セッション一覧

9月12日現在の登録データをもとに作成しております。

下線付き氏名は講演者を示します。

講演番号を□印で囲んだ講演は英語講演を示します。

6講演以上のセッションでは,3講演後に10分間の休憩があります。


  • セッションNo.85 車両開発I
  • 10月23日 会議室1+2 9:30-11:10
  • 座長:プラムディタ・ジョナス アディティヤ(日本大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

流体,構造解析のワンプラットフォーム解析技術の構築(第一報)

栗原 博・繪上 悠(本田技研工業)・項 殿祥・Anh Viet Nguyen・Nam Ha Tran(テクノスター)

本研究では,構造解析に用いるメッシュをベースに,熱流体解析用のモデルを効率良く作成可能な技術の構築を試みた.本論文では,構築した技術を紹介すると共に,構築した技術を二輪車の排気系部品の内部ガス流れを考慮した温度予測解析に適用した際の解析精度,解析リードタイムの削減効果について報告する.

2

車両の多機能同期開発に向けたドライビングシミュレータとパワートレーンベンチ連携による評価法開発

石垣 彰一・日下部 卓也・正 浩志・日浅 康博・森口 龍太郎・飯澤 侑貴(トヨタ自動車)

ドライビングシミュレータとパワートレーンベンチを連携させることで,操縦安定性,ドライバビリティ,燃費,NVを同期開発する評価法を開発.ドライビングシミュレータに実装するモデルの中でも,精度が要求されるパワートレーンとECUは実機に置き換え,官能評価とパワートレーン制御適合評価の同時開発を実現.

3

空力騒音を代表例とした分割式の新しいモックアップモデルを利用したアジャイル開発手法の紹介

中島 崇宏(本田技研工業)・磯 拓弥(オートテクニックジャパン)・金 尚雨(パーソルクロステクノロジー)

自動車開発において,A-PLRやドアミラーといった部品はデザインと性能の両立が必要であり,各デザインに対し,性能見解を素早く出す必要がある.この課題に対し,著者らは車体モックの一部を分割式とし,光造形で作成した部品への組み換えを可能とすることで,アジャイル開発を行った.本講演にてこの開発手法を紹介する.

4

Development of Pedal Robot for Vehicle Testing on Chassis Dynamometer

Daeyup Lee (Inha Univeristy / SPLT)・Byeonghee Choi (Inha Univeristy)・Sungwoon Choi (Inha Univeristy / SPLT)・Jimyeong Kang (Inha Univeristy)・Yechan Jo・Hyunwoo Shin (Inha Univeristy / SPLT)・Seoyeon Jeon (Inha Univeristy)・Jongtae Lee・Jongmin Kim・Keonwoo Kang・Jaesik Shin (National Institute of Environmental Research)・Hiroaki Suzuki・Sohju Tominaga (Japan21)

The use of test robots is increasing in automobile tests using chassis dynamometer such as driving tests of electric vehicles. Automotive test robots on the market are known to have problems such as inconvenience in use, installation time, and calibration time due to changes in vehicle type. This study conducted research to develop an automobile test robot with improved ease of use. In order to develop a test robot with pedal movements similar to human driving movements, a pedal robot capable of manipulating the brake pedal and accelerator pedal with a three-degree-of-freedom structure was developed and its performance was evaluated.

  • セッションNo.86 車両開発II
  • 10月23日 会議室1+2 12:10-14:15
  • 座長:須藤 晶(本田技術研究所)
No. タイトル・著者(所属)
1

実走行シミュレーションを用いた乗り心地ボデー開発

粟生 知矢・鴫原 孝佳(トヨタ自動車)

車の乗り心地性能開発では,近年,”質感”などと表現される高周波域の振動現象が指摘されている.
 本論では,実走行シミュレーションを活用して,実働時のボデー振動モードを解析.高周波域におけるボデー構造の弱点を明確化,製造工程変更を含む構造変更につなげた.作成した実車にて”質感”の改善を確認した.

2

適応サンプリングに基づく差分進化を用いたオフロード車両の多性能両立設計

河村 拓昌・津田 和希・菅井 友駿・新谷 浩平・西川 幸治(トヨタ自動車)

オフロード車両における悪路走行時には,サスペンション特性の調整により乗員の乗り心地性能の向上が図られる.一方,乗り心地性能に寄与するサスペンション特性は,岩石等の乗り越えによる路面からの入力荷重荷重の大きさと背反する可能性がある.異なる複数の性能指標を両立させるためには,従来,試行錯誤的に設計変数の最適組合せを探索していた.本論文では,差分進化法を応用した新しいデータ駆動型セットベース設計法を用いたオフロード車両の初期性能設計法を示す.

3

製造・性能制約を考慮可能なフードマスチック自動配置技術の開発

大塚 紀子・小野寺 啓祥・谷口 真潮・木村 成竹(トヨタ自動車)

現在のフード開発では,マスチック間距離や配置可能エリア等の多くの製造制約があり,それらと張り剛性性能を両立させる為にマスチックの配置とCAE評価を繰返している.本研究では,マスチック配置検討効率化を目的に,AIを用いた張り剛性予測と自働配置で成立配置パターンを短時間で生成可能な設計技術を開発した.

