一般講演

論文一覧

510-A3 医用電子・電気通信3月18日 13:00〜14:48 会場：510
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
3-001	水中放電波形が染色液の脱色に与える影響
3-001	○小松真（岩手医科大学）電気学会全国大会講演要旨 3-001 水中放電波形が染色液の脱色に与える影響 ○小松真（岩手医科大学）当方ではパルス水中放電で染色液の脱色を計測する際，低電流電源から電源を変更した結果，放電波形に変化が見られ染色液の脱色結果にも影響があった。濃度20mg/Lインジゴカルミン溶液10mLに10放電を作用させ脱色を行い，610 nm の吸光分光で脱色を評価した。+4kV で0.2uFの高耐圧コンデンサーを充電し，0.45mm径電極間距離18mmの対向電極間の絶縁破壊放電を用いた。この充電に用いた電源を従来80uA低電流電源から10mAの電源に変更した結果，放電電流波形について違いが生じ，二段階の放電のうち1回目の放電の電流が約4.5倍となった。また電源変更前までは15 mg/L 以下まで脱色されなかったが，電源変更後は多くの場合で 1 mg/L 以下まで脱色され，大きく脱色性能が向上した。
3-002	Speech-Based Detection of Mild Cognitive Impairment using Acoustic Features
3-002	○Shiannfong Huang・Ching-Kai Chen・Jun-Yi Lin（Asia Eastern University of Science and Technology）電気学会全国大会講演要旨 3-002 Speech-Based Detection of Mild Cognitive Impairment using Acoustic Features ○Shiannfong Huang・Ching-Kai Chen・Jun-Yi Lin（Asia Eastern University of Science and Technology） This study introduces a speech-based system for detecting mild cognitive impairment (MCI) by analyzing specific acoustic features. With the growing need for early diagnosis of MCI, which often precedes more severe neurodegenerative diseases, this system applies speech signal processing to capture linguistic markers associated with cognitive decline. Our findings indicate that acoustic features, including pauses, repetition rates, and pitch variations, provide reliable indicators of MCI, supporting the potential of non-invasive, accessible screening tools.
3-003	SSVEP型BCIにおける欲求の度合いおよびアイコン形式と意思判読精度
3-003	◎谷菜々子・島⽥尊正（東京電機⼤学）電気学会全国大会講演要旨 3-003 SSVEP型BCIにおける欲求の度合いおよびアイコン形式と意思判読精度 ◎谷菜々子・島⽥尊正（東京電機⼤学） Brain Computer Interface (BCI)は脳波から直接意思を読み取る技術である。本研究では脳波特徴波である定常視覚誘発電位(SSVEP)を用いたBCIにおいて，2種類の生理的欲求（食事と水分補給）を読取る際の，人・物・文字の3種類のデザインのアイコンを作成し，アイコンのSSVEPパワーとアイコン呈示時の心理的評価の関係を調査した。SSVEPパワーを目的変数，心理的評価を説明変数とした有意水準5%の重回帰分析の結果，水分補給の文字アイコンの理解度で有意な負の標準偏回帰係数が得られたことから，アイコンが示す欲求の種類を理解しづらいほどSSVEPパワーが大きくなることが示された。
3-004	腹部埋込型医療機器への容量結合型WPTにおける皮下脂肪厚の影響評価
