一般講演

論文一覧

510-B1 磁気応用磁気計測・電磁界解析3月19日 9:00〜10:24 会場：510
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
2-059	薄膜素子のジュール加熱における熱分布と隣接素子への影響
2-059	◎川崎萩人・菊池弘昭（岩手大学）電気学会全国大会講演要旨 2-059 薄膜素子のジュール加熱における熱分布と隣接素子への影響 ◎川崎萩人・菊池弘昭（岩手大学）本研究では磁気インピーダンス（MI）素子における磁気異方性制御法としてジュール加熱を利用する際の熱分布および隣接素子への影響を検討した。素子間隔10 μm~300 μmのMI素子を2つ用意し，磁石を用いて幅方向に磁場を印加し，片方の素子にのみジュール加熱処理をおこなった。結果，素子間隔が近い10 μmでは熱伝達が顕著で非加熱側の隣接素子においても，加熱側の素子と同様にインピーダンス特性が二峰性に変化した。これは加熱側の素子からの熱伝達が十分に大きく，ある程度発熱しているためである。対して，300 μmの間隔であれば熱源からの熱伝達の影響を避けることができ，特性はほとんど変化しなかった。
2-060	試料曲面のバルクハウゼンノイズに及ぼすヨーク材料の影響
2-060	◎斎藤日日輝・菊池弘昭・千葉遥斗（岩手大学）電気学会全国大会講演要旨 2-060 試料曲面のバルクハウゼンノイズに及ぼすヨーク材料の影響 ◎斎藤日日輝・菊池弘昭・千葉遥斗（岩手大学）本研究では試料曲面でバルクハウゼンノイズを測定する際，ヨークの材料によって影響が生じるのかについて実験を行った。先端が二山の形状の補助ヨークを実験で用いた。ヨーク材料としてケイ素鋼板，アモルファス，パーメンジュール，フェライトを使用した。ケイ素鋼板の結果は曲率115 mmでピークを示し，アモルファス，パーメンジュールの結果も同様の傾向が得られた。フェライトヨークは他の3つのヨークと異なり，ピークが観察されず，曲率に対してRMS値が飽和する結果が得られた。ケイ素鋼板ヨークでマイナーループを測定した結果，曲率115mmでは，急激な値の増加は見られず，他の曲率の試料よりも常に高い値を示している。
2-061	小型集磁ヨーク付光プローブ電流センサによる平角線の電流計測の基礎検討
2-061	◎平井大地・曽根原誠・佐藤敏郎（信州大学）・須江聡・宮本光教・久保利哉（シチズンファインデバイス）電気学会全国大会講演要旨 2-061 小型集磁ヨーク付光プローブ電流センサによる平角線の電流計測の基礎検討 ◎平井大地・曽根原誠・佐藤敏郎（信州大学）・須江聡・宮本光教・久保利哉（シチズンファインデバイス） Faraday効果を利用した光プローブ電流（磁界）センサは，非接触センシングが可能でかつ電磁ノイズの影響を受け難くかつ，高空間分解能なセンサとして注目されている。一方で，数mm幅の平角線のような平面導体に流れる電流を計測する場合，幅方向に対するセンサの位置によって磁界強度が変わるためセンサ出力が変わってしまい，電流の絶対計測が困難であった。発表者らは集磁ヨークを用いて導体周囲の磁束を集めてin-situで全電流の計測が可能な光プローブ電流センサを検討してきた。本発表では小型集磁ヨーク付光プローブ電流センサによる平角線の電流計測を電磁界解析を用いて評価した結果を報告する。
2-062	軟磁性材料の高周波鉄損予測に関する試み
2-062	○高炎輝（大分大学）・関偉民（武漢大学）・村松和弘（佐賀大学）・藤原耕二（同志社大学）電気学会全国大会講演要旨 2-062 軟磁性材料の高周波鉄損予測に関する試み ○高炎輝（大分大学）・関偉民（武漢大学）・村松和弘（佐賀大学）・藤原耕二（同志社大学）高速スイッチング可能な半導体の開発により，電気機器の利用周波域も高くなりつつである。しかし，高周波域での磁気測定には，非常に大容量な電源を備える必要があるため，測定できる周波範囲が制限されることになる。そのため，電気機器の鉄芯として用いられる軟磁性材料の高周波域での磁気特性の予測が必要である。ここでは，軟磁性材料の鉄損計算に関して，離散フーリエ変換を用いて理論的に考察し，鉄損の計算式を導出し，導出された式の中にある係数の低周波域での周波数特性を用いて高周波域での鉄損を予測することを試みる。
2-063	磁場分布計測を用いたバッテリーモジュール内の角型セル構造識別手法の検討