4

機械学習を利用したFDS(Flow Drilling Screw)接合の破断予測手法の開発

中條 昂司郎・佐藤 浩史・石橋 慶輝・井原 久・松岡 久祥(日産自動車)

FDS接合は,アルミ材同士の接合やアルミ―鉄鋼材などの異材接合も可能なため採用例が増している.本報は,CAEでの衝突現象の再現を目的にテストピース試験結果を機械学習したモデルを作成し,破断荷重・破壊モード推定に利用・精度の検証をした事例を報告する.

5

アルミ鋳物を含むアーク溶接部のCAEモデルの開発
-多点拘束機能を用いた疲労強度予測手法の開発-

市川 友理・浦川 和士・新里 映太・河村 拓昌・磯野 志之(トヨタ自動車)

ボデー骨格にアルミ鋳物が採用され,その接合手法としてアルミアーク溶接が検討されている.疲労強度設計において溶接継ぎ手部の疲労強度の把握が重要であるが,鋳物母材と板物母材を結合するアーク溶接のCAEモデルは存在しない.今回は,新規に多点拘束機能を用いたモデルを開発し,疲労強度評価が可能となったことを示す.

  • セッションNo.87 車両開発III
  • 10月23日 会議室1+2 14:55-17:00
  • 座長:櫻井 俊明(元いわき明星大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

A Study on Improving Correlation between Analysis and Test Results for Vibration Fatigue Durability and Computational Fluid Dynamics

GeonHee Cheon・NamJin Kim・JinKyu Song・WonSeok Choi・JungSub Kim (Seojin Industrial)・GyuHo Shim (Eco-Plastic)

The purpose of CAE analysis is to anticipate the performance of vehicle components in advance of making the prototype. It is an important tool for effectively cutting the costs and time during the product development process. Thus, maintaining the accuracy of analysis results is critical and further study is necessary to improve the correlation with test outcomes. Consequently, this paper aimed to describe the correlation between analysis and test outcomes during the battery case and chassis frame development process under three topics including : vibration fatigue durability, pressure drop and electrodeposition coating (E-Coat).

2

A Study on the Development of High Strength Rear Trailing Arm for Electric Vehicles

HeeSang Gong・JinKyu Song・JinSung Kim・MoonSub Song・HoSang Park・DongHoon Kim (Seojin Industrial)

Due to global environmental regulations, the automotive industry is focusing on developing electric vehicles to reduce greenhouse gas emissions. The main parts of an electric vehicle is a battery pack, and the weight of the car is gradually increasing due to the increase in battery capacity. As the weight of the vehicle increases, the development of high strength chassis parts is required. This paper describes the process of developing a high strength rear trailing arm for EV vehicles. The main topics include formability verification for high strength steel and performance verification through test and CAE Analysis.

3

形状生成AIを使ったサロゲートモデルの精度向上技術の開発

小野寺 啓祥・大塚 紀子・谷口 真潮・木村 成竹(トヨタ自動車)

外板パネルのサロゲートモデルの性能予測精度向上のために,学習不足空間を探査し,不足空間に対して形状生成AIにて新規学習データを作成,追加,学習を繰り返すサイクルを構築し,フードアウタパネルで実証した.生成形状を学習データに加えてサロゲートモデルを更新することで予測精度が向上することを確認した.

4

クラッシュボックス性能評価サロゲートモデル構築の検討

和田 義孝(近畿大学)・遠藤 明香(マレリ)・奥本 悠季(マツダ)・森本 海(デンソー)・菊地 太季(ダイハツ工業)

機械学習を用いた物理問題のサロゲートモデル構築への期待は年々高まっており.利用方法と構築方法への理解が実用化の重要な鍵となっている.本研究では,クラッシュボックスをイメージした矩形筒形状を対象として最大反力およびエネルギ吸収を予測するサロゲートモデル構築を試みた.機械学習の手法は,ニューラルネットワークおよび決定木で予測器の構築を行った.現象をより線形に近い形で表すパラメータの導入が精度向上には必要であるため入力データ設計を実施した.また,座屈モードの違いにより精度向上が阻害されるデータの分析についても報告する.本講演では,構造強度部門委員会においてAI-ML技術応用WG活動で得られた成果を紹介する.

5

アクティブな内傾機構を備えたパーソナルモビリティビークル(PMV)のボデー捩り剛性に関する研究

原口 哲之理(名古屋大学/日本大学)・金子 哲也(大阪産業大学/日本大学)

車両動力学の観点からアクティブな内傾機構を備えたPMVのボデー捩り剛性に関する研究はほとんど存在しない.そこでボデー捩り負荷バランスモデルを用い,各種条件下でのボデー捩り剛性の必要性を考察した.さらに動的モデルによる障害物回避能力へのボデー捩り剛性の影響を検討し,このバランスモデルの有効性を検証した.