3-004	◎小玉美悠・村松大陸（電気通信大学）電気学会全国大会講演要旨 3-004 腹部埋込型医療機器への容量結合型WPTにおける皮下脂肪厚の影響評価 ◎小玉美悠・村松大陸（電気通信大学）慢性難治性疼痛の治療法である脊髄刺激療法では，下腹部に埋め込んだ神経刺激装置に電力を供給する必要がある。この際，体外からのワイヤレス給電(WPT)によって刺激装置を充電できれば，外科手術による頻繁なバッテリー交換が不要となり，患者のQoLが向上する。WPTでは一般に誘導結合型が採用されている。誘導結合型WPTは80％超の伝送効率を実現できる一方，コイル位置ずれの影響を受けやすい問題がある。この問題に対して，高効率と位置ずれ耐性を両立できる容量結合型WPTが注目されている。本研究では，神経刺激装置などの腹部埋込型医療機器向けの容量結合型WPTにおける機器埋込位置や患者体型の個人差を考慮した設計ガイドラインを示すため，機器埋込位置の皮下脂肪厚が伝送効率におよぼす影響を，FDTD法を用いた電磁界解析により評価した。
3-005	5G対応分散アンテナシステムのTDDタイミング検出におけるサンプリング位相最適化手法
3-005	○杉本雅彦・正木克実・飯田康隆（東芝インフラシステムズ）電気学会全国大会講演要旨 3-005 5G対応分散アンテナシステムのTDDタイミング検出におけるサンプリング位相最適化手法 ○杉本雅彦・正木克実・飯田康隆（東芝インフラシステムズ）分散アンテナシステム（DAS: Distributed Antenna System）を複数の携帯電話事業者で共同利用する場合，携帯電話事業者ごとに，上り通信と下り通信を時間的に切り替える TDD（Time Division Duplex）タイミングを検出する必要があり，装置の構成を簡易にするために，TDD タイミング検出回路の小規模化が求められている。今回，5G 対応 DAS において，送信側と受信側でデジタル信号をサンプリングするタイミングのずれ，すなわち，サンプリング位相の乖離が生じた場合でも，演算量の多い処理を用いることなく，5G TDD 信号の切り替えタイミングが検出可能になるサンプリング位相最適化手法を提案する。
3-006	車両サイズと速度を考慮した出会い頭衝突防止システムに対する一検討
3-006	◎村越陽・佐々木芳樹（日本大学）電気学会全国大会講演要旨 3-006 車両サイズと速度を考慮した出会い頭衝突防止システムに対する一検討 ◎村越陽・佐々木芳樹（日本大学）近年，見通しの悪い交差点の出会い頭事故を未然防止することを目的に，死角からの接近車両を事前検知する研究が行われている。先に我々は，GPSデータをBLEのブロードキャスト通信することによる出会い頭事故防止システムを提案し，衝突予測地点を事前に推定可能であることを示した。しかし，衝突の未然防止には，衝突予測地点に加えて，車両サイズと速度を考慮した衝突地点通過時刻の検討が必要である。本稿では，車両サイズと速度から推定した衝突予測エリアへの突入時刻，およびエリアからの離脱時刻を推定し，実際に衝突する可能性があるか検討を行った。結果，衝突予測エリアから36m手前から衝突の警告が可能であり，衝突可能性が低い状況では不要な警告を行わないことを明らかにした。
3-007	距離による通信環境変化に強化学習アルゴリズムで対応した2チャンネル選択の実験
3-007	◎栗栖広士郎・坪井凜（明治大学）・藤本錦之介（東京理科大学）・関根かをり・和田和千（明治大学）・長谷川幹雄（東京理科大学）・原紳介・田野井聡・笠松章史（情報通信研究機構）・松崎平蔵（明治大学）電気学会全国大会講演要旨 3-007 距離による通信環境変化に強化学習アルゴリズムで対応した2チャンネル選択の実験 ◎栗栖広士郎・坪井凜（明治大学）・藤本錦之介（東京理科大学）・関根かをり・和田和千（明治大学）・長谷川幹雄（東京理科大学）・原紳介・田野井聡・笠松章史（情報通信研究機構）・松崎平蔵（明治大学）通信経路探索を多本腕バンデッド問題として解く研究がある。従来の研究では，アクセスポイント（AP）の通信品質をスロットマシンとして扱い，無線LAN機器1台で構成していた。本研究では，2台の実機でAPを設定し，距離に応じた通信環境の変化に対応するシステムを提案し，2本腕バンデット問題を解決する方法を検討した。クライアントとAPにはRaspberry Piを使用し，通信状況を距離の変化によって動的に変える実験を行った。チャネル選択は，カオス信号としきい値の比較に基づき，選択されたチャネルにpingを送信してその結果を反映させる。実験の結果，通信環境が変化しても正しいチャネルを選択できることを確認したが，環境変化後に適応するまでの時間が課題として挙がった。今後は，通信サイクル時間のばらつきの改善と，強化学習システムの専用ハードウェア実装を目指す。
