計画における予測外れ対応 ◎小林大貴・柴田晃輝・益田泰輔（名城大学）・大竹秀明（産業技術総合研究所）これまでに太陽光発電予測情報を利用した需給運用手法の開発を進めてきた。先行研究では，我が国全体で300 GW 程度の著しく大量のPVが導入される状況を仮定し，数時間ごとに更新される精度の高い当日予測を用いて，バッテリーなどのエネルギー蓄積装置を利用した蓄電池システム充放電計画と火力発電機の発電機起動停止計画を修正する手法を提案し，需給運用シミュレーションにより提案手法の有効性を確認した。本論文では，先行研究の手法に基づき，太陽光発電予測情報と実測値の誤差が需給運用に与える影響を考察し，それに対応できるよう改良し，需給運用シミュレーションによって改良手法の評価を行う。
6-145	再エネ出力制御を伴う需給運用に向けた取り組み
6-145	◎石崎雄介・小島健輔・鈴木直人（九州電力）・橋本篤（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-145 再エネ出力制御を伴う需給運用に向けた取り組み ◎石崎雄介・小島健輔・鈴木直人（九州電力）・橋本篤（電力中央研究所）九州エリアの太陽光設備量は平成30年6月末には800万kWを超過し，離島以外で平成30年10月13日(土)には，国内初となる優先給電ルールに基づく再エネ出力制御を実施した。今回，再エネ（太陽光・風力）出力制御を伴う最適な需給運用に向けて，当社が取り組んできた内容について述べる。
6-146	再エネ出力予測誤差を考慮した需給バランス計算プログラムの開発
6-146	○鈴木直人・古田昭宏・本山護・石崎雄介（九州電力）電気学会全国大会講演要旨 6-146 再エネ出力予測誤差を考慮した需給バランス計算プログラムの開発 ○鈴木直人・古田昭宏・本山護・石崎雄介（九州電力）再生可能エネルギー(以下，再エネ)の出力制御指示は前日に実施される。よって，前日時点で再エネ出力を予測するため，再エネ予測誤差を考慮した上で出力抑制を実施する必要がある。本稿では，需給開始日の2日前から当日にかけ，再エネ出力予測誤差を考慮した需給計画策定業務を行うための新たなプログラムを開発したので報告する。
6-147	負荷平準化を行いつつ負荷周波数制御に貢献する家庭用ヒートポンプ給湯機の群制御手法
6-147	◎川頭浩城・堀立磨・田村潤・近藤健一・馬場旬平（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-147 負荷平準化を行いつつ負荷周波数制御に貢献する家庭用ヒートポンプ給湯機の群制御手法 ◎川頭浩城・堀立磨・田村潤・近藤健一・馬場旬平（東京大学）本稿は，家庭用ヒートポンプ給湯機(HPWH)の負荷平準化を行う群制御と共に周波数調整力としての利用を検討したものである。変動性電源が大量導入された電力系統の需給バランス維持の手段の1つとして，可制御負荷の消費電力を制御することが考えられているが，可制御負荷を運用する際に，可制御負荷の消費電力の急激な変動による系統周波数への悪影響が生じる可能性がある。本稿では，特に可制御負荷としてHPWHに着目した。HPWH起動時の急激な負荷変動を抑えつつ負荷平準化を行う群制御と共に周波数調整力として利用した。電力系統の周波数シミュレーションモデルを用いてその効果を検証したところ，周波数偏差の標準偏差と最大絶対値を低減させる効果を確認できた。

G301-A3 電力システム（系統運用・解析）電力経済（価格予測）3月12日午後 G棟 G301教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-148	JEPXエリアプライスの短期予測手法の検討
6-148	◎高山寛也・大山力・辻隆男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-148 JEPXエリアプライスの短期予測手法の検討 ◎高山寛也・大山力・辻隆男（横浜国立大学） 2016年度より電力自由化となり，電力価格は新たな価格変動リスクに直面することが予測されている。そこで，本研究ではこれからの価格の変動要因と，具体的な価格を予測することを目的とする。分析対象として，実際のエリア別の取引価格である，東京,中部エリアプライスを使用し，翌日の価格を予測する短期予測手法について検討する。手順としては，相関分析で価格の変動要因を調査した後，重回帰分析にて予測モデルを作成する。結果として，気温や原油価格などとの相関が認められ，予測モデルを作成した結果，中部は高い精度で予測できたが，東京はあまり良い結果が得られなかった。これについては市場の寡占状態が影響していると推測される。
6-149	太陽光発電によるJEPX価格への影響解析
6-149	國永拓也・五十川元・○宮内肇（熊本大学）・三澤哲也（名古屋市立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-149 太陽光発電によるJEPX価格への影響解析國永拓也・五十川元・○宮内肇（熊本大学）・三澤哲也（名古屋市立大学）我が国では2012年のFIT制度導入以降，急速に太陽光発電の普及が進み，それに伴い日本卸電力取引所（JEPX）のシステムプライスにも，以前とは異なる値動きが現れている。これは明らかに太陽光発電の影響と考えられるが，まだその影響を数値的に検証した例はないと思われる。そこで，著者らは既にJEPXシステムプライスの回帰分析を行ってきているので，本報告では，これまで用いてきたJEPXシステムプライスの回帰式に，新たに説明変数として日射量を加えて回帰分析を行い，日射量を含まない従来の回帰式と比較することで，太陽光発電の大量導入による影響がJEPXシステムプライスに現れていることを数値的に明らかにする。
6-150	簡易的なメリットオーダーモデルに基づくJEPXスポット市場価格想定に関する基礎的検討
6-150	◎小田美穂子・浅井健至・若尾真治（早稲田大学）・森田圭（JXTGエネルギー）電気学会全国大会講演要旨 6-150 簡易的なメリットオーダーモデルに基づくJEPXスポット市場価格想定に関する基礎的検討 ◎小田美穂子・浅井健至・若尾真治（早稲田大学）・森田圭（JXTGエネルギー） 2016年4月の電力小売全面自由化後，様々な事業者が電力小売事業に参入した。多くの新規参入事業者は，電力の調達を日本卸電力取引市場（JEPX）に頼っていることが多い。よって，新規参入事業者が効率的な事業計画の立案や日々の調達計画の最適化を行うには，JEPXの取引価格を精度良く予測することが求められる。一般にはファンダメンタルモデルと呼ばれるメリットオーダーにより電力単価を予測するが，これには専門的な知識が必要であり新規参入事業者には難しい。ここで，筆者らは容易に収集できる情報のみを用いて，簡易的なメリットオーダーを作成し電力単価の推定を行った。本論文ではメリットオーダーモデルの構成要素とメリットオーダー単価の算出手順について述べ，最後にメリットオーダー単価算出結果と精度評価を行った。
6-151	JEPXスポット市場価格に対する簡易メリットオーダーモデルの誤差分析
6-151	◎浅井健至・小田美穂子・若尾真治（早稲田大学）・森田圭（JXTGエネルギー）電気学会全国大会講演要旨 6-151 JEPXスポット市場価格に対する簡易メリットオーダーモデルの誤差分析 ◎浅井健至・小田美穂子・若尾真治（早稲田大学）・森田圭（JXTGエネルギー） 2016年4月の電力小売全面自由化に伴い，様々な事業者が電力小売事業に参入した。多くの新規参入事業者は日々JEPXスポット市場から電力を調達しているが，事業計画立案や調達計画の最適化を効率的に行うには，電力取引価格を日単位や時間単位で，簡便かつ精度良く予測する必要がある。これまで筆者らは，スポット市場価格を図1のように当日のメリットオーダー曲線と電力需要との交点から算出される「メリットオーダー単価」から簡便に予測することを検討してきた。本稿では，これまで構築したメリットオーダーモデルの精度改善を目的として，スポット市場価格と本モデルによるメリットオーダー単価との誤差について分析を行った結果を報告する。
6-152	気象予報誤差の傾向と電力需要予測に与える影響
6-152	◎小浦直洋・若尾真治（早稲田大学）・森田圭（JXTGエネルギー）電気学会全国大会講演要旨 6-152 気象予報誤差の傾向と電力需要予測に与える影響 ◎小浦直洋・若尾真治（早稲田大学）・森田圭（JXTGエネルギー）電力小売事業者は計画値同時同量を達成することが求められている。もし最終的な計画値と実需給との間にギャップが生じた場合には，その量に応じてインバランス料金が徴収される。2018年7月における東京エリアのインバランス単価（確報値）の平日昼間の平均値は17.7円/kWhであり，最も高い日では42.4円/kWhであった(1)。電力小売事業者は，同時同量を達成してインバランスの発生を回避するためにも，精度の高い電力需要予測を行うことが求められる。本稿では，電力需要予測を行うにあたり，入力値として用いる気象予報値の誤差が与える影響を示すとともに，気象予報値そのものが持つ誤差の特性について述べる。
6-153	PV大量導入後の電力前日スポット市場価格の推定
6-153	◎崔錦丹・佐々木崇弘・植田譲（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-153 PV大量導入後の電力前日スポット市場価格の推定 ◎崔錦丹・佐々木崇弘・植田譲（東京理科大学） PV余剰電力のFITによる買取期間終了後は小売事業者を介して市場へ売電することが考えられるが，PV大量導入による余剰電力の発生が見込まれることから，自家消費など需要と一致させた利用が期待される。PVの有効利用のため蓄電池の運転計画が課題になっており，市場価格予測による蓄電池の最適運用が求められている。本論文ではPV大量導入と活発なスポット市場取引が行われる場合の，スポット価格の推定方法を提案し，カリフォルニア州の電力市場データを基に回帰分析を行い，東京エリアのシステムプライスを推定した。
6-154	高次元オープンデータに基づく電力スポット市場価格予測―複数予測結果の統合アプローチの検討―
6-154	◎大村愛花・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・澤敏之・佐々木浩人・福山直人・西野由高（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-154 高次元オープンデータに基づく電力スポット市場価格予測―複数予測結果の統合アプローチの検討― ◎大村愛花・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・澤敏之・佐々木浩人・福山直人・西野由高（日立製作所）近年，日本卸電力取引所（JEPX）で取引される電力量は増加傾向にあり，電力事業者にとって電力市場価格の予測の重要性が増している。例えば発電事業者がブロック入札を計画する際や，小売事業者がデマンドレスポンス実施の時間帯を決定する際には電力市場価格の予測結果が大きな判断材料となる。こうした背景から，本研究では，気象情報や電力需要といったオープンアクセス可能な高次元データに基づく電力スポット価格の予測手法の高精度化を目指す。特に本稿では，予測精度の向上を目的として，複数種の予測結果を統合するアプローチを検討した。
6-155	時間推移の周波数成分を特徴量とするクラスタ分析での卸電力価格予測の基礎的検討
6-155	○内海将人・茂森郁雄・渡辺徹（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-155 時間推移の周波数成分を特徴量とするクラスタ分析での卸電力価格予測の基礎的検討 ○内海将人・茂森郁雄・渡辺徹（日立製作所）電力の卸販売を行う発電事業者や，電力消費者に対して販売供給を行う小売電気事業者にとって，卸取引は，電力の卸売や調達の重要な手段である。経済合理的な運用のため，卸電力価格の予測が重要となる。一般に卸電力価格は，年間，週間，日間での変動を伴う。加えて電力の需要の価格弾力性は小さく，供給力の不足時等に価格スパイクが生じる。価格予測において一般に用いられる統計的な手法は，モデル化対象のデータの統計的な性質が時不変であることを仮定するが，制度の変更等に伴い比較的短期間で市場環境が変化する状況下では限界がある。本報では，市場環境の変化に追従可能な予測方式を提案し，有効性を示す机上検証結果を報告する。
6-156	オートエンコーダを用いたニューラルネットワークによる電力価格予測
6-156	◎山田航大（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-156 オートエンコーダを用いたニューラルネットワークによる電力価格予測 ◎山田航大（明治大学）近年，世界的な再生可能エネルギーの普及に伴い電力市場は著しく注目を浴びている。日本では2016年の小売業の全面的な電力自由化以来，市場競争は年々激しくなっている。そのうえで電力市場の参入にあたり，電力価格の予測は非常に重要な課題であり，精密な価格予測を行うことは電力取引における利益を最大化し，リスクを最小化することができ，市場競争において優位な立場をとれる。本稿では，深層学習のオートエンコーダを用いたニューラルネットワークによる電力価格の予測を提案する。
6-157	Fuzzy DP-meansを前処理としたGRBFNによる地域別限界価格予測
6-157	◎板羽智史・森啓之（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-157 Fuzzy DP-meansを前処理としたGRBFNによる地域別限界価格予測 ◎板羽智史・森啓之（明治大学）本稿では電力価格予測手法としてファジィクラスタリングを前処理としたハイブリッドインテリジェントシステムを提案する。世界の各地域で電力の自由化が広まり, 送電ネットワークはより複雑化することから, 電力市場プレイヤーの電力価格の高精度予測の要求はより高まっている。本稿の提案法では電力価格の予測手法としてニューラルネットワーク（以下, ANNと略記）の一般化RBFN（以下, GRBFNと略記）を用いる。また, ANNの学習を簡易的かつ効率的に行うために前処理としてDP-meansをファジィ化したFuzzy DP-meansを実装する。さらにANNの評価関数にWeight-Decay法を導入することで過学習を防ぎ, より優れた予測モデルを構築する。

G301-A4 電力システム（系統運用・解析）電力経済（経済性評価・取引）3月12日午後 G棟 G301教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-158	再生可能エネルギー普及シナリオと燃料単価シナリオに基づく太陽光・風力発電のkWh価値に関する基礎検討
6-158	◎根岸信太郎・池上貴志（東京農工大学）電気学会全国大会講演要旨 6-158 再生可能エネルギー普及シナリオと燃料単価シナリオに基づく太陽光・風力発電のkWh価値に関する基礎検討 ◎根岸信太郎・池上貴志（東京農工大学） 2012年に施行された再生可能エネルギー固定価格買取制度（FIT）をきっかけとして，わが国では太陽光発電（PV）や風力発電（WP）をはじめとした再生可能エネルギー（RE）電源が急速に普及している。PVやWPは火力機と異なり，増分燃料費がゼロの電源と捉えることができるため，PVやWPの普及に伴いスポット市場価格の押し下げ効果（メリットオーダー効果）が期待できる。その一方で，火力機の燃料となる石油・LNG・石炭の単価は中長期的に上昇すると推計されている。燃料単価の上昇は，増分燃料費の上昇につながることから，スポット市場価格の押し上げ要因となる。FIT終了後におけるPVやWPの市場統合の可能性や投資回収性を判断するうえで，メリットオーダー効果と燃料単価上昇がPVやWPのkWh価値に与える影響を中長期的に評価することが必要となる。本稿では，わが国のRE普及シナリオと燃料単価シナリオに基づき，将来のPVおよびWPのkWh価値について基礎的な検討を行った。
6-159	再生可能エネルギー電源事業のオプション価値
6-159	○髙森寛・周意誠・岩村一昭・中西要祐（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-159 再生可能エネルギー電源事業のオプション価値 ○髙森寛・周意誠・岩村一昭・中西要祐（早稲田大学）再生可能エネルギーの潜在的な大規模電源となり得る地域は辺境にあることが多い。発電事業として成り立つ条件は，資本投下に見合う十分な発電量があり，かつ，十分な収益が見通されねばならない。風力発電事業の収益性は，発電された電力がどのような価格で売却できるかに大きく依存する。事業として大規模に発電された風力発電が，まず，電力卸市場で取引できる状況にあることを想定する。規制緩和された状況では，電力卸市場での電力価格は，大きく乱高下することが知られている。いまは，事業化する価値がないにしても，いずれ価格変動によって事業化できるオプションの価値を評価するモデルを示す。
6-160	地域充電負荷を考慮した自立型EV充電スポットの経済性評価
6-160	◎田莫日根・川崎章司（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-160 地域充電負荷を考慮した自立型EV充電スポットの経済性評価 ◎田莫日根・川崎章司（明治大学）近年，電気自動車（EV）の普及速度は充電スポット数の不足によって落ちている現状に対して，本研究は電力系統と連系しない，太陽電池と蓄電池を電源として使用する自立型充電スポットを着目し，経済性評価を行った。充電スポットによる年間収入の最大化を目標として，遺伝的アルゴリズム（GA）を用いて太陽電池と蓄電池の最適容量を決定した。さらに，地域別に充電負荷を予測することより，利用パターンが異なる地域に自立型充電スポットを設置する場合の経済性評価を行った。結果として，自立型充電スポットの初期投資が少なく，投資回収期間が短いことが分かる。また，住宅地域より勤務先に設置する場合の経済性評価は更に良い結果が得られた。
6-161	CO₂削減賦課金による火力からの排出量削減
6-161	○矢部邦明・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-161 CO₂削減賦課金による火力からの排出量削減 ○矢部邦明・林泰弘（早稲田大学）再エネ賦課金に代わって，CO₂排出量に比例して課金する「CO₂削減賦課金」によって再エネ賦課金相当分と増分燃料費を賄う場合を想定し，炭素価格が火力からの排出量に与える影響を電源構成最適化モデルにより評価した。2030年に再エネが大量導入された地域について，起動コスト・部分負荷効率・LFC確保・再エネ出力抑制などを考慮して試算したところ，炭素価格が約1万円/CO₂トンを超えると，LNGの燃料費が石炭より安くなり排出量が削減できる。3.43円/kWh相当の賦課金で，電源からの排出量を28%削減できることなどが分かった。
6-162	インバランス料金の算定機構に着目した変数間の関係性の把握に基づく需給状況の解析
6-162	◎金子奈々恵（早稲田大学）・藤本悠（スマート社会技術融合研究機構）電気学会全国大会講演要旨 6-162 インバランス料金の算定機構に着目した変数間の関係性の把握に基づく需給状況の解析 ◎金子奈々恵（早稲田大学）・藤本悠（スマート社会技術融合研究機構）系統運用者による電力の調達と需要の過不足（インバランス）の把握は，近年の電力自由化により小売事業者の電力市場への新規参入および発送電分離の動きが進んだことで困難になっている。加えて，需要家への太陽光発電の大量導入は見かけの電力需要に対して大きな影響を与えている。このような需要と供給がともに不確実な要素を有している状況において，インバランスを左右する要因を把握することは系統運用者が系統管理をする上で重要な課題となっている。本稿では，日本の電力自由化以降の電力市場におけるインバランス料金の算定機構に着目し，インバランスの状況を左右し得る要因について解析を行う。
6-163	需給調整市場に参加するアグリゲータに統括されるコージェネレーションシステムの運用－調整実績に基づく市場の入札戦略の検討－
6-163	◎中村勇太・原亮一・北裕幸（北海道大学）・武田清賢（北海道ガス）電気学会全国大会講演要旨 6-163 需給調整市場に参加するアグリゲータに統括されるコージェネレーションシステムの運用－調整実績に基づく市場の入札戦略の検討－ ◎中村勇太・原亮一・北裕幸（北海道大学）・武田清賢（北海道ガス）自然変動電源の更なる導入に伴い，需給調整力(以下，調整力)をこれまで以上に用意することが求められ，近年我が国でも調整力の取引を目的とした需給調整市場の創設が検討されつつある。その調整力の供給源として，需要家側の可制御機器(リソース)の活用が検討されつつあるが，需要家リソースは小容量・多数であるため，多数のリソース群を束ねて統合的な運用を実現するアグリゲータの存在が必要不可欠であると考えられる。そこで本研究では，国外で導入されている需給調整市場の枠組みを想定し，コージェネレーションシステム(CGS)を統括するアグリゲータが需給調整市場に参加している場合のCGSの運用手法を検討する。
6-164	分散型PV余剰電力取引システムにおける配電線制約考慮に関する一検討
6-164	◎櫛野晃大・長塚卓巳・山口順之（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-164 分散型PV余剰電力取引システムにおける配電線制約考慮に関する一検討 ◎櫛野晃大・長塚卓巳・山口順之（東京理科大学）近年，わが国では再生可能エネルギー発電の固定価格買取制度（Feed in Tariff：FIT）により太陽光発電（PV）が大量導入されてきている。このPV大量導入に伴い，電力需要が少なくPV発電量が多い時間帯において余剰電力が生じつつある。本研究では，需要家とPV発電事業者が2者間で直接PV余剰電力を取引するシステムに，送配電事業者が系統混雑制約を考慮して取引の可否判定を執行する手法を提案する。

G204-A1 電力システム（系統運用・解析）配電（Ⅰ）3月12日午前 G棟 G204教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-165	Optimal Scheduling of Energy Storage System for Peak Reduction Using a Prediction Interval
6-165	◎Daisuke Kodaira・Sekyung Han（Kyungpook National University）電気学会全国大会講演要旨 6-165 Optimal Scheduling of Energy Storage System for Peak Reduction Using a Prediction Interval ◎Daisuke Kodaira・Sekyung Han（Kyungpook National University） This study is aimed at determining the optimal energy storage system (ESS) operation schedule to minimize the peak load on the feeder of a distribution network. To reduce the peak load, the feeder load needs to be predicted. However, a deterministic prediction is not reliable because it may contain errors. This study proposes the use of the prediction interval (PI) of the error estimated based on prior predictions. An algorithm is used to determine the optimal ESS schedule using the PI. To demonstrate the method’s validity, a case study is presented, where the proposed optimal ESS schedule determined based on PI reduces the peak load during network operations over a one-year period.
6-166	配電電圧評価の観点から見たV2Hを含む蓄電池運用による潮流制御手法の開発
6-166	◎山田隆誠・植田譲（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-166 配電電圧評価の観点から見たV2Hを含む蓄電池運用による潮流制御手法の開発 ◎山田隆誠・植田譲（東京理科大学）近年，環境問題への関心が高まり，再生可能エネルギーの普及が活発に行われてきた。一方で，日本国内において従来の電力系統は太陽光発電のような分散型電源の大量な連系運転に考慮した設計はなされていないため，電力系統の電力品質,保護,保安,安定性に影響を与える可能性がある。本論文では電気自動車を住宅と連系し，蓄電池として運用するV2H（Vehicle To Home）を想定し，電気自動車の利便性を担保した制約の下に実測の住宅負荷とPV発電データを使用したシミュレーションを実施することで，配電系統の電圧の適正化と自家消費率の向上に効果的であることを確認した。
6-167	配電電圧管理に向けたEV充電上限量の一決定とその数値的検証
6-167	◎弓木翔太・薄良彦（大阪府立大学）・柵木諒・川島明彦（名古屋大学）・石亀篤司（大阪府立大学）・稲垣伸吉・鈴木達也（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-167 配電電圧管理に向けたEV充電上限量の一決定とその数値的検証 ◎弓木翔太・薄良彦（大阪府立大学）・柵木諒・川島明彦（名古屋大学）・石亀篤司（大阪府立大学）・稲垣伸吉・鈴木達也（名古屋大学）近年, 電気自動車(EV)の車載蓄電池を活用したエネルギーマネジメントシステムに注目が集まっている. その中で, 充電ステーションの滞在時間が比較的長く, 充放電要求に柔軟に対応できると期待されるEVシェアリングシステムの活用が検討されている. EVシェアリングシステムでは多数のEVが比較的狭い範囲に分散配置される可能性があることから, 配電系統の運用者(DSO)は, EVシェアリングシステムと連携し, EVによる充放電が配電電圧へ与える影響の評価と管理が必要となる. 本報告では, EV充電による配電電圧逸脱をDSOで管理することを目的として, シェアリングシステムからDSOに提供されたEVに関わるデータと非線形ODEモデルの近似解析解を用いて, 各充電ステーションにおけるEV充電上限量の決定を行う.
6-168	配電系統の変圧器容量制約と電圧制約を考慮したモード切替に基づくEVの電圧／周波数制御方式
6-168	◎高野友義・辻隆男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-168 配電系統の変圧器容量制約と電圧制約を考慮したモード切替に基づくEVの電圧／周波数制御方式 ◎高野友義・辻隆男（横浜国立大学）近年，PVの導入が拡大しており，出力変動による周波数変動が課題となる。また，EVも普及拡大が見込まれており，その応答の速さを活かした充放電制御は，需給・周波数制御へ貢献できると期待されている。一方，PVやEVは主に配電系統に分散して接続されているので，需給・周波数制御に活用される際には配電系統での制約も満足しなければならない。逆潮流による配電系統末端での電圧上昇と，電圧上昇抑制するための無効電力潮流による配電用変電所での過電流が特に問題に挙げられる。そこで本稿では，EVの需給・周波数制御の際のボトルネックとなる電圧制約と変圧器容量制約違反をEVの2つのモードによる無効電力制御で回避する手法を検討する。変圧器の通過電力に応じて，EVの無効電力制御モードを切り替えて制御を行う。提案手法の有効性は， AGC30を基に生成したLFC信号並びにPVの出力変動データに基づいて，住宅地域を想定した配電系統モデルを用いて検討した。
6-169	LRTとEVによる電化交通システムが配電系統運用に与える影響の基礎評価
6-169	◎小鯖裕之（早稲田大学）・小林宏泰（千葉大学）・竹延祐二・宮崎輝・藤本悠・飯野穣・光岡正隆・近藤圭一郎・林泰弘（早稲田大学）・吉永淳・山本良太・長谷川匡彦（東京電力パワーグリッド）電気学会全国大会講演要旨 6-169 LRTとEVによる電化交通システムが配電系統運用に与える影響の基礎評価 ◎小鯖裕之（早稲田大学）・小林宏泰（千葉大学）・竹延祐二・宮崎輝・藤本悠・飯野穣・光岡正隆・近藤圭一郎・林泰弘（早稲田大学）・吉永淳・山本良太・長谷川匡彦（東京電力パワーグリッド）都市の脱炭素化の方策の一つとして次世代型路面電車システム（LRT）や電気自動車（EV）の導入などのモビリティの電化が期待されている。これらの普及に伴いLRTの走行やEV充電による消費電力が増大すると連系される配電系統において配電線の過負荷や適正電圧の逸脱が発生する懸念がある。その解決策としてLRT運行とEV充電の協調制御等が期待され，その設計・評価するための交通と電力の統合モデルが必要となる。本研究では，2022年開業予定の宇都宮市のLRTを評価対象事例として，LRT饋電系統とEV充電器を伴う周辺の配電系統の統合モデルを構築し，この統合モデルを用いてLRTとEVの消費電力が電圧や配電線過負荷などの配電系統運用に与える影響の基礎評価を行った。
6-170	スマートメーターを活用した変圧器接続相判定技術の実系統での検証
6-170	○柏木哲也（富士通）・北島弘伸（富士通研究所）・横山由里子（富士通九州システムズ）・菅野伯浩・福場伸哉（東京電力ホールディングス）・冠城さやか（東京電力パワーグリッド）電気学会全国大会講演要旨 6-170 スマートメーターを活用した変圧器接続相判定技術の実系統での検証 ○柏木哲也（富士通）・北島弘伸（富士通研究所）・横山由里子（富士通九州システムズ）・菅野伯浩・福場伸哉（東京電力ホールディングス）・冠城さやか（東京電力パワーグリッド）スマートメーターの30分使用量Pとセンサ付開閉器の相電流Iを活用した変圧器接続相判定技術の実用に向けて，実系統のデータを用いて検証した．検証にあたって従来提案手法の課題を，位相の相関を評価することで解決した改良手法を用いた．また，実系統に存在する大口需要や高圧需要の，判定への影響を低減させる高圧ノイズ除去を，データ前処理へ適用し，本手法の有効性を確認した．
6-171	センサ内蔵開閉器とスマートメータ情報を用いた柱上単相変圧器の接続相判別に関する検討
6-171	○菅野伯浩・廣瀬健太郎・西田悠介・馬渕裕之（東京電力ホールディングス）・松浦隆祥（東京電力パワーグリッド）電気学会全国大会講演要旨 6-171 センサ内蔵開閉器とスマートメータ情報を用いた柱上単相変圧器の接続相判別に関する検討 ○菅野伯浩・廣瀬健太郎・西田悠介・馬渕裕之（東京電力ホールディングス）・松浦隆祥（東京電力パワーグリッド）センサ内蔵開閉器から取得した電圧とSMから取得した電圧を比較することで，SMの一次側に接続された柱上単相変圧器の接続相を判別する手法について実系統データを用いて検証した。