  • セッションNo.88 FC技術
  • 10月23日 会議室3 9:30-11:10
  • 座長:池田 耕太郎(トヨタ自動車)
No. タイトル・著者(所属)
1

新構造燃料電池スタック向けの低コストバイポーラプレートの開発

布川 和男・石田 堅太郎・新海 洋・後藤 修平(本田技術研究所)・小山 賢(本田技研工業)

本研究のバイポーラプレートは,耐久性を低下させることなくコスト低減を実現する為,プレス前にコーティングを施した.シール構造については積層ゴムシール構造から,プレス成型によるメタルビードシール構造と溶接構造へ変更した.従来の燃料電池スタックに対して,生産コストを3分の1に抑え,耐久性2倍を実現した.

2

新構造燃料電池スタック向けのコスト/耐久性を両立させたUEAの開発

加藤 高士・中原 章・大倉 拓也・山本 昌邦・寺田 聡・野田 明宏(本田技術研究所)・金岡 長之(American Honda Motor)

HONDAのCRV-FuelCellに搭載される,新構造燃料電池スタックのUEAにおいて,各部材の劣化モデル構築と精度向上に取り組み,材料仕様限界範囲を運転制御に反映した.その結果,CLARITY FUEL CELL用のMEAに対し,低コスト化と耐久性の向上を両立させた.

3

燃料電池ハイブリッド試験電車における燃料電池出力制御の寿命への影響評価

米山 崇(鉄道総合技術研究所)・温 旻昊・鮑 義達・徐 思海・楊 イ翔・紙屋 雄史(早稲田大学)・小川 賢一・金子 真直人(鉄道総合技術研究所)

燃料電池ハイブリッド試験電車の燃料電池の出力制御方法が燃料電池の寿命に与える影響を検討するため,燃料電池の出力電圧の劣化予測モデルを作成し,その予測モデルを利用し,走行エネルギーシミュレータにより燃料電池の出力制御方法の違いが燃料電池の寿命に与える影響の評価を行った.

4

燃料電池システムにおける加湿器モデルを用いたモデルベース加湿制御の開発

間庭 秀人・日高 洋平・木村 浩一・小岩 信基(本田技術研究所)

燃料電池の耐久性向上のために,膜含水量を適切に制御することが重要である.そこで,加湿量を推定するために,燃料電池システムに採用される多孔質中空糸膜型加湿器の内部現象を再現する一次元モデルを構築した.そして,このモデルを用いて運転中の含水量を制御するモデルベース制御手法を開発した.

  • セッションNo.89 バッテリー技術
  • 10月23日 会議室3 12:10-13:50
  • 座長:今村 大地(日本自動車研究所)
No. タイトル・著者(所属)
1

リン酸鉄系リチウムイオン電池を対象とした充電条件と運用SOC範囲によるバッテリ性能低下への影響

小鹿 健一郎(自動車技術総合機構)・釣賀 英樹(電気安全環境研究所)・森田 朋和(東芝)・本多 啓三(電気安全環境研究所)

リン酸鉄系リチウムイオン電池の劣化に対する充電条件と運用SOC範囲の影響について感度分析を行った.電池劣化をSOH(state of health)とSOS(state of safety)の2つの観点から評価した.低温,急速充電,高SOC領域での動作の組み合わせ条件下で充放電を繰り返すと,電池容量が急速に低下し,熱暴走の危険性が高まることがわかった.

2

鋼製パウチ形リチウムイオン電池の充放電特性および安全性評価

政次 美咲・山中 晋太郎・高橋 武寛・後藤 靖人(日本製鉄)

パウチ形リチウムイオン電池の耐衝撃性向上を目的として,セルケースのスチール化を検討している.今回,鋼製パウチ形リチウムイオン電池を作製し,充放電特性および丸棒による圧壊試験にて安全性を評価したところ,どちらも良好な結果が得られた.

3

1D車両システムモデルを活用した最適なバッテリー熱マネージメントシステムの検討(第2報)

波頭 佑哉・劉 珀源・楊 イ翔・廣田 寿男・紙屋 雄史(早稲田大学)・佐藤 圭峰(マツダ)

電動車用LiBでは安定的な出力の確保や劣化への対策のために,LiBの温度を管理する熱マネージメントが重要であり,最適解の検討に1Dの車両システムモデルが使われる.第1報で検討したBEV用の熱マネージメントシステム案について,BEVの課題である高温時のLiBの冷却性能や,低温時の急速充電性能についてモデルを用いて検証した.

4

鋼製角形リチウムイオン電池セルケースの類焼性評価

川本 浩輔・後藤 靖人(日本製鉄)・永田 辰夫(日鉄テクノロジー)

角型リチウムイオン電池のセルケース素材はアルミが主流であるが,ニッケルめっき鋼板を使用することで安全性向上,体積エネルギー密度向上,コストダウン等のメリットが見込まれる.今回,ニッケルめっき鋼板をセルケースに使用した角型リチウムイオン電池を作製し,類焼性を評価したところ,類焼時間の延長が確認された.