3-008	鉄塔部材による電波伝搬への影響に関する一検討
3-008	○宮下充史（電力中央研究所）電気学会全国大会講演要旨 3-008 鉄塔部材による電波伝搬への影響に関する一検討 ○宮下充史（電力中央研究所）電力設備は国民生活を支える重要なインフラであり，安定した電力共有を維持するために保守・点検には多大な労力を要する。少子高齢化が進む我が国において，ICTを活用した保守・点検業務の効率化，設備の遠隔監視化は喫緊の課題である一方，電力設備は携帯電話のサービスエリア外である山間地等に敷設されている場合がある。このような箇所に対しては自営網を構築する必要があり，筆者らは画像等を活用した高度な設備監視を目的に，送電鉄塔上に25 GHz帯FWAを適用した遠隔監視システムを提案し，その評価を行ってきた。本稿では，電波伝搬路近傍に存在する送電鉄塔が電波伝搬に与える影響について考察した結果を述べる。
3-009	真空の誘電率の変化と異空間への接続
3-009	○三森基輝（スフェリカルイメージング）電気学会全国大会講演要旨 3-009 真空の誘電率の変化と異空間への接続 ○三森基輝（スフェリカルイメージング）理論的研究の結果，真空の誘電率が変化する，と予想するに至った。その変化はプラス方向，マイナス方向双方向に可能で，この結果から帰結される予想として，真空の誘電率が時間変化しながら真空中を伝播するε波の存在，そして真空の誘電率が負となったときに現れる異空間との接続点となる特異な空間の存在が挙げられる。本講演では，特に異空間に焦点を当て，我々が住むこちらの実数空間と虚数空間である異空間の接続方法について，電気回路（装置）の構造を含め，可能な限り詳細に説明する。

510-A1 ニューラルネットワーク・電子回路3月18日 9:00〜10:24 会場：510
講演番号	タイトル
講演番号	著者名（所属名）
3-010	低電圧動作パイキングニューロン回路のIC実装と実測
3-010	○佐々木芳樹佐々木芳樹（日本大学）電気学会全国大会講演要旨 3-010 低電圧動作パイキングニューロン回路のIC実装と実測 ○佐々木芳樹佐々木芳樹（日本大学）近年，自律型機械による労働力代替を目的に，生体脳の働きをスパイキングニューロンモデルとして再現する研究が行われている。先に我々は，低消費電力動作を目的にスパイキングニューロンモデルであるパルス型ハードウェアニューロンモデルの低電圧化について提案を行ったが，基盤の寄生ダイオードも漏れ電流を用いる構造上，ICチップとして実装する際の影響について検討を行っていない。今回，標準的なサブミクロンCMOSプロセスを用いて低電圧化モデルを実装し，各種特性について実測を行った。その結果，他励振モデルにおいて低電圧化動作を確認したので報告する。
3-011	パルス型ハードウェアカオスニューロンモデルを用いた自己組織化マップのためのBest Matching Unit決定回路に対する一検討
3-011	◎牛島爽介・佐々木芳樹（日本大学）電気学会全国大会講演要旨 3-011 パルス型ハードウェアカオスニューロンモデルを用いた自己組織化マップのためのBest Matching Unit決定回路に対する一検討 ◎牛島爽介・佐々木芳樹（日本大学）近年，脳が持つ処理能力および低消費電力性を，スパイキングニューラルネットワークで再現する研究が行われている。先に我々は，標準的なCMOSプロセスのみで構築可能なP-HCNMを用いた全結合ネットワークを検討した。しかし，学習には教師信号を用いる必要があり，教師信号を与えることが難しいリアルタイムな環境に適応することが困難であった。本稿では，教師なし学習の一種であるSOMをスパイキングニューラルネットワークとして実装するため，入力ベクトルと参照ベクトルのユークリッド距離に応じて出力電流を制御可能な参照電圧比較回路を用いることで，SOMの特性である類似したデータの抽出が出来ることを明らかにした。
3-012	パルス型ハードウェアカオスニューロンモデルを用いた階層型ニューラルネットワークの構築の文字画像認識における一検討