G204-A2 電力システム（系統運用・解析）配電（Ⅱ）3月12日午前 G棟 G204教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-172	スマートインバータ制御装置を用いた電圧制御試験
6-172	○鈴木大・前田亮・太田文彦・森健二郎（東京電力ホールディングス）・吉岡康哉・長倉孝行・高野幸雄・上村浩文（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-172 スマートインバータ制御装置を用いた電圧制御試験 ○鈴木大・前田亮・太田文彦・森健二郎（東京電力ホールディングス）・吉岡康哉・長倉孝行・高野幸雄・上村浩文（富士電機）再生可能エネルギーの導入が拡大すると，電力系統運用において需給変動対応や潮流・電圧管理の複雑化が想定される。これらの課題に対して，系統安定化機能を具備させた太陽光PCS（スマートインバータ）ならびにスマートインバータを遠隔監視・制御するための装置（DERMS：Distributed Energy Resources Management System）を開発した。これらをリアルタイムデジタルシミュレータ（RTDS）と連携し，系統安定化に向けた効果検証を進めている。本稿では電圧制御試験で得られた結果について報告する。
6-173	スマートインバータのスケジューリング機能を用いた力率制御の高度化手法の一検討
6-173	◎栁谷侑・村上晃平・芳澤信哉・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-173 スマートインバータのスケジューリング機能を用いた力率制御の高度化手法の一検討 ◎栁谷侑・村上晃平・芳澤信哉・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）配電系統における太陽光発電(PV: Photovoltaic system)の導入に伴い, PVからの逆潮流によって電圧逸脱が発生する可能性があり, 今後は, 自律分散制御機器の制御パラメータをオンラインで季節や時間帯によって変更することが有効な手段の一つとされる。このような背景の下, スマートインバータ(SI: Smart inverter)の実用化が検討されている。SIにはスケジューリング機能が搭載され, 時間帯に応じた制御パラメータの変更が可能である。本稿では, 家庭用PVのSIのスケジューリング機能を用いた簡易な電圧制御高度化手法として時間帯別力率制御を提案する。また,時間帯別力率制御における力率更新回数と配電損失の関係を評価し, 従来の電圧制御方法である定力率制御と比較することでその有用性を示す。
6-174	配電系統におけるPV導入推移の不確実性を考慮した長期的な電圧調整設備配備計画の一検討
6-174	◎三上大智・芳澤信哉・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・松田源立（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-174 配電系統におけるPV導入推移の不確実性を考慮した長期的な電圧調整設備配備計画の一検討 ◎三上大智・芳澤信哉・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・松田源立（東京大学）配電系統における電圧制御設備の配備計画を実施するうえで，空間的・時間的な不確実性を有してPV導入状況が推移するため，長期的な観点から妥当なコストで実施することが一般に困難である。この不確実性を考慮するため，複数のPV導入シナリオにおける最適配備結果を用いて配備計画を行う手法がこれまで検討されているが，設備毎の電圧維持への重要度を計画に反映させることが困難という課題があった。本稿ではこの課題に対し自動電圧調整器を対象として逸脱需要家数の期待値に基づく設備計画作成手法を検討する。具体的なPV導入シナリオに対し数値評価を行なった結果，提案手法では先行研究の手法よりも累積設備設置数と電圧逸脱需要家数の削減が実現できることが確認できたのでこれを報告する。
6-175	瞬時電圧低下時の電圧降下量・PV発電状況による配電系統の動的無効電力出力への影響評価
6-175	◎水上瑛太・金子曜久・竹延祐二・赤木覚・芳澤信哉・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-175 瞬時電圧低下時の電圧降下量・PV発電状況による配電系統の動的無効電力出力への影響評価 ◎水上瑛太・金子曜久・竹延祐二・赤木覚・芳澤信哉・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）太陽光発電（PV: Photovoltaic）などのインバータ電源の連系に伴い，系統事故時における電圧安定度の維持に必要な無効電力量の確保が課題となりつつある。この対策として，PVへ瞬時電圧低下時運転継続（VRT: Voltage ride-through）機能と動的電圧維持（DVS: Dynamic voltage support）機能を具備することによる無効電力量の確保が期待されている。しかし，PVはインバータの空き容量を活用し無効電力を供給し，また受電点電圧が閾値を下回った場合に出力停止するため，PVの発電状況や，事故の電圧降下量を考慮した無効電力量の評価が必要となる。本稿では，瞬低中の PV発電状況及び電圧降下量が，VRT・DVS機能が具備されたPV連系配電系統内の無効電力量へ与える影響を評価するため，数値計算を実施した。
6-176	自動電圧調整器を接続した配電系統への太陽光発電装置導入時における逆潮可能電力に関する検討
6-176	◎舟見翔太・立脇健人・横水康伸（名古屋大学）・松村年郎・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・上西宏和・岩月秀樹・石川博之・金沢由樹（中部電力）・飯岡大輔（東北大学）・清水洋隆（職業能力開発総合大学校）電気学会全国大会講演要旨 6-176 自動電圧調整器を接続した配電系統への太陽光発電装置導入時における逆潮可能電力に関する検討 ◎舟見翔太・立脇健人・横水康伸（名古屋大学）・松村年郎・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・上西宏和・岩月秀樹・石川博之・金沢由樹（中部電力）・飯岡大輔（東北大学）・清水洋隆（職業能力開発総合大学校）近年，太陽光発電装置(PV)の普及拡大に伴って，長距離配電線の末端部にPVが大量に導入されるケースが増えている。このまま導入が進めば，PVの定格出力が配電系統の逆潮可能電力の限界値を超え，系統全体の電圧の安定性が損なわれてしまう可能性がある。そのため，今後は逆潮可能電力を考慮した電力設備の形成及びパワーコンディショナー(PCS)の制御方式を検討していく必要があるが，実際の配電系統のように自動電圧調整器(SVR)が高圧配電線に接続されている場合において逆潮可能電力は明らかにされていない。筆者らはこれまで高圧配電線にSVRが接続された場合の逆潮可能電力を系統条件を用いて定式化することを行ってきた。本稿では，そこから高圧配電線の電圧分布の定式化に進展させることによって，電圧適正範囲を考慮した配電系統の逆潮可能電力を解析的に求めている。
6-177	配電系統末端への大容量太陽光発電装置導入時における電圧上昇の抑制に必要な進相力率
6-177	◎塚本真澄・松村年郎・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・立脇健人・横水康伸（名古屋大学）・清水洋隆（職業能力開発総合大学）・飯岡大輔（東北大学）・岩月秀樹・上西宏和・石川博之・金沢由樹（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-177 配電系統末端への大容量太陽光発電装置導入時における電圧上昇の抑制に必要な進相力率 ◎塚本真澄・松村年郎・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・立脇健人・横水康伸（名古屋大学）・清水洋隆（職業能力開発総合大学）・飯岡大輔（東北大学）・岩月秀樹・上西宏和・石川博之・金沢由樹（中部電力）近年，配電系統の末端に大容量太陽光発電(PV)装置が導入されるケースが増加している。このときPV装置からの逆潮流電流により，受電端電圧が単純に上昇するだけではなく，電圧低下を引き起こすことを筆者らは指摘し，その上昇・低下のメカニズムを回路論的に明らかにした。本稿では，受電端電圧上昇抑制のための制御として，出力一定で進相制御を取り上げ，制御前の制御後を比較した。そして，電圧上昇に必要となる力率が下に凸の特性を示すことを明らかにするとともに，PCSからの出力電流I，線路損失PL及び配変に流入する有効電力Psがどのように変化するかを定量的に明らかにしたのでこれを報告する。
6-178	太陽光発電システムの配電線末端大量導入時における安定出力限界に関する実験的検討
6-178	○清水洋隆・松浦一平・川田吉弘（職業能力開発総合大学校）・松村年郎・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・立脇健人・横水康伸（名古屋大学）・飯岡大輔（東北大学）・岩月秀樹・上西宏和・石川博之・金沢由樹（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-178 太陽光発電システムの配電線末端大量導入時における安定出力限界に関する実験的検討 ○清水洋隆・松浦一平・川田吉弘（職業能力開発総合大学校）・松村年郎・雪田和人・後藤泰之（愛知工業大学）・立脇健人・横水康伸（名古屋大学）・飯岡大輔（東北大学）・岩月秀樹・上西宏和・石川博之・金沢由樹（中部電力）太陽光発電システムが配電線末端に大量導入された場合，パワーコンディショナ（PCS）の出力電圧が電力系統の電圧よりも低下するとともに，電力系統側に流出させられる電力が限界値以下に制限される。今回，PCSからの出力電力がその限界値に達した場合にどのような挙動を示すかを実験的に検証した。その結果，PCSが制御不能となり，安定して電力を出力できなくなることを明らかにした。これは，PCSが出力電力を増加させるために出力電流を上昇させようとするが，反って電力が減少してしまうためと考えられる。

G204-A3 電力システム（系統運用・解析）配電（Ⅲ）3月12日午後 G棟 G204教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-179	低圧PCSの力率一定制御が逆潮流時の配電線電圧低下に及ぼす影響
6-179	◎澤田幹太・織原大・飯岡大輔（東北大学）・田中俊生・張本毅・嶋田昭彦・久保田浩之（九州電力）電気学会全国大会講演要旨 6-179 低圧PCSの力率一定制御が逆潮流時の配電線電圧低下に及ぼす影響 ◎澤田幹太・織原大・飯岡大輔（東北大学）・田中俊生・張本毅・嶋田昭彦・久保田浩之（九州電力）配電系統のPV連系容量が増大すると逆潮流が発生し，配電線電圧が上昇することが一般的に知られている。高圧系統に比べて低圧系統では，電線サイズが小さく，線路インピーダンスの抵抗成分が大きいため，逆潮流時の電圧上昇は著しくなる。したがって，逆潮流による電圧上昇対策としてPCSの力率一定制御が考えられるが，低圧系統PCSから生じた無効電力が高圧系統に影響し，高圧系統の電圧を低下させてしまう可能性がある。本稿では電圧調整機器を考慮したシミュレーション結果から，低圧系統PCSの力率一定制御の影響を評価した。また，低圧系統のPCSの力率一定制御が系統電圧に及ぼす影響を理論的に考察するために，逆潮流による配電線の電圧上昇と低下を判別する手法を用いて検討した。
6-180	スマートメータ情報とIT 開閉器の計測情報を用いた配電系統の電圧分布推定 -線路無効電力損失による電圧分布推定への影響-
6-180	◎児玉有徒・原亮一・北裕幸（北海道大学）・田邊隆之・杉村修平（明電舎）電気学会全国大会講演要旨 6-180 スマートメータ情報とIT 開閉器の計測情報を用いた配電系統の電圧分布推定 -線路無効電力損失による電圧分布推定への影響- ◎児玉有徒・原亮一・北裕幸（北海道大学）・田邊隆之・杉村修平（明電舎）近年，配電系統へのPV導入に伴い，配電系統の電圧管理の複雑化が顕在化している。この問題に対して著者らは，スマートメータに注目している。スマートメータは地理的・時間解像度的に粒度の細かいビッグデータとして，系統の運用・制御・設備計画などにも活用できる可能性があると著者らは考えている。著者らの先行研究では，スマートメータ情報を用いた配電系統の電圧分布推定手法を開発し，PV用PCSからの無効電力の存在が推定精度に大きな影響を与えうることを明らかにしたが，配電線路での無効電力損失は無視できるものとして検証していた。そこで本稿ではまず，配電線路での無効電力損失が推定精度にどのように影響を与えるかを検証する。さらに，無効電力損失の推定の可能性について検証する
6-181	実配電系統モデルを用いたPV・EV導入量の年次推移に対する配電系統電圧対策の評価
6-181	◎宮原将太・赤木覚・芳澤信哉・宮崎輝・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）・山口博史・棚澤昌幸・山本正紀（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-181 実配電系統モデルを用いたPV・EV導入量の年次推移に対する配電系統電圧対策の評価 ◎宮原将太・赤木覚・芳澤信哉・宮崎輝・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）・山口博史・棚澤昌幸・山本正紀（東京電力ホールディングス）脱炭素化社会実現に向けてPV・EVが大量に導入されると，配電系統の電圧管理が複雑化するため，適切な対策を講じる必要がある。この問題に対し，複数の対策が考えられるが，実運用に向けては，各対策の有効性の定量的な評価が重要となる。さらに，場当たり的な設備増強を回避し効率的な対策を講じるためには，将来的なPV・EVの導入拡大を考慮に入れた対策の検討も重要となる。本稿では，PV・EVの大量導入に対して有効な対策を明らかにすることを目的とし，将来的なPV・EV導入量を想定したうえで，各対策の有効性を数値シミュレーションにより確認した。なお，本研究は実系統情報に基づき構築したモデルを用いてシミュレーションを行っている。
6-182	PV連系下の系統におけるスマートメータを用いた高圧線の電圧推定手法の精度に関する検討
6-182	○西田悠介・廣瀬健太郎（東京電力ホールディングス）・冠城さやか（東京電力パワーグリッド）電気学会全国大会講演要旨 6-182 PV連系下の系統におけるスマートメータを用いた高圧線の電圧推定手法の精度に関する検討 ○西田悠介・廣瀬健太郎（東京電力ホールディングス）・冠城さやか（東京電力パワーグリッド）太陽光発電(PV)をはじめとする分散電源の大量連系にともない，従来よりも電圧が複雑に変化する恐れがある。より複雑な電圧変化に対応するためには，従来のセンサ内蔵開閉器取付箇所のみならず，より多くの箇所において電圧を把握する必要がある。このため著者らはスマートメータ（SM）計測データを用いた高圧配電系統における電圧推定手法を検討している。今回はPV連系下の系統において，現行仕様のSMを用いた高圧線電圧推定値と，力率取得などSMが高性能化した場合の推定値の比較を行い，提案手法の精度評価を行った。
6-183	再エネ連系拡大を目的とした力率調整用コンデンサ群制御による配電系統電圧適正化
6-183	○本田秀樹（石巻専修大学）電気学会全国大会講演要旨 6-183 再エネ連系拡大を目的とした力率調整用コンデンサ群制御による配電系統電圧適正化 ○本田秀樹（石巻専修大学） IoT社会の進展により，需要家のデマンドレスポンス等によるVPPの仕組みが実現しつつあるが，一般的にVPPは有効電力を制御する需給バランスの維持あるいはインバランスの回避などが主たる目的とされており，電圧適正化などのアンシラリーサービスの実現について議論されているものは少ない。本稿では，需要家の無効電力発生機器として力率調整用コンデンサに焦点を当て，需要家サイドによる同機器の群制御によって再エネ電源の連系増大を可能とする配電系統の電圧適正化手法について検討した。アグリゲータがPV増設量に応じた力率調整用コンデンサを群として制御することで，PV増設前後で電圧を同等レベルに維持できることを示した。
6-184	モデル予測型電圧制御手法における電圧変動推定区間と電圧制御性能に関する評価
6-184	◎芳澤信哉・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-184 モデル予測型電圧制御手法における電圧変動推定区間と電圧制御性能に関する評価 ◎芳澤信哉・林泰弘（早稲田大学）太陽光発電の大量導入による電圧逸脱問題は喫緊の課題であり，配電系統の電圧制御手法の高度化は必要不可欠である。本研究では，これまでに著者らが提案してきたモデル予測型の電圧制御手法において，電圧変動の推定区間とタップ制御の動作時限を変化させた際の電圧逸脱量，タップ動作回数の増加・減少量を算出し，推定区間と電圧管理性能の関係性を評価した。
6-185	EV普及拡大を見据えた実配電系統における三相配電線電圧への影響評価
6-185	芳澤信哉・林泰弘（早稲田大学）・○石丸雅章・橋本茂男・杉本仁志（北陸電力）電気学会全国大会講演要旨 6-185 EV普及拡大を見据えた実配電系統における三相配電線電圧への影響評価芳澤信哉・林泰弘（早稲田大学）・○石丸雅章・橋本茂男・杉本仁志（北陸電力） EV充電が配電系統に与える影響評価として，実配電系統モデルを用いた詳細な数値計算を実施し，EV充電による低圧系統の電圧分布や高圧系統における電圧不平衡率にどの程度の影響があるのかを検討した結果の報告
6-186	Volt-var制御の時間変化率変更による電圧制御効果への影響評価
6-186	◎山下裕輔・村下直久（東光高岳）・芳澤信哉・宮崎輝・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-186 Volt-var制御の時間変化率変更による電圧制御効果への影響評価 ◎山下裕輔・村下直久（東光高岳）・芳澤信哉・宮崎輝・林泰弘（早稲田大学）配電系統の電圧変動対策の一手段としてスマートインバータのVolt-var制御機能が注目されている。Volt-var制御に関する研究分野では，曲線を定義するパラメータの決定方法については多く検討されているが，短時間の動的な無効電力変化を決定する時間変化率[var/s]については十分な検討がなされていない。この時間変化率が適切に設定されていない場合には，所望の電圧制御効果が得られず，無効電力出力のハンチングなど悪影響が想定される。また，系統電圧の変動に対して過剰な無効電力が出力されることを防ぐために，無効電力出力にある程度の時間変化率を設定することが望ましいが，Volt-var制御機能においては，曲線パラメータの設定に応じてどのような時間変化率を選べばよいのかが明確ではない。そこで本検討では，曲線パラメータ別に時間変化率が異なる条件におけるシミュレーションにより，Volt-var制御による無効電力制御量と電圧制御効果の関係を算定し，適切な時間変化率設定について評価する。
6-187	三相一体型新磁心構造を適用した磁束制御型高圧電圧調整装置
6-187	○大日向敬・有松健司（東北電力）・山田真・小島武彦（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-187 三相一体型新磁心構造を適用した磁束制御型高圧電圧調整装置 ○大日向敬・有松健司（東北電力）・山田真・小島武彦（富士電機）磁束制御技術を適用した可変インダクタ，および可変インダクタを適用した電圧調整装置の開発を進めており，これまで田型磁路構造の可変インダクタを適用した電圧調整装置の開発を行っている。今回，従来と比較して，更なる低コスト化を指向した新磁心構造の三相一体型可変インダクタを開発するとともに，電圧調整装置への適用，および実系統での運転試験を行ったので概要について述べる。

G204-A4 電力システム（系統運用・解析）配電（Ⅳ）3月12日午後 G棟 G204教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-188	特別高圧系統切替時の配電用変電所における高調波電圧推定方法
6-188	◎高田尚樹・青木睦（名古屋工業大学）・藤田悠・小林浩（トーエネック）・上西宏和・金沢由樹（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-188 特別高圧系統切替時の配電用変電所における高調波電圧推定方法 ◎高田尚樹・青木睦（名古屋工業大学）・藤田悠・小林浩（トーエネック）・上西宏和・金沢由樹（中部電力）これまで負荷需要変化への対応などのために特高系統の系統切替を行っていたが，その際に高調波電圧については考慮されていなかった。配変から流出する高調波電流は，電源側のインピーダンスによって高調波電圧として現れ，配電系統の高調波電圧に影響を及ぼす。このため，特高系統の系統切替によって，配電系統の高調波電圧が拡大してしまうことも考えられる。そこで，系統切替前に配電系統の高調波電圧の変化が推定できれば，適切な系統切替の選択をすることが可能となる。本論文では，特高系統と配電系統とを連成したモデルを作成し，これを用いて，特高系統の切替前に，系統切替後の配電系統の高調波電圧の大きさを推定する方法を提案する。
6-189	機械学習を用いた特高需要家電圧の推定手法における入力変数に関する基礎検討
6-189	◎説田貴旭・青木睦・大堀良介（名古屋工業大学）・山口忠徳・Verma Suresh Chand（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-189 機械学習を用いた特高需要家電圧の推定手法における入力変数に関する基礎検討 ◎説田貴旭・青木睦・大堀良介（名古屋工業大学）・山口忠徳・Verma Suresh Chand（中部電力）近年，再エネの導入が進み，今後も増加する見込みである。再エネの多くが配電系統に連系が拡大し，潮流状態が複雑化している。これらの問題は配変の一次側に逆潮流が発生することにより，上位の特高系統における電圧に影響を与え，電圧管理を行う上で電圧状況を想定・考慮する必要がある。そこで，系統各所にセンサを設置することが考えられるが，設備投資には大きなコストを要することとなる。コストをかけない手法として，本論文では上記のような複雑な潮流状態においても適切な電圧管理を行うために必要とされる特高需要家電圧の推定を,機械学習を用いて行った。また，入力変数を追加することによる推定精度の向上を確認した。
6-190	配電系統状態推定へ適用する複数集団型DEEPSOのパラメータ検証
6-190	◎岩田壮平・福山良和（明治大学）・神通川亨・藤本久・松井哲郎（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-190 配電系統状態推定へ適用する複数集団型DEEPSOのパラメータ検証 ◎岩田壮平・福山良和（明治大学）・神通川亨・藤本久・松井哲郎（富士電機）本論文では，配電系統状態推定に複数集団型DEEPSOを適用する際に必要となる，トポロジーや移住方針などのパラメータの設定の検証を行う。複数集団型の進化計算手法を適用する際には，パラメータを設定する必要があり，このパラメータが推定結果に影響を及ぼす。そのため，最適なパラメータを検証する必要がある。本論文では，複数集団のパラメータの内，サブ集団の個数，サブ集団間を繋ぐトポロジー，移住間隔のパラメータを変更して最適なパラメータの検証を行い，サブ集団の個数16，サブ集団間を繋ぐトポロジーがリング型単方向，移住方針が一番良い個体と一番悪い個体を入れ替える，パラメータの時最も良い解が出ることが確認できた。
6-191	配電系統状態推定への並列複数集団型Modified Brain Storm Optimizationの適用
6-191	◎東大智・福山良和（明治大学）・神通川亨・藤本久・松井哲郎（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-191 配電系統状態推定への並列複数集団型Modified Brain Storm Optimizationの適用 ◎東大智・福山良和（明治大学）・神通川亨・藤本久・松井哲郎（富士電機）本論文では，並列複数集団型Modified Brain Storm Optimization(PMP-MBSO)を提案し，これを配電系統状態推定に適用することを提案する。配電系統の実際の機器をモデル化すると非線形要素となり，潮流方程式が微分不可能あるいは不連続になる場合があるため，進化計算の適用が必要となる。これまで多くの進化計算の適用が試みられており，著者らはMBSOの適用により良好な推定結果を得られたことを確認した。しかし近年，我が国においては，配電系統への再生可能エネルギーの大量導入に伴い，配電系統の状態はより不確実性を含むため，より高精度で解のばらつきが小さく，かつ短周期で状態推定が可能なオンラインDSEが必要となることが予想される。提案法はIEEE33ノード系統に適用し，計算の高速化かつ安定した推定値の生成が実現できていることを確認した。
6-192	分散電源を含む配電系統におけるセンサ数に応じた確率的状態推定手法の精度検討
6-192	◎金谷良太・辻隆男（横浜国立大学）・福場伸哉（東京電力ホールディングス）・冠城さやか（東京電力パワーグリッド）・姉川高也・外薗秀康・大山雅之（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-192 分散電源を含む配電系統におけるセンサ数に応じた確率的状態推定手法の精度検討 ◎金谷良太・辻隆男（横浜国立大学）・福場伸哉（東京電力ホールディングス）・冠城さやか（東京電力パワーグリッド）・姉川高也・外薗秀康・大山雅之（関西電力）太陽光発電（以下，PV）などの分散型電源の導入が進展している。これらは気象条件に応じて電力潮流が大きく変動するため，電圧や電流の管理が重要な問題となる。この対策の一つとして区分開閉器制御により配電系統構成を適宜切り替える手法が挙げられる。そのためには配電系統の潮流状態を把握してる必要がある。そこで配電系統内に設置されたセンサ開閉器の計測情報を用いて，潮流状態の確率分布の推定手法を提案した。PVを含む配電系統モデルにおいてセンサ数を変えながら確率分布の推定手法を適用し，センサ数と推定精度に関する基礎的な検討を行った。
6-193	機械学習を用いた特高需要家の電圧推定における太陽光発電均し効果の影響の検討
6-193	◎大堀良介・青木睦・説田貴旭（名古屋工業大学）・山口忠徳・Chand Verma Suresh（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-193 機械学習を用いた特高需要家の電圧推定における太陽光発電均し効果の影響の検討 ◎大堀良介・青木睦・説田貴旭（名古屋工業大学）・山口忠徳・Chand Verma Suresh（中部電力）近年，太陽光発電(PV)等の再生可能エネルギー電源(RES)の導入が進み，電力の潮流分布が一様ではなくなり，それに伴い電圧分布が複雑化することが予想されている。従来は変電所の送り出し電圧を制御することで需要家端の電圧が許容範囲内に維持されていたが，RES大量導入時の電圧制御の場合は，需要家端の電圧を考慮する必要がある。そこで筆者らは，機械学習を用いることで系統内の末端にPVが導入され潮流が複雑化した状況において，需要家端の電圧推定を行う手法について検討している。しかし，実系統では，PVは分散的に連系されるため，本研究ではPVの均し効果による機械学習を用いた電圧推定精度への影響について検討する。
6-194	PV発電システムの長期発電量の計算時間短縮に資する日射の天候型分類手法
6-194	○青砥由貴（産業技術総合研究所）・山根啓介（東北大学）・合田忠弘・橋本潤・大谷謙仁（産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-194 PV発電システムの長期発電量の計算時間短縮に資する日射の天候型分類手法 ○青砥由貴（産業技術総合研究所）・山根啓介（東北大学）・合田忠弘・橋本潤・大谷謙仁（産業技術総合研究所） PVシステムが大量導入された配電系統解析は，年間のような長期評価の場合，計算時間が支障となる。入力値の一つであるPV発電量もしくは日射を年間データからいくつかの代表（モード）データに縮約できれば，年間全体の傾向の評価を可能にしつつ計算時間の短縮が図れる。本稿では，年間日射データを，日射特徴を示す2指標に変換し，両指標の分布領域を区分して日射モードを選出，これに季節補正を加えた計16の日射モードから年間日射導出の手法を提案する。本手法を活用して求めた年間積算日射・PV発電量・系統損失を，365日全データによる算出結果と比較したところ，いずれも誤差5%以内で求められたことを確認。かつ計算時間の大幅短縮も実現でき，当手法の有用性を示せた。

G204-C3 電力システム（系統運用・解析）配電（Ⅴ）3月14日午後 G棟 G204教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-195	配電系統での太陽光発電出力変動に対応した系統切替の多数目的最適化アルゴリズムの開発
6-195	◎関崎真也・山崎拓哉・澁川直之・西崎一郎・林田智弘（広島大学）・金沢由樹・上西宏和（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-195 配電系統での太陽光発電出力変動に対応した系統切替の多数目的最適化アルゴリズムの開発 ◎関崎真也・山崎拓哉・澁川直之・西崎一郎・林田智弘（広島大学）・金沢由樹・上西宏和（中部電力）配電系統は日常的に系統切替を行うことで運用されている。系統切替業務効率化の観点からは，停電負荷容量のみならず，複数の目的を考慮すべきであるが，目的間にはトレードオフの関係がある。したがって，系統切替問題を多基準の最適化問題として定式化し，問題を解くことで得られた非劣解集合から，運用に適した解を系統切替担当者が選択するアプローチが効果的である。先行研究では最過酷断面における系統切替を対象としており，PV出力変動については考慮されていなかった。本論文では，先行研究で提案した手法に対しPV出力変動を考慮したアルゴリズムを開発し，実規模配電系統モデルを用いた数値計算によりその妥当性の検証を行ったので報告する。
6-196	PV連系配電系統における部分ループ最適構成決定手法に関する基礎検討
6-196	◎金子曜久・伊藤雅一・林泰弘（早稲田大学）・姉川高也・外薗秀康・大山雅之（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-196 PV連系配電系統における部分ループ最適構成決定手法に関する基礎検討 ◎金子曜久・伊藤雅一・林泰弘（早稲田大学）・姉川高也・外薗秀康・大山雅之（関西電力） PV連系配電系統において，電圧を適正範囲に制御しつつ，配電損失を低減させる強固な電力システムの構築が求められる。昨今のICT技術の発展により部分ループ運用時における地絡事故に関する課題解決が見込まれることから，ループ運用は，高品質な電力の効率的な供給のための系統運用の一つであると考えられる。その運用の実装には，無数にある部分ループ系統構成から最適な系統構成を算出する必要がある。本稿では，まず部分ループ配電系統最適構成決定問題を，系統運用上の制約付きの配電損失最小化問題として定義・定式化を行う。さらに，数値計算では，全数探索的に決定した部分ループ最適系統構成の有効性を配電損失と電圧分布の観点から放射状系統と比較し，評価した。
6-197	太陽光発電連系時における配電線の連系可能容量の算出について
6-197	○織田俊樹・高橋尚之・上村敏（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-197 太陽光発電連系時における配電線の連系可能容量の算出について ○織田俊樹・高橋尚之・上村敏（電力中央研究所）再生エネルギー固定価格買取制度の開始により太陽光発電（以下，PV）の連系量が急激に増加しており，連系量が多い長亘長の配電線では，PVからの逆潮流発生時の電圧低下に起因するPVの解列が発生しており，更に連系が進むとPVの連系可能容量が制限される可能性もある。これまで電力各社は配電線の熱容量を上限としPV連系の可能量を決定してきたが，熱容量を下回る連系量で連系限界が発生すると，連系後に想定しないPVの脱落等が発生する可能性がある。当該事象を踏まえたPV連系可能量を把握することが急務となっている。そこで，本稿では連系検討時に把握可能な情報よりPV連系可能量を算出する方法を提案する。提案手法で算出した値を潮流計算結果と比較することで評価し，良好であることを確認した。
6-198	小水力発電の導入に関する一検討
6-198	◎平井涼介（芝浦工業大学）・竹本泰敏（日本工業大学）・小澤航一郎・藤田吾郎（芝浦工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-198 小水力発電の導入に関する一検討 ◎平井涼介（芝浦工業大学）・竹本泰敏（日本工業大学）・小澤航一郎・藤田吾郎（芝浦工業大学）近年，環境問題への関心の高揚から太陽光発電などのRE電源の導入が進められてきた。だが，RE電源は，自然環境変動の影響を受けて出力が変動するため導入拡大時には，電力品質の低下が懸念される。一方，小水力発電は，RE電源のなかでも，短周期変動が少なく発電量予測も行い易い。また，安価かつ堅牢である誘導発電機を採用した小水力発電機は，保守，点検などの運用面，経済面で利点が大きい。だが，誘導発電機は系統並列時に定常電流より大きな突入電流が流れ，配電系統の瞬時電圧降下を引き起こし，電圧低下対策が必要になるケースがある。本研究では，小水力発電の系統並列時における電気的影響を明らかにすることを目的とする。
6-199	配電設備の点検・保修データにおける欠損情報の補完手法に関する検討
6-199	◎島崎浩亘・塩見竜平（福井大学）・高野浩貴（岐阜大学）・田岡久雄（福井大学）・徳永龍哉・林俊弘（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-199 配電設備の点検・保修データにおける欠損情報の補完手法に関する検討 ◎島崎浩亘・塩見竜平（福井大学）・高野浩貴（岐阜大学）・田岡久雄（福井大学）・徳永龍哉・林俊弘（関西電力）配電設備管理者は，配電系統の安定運用を維持するために配電設備の点検作業を行っている．この点検業務の詳細はデータベース化され，保管，蓄積されている．筆者らは，点検結果を記録したデータ(点検データ)と保修内容を記録したデータ(保修データ)の関係を分析し，設備の寿命予測や保修の意思決定支援に役立てる方法を検討してきた．ただし，データ内には欠損も含まれており，使用できるデータには制限があった．本稿では保修データ内の備考欄のように情報を補足するものに着目し，設備の改修方法の欄でみられた欠損情報を補完する手法について検討する．この欠損情報を適切に補完できれば前述の方法で使用可能なデータの数が増加する．
6-200	配電設備の点検・保修記録を用いた保修要否判断支援手法の検討
6-200	高野浩貴（岐阜大学）・島崎浩亘・塩見竜平（福井大学）・◎中江莞（岐阜大学）・田岡久雄（福井大学）・徳永龍哉・林俊弘（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-200 配電設備の点検・保修記録を用いた保修要否判断支援手法の検討高野浩貴（岐阜大学）・島崎浩亘・塩見竜平（福井大学）・◎中江莞（岐阜大学）・田岡久雄（福井大学）・徳永龍哉・林俊弘（関西電力）配電設備管理者は，配電系統の安定運用を維持するために，定期的に配電設備を点検している。点検結果（設備毎の点検項目とその点数のセット）は電子化されて蓄積されると共に，保修要否の判断などに活用される。ただし，配電系統を構成する設備の種類，数は膨大であり，それらの点検項目も多岐に亘ることから，管理者の知識と経験のみに基づいてこれらを活用し切ることは難しい。そこで著者らは，点検結果を入力すると自動的に設備保修の要否を判断する手法を検討してきた。本稿では，これまでの検証では十分な精度が得られなかった設備に着目し，使用する情報を追加して精度の向上を図った結果を報告する。
6-201	高性能メタヒューリスティクスを用いた配電系統再構成法
6-201	◎池上広光（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-201 高性能メタヒューリスティクスを用いた配電系統再構成法 ◎池上広光（明治大学）本稿では，電力損失最小化を目的とした配電系統再構成に対する，高性能メタヒューリスティクスを提案する。本稿では，並列離散型EPSO，MVMO-SH，DCoFFWAの三手法を比較する。その結果，DCoFFWAが一番良好な結果を残したため，本稿ではDCoFFWAについて説明する。CoFFWAは2017年にZhengらによって提案された，Fireworks Algorithm(1)を改良した手法である(2)。CoFFWAでは解空間に花火を中心とした爆発を起こし，複数のスパークを作成することで新たな解を探索する。ここで，花火は解候補を示し，解に応じた評価値を持つ。花火を中心にある大きさの範囲の中に，次世代の花火(解候補)となりえるスパークを作成する。その後，花火とスパークの中から評価値の良い解を次世代の花火とすることで解を探索する。
6-202	電力個人間取引が配電系統に及ぼす影響の一考察
6-202	○若杉健一・瀬戸寿之（東北電力）・木村功太郎（東芝エネルギーシステムズ）・村上朝之（成蹊大学）電気学会全国大会講演要旨 6-202 電力個人間取引が配電系統に及ぼす影響の一考察 ○若杉健一・瀬戸寿之（東北電力）・木村功太郎（東芝エネルギーシステムズ）・村上朝之（成蹊大学）近年，IoT技術の進展等により新たなビジネスモデルとして電力の個人間取引（P2P）に注目が集まっているが，P2Pの普及が既存の配電網に対してどのような影響を及ぼしうるか，定量的にはまだ明らかでない。そこで，我々は，実在の変電所に相当する規模の配電系統を対象として，配電系統モデルを構築し，太陽光発電と蓄電池を備え，余剰電力の売却やP2Pを実施する需要家を多数積み上げてのボトムアップシミュレーションを実施することで，配電系統へ及ぼしうる影響を評価している。今回，P2P取引が多数実施されることにより，配電系統の潮流に影響が生じうる可能性が示唆されたため，報告する。
6-203	分布定数回路とみなした多重ループ配電系統での最適ループ点の導出
6-203	◎奥田駿斗・長田徹・山村直紀（三重大学）・石田宗秋（中部大学）・上田玄（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-203 分布定数回路とみなした多重ループ配電系統での最適ループ点の導出 ◎奥田駿斗・長田徹・山村直紀（三重大学）・石田宗秋（中部大学）・上田玄（中部電力）近年，地球温暖化に対する対応策の一つとして，再生可能エネルギーを利用する分散型電源が注目されており，その導入量は，今後ますます拡大していくものと予想される。分散型電源の導入が拡大すると，連系の不均等さから適正電圧が維持できないといった問題が生じる。これに対してループ状方式が注目されている。ループ状方式のメリットとしては，フィーダ間の電圧差の抑制や線路損失の低減，供給信頼度の向上などがある。筆者らは複数のループによって構成される多重ループでの運用に注目した。今回は多重ループを構成する場合に線路損失を最も低減することが出来る連系パターンを理論式より導出した。