  • セッションNo.90 空力
  • 10月23日 会議室4 9:30-11:10
  • 座長:大島 宗彦(日産自動車)
No. タイトル・著者(所属)
1

重量車の空力性能を飛躍的に向上させるコンセプト形状の提案
-車両全体形状の最適化-

川野 大輔(大阪産業大学)・飯干 壮馬・小川 孝幸(大阪産業大学大学院)

車両の空気抵抗は車速の2乗に比例することから,特に長距離輸送用トラックの車両形状は,その燃費性能に大きな影響を与える.そこで本研究では,多目的最適化手法を用いてキャブと荷室を含めた車両全体形状の最適化を行った.その結果,走行安定性を確保した上で空気抵抗を大幅に低減させるコンセプト形状を見出した.

2

北京パラリンピック2022向けチェアスキーの空力性能開発

岩脇 彩香・船橋 和樹・見田 達哉・小林 優子(トヨタ自動車)

パラアルペンスキー種目のチェアスキーは高速で滑降する競技であるため,空気抵抗低減により,タイム短縮が期待できる.
チェアスキーの空気抵抗低減を目的とし,従来のチェアスキーにかかる空気力の解析,空気抵抗低減効果を狙った形状の提案,提案した形状の効果の検証を実施したので,その結果を報告する.

3

ミニバン車両を対象とした空力性能サロゲートモデル構築の検討

田中 博・石黒 勇哉・天野 恵子(トヨタシステムズ)・駒村 達哉(トヨタ車体)

ミニバン開発では,車室空間の確保が優先され,空力性能と背反することが多い.本検討では,意匠開発と空力性能開発の同期化を狙いとして,スモールからラージサイズのミニバンを対象にサロゲートモデルを構築し,短時間での空力性能予測を可能とすると共に,外形意匠と空力性能についての考察を実施したので報告する.

4

低圧サブクール条件下における沸騰熱伝達予測解析モデルのパラメータ検討

田中 啓貴・佐藤 隆哉・大山 武士(デンソーテクノ)・浜地 志憲・時谷 政行(核融合科学研究所)・辻 義之(名古屋大学大学院)

商用数値計算ツールで使用されている沸騰モデルは高圧条件の実験をベースとした予測が多く,自動車製品で扱われる圧力相当の条件下の沸騰予測に課題があると考えている.実験と数値解析モデルの結果を比較し,現行解析モデルの改善すべきパラメータを検討する.

  • セッションNo.91 CFD
  • 10月23日 会議室4 12:10-13:25
  • 座長:野口 泰(トヨタ自動車)
No. タイトル・著者(所属)
1

OpenFOAMによるガス燃料噴射における不足膨張噴流の解析

永岡 真・真銅 大樹・岨 宙輝・瀧口 寛太(大阪産業大学)

ガス燃料のさらなる有効活用のために噴流特性を解析するツールとして,オープンCFDソフトOpenFOAMについて,その計算精度を検証した.水素,メタン,窒素をガス噴射弁から大気中に噴射した時に形成される不足膨張噴流をシュリーレン法による可視化実験と比較し,計算手法による違いおよびガス種による噴流特性の違いを解析した.

2

分離法を用いたエンジン実稼働時の排気気流音予測技術の構築

鶴本 徹・石原 教示・廣部 敏之・土路生 修(マツダ)・中村 直樹・新川 貴大(ヒロテック)

近年の騒音規制強化に伴い,内燃機関搭載車開発では排気音の低減が課題となっている.より静粛なクルマの開発を効率よく行うために,排気音を構成するエンジン燃焼起因の脈動音や排ガス流れに起因する気流音のうち,後者の気流音の周波数特性をCFDと音響解析を併用する分離法で,定量的に机上予測する技術を構築した.

3

アイドリング時の部品温度予測及び熱源影響度解析の手法構築

森田 裕貴・石川 皓一・高村 宏行(三菱自動車工業)・和知 伶於(三菱自動車エンジニアリング)・王 宗光(三菱自動車工業)

アイドリング時,走行風が止まることで部品温度が上昇するが,排気ガス温度の変動により非定常性が高く,冷却ファンの稼働により流れ場が複雑なため予測が困難である.そこで弱連成解析による温度予測手法を開発し,精度を検証した.
また妥当性の高い熱害対策実施のため,熱源からの受熱メカニズムの分析手法を考案した.

  • セッションNo.92 歩行者-自動車インタラクション
  • 10月23日 会議室4 14:30-16:10
  • 座長:小竹 元基(東京科学大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

交通参加者数の増減に対応可能な歩行者・ドライバの行動モデルの構築とシミュレーション

坂 優樹・渡邉 融・奥田 裕之・鈴木 達也(名古屋大学)・山口 拓真・西澤 智恵子・伴 和徳(トヨタテクニカルディベロップメント)

自動運転システムの検証には,多様な交通状況を再現可能なシミュレータモデルが必要である.従来のモデルは交通参加者数の増減に応じて再学習が必要となる.そこで,本講演では交通参加者間の近接度を利用し,その数に依存しないスケーラブルな歩行者・ドライバの行動モデル構築とシミュレーションを行う.