3-012	◎今村楓也・佐々木芳樹（日本大学）電気学会全国大会講演要旨 3-012 パルス型ハードウェアカオスニューロンモデルを用いた階層型ニューラルネットワークの構築の文字画像認識における一検討 ◎今村楓也・佐々木芳樹（日本大学）生体を模倣した脳型コンピューティングの研究を行っている。先に我々は,教師信号を用いた非対称窓STDP 回路を用いた階層型ニューラルネットワークによるデータ分類処理が可能であることを明らかにした。しかし教師信号を用いることを考えた場合，入力信号と教師信号の出現順序ではなく同期性により学習を行うこととなるが，同期性により学習を行う対称窓STDPを用いた検討を行っていない。本稿では,P-HCNM 及び対称窓STDP 回路を用いた階層型ニューラルネットワークで，文字画像データの教師信号の同期生による学習および想起によりデータの分類処理が可能であることを明らかにしている。
3-013	低電圧化可能なP-HCNMを用いて構築したホップフィールドネットワークの一検討
3-013	◎大沼亮介・佐々木芳樹（日本大学）電気学会全国大会講演要旨 3-013 低電圧化可能なP-HCNMを用いて構築したホップフィールドネットワークの一検討 ◎大沼亮介・佐々木芳樹（日本大学）本稿では，低電源電圧で動作可能なカオス発振を有するパルス形ハードウェアニューロンモデル（P-HCNM）を用いたホップフィールドネットワークの構築と基本的な想起動作の検討を行った。先行研究では，P-HCNMを用いたネットワーク構築に向けて，従来電圧で動作する遅延回路を接続可能なレベルシフト回路を提案していたが，これを用いたネットワークの構築および想起動作の検証は未実施であった。本研究では，P-HCNMを基盤とし，ネットワーク内の回路を低電源電圧動作可能な全結合型ホップフィールドネットワークを構築した。また，このネットワークを用いて基本的な想起動作を解析し，その有効性を確認したので報告する。
3-014	発火頻度変動を利用したリザバー層における履歴保持に対する一検討
3-014	◎山口明伸・佐々木芳樹（日本大学）電気学会全国大会講演要旨 3-014 発火頻度変動を利用したリザバー層における履歴保持に対する一検討 ◎山口明伸・佐々木芳樹（日本大学）近年，時系列データ処理に優れるリザバーコンピューティング(RC)が注目されている。先に我々は，スパイキングニューロンモデルであるP-HCNMを用いて構築したネットワークをリザバー層として用いる検討により，リザバー内に発火頻度として履歴情報が保存されていることを明らかにした。しかし，従来の単純なON/OFF型シナプスモデルでは，1経路毎に発火頻度が大きく減少する問題があった。本稿では，指数関数型シナプスモデルを用いてリザバー層を構築し，過去の時系列データの影響が保存されているかを発火頻度に着目して検討した。その結果，提案モデルにより発火頻度減少を抑制でき，ネットワークが履歴情報を保存することを明らかにした。
3-015	2入力積和演算回路を複数用いた光リザバーシステムの評価
3-015	◎草野圭祐・大塚雄太・関根かをり・和田和千（明治大学）・砂田哲（金沢大学）・原紳介・田野井聡・笠松章史（情報通信研究機構）電気学会全国大会講演要旨 3-015 2入力積和演算回路を複数用いた光リザバーシステムの評価 ◎草野圭祐・大塚雄太・関根かをり・和田和千（明治大学）・砂田哲（金沢大学）・原紳介・田野井聡・笠松章史（情報通信研究機構）高速で低消費電力な光リザバーコンピューティングは，全ての処理を光のみで行うのが難しく，出力段に積和演算を行うアナログ電子回路が注目されている。先行研究でCMOS65nmプロセスによる電圧出力の2入力積和演算回路の設計が行われた。本研究では，この回路に変更を加えて電流出力とし，出力電流をチップ外で加算を行うことで多入力化を実現する。本回路を4つ用いて8入力とし，光リザバーの出力データを用いたシミュレーションを行った。この結果とターゲットデータの正規化二乗平均誤差(NMSE)を用いて評価する。 NMSEは理想乗算器の場合0.1106，本回路では0.2999であった。
3-016	微小位相差計測における同相信号除去の検討
3-016	○清水暁生・佐々木優希・大橋巧・野口卓朗・石川洋平（有明工業高等専門学校）電気学会全国大会講演要旨 3-016 微小位相差計測における同相信号除去の検討 ○清水暁生・佐々木優希・大橋巧・野口卓朗・石川洋平（有明工業高等専門学校）介護負担軽減を目的に膀胱内尿量を計測する技術が多く提案されている。本研究室では，簡素な回路構成で高精度な計測が可能な微小位相差計測回路を提案している。しかし，回路特性上，同相信号の除去が難しいという課題があった。本研究では，Band Elimination Filter（BEF）を用いたフィードフォワード回路を導入し，この課題を解決する新しい微小位相差計測回路を設計した。シミュレーション結果により，提案回路が従来回路に比べて同相信号ノイズを効果的に抑制できることを確認した。本稿では，回路動作の詳細とその有効性について述べる。