G204-C4 電力システム（系統運用・解析）配電（Ⅵ）3月14日午後 G棟 G204教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-204	年間電力需要の不確実性に対する配電損失最小化運用計画のロバスト性評価手法
6-204	◎阿美咲良・竹延祐二・内山慎距・宮崎輝・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・山本良太（東京電力パワーグリッド）・安居昂紀（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-204 年間電力需要の不確実性に対する配電損失最小化運用計画のロバスト性評価手法 ◎阿美咲良・竹延祐二・内山慎距・宮崎輝・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）・山本良太（東京電力パワーグリッド）・安居昂紀（東京電力ホールディングス）低炭素化の観点から，配電系統に設置されている区分開閉器の開閉状態を年・季節単位で切替えることにより，配電損失を低減する系統運用が期待されている。上述の系統運用では，開閉器構成の計画策定に用いる過去の電力需要実績と運用期間における電力需要の乖離が大きくなると，計画に基づく運用が，配電損失量が最小となる理想的な運用と大きく異なる懸念がある。今後，配電損失最小化運用を検討する際，電力需要の不確実性を考慮した上で，計画した系統構成が配電損失最小化を達成できるかという評価は，策定した計画の良し悪しを判断する上で重要になる。そこで本稿では，年単位の運用に着目し，過去実績に基づく年間電力需要シナリオに対して，年間配電損失最小化を目的として計画した系統構成のロバスト性を評価する手法を提案する。
6-205	実配電線モデルを用いたPV連系量が配電線ロスに与える影響に関する一考察
6-205	○緑川将・石橋一成・吉永淳（東京電力パワーグリッド）・高橋尚之・上村敏（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-205 実配電線モデルを用いたPV連系量が配電線ロスに与える影響に関する一考察 ○緑川将・石橋一成・吉永淳（東京電力パワーグリッド）・高橋尚之・上村敏（電力中央研究所）太陽光発電システム(PV)を代表とした分散型電源の配電系統への導入が進んでいる。配電系統にPVが導入されることで，PV発電量が負荷により消費されることで地産地消が進み，配電線の潮流が減少することで配電線ロスが減少する。負荷需要を超える低圧PVの導入拡大やメガソーラーのように大容量のPVが配電系統に連系される場合には，逆潮流により配電線の潮流量が増加し，配電線ロスが増加することが懸念される。本稿では東京電力PG管内の実配電線モデルを電力中央研究所で開発している配電系統総合解析ツールでモデル化し，配電線に設置されているセンサ内蔵開閉器からの実測データを用いて，PV導入量が配電線ロスに与える影響について評価した。
6-206	Minimizing Losses in Zone-based Volt-Var Settings Through Genetic Algorithms
6-206	◎村上晃平・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）・Hamed V. Haghi・Jan Kleissl（University of California San Diego）電気学会全国大会講演要旨 6-206 Minimizing Losses in Zone-based Volt-Var Settings Through Genetic Algorithms ◎村上晃平・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）・Hamed V. Haghi・Jan Kleissl（University of California San Diego） With the growing amount of photovoltaic (PV) systems connected to distribution networks (DNs), an implementation of smart inverters with advanced functions are currently being considered in Japan. The volt-var function is one of the advanced functions to mitigate voltage problems caused by reverse power flow from PV systems. However, it generally increases distribution losses. Also, it is not realistic to optimize all inverter settings for voltage control and losses suppression throughout the DN. Thus, zone-based volt-var settings are investigated to provide a practical solution. In this study, we use genetic algorithm (GA) to determine the zone-based volt-var settings and evaluate voltage control and distribution losses.
6-207	センサ開閉器の計測情報に基づく配電損失最小化運用の年間評価
6-207	◎内山慎距・竹延祐二・阿美咲良・宮崎輝・林泰弘（早稲田大学）・山本良太（東京電力パワーグリッド）・安居昂紀（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-207 センサ開閉器の計測情報に基づく配電損失最小化運用の年間評価 ◎内山慎距・竹延祐二・阿美咲良・宮崎輝・林泰弘（早稲田大学）・山本良太（東京電力パワーグリッド）・安居昂紀（東京電力ホールディングス）配電損失は配電線に設置されている区分開閉器の開閉状態（系統構成）を電力需要に応じて適切に制御することで低減可能である。開閉器制御に基づく配電損失最小化運用の実装のためには，実系統における配電損失削減効果を定量的に示すこと，および面的に広がる配電系統において配電損失最小化運用の波及効果を検討することが重要となる。本論文では，系統構成の更新頻度と切替対象の開閉器種別（手動・自動開閉器）によって分類される複数の運用方針に基づき，異なる系統特性を有する3つの実系統を対象に，センサ開閉器の計測情報を用いた配電損失最小化運用の年間評価を行ったので，これを報告する。
6-208	スマートインバータの電圧制御パラメータ更新による電力損失と電圧制御性能に関する定量的評価
6-208	◎高澤佑太・赤木覚・芳澤信哉・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-208 スマートインバータの電圧制御パラメータ更新による電力損失と電圧制御性能に関する定量的評価 ◎高澤佑太・赤木覚・芳澤信哉・石井英雄・林泰弘（早稲田大学）近年，太陽光発電の導入に伴う電力潮流の複雑化により，配電系統における電圧管理が課題となっている。また，電圧管理のための無効電力出力によって電力損失が悪化することも懸念されている。電圧逸脱と電力損失をともに有効に削減するためには，状況に応じて設定を変更できる柔軟性のある制御が必要であり，それらを実現可能にする機器としてスマートインバータ（以下，SI）の実用化が検討されている。本稿ではSI の定力率制御とVolt-VAR 制御を対象とし，各制御のパラメータ更新の有無による電力損失削減量を示すことで，更新の有用性を定量的に評価する。その後，制御ごとに適切ではないパラメータが用いられた場合の電圧制御に対する影響評価を行う。

A307-B1 電力システム（系統運用・解析）配電（制御）3月13日午前 A棟 A307教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-209	PV連系系統に対応したSVRのLDC機能拡張におけるハンチング抑制方式の検討
6-209	○松田勝弘・葵木智之（東北電力）・松本拓也・渡部瑞貴・村越潤（東北電機製造）・友部修・井上秀樹・足立昌宏（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-209 PV連系系統に対応したSVRのLDC機能拡張におけるハンチング抑制方式の検討 ○松田勝弘・葵木智之（東北電力）・松本拓也・渡部瑞貴・村越潤（東北電機製造）・友部修・井上秀樹・足立昌宏（日立製作所）太陽光発電(PV)の普及拡大に伴う配電系統の電圧上昇・急変やPV出力抑制問題に対し，SVR等の電圧調整機器を適切に整定・制御することが重要となる。特に，PV出力抑制機能が働いている場合，SVRでは出力抑制発生を感知できず，PV連系地点電圧を下げる制御ができない課題がある。本研究では，PV連系系統の電圧管理を高度化することで，PVの出力抑制および配電系統の電圧逸脱を回避するためのLDCの機能拡張について提案する。
6-210	自端電圧情報に基づく無効電力制御による電圧制御におけるハンチングの回避
6-210	◎近藤健一・馬場旬平（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-210 自端電圧情報に基づく無効電力制御による電圧制御におけるハンチングの回避 ◎近藤健一・馬場旬平（東京大学）配電系統電圧制御を行うために無効電力制御を行うことを検討した。無効電力制御を行う機器として系統側にて新規に機器を追加するのではなく，需要家側機器を用いることを検討した。近年スマートインバータ等の検討においてVolt-Var制御が検討されている。本検討では需要家機器自端電圧に基づいて無効電力制御を行う上で懸念される制御ハンチングを回避する制御系設計を検討した。電圧・無効電力制御特性の傾き，制御遅延が制御ハンチングの発生に関わると考え，制御ハンチングを回避可能な条件を検討した。配電系統の電圧・無効電力特性の傾きに比べ制御特性の傾きを小さくすることで，制御遅延が大きい条件でもハンチングを回避可能であることをシミュレーションにより示した。
6-211	負荷中心点電圧を利用したLDC方式とPCS無効電力制御の協調制御手法
6-211	◎大村和生・小出明・田中和幸（富山大学）電気学会全国大会講演要旨 6-211 負荷中心点電圧を利用したLDC方式とPCS無効電力制御の協調制御手法 ◎大村和生・小出明・田中和幸（富山大学）資源問題や環境問題対策として，太陽光発電(PV)の導入量が増加している。特にPVの多くが導入される配電系統内ではその逆潮流に起因する電圧上昇問題が懸念されている。しかし，配電系統内の設備であるタップ機器のみではPVの急峻な出力変動による電圧変動への対応が不十分と考えられる。以上のような背景から本稿では，PCSが配電系統の負荷中心点電圧を取得可能であると想定し，PCS無効電力制御とLDC方式によるタップ切替制御との協調制御手法を提案し，配電系統の電圧管理高度化を検討する。
6-212	SVRと分散電源PCSとの協調制御による系統電圧安定化に関する検討
6-212	◎石原浩毅・灘香帆・田中美和子（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-212 SVRと分散電源PCSとの協調制御による系統電圧安定化に関する検討 ◎石原浩毅・灘香帆・田中美和子（三菱電機）再生可能エネルギーの増加に伴い，配電系統の適正電圧の維持はさらに重要になる。適正電圧維持を目的に配電機器であるSVRが設置されているが，電圧の急激な変化に対応できず，また動作回数の増加によって短寿命化する恐れがある。一方で近年，コミュニティ内のDERを活用したVPPが提案されている。我々は，VPPを前提としたコミュニティを対象に，需要家内のPCSを活用し，SVRと協調した系統電圧安定化手法を検討している。両者の特徴を活かし，短期的な電圧変動をPCSが抑制，長期的な電圧変動の抑制をSVRが担うことで系統電圧の安定化を実現する。本発表ではPCSによる電圧制御手法を提案し，簡易的なコミュニティを模擬して動作検証シミュレーションを行う。
6-213	利得配分に基づいた協調的電圧管理システムにおける電圧制御効果の基礎検討 ―分岐を有する配電系統への適用―
6-213	◎灘吉拓哉・枡見慎也・関崎真也・西崎一郎・林田智弘（広島大学）電気学会全国大会講演要旨 6-213 利得配分に基づいた協調的電圧管理システムにおける電圧制御効果の基礎検討 ―分岐を有する配電系統への適用― ◎灘吉拓哉・枡見慎也・関崎真也・西崎一郎・林田智弘（広島大学）近年太陽光発電システム(PV: photovoltaic generation system)が一部の配電系統へ大量に導入されつつある．PV大量導入に起因する電圧変動などの電力品質低下が懸念されており，低コストで電圧管理を行うことが課題の一つとして挙げられている．先行研究では協力ゲームの枠組みで電圧変動を抑制する協調的電圧管理システムにおいてコアに含まれる配分を求め，安定な協力関係を維持することで電圧管理を適切に行っていた．しかし，先行研究は分岐を有しない簡易的な配電系統モデルでの検証に留まっていた．本論文では先行研究にて提案した協調的電圧管理システムにおける電圧制御効果が，分岐を有する配電系統においても機能することを示す．

G202-C1 電力システム（系統運用・解析）配電（電力品質（Ⅰ））3月14日午前 G棟 G202教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-214	配電系統における三相PCS大量連系に伴う電圧不平衡の拡大原因の考察
6-214	○田中俊生・中山陽介・村川健一・張本毅・久保田浩之・太田淳一（九州電力）・藤井嵩大・飯岡大輔（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-214 配電系統における三相PCS大量連系に伴う電圧不平衡の拡大原因の考察 ○田中俊生・中山陽介・村川健一・張本毅・久保田浩之・太田淳一（九州電力）・藤井嵩大・飯岡大輔（東北大学）これまで筆者らは，配電系統における太陽光発電（以下，PV）の大量連系に伴う電圧不平衡拡大現象をPV出力が不平衡であると仮定した三相不平衡潮流計算により再現できたが，PV出力が不平衡になる原因は解明できていない。なお，実際に電圧不平衡拡大現象が発生している配電系統に連系しているメガソーラーは三相 PCSで構成されているため，PVが不平衡な電流を出力して，電圧不平衡を拡大させるとは考えにくい。したがって，平衡な電流が電圧不平衡を起こす原因として，不平衡なインピーダンスの発生を想定して検討する必要がある。本稿では，電圧不平衡拡大現象が発生している配電系統の実測データを基に不平衡なインピーダンスの発生原因と抑制対策を検討し，電圧不平衡等を抑制する対策の効果を潮流計算により確認したので報告する。
6-215	太陽光発電が大量連系された配電線で測定された不平衡を表す不平衡潮流計算
6-215	◎藤井嵩大・織原大・飯岡大輔（東北大学）・田中俊生・張本毅・嶋田昭彦・久保田浩之（九州電力）電気学会全国大会講演要旨 6-215 太陽光発電が大量連系された配電線で測定された不平衡を表す不平衡潮流計算 ◎藤井嵩大・織原大・飯岡大輔（東北大学）・田中俊生・張本毅・嶋田昭彦・久保田浩之（九州電力）配電系統に太陽光発電が大量に連系された場合に，逆潮流が著しく増加することで系統末端の電圧が低下する現象や不平衡が拡大する現象が確認されている。本稿では，不平衡拡大の要因として配電線の水平配線に起因する相互インピーダンスの不平衡を想定し不平衡潮流計算を行った。この結果，配電系統では線路の途中で相順が変更されていることがあり，これらを正確に模擬することで実際の系統で測定された不平衡電圧を再現できることがわかった。
6-216	LDC整定式を用いたHVRの相別制御による配電系統の電圧不平衡抑制手法
6-216	◎斉藤好輝・青木睦（名古屋工業大学）・上西宏和・金沢由樹（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-216 LDC整定式を用いたHVRの相別制御による配電系統の電圧不平衡抑制手法 ◎斉藤好輝・青木睦（名古屋工業大学）・上西宏和・金沢由樹（中部電力）太陽光発電(PV)の大量導入による急峻な電圧変動や単相PVの影響による電圧不平衡の増加が懸念されている。これまで著者らは，HVRの自端情報により，HVRのタップ切替回路とインバータ回路の相別制御を用いた電圧不平衡抑制手法を提案してきた。しかし，PVは面的に連系されている場合，系統末端の電圧不平衡抑制を十分に行うことができていなかった。そこで本論文では，相ごとのLDC整定式を用いて末端の電圧を推定することにより，HVRの二次側以降の各ノードの電圧不平衡を抑制する手法について提案する。そして実系統データに基づく配電系統モデルにおいて提案法の有用性について検討した結果を示す。
6-217	配電系統における逆送可能電力の増大に向けた太陽光発電装置による力率制御方式に関する検討
6-217	◎立脇健人・舟見翔太・横水康伸（名古屋大学）・松村年郎（愛知工業大学）・上西宏和・岩月秀樹・石川博之・金沢由樹（中部電力）・清水洋隆（職業能力開発総合大学校）電気学会全国大会講演要旨 6-217 配電系統における逆送可能電力の増大に向けた太陽光発電装置による力率制御方式に関する検討 ◎立脇健人・舟見翔太・横水康伸（名古屋大学）・松村年郎（愛知工業大学）・上西宏和・岩月秀樹・石川博之・金沢由樹（中部電力）・清水洋隆（職業能力開発総合大学校）近年，太陽光発電装置(PV装置)の普及拡大が進んでおり，このまま導入が進めば，配電系統全体の逆送可能電力を超え，系統の安定性が損なわれてしまう可能性がある。そのため，今後は逆送可能電力を考慮してパワーコンディショナー(PCS)の制御を検討していく必要がある。本稿では，高圧配電線中央部および末端部に低圧PV装置が大量導入された場合を想定し，中央部のPCSの運転力率に対する逆送可能電力を数値計算により求めた。その結果，中央部のPCSによる遅相運転の力率が低いほど，逆送可能電力の限界値は高くなることがわかった。また，末端部の出力増加に応じて遅相運転に切り替えることで， PCSの連系点電圧を適正範囲内に維持できることがわかった。

G202-C2 電力システム（系統運用・解析）配電（電力品質（Ⅱ））3月14日午前 G棟 G202教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-218	新型能動方式PCS連系量の相間不平衡が配電線電圧変動に与える影響について
6-218	◎早川航平・馬場旬平（東京大学）・張本毅・村川健一・久保田浩之（九州電力）・百武宏記・梶原幸治（キューヘン）電気学会全国大会講演要旨 6-218 新型能動方式PCS連系量の相間不平衡が配電線電圧変動に与える影響について ◎早川航平・馬場旬平（東京大学）・張本毅・村川健一・久保田浩之（九州電力）・百武宏記・梶原幸治（キューヘン）太陽光発電用低圧単相PCSが多数連系されている配電系統にて，新型能動的単独運転検出方式によって系統に注入される無効電力が持続的・周期的な電圧フリッカを引き起こす場合がある。電圧フリッカ対策の一つとして，STATCOMによる無効電力補償が行われているが，このとき，相によって電圧実効値が極大をとるタイミングがずれてしまい，効果的に電圧フリッカを抑制できないことがある。本稿では，タイミングずれのあるフリッカの発生条件および抑制手法を検討するため，瞬時値シミュレーションを行った。その結果，一定の範囲のSTATCOMゲインではタイミングずれのあるフリッカに移行する可能性があることがわかり，また，PCS容量の相間不平衡はタイミングずれのあるフリッカへの移行をわずかに容易にすることが予想された。
6-219	分散設置される低圧PVによる電圧変動評価手法の一考察
6-219	◎杉村修平・田邊隆之（明電舎）・大松洋一（北海道電力）電気学会全国大会講演要旨 6-219 分散設置される低圧PVによる電圧変動評価手法の一考察 ◎杉村修平・田邊隆之（明電舎）・大松洋一（北海道電力）近年，太陽光発電（Photovoltaic Power generation：PV）などの再生可能エネルギーの導入拡大により，配電系統における電圧管理の困難化が課題とされている。低圧PVは力率100%で連系されていたが，逆潮流による電圧上昇を抑制するため，2017年3月の系統連系規程(1)改定により，低圧PVの標準力率が95%となった。大量にPVが連系された系統の電圧分布は，無効電力損失から，PVの出力上昇に伴い電圧上昇した後，ある程度の出力を境に電圧低下するため，低圧PVの力率変更が電圧変動に影響を与えることが考えられる。そこで本稿では，様々なPV出力時の電圧分布から最大電圧と最小電圧の差である電圧幅を算出することで，低圧PVが分散設置された系統における電圧変動を評価する手法について検討した。
6-220	線路潮流とPCSの定電力特性が新型能動方式に起因する電圧変動の拡大に及ぼす影響
6-220	◎竹下健太・坂本織江・丸山雅仁（上智大学）・張本毅・中山陽介（九州電力）電気学会全国大会講演要旨 6-220 線路潮流とPCSの定電力特性が新型能動方式に起因する電圧変動の拡大に及ぼす影響 ◎竹下健太・坂本織江・丸山雅仁（上智大学）・張本毅・中山陽介（九州電力）近年，太陽光発電の大量導入に伴い，ステップ注入付フィードバック方式を具備した低圧用PCSからの配電系統への無効電力注入に起因する電圧フリッカが生じうる場合がる。特に，軽負荷期に晴天でPV出力が大きい場合に電圧フリッカが拡大する事が確認されているが，そのメカニズムについては明らかになっていない。また，本方式に起因する電圧フリッカのような6Hz周期の速い電圧変動に対する，PCSの有効電力の制御特性には個体差があり，著者らはこれまでに実験において，定電力に近い特性の場合に電圧フリッカを拡大しやすい事を確認した。そこで本稿では，潮流とPCSの定電力特性が電圧フリッカの拡大に与える影響について，理論式と瞬時値解析により検討した結果を報告する。
6-221	太陽光発電を含む配電系統における自端制御に基づいたSVC導入による電圧変動抑制の評価
6-221	辻隆男・◎角川遼河（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-221 太陽光発電を含む配電系統における自端制御に基づいたSVC導入による電圧変動抑制の評価辻隆男・◎角川遼河（横浜国立大学）近年，太陽光発電（PV）などの分散型電源が普及している。しかしこれらは出力が天候により変動することから連系された系統の電圧変動が顕著となり，配電線電圧の適正範囲への維持が重要な課題となっている。この対策として，従来から実運用されているタップ切り替えを用いたSVR（自動電圧調整器）に対し，無効電力の注入によって電圧制御を行うSVC（無効電力補償装置）を用いることが考えられている。そのため，実際にSVCを導入した場合の電圧変動抑制能力について，PVを含む配電系統におけるシミュレーションを通して定量的な評価を行ったところ，SVRのみの場合と比べ電圧変動を大きく抑制できるほか，PV導入可能量の増加にもつながることがわかった。
6-222	STATCOMを活用したフリッカ抑制手法に関する研究
6-222	◎近松直紀・石川博之・深江隆之（中部電力）・廣瀬和雅・辻本賢次・桑原祐（愛知電機）電気学会全国大会講演要旨 6-222 STATCOMを活用したフリッカ抑制手法に関する研究 ◎近松直紀・石川博之・深江隆之（中部電力）・廣瀬和雅・辻本賢次・桑原祐（愛知電機）昨今，低圧太陽光が大量かつ集中して連系する当社の配電系統において，「新型能動的方式（ステップ注入付周波数フィードバック方式）の能動信号が起因した電圧フリッカ」（以下，「PCSフリッカ」）が発生しており，これを解決するため，PCSフリッカを発生させないPCSの開発など全国的な検討を実施してきた経緯にある。しかし，新規開発品の普及には相当の時間を要することから，配電系統側での有効な対策も喫緊の課題となっていた。本稿では，高速な応答速度を特徴とする自励式無効電力補償装置（STATCOM）を活用した電圧フリッカの抑制手法について確立したため報告する。
6-223	配電系統におけるPCSによるフリッカ発生とSTATCOMの無効電力注入ゲインの影響
6-223	◎東谷拓馬・松村年郎・雪田和人（愛知工業大学）・飯岡大輔（東北大学）・石川博之・深江隆之・近松直紀・峯田雄斗（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-223 配電系統におけるPCSによるフリッカ発生とSTATCOMの無効電力注入ゲインの影響 ◎東谷拓馬・松村年郎・雪田和人（愛知工業大学）・飯岡大輔（東北大学）・石川博之・深江隆之・近松直紀・峯田雄斗（中部電力）近年多くの太陽光発電装置が配電系統に導入されている中で，パワーコンディショナ（PCS）による単独運転検出機能の新型能動的方式（ステップ注入付周波数フィードバック方式）に起因する電圧フリッカが確認されている。電圧フリッカ緩和の対策として，無効電力補償装置（STATCOM）が設置される場合がある。本稿では，シミュレーションを用いてステップ注入付周波数フィードバック方式に起因する電圧フリッカとSTATCOM設置後の変化した電圧フリッカを確認した。その結果，STATCOM を用いて電圧フリッカを抑制するためには，ステップ注入付周波数フィードバック方式の制御値に応じてSTATCOMの制御値を変化させる必要があることが確認できた。