2-063	◎野口直記・塚野聖仁・寺尾美菜子・竹中一馬（横河電機）・岡野隼・大道馨・冨永由騎（本田技術研究所）・尾上由希子（本田技研工業）電気学会全国大会講演要旨 2-063 磁場分布計測を用いたバッテリーモジュール内の角型セル構造識別手法の検討 ◎野口直記・塚野聖仁・寺尾美菜子・竹中一馬（横河電機）・岡野隼・大道馨・冨永由騎（本田技術研究所）・尾上由希子（本田技研工業）同外郭寸法ながら，メーカーが異なる角型セルを用いて構成したバッテリーモジュールの磁束密度分布測定を実施した。その結果，セルの内部構造の違いを反映した固有の磁束密度分布を得た。一方で同セルを用いた単体測定時と異なる磁場分布傾向を示している事から，隣接セルが発する磁場が影響していると考えられる。以上から，角型セルを使用したバッテリーモジュールにおいても内部構造の異なるセルであれば磁束密度分布の測定によってその種類を識別可能であると考えられる。さらに隣接セルも磁束密度分布に影響するため，モジュールから一部のセルが内部構造の異なる他種類の模造品に置き換えられたことも判定できると考えられる。
2-064	漏れ磁束の実測値を用いたMELFによる種々の着磁率に対する永久磁石磁化推定
2-064	◎高野晃成・中村勢到・岡本吉史（法政大学）・冨田直矢・堀充孝（日本電磁測器）電気学会全国大会講演要旨 2-064 漏れ磁束の実測値を用いたMELFによる種々の着磁率に対する永久磁石磁化推定 ◎高野晃成・中村勢到・岡本吉史（法政大学）・冨田直矢・堀充孝（日本電磁測器）永久磁石同期電動機（PMSM）において，より高効率に運用するためには，正確な着磁と評価が必要である。現在，組立後着磁の永久磁石内部の磁化状態を直接評価する方法として，漏れ磁束を用いた永久磁石の磁化推定方法（MELF）が提案されている。本論文では，MELF を用いて，着磁率を 95 % に低下させた状態における永久磁石磁化推定を実施する。また，SiGrad を用いて，全ての永久磁石の磁化推定を行い，両手法より得られた結果を比較することで，MELF の有効性を検証した。
2-065	放射基底関数を用いた学習データ生成に基づく深層ニューラルネットワークによる高速磁化推定器の開発
2-065	◎広瀬友人・岡本吉史（法政大学）電気学会全国大会講演要旨 2-065 放射基底関数を用いた学習データ生成に基づく深層ニューラルネットワークによる高速磁化推定器の開発 ◎広瀬友人・岡本吉史（法政大学）近年，電気自動車の電動車両の操舵性向上に伴い，永久磁石（PM）同期モーターに用いられるPMの磁化分布評価手法の開発が積極化している。そこで筆者らは，深層ニューラルネットワークと磁気センサをマトリックス状に配置した回路基板を連携し，PM内部の磁化を高速に推定できるシステムを開発した。しかし，PMセル数の大規模化に伴い，学習データ数が極端に増える問題があった。そこで本稿では，放射基底関数（RBF）を用いることにより，効率的に学習データを生成する方法を開発し，実用に資する高速磁化推定器を開発したので，その詳細を報告する。

510-B2 磁気応用医療応用3月19日 10:40〜11:40 会場：510
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
2-066	光ポンピング磁力計を用いた増幅DNA結合微粒子の磁気的検出
2-066	○笹山瑛由・中野道彦・稲葉優文・末廣純也（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 2-066 光ポンピング磁力計を用いた増幅DNA結合微粒子の磁気的検出 ○笹山瑛由・中野道彦・稲葉優文・末廣純也（九州大学）感染症の検査の一つに，DNAやRNAを選択的に増幅して検出する核酸増幅検査があり，より迅速・簡便・安価な核酸増幅検査法が求められている。そのような核酸増幅検査法の一つとして，DNA結合の有無によって磁性微粒子の凝集が変化することを利用して目視判定する方法が提案されている。ここで，光学的ではなく磁気的に検出することができれば，さらに迅速・簡便・安価に検査可能となり，また，抗原の定量検査ができる可能性もある。そこで，高感度な磁気センサである光ポンピング磁力計を用いて磁性微粒子の凝集を磁気的に検知するシステムを構築したので報告する。
2-067	高調波磁化を用いた磁気マーカーの状態識別精度の向上
2-067	◎松崎勇海・藤堂瑞貴・吉田敬（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 2-067 高調波磁化を用いた磁気マーカーの状態識別精度の向上 ◎松崎勇海・藤堂瑞貴・吉田敬（九州大学）免疫検査とは，病原菌や環境有害物質などの抗原の種類や量を測定する検査である。磁性ナノ粒子を抗体で表面修飾させた磁気マーカーを用いた磁気的免疫検査は，従来の免疫検査に必要であった洗い工程を省略でき，検査の迅速化が期待される。本研究では，高調波磁化を用いて磁気マーカーの状態識別を行うことで，洗い工程なしでの免疫検査の高精度化を目指した。実験で得られた高調波信号の中から，使用する高調波成分の種類や個数について検討することで，最も高精度に状態識別ができる条件を明らかにした。また，装置のノイズ源を特定し，取得信号のSN比を向上させることに成功した。その結果，5つの高調波成分を用いて1.43μgの誤差を達成した。