2

接近する車両の列に対する歩行者の横断判断の解析

西本 宇志・奥田 裕之・鈴木 達也(名古屋大学大学院)・西澤 智恵子・山口 拓真・伴 和徳(トヨタテクニカルディベロップメント)

交通弱者である歩行者の行動を理解することは,自動車の知能化において重要な役割を果たす.本研究では,信号機の無い横断歩道において,車両が連なって歩行者に接近する場合の横断判断に着目した.仮想環境を活用して歩行者の行動を観測し,歩行者の横断判断を解析した結果を報告する.

3

歩行者シミュレータにおける通信遅延のすれ違い行動への影響

山口 拓真(トヨタテクニカルディベロップメント)・奥田 裕之・鈴木 達也(名古屋大学)・小林 栄介・伴 和徳(トヨタテクニカルディベロップメント)

遠隔地でシミュレーションを実施する場合は必ず通信遅延が生じ,互いの情報の伝達が遅れてしまう.これらの通信遅延は人間のインタラクティブな行動に大きな影響を与えるため,シミュレータ設計において重要な要件となる.そこで,通信可能な二台のシミュレータを用いてデータを検証し,その評価を行う.

4

実環境における横断歩道接近車両に対する歩行者の信頼度推定(第1報)

森山 千聡・浜本 拓也・栗 達(福岡大学)・平岡 敏洋(日本自動車研究所)・小野 晋太郎(福岡大学)

本研究では実環境での横断歩行者の信頼度推定実験を行った.歩行者および車両の挙動は地上および車載カメラにより撮影し,両者の距離,歩行者の骨格座標などから深層学習により信頼度を推定した.横断前/横断中の全体的な正解率はそれぞれ77%,64%となり,歩行者挙動の傾向が明らかになった.

  • セッションNo.93 振動騒音乗り心地I
  • 10月23日  9:30-12:10
  • 座長:杉山 康二(スズキ)
No. タイトル・著者(所属)
1

エンジンブロック合わせ面を考慮したシミュレーションモデルの提案

高橋 菜月・三上 真人(山口大学大学院)

燃焼起因振動に関する既存の研究では,ウェーブレット相互相関解析法を用いて単気筒ディーゼルエンジンの燃焼起因振動の伝達遅れを求め,伝達経路を調査している.本研究では実際のエンジンを模擬したシミュレーションソフトを改良し,エンジン外壁面における振動加速度を実験値により近付ける方法を構造的観点で調査した.

2

パワープラント共振を考慮したモータ始動トルクコントロールによる2モータハイブリッドエンジン始動振動性能の向上

渡辺 賢(本田技研工業)・田原 孝一・北山 知寛(オートテクニックジャパン)

2モータハイブリッドエンジン始動振動はクランク始動角によってレベル差が大きい.本研究はパワープラント剛体共振に着目し,エンジン回転上昇周期とパワープラント剛体共振が合致することで形成される,クランク始動角別のパワープラント振動ピークをエンジン回転上昇周期の変化により低減し,始動振動性能を向上した.

3

CVT搭載4輪駆動車のトーショナルダンパ適用によるNVH性能とAWD性能の向上

福留 弘幸・山下 覚嗣・藤田 純・手塚 朋彦(本田技研工業)

CVT搭載4輪駆動車にトーショナルダンパーを適用するための車両試験とCAEを組合わせた手法を紹介する.プロペラシャフトへの最適配置により,回転アンバランスによる振動を悪化させずに駆動系ねじれ共振に伴うNVH性能を 向上させた.更に後輪駆動力設定の自由度が高まりAWD性能も向上させた.

4

トランスミッションユニットにおける音・振動計測の設備間機差の要因解析と適正な治具仕様の決定手法確立

永峯 利樹・日下部 卓也・正 浩志・不破 稔夫・高瀬 一樹(トヨタ自動車)

トランスミッション用の音と振動の計測を行う評価設備を工場品管で立ち上げるときに,共振により計測結果が技術部設備と違う結果になる問題が過去から発生している.設備と供試体の間の面板治具を変更することで対策をしていたが,その仕様を事前に決めることができず,やり直しをしていた.
それについて実測結果からFEMを作成し,解析により機差の要因解析を実施した.また,この結果から事前に面板治具の仕様を決定する手法を導き出した.

5

R-S連成原理によるプラネタリギヤノイズ解析

菅野 将俊・新谷 啓行・小川 祐則(エステック)

小型高回転化が進むトランスアクスルにおける遊星歯車騒音を高精度に予測する技術が求められている.R-S連成原理は,周波数軸でギヤの回転を考慮し,かつ,サイドバンドを含む予測が可能である.平行3軸に適用したR-S連成を拡張し,遊星歯車に対応した解析ソルバーを開発し,その有用性を検証した結果を報告する.

6

ジェネレーティブデザインを活用したディーゼルエンジンのギヤ構造最適化

山岸 誠弥・岡崎 一也・石川 泰裕・山下 健一(いすゞ中央研究所)

ジェネレーティブデザインを商用ディーゼルエンジンのギヤ構造に適用し,大幅な軽量化が可能な構造検討を実施した.3次元弾性変形の考慮が可能なギヤトレインモデルによる構造の剛性低下による噛合い悪化の検討を行い,実機評価によりギヤラトル音の低下と従来アイテムの置換えによるフリクション低減効果を確認した.