G203-C1 電力システム（系統運用・解析）周波数制御（Ⅰ）3月14日午前 G棟 G203教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-224	発電機起動停止計画問題モデルに基づく周波数調整力の価値分析
6-224	◎赤塚元軌・沖駿吾（苫小牧工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 6-224 発電機起動停止計画問題モデルに基づく周波数調整力の価値分析 ◎赤塚元軌・沖駿吾（苫小牧工業高等専門学校）近年，再生可能エネルギー電源の普及が進んでいるが，その出力変動が周波数制御に対する擾乱となるのに加え，火力や水力といった周波数制御に寄与可能な電源による供給割合を減少させるため，必要な周波数調整力を確保することが課題となりうる。現状では，揚水発電の揚水運転などでこれを確保しているが，さらに再生可能エネルギーの導入拡大が進んだ場合を念頭に蓄電池などによる追加的な確保手段を検討する必要がある。本研究では，発電機起動停止計画問題（Unit Commitment; 以下，UC）によるモデル化に基づき，周波数調整力の確保量制約の有無による発電コスト差を求めることで，周波数調整力の価値分析を行うことを目的とする。
6-225	LFC発電機の応動特性が周波数に及ぼす影響
6-225	◎園田賢太郎・大山力・辻隆男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-225 LFC発電機の応動特性が周波数に及ぼす影響 ◎園田賢太郎・大山力・辻隆男（横浜国立大学）再生可能エネルギーが大量導入された場合，電力需給において調整力不足や余剰電力発生などの問題が危惧される。対応策としては火力発電機に負荷調整能力を具備することなどが求められる。しかし現在では火力発電機における運用性能や技術要件などの定量的評価は不十分である。電力系統における負荷周波数制御（LFC）による調整力について調べるためにはLFC発電機の応動特性について調査を進めることが第一歩となる。本研究ではAGC30モデルを用いてシミュレーションを行った。まずAGC30モデルの火力機の応動を調べ，その後，LFC発電機の応動に遅れが生じた際の周波数への影響を調べた。周波数の評価には最大値最小値の他にRMS値を用いて評価を行った。
6-226	LFC対象機のランプレートを考慮した EDC – LFC協調制御手法～その1：提案手法の概要～
6-226	◎Tan Zhiping・斉田賢・今中政輝・栗本宗明・杉本重幸・加藤丈佳（名古屋大学）・中地芳紀・Verma S.C（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-226 LFC対象機のランプレートを考慮した EDC – LFC協調制御手法～その1：提案手法の概要～ ◎Tan Zhiping・斉田賢・今中政輝・栗本宗明・杉本重幸・加藤丈佳（名古屋大学）・中地芳紀・Verma S.C（中部電力）太陽光発電などの再エネ発電の大量導入により，ダックカーブに代表されるように，既存の系統発電機からみた負荷（以下，残余負荷＝電力需要－再エネ発電出力）の変動特性は，従来とは異なる様相を呈しつつある。これに対応するための電力需給調整力の確保は大きな課題である。本研究では上記の課題に対して，既存の調整力設備への制御を工夫するというアプローチで取り組む。具体的には，一つの発電機が経済負荷配分制御(EDC)と負荷周波数制御(LFC)の両方の対象となる場合を想定し，EDC指令値の変化量と発電機出力の最大変化率（ランプレート）を考慮して，ARに基づき算出されるLFC指令値を各発電機に配分するEDC-LFC協調制御手法「ブロッキング」を提案する。
6-227	LFC対象機のランプレートを考慮した EDC – LFC協調制御手法～その2：提案手法の効果検証～
6-227	◎斉田賢・Tan Zhiping・今中政輝・栗本宗明・杉本重幸・加藤丈佳（名古屋大学）・中地芳紀・Verma S.C.（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-227 LFC対象機のランプレートを考慮した EDC – LFC協調制御手法～その2：提案手法の効果検証～ ◎斉田賢・Tan Zhiping・今中政輝・栗本宗明・杉本重幸・加藤丈佳（名古屋大学）・中地芳紀・Verma S.C.（中部電力）太陽光発電や風力発電などの再エネ発電が大量導入された電力システムでは，電力需給調整力の確保が大きな課題である。そこで筆者らは，既存の発電機の調整力向上を目的として，一つの発電機が経済負荷配分制御（EDC）と負荷周波数制御（LFC）の両方の対象となる場合を想定し，EDC指令値の変化量と発電機出力の最大変化率（ランプレート）を考慮して，LFC指令値を各発電機に配分するEDC-LFC協調制御手法「ブロッキング」を別報で提案した。本報では，計算機シミュレーションにより，提案手法の有用性を検証した。提案手法は，ARとLFC信号の乖離を抑える効果があること，LFC対象機の総ランプレートが少ない場合に有用であることを説明する。
6-228	重負荷送電線における潮流変動抑制のためのLFC 指令値配分のオンライン最適化
6-228	◎織原大・飯岡大輔（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-228 重負荷送電線における潮流変動抑制のためのLFC 指令値配分のオンライン最適化 ◎織原大・飯岡大輔（東北大学）自然変動電源の導入拡大は，送電線潮流の変動を増加させて瞬時的な線路過負荷を招き，系統安定性を低下させる恐れがある。潮流の変動は，自然変動電源の出力変動のみでなく，その変動を吸収する周波数制御の対象電源の出力変化にも影響を受ける。筆者らはこの関連性に着目し，周波数制御用電源の制御分担を最適化することで，対象に選んだ送電線の潮流変動を抑制する手法を考案した。本稿ではその手法を提案すると共に，シミュレーションによりその有効性を確認している。
6-229	自律分散負荷周波数制御の安定化を目的とした深層強化学習を用いた積分ゲインの調整手法
6-229	◎高田聖也・織原大・飯岡大輔・斎藤浩海（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-229 自律分散負荷周波数制御の安定化を目的とした深層強化学習を用いた積分ゲインの調整手法 ◎高田聖也・織原大・飯岡大輔・斎藤浩海（東北大学）これまで筆者らは，自律分散化した負荷周波数制御（LFC）による，調整力運用コストの抑制等を含めた多目的な制御を実現するために深層強化学習を用いた手法を検討してきたが，制御が不安定化するおそれがあることが課題とされてきた。本稿ではこの制御を安定化させるために，従来型のLFCにて用いられてきた安定性の高い積分制御を元に，その積分ゲインを学習させることで多目的な制御を実現する手法を提案する。シミュレーションにより有効性を評価したところ，周波数変動を抑制しつつLFCの運用コストを軽減する制御が安定的に可能であると示した。
6-230	新電力発電所を活用した周波数制御に関する検討
6-230	◎横山智也・大山力（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-230 新電力発電所を活用した周波数制御に関する検討 ◎横山智也・大山力（横浜国立大学）日本では現在，電力の小売が全面自由化となり，一般電気事業者の他に，新電力などの電気事業者が増加し，既存の電力会社も他地域で電力の小売りが可能となった。その結果，新電力が増加するにつれて，需給インバランスが増加し，周波数制御の観点から，新電力は電力系統に悪影響を与える可能性が大きい。近年では新電力がEDCやLFCに参加することが期待されているが，本稿では新電力がガバナフリー(GF)のみの貢献でもどの程度周波数制御に効果が得られるのかを検討し，GFのみの貢献でも周波数偏差と連系線潮流偏差がかなり向上することが確認できた。さらに，新電力の容量が増えるにつれて効果が大きくなっていることも確認できた。

G203-C2 電力システム（系統運用・解析）周波数制御（Ⅱ）3月14日午前 G棟 G203教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-231	適応型発電機定数を用いた太陽光発電用インバータによる周波数変動抑制手法
6-231	◎岩根佑治・堀江俊介・加藤亘輝・合田忠弘・雪田和人・松村年郎（愛知工業大学）・Issarachai Ngamroo（モンクット王工科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-231 適応型発電機定数を用いた太陽光発電用インバータによる周波数変動抑制手法 ◎岩根佑治・堀江俊介・加藤亘輝・合田忠弘・雪田和人・松村年郎（愛知工業大学）・Issarachai Ngamroo（モンクット王工科大学）本論文では，PVの前日予測値と実測値の差に起因する周波数変化抑制方法について述べる。先行研究においてPV用インバータに与える発電機定数選定方法と，それに伴うPV出力の短時間予測方法を用いたオンライン適応型系統定数推定による周波数変動抑制手法を提案した。この手法を用いることで周波数変化を目標とする周波数付近まで抑制できることを確認した。しかし短時間予測にも予測誤差が発生し，この予測誤差によって周波数が目標値を逸脱してしまう場合がある。そこで本論文では，周波数変化が目標値を逸脱した際の逸脱量を用いて発電機定数算出式を補正する方法を提案する。補正方法は発電機定数の算出に用いる式より，目標周波数を補正する方法と短時間予測を行う際に生じた誤差を補正する方法の二つに大別される。これらの補正方式について比較評価を実施した。
6-232	スマートインバータを用いた周波数制御試験
6-232	◎前田亮・鈴木大・太田文彦・森健二郎（東京電力ホールディングス）・吉岡康哉・長倉孝行・高野幸雄・上村浩文（富士電機）電気学会全国大会講演要旨 6-232 スマートインバータを用いた周波数制御試験 ◎前田亮・鈴木大・太田文彦・森健二郎（東京電力ホールディングス）・吉岡康哉・長倉孝行・高野幸雄・上村浩文（富士電機）再生可能エネルギーの導入が拡大すると，電力系統運用において需給変動対応や潮流・電圧管理の複雑化が想定される。これらの課題に対して，系統安定化機能を具備させた太陽光PCS（スマートインバータ）ならびにスマートインバータを遠隔監視・制御するための装置（DERMS：Distributed Energy Resources Management System）を開発した。これらをリアルタイムデジタルシミュレータ（RTDS）と連携し，系統安定化に向けた効果検証を進めている。本稿では，スマートインバータの系統安定化機能のうちFrequency-watt機能の試験結果を報告する。Frequency-watt機能は需給アンバランスによる周波数変動抑制のための自端の有効電力制御であり，系統の周波数に応じて有効電力を変化させ，周波数の規定値逸脱時に出力抑制や出力増加を行う。
6-233	PVSの出力上昇率制限と調停率制御による周波数変動抑制効果について
6-233	○片岡和人・斎藤哲夫・ジョアン・ガリダ・シルバ・フォンセカ・ジュニア・西辻祐紀・荻本和彦（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-233 PVSの出力上昇率制限と調停率制御による周波数変動抑制効果について ○片岡和人・斎藤哲夫・ジョアン・ガリダ・シルバ・フォンセカ・ジュニア・西辻祐紀・荻本和彦（東京大学）再生可能エネルギーの大量導入に伴い，出力変動や予測誤差ならびに需給バランスに対応するための調整力の必要性は大きな課題となっている。そのため再生可能エネルギーに関するグリッドコードに関する議論が進められている。これまで，周波数調停率制御による周波数変動抑制効果を報告してきたが，本報告では出力上昇率制限機能を加え，両機能の統合による周波数変動抑制効果を検証する。
6-234	蓄電システムモデルによる再生可能エネルギー大量導入時の複数系統課題に対する協調制御－系統安定化制御と周波数制御の協調制御試験－
6-234	杉本重幸・上田勝久・ヴァルマスレシチャンド・栄田真吾（中部電力）・◎緑川翔太・宇田涼介・藤原修平・熊野純一（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-234 蓄電システムモデルによる再生可能エネルギー大量導入時の複数系統課題に対する協調制御－系統安定化制御と周波数制御の協調制御試験－杉本重幸・上田勝久・ヴァルマスレシチャンド・栄田真吾（中部電力）・◎緑川翔太・宇田涼介・藤原修平・熊野純一（三菱電機）再生可能エネルギーが電力系統に大量導入されると，その大きな出力変動に伴い，電圧や周波数の変動，潮流急変による過負荷，余剰電力，系統安定度低下等の様々な問題を生じる。これらの課題に対する系統対策の一つとして，電力系統内への蓄電システムの設置が考えられている。本論文では，上記の系統課題に対応した蓄電システムモデルを開発し，模擬送電線試験による複数課題に対応した蓄電システムの協調制御（系統安定化制御と周波数制御）の検証を実施したので報告する。
6-235	太陽光発電の仮想同期発電機モデル制御時の詳細モデルにおける周波数安定化効果の検討
6-235	◎山口航太・横山明彦（東京大学）・楠本晃大・河口健・川上智徳（関西電力）電気学会全国大会講演要旨 6-235 太陽光発電の仮想同期発電機モデル制御時の詳細モデルにおける周波数安定化効果の検討 ◎山口航太・横山明彦（東京大学）・楠本晃大・河口健・川上智徳（関西電力）近年，太陽光発電(Photovoltaic Generation: PV)が大量に系統に接続されており，今後も増加が見込まれている。しかし，PVは従来の同期発電機と異なり慣性を持たないという特徴がある。そのため系統におけるPV導入比率の増加に伴い，系統全体の慣性が低下し，微小擾乱に対しても，系統の安定運用が損なわれる可能性がある。その対策として，PVのインバータに電力貯蔵装置を付加し，同期発電機の慣性を模擬する仮想同期発電機(Virtual Synchronous Generator : VSG) の研究がなされている(1)(2)。しかし，それらの効果は，基幹系統などの大規模系統での周波数安定化効果については検証がなされていないのが現状である。本稿では，数分から20分程度の周期の負荷変動を想定した，PVのVSGモデル制御による，周波数安定化効果の検討を行う
6-236	Hybrid Control System for Short-Term Frequency Stability Improvement by Variable Speed Wind Turbines
6-236	◎Karina Tyroller・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-236 Hybrid Control System for Short-Term Frequency Stability Improvement by Variable Speed Wind Turbines ◎Karina Tyroller・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学） In this paper, we propose a hybrid control system for variable speed wind turbines to improve the short-term frequency stability caused by a generator tripping. The proposed system adapts different frequency support strategies depending on the wind speed. A novel de-loading curve combined with inertia emulation is used to increase the frequency support ability at low wind speed band. The simulations indicate that by operating at de-loaded state while additionally emulating inertia, a long support period can be achieved.
6-237	自律負荷制御による周波数変動抑制効果の実証
6-237	◎山本惇史・近藤潤次（東京理科大学）電気学会全国大会講演要旨 6-237 自律負荷制御による周波数変動抑制効果の実証 ◎山本惇史・近藤潤次（東京理科大学）再生可能エネルギーの普及に伴い電力系統全体の需給バランスが崩れ，系統周波数を適切な値に維持することが難しくなる可能性がある。本論文では系統周波数変動の抑制方法として制御ボードを組み込んだ負荷が周波数変動を自身で検出し，偏差を抑制する方向に消費電力を調整することで系統全体のバランス維持に貢献する「自律負荷制御」を対象とした。既存の周波数偏差Δfに対して設けた閾値に基づく制御に加え，周波数変化率df/dtに対して設けた閾値に基づく制御を加えることで，更なる周波数変動抑制効果の実証実験を，系統の周波数特性を模擬した小規模孤立系統において行った。結果は，周波数変動をより抑制でき，応答速度も改善した。

G205-A4 電力システム（系統運用・解析）電圧無効電力制御3月12日午後 G棟 G205教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-238	ロバスト最適化による電圧安定度マージン最大化手法
6-238	◎岡田真那美・森啓之（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-238 ロバスト最適化による電圧安定度マージン最大化手法 ◎岡田真那美・森啓之（明治大学）本稿では，電圧安定度マージンの最大化を行う。近年，電力市場の完全自由化や再生可能エネルギー発電の大量導入により電力系統の不確定性が増加しているため，電力系統の電圧安定度解析の必要性も増加している。そこで連続型潮流計算を用いて特異点評価を行い，より電圧安定度を高める手法を提案する。具体的には，再生可能エネルギー発電による不確定性を考慮するために，風力発電が接続されていると仮定した電力系統に対してロバスト最適化を行う。本稿で取り組む最適化問題は電圧安定度マージンを最大化するようなキャパシタの配置箇所決定である。これにより安定度の高い電力系統の構築を実現する。
6-239	主双対内点法を用いた電圧安定度制約付き最適潮流計算
6-239	◎逢見翔太（日立製作所）・白井康之（京都大学）電気学会全国大会講演要旨 6-239 主双対内点法を用いた電圧安定度制約付き最適潮流計算 ◎逢見翔太（日立製作所）・白井康之（京都大学）再生可能エネルギー発電の普及と電力システム改革による市場原理導入の中で，信頼性と経済性を両立する最適な運用点の算出を目的に電圧安定度を制約式と組み込んだ最適潮流計算の研究を進めている。既に先行研究にて電圧安定度制約付き最適潮流計算はモデル化されているが，本研究では非線形最適化計算において強力な主双対内点法適用のために定式化と実装を行った。数値計算による検証の結果，電圧安定度制約を厳しくすると制約違反を解消するよう発電機出力の持ち替えが生じ，制約の範囲内で最経済となる運用点の算出ができたことを確認した。講演では一般の潮流制約と電圧安定度制約の違いに留意した定式化と検証結果について報告する。
6-240	電圧無効電力制御に対するディペンダブルな並列C-DEEPSOのパラメータ感度解析
6-240	◎松本海智・吉田武尊・福山良和（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-240 電圧無効電力制御に対するディペンダブルな並列C-DEEPSOのパラメータ感度解析 ◎松本海智・吉田武尊・福山良和（明治大学）電圧無効電力制御（以下，VQC）の主目的は，電力系統の電圧・電圧安定性維持である。平常時の集中制御型のVQCは，混合整数非線形最適化問題として定式化でき，進化計算の適用が検討されてきた。また再生可能エネルギーの大量導入や電力自由化に伴い，計算負荷の増大が予測される。1つの解決策として，並列分散処理の適用が考えられる。また，電力系統は，制御の継続性が求められることから著者らは，VQCのディペンダビリティ性の評価をし，ディペンダブルな並列C-DEEPSOが最もディペンダビリティ性が優れていることを確認した。本論文では，VQCに対するディペンダブルな並列C-DEEPSOの各故障確率に応じてのパラメータ感度解析を行った結果について報告する。
6-241	電圧安定度を考慮した並列DEEPSOによる電圧無効電力制御の検討
6-241	◎吉田武尊・福山良和（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-241 電圧安定度を考慮した並列DEEPSOによる電圧無効電力制御の検討 ◎吉田武尊・福山良和（明治大学）電圧無効電力制御（以下，VQC）の主目的は，時々刻々と変化する系統内の負荷に追従し，無効電力の供給バランスを考慮しつつ，電力品質の1つである電圧適正・電圧安定度維持を行うことである。平常時の集中制御型のVQCは対象系統の送電損失低減等を目的関数とした混合整数非線形最適化問題として定式化される。そのため，進化計算の適用が検討されてきている。本論文では，電圧無効電力制御に対して，並列DEEPSOを適用しその制御候補に対してLook-Ahead法による想定事故解析を実行した。
6-242	再生可能エネルギー大量連系に伴う需給状況の変化が基幹系統における平常時の電圧に与える影響分析
6-242	◎野本悟史・小関英雄・宍戸浩司（電力中央研究所）・飛田雄一・関沼和浩（東北電力）電気学会全国大会講演要旨 6-242 再生可能エネルギー大量連系に伴う需給状況の変化が基幹系統における平常時の電圧に与える影響分析 ◎野本悟史・小関英雄・宍戸浩司（電力中央研究所）・飛田雄一・関沼和浩（東北電力）将来，わが国では再生可能エネルギー(以下，再エネ)導入量が大幅に増加することが見込まれており，これまで系統の電圧維持に貢献していた発電機が再エネに代替されることで系統の電圧維持能力が低下することが想定される。このことから，将来系統において，系統電圧を支えるために必要な並列発電機の選定や無効電力リソースの確保を十分に検討していく必要がある。本稿では東北エリアにおいて再エネが大量連系された状況を想定し，発電機の出力の分担状況や並解列状況が基幹系統における平常時の電圧へ与える影響について分析した。
6-243	高性能進化計算手法による電圧・無効電力制御のための最適系統分割
6-243	◎小川彰太・森啓之（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-243 高性能進化計算手法による電圧・無効電力制御のための最適系統分割 ◎小川彰太・森啓之（明治大学）本稿では，高性能進化計算手法による電圧・無効電力制御(VQC)のための最適系統分割法を提案する。近年，再生可能エネルギーの大量導入により，電力系統における運用の複雑化が進んでいる。そのため，系統において適切な電圧および周波数を維持することが課題である。そこで重要な技術が適正電圧を維持するVQCである。そこで，本稿では，VQCを並列処理するために，短時間で高精度近似解を得ることができる離散型島モデルPredator-Prey Brain Storm Optimization(DPPPBSO)を用いた最適な電力系統分割法を提案する。
6-244	基幹系統VQCの機能改良に関する検討
6-244	○片山智文（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-244 基幹系統VQCの機能改良に関する検討 ○片山智文（中部電力）中部電力では500kV，275kV基幹系統の電圧・無効電力は，基幹給電制御所システムによる中央制御方式のVQC（Voltage Reactive Power(Q) Control）（以下，基幹系統VQC）により監視し，自動制御している。現在運用している基幹系統VQCの基本的な仕組みは1999年から変更していない。系統構成や発電機態勢等の変化，再生可能エネルギーの大量導入等により，基幹系統の電圧状況が変化し現行の基幹系統VQCでは追従できないケースがあることから，今回，電圧運用の実務レベルで求められる主な課題と今後の対応策について検討を行ったため紹介する。

G205-A3 電力システム（系統運用・解析）エネルギーマネジメント3月12日午後 G棟 G205教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-245	需要家群における需要家間電力融通とDER活用による調整力提供の基礎検討
6-245	土橋悠・隈元貴之・武下拓磨・三井雅史・安芸裕久・石田政義（筑波大学）・◎瀧本勲（東京ガス）電気学会全国大会講演要旨 6-245 需要家群における需要家間電力融通とDER活用による調整力提供の基礎検討土橋悠・隈元貴之・武下拓磨・三井雅史・安芸裕久・石田政義（筑波大学）・◎瀧本勲（東京ガス）近年，再エネ電源の普及拡大に伴い調整力確保の重要性が活発に議論されている。調整力を確保するための手段として需要家側の発電機や蓄電池，可制御負荷機器といった分散型エネルギー資源を活用することが検討されており，需要家を束ねるアグリゲーターによる外部との取引や需要家間での電力融通を行うことで，安価に調整力を獲得できる可能性がある。本稿では，需要家群内における需要家間インタラクションをモデル化し，電力融通に料金時間帯別料金（TOU: Time-of-Use）を適用した評価を行った。その結果，電力融通による経済的な得失と融通量を算出し，得られる調整力と需要家の得失について定量的な効果を示した。
6-246	契約電力削減用蓄電池を用いた需給調整コスト削減
6-246	◎伊原裕貴・三谷康範（九州工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-246 契約電力削減用蓄電池を用いた需給調整コスト削減 ◎伊原裕貴・三谷康範（九州工業大学）近年では太陽光発電の導入量が増加しており問題が生じている。その内の一つとして電力需給バランスの乱れがある。太陽光発電は天候に従い出力が変動する特徴を有しており，朝方・夕方時の電力不足や昼間の電力余剰を引き起こしやすい。これに伴い電力市場の一日の内の電力価格差は大きくなる可能性がある。本研究では需要家が契約電力削減のために導入している蓄電池を小売電気事業者の調整力として制御することで需給調整に活用する。契約電力削減用蓄電池の稼働日数は年間数十日であり，小売電気事業者の利用可能日は多い。蓄電池に安価な余剰電力を吸収させ電力不足時に放電することで需給調整コスト削減を狙い，その効果を検討する。
6-247	系統貢献を目的とした起動停止制約を考慮した地域冷暖房システムの数値モデル構築
6-247	◎冨田康平・伊藤雅一・林泰弘（早稲田大学）・山本有途・小林広介・速川敦彦（東京ガス）電気学会全国大会講演要旨 6-247 系統貢献を目的とした起動停止制約を考慮した地域冷暖房システムの数値モデル構築 ◎冨田康平・伊藤雅一・林泰弘（早稲田大学）・山本有途・小林広介・速川敦彦（東京ガス）コージェネレーションシステムが併設された地域冷暖房システム（DHC）は，各地域の熱需要を満たしつつ，電力量調整が可能であることから系統貢献への利用可能性が高い。そのため，先行研究では，調整力公募を対象とし，DHCによる調整力確保方法，実施方法を提案した。さらに，実在するDHCを想定した数値モデルを構築し，DHCによる系統貢献の有用性を確認した。しかし，先行研究では，機器の起動停止制約は考慮されていない。そこで，本研究では，より現実に即したDHCによる系統貢献の有用性の評価をするため，機器の起動停止制約を考慮した数値モデルを構築する。また，起動停止制約の有無で，運転方法と運転費用がどの様に変わるか比較を行う。
6-248	熱放射型冷暖房システムを用いたピークカット運転における蓄熱性・断熱性による影響の検証
6-248	◎地家淳平・佐竹昭泰・三谷康範（九州工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-248 熱放射型冷暖房システムを用いたピークカット運転における蓄熱性・断熱性による影響の検証 ◎地家淳平・佐竹昭泰・三谷康範（九州工業大学）ピークカット運転は，冷暖房等の電力を抑える運転のことで，電力需要のピークを下げ，負荷平準化に貢献することを目的としている。この運転をすることで，供給側の電力の安定供給に繋がり，需要家側にも契約電力を下げることが出来るメリットがある。本研究室では，熱放射型冷暖房システムの電力マネジメントについて研究を行っており，本システムは室温の応答が遅いといった特徴があるため，ピークカットに適した機器であると考えられる。従って，本システムを用いたピークカット運転の提案を行い，シミュレーションにより，最大電力削減効果について検証する。
6-249	深層強化学習を用いたコージェネレーションシステムの運用に関する基礎検討
6-249	○澤邉剛志・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-249 深層強化学習を用いたコージェネレーションシステムの運用に関する基礎検討 ○澤邉剛志・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）近年,コージェネレーション(Cogeneration System, 以下CGS)の導入が進んでいる。CGSはCGSは需要家自身が発電を行うことで買電量を減らすことができるため, これを活用したデマンドレスポンス(Demand Response, 以下DR)が期待されている。加えて，スマートコミュニティに代表されるIoTを活用した地域エネルギー供給の概念が検討されており，今後可制御電源であるCGSの連系量が増加する可能性が考えられる。本報告では基礎検討として, CGSの1時間毎の運用計画を作成するにあたり，不確実性のある環境に対して適用することができる深層強化学習を用いたCGSの運用を提案し, 従来の最適化計算との比較を行う。
6-250	2030年電力需給におけるヒートポンプ給湯機及び電気自動車のインパクト評価
6-250	○岩船由美子・荻本和彦（東京大学）・東仁（JPビジネスサービス）・松岡綾子・下田吉之（大阪大学）電気学会全国大会講演要旨 6-250 2030年電力需給におけるヒートポンプ給湯機及び電気自動車のインパクト評価 ○岩船由美子・荻本和彦（東京大学）・東仁（JPビジネスサービス）・松岡綾子・下田吉之（大阪大学）日本全体のEVやHP給湯機を含む電力需給シミュレーションモデルを構築し，最適な運転が行われた場合に，電力システム全体の経済性，環境性にどのような影響をもたらすかについて評価を行う。
6-251	実測データに基づくEVユーザ充電行動解析(1)－急速充電器の利用回数推定モデル－
6-251	○小田拓也・前川隆文・渡辺陽子（東京工業大学）・村井謙介・鈴木健太・池添圭吾（日産自動車）電気学会全国大会講演要旨 6-251 実測データに基づくEVユーザ充電行動解析(1)－急速充電器の利用回数推定モデル－ ○小田拓也・前川隆文・渡辺陽子（東京工業大学）・村井謙介・鈴木健太・池添圭吾（日産自動車）電気自動車（EV）の普及による石油依存度の低減には，CO2排出原単位の低い時間帯に充電する事が，加えて調整力として用いるため走行需要を阻害しない充放電が求められる。双方の観点から，EVの充電需要を把握する事が重要である。走行需要を一定とすれば，基地，経路，目的地の3カ所で行われる充電電力需要の和は一定となる。3カ所における充電需要の全体像を把握するため，主な経路充電である急速充電（QC）の需要に着目した解析を行った。本報では，EVのプローブデータから得られる統計量を元に，EVの基地を起点にした旅行距離を用いて解析した結果を示す。加えて将来のQC需要を推定した結果を報告する。
6-252	実測データに基づくEVユーザ充電行動解析(2) -急速充電器利用実態の分析-
6-252	◎村井謙介・増山雅彦・池添圭吾（日産自動車）・前川隆文・渡辺陽子・小田拓也（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-252 実測データに基づくEVユーザ充電行動解析(2) -急速充電器利用実態の分析- ◎村井謙介・増山雅彦・池添圭吾（日産自動車）・前川隆文・渡辺陽子・小田拓也（東京工業大学）電気自動車(EV: Electric Vehicle)などの次世代自動車は，CO2排出量の削減などを目的として，日本国内への導入目標が定められている。EVが導入されると，電力システムとしては需要とみなされるEV充電電力が増加する。EVユーザの充電行動はEV性能や充電器普及状態，サービス形態（定額使い放題など）などの影響を受ける。このため，将来のEV充電電力と現在のEV充電電力は，EV導入台数で比例する関係にはならず，これら要素が考慮されたモデルを作成する必要がある。本研究では，主に公共スペースなど停車時間が短い場所に設置される急速充電器（QC: Quick Charger）に注目する。これまでQCの充電モデルは，EVユーザが統一的な行動をするという仮説に基づいたものやQCの設備型で取得したデータから作成されたものであったため，そのモデルの妥当性に課題があった。本研究では，実態に即した充電モデルを構築するために，日産自動車が有している1万台を超えるEVの実測データを解析することによって，自宅充電器の有無と旅行距離がQC利用回数に与える影響が分析した。
6-253	蓄熱槽等の論理ノードに関する国際標準への提案状況
6-253	○大谷哲夫（電力中央研究所）・田中立二（産業技術総合研究所）・小澤浩（アズビル）電気学会全国大会講演要旨 6-253 蓄熱槽等の論理ノードに関する国際標準への提案状況 ○大谷哲夫（電力中央研究所）・田中立二（産業技術総合研究所）・小澤浩（アズビル） IEC 61850-7-420では，論理ノードと呼ばれる，監視制御機能の基本構成要素が定められている。IEC 61850-7-420の改訂に合わせ，日本からは蓄熱槽およびその関連設備を表す論理ノードを，具体的な利用状況に基づいて提案している。本論文では，この提案内容を紹介するとともに，他の設備への適用等について考察する。
6-254	新たなグリッド導入へのインパクト評価（1） ―フレームワークの基礎的検討―
6-254	○周意誠・岩村一昭・中西要祐（早稲田大学）・伊庭健一（明星大学）電気学会全国大会講演要旨 6-254 新たなグリッド導入へのインパクト評価（1） ―フレームワークの基礎的検討― ○周意誠・岩村一昭・中西要祐（早稲田大学）・伊庭健一（明星大学）本稿は，新たなグリッドおよびその関連システムの導入による社会的・経済的・環境的インパクト評価のフレームワークの基礎的な検討をする。個別のプロジェクトや事業（例えば，供給側の風力発電，太陽光発電，需要家側のBEMS，HEMS，およびエネルギー貯蔵システムなど）をこのフレームワークにより評価することを目指し，今後は展開中のe-Asiaプロジェクトへの適用を試みる予定である。