2-068	センサアレイを用いた磁気粒子イメージングにおける正則化手法の検討
2-068	◎松下智紀・吉田敬・笹山瑛由（九州大学）電気学会全国大会講演要旨 2-068 センサアレイを用いた磁気粒子イメージングにおける正則化手法の検討 ◎松下智紀・吉田敬・笹山瑛由（九州大学）近年，高分解能かつ非侵襲的な画像診断技術として，磁気粒子イメージング（Magnetic Particle Imaging : MPI）が注目を集めている。そのイメージング方法の一つに，傾斜磁界を用いず磁気センサアレイにより位置推定を行う手法が提案されている。この手法により点状の磁性ナノ粒子サンプルの位置推定に成功しているが，実用的な観点では，連続的に分布した磁性ナノ粒子サンプルの位置推定ができることが望ましい。そこで本稿では，MPIの特性を考慮し，スパース正則化を用いてU字型サンプルの位置推定を行った。再構成のスパース化を促進する正則化，エッジを保存するTV正則化を用いることで，より精度良くU字の形状を捉えるイメージングに成功した。
2-069	Machine Learning-Based Noise Analysis of Magnetization Response Signals for Magnetic Particle Imaging
2-069	◎Naboua Donan Jose Agbehounkpan・Bagus Trisnanto Suko・Yasushi Takemura（Yokohama National University）・Asahi Tomitaka（University of Houston-Victoria/Kennesaw State University）・Satoshi Ota（Shizuoka University）電気学会全国大会講演要旨 2-069 Machine Learning-Based Noise Analysis of Magnetization Response Signals for Magnetic Particle Imaging ◎Naboua Donan Jose Agbehounkpan・Bagus Trisnanto Suko・Yasushi Takemura（Yokohama National University）・Asahi Tomitaka（University of Houston-Victoria/Kennesaw State University）・Satoshi Ota（Shizuoka University） Magnetic particle imaging (MPI) is a new tomographic imaging technique that uses the non-linear response of magnetic nanoparticles (MNPs). Applying an oscillating magnetic field with frequency f0 and sufficiently high amplitude A to MNPs cause them to exhibit magnetization M(t), where t is time. M(t) consists not only the applied frequency f0 but also the harmonic frequencies. Odd-harmonic frequencies can be isolated from an incoming signal using various filtering methods. However, noise is widespread during measurement, which reduces the signal quality and makes the retrieval of the desired frequencies challenging. The goal of this study was to demonstrate that machine learning approaches can be used to target specific types of noise, such as Gaussian or 1/f noise, and remove them from the measured signal, thereby increasing signal quality.