  • セッションNo.94 振動騒音乗り心地II
  • 10月23日  13:10-15:50
  • 座長:市川 佳(本田技研工業)
No. タイトル・著者(所属)
1

Tire Pass by Noise Prediction Model with Tire Structure Data and Pattern Image

Yonghun Kim・Jonghun Seo・Kibum Kim (Hankook Tire and Technology)

As environmental regulations have been tightened recently, each automotive and tire companies are actively researching and developing to satisfy regulations. Among these, tire noise during driving noise in vehicles is becoming important due to the increase in contributions due to the change of evaluation method and the increase in vehicles using electric motors. This change requires high accuracy for the tire noise prediction model, which is basic to the design of the product. In this paper, we conducted a study on the complex artificial intelligence/machine learning modeling approach considering the tire -related tire parameters to the pattern image of the tire.

2

路面性状を考慮したタイヤパターンノイズ予測について

佐久間 孝人・玉田 良太・白石 正貴(住友ゴム工業)

ISO準拠路面のような凹凸路面と平滑な路面ではタイヤパターンノイズに大きな違いが出る.CAEを用いたパターンノイズ予測では一般的に平滑路面における検討が行われているが車外騒音測定試験においては凹凸路面で行われるという差異があるため,CAEを用いた凹凸路面におけるパターンノイズ予測について検討を行った.

3

トレッドブロック剛性を用いた加速トルク負荷時のタイヤ/路面騒音の簡便な推定法

跡部 哲士(日本ミシュランタイヤ)・近藤 隆(トヨタ自動車)・齊藤 由典(日本ミシュランタイヤ)・駒田 匡史(トヨタ自動車)

本研究では,トレッドブロック剛性に着目して加速トルク負荷時のタイヤ/路面騒音の変化量を推定する簡便な手法を検討する.有限要素解析または材料力学に基づいた計算モデルにより求めたトレッドブロック剛性を用い,台上試験機で測定したタイヤ単体騒音の加速トルク負荷時の変化量を推定した結果について報告する.

4

伝達関数合成法を用いた多目的最適化手法によるロードノイズ低減サスペンションの開発

小堀 正樹・塩崎 弘隆・青山 浩生・杉浦 優希(三菱自動車工業)

電動車の普及に伴い,エンジンに起因した騒音が低下していく中,相対的に寄与が大きくなっているロードノイズ低減の重要性が高まっている.本研究では,伝達関数合成法を用いた多目的最適化手法を構築し,操縦安定性や重量といった相反性能を同時に成立しながら,ロードノイズを低減するサスペンション構造を開発した.

5

車軸動荷重に寄与するタイヤモードの実験的同定

山田 宏典・阿部 啓介・佐藤 直人・田中 潤(SUBARU)

転動および非転動,接地および非接地における車軸動荷重を把握するタイヤの計測技術を開発した.これにより得られたデータを用い,ロードノイズに寄与の大きいタイヤモードを抽出し,転動,接地によるタイヤ特性の変化を分析した.

6

車外騒音予測のための加速を考慮したタイヤ/路面騒音モデル構築

柳林 愛夢(神奈川大学大学院)・白橋 良宏・栗原 海(神奈川大学)・和田 将行(日産自動車)・山崎 徹(神奈川大学)

近年,EVの普及率が上昇しており,自動車騒音におけるタイヤ/路面騒音の寄与度が高くなる.従って,加速走行時に生じるタイヤのトルクの影響による騒音であるタイヤトルク騒音の発生原因を考察し,トレッドブロックの寸法を用いて音源モデルを構築した.また,道路交通騒音へのタイヤトルク騒音の影響度を明確にした.

  • セッションNo.95 音質評価
  • 10月23日  16:30-18:10
  • 座長:多田 寛子(本田技研工業)
No. タイトル・著者(所属)
1

自動運転時と能動運転時の車内音印象の違いについて

入江 悠大・岡林 尚樹・吉田 準史(大阪工業大学)

近い将来,自動運転車の普及が予想される中,能動的に運転する状況から自動運転に変化することで走行中車内音の捉え方も変化する可能性がある.本研究では,ドライビングシミュレータを用いた主観評価実験を通じ運転状況による車内音の印象変化を調査した.その結果自動運転時に不快感が増大する傾向が見られた.

2

音響マルチパラメータを用いたニューラルネットワークによる自動車走行音の特徴量抽出

大島 遥汰・麻生 海(中央大学大学院)・田辺 総一郎・戸井 武司(中央大学)

時間周波数解析,キャリア周波数と変調周波数の相関,複数の心理音響メトリクスを音響マルチパラメータと定義し,これらを同時に入力するニューラルネットワークを用いて自動車走行音を分類する.また,ニューラルネットワークのデータ分類根拠可視化により,各パラメータのデータ分類貢献度と,そのパラメータにおける音の特徴を抽出する.