G205-C3 電力システム（系統運用・解析）デマンドレスポンス3月14日午後 G棟 G205教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-255	集合住宅におけるデインセンティブ型マンドレスポンスの実験検証
6-255	◎青山泰宏・西戸雄輝・小林浩（トーエネック）電気学会全国大会講演要旨 6-255 集合住宅におけるデインセンティブ型マンドレスポンスの実験検証 ◎青山泰宏・西戸雄輝・小林浩（トーエネック）近年，電力の安定供給や余剰電力の削減を目的とした，デマンドレスポンスの必要性が叫ばれている。しかし，DRの実証件数は少なく，どの程度電力融通が期待できるか不透明である。そこで，集合住宅入居者に向けてインセンティブ型DRの実証検証を行った。その結果，デマンドレスポンスに協力した住戸の平均使用電力量が，非協力住戸と比較して約12%減少する結果が得られた。
6-256	Feasibility study on Coordinated Control of Heating Ventilation and Air Conditioning Loads and Battery Energy Storage System for Improved Performance of FastADR Response.
6-256	◎Rajabu Myovela・今中政輝・栗本宗明・杉本重幸・加藤丈佳（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-256 Feasibility study on Coordinated Control of Heating Ventilation and Air Conditioning Loads and Battery Energy Storage System for Improved Performance of FastADR Response. ◎Rajabu Myovela・今中政輝・栗本宗明・杉本重幸・加藤丈佳（名古屋大学） Heating Ventilation and Air-conditioning (HVAC) loads are one of the candidates for FastADR Demand response system. However, the response of HVAC loads does not perfectly follow external control signals. Battery Energy Storage System (BESS) can be useful in supplementing power consumption of HVAC loads in following FastADR signals. In order to reduce the capacity of BESS for this purpose, its SOC should be recovered quickly for the next response. This study proposes a coordinated control of HVAC loads and BESS to restore SOC without affecting total electricity load. The effect of the system’s operation on indoor temperature is also studied.
6-257	ディマンドリスポンス用自家発設備自動運転システムの開発と検証
6-257	○小林昭二（エネサイバー）・高崎岳・原口和希（富士通ファシリィティーズ）電気学会全国大会講演要旨 6-257 ディマンドリスポンス用自家発設備自動運転システムの開発と検証 ○小林昭二（エネサイバー）・高崎岳・原口和希（富士通ファシリィティーズ）電力系統の安定運用を目的にディマンドリスポンス(DRという)による需要家負荷抑制制御が行われる。ここでは，需要家負荷を遠隔制御するための汎用的で安価な仕組みつくりが課題となっている。今回，DR向けに需要家の自家発電機を自動で遠隔運転／停止する方法を開発・検証した。筆者らは，稼働中の設備運転用コンピュータ（BEMSという）を利用しながらこれらBEMSのメーカーや型式に依存しない方法で，運転員に替わりBEMS画面の自動操作を行うロボット機能を中核に設備の自動運転を行ってきた。この機能の活用により，発電機の起動／停止機能が備わったBEMSを有する需要家が，安価な仕組みの自動運転方法でDR事業に参加できる方法が実証されたので紹介する。
6-258	様々なリスク尺度を用いたアグリゲータの負荷削減配分決定法
6-258	◎野々下友哉・熊野照久（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-258 様々なリスク尺度を用いたアグリゲータの負荷削減配分決定法 ◎野々下友哉・熊野照久（明治大学）負荷削減はピークカットを行う事で，火力発電の焚き増しやピーク電源の新設等を不要にする事で，合理的な発電設備の維持を実現する事が期待されている。しかし需要家の消費電力は気温等により変動するため，要請された負荷削減量を得る事が出来なくなってしまう恐れがある。そこで，本研究ではアグリゲータが負荷削減を行う際，気温変動等による需要家のエアコン負荷削減電力の変動のリスクに対してリスク管理手法であるポートフォリオ最適化を用いて削減電力の変動を抑えるような需要家の組み合わせを決定する方法について検討を行った。一般的なリスク尺度である分散や，安全第一基準等の下方リスクを用いてシミュレーションを行った。
6-259	発電機起動停止計画モデルにおける電気自動車の導入
6-259	○宇田川佑介・西辻裕紀・荻本和彦・Joao Fonseca（東京大学）・海崎光宏・大関崇・宇野史睦（産業技術総合研究所）・請川克之・大橋由季（構造計画研究所）・福留潔（JPビジネスサービス）電気学会全国大会講演要旨 6-259 発電機起動停止計画モデルにおける電気自動車の導入 ○宇田川佑介・西辻裕紀・荻本和彦・Joao Fonseca（東京大学）・海崎光宏・大関崇・宇野史睦（産業技術総合研究所）・請川克之・大橋由季（構造計画研究所）・福留潔（JPビジネスサービス）大量導入された電気自動車によるデマンドレスポンスは電力システム運用において大きな影響を持つと考えられる。著者たちが開発してきた発電機起動停止計画モデルに，電気自動車を仮想的な大型蓄電池として想定し追加実装を行った。またその際に，EVユーザーの利便性を損なわないように，走行に伴う充放電ニーズなどを制約条件として考慮した。本モデルを用いて，電気自動車が翌日の発電機起動停止計画に与える影響について解析を行った結果を報告する。
6-260	低コストディマンドリスポンス制御端末での協調制御について
6-260	○柴本真吾（東京電力ホールディングス）・田中晃司（東京電力エナジーパートナー）・細谷雅樹（東光高岳）電気学会全国大会講演要旨 6-260 低コストディマンドリスポンス制御端末での協調制御について ○柴本真吾（東京電力ホールディングス）・田中晃司（東京電力エナジーパートナー）・細谷雅樹（東光高岳）これまでの発電機や蓄電池など，既存の受電電力調整設備をリソースとして活用する場合，外部から受電電力の目標値を変更する装置が無いため，制御装置の改造等が必要となり機種毎に多額な費用がかかっていた。このため，機種に係らず制御装置を改造せず低コストでDRが可能な制御端末「DR shifTer（以下，DRシフター）」を開発した。今回，実設備のリソースで多く導入されている「蓄電池と発電機の併用」にDRシフターを適用し，蓄電池と発電機の併用時を模擬したシミュレーションを行い，協調制御の状況を確認するとともに，実機での試験を実施することにより，蓄電池と発電機が互いに協調しながら制御を保っている状況を確認し，蓄電池と発電機が併用されている箇所においてもDRシフターにより安価なDRが実現できることを確認した。今後は，実証等での実績をさらに重ねて，需給調整市場等に対応した更なる高精度の制御が可能となるよう，DRシフターの開発に努めていきたい。
6-261	需要家の蓄電池を考慮したVPPによる需給調整力確保に関する検討
6-261	◎染葉美樹・青木睦・Chand Verma Suresh（名古屋工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-261 需要家の蓄電池を考慮したVPPによる需給調整力確保に関する検討 ◎染葉美樹・青木睦・Chand Verma Suresh（名古屋工業大学）先行研究において，太陽光発電(PV：Photovoltaic power generation)の導入が拡大した電力系統における，LFC調整力確保手法が提案されている。また，筆者らは，近年注目されている仮想発電所(Virtual Power Plant：以下VPP)を，この手法に活用する方法について検討してきた。しかし，VPPの運用方法等は検討段階であり，需要家の蓄電池運用を考慮した上で，VPPによる需給調整力の実現性が課題となっている。このようなことから，本論文では，需要家として住宅を想定し，まず，各住宅において蓄電池運用について最適化を行った。その結果を受けて，複数の需要家を束ねてVPPを構成した場合の可能な需給調整力を算出し，それの需給運用への適用性を需給・周波数制御シミュレーションモデル(AGC30)にて検討したので，その結果を報告する。
6-262	多様なDR資源を活用したLFCに関する研究
6-262	◎宮園直希（横浜国立大学）・小林広介・山本有途（東京ガス）・辻隆男・大山力（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-262 多様なDR資源を活用したLFCに関する研究 ◎宮園直希（横浜国立大学）・小林広介・山本有途（東京ガス）・辻隆男・大山力（横浜国立大学）昨今の再生可能エネルギーの普及に伴い，日本ではより柔軟な調整力の調達・取引を目的として，2021年に「需給調整市場」の創設が予定されている。この調整力公募にあたって通常の電源の他に，電気料金や電力消費量といった供給側が与える指標に応じて需要側の電力需要を変動させるデマンドレスポンス（DR）を活用しようとする動きが高まっている。本研究では，蓄電池やコージェネレーションといった需要家資源（DR資源）が調整力として貢献できるかを検討する。今回は，負荷周波数制御（LFC）に対してDR資源を導入した際の系統への影響を，厳気象時の需給対応を想定した需給・周波数制御シミュレーションを行うことで調査する。
6-263	米国のアンシラリーサービス市場における需要側リソース活用のためのメーター要件と応動評価の制度調査
6-263	◎山田智之・坂東茂・八太啓行・浅野浩志・大嶺英太郎（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-263 米国のアンシラリーサービス市場における需要側リソース活用のためのメーター要件と応動評価の制度調査 ◎山田智之・坂東茂・八太啓行・浅野浩志・大嶺英太郎（電力中央研究所） 2020年度以降の国内需給調整市場の開設を念頭に置き，海外の先行事例として米国のISOであるPJMと，RTOであるERCOTを取り上げ，需要家側リソースの計測・評価の観点から，どのようにアンシラリーサービス市場の制度が設計されているのかを調査した。両機関ともに不正防止の観点からサブメーター使用には慎重であり，基本的には連系点単位で管理を行う。連系点データに基づきDRを実施・運用するため，その応動評価は指令前後の出力差分を計測する。Regulationについては指令に対して高速応動が求められることから遠隔計測が必須で，PJMではサブメーター使用を許可し，報酬に直結するパフォーマンススコアにより応動評価している。
6-264	デマンドレスポンスの支援を想定した機器消費電力の短時間先予測の検討
6-264	◎藤田恵・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-264 デマンドレスポンスの支援を想定した機器消費電力の短時間先予測の検討 ◎藤田恵・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）東日本大震災以降の電力システム改革の中で，供給側だけでなく需要側からの需給バランス(デマンドレスポンス)の必要性が高まっている。一般送配電事業者と需要家を仲介するアグリゲーターは可制御量を把握しながら削減量を達成できるような各需要家の組み合わせポートフォリオを作成する必要があるため，一般需要家を対象としたデマンドレスポンスにおいて制御対象機器の短時間先の消費電力を予測する事は，アグリゲーターが可制御量を把握する上で重要な役割を果たす。本稿では時系列予測の文脈で高い予測精度が報告されているEcho State Network(ESN)を機器消費電力の短時間先予測に適用することを提案する。

G202-A1 電力システム（系統運用・解析）マイクログリッド（Ⅰ）3月12日午前 G棟 G202教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-265	気象情報を活用した再生可能エネルギーを主体とする離島オフグリッドの運用手法の検討
6-265	○宮崎輝・釜壮一郎・林泰弘（早稲田大学）・冠城さやか・吉永淳（東京電力パワーグリッド）電気学会全国大会講演要旨 6-265 気象情報を活用した再生可能エネルギーを主体とする離島オフグリッドの運用手法の検討 ○宮崎輝・釜壮一郎・林泰弘（早稲田大学）・冠城さやか・吉永淳（東京電力パワーグリッド）近年，再生可能エネルギーを用いたオフグリッドシステムが注目されている。しかし，太陽光発電(PV)等を主体とするオフグリッドの場合，天候により発電できない時間帯が生じることから，その部分を蓄電池等で補完する必要がある。筆者らは，現在ディーゼルエンジン(DE)より電力供給されている島嶼を対象に，DEを補完電源として用いPVと蓄電池を主体とした発電設備容量の算出手法に関する研究を行ってきた。本稿では，上記の島嶼にPV，蓄電池，ならびにDEから構成するオフグリッドを導入した際に，気象情報を活用してオフグリッドの発電設備容量，蓄電池容量，ならびに補完電源の運用方法を決定する手法の有効性について検証した結果を報告する。
6-266	水素製造プロセスを需要として含むマイクログリッドの最適運用- 運用計画期間の違いが与える影響の検証 -
6-266	◎喜田勇志・原亮一・北裕幸（北海道大学）・小熊祐司・稲村彰信（IHI）電気学会全国大会講演要旨 6-266 水素製造プロセスを需要として含むマイクログリッドの最適運用- 運用計画期間の違いが与える影響の検証 - ◎喜田勇志・原亮一・北裕幸（北海道大学）・小熊祐司・稲村彰信（IHI）近年，太陽光発電等の出力変動型の再生可能エネルギー電源の大量導入の対策の一つとして，水素エネルギーに注目が集まっている。著者らも太陽光発電の余剰電力を水素に変換して利用するスマートコミュニティの実現に向けて，水素製造プロセスを需要として含むマイクログリッドの運用方法を検討しており，エネルギー自給率・水素生産量を最大化することを目的とした運用計画手法を開発した。本稿では，運用計画の対象期間を変えることで，策定される計画におけるエネルギー自給率がどの程度向上するかを数値試算により検証する。
6-267	系統連系型マイクログリッドにおける最適経済運用スケジューリングに関する研究
6-267	◎秋葉大輝・呉国紅（東北学院大学）電気学会全国大会講演要旨 6-267 系統連系型マイクログリッドにおける最適経済運用スケジューリングに関する研究 ◎秋葉大輝・呉国紅（東北学院大学）本研究では，太陽光発電などの再生可能エネルギー発電が導入される系統連系型マイクログリッドにおいて，再生可能エネルギー発電量の不確定性を考慮にいれ，電力需給バランスと電力貯蔵容量の制約条件を満たしながら，マイクログリッドの運用コストが最小（料金最安値）となるように，最適経済運用スケジューリング方法について検討を行った。そのため，系統連系型マイクログリッドにおける電力売買量及びバッテリの充放電スケジュールを最適化問題として確立し，最適解析手法の一つであるDEアルゴリズムをC言語で実装して最適計算を行い，マイクログリッドにおいて10分間隔での最適経済運用スケジュールを求め，シミュレーションによってその有効性を確認できた。
6-268	マイクログリッドの運用計画問題への最適化アルゴリズムの適用に関する検討
6-268	◎伊藤大智（福井大学）・高野浩貴（岐阜大学）・塩見竜平・田岡久雄（福井大学）電気学会全国大会講演要旨 6-268 マイクログリッドの運用計画問題への最適化アルゴリズムの適用に関する検討 ◎伊藤大智（福井大学）・高野浩貴（岐阜大学）・塩見竜平・田岡久雄（福井大学）マイクログリッドの運用計画問題は，系統発電機の起動停止計画・経済負荷配分問題と同質となり解くことが難しく，また蓄電池の運用も決める場合はさらに複雑となる。メタヒューリスティクスなどが解法として注目されているが，アルゴリズムの選定自体が難しい。一方，問題やアルゴリズムを分析できれば，アルゴリズムの選定などに有効な知見の獲得，あるいはアルゴリズムの改善に役立つ可能性がある。本研究では，運用計画問題に粒子群最適化法，差分進化法ならびにこれらと二次計画法を組み合わせたハイブリッド手法の四種類を適用し，獲得解や探索過程などの観点から探索性能を分析すると共に，アルゴリズムの改善に有効な探索戦略を検討する。
6-269	マイクログリッドの可制御設備を対象とした協調運用計画作成手法の検討
6-269	◎後藤瞭太・高野浩貴（岐阜大学）・浅野浩志（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-269 マイクログリッドの可制御設備を対象とした協調運用計画作成手法の検討 ◎後藤瞭太・高野浩貴（岐阜大学）・浅野浩志（電力中央研究所）低炭素社会の実現に向け，今後，太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入拡大が予想される。そこで，これらの不確実な出力を，可制御電源や電力貯蔵設備を用いることで補償しながら運用する手段の一つとしてマイクログリッドが注目されている。本稿では，マイクログリッドが可制御設備（可制御電源，電力貯蔵設備（蓄電池，電気自動車），電力系統）と非可制御設備（需要家負荷，太陽光発電設備）で構成されていると想定し，これら可制御設備の運用計画を一括して決定する問題の枠組みとその問題の解法を提案する。
6-270	Optimization for Design of Micro Energy Grids Using Multi-Objective PSO
6-270	◎ALAA FARAH MAHMOUD ALI・七原俊也・河辺賢一（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-270 Optimization for Design of Micro Energy Grids Using Multi-Objective PSO ◎ALAA FARAH MAHMOUD ALI・七原俊也・河辺賢一（東京工業大学） Multi-objective particle swarm optimization (MOPSO) algorithm is used to specify the optimal combination and optimal sizing of MEG components. In the present study, DG units put the priority on heat production and the surplus/deficient electricity can be sold to/bought from the utility grid. The deficient heat can be supplied by the boiler and/or electrical heater. The objective function is to minimize the total system cost and total carbon dioxide emission simultaneously. The results show that integration of CHP to the MEG has a significant enhancement in the system performance by minimizing total cost of the system and total carbon dioxide emissions.
6-271	HOMERを用いた拡張型マイクログリッド向け設備導入コストの検討
6-271	◎付文雄・三宅修平・岩村一昭・中西要祐（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-271 HOMERを用いた拡張型マイクログリッド向け設備導入コストの検討 ◎付文雄・三宅修平・岩村一昭・中西要祐（早稲田大学）日本や東南アジア地域へのマイクログリッドの導入に向けて，再生可能エネルギー発電と需要両方の特性を含み，相互連携して自立運用が可能な拡張型マイクログリッドの導入について検討を行っている。本研究では，電力需要に注目し，災害時にグリッドから電力が供給されない場合があるため，HOMERというシミュレーションソフトにおける複数の補助電源を含めた設備容量の最適パータンと導入コストの検討を行った。設備容量の増加でコストが下がる場合や最小値が現れる場合あり，導入する時にはコスト評価シミュレーションを行っておく必要性がある。

G202-A2 電力システム（系統運用・解析）マイクログリッド（Ⅱ）3月12日午前 G棟 G202教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-272	波照間島における再エネ最大導入を目指したMGセット実証研究の概要
6-272	◎當山優太・宮城幸人・國場裕介・中村覚・伊集守道（沖縄電力）電気学会全国大会講演要旨 6-272 波照間島における再エネ最大導入を目指したMGセット実証研究の概要 ◎當山優太・宮城幸人・國場裕介・中村覚・伊集守道（沖縄電力） MGセットはモータ（Motor）と発電機（Generator）を組み合せた既存の技術であり，駆動源をモータとするため運用下限の制約を無くすことが可能であることに加えて，ディーゼル発電機と同等の周波数・電圧維持機能，慣性，同期化力等の機能を有するため，安定的な需給運用を維持しつつ，再エネ導入拡大に寄与することが期待される。当社では，沖縄県の「スマートエネルギーアイランド基盤構築事業」の委託を受け，再エネ導入拡大を目的として2018年2月に波照間島にMGセットを設置し実証研究を開始している。本稿では，MGセットの実証研究概要について紹介し，MGセットの基本運転確認試験および並列運転時の系統運用状況を報告している。
6-273	PHIL試験によるマイクログリッドEMSの機能検証
6-273	◎喜久里浩之・鈴木正一・菅原秀一・橋本潤・大谷謙仁（産業技術総合研究所）・白川健司・矢吹璃菜・渡辺憲・清水達明（日本工営）電気学会全国大会講演要旨 6-273 PHIL試験によるマイクログリッドEMSの機能検証 ◎喜久里浩之・鈴木正一・菅原秀一・橋本潤・大谷謙仁（産業技術総合研究所）・白川健司・矢吹璃菜・渡辺憲・清水達明（日本工営）任意の電力系統および多様な条件下で，分散電源と電力系統の相互影響を正確に評価する方法として，Power-Hardware-In-the-Loop（PHIL）試験が注目されている。PHIL試験では，分散電源などの実機をデジタルリアルタイムシミュレータ（DRTS）で実行される電力系統シミュレーションモデルの一部として扱うことで，実機と電力系統の相互影響を評価することができる。しかし，国内ではPHIL環境，とりわけ，大容量の設備環境における試験方法の検討が十分ではなく，国内企業の海外進出支援のためにも， PHIL試験方法の確立に向けた研究が必要である。その一環として，本稿では，マイクログリッド向けエネルギーマネジメントシステム（EMS）の機能検証のためのPHIL環境の構成および試験を行い，その試験能力について考察する。
6-274	離島系統におけるDRの指令間隔が可制御需要家機器の制御効果へ与える影響
6-274	◎森智之輔・横山明彦（東京大学）・三川玄洋・河内清次（中国電力）電気学会全国大会講演要旨 6-274 離島系統におけるDRの指令間隔が可制御需要家機器の制御効果へ与える影響 ◎森智之輔・横山明彦（東京大学）・三川玄洋・河内清次（中国電力） 2012年のFIT制度導入以降，再生可能エネルギー電源の導入が加速している。しかし，再生可能エネルギー電源は出力が不安定であるため，電力系統の周波数に影響を及ぼす可能性がある。特に離島系統においては，系統の慣性が小さい・大規模系統と比べ再生可能エネルギー電源の平滑化効果が期待できないという特徴があり，上記の問題はより深刻になる可能性がある。以上より，離島系統における周波数安定化対策が求められている。本研究では，再生可能エネルギー電源が大量導入された離島系統において，系統側蓄電池と可制御需要家機器を協調させた周波数制御を行い，系統側蓄電池の必要容量の削減の可能性を検証する。本稿では，可制御需要家機器への制御指令の間隔が可制御需要家機器の制御効果に及ぼす影響について検証する。
6-275	独立配電系統における発電出力急減に対する補償の地点と系統特性に関する基礎検討
6-275	◎太田直希・坂本織江（上智大学）電気学会全国大会講演要旨 6-275 独立配電系統における発電出力急減に対する補償の地点と系統特性に関する基礎検討 ◎太田直希・坂本織江（上智大学）地球温暖化対策のクリーンなエネルギーとして，近年風力発電や太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入が世界的に進められている。日射量の関数となる太陽光発電の出力は天気予報の精度向上によりある程度予測は可能であるが，風力の関数となる風力発電の出力は今なお明確な予測手段が解明されていない。本研究では，電力系統安定度総合解析システム（CPAT）にて作成したマイクログリッドの配電系統モデルを用いて，瞬間的に風力発電の出力を大きく低下させた。その際いくつかの手法で系統の減少分の補償を試みるシミュレーションを行ったので，その結果をまとめ基礎検討を行った。
6-276	マイクログリッドのマルチスケール供給運用におけるPID制御器のゲイン調整に関する一検討
6-276	◎和田知佳・高山聡志・薄良彦・石亀篤司（大阪府立大学）・出口和広・小西康太・田中健一（ヤンマー）電気学会全国大会講演要旨 6-276 マイクログリッドのマルチスケール供給運用におけるPID制御器のゲイン調整に関する一検討 ◎和田知佳・高山聡志・薄良彦・石亀篤司（大阪府立大学）・出口和広・小西康太・田中健一（ヤンマー）近年，複数の分散型電源や分散型蓄電池の連系量増加に伴い，それらと需要家を統合制御するマイクログリッドが提案され，MGが分散型電源および分散型蓄電池の導入促進や，電力系統の信頼度向上に貢献することが期待されている。筆者らは，MGが自身の経済性を高めつつ，分散型電源出力の調整を行うことで，小売事業者のインバランス量の削減へ寄与し，間接的に系統電力の需給バランス維持への貢献することを目的とした「マルチスケール供給運用」を提案している。本報告では，マルチスケール供給運用における短時間スケール制御の調整パラメータであるPIDゲインが，MGの連系点潮流の定常偏差やインバランス量に与える影響を定量的に検討する。
6-277	EVを導入した小規模系統における自立運転実現のための基礎的検討
6-277	◎小林優介・濵仲真和・雪田和人・松村年郎・後藤泰之（愛知工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-277 EVを導入した小規模系統における自立運転実現のための基礎的検討 ◎小林優介・濵仲真和・雪田和人・松村年郎・後藤泰之（愛知工業大学）現在著者らは，分散型電源とEVを導入した小規模系統において，EVを蓄電装置として使用した場合に，電力系統からの受電を行わない自立運転を実現するための検討を行っている。その第一歩として，本論文では系統からの受電を最小限に抑える制御方式についての検討を行った。
6-278	固有値解析によるDCマイクログリッドの集中制御型安定化手法
6-278	◎池田尚也・Hossam Aboelsoud・辻隆男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-278 固有値解析によるDCマイクログリッドの集中制御型安定化手法 ◎池田尚也・Hossam Aboelsoud・辻隆男（横浜国立大学）エネルギー・環境問題の対策として，近年では太陽光発電等の分散型電源の導入が進展している。分散型電源の出力の不安定を補うための電力貯蔵装置や，データセンターなどの直流電源が多く含まれる地域では，変換ロスの削減をし効率化を図るため直流配電のマイクログリッドを形成することが期待されている。しかし，文献[1]のように直流配電のエネルギー・環境問題の対策として，近年では分散型電源の導入が進展している。分散型電源の出力の不安定を補うための電力貯蔵装置や，データセンターなどの直流電源が多く含まれる地域では，変換ロスの削減をし直流配電のマイクログリッドを形成することが期待されている。DCマイクログリッドでは，運用コストや発電効率などから，電源に最適な経済的ディスパッチを与えることにより，コストを最小限に抑え更なるマイクログリッドの効率化につながる。本稿では，電源のデューティー比のゲインを操作しシステムを効率よく最適に運用させるための安定化制御手法として，固有値解析に基づき一定の時間間隔で制御ゲインを最適化する手法を提案した。

G203-A4 電力システム（系統運用・解析）マイクログリッド（Ⅲ）3月12日午後 G棟 G203教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-279	離島へ再生可能エネルギーを大量導入時の PVと蓄電池の容量の検討
6-279	◎佐藤翔一・野呂康宏（工学院大学）電気学会全国大会講演要旨 6-279 離島へ再生可能エネルギーを大量導入時の PVと蓄電池の容量の検討 ◎佐藤翔一・野呂康宏（工学院大学）離島へ再生可能エネルギーを大量に導入する際，安定な需給運転を行うためには工夫が必要である。なぜなら，PVや風力発電は気象条件による出力変動が大きく，大容量の蓄電池が必要となるためである。PVの設備容量を増やすと，必要な蓄電池の容量が低下する。八丈島を例に検討した結果，年間の電力需要とPVによる発電量が同程度となる場合のPVの設備容量を2.3倍まで拡張することで，蓄電池容量の減少割合が最適となり，最も経済的であると結論付けた。本報告ではこの手法について紹介したい。
6-280	離島系統における蓄電池導入時の系統運用方法の検討
6-280	◎川島伸明・太田智也・藤田吾郎（芝浦工業大学）・臼井達朗・白川健司（日本公営）電気学会全国大会講演要旨 6-280 離島系統における蓄電池導入時の系統運用方法の検討 ◎川島伸明・太田智也・藤田吾郎（芝浦工業大学）・臼井達朗・白川健司（日本公営）離島における電力系統では，ディーゼル発電機(DG：Diesel Generator)等の化石燃料を用いた発電方法が主である。しかし近年は環境保護の観点から再生可能エネルギー電源の導入が進んでいる。再生可能エネルギー電源の多くは出力が自然環境に依存しており不安定であるため，出力平準化を行うことを目的として蓄電設備を導入する事例がある。一方で導入に当たり，適切な蓄電池容量及びコストの算定，また蓄電池の運用方法の構築をする必要がある。本研究では，離島の電力系統に蓄電池を導入することで，DGを高効率で運用し，系統の原油依存度を低下させることを目的とする。それにあたり，DGの効率運転時の蓄電池充放電アルゴリズムの構築，及び蓄電池導入時の経済評価を行う。
6-281	事業継続計画を考慮したマイクログリッドEMSに関する一検討
6-281	◎谷岡佳紀・間屋口信博・佐々木豊・餘利野直人・造賀芳文（広島大学）電気学会全国大会講演要旨 6-281 事業継続計画を考慮したマイクログリッドEMSに関する一検討 ◎谷岡佳紀・間屋口信博・佐々木豊・餘利野直人・造賀芳文（広島大学）低炭素社会実現に向け，太陽光発電(PV)等の再生可能エネルギー電源(RES)の導入が促進されており，蓄電池(BT)を用いてRESの出力変動を低減しつつ，余剰電力を有効活用できるエネルギー管理システム(EMS)が注目を集めている。さらに近年では自然災害が頻発化しているため，事業継続計画(BCP)にも注目されている。本論文では，まずマイクログリッドを対象として需要家のモデル化を行う。個々の需要家はDCバスを介してPVとBTを備える。これらの需要家に対してBCPを考慮できる新しいEMSを提案する。開発したEMSでは個々の需要家のBT残存容量等をリアルタイムに監視しながら最適なエネルギーマネジメントを実現する。
6-282	Influence of Battery and Distributed Generator Capacity on Performance of Photovoltaic Power Generation-based Stand-alone Microgrid
6-282	◎Guowei Chen・Masaki Imanaka・Muneaki Kurimoto・Shigeyuki Sugimoto・Takeyoshi Kato（Nagoya University）電気学会全国大会講演要旨 6-282 Influence of Battery and Distributed Generator Capacity on Performance of Photovoltaic Power Generation-based Stand-alone Microgrid ◎Guowei Chen・Masaki Imanaka・Muneaki Kurimoto・Shigeyuki Sugimoto・Takeyoshi Kato（Nagoya University） Focusing on a stand-alone microgrid consisting of PV, a battery energy storage system (BESS) and distributed generator (DG) as an example of future power system with extreme penetration of PV, this study evaluates the performance of microgrid by changing the capacity of BESS and DG. Then, this study discusses the accuracy of PV power output forecasting on the performance evaluation.
6-283	オフグリッド配電系統における蓄電池の最適容量設計の基礎検討
6-283	◎鈴木隆之介・原亮一・北裕幸（北海道大学）電気学会全国大会講演要旨 6-283 オフグリッド配電系統における蓄電池の最適容量設計の基礎検討 ◎鈴木隆之介・原亮一・北裕幸（北海道大学）系統内の電源設備や送電系統は老朽化を迎え，今後補修や建て替えが必要になる。その際，人口（需要）が少ない過疎化地域等に対して従来の電力供給体制を維持していくのではなく，離島等で導入されているオフグリッドを構成することも一つの選択肢として考えられる。オフグリッド化された配電系統において再生可能エネルギー（RE）電源を主たる電源として活用する場合，発電出力が大きく変動する上，制御性が低いため，需給のミスマッチを吸収するバッファとして蓄電池などを用意する必要がある。そこで本研究では，RE電源を主電源とするオフグリッドを対象として蓄電池容量を設計する手法を提案し，仮想的な配電系統に対して蓄電池容量を試算する。
6-284	オフグリット用蓄電池のメンテナンスに関する研究
6-284	◎小林優輝・三橋龍一・三澤顕示・佐々木正巳・福本義隆（北海道科学大学）電気学会全国大会講演要旨 6-284 オフグリット用蓄電池のメンテナンスに関する研究 ◎小林優輝・三橋龍一・三澤顕示・佐々木正巳・福本義隆（北海道科学大学）送電設備のない山小屋など電気を使用するため,山岳部でのオフグリットを考察し,従来の蓄電池ではなく,Ni-MH単三電池を組電池とする方法を検討している.組電池とした際の個々の電池の劣化診断を行うと,電池の内部抵抗を個々に測定しなくてはならないので,膨大な時間が掛かる. そこで本研究ではサーモグラフィカメラで内部抵抗増加に伴う温度上昇を観測し,電池交換の目安にし,メンテナンス性の向上を図った. 基礎的実験では内部抵抗が19.1(mΩ)と40.1(mΩ)を6時間充電し,サーモグラフィで30分ごとに撮影した結果平均温度の差が2.69℃になり,常に内部抵抗が高い方の温度が高くなった. 次に,組電池を作成し,安定化電源に接続して充電を行ったこの際,50本の内部抵抗の平均値は20.03(mΩ) であった. そこに内部抵抗39.6(mΩ)の電池を繋げ3時間充電したところ明らかな温度差が生じた. このことから組電池の中から劣化したものを診断可能である.
6-285	セミオフグリッド系統におけるエネルギー貯蔵システムと連系線の容量が供給信頼度に与える影響
6-285	◎関野敬太・田村潤・馬場旬平・河合一郎（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-285 セミオフグリッド系統におけるエネルギー貯蔵システムと連系線の容量が供給信頼度に与える影響 ◎関野敬太・田村潤・馬場旬平・河合一郎（東京大学）今後，過疎化が進行した地域では電力需要も減少する可能性がある。老朽化した送電線などの設備更新の際に設備の規模をダウングレードし，小さな容量のものでも供給を行うことが可能な場合が考えられる。本検討では既設電源として水力発電，再生可能エネルギー電源として太陽光発電，風力発電を導入した小規模系統に注目した。蓄電池の充放電や，大規模系統と接続されている連系線の潮流を変化させることによって需給調整を行った。30分毎の値を用いて1年分の需給シミュレーションを行い，連系線の容量を変化させて大規模系統への依存の程度を変化させた場合に供給信頼度がどのように変化するかを検討した。