2-070	Rotatable/Nonrotatable磁気粒子の磁化緩和過程の測定
2-070	◎李承周・Suko Bagus Trisnanto（横浜国立大学）・大多哲史（静岡大学）・竹村泰司（横浜国立大学）電気学会全国大会講演要旨 2-070 Rotatable/Nonrotatable磁気粒子の磁化緩和過程の測定 ◎李承周・Suko Bagus Trisnanto（横浜国立大学）・大多哲史（静岡大学）・竹村泰司（横浜国立大学）粒径が数10 nm 程度の磁性ナノ粒子は，磁気粒子イメージングでのトレーサやがん温熱治療（ハイパーサーミア）での発熱体などの医療応用に期待されている。パルス磁界を印加させた際の磁気粒子の磁化応答から腫瘍の性状を判定する手法が提案され，交流磁界を印加した際の磁化応答では得られない情報を活用できることがわかってきている。本研究では，医療応用において重要となる磁気粒子の磁化応答を測定することを目的としており，今回は印加した磁界をゼロに減じる際の磁化応答に着眼し測定を行った。この実験結果は，ネール緩和（粒子内部の磁気モーメントの回転）とブラウン緩和（粒子自体の回転）が独立して生じることを示している。

510-C1 磁性材料ソフト・ハード磁性材料3月20日 9:00〜10:00 会場：510
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
2-071	塗布法により成膜したフレキシブル磁性ガーネット薄膜の磁気光学特性の評価
2-071	◎玉村拓也・高野巧光・橋本良介（鈴鹿工業高等専門学校）・後藤太一・宮下響（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 2-071 塗布法により成膜したフレキシブル磁性ガーネット薄膜の磁気光学特性の評価 ◎玉村拓也・高野巧光・橋本良介（鈴鹿工業高等専門学校）・後藤太一・宮下響（東北大学）磁気光学イメージングは，被検体欠陥から漏洩する磁場を可視化する非破壊試験に応用されている。磁性ガーネット薄膜を磁界センサとして利用することで，高い感度と優れた空間分解能を実現できる特徴がある。本研究は，フレキシブル基板を用いることで曲面への対応を可能にした。しかし，ファラデー回転角が評価できておらず，磁界センサとしての特性が評価できていない。そこで，スピンコートにより作製したフレキシブル磁性ガーネット膜のファラデー回転角を測定し，光学特性を明らかにした。ファラデー回転角スペクトルを測定した結果，波長500 nm付近でピークを示しており，その値は約0.4度であった。今後は重ね塗りによる厚膜化を図り，ファラデー回転角を改善する計画である。
2-072	圧粉磁心における磁気特性の樹脂含有量による影響
2-072	◎児玉雄大・阿加賽見・宮崎孝道・室賀翔・遠藤恭（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 2-072 圧粉磁心における磁気特性の樹脂含有量による影響 ◎児玉雄大・阿加賽見・宮崎孝道・室賀翔・遠藤恭（東北大学）受動素子の小型化，低損失化に向けて，高飽和磁束密度かつ高抵抗である圧粉磁心が注目されている。本研究では，圧粉磁心の特性向上へ向けて絶縁材料の含有量を変化させた圧粉磁心を作製し，その構造と磁気特性について検討した。樹脂含有量が増加すると，絶縁層が厚くなり，粒子間距離が増加するため，作製した磁心の密度は減少し，飽和磁束密度と透磁率も減少した。磁心の鉄損については，樹脂含有量が増加するとヒステリシス損失は増加した。一方で，樹脂含有量0.3-3.0 wt%の範囲で動的損失はほとんど変化しなかった。この結果より，樹脂含有量が0.3 wt%と少ない場合でも粒子間の渦電流を抑制できることを示唆している。
2-073	サブミクロンサイズのFe-B微粒子からなるトロイダルコアにおける磁気特性