3

人の認知処理を取り入れたエンジン動作点最適化の検討(第2報)
-運転操作中のエンジン騒音に対する認知処理傾向の日米比較-

長江 新平・山中 高章・榎本 俊夫(日産自動車)

筆者らはe-POWERエンジン音のうるささ評価が運転中様々な認知的影響を受けて変化することを示し,動作点の最適化に活用した.今回その変化に国別差があるのか調べるため,BEVに搭載する仮想のe-POWERエンジン音環境を開発し,日本と北米で運転中のエンジン音評価データを収集,比較したので報告する.

4

ガタツキや擦れによる異音の自動評価システム開発

米森 一貴・土渕 将輝・山中 高章・徳永 佳也・倉見 洋平・久米 孝行(日産自動車)

弊社におけるガタツキや擦れによって発生する異音を再現し評価するための負荷サイクル実験は長時間に及ぶ.その全ての時間において評価者がその異音の確認を行うことは,評価者に大きな負担がかかる.そこで今回,本試験の全ての時間にわたる異音検出を実現するための自動評価システムを開発したのでその詳細を報告する.

  • セッションNo.96 自動車の運動と制御I
  • 10月23日  9:30-11:35
  • 座長:勝山 悦生(トヨタ自動車)
No. タイトル・著者(所属)
1

車体スリップ角低減に着目した後輪操舵システム

福川 将城・土屋 義明(アイシン)・藤田 好隆(トヨタ自動車)・山本 拓哉(アイシン)

低速時,車体は進行方向に対し外向き状態で旋回する事が知られている.車体を進行方向側に近づければ,ドライバの視線移動量が減り安全性が向上すると考えた.本研究ではドライビングシミュレータや実車にてドライバの頭部視線挙動を評価し,車体と進行方向のズレには車速による適値が存在することがわかったので報告する.

2

サスペンションの上下摩擦が車両平面運動に及ぼす影響

田中 歩武・芝端 康二・山門 誠・山本 真規・安部 正人・狩野 芳郎(神奈川工科大学)

サスペンションの上下摩擦が車両平面運動に及ぼす影響を解析した.上記の摩擦はロール運動へ影響し, ロールステアを介して平面運動に影響を及ぼすことを明らかにした.従来の定常でも過渡応答試験でもない,ドライバ評価に近いスローランプ操舵入力試験により,上記の影響を車両挙動として把握する新試験方法を提案した.

3

ロール運動と平面運動の連成の解析

松浦 永治・酒井 英樹(近畿大学大学院)

自動車の性能評価において操安性がある.操安性はドライバの想定している通りに自動車が動くか否かに大きく影響する為,自動車の開発において重要な性能である.本研究ではロール軸の前傾後傾の変化がロール運動に与える影響について解析した.ロール軸が前傾のとき,ロール軸まわりのロール運動の車速領域が広がった.

4

ロール感の定量評価

吉岡 祐至・坂本 圭・中原 淳(本田技研工業)

物理量の観測が容易でない官能性能を定量的に評価する方法を検討した.ドライビングシミュレータを用いることで路面外乱やセンサ分解能の影響を抑制した.そして,車両挙動を変化させ,車両挙動と主観的特性の相関性を調べた.その結果,ロール角とピッチ角の位相差が旋回感に寄与することを定量的に評価することができた.

5

ピッチ挙動の制御による旋回感の向上

大久保 直人・柳 貴志(本田技研工業)

一般ドライバに日常的な運転における自然な旋回感を提供するため,操舵で生じるロール挙動ピッチ挙動と旋回感の関係性を考察して,加減速の制御でピッチ挙動を調整する制御則を考案した.ドライビングシミュレータテストにより,考案した制御則は旋回感の向上に効果があることがわかった.

  • セッションNo.97 自動車の運動と制御II
  • 10月23日  12:35-15:15
  • 座長:服部 義和(豊田中央研究所)
No. タイトル・著者(所属)
1

車両運動力学に基づいたロール軸周りの車体ねじり剛性のモデル化と解析パラメータに関する検討

小林 一景・吉田 郁也・傅 李汀・江橋 雄介・山田 颯人・黒田 純平(東海大学)・加藤 太朗(東京工科大学)・遠藤 文人(福岡工業大学)・加藤 英晃・成田 正敬(東海大学)

サスペンション剛性を変化させて車両の運動特性を制御することを目指す自動車にとって,車体ねじり剛性の高さと運動性能への寄与を理解することは重要である.本講演では,ばね上の剛体を分離し車体ねじり剛性の解析パラメータを含めた車両運動モデルの検討と旋回運動に及ぼす影響について報告する.

2

タイヤのトレッドプロファイルとコーナリング特性の関係

豊島 貴行(ホンダ・レーシング)・樋口 英生(本田技術研究所)・松澤 俊明・穂高 武・酒井 智紀(本田技研工業)

タイヤプロファイルやトレッドゴム仕様のタイヤ単体ーナリング特性(特にコーナリングスティフネス特性)に対する影響や効果について,仕様変更の効果予測を従来手法よりも高い精度で実現する新たな手法の研究と,そこから得た成果について紹介する.