G206-A4 電力システム（系統機器・制御）蓄電池（Ⅰ）3月12日午後 G棟 G206教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-286	系統用蓄電池による変動緩和の性能向上を目的とした State-of-Charge Feedback制御の基礎検討
6-286	◎赤木覚・芳澤信哉・伊藤雅一・藤本悠・宮崎輝・林泰弘（早稲田大学）・矢野孝・久田俊哉・田和克久（住友電気工業）電気学会全国大会講演要旨 6-286 系統用蓄電池による変動緩和の性能向上を目的とした State-of-Charge Feedback制御の基礎検討 ◎赤木覚・芳澤信哉・伊藤雅一・藤本悠・宮崎輝・林泰弘（早稲田大学）・矢野孝・久田俊哉・田和克久（住友電気工業）太陽光発電(以下，PV)の大量導入に伴い，一部の電力会社では蓄電池を用いたPVの出力変動が技術要件化されている。運用にあたっては，蓄電池のState-of-Charge (SoC) が0%となると放電できずに，瞬時的に大きな変動が生じる恐れがある。対策として，低SoC時の蓄電池出力制限により，SoCが0%になるまでの時間を遅らせ，瞬時的に生じる大きな変動を回避するSoC Feedback (以下，SoC-FB) 制御が考えられるが，出力制限が適切でないと必要以上に蓄電池出力が制限され，変動緩和を悪化させる恐れがある。そこで，本稿では変動緩和の性能向上を目的としたSoC-FB制御の初期検討として，2種類のSoC-FB制御手法を提案し，変動緩和の評価値に基づき提案手法の有効性を評価する。
6-287	太陽光発電が大量導入された電力系統における蓄電池システムの計画外充放電手法の検討
6-287	◎柴田晃輝・益田泰輔・小林大貴（名城大学）・大竹秀明（産業技術総合研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-287 太陽光発電が大量導入された電力系統における蓄電池システムの計画外充放電手法の検討 ◎柴田晃輝・益田泰輔・小林大貴（名城大学）・大竹秀明（産業技術総合研究所）出力が不安定な太陽光発電が大量導入された電力系統において，予測誤差によって電力余剰や停電が生じる可能性が高くなってしまう。先行研究では，蓄電池を余剰のときのみ使用しており，停電対策として使用していなかった。そこで本論文では，余剰・停電の両方を蓄電池システムで対処する手法を提案・検討する。余剰や停電が起きた場合に蓄電池システムから充放電することで停電や余剰を回避する。その際，蓄電池の蓄電電力量が変化してしまうため，蓄電池の蓄電電力量を管理する手法についても検討する。PV導入量が40 GWと60 GWについてのシミュレーション・評価を行った。
6-288	南早来変電所大型蓄電システム実証事業（2）－発電出力予測手法の高度化－
6-288	◎前田剛宏・松田真・久野勇太・山口浩司・小玉亮（日本気象協会）・井上彬・多田邦彦・松本孝俊・笹野栄一（北海道電力）電気学会全国大会講演要旨 6-288 南早来変電所大型蓄電システム実証事業（2）－発電出力予測手法の高度化－ ◎前田剛宏・松田真・久野勇太・山口浩司・小玉亮（日本気象協会）・井上彬・多田邦彦・松本孝俊・笹野栄一（北海道電力）蓄電池の長周期変動抑制制御に利用するため，発電出力予測システムを開発し，北海道内の特別高圧連系している風力・太陽光発電所を対象に発電出力予測を行ってきた。本稿では，発電出力予測の精度向上を目的に予測手法の高度化を検討し，その効果を確認したので結果を報告する。
6-289	負荷周波数制御における既存電源と蓄電池の協調を目的としたモデル予測制御の適用
6-289	◎夏目康弘・織原大・飯岡大輔（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-289 負荷周波数制御における既存電源と蓄電池の協調を目的としたモデル予測制御の適用 ◎夏目康弘・織原大・飯岡大輔（東北大学）再生可能エネルギー電源の激しい出力変動により，瞬時の需給バランス維持は難しくなると考えられる。本稿では，既存電源の能力を最大限活用し，それだけでは周波数維持が困難な場合に蓄電池を動作させるような負荷周波数制御を，モデル予測制御の適用により実現する手法を提案する。提案法では，任意に設定する周波数の目標軌道と通過点を満すため，既存の発電機の能力を最大限生かした上で蓄電池の利用量が最小となるような制御指令を生成することが可能である。また，シミュレーションにより，周波数の目標軌道の緩急によって，実際に周波数変動と蓄電池の充放電量が変化することを示している。
6-290	負荷周波数制御における蓄電池と火力発電機の周期分担方法に関する一考察
6-290	◎山本将士・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-290 負荷周波数制御における蓄電池と火力発電機の周期分担方法に関する一考察 ◎山本将士・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学）近年，太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー電源の電力系統への導入が進められている。しかし太陽光発電や風力発電は天候によって急激な出力変動や予測誤差が生じやすく，負荷周波数制御(LFC)が困難となりうる。そこで蓄電池システム(BESS)をLFCに用いる多くの研究がなされてきた。BESSは火力機よりも格段に応動が速いが，容量の制約により長時間の連続運転には限界がある。このようなBESSの特性を考慮したLFC手法の1つに周期分担方式が考えられている。本論文ではLFCにおける周期分担方式について火力機の燃種毎の応動特性も考慮し，BESSと火力機に適切な変動周期成分を分担する方法を検討する。
6-291	⼤規模ウィンドファームを有する電⼒系統の蓄電池による周波数変動安定化
6-291	◎長牛康太朗・梅村敦史・⾼橋理⾳・⽥村淳⼆（北⾒⼯業⼤学⼤学）・松村喜治・⽥⼝司・⼭⽥明（北海道電⼒）電気学会全国大会講演要旨 6-291 ⼤規模ウィンドファームを有する電⼒系統の蓄電池による周波数変動安定化 ◎長牛康太朗・梅村敦史・⾼橋理⾳・⽥村淳⼆（北⾒⼯業⼤学⼤学）・松村喜治・⽥⼝司・⼭⽥明（北海道電⼒）近年，様々な環境問題の観点から，環境負荷が少ない再生可能エネルギーが注目されている．風力発電は，他の再生可能エネルギーを利用した発電方式と比較しても発電コストが低く，電気エネルギーへの変換効率が高い．さらに太陽光発電と違い，夜間にも発電できるというメリットがあり広く導入が進んでいる．しかし，風況や天候などの気象条件に影響されるため出力が不安定となり，電力系統の周波数変動や電圧変動などを招く恐れがある．そこで本論文では，風力発電の大量導入によって生じる電力系統の周波数変動を電力貯蔵装置である蓄電池によって抑制する一制御法を提案し,有効性を確認するとともに他の手法との比較検討を行う．
6-292	電源脱落時における周波数低下の緩和のための蓄電池の緊急制御手法に関する基礎検討
6-292	◎中馬嘉仁・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-292 電源脱落時における周波数低下の緩和のための蓄電池の緊急制御手法に関する基礎検討 ◎中馬嘉仁・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学）近年，火力発電への依存による資源枯渇等の諸問題への懸念から，電力系統への再生エネルギー(再エネ)の導入が進んでいる。再エネの導入に伴い電源全体に占める同期発電機の割合が低下し，電源脱落等に起因する周波数低下の幅や変化率（RoCoF：Rate of Change of Frequency）が大きくなることが明らかになっている。また，上記の周波数低下幅・率の悪化は，再エネ用インバータの停止を招き，更なる周波数低下を招く恐れがある。そこで本研究では，蓄電池の高速な応答性に着目し，電源脱落に起因する急激な周波数低下の緩和を目的とした蓄電池の緊急制御手法について検討する。提案手法の評価にあたり，本論文では周波数最低値とRoCoFの二つの評価指標に重点を置くこととする。

G206-B1 電力システム（系統機器・制御）蓄電池（Ⅱ）3月13日午前 G棟 G206教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-293	配電系統と上位系統間の潮流変動低減に要する蓄電池および変換器の容量算定
6-293	◎野瀬淳平・織原大・飯岡大輔（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-293 配電系統と上位系統間の潮流変動低減に要する蓄電池および変換器の容量算定 ◎野瀬淳平・織原大・飯岡大輔（東北大学）近年，太陽光発電(PV)の導入量増加に伴い，電力系統では様々な問題が発生してきている。その中の一つが昼間の発電過多による需給調整の困難化である。筆者らはこの対策として，PVが導入された配電系統に蓄電池を設置し適切に充放電を行うことで，上位系統からみた配電系統のみかけの負荷の変動を低減し，需給調整の負担軽減を図っている。本稿では，配電系統のみかけの負荷の変動幅に制限を設けた際に，必要となる蓄電池および連系用変換器の容量を算定した。結果的に，みかけの負荷変動をゼロに近づけると，蓄電池の容量が莫大となってしまうこと，また，負荷変動の許容幅の変化に対して，所要蓄電池容量は大きく影響を受けることを明らかにした。
6-294	太陽光発電の自家消費率向上を目的とした配電用蓄電池の導入メリットの総合評価ー「電気の銀行」としての評価ー
6-294	◎坂根摩周・加藤政一（東京電機大学）電気学会全国大会講演要旨 6-294 太陽光発電の自家消費率向上を目的とした配電用蓄電池の導入メリットの総合評価ー「電気の銀行」としての評価ー ◎坂根摩周・加藤政一（東京電機大学）近年，再生可能エネルギーの導入に期待が高まっており，日本では地理的条件からPVの大量導入が進められている。しかし，PVの大量導入により様々の問題が発生することが危惧され，これらの問題を解決するために配電系統内に蓄電池を設置することを考える。しかし，蓄電池のコストは高価という課題があり，それを解決する必要がある。そこで蓄電池を系統側における問題に電圧維持機器として，需要家側における問題としては電力貯蔵機器として二つの問題を解決させることで蓄電池の高価なイニシャルコストを分担する。本研究では，系統側，需要家側，配電用蓄電池管理会社の三つの視点から蓄電池の最適な運用計画を構築し，有用性を評価する。
6-295	高度配電自動化システム(ADMS)の研究開発動向
6-295	◎今中政輝（名古屋大学）・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）・飯岡大輔（東北大学）・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・浅野浩志（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-295 高度配電自動化システム(ADMS)の研究開発動向 ◎今中政輝（名古屋大学）・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）・飯岡大輔（東北大学）・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・浅野浩志（電力中央研究所）分散型エネルギー資源の大量導入に伴い，それらの配電系統のより高度な管理や運用が必要となっている。本稿では，それらを担う高度配電自動化システム(ADMS)の研究開発動向を概観する。ADMSには多岐にわたる機能を有するが，本稿ではそれらの機能を「監視・可視化」，「運用・管理」，「最適化」，「運用計画・設備計画」の4つの分けて説明する。加えて，米国OEのADMSプログラムと，欧州のADMS4EUプロジェクトでの研究開発動向について論じる。
6-296	配電系統へのPV大量導入に貢献する蓄電設備に関する検討－その1 潮流計算による電気的特性分析－
6-296	○飯岡大輔・野瀬淳平・織原大（東北大学）・今中政輝・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）・石原正浩・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・浅野浩志（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-296 配電系統へのPV大量導入に貢献する蓄電設備に関する検討－その1 潮流計算による電気的特性分析－ ○飯岡大輔・野瀬淳平・織原大（東北大学）・今中政輝・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）・石原正浩・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・浅野浩志（電力中央研究所）筆者らは，PVが大量導入された配電系統のあるべき姿を明らかにすることを目的として，PV導入量を増加させるために必要な配電系統構成について検討している。これまでに，配電線の太線化，無効電力調整器の活用，6.6kVから22kVへの昇圧など，PV導入可能量を増加させるために必要な対策を十数ケース提案し，電気的特性分析と経済性評価を実施した。本稿では配電系統のあるべき姿をより多面的に検討するために，蓄電設備の活用について検討した結果を述べる。蓄電設備の導入はPV導入可能量の増加に貢献すると考えられるが，その効果の程度は蓄電設備の設置位置や配電系統構成に依存すると考えられるので，潮流計算を用いて定量的に検討した。
6-297	配電系統へのPV大量導入に貢献する蓄電設備に関する検討ーその2 蓄電設備とPV出力制御組合せの検討ー
6-297	◎大渕崇弘・馬場旬平（東京大学）・飯岡大輔（東北大学）・太田豊（東京都市大学）・石原正浩・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・高木雅昭・浅野浩志（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-297 配電系統へのPV大量導入に貢献する蓄電設備に関する検討ーその2 蓄電設備とPV出力制御組合せの検討ー ◎大渕崇弘・馬場旬平（東京大学）・飯岡大輔（東北大学）・太田豊（東京都市大学）・石原正浩・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・高木雅昭・浅野浩志（電力中央研究所）本稿は，出力制御を前提とした太陽光発電（PV）に蓄電池を併設した場合の，年間発電機会損失率の導出手法を検討したものである。PV大量導入時代では出力制御や蓄電池設置を考慮していかに経済的なPVシステムを構成するかが課題であり，事前に発電機会損失量を推定することは非常に重要である。そこで本稿では，出力制御率と蓄電池容量をパラメータとし，PV出力を天候毎に振幅の異なる正弦波で近似することで簡易的に年間発電機会損失率を導出する手法を提案した。この手法によって得られた結果と複数地点における実データを用いた計算結果を比較したところ，無出力制御導入可能量に対し二倍程度までは誤差が小さいことを確認した。
6-298	配電系統へのPV大量導入に貢献する蓄電設備に関する検討－その3 蓄電設備の経済性評価－
6-298	○高木雅昭・坂東茂・田頭直人・永田豊・浅野浩志（電力中央研究所）・石原正浩・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・飯岡大輔（東北大学）・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）電気学会全国大会講演要旨 6-298 配電系統へのPV大量導入に貢献する蓄電設備に関する検討－その3 蓄電設備の経済性評価－ ○高木雅昭・坂東茂・田頭直人・永田豊・浅野浩志（電力中央研究所）・石原正浩・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・飯岡大輔（東北大学）・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）本研究の目的は，20～30年後の配電系統のあるべき姿を明らかにすることであり，PVが大量導入された際の逆潮流による電圧上昇問題に対して，最も経済な対策の検討を行っている。経済性評価においては，資材費と工費の他，修繕費と配電損失費を積算する。本稿では，有効電力制御として，蓄電池と出力制御を想定し，蓄電池の価格が，この価格以下であれば，出力制御よりも蓄電池を用いた方が，対策費用が安くなるという閾値を算出する。
6-299	配電系統へのPV大量導入に貢献する蓄電設備に関する検討－その4 ブレークイーブンコストの分析－
6-299	高木雅昭・○坂東茂・田頭直人・永田豊・浅野浩志（電力中央研究所）・石原正浩・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・飯岡大輔（東北大学）・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）電気学会全国大会講演要旨 6-299 配電系統へのPV大量導入に貢献する蓄電設備に関する検討－その4 ブレークイーブンコストの分析－高木雅昭・○坂東茂・田頭直人・永田豊・浅野浩志（電力中央研究所）・石原正浩・徳田憲昭（エネルギー総合工学研究所）・飯岡大輔（東北大学）・馬場旬平（東京大学）・太田豊（東京都市大学）本研究の目的は，20～30年後の配電系統のあるべき姿を明らかにすることであり，PVが大量導入された際の逆潮流による電圧上昇問題に対して，最も経済な対策の検討を行っている。経済性評価においては，資材費と工費の他，修繕費と配電損失費を積算する。本稿では，有効電力制御として，蓄電池と出力制御を想定し，蓄電池の価格が，この価格以下であれば，出力制御よりも蓄電池を用いた方が，対策費用が安くなるという閾値を算出する。PV導入量に応じて，本閾値がどのように変化するかを分析し，蓄電池の経済的成立条件を明らかにする。

G206-B2 電力システム（系統機器・制御）蓄電池（Ⅲ）3月13日午前 G棟 G206教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-300	蓄電池容量の多様性を考慮した需要家蓄電池の分散型充電制御手法の評価
6-300	◎大久保里矩・芳澤信哉・林泰弘（早稲田大学）・河野俊介・板屋伸彦・高野富裕（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-300 蓄電池容量の多様性を考慮した需要家蓄電池の分散型充電制御手法の評価 ◎大久保里矩・芳澤信哉・林泰弘（早稲田大学）・河野俊介・板屋伸彦・高野富裕（三菱電機）低圧系統に導入された太陽光発電が増加した際の同時に発生する逆潮流に起因した柱上変圧器の容量超過が懸念されるため，従来は柱上変圧器の増強等が必要である。一方，FIT制度終了等によって需要家の自家消費の高まりから導入が期待される蓄電設備等の活用により，系統設備の過剰な増強の低減が可能であると考える。しかしながら，充電量の確保が需要家に対して必要不可欠であるため，容量超過回避と充電量の減少回避が可能な手法が必要である。したがって需要家の蓄電池を活用した分散型充電管理手法を提案する。特に本研究では容量が異なる蓄電池が設置された低圧系統において，蓄電池充電量から提案手法における需要家間の不平等性を評価する。
6-301	太陽光発電の有効消費を目的とした住宅タウンでの階層型蓄電池制御
6-301	◎谷哲郎・芳澤信哉・宮崎輝・林泰弘（早稲田大学）・塩将一・梅岡尚（積水化学工業）電気学会全国大会講演要旨 6-301 太陽光発電の有効消費を目的とした住宅タウンでの階層型蓄電池制御 ◎谷哲郎・芳澤信哉・宮崎輝・林泰弘（早稲田大学）・塩将一・梅岡尚（積水化学工業）近年，年間電力需要を上回る規模の太陽光発電システムが設置されたZEH（Net Zero Energy House）の達成に向けて，住宅用太陽光発電の設置台数が増加傾向にある。さらに，FIT制度の買取価格低下や適用期間終了を考慮すると，住宅は蓄電池等を併設させ，太陽光電力の自家消費率を上げるように機器を運転させることが有益になる。本研究では，太陽光電力の自家消費率向上と設備容量超過の回避という需要家と系統運用者の双方の目的を達成するため，タウン管理者と仲介者による階層型蓄電池制御手法を提案する。タウン管理者と仲介者は，配電系統内の潮流を監視して住宅間での電力融通を促し，太陽光発電の有効消費を目的として各設備容量制約下での最適な充放電計画を決定する。
6-302	住宅負荷を擁した再生可能エネルギーを主体としたオフグリッドにおける発電・蓄電設備容量および運用方法の決定手法
6-302	◎釜壮一郎・宮崎輝・林泰弘（早稲田大学）・吉永淳・冠城さやか（東京電力パワーグリッド）電気学会全国大会講演要旨 6-302 住宅負荷を擁した再生可能エネルギーを主体としたオフグリッドにおける発電・蓄電設備容量および運用方法の決定手法 ◎釜壮一郎・宮崎輝・林泰弘（早稲田大学）・吉永淳・冠城さやか（東京電力パワーグリッド）近年，商用系統から独立して太陽光などの再生可能エネルギー，内燃式発電機などの分散型電源と蓄エネ装置を用いて電力供給を行うオフグリッドの検討が進められている。この実現により，離島などの遠方負荷への電力供給の際の，送電設備投資の抑制，自然災害などによる停電リスクの解消が期待される。オフグリッドを導入する際には，安定供給が可能な過不足ない発電・蓄電設備容量を選定することが重要となる。本稿では，住宅負荷に対して再生可能エネルギーを主体としたオフグリッド化を行った際のコストを最小化する導入発電・蓄電設備容量と最適な運用を実現するためのパラメータを決定する手法を提案する。
6-303	東北地方における低圧需要家負荷分析に基づく家庭用蓄電池導入効果
6-303	◎熊野純一・上松茂・相原祐太（三菱電機）・山口哲一・鈴木英祐・有松健司（東北電力）電気学会全国大会講演要旨 6-303 東北地方における低圧需要家負荷分析に基づく家庭用蓄電池導入効果 ◎熊野純一・上松茂・相原祐太（三菱電機）・山口哲一・鈴木英祐・有松健司（東北電力）近年，低圧需要家向けの太陽光発電が大量に導入されており，昼間帯の余剰電力発生や電圧上昇など，電力系統への影響が懸念されている。そこで本研究では，住宅用PVや家庭用蓄電池のVPPへの適用について検討している。先行論文(1)では，東北地方の低圧需要家向けPV出力について，季節や地域別に日電力量を分析し，東北地方では特に冬季に日電力量が低下することを確認した。本稿では，東北地方における低圧需要家の負荷分析と，PVおよび負荷の分析結果を活用し，FIT適用終了後に家庭用蓄電池が導入された場合の効果検討について記す。
6-304	Optimization of Battery Energy Storage Systems for Commercial Customers with PV Systems - Impacts of Aging Effects in Battery
6-304	◎Pongdanai Chayarun・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-304 Optimization of Battery Energy Storage Systems for Commercial Customers with PV Systems - Impacts of Aging Effects in Battery ◎Pongdanai Chayarun・河辺賢一・七原俊也（東京工業大学） Battery energy storage systems (BESS) are a promising solution to increase benefit from photovoltaic (PV) system in the decreasing feed-in tariff (FIT) and expired FIT contract conditions. This paper proposes an approach to evaluate the optimal operating schedule of BESS as well as its optimal size with linear programming considering the aging effects and multi functional operation (time shifting, peak shaving). The proposed approach is applied to a commercial customer with a PV. The results showed that the aging effects of BESS can affect the optimization.
6-305	需要家の蓄電池活用による提供可能なPPSのインバランス量の算定手法
6-305	◎張宇萌・Nguyen-Hong Nhung・中西要祐（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-305 需要家の蓄電池活用による提供可能なPPSのインバランス量の算定手法 ◎張宇萌・Nguyen-Hong Nhung・中西要祐（早稲田大学）本論文は分散された需要家側の蓄電池を一つの仮想発電所（VPP: Virtual Power Plant）内の一つの充放電設備と想定し，最適充放電による電気料金削減とインバランス削減機能などもつことができる，翌日TOU（Time of Use）を考慮した需要家側の最適蓄放電計画を考慮した上での調達可能なインバランス量の算定方法を提案する。シミュレーション結果により翌日の実際に発生しようとする時点でのインバランスを抑制する可能性を示す。
6-306	系統運用への貢献を考慮した家庭用蓄電池の最適運用に関する検討－日負荷の特性と必要報奨金単価の関係性－
6-306	◎小田代朋也・中村勇太・原亮一・北裕幸（北海道大学）電気学会全国大会講演要旨 6-306 系統運用への貢献を考慮した家庭用蓄電池の最適運用に関する検討－日負荷の特性と必要報奨金単価の関係性－ ◎小田代朋也・中村勇太・原亮一・北裕幸（北海道大学）固定価格買取制度(FIT)適用期間終了後には太陽光発電(PV)の買取価格は非常に安くなり,家庭用蓄電池(以下，蓄電池)を導入し，自家消費に供するというような利用形態が現実味を帯びる。また近年では，蓄電池に代表される需要家の可制御機器(リソース)群を統括的に制御して仮想発電所として系統運用に活用することも検討されている。この場合，系統運用の活用に見合った対価(以下，報奨金)がリソース提供者である需要家に対して支払われることが想定される。そこで本研究では，需要家側リソースとして蓄電池に焦点を当て，これを系統運用への貢献に利用した際に生じる追加的なコストから報奨金を見積もることを試み，電力需要のプロファイルと必要報奨金単価の関係性を考察する。