2-073	◎増本千裕・児玉雄大・宮崎孝道・阿加賽見・室賀翔・遠藤恭（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 2-073 サブミクロンサイズのFe-B微粒子からなるトロイダルコアにおける磁気特性 ◎増本千裕・児玉雄大・宮崎孝道・阿加賽見・室賀翔・遠藤恭（東北大学）水溶液還元反応法を用いて合成したサブミクロンFe-B微粒子からなる圧粉磁心の構造および磁気特性について報告する。合成したFe-B微粒子は粒径0.96-1.66μmの分散した球状粒子であった。作製したトロイダルコアにおける一周期あたりのコアロスは5MHz付近までおおよそ一定であった。これは小さい粒径によって高周波帯において渦電流が抑制されていたことによると考えられる。以上の結果は，サブミクロンサイズの球状粒子を用いたトロイダルコアは数MHz帯域での利用に適していることを示唆している。
2-074	放電プラズマ焼結法により作製したSmFe₁₂系磁石の磁気特性
2-074	○齋藤哲治（千葉工業大学）電気学会全国大会講演要旨 2-074 放電プラズマ焼結法により作製したSmFe₁₂系磁石の磁気特性 ○齋藤哲治（千葉工業大学）急冷凝固法によりSmFe₁₂系合金急冷薄帯を作製し，得られたSmFe12系合金急冷薄帯に熱処理を施した。また，SmFe₁₂系合金急冷薄帯を粉砕した粉末より放電プラズマ焼結法でSmFe₁₂系磁石の作製を試みた。急冷凝固法により作製したSmFe₁₂系合金急冷薄帯はほとんど保磁力を示さないが，SmFe₁₂系合金急冷薄帯に熱処理を施した試料は大きな保磁力を示すことがわかった。また，放電プラズマ焼結法により作製したSmFe₁₂系磁石もSmFe₁₂系合金急冷薄帯に熱処理を施した試料と同様に大きな保磁力を示すことがわかった。
2-075	LIFT法で作製したNd-Fe-B系マイクロ磁石の保磁力向上に関する検討
2-075	◎田原楽飛・東倖主・網屋拓輝・轟木捷斗・山下昂洋・柳井武志・中野正基・福永博俊（長崎大学）電気学会全国大会講演要旨 2-075 LIFT法で作製したNd-Fe-B系マイクロ磁石の保磁力向上に関する検討 ◎田原楽飛・東倖主・網屋拓輝・轟木捷斗・山下昂洋・柳井武志・中野正基・福永博俊（長崎大学）すでに我々は，マイクロ磁石の応用を更に進展させるために，他のデバイスや低融点材料との共存を鑑み，LIFT法を用いて，熱処理を施すことなく，Nd-Fe-B系マイクロ磁石を基板上に作製できる結果を報告した。しかしながら，ドナーの保磁力とLIFT・マイクロ磁石の保磁力の間に相関関係が見られない，すなわちドナーの保磁力を200から1000 kA/mまで向上させても，LIFT・マイクロ磁石の保磁力は最大で約200 kA/mの値にとどまり，保磁力向上が一つの課題となっている。本研究では，ドナーの膜厚と照射するレーザのエネルギー密度の関係を検討することで，LIFT法により保磁力500 kA/mを超えるマイクロ磁石を得られたので報告する。

510-C2 磁性材料電力用磁性材料3月20日 10:40〜11:28 会場：510
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
2-076	インバータ励磁下の鉄損に及ぼす無方向性電磁鋼板の結晶粒径，硬さの影響
2-076	○財前善彰・大久保智幸・尾田善彦・大村健・中村公二（JFEスチール）・宮城大輔（千葉大学）電気学会全国大会講演要旨 2-076 インバータ励磁下の鉄損に及ぼす無方向性電磁鋼板の結晶粒径，硬さの影響 ○財前善彰・大久保智幸・尾田善彦・大村健・中村公二（JFEスチール）・宮城大輔（千葉大学）無方向性電磁鋼板はモータの鉄心材料として広く使用されているが，モータの駆動においては制御性向上の観点からインバータを用いたPWM (Pulse Width Modulation)制御が一般的に採用されている。このようなインバータ励磁下では電圧波形に重畳する高調波によって鉄損が増加することが知られているが，材料因子との関係に着目した検討例は少ない。そこで，本研究では電磁鋼板のインバータ励磁下の鉄損に及ぼす結晶粒径，硬さの影響について調査した結果，インバータ励磁下の鉄損増加量は，素材の硬さ，および結晶粒径の依存性を示し，硬さの高い材料，および結晶粒径の小さい材料の方が高調波重畳下における鉄損増加が小さいことが明らかになった。