G204-B1 電力システム（系統機器・制御）太陽光（Ⅰ）3月13日午前 G棟 G204教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-307	鳥類飛翔軌跡の長期観測システムを用いた太陽光発電所でのカラス対策装置の効果検証（その2）
6-307	○太田文彦・菅野純弥（東京電力ホールディングス）・伊藤憲彦・中島慶人・竹内亨・白井正樹（電力中央研究所）・高木広治・新井直樹（東京電設サービス）電気学会全国大会講演要旨 6-307 鳥類飛翔軌跡の長期観測システムを用いた太陽光発電所でのカラス対策装置の効果検証（その2） ○太田文彦・菅野純弥（東京電力ホールディングス）・伊藤憲彦・中島慶人・竹内亨・白井正樹（電力中央研究所）・高木広治・新井直樹（東京電設サービス）大規模太陽光発電所の太陽電池モジュールの破損事故が散見されており，我々は破損原因の一つにカラスによる上空からの落石に着目し，長期にわたり観測可能なカラス観測装置を開発した。過去に，この観測装置を用いて約2ヶ月間，市販品のカラス対策装置の効果検証を実施した。今回，検証期間を9ヶ月と延伸し，カラス対策装置を設置した区画と設置しない区画において，各区画のカラス観測装置にて撮影した画像からカウントしたカラスの侵入数と巡視による太陽電池モジュールの破損数の結果を比較し，カラス対策装置の効果検証結果を報告する。
6-308	拡張Beer則を用いた積雪時の太陽光発電出力の推定
6-308	◎小田嶋淳・篠田幸男・竹田恒（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-308 拡張Beer則を用いた積雪時の太陽光発電出力の推定 ◎小田嶋淳・篠田幸男・竹田恒（東京電力ホールディングス）太陽光発電（PV）の大量普及に伴い，PV発電量をより正確に予測・把握するニーズが高まっている。PV発電量の把握は通常，全天日射量，気温，風速などをもとに行われる。しかし，PVパネル表面の積雪がある場合，PVパネルに到達する日射が遮られ，同一気象条件よりもPV発電量が大きく減少してしまうことがあり，PV発電量推定においける誤差要因となっている。そのため，積雪時のPV発電量推定精度向上は，電力系統の安定運用という観点で大きな課題となっている。本稿では，PVパネル表面への積雪によるPV発電量の減衰度合いを，Lambert Beer則を拡張した手法により算出することを提案するとともにその精度検証結果を報告する。
6-309	太陽光アレイ設置角度・方位の推定値を用いた出力把握手法
6-309	◎小川治義・山口順之（東京理科大学）・柄本弘樹（東京電力パワーグリッド）・西田悠介・馬渕裕之（東京電力ホールディングス）・吉永淳（東京電力パワーグリッド）電気学会全国大会講演要旨 6-309 太陽光アレイ設置角度・方位の推定値を用いた出力把握手法 ◎小川治義・山口順之（東京理科大学）・柄本弘樹（東京電力パワーグリッド）・西田悠介・馬渕裕之（東京電力ホールディングス）・吉永淳（東京電力パワーグリッド）近年，一般需要家における太陽光発電（Photovoltaic, PV）の導入が顕著である．スマートメータ（Smart meter, SM）では， PVを保有している需要家の実需要からPV発電量を取り除いた数値を計量しているため，PV発電量そのものの値は把握できない．本研究では全量買い取りPVのSMデータと全天日射量を用いて太陽光パネルの設置角度と方位を推定し，その値を用いた出力把握を行う．
6-310	地上日射観測による太陽光発電電力の予測
6-310	◎針谷達・竹内悠人・小林宏規・谷本壮・須田善行・滝川浩史（豊橋技術科学大学）・伊藤和彦・平塚元久（エイム）電気学会全国大会講演要旨 6-310 地上日射観測による太陽光発電電力の予測 ◎針谷達・竹内悠人・小林宏規・谷本壮・須田善行・滝川浩史（豊橋技術科学大学）・伊藤和彦・平塚元久（エイム）我々のグループでは，5分単位予測を基に5分前に電力取引を行う“オンタイム市場”を提案し，地上日射観測に基づいた太陽光発電量の短期予測システムを開発している。本研究では，雲影挙動を捉えるための地上日射観測装置を開発し，フィールド試験による太陽光発電電力の短期予測を実施した。本予測システムでは，小型太陽電池を用いた日射観測装置（雲影センサ）を4台作製した。これらを20 m四方間隔で配置し，雲影センサユニットとすることで，雲影の速度や大きさ，濃さを把握し，発電電力を予測する。1.9km離れた地点より予測を行なった結果，30分積算電力量において実測値に対する予測値誤差が，最大で23.0％，最小で0.1%となった。本予測システムが発電電力の短期予測システムとして有用であることがわかった。
6-311	LSTMを用いた日射量予測
6-311	高橋健介・◎李暁楊・熊野照久（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 6-311 LSTMを用いた日射量予測高橋健介・◎李暁楊・熊野照久（明治大学）近年，二酸化炭素をほとんど排出しない再生可能エネルギーへの注目が高まっている。その中でも比較的取り組みやすい太陽光発電システムが大量に導入されつつあり，今後もその普及はさらに進んでいくと考えられる。大量の太陽光発電システムが系統に連携されると，変動電源であるために，電力の安定供給を達成するため火力発電や水力発電等の発電システムによる調整が必要になる。この際，太陽光発電からの出力変動を予測するための日射量予測が重要である。本研究では，ニューラルネットワークのうちRNNおよびLSTMを用いて全天日射量を予測し，精度を比較したうえで適切な予測方法を提案する。
6-312	太陽光発電出力および住宅電力負荷のシミュレーション用広域データセットの開発
6-312	◎佐々木崇宏・植田譲（東京理科大学）・大竹秀明・大関崇（産業技術総合研究所）・山田芳則（気象庁気象研究所）・井村順一（東京工業大学）・竹中栄晶（宇宙航空研究開発機構）・中島孝（東海大学）電気学会全国大会講演要旨 6-312 太陽光発電出力および住宅電力負荷のシミュレーション用広域データセットの開発 ◎佐々木崇宏・植田譲（東京理科大学）・大竹秀明・大関崇（産業技術総合研究所）・山田芳則（気象庁気象研究所）・井村順一（東京工業大学）・竹中栄晶（宇宙航空研究開発機構）・中島孝（東海大学）太陽光発電(PV)が大量導入された電力システムをシミュレートするにあたり, 現実に近い特徴をもったPV出力・電力負荷の大規模なデータセットが必要となる。また, これらの量は気象条件を通じた相関をもつほか, 気温や日射の違い, 生活パターンの違いに由来する多様性など, 豊富な情報を含んでいる。本研究では, 電力需給シミュレーションのためのデータセットとして, メガソーラーの出力・住宅用PVの出力・住宅電力負荷からなり, それぞれに実測値相当値と予測値からなるデータセットを作成した。このデータセットは, 実測データとそのモデル化を組み合わせてることにより, 東日本全域を対象とし, かつ気象条件との相関と個別需要家由来の多様性の両方が組み込まれたものとなっている。
6-313	PVインバータにおけるVSGモデル制御とFRT機能との干渉の評価
6-313	◎小池広和・横山明彦（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-313 PVインバータにおけるVSGモデル制御とFRT機能との干渉の評価 ◎小池広和・横山明彦（東京大学）近年，太陽光発電（Photovoltaic Generation : PV）が大量に系統に接続されているが，慣性を持たないという特徴がある。その対策として，PVのインバータに電力貯蔵装置を付加し，同期発電機の慣性を模擬する仮想同期発電機（Virtual Synchronous Generator : VSG）の研究がなされている(1)(2)。しかしVSGモデル制御を実用化する際，系統連系規程たるFault Ride Through（FRT）機能と協調する必要があるが，VSGモデル制御がFRT機能と干渉するか否かは明らかにされていないので，本研究はその点を検討する事を目的とする。

G204-B2 電力システム（系統機器・制御）太陽光（Ⅱ）3月13日午前 G棟 G204教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-314	周波数変動補償のための適応的な調停率調整による太陽光発電システム制御手法の一検討
6-314	◎田村潤・近藤健一・馬場旬平（東京大学）電気学会全国大会講演要旨 6-314 周波数変動補償のための適応的な調停率調整による太陽光発電システム制御手法の一検討 ◎田村潤・近藤健一・馬場旬平（東京大学）近年,日本において太陽光発電の導入量の増加が顕著であり,それに伴う系統内での需給の一致の困難化が課題の一つとして挙げられる。その対策として,PVの出力を抑制することにより,火力機等の出力調整が可能な発電機の容量を増加させることが行われている。筆者らは先行研究でPVの出力を単に抑制するのみではなく,LFC信号に従ってPVの有効電力出力を制御する手法を提案してきたが,本稿では電力の短周期変動補償効果を更に向上させるために,先行研究の手法に加えて系統の周波数偏差を基に調停率を適応的に調整して出力制御の際の指令値作成に利用する手法を検討した。
6-315	ヒステリシス制御による高速MPPT制御の提案
6-315	◎山本謙太・中川重康・内海淳志・七森公碩・平地克也（舞鶴工業高等専門学校）・伊東淳一（長岡技術科学大学）電気学会全国大会講演要旨 6-315 ヒステリシス制御による高速MPPT制御の提案 ◎山本謙太・中川重康・内海淳志・七森公碩・平地克也（舞鶴工業高等専門学校）・伊東淳一（長岡技術科学大学）従来のMPPT(Maximum Power Point Tracking)手法では探索やスキャンによる損失が発生する。解決策の一つとして，太陽電池の等価回路に基づいてI-V特性を推定し，スキャンレスで高速なMPPTを行うI-V特性推定型MPPTが考案されている。MPPT制御を行うには太陽電池の負荷抵抗を変化させる必要があるため，DC/DCコンバータが用いられる。しかし，動作点変更時にはDC/DCコンバータの過渡応答により，制御目標値と動作点のミスマッチが発生する。本研究では，ヒステリシス制御を用いてDC/DCコンバータを制御することで，動作点の移動時間が理論上最短となり，過渡応答の影響が最小となる制御手法の実現に成功した。
6-316	太陽光発電の高速・低速出力応動のためのP-fデュアルドループ制御特性に関する一検討
6-316	◎玉越祐作・Harag Noha・今中政輝・栗本宗明・杉本重幸・加藤丈佳（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-316 太陽光発電の高速・低速出力応動のためのP-fデュアルドループ制御特性に関する一検討 ◎玉越祐作・Harag Noha・今中政輝・栗本宗明・杉本重幸・加藤丈佳（名古屋大学）近年，太陽光発電（PV）の大量導入により，同期発電機の発電比率低下に伴う周波数調整力の低下が懸念されている。その対策として，PVに周波数調整力を持たせることが考えられる。筆者らは，平常時の負荷周波数制御に貢献する低速の出力応動と事故時の同期化力に貢献する高速の出力応動を実現するP- fデュアルドループ制御を提案し，有用性を検討している。提案手法では，低速ドループから高速ドループへの瞬時の切り替えと，高速ドループから低速ドループへの円滑な切り替えを行う必要がある。本稿では，これまでに検討してきたドループ特性に加え，新たに2種類のドループ特性を考案し，比較・検討した。
6-317	低圧用新型能動方式PCSの電流出力制御方式が電圧フリッカに及ぼす影響に関する基礎検討
6-317	◎丸山雅仁・竹下健太・坂本織江（上智大学）・張本毅・村川健一（九州電力）電気学会全国大会講演要旨 6-317 低圧用新型能動方式PCSの電流出力制御方式が電圧フリッカに及ぼす影響に関する基礎検討 ◎丸山雅仁・竹下健太・坂本織江（上智大学）・張本毅・村川健一（九州電力）近年の太陽光発電の導入拡大に伴い，ステップ注入付周波数フィードバック方式PCS（以下，新型能動方式PCS）が多量に連系している配電線において，PCSからの無効電力注入に起因する電圧フリッカの発生が報告されている(1)。著者らはその発生機構の詳細な検討のために，新型能動方式PCSのモデル化の研究を進めている(2)。本稿では，モデルを用いた電力系統瞬時値解析プログラムXTAPにおける解析結果と，実機を用いた低圧単相試験回路における実験結果との比較に基づく，PCSの電流出力部の制御方式がフリッカに及ぼす影響に関する検討について報告する。
6-318	温度分布が一様ではないPVモジュールの出力及びジュール熱のシミュレーション
6-318	◎赤坂莉空・下町健太朗・三島裕樹・剱地利昭（函館工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 6-318 温度分布が一様ではないPVモジュールの出力及びジュール熱のシミュレーション ◎赤坂莉空・下町健太朗・三島裕樹・剱地利昭（函館工業高等専門学校）本稿では，PVの冷却方法として自然風を利用する冷却方法に着目した。すなわち，PVモジュールの隙間間隔を広げることによって，冷却効果を得ようとするものである。しかし，モジュールの隙間間隔を広げた場合，通常時に比べモジュール表面の温度分布が一様ではなくなる場合が存在する。そのような温度分布が存在するモジュールの出力を，温度が異なるセルを直流，並列に接続することでシミュレーションした。また，PVの発電によって発生するジュール熱についても検討した。この結果をモジュール表面の温度分布のシミュレーションに組み込むことで，より正確な温度分布が得られ，発電量のシミュレーション精度も向上することが期待できる。
6-319	壁面PVモジュールの発電特性と設置場所の検討
6-319	◎芳賀将吾・大塚貴博・伊庭健二（明星大学）電気学会全国大会講演要旨 6-319 壁面PVモジュールの発電特性と設置場所の検討 ◎芳賀将吾・大塚貴博・伊庭健二（明星大学）太陽光発電は一般家庭の屋根置きタイプの普及が進んでいるが，ビル等の壁面に垂直設置するケースも注目されている。一般に垂直設置は太陽光の入射角が浅く効率が悪くなると考えられるが，積雪による影響が少なく，設置面積を取らないメリットがある。本論文ではパネルの傾斜角を0度から90度まで10度ずつ変化させたときの，最大出力を計測し，理論式から求めた発電電力と計測結果を比較検討した。その結果垂直設置は冬季に緯度の高い地域で有利であることがわかった。今後PVの昼間の余剰増大や，ダックカーブと呼ばれる日没前後の急峻な電力需要増等の問題を緩和することにこの垂直設置が役立つ可能性があるのでさらに研究を続けたい。
6-320	太陽電池発電設備の活線絶縁抵抗測定装置の検証
6-320	◎前嶋康正・小野賢司・鈴木正美（関東電気保安協会）・風間拓朗（光商工）電気学会全国大会講演要旨 6-320 太陽電池発電設備の活線絶縁抵抗測定装置の検証 ◎前嶋康正・小野賢司・鈴木正美（関東電気保安協会）・風間拓朗（光商工）自家用電気工作物は感電や火災などの発生を防止するために定期的に絶縁抵抗の測定を実施しているが，太陽電池発電設備の絶縁抵抗を測定する場合，一般的な自家用電気工作物と比べ作業箇所や手順が増えるため作業時間が掛かる。太陽電池発電設備の発電電圧を利用する装置を使用し広範囲の絶縁抵抗を一括で測定することによりこれらの作業を効率化し，作業時間の短縮を図った結果を報告する。

G204-C1 電力システム（系統機器・制御）太陽光（Ⅲ）3月14日午前 G棟 G204教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-321	当日予測における日射量予測誤差の補正方法に関する検討
6-321	○定塚剛・山田誠司（北陸電力）・榎本佳靖・永松慎平・山口浩司（日本気象協会）電気学会全国大会講演要旨 6-321 当日予測における日射量予測誤差の補正方法に関する検討 ○定塚剛・山田誠司（北陸電力）・榎本佳靖・永松慎平・山口浩司（日本気象協会）日中の日射量予測誤差を事前把握する方法の検討として，先行研究では数値予報モデルによる日射量予測分布と衛星画像による日射量推定分布を用いて，当日8時の日射量予測誤差と12時の日射量予測誤差の関係を分析し，8時の日射量予測誤差と12時の日射量予測誤差には年間を通して正の相関があることを確認した。本稿ではその関係から得られる回帰直線を用いて，8時の時点で12時の日射量予測値を補正する方法について検討を行ったので報告する。
6-322	GPV(MSM)との併用による日射予測精度の向上に効果的なWRF予測値の補正に関する一検討
6-322	○甲斐直登・今中政輝・栗本宗明・杉本重幸・加藤丈佳（名古屋大学）電気学会全国大会講演要旨 6-322 GPV(MSM)との併用による日射予測精度の向上に効果的なWRF予測値の補正に関する一検討 ○甲斐直登・今中政輝・栗本宗明・杉本重幸・加藤丈佳（名古屋大学）筆者らは，メソ数値予報モデルGPV(MSM) の雲量等の重回帰分析に基づく手法(以下，GPVモデル) と，米国大気研究センター・米国環境予測センターによって開発されたWRF に基づく手法(以下，WRFモデル)との併用による予測精度の向上を検討している。WRFモデルでは，サポートベクター回帰(SVR)を用いて予測値を補正しているが，GPVモデルとの併用の観点からは，過度に補正を行わず，数値予報モデルの特徴を直接反映した方が望ましい可能性がある。そこで本報では，SVRによる学習期間を変化させ，GPVモデルの予測値との単純平均する場合の予測値精度に与える影響について検討した。
6-323	地域別屋根形状分布データを考慮したPV日射量解析
6-323	◎高松尚宏・中島孝（東海大学）電気学会全国大会講演要旨 6-323 地域別屋根形状分布データを考慮したPV日射量解析 ◎高松尚宏・中島孝（東海大学）将来的な電力システムの安定運用や設備投資などの計画を行うために，住宅用PVシステムの普及を考慮する必要がある．しかし，住宅用PVは陸上設置型のPVと異なり，方位角や傾斜角などの設置条件が屋根形状に依存することから，建築物の形状パラメータの分布によってPVパネルに入射される日射量の期待値が異なる可能性がある．そこで，本研究では，沖縄を除く46都道府県の屋根形状に関する調査データをもとに，屋根形状分布データの差異によるPVパネルに入射される日射量の期待値の変化について，数値実験による解析をおこなった．数値実験の結果，住宅屋根のパラメータを考慮しない場合，住宅屋根に設置されたPVパネルへの日射量が過大に見積もられる可能性があることが示唆された．
6-324	ランダムフォレストを用いた需要家別PV出力推定値の誤差要因分析
6-324	◎高橋沙介・山口順之（東京理科大学）・柄本弘樹（東京電力パワーグリッド）・西田悠介・馬渕裕之（東京電力ホールディングス）・吉永淳（東京電力パワーグリッド）電気学会全国大会講演要旨 6-324 ランダムフォレストを用いた需要家別PV出力推定値の誤差要因分析 ◎高橋沙介・山口順之（東京理科大学）・柄本弘樹（東京電力パワーグリッド）・西田悠介・馬渕裕之（東京電力ホールディングス）・吉永淳（東京電力パワーグリッド）近年，地球環境やエネルギー自給率の問題を背景に，太陽光発電（Photovoltaics, PV）を始めとする再生可能エネルギーの大量導入が進められている。電力需要は，実需要からPV出力をさし引いた値で計量されるため，実需要の把握が出来なくなり需要推定等が困難になるなどの問題が考えられる。本研究では入手可能なSMデータと日射量データ，PV定格出力のみを用いてPV出力の推定を行うICA分離手法を提案し検討した。またその誤差の要因を分析するためRFモデルを用いて検討を行った。ICA推定では季節や日，需要家毎に精度にばらつきが見られた。その誤差増大の要因の一つとして日射の分散すなわち晴天度が関係していることが示された。
6-325	エリア平均日射量の当日予測が前日予測に比べて悪化した事例解析
6-325	○大竹秀明・宇野史睦・大関崇（産業技術総合研究所）・山田芳則（気象庁気象研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-325 エリア平均日射量の当日予測が前日予測に比べて悪化した事例解析 ○大竹秀明・宇野史睦・大関崇（産業技術総合研究所）・山田芳則（気象庁気象研究所）電力の需給制御のためには, PVの出力予測の技術は欠かせない。特に, 数時間から1日先までのリードタイムにおいては気象予報モデルを利用したPV出力予測が行われる。最近では, 前日に作成した翌日の予測（前日予測）を用いた発電機や蓄電池の計画立案のほか, 当日予測を活用した予測の修正も検討されている。気象予報モデルに与える初期値データは観測データをもとに作成しているため, 前日の予測値よりも精度が高くなることが多い。しかし, 前日予測よりも当日予測で悪化することも報告されている。本稿では, 気象衛星から推定した日射量データ(面的な情報)を用いて, 当日予測が悪化する事例の分析結果を報告する。
6-326	衛星推定日射量を用いた気象庁日射量予測の予測誤差と標高の関係
6-326	◎宇野史睦・大竹秀明・大関崇（産業技術総合研究所）・山田芳則（気象庁気象研究所）・竹中栄晶（宇宙航空研究開発機構）・中島孝（東海大学）電気学会全国大会講演要旨 6-326 衛星推定日射量を用いた気象庁日射量予測の予測誤差と標高の関係 ◎宇野史睦・大竹秀明・大関崇（産業技術総合研究所）・山田芳則（気象庁気象研究所）・竹中栄晶（宇宙航空研究開発機構）・中島孝（東海大学）気象庁が提供している水平解像度5㎞，2㎞の日射量予測値について，ひまわり8号を用いた1㎞の推定日射量を比較し，予測値の精度検証を過去2年間を対象に実施した。高解像度の推定値を用いて，これまで地上観測値が無い地域にでも予測誤差を評価することができ，予測の当たりやすさ等を日本全域において，その地域性・季節性を評価した。例えば東京電力管内の予測誤差の傾向は，夏季に平野部で誤差が大きく，冬季や山麓・山地などの内陸の数百m以上の高標高域で誤差が大きい傾向が見られた。この傾向は他の電力管内でも似た傾向が見られ，特に内陸盆地においては，周辺の平野よりも誤差が大きくなる傾向が見られた。
6-327	積雪を考慮した太陽光発電出力予測手法における融雪係数の影響検証
6-327	◎花岡伸・平田飛仙（三菱電機）・櫻井貴義・阿彦幸一（北海道電力）電気学会全国大会講演要旨 6-327 積雪を考慮した太陽光発電出力予測手法における融雪係数の影響検証 ◎花岡伸・平田飛仙（三菱電機）・櫻井貴義・阿彦幸一（北海道電力）固定価格買取制度（FIT）の導入以降，太陽光発電設備(PV)の導入量が急速に拡大している。PV出力は，日射量の大きさにより出力が大きく変動するため，電力系統の運用においては，PV設備の増加に伴いPV出力予測の重要性が高まっている。PV出力に影響を与える要因として，降雪の多い地域においては，PVパネル上の積雪がある。とくに，積雪によりPVパネル上が完全に覆われた場合には，快晴時であっても出力が0となるため，PV出力予測において過大な予測誤差が発生する。これに対して，著者らはPVパネル上への積雪を考慮したPV出力予測手法を開発し，2017年度より実運用環境において評価を実施して一定の効果があることを確認した。本稿では，開発した手法による更なる精度向上の検討のため，パラメータ調整による予測精度への影響評価について報告する。

G206-C3 電力システム（系統機器・制御）風力発電3月14日午後 G棟 G206教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-328	強化学習を用いた風力発電所の計画発電に関する基礎検討
6-328	◎二口護・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-328 強化学習を用いた風力発電所の計画発電に関する基礎検討 ◎二口護・高山聡志・石亀篤司（大阪府立大学）近年，風力発電においても計画発電の必要性が高まっている。そこで筆者らは蓄電池併設型風力発電所における発電計画作成手法について研究してきた。本報告では，発電計画作成の方策である目標蓄電池充電率について，機械学習の一手法である強化学習を用いて決定する手法の提案を行う。強化学習では，風速等の状態に応じた適切な行動の学習が可能であり，計画発電で必要な蓄電池容量の低減が期待できる。本報告においては，2009年の風速データでの学習の後に，2010年の風速データを利用したシミュレーションを行うことで，提案手法の有効性を評価する。
6-329	エリア風力発電量予測の高度化—気象場予測データに対する時空間特徴量抽出—
6-329	◎東山和寿・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-329 エリア風力発電量予測の高度化—気象場予測データに対する時空間特徴量抽出— ◎東山和寿・藤本悠・林泰弘（早稲田大学）出力変動が大きい再生可能エネルギーの電力系統導入に際し，精度の高い発電量予測は経済的な需給調整に貢献する。風力発電の場合，出力が風況に大きく依存することから，気象場予測データの活用方法が重要な検討項目の一つとなっている。我々は，気象場予測データから発電量予測に重要な特徴量を抽出するモデルとして畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による特徴抽出器を提案してきた。本稿では，気象場予測データに含まれる風の時空間ダイナミクスの誤差傾向を加味するために，予測対象時刻前後の気象場も入力とする3次元畳み込みニューラルネットワーク(3D-CNN)を検討し，実データに基づく評価実験結果について報告する。
6-330	長短期記憶ニューラルネットワークを用いた風力発電出力予測技術の検討
6-330	◎阿拉木斯・中西要祐（早稲田大学）・伊庭健二（明星大学）・周意誠（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-330 長短期記憶ニューラルネットワークを用いた風力発電出力予測技術の検討 ◎阿拉木斯・中西要祐（早稲田大学）・伊庭健二（明星大学）・周意誠（早稲田大学）各国の電力自由化の発展に伴い，風力電力の取引市場も設置され，風力発電事業者は風力発電予測結果に基づいて風力電力の販売を行う。風力発電予測精度が風力発電事業者の利益に影響を与える。そのため，風力発電出力予測精度を上げることは重要な意味がある。本研究では時系列問題によく使われている長短期記憶ニューラルネットモデル(Long Short Time Memory Neural Network，以下LSTM)を用いて風力発電出力の短期予測を行い，従来研究のバックプロパゲーションニューラルネットワークモデル(Back Propagation Neural Network，以下BPNN)の予測結果と比較した。BPNNモデルと比べて，LSTMモデルは予測誤差を改善している。さらに，学習日が一定値以上になると，LSTMモデルは良い予測精度を達成するために学習日を調整する必要がない優位性を有する。
6-331	コネクト＆マネージ導入時の風力発電事業者の参入行動の基礎検討
6-331	◎熊谷亮佑・辻隆男（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-331 コネクト＆マネージ導入時の風力発電事業者の参入行動の基礎検討 ◎熊谷亮佑・辻隆男（横浜国立大学）近年，送電線の利用率の低下と再生可能エネルギーの大量導入により日本版コネクト＆マネージの実現に注目されている。本研究では日本版コネクト＆マネージの導入時に風力事業者が新規参入するための価格設定を提案する。出力データ・需要データから送電量のデータを求め，そのデータを基に風力事業者が得られる利益を算定する。そして自身で設定した託送固定料金の設定ルールの変化により風力事業者が得られる利益がどのように変動するか検討した。
6-332	仮想同期発電機制御の適用が風力発電機の運転安定性に与える影響の理論的解析
6-332	◎今井秀岳・織原大・飯岡大輔・斎藤浩海（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 6-332 仮想同期発電機制御の適用が風力発電機の運転安定性に与える影響の理論的解析 ◎今井秀岳・織原大・飯岡大輔・斎藤浩海（東北大学）再生可能エネルギー電源の導入量が増加し，系統安定性が低下する問題に対して，仮想同期発電機(VSG)制御が提案されている。風力発電にVSG制御を適用する場合，一般的には蓄電池が併設される。蓄電池を用いない場合，風力発電機の回転体を代わりに用いることになるが，通常のVSG制御には背後電源の回転速度を維持する機能がないため，風力発電機の運転が不安定化する場合がある。本稿では，蓄電池を用いずにVSG制御を適用した風力発電機の運転が系統事故時に不安定となる現象の発生原理と，提案する回転速度を維持する機能を持ったVSG制御の適用によりそれが解消される原理を，風力発電機の出力特性を用いて理論的に解析した。
6-333	ウインドファームに併設された電力貯蔵装置の充放電損失を低減する制御法
6-333	◎石井智也・小岩健太・劉康志・残間忠直（千葉大学）・田村淳二（北見工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-333 ウインドファームに併設された電力貯蔵装置の充放電損失を低減する制御法 ◎石井智也・小岩健太・劉康志・残間忠直（千葉大学）・田村淳二（北見工業大学）風力発電の導入拡大のために，ウィンドファーム(WF) の出力平滑化を行う電力貯蔵装置(ESS) の低コスト化を実現すべく，定格出力の低減化が求められている．そこで著者らは以前，位相遅れの生じない制御系を提案し，所要定格出力の低減を達成した．一方，ESS の充放電損失はWF 出力の総発電量に直接つながるため低減化が望まれているが，著者らの知る限りこれを陽に考慮した制御系については報告されていない．そこで，ESSの所要定格出力および充放電損失の低減を達成するために，本稿では以前提案した制御系の拡張を行う．
6-334	不均等電圧形3レベルコンバータを用いた電力貯蔵装置を有する風力発電機の出力平滑化
6-334	◎小岩健太・小林宏泰・残間忠直・劉康志（千葉大学）・近藤圭一郎（早稲田大学）電気学会全国大会講演要旨 6-334 不均等電圧形3レベルコンバータを用いた電力貯蔵装置を有する風力発電機の出力平滑化 ◎小岩健太・小林宏泰・残間忠直・劉康志（千葉大学）・近藤圭一郎（早稲田大学）風力発電機の出力変動が問題となっている．この問題を解決するために，可変速風力発電機において，Back-to-Backコンバータの直流リンクにリアクトルを含むDC/DC コンバータを介して電力貯蔵装置(ESS) を接続したシステムが提案されている．しかしながら，省スペース化が求められる風力発電機では，リアクトルの使用は大きな弊害となる．これに対し，追加のリアクトルを用いない回路方式として不均等電圧形3 レベルコンバータ(UIVTLC) が提案されている．しかし，変調率の制約により従来の制御系ではESSが十分に充放電できないため，UIVTLC を風力発電機に適用しても期待する効果は得られない．そこで本稿では，変調率の制約を考慮したESS 制御系を提案する．
6-335	二次励磁誘導発電機を用いた風力発電模擬装置における電力制御系の基礎検討
6-335	◎中村裕之・竹内大貴・雪江彩斗・太田豊・中島達人（東京都市大学）電気学会全国大会講演要旨 6-335 二次励磁誘導発電機を用いた風力発電模擬装置における電力制御系の基礎検討 ◎中村裕之・竹内大貴・雪江彩斗・太田豊・中島達人（東京都市大学）風力発電は, 有望な再生可能エネルギー電源の一つであるが, 風速変動に伴って発電出力が変動するという本質的な課題がある。また風力発電の適地は, 電力系統から離れていることが多く,電力系統にアクセスするための送電線が長距離化しやすいため, 風力発電と高インピーダンスの送電線の相互作用により, 発電出力や送電線電圧が不安定に変化することが懸念される。著者らは, 風力発電と高インピーダンス送電線との相互作用問題を, 実験室に設置した小容量の風力発電模擬装置を用いた実験を通じて検討することに取り組み始めた。本論文では, 研究の第一段階として, 発電機出力特性の実測, 電力制御系の検討と動作確認実験を行ったので報告する。
6-336	揚水発電による風力発電システムの電力安定化
6-336	◎楊思奇・菅原晃（新潟大学）電気学会全国大会講演要旨 6-336 揚水発電による風力発電システムの電力安定化 ◎楊思奇・菅原晃（新潟大学）風力発電は不安定なので，電力系統に直接的に接続すると周波数変動を起こし，電力の品質に影響を与える。そこで本研究では，風力発電の電力貯蔵として揚水発電を導入し，風力発電の電力安定化させる方法を考えた。本システムは洋上にウィンドファームを導入し，貯水池は海岸沿いの山の中腹に設置し，揚水ポンプはアルキメデススクリューを使用する。BP神経回路で予測した出力を基づいて運転シミュレーションの結果，最大周波数が0.191[Hz]と許可範囲に抑えており，電力安定化が基本的に実現された。
6-337	HP/BG併用熱供給システムによる風力発電出力ランプ変動抑制の検討-実証設備による変動抑制効果の検証-
6-337	◎市川翼・原亮一・北裕幸・石川志保（北海道大学）電気学会全国大会講演要旨 6-337 HP/BG併用熱供給システムによる風力発電出力ランプ変動抑制の検討-実証設備による変動抑制効果の検証- ◎市川翼・原亮一・北裕幸・石川志保（北海道大学）本研究では蓄電池の代替としてヒートポンプ(HP)とバイオガス発電機(BG)を組み合わせたHP/BG併用熱供給システムを提案した。本研究では提案システムによる風力発電(WF)出力変動の抑制制御手法の開発および評価，その実現可能性の検討を行っている。これまで研究において，提案システムのシミュレーションモデルおよび制御手法を開発し，比較的変動の大きかったある1日のWFを対象にシミュレーションおよび実機による実証試験を行ってきた。本稿では，これまで用いてきたWF出力よりも予測精度は高いが，変動幅が大きいという特徴を持つWF出力を対象に実証試験を行い，その変動抑制効果の評価を行う。