2-077	方向性電磁鋼板の動的磁区観察のための励磁・撮影周期非同期法の提案
2-077	○若林大輔・米良弘樹・岡茂八郎・榎園正人（日本文理大学）・石山和志（東北大学）電気学会全国大会講演要旨 2-077 方向性電磁鋼板の動的磁区観察のための励磁・撮影周期非同期法の提案 ○若林大輔・米良弘樹・岡茂八郎・榎園正人（日本文理大学）・石山和志（東北大学）近年の省エネ化の要望により電気機器の高効率・低損失化が求められている。損失の一つである鉄損は機器内部の鉄心から生じており鉄心には電磁鋼板が使用されている。強磁性体である電磁鋼板は磁区構造を有し，磁区挙動が磁気特性として現れるため，電磁鋼板の磁化状態を知るためにも磁区観察からの検討も行われている。著者らは磁気光学(MO)センサを用いた安価で簡易的に磁区観察が行えるシステムを構築し，大津の二値化を用いた画像処理，励磁・撮影周期同期法を提案し動的磁区観察結果を報告した。本論文では，より容易に且つフレーム数の多い動的磁区画像を得るために励磁・撮影周期非同期法を提案し，この手法について検証した結果を報告する。
2-078	単板試験における鉄損値の雰囲気温度依存
2-078	○沓掛暁史・城門由人・池田哲（大分県産業科学技術センター）電気学会全国大会講演要旨 2-078 単板試験における鉄損値の雰囲気温度依存 ○沓掛暁史・城門由人・池田哲（大分県産業科学技術センター）モータや変圧器等の電気機器の材料である電磁鋼板を有効に活用するため，その磁気特性の測定が重要である。電磁鋼板の磁気測定法は，IEC（国際電気標準会議）やJIS（日本産業標準）等で規格になっており，単板試験法ではIEC 60404-3やJIS C 2556が該当する。これらの測定再現性が重要な試験規格では，試験環境の温度（雰囲気温度）が指示されることが多い。前述のIEC 60404-3やJIS C 2556では，雰囲気温度は（23±5）℃と示されている。本稿では，JIS C 2556規格に従った単板試験において，雰囲気温度の変化と鉄損値との関係について検討した。
2-079	同軸Hコイル法を用いた磁性ワイヤーの磁気特性評価
2-079	◎佐竹幸栄・下地広泰・沓掛暁史・城門由人・池田哲（大分県産業技術センター）・木下創（住友重機械工業）・相原茂（ブライテック）・佐藤尊・戸高孝（大分大学）電気学会全国大会講演要旨 2-079 同軸Hコイル法を用いた磁性ワイヤーの磁気特性評価 ◎佐竹幸栄・下地広泰・沓掛暁史・城門由人・池田哲（大分県産業技術センター）・木下創（住友重機械工業）・相原茂（ブライテック）・佐藤尊・戸高孝（大分大学）近年，カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の中にある自動車や航空機の電動化があり，モータコアの高効率および出力向上が求められる。そのために新しい軟磁性材料の開発が行われている。その中で，軟磁性材料を細くワイヤー形状に加工する研究が行われている。この加工した磁性ワイヤーを使用してモータコアを設計する際に磁性ワイヤーの磁気特性が必要になる。しかし，磁性ワイヤーの磁気特性測定法は確立されていない。そこで，本研究では磁性ワイヤーの磁気特性測定法として同軸Hコイル法を提案する。同軸Hコイル法を用いて磁性ワイヤーの磁気特性評価を行い，ワイヤー形状にする前の板状の鉄損結果と比較評価を行った。