G203-A3 電力システム（系統機器・制御）直流システム3月12日午後 G棟 G203教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-338	自励式HVDC検証設備の完成
6-338	◎高橋達也・清木賢・井波潔・林成男・寺本仁志（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-338 自励式HVDC検証設備の完成 ◎高橋達也・清木賢・井波潔・林成男・寺本仁志（三菱電機）自励式交直変換器は従来の他励式と比較して交流系統への制約が少ないこと等の特徴を有している。自励式の中でも，モジュラーマルチレベル（MMC）変換器は高電圧化が容易であることから，高電圧直流送電（HVDC）に適しており，冗長性を確保できること等の特徴を有する。当社においてもMMC-HVDCシステムの開発を進めてきた。今回，実機と同じ変換器や制御保護装置等を用いてMMCシステム全体での運転検証を実施しデータを蓄積するHVDC検証棟を建設した。機器据付後，機器の単体試験や組合せ試験を実施し，変圧器や変換器の試充電，変換器の初ゲートデブロック試験，システム全体での起動・停止試験，緊急停止試験を経て，電力融通試験を実施し，有効電力の送電を成功させた。
6-339	自励式HVDC検証棟での電力融通試験
6-339	高橋達也・山中大輔・◎菊地健・宇田涼介・林成男・寺本仁志（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-339 自励式HVDC検証棟での電力融通試験高橋達也・山中大輔・◎菊地健・宇田涼介・林成男・寺本仁志（三菱電機）近年，自励式のHVDC向けモジュラーマルチレベル変換器（MMC）の世界市場規模が拡大しており，当社はMMCを用いた自励式HVDCシステムを開発し，その検証設備であるHVDC検証棟を2018年11月に完成させた。今回，本検証棟にて電力融通試験を実施した。その結果，直流電圧指令値通り直流電圧が上昇し，有効電力指令値通り有効電力が送電されたことを確認した。また，その際のサブモジュール（セル）内のコンデンサ平均電圧も安定しており，安定運転したことを確認した。
6-340	新北海道本州間連系設備向けに適用した250 kV-300 MW自励式変換器の機能
6-340	◎新井卓郎（東芝インフラシステムズ）・直井伸也・鈴木大地（東芝エネルギーシステムズ）・川上紀子・柏木航平・臼木一浩（東芝三菱電機産業システム）・早川勝昭・内海貴徳・盛正憲・千葉純吾（北海道電力）電気学会全国大会講演要旨 6-340 新北海道本州間連系設備向けに適用した250 kV-300 MW自励式変換器の機能 ◎新井卓郎（東芝インフラシステムズ）・直井伸也・鈴木大地（東芝エネルギーシステムズ）・川上紀子・柏木航平・臼木一浩（東芝三菱電機産業システム）・早川勝昭・内海貴徳・盛正憲・千葉純吾（北海道電力）本論文では，300 MWの新北海道本州間連系設備（新北本）に適用した自励式変換器の特長と主な制御機能を述べる。自励式変換器には，MMCを採用することで，直流250 kVの直流リンクコンデンサや交流275 kVの交流フィルタが不要になる特長がある。新北本の変換所は，既設北本と協調したAFC，無効電力制御やブラックスタート制御などを備え，系統の安定化へ貢献する。
6-341	モジュラー・マルチレベル変換器(MMC)を用いた多端子直流送電システムの直流事故時の制御・保護
6-341	◎関口慧・田代匠太（東芝インフラシステムズ）・石黒崇裕（東芝エネルギーシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-341 モジュラー・マルチレベル変換器(MMC)を用いた多端子直流送電システムの直流事故時の制御・保護 ◎関口慧・田代匠太（東芝インフラシステムズ）・石黒崇裕（東芝エネルギーシステムズ）近年，複数地点間の高効率な長距離・大容量送電方式として多端子HVDC(High Voltage Direct Current)が注目されている。多端子HVDCの構成要素として，高圧・大容量に適した電力変換器MMC(Modular Multilevel Converter)や直流系統事故の波及範囲を局所化するDCCB(Direct Current Circuit Breaker)が検討されている。本論文では，ハーフブリッジセルを用いたMMCで構成する樹枝状直流系統に性能・コストの観点から適したDCCBの配置を提案し，直流事故時の保護と高速運転再開制御の動作をシミュレーション波形とともに示す。
6-342	MMC-HVDC変換器の変換器セル故障時の運転継続方式に関するシミュレーション検討
6-342	◎梶山拓也・灘香帆・藤井俊行（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-342 MMC-HVDC変換器の変換器セル故障時の運転継続方式に関するシミュレーション検討 ◎梶山拓也・灘香帆・藤井俊行（三菱電機）高圧直流送電(High Voltage Direct Current，以下HVDC)向け変換器の一つとして，モジュラーマルチレベルコンバータ(Modular Multilevel Converter，以下MMC) の研究開発が進められている。MMC型の変換器は，変換器セルと呼ばれる単位変換器を複数直列に接続した構成という特徴から，変換器セル故障時にも高い冗長性を持つことが期待されている。本稿では，HVDC送電に適用するMMC変換器(以下MMC-HVDC変換器)の変換器セル故障時の運転継続方式について検討する。
6-343	多端子直流送電システムにおける変換所停止時のシステム運転継続の基礎検討
6-343	吉原徹・○木村守（日立製作所）電気学会全国大会講演要旨 6-343 多端子直流送電システムにおける変換所停止時のシステム運転継続の基礎検討吉原徹・○木村守（日立製作所）環境負荷低減のため，洋上ウインドファーム(WF)の大量導入と洋上WF連系多端子直流送電(WF-MTDC)による広域大容量送電が注目されている。日本でも現在，WF-MTDCに関する技術開発が進められている。WF-MTDCでは，変換器の故障などで1つの変換所が緊急停止した場合でも，システムの連鎖停止を避けるため，残る健全システムで運転継続できることが望ましい。そのためには，変換所停止後にも，直流系統の電圧を維持しつつ，電力潮流が適切に制御される必要がある。本稿では，筆者らがこれまでに提案した，陸上変換所の有効電力・直流電圧リミッタ付ドループ制御によって，変換所停止時にも，WF-MTDCが運転継続できることを，3端子WF-MTDC解析モデルでの結果を用いて報告する。
6-344	洋上多端子直流送電における陸上端子間の緊急電力配分制御
6-344	◎松田洋・加藤純・太田豊・中島達人（東京都市大学）電気学会全国大会講演要旨 6-344 洋上多端子直流送電における陸上端子間の緊急電力配分制御 ◎松田洋・加藤純・太田豊・中島達人（東京都市大学）再生可能エネルギー導入拡大の中で，洋上風力発電の開発が進んでおり，それらを陸上系統と接続するための長距離送電に直流送電の構想も国内外で想定される。陸上側受電点が2地点以上の多端子直流送電も想定される。また，再生可能エネルギー増加によって陸上交流系統の慣性低下が懸念され，その対策で洋上風力などの設備から周波数制御のための電力捻出手法が提案されているが，それらを適切に必要な受電点に送電することが課題となる。本稿では，陸上側2端子以上の多端子直流送電において，捻出電力が適切に必要な端子へ送電される手法を提案した。シミュレーション解析の結果，適切に必要な端子へ電力が送電でき，手法の有用性を確認できた。
6-345	洋上風力発電向けバックボーン形多端子直流送電の直流線路地絡事故のシミュレーション
6-345	◎中山比呂・佐野憲一朗（東京工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-345 洋上風力発電向けバックボーン形多端子直流送電の直流線路地絡事故のシミュレーション ◎中山比呂・佐野憲一朗（東京工業大学）複数箇所の洋上風力発電設備から電力を集約し需要地へ長距離送電する用途を想定し，筆者らはN-1 基準を満たすバックボーン形多端子直流送電システムの構成を提案している。提案構成は，直流遮断器と交流遮断器を併用して事故除去を行うことで直流遮断器の必要数を低減できる点に特長がある。しかし，事故の発生と除去に伴う過渡時の運転特性は明らかになっていない。そこで本稿では，直流線路の一線/二線地絡事故のシミュレーションを行い，事故区間の除去と健全区間の運転継続が可能であることを確認した結果を報告する。
6-346	大容量多重STATCOMゲートパルス欠損検出手法の開発
6-346	◎羽尻龍太郎・松田泰蔵・原田英広（中部電力）・藤井俊行・天満耕司（三菱電機）・森島直樹（TMEIC）電気学会全国大会講演要旨 6-346 大容量多重STATCOMゲートパルス欠損検出手法の開発 ◎羽尻龍太郎・松田泰蔵・原田英広（中部電力）・藤井俊行・天満耕司（三菱電機）・森島直樹（TMEIC） STATCOMは，多数の半導体素子についてゲートパルスを用いてスイッチング制御を行っているが，このゲートパルスが欠損したときには，当該素子のスイッチング制御が行えなくなりSTATCOM本来の動作を行うことができなくなる。筆者らは，多重変圧器を用いた大容量STATCOMにおいて，STATCOMの電流制御用に取り込む出力電流検出値を活用して，ゲートパルス欠損（以下，欠損）を検出する方法を開発した。
6-347	空間音響測定による半導体電力変換装置の異常箇所特定検証
6-347	◎福嶋純一・菅野純弥（東京電力ホールディングス）・伊藤憲彦（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-347 空間音響測定による半導体電力変換装置の異常箇所特定検証 ◎福嶋純一・菅野純弥（東京電力ホールディングス）・伊藤憲彦（電力中央研究所）半導体スイッチングデバイスを用いて交直変換などを行う半導体電力変換装置では，大容量になるに従いパワーデバイスの個数が多くなる。これらパワーデバイスの一部に異常・故障が発生した場合，該当する異常・故障の発生部位を特定するために多大な手間と時間が必要になる。本論文では，パワーデバイスの故障時に発生する音に着目し，キュービクル設備内に実装されている半導体電力変換装置を模擬し，空間音響測定によりデバイスの故障位置を推定した。この手法を活用して，実際にIGBTを使用した半導体電力変換装置の動作音を収集し，故障時におおまかな故障位置判定ができたことを報告する。

G205-A1 電力システム（系統保護・制御装置）安定化・保守・規格3月12日午前 G棟 G205教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-348	IEDを用いた脱調未然防止リレー装置の開発・適用
6-348	○白井梢平（東京電設サービス）・鈴木康之（東京電力パワーグリッド）・小熊順一・竹井勝則・伊藤大道（東京電設サービス）・田原徹也（GE Grid Solutions）電気学会全国大会講演要旨 6-348 IEDを用いた脱調未然防止リレー装置の開発・適用 ○白井梢平（東京電設サービス）・鈴木康之（東京電力パワーグリッド）・小熊順一・竹井勝則・伊藤大道（東京電設サービス）・田原徹也（GE Grid Solutions）本論文では，275kV送電線1回線停止に伴う発電抑制軽減に有効な，脱調未然防止リレーを，国際的に流通，低価格なIEDにて，開発，実適用したので，報告する。装置概要について述べるとともに，本装置が，効率的電源運用に貢献したことを報告する。また，このような特殊制御リレーにも，IEDは適用可能であり，出来いの汎用リレーユニットIEDは，開発期間短縮，コスト低減に有効なことが確認できたことも報告する。
6-349	脱調分離リレ-解析支援ツールの考案
6-349	○柳田孫肖（北電テクノサービス）電気学会全国大会講演要旨 6-349 脱調分離リレ-解析支援ツールの考案 ○柳田孫肖（北電テクノサービス）系統脱調時の事故波及対策として,距離リレーの平行四辺形特性を用いた脱調分離リレーがある。これは,脱調時のインピーダンスローカス（以下ローカス）の通過範囲と時間を検出し,系統を遮断するものである。リレー整定検討では,ローカス上へ（手書きによる）リレー特性を重ね書きし, 試行錯誤により整定値を探索するが,発電機が近接し,事故箇所と脱調検出候補が複数ある場合等検討が煩雑化し,また,リレーと安定度計算間の数値換算も伴い多大な労力を要する。ここでは, 業務効率化を目指し,エクセル上にて,リレーと安定度計算間の数値換算を考慮した「ローカス上へのリレー特性作画」機能を持つ「解析支援ツール」を考案したので概要を報告する。
6-350	B-402規格に準拠したサーバユニットによるオンライン安定度計算の検証
6-350	◎久留島智博・西野宏・小和田靖之（三菱電機）・坂口広二（メルコ・パワー・システムズ）電気学会全国大会講演要旨 6-350 B-402規格に準拠したサーバユニットによるオンライン安定度計算の検証 ◎久留島智博・西野宏・小和田靖之（三菱電機）・坂口広二（メルコ・パワー・システムズ）近年の再生可能エネルギー電源増加は，電力系統の安定度に大きな影響を及ぼしており，系統安定化システムについても対策が必要不可欠となってきている。その対策手段の一つに計算機とディジタルリレーにて構成するオンライン事前演算型系統安定化システムがあり，開発・運用されている。しかし，一般的に計算機はディジタルリレーに比べて耐環境性能やランニングコスト，保守性の面で課題がある。これに対し当社では，計算機の代替として，サーバユニット「MR4400E」での適用検討を進めることとした。本稿では，MR4400E上にてオンライン安定度計算を行った検証結果を報告する。
6-351	PV導入拡大に伴う更なる長距離大電力送電の実現-AIを適用した新たな統合型系統安定化システムの開発計画-
6-351	◎川村佳弘・斎藤宣俊・柳田雅紀・木全智彦（中部電力）電気学会全国大会講演要旨 6-351 PV導入拡大に伴う更なる長距離大電力送電の実現-AIを適用した新たな統合型系統安定化システムの開発計画- ◎川村佳弘・斎藤宣俊・柳田雅紀・木全智彦（中部電力）長野方面系統は，275kV送電線で構成している長距離大電力送電系統であるため，電圧や安定度等の系統安定性の観点において過酷な特性を有している。加えて，この数年間で大幅にPV連系設備容量が増加し,今後さらに連系量が増加する見通しであり，PV導入拡大に伴う今後の更なる過酷な系統状況に対応するため，AIを適用した新たな統合型系統安定化システムとして2023年に親局装置のリプレースを予定している。本報告では, PV導入拡大に伴う新たな複合問題およびAIを適用した新たな統合型系統安定化システムの開発コンセプトを報告する。
6-352	Mixed Reality技術を用いた第一線現場業務の高度化・支援システムの開発
6-352	◎上打田内啓允・大木功・篠田幸男（東京電力ホールディングス）電気学会全国大会講演要旨 6-352 Mixed Reality技術を用いた第一線現場業務の高度化・支援システムの開発 ◎上打田内啓允・大木功・篠田幸男（東京電力ホールディングス）第一線現場では近年，技術継承の困難さ，経験の少ない人員による設備保全対応での安全性・業務品質の担保など，複数の課題がある。筆者らは，MR技術を用い，現場にノウハウを埋め込むことによる技術継承と，熟練者による遠隔からの支援を実施可能とするシステムを開発した。適用項目として，安全性向上のための機能，技術継承のためのデジタル情報配置，リモートコミュニケーションを設定し，評価した。結果，いずれも機能し，対象機器誤認や危険箇所接近の防止，ノウハウの現実空間への展開，遠隔との正確なコミュニケーションによる安全性・作業性向上を図れることがわかった。今後も，他の業務・設備への適用省力化などを検証していく。
6-353	変圧器アセットマネジメントへの汎用保護リレー装置適用の基礎検討
6-353	◎佐藤弘明・青木睦・天雨徹・大谷哲夫（名古屋工業大学）・小澤辰哉（名菱電子）電気学会全国大会講演要旨 6-353 変圧器アセットマネジメントへの汎用保護リレー装置適用の基礎検討 ◎佐藤弘明・青木睦・天雨徹・大谷哲夫（名古屋工業大学）・小澤辰哉（名菱電子）近年電力会社では，既設設備を寿命限界まで活用するために，経年だけでなく使用状況を考慮した保守管理による余寿命診断の高度化に取り組んでいる。油入変圧器においては，今後は監視のリアルタイム性や，油温と負荷電流の相関のようなこれまで取得しなかったパラメータの蓄積機能を備えた保守管理手法が余寿命診断に有効である。さらに電力会社は，これらを低コストかつサーバに軽負荷な形で実現することが望まれる。本研究では，筆者らが提案した汎用保護リレー装置IED(Intelligent Electronic Device)を用いた変圧器監視システムを提案した。システムの構成，およびIEDを適用するメリットについて検討したためここに述べる。
6-354	電気専門用語集Web版公開
6-354	○臼井正司（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-354 電気専門用語集Web版公開 ○臼井正司（三菱電機）電気学会電気専門用語集は，電気工学の各専門分野において，専門用語を標準化し，一義的な定義を与えることで，情報，思考，あるいは意志の正確で迅速な伝達を図り，その分野の進歩発展に寄与することを目的として作成されたものである。電気専門用語集は電気学会の貴重な財産として活用されてきたが，より活性化するため，Web 検索を可能とするなど，より利便性を高める要望が強くなってきていた。そこで，2014 年当時電気専門用語集No.23「保護リレー装置」にて，電気専門用語集のWeb公開を計画試行してきた。その後，電気規格調査会電気一般部会電気専門用語標準化委員会の活動として，継続が望まれる18 用語集の内，16 用語集のWeb 版公開が実現した。本論文では，電気専門用語集No.23「保護リレー装置」におけるWeb 公開試作版と，今年8 月に運用開始した電気専門用語集Web 版の内容について紹介する。

G205-A2 電力システム（系統保護・制御装置）保護制御装置・開発3月12日午前 G棟 G205教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-355	周波数変動を考慮した地絡事故検出方法の高精度化
6-355	◎鈴木隆・永田隼・小林和博（三英社製作所）・小玉俊之輔・大谷津隆夫（東北電力）電気学会全国大会講演要旨 6-355 周波数変動を考慮した地絡事故検出方法の高精度化 ◎鈴木隆・永田隼・小林和博（三英社製作所）・小玉俊之輔・大谷津隆夫（東北電力）東北電力では地絡事故点の早期発見と迅速な復旧を目的とし，6.6kV配電線に事故区間表示器を設置し，地絡事故の検出と方向判定を行っている。これまでに，残留零相電圧が大きい三相3線，単相2線の両方式に対応した残留零相成分の影響をベクトル演算により除去する手法（高精度地絡検出方式）を開発した。本稿では，この機能に加え分散型電源が単独運転状態となったことを想定し，この場合でも誤りなく地絡事故の方向判定ができる機能（周波数が定格から大きく変化した場合に地絡検出を行わない）を追加した試作器を開発し，模擬配電系統において人工地絡試験を行い評価した。単独運転状態でも方向判定を誤判定することなく良好な結果が得られた。
6-356	特別高圧連系用距離リレーの開発
6-356	◎仁木徹・奥田誠・石倉定幸（日新電機）電気学会全国大会講演要旨 6-356 特別高圧連系用距離リレーの開発 ◎仁木徹・奥田誠・石倉定幸（日新電機）大規模風力・太陽光発電設備において，発電事業者の発電設備から電力側送電線との連系用開閉所まで数十キロメートルの長距離送電となる場合があり，この場合，伝送路の確保が難しいため差動電流方式が採用できず，自端のみで構成可能な距離リレーが送電線の保護に有効な手段として使用される。今回，このような連系設備案件に対応する距離リレーを開発したので報告する。50/60Hz両地域向けとして距離リレー特性を2種類具備し(モー特性，四辺形特性)，最新のB-402(電力向け規格)及び関連するJEC規格に基づき試験を行い信頼性を確保した。
6-357	SEL製IEDを適用した過電流保護リレー装置の開発
6-357	小林嵩史・清水潤一（中部電力）・◎鈴木啓祥・伊藤悠基・小島一浩（シーテック）電気学会全国大会講演要旨 6-357 SEL製IEDを適用した過電流保護リレー装置の開発小林嵩史・清水潤一（中部電力）・◎鈴木啓祥・伊藤悠基・小島一浩（シーテック）近年，電力系統の保護継電装置において，コスト低減や納期短縮を目的とした海外製汎用保護ユニット（IED）の適用が進んでいる。IEDは，低コスト・短納期・ユーザ側でのシーケンスソフトウェア作成が可能といった特徴がある。しかし，海外で主流な電力系統である直接接地系統向けに開発されており，日本の77kV以下の低電圧階級における高抵抗接地系では，地絡事故時の事故検出感度等が課題となっていた。本論文では，数あるIEDの中から安価かつ地絡事故の高感度検出が可能なユニットを選定し，2ユニットを用いたメイン－メイン方式の構成とすることで，高信頼性を維持しつつコスト低減を図った過電流保護リレー装置を紹介する。
6-358	GE製IEDによるIEC61850（GOOSE）を適用した広域過負荷保護リレーシステムの開発・適用
6-358	○大森智生・竹井勝則・菅沼肇・石井浩一・伊藤大道（東京電設サービス）・西澤研・上楽康智（東京電力パワーグリッド）電気学会全国大会講演要旨 6-358 GE製IEDによるIEC61850（GOOSE）を適用した広域過負荷保護リレーシステムの開発・適用 ○大森智生・竹井勝則・菅沼肇・石井浩一・伊藤大道（東京電設サービス）・西澤研・上楽康智（東京電力パワーグリッド）太陽光発電所等の再生可能エネルギーの連系増加に伴い，送電線等の容量超過に至ることが想定される。同一送電線に複数の太陽光発電所等が連系される場合，送電線過負荷保護リレーシステムにて複数の発電所を制御対象とする必要がある。この様な複数拠点の制御を実現するため，我々はGE製IEDを用いてIEC61850による1対N対向可能な広域過負荷保護リレーシステムを開発した。本紙では，新システムの開発と適用について説明する。
6-359	IEDへの異系統同期投入機能の実装
6-359	◎佐々木星斗・伊藤航平・青木睦・天雨徹・大谷哲夫（名古屋工業大学）・小澤辰哉（名菱電子）電気学会全国大会講演要旨 6-359 IEDへの異系統同期投入機能の実装 ◎佐々木星斗・伊藤航平・青木睦・天雨徹・大谷哲夫（名古屋工業大学）・小澤辰哉（名菱電子）近年，変電所の保護監視制御装置間の通信に関する国際規格であるIEC 61850の国内変電所への適用が検討されている。同規格に準拠した海外製保護ユニット(IED)には，日本国内の変電所監視制御システムが有する機能が実装されていないことや，必要な論理ノードが実装されていない場合が考えられるため，何らかの工夫が必要となる場合がある。IEDには，シーケンス拡張機能が用意されているものもあり，機器自体に必要な機能が実装されていない場合にも任意のシーケンスを追加し運用することが可能である。本論文では，GE社製IED(F35)を用いて，本来の機能としては実装されていない異系統同期投入機能を実装し，動作検証を行った結果について述べる。
6-360	IEC 61131-3およびIEC 61850に準拠したPLCを用いた受電自動切替機能の構築
6-360	◎坂泰孝・上田紀行・大谷哲夫（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 6-360 IEC 61131-3およびIEC 61850に準拠したPLCを用いた受電自動切替機能の構築 ◎坂泰孝・上田紀行・大谷哲夫（電力中央研究所） IEC 61850は，監視制御機能実現のために論理ノード，データオブジェクト，データ属性を規定している。同規格に準拠し，単体で購入可能な海外製IEDの出現や発送電分離を見据えたコストダウン要求を背景に，今後はIEDの設定や監視制御機能の実装を電力会社自ら実施することが，選択肢の一つとなる方向性が考えられる。これまでに筆者らは，IEC 61850とPLCの国際規格であるIEC 61131-3の両方に準拠する拡張性の高いPLCを使用し，国内で必要とされる監視制御機能をIEC 61850で実現する方法について検討している。本論文では，配電用変電所の受電自動切替機能を対象に，海外製IEDにおいてもサポートされていない論理ノードによる実装とその動作検証結果について述べる。
6-361	変電所監視制御システムへのIEC 61850適用検討その1
6-361	◎伊東重信・天雨徹（中部電力）・岡田和也・黒瀬雄太（東芝エネルギーシステムズ）・東海林学・小堀大智（東芝システムテクノロジー）電気学会全国大会講演要旨 6-361 変電所監視制御システムへのIEC 61850適用検討その1 ◎伊東重信・天雨徹（中部電力）・岡田和也・黒瀬雄太（東芝エネルギーシステムズ）・東海林学・小堀大智（東芝システムテクノロジー）保護制御システムは，機能毎に配置された装置により構成されている。デジタル情報処理技術の発達により，装置毎の運用・保守の効率化は実現しているが，各装置情報の集約による，運用・保守の効率化は実現していない。現在，更なる運用・保守の効率化などの要求が高まっており，各装置を相互接続（マルチベンダ対応）し，情報を集約することで，複数の装置を跨いだ新機能の実現が期待されている。本論文では，この実現に向け，変電所内の装置間を相互接続するための国際標準規格であるIEC 61850を適用した変電所監視制御システムを検討しており，報告する。

G205-B1 電力システム（系統保護・制御装置）理論・検証3月13日午前 G棟 G205教室
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
6-362	DEVELOPMENT OF THE METHOD OF DISCRETE WAVELET TRANSFORM FOR POWER TRANSFORMERS INTERNAL FAULT IDENTIFICATION
6-362	◎Eduardo Magaia・大山力（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-362 DEVELOPMENT OF THE METHOD OF DISCRETE WAVELET TRANSFORM FOR POWER TRANSFORMERS INTERNAL FAULT IDENTIFICATION ◎Eduardo Magaia・大山力（横浜国立大学） The percentage differential relay with harmonic restraint has been used to detect the internal faults in the transformer. However, certain mal-functioning of differential relay has been reported which leads for unnecessary tripping of differential relay. This unnecessary tripping can lead to a power blackout and deterioration of the services provided by the Utility. So, there is a need for the development of improved classifier technique. This paper aims to present a methodology for identification of faults in power transformers, by distinguishing internal faults from other conditions, as energization of the transformer, external faults and saturation of the current transformer. The methodology is based on Discrete Wavelet Transform, since this gives good information about frequency and time domain simultaneously.
6-363	架空配電系統のパルス波によるTDR測定時の柱上変圧器の反射特性の実験
6-363	◎上嶋宏明・林俊弘・森田智比古（関西電力）・久門尚史・和田修己（京都大学）・松嶋徹（九州工業大学）電気学会全国大会講演要旨 6-363 架空配電系統のパルス波によるTDR測定時の柱上変圧器の反射特性の実験 ◎上嶋宏明・林俊弘・森田智比古（関西電力）・久門尚史・和田修己（京都大学）・松嶋徹（九州工業大学）架空配電系統における事故点標定に，パルス波を用いたTDR測定(Time Domain Reflectometry)の適用を検討している。架空配電系統に注入したパルス波は，事故点だけでなく電柱の装柱の違いによるインピーダンスの不整合点でも反射する。また，事故前後の測定波形を差引きし，事故点を特定できる。さらに，架空配電系統の碍子を寄生容量として等価回路でモデル化することで，シミュレーションにより，実験結果を模擬できる。より詳細な架空配電系統のシミュレーションモデルを作成し，パルス伝搬特性を評価するため，架空配電系統に多数接続されている柱上変圧器の模擬線路におけるTDR測定の検証を行い，得られた結果からシミュレーションにより反射特性を確認する。
6-364	単独運転検出機能によるフリッカ現象のSVCを用いた補償制御の実験検討
6-364	辻隆男・◎齋藤優（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 6-364 単独運転検出機能によるフリッカ現象のSVCを用いた補償制御の実験検討辻隆男・◎齋藤優（横浜国立大学） 2017年にパワーコンディショナ(PCS)が持つ単独運転検出機能に起因した電圧フリッカが観測された。本研究では上記のフリッカを対象に，無効電力補償装置(SVC)による補償制御の有効性を実験とシミュレーションの両面から検討した。フリッカ補償に用いるSVCの制御パラメータを決定するため，SVCの実効値モデルを用いたシミュレーションを行い単独運転検出機能に起因した6Hz程度のフリッカに対して応答できる制御パラメータを決定した。そのパラメータを用いて実験を行った結果，SVCを用いることにより48.7%程のフリッカ抑制効果が確認できた。
6-365	太陽光発電システムの直流漏電リレー誤動作に対する原因調査と対策
6-365	○佐藤淳・小田康雄（NTTファシリティーズ）電気学会全国大会講演要旨 6-365 太陽光発電システムの直流漏電リレー誤動作に対する原因調査と対策 ○佐藤淳・小田康雄（NTTファシリティーズ）当社では，地球温暖化対策への取組として，自然エネルギーを利用した大規模なメガソーラ発電所の構築と運用を全国規模で行っている。メガソーラ発電所は大規模な土地が必要であるが，休耕地や耕作放棄地など，既存の道路で区切られている土地を利用した例も近年増加の傾向にある。本論文では，このような公道をまたぐ際に設置が義務付けられている直流地絡継電器盤が誤動作する例について，原因と対策を報告する。
6-366	対称性原理に基づく交流振幅の計測
6-366	○関建平（三菱電機）電気学会全国大会講演要旨 6-366 対称性原理に基づく交流振幅の計測 ○関建平（三菱電機）近年，種々のパワーエレクトロニクス機器を利用している太陽光発電など再生可能エネルギーが電力系統に接続される例が急増している。このため，電力系統交流波形には，様々なタイプの電圧フリッカの影響および高調波ノイズが含まれ，その割合も増大している。これらの確率的に存在している成分の影響を低減して，交流基本波の振幅などを高速かつ高精度に計測するニーズはますます高くなっている。これまで，交流信号の対称性を踏まえ，対称性原理の電気量計測への応用について検討を進めてきた。本稿では，電圧フリッカの影響および高調波ノイズが含まれている場合でも，従来よりも高速かつ高精度に交流振幅を計測するゲージ電圧計算式を提案し，実測例により提案式の有効性を確認する。

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電気学会全国大会 講演要旨

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電気学会全国大会 講演要旨

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