3

2入力2出力トルクベクタリング装置を用いて旋回軌跡を考慮した電動車両用スリップ制御

髙橋 亮太・澤瀬 薫・髙橋 直樹(三菱自動車工業)・布施 空由・藤本 博志(東京大学)

電動車両用2入力2出力トルクベクタリング装置により,左右輪を和と差のモードでスリップ制御することで和モードによりトラクションを,差モードにより旋回を制御可能となり,従来メカ式デフロックの様なトラクションを確保しつつ旋回性を向上した

4

電動駆動装置と摩擦制動装置の応答差に着目したロール量低減手法

豊田 博充(東京大学/三菱自動車工業)・阮 平明・永井 栄寿・藤本 博志(東京大学)・澤瀬 薫(三菱自動車工業)

平面3自由度運動性能を優先し制駆動力制御を行った場合,制御方法によってはロール挙動が悪化する場合がある.
そこで本著では電動駆動装置と摩擦制動装置の応答差に着目し,4輪の制駆動力のみを最適に制御することで平面3自由度運動性能を悪化させることなくロール挙動を改善する制御を提案する.

5

プロペラシャフト方式AWDの内部循環トルクとばね上車両挙動への影響

小西 伸哉(トヨタ自動車)

プロペラシャフト方式AWDがもたらす車両姿勢への影響について,ピッチ運動に着目しメカニズムを解析.本論文ではピッチ運動がもたらす内部トルクの振る舞いと,サスペンション・ジオメトリー変化が生み出す車両姿勢変化に着目した分析結果を報告する.

6

内傾機構を有するパーソナルモビリティビークル(PMV)の非平坦路における動的運動性能解析

金子 哲也・周 俊朗・北澤 章平(大阪産業大学)・原口 哲之理・景山 一郎(日本大学)

本研究が対象とする旋回時に内傾するPMVでは,轍路走行時もスラント路走行時や段差乗り越え時も車体は常に直立性が働く.先行研究ではそのための静的設計要件を考察した.本稿ではそれらの動的運動性能について詳細な運動力学モデルによるシミュレーションを用いて検証を行う.

  • セッションNo.98 高齢ドライバ
  • 10月23日 桜1 9:30-12:10
  • 座長:佐藤 稔久(産業技術総合研究所)
No. タイトル・著者(所属)
1

ペダル踏み間違いによる車両単独事故の統計データ分析

加藤 洋子・松井 靖浩・阿部 晃大・関根 道昭(自動車技術総合機構)

既報において,ペダルの踏み間違いによって歩行者に衝突した事故は,歩行者の傷害が深刻になる傾向があることを報告した.一方,車両単独事故の場合はドライバ自身の傷害の程度が大きくなる可能性も考えられる.そこで,本報では,ペダルの踏み間違いによる車両単独事故に着目した事故統計分析の結果を報告する.

2

高齢ドライバの視野訓練効果に対する運転パフォーマンス
-運転寿命延伸を目指したドライバ運転特性研究(43)-

平野 昭夫・青木 邦友(名古屋大学)・山下 和彦・堀田 英則・恩田 和征(スズキ)・名切 末晴(名古屋大学)・稲上 誠(群馬大学)・岸 浩司・米川 隆・青木 宏文(名古屋大学)

高齢ドライバが視野訓練した際の運転パフォーマンスへの効果を検討した.参加者は没入型ドライビングシミュレータ(DS)で動的有効視野タスクを伴う運転を行う.DS運転試験を行った後,一方の介入群はタブレットによる視野訓練を毎日2回行い,他方の対象群は何も行わず,1週間後に再度DS運転試験を行った結果を報告する.

3

動的握力解析による高齢ドライバ運転能力評価の取り組み

真境名 琉馬・伊藤 安海・山田 隆一・内藤 凌靖・徐 琴・野中 卓志・本多 歩・鍵山 善之(山梨大学)・田中 勇樹(群馬大学)・根本 哲也(山梨大学)

アクセル・ブレーキ操作,ステアリング操作に影響する筋力発揮までの時間,筋力の立ち上がり,最大筋力,筋力の持続時間等を動的握力測定の結果から詳細に解析することで運転能力との関係性を明らかにする.

4

頭部動作による運転評価システムと高齢ドライバへの行動変容効果の検討

吉原 佑器(名古屋大学)・田辺 弘子(北海道大学大学院)・Nihan Karatas・金森 等・原田 あすか(名古屋大学)・小島 基資・真鍋 周平(トヨタ自動車)・田中 貴紘(名古屋大学)

高齢ドライバの交差点事故を防止するために, 安全確認時の頭部動作を可視化するシステムを構築した. システムはドライビングシミュレータとドライバモニタシステムから構成され, 交差点通過時の運転データから運転診断レポートを生成する. このシステムを用いて, 8名の高齢ドライバにフィードバックを行い効果を検証した.

5

加齢による身体図式の変化がペダル操作に及ぼす影響の検討

細川 崇・田川 傑(日本自動車研究所)・平松 真知子・前 博行(日本自動車工業会)

本研究は,ペダルの踏み間違いにおいて,運転者がブレーキだと思いアクセルペダルを踏む根本的要因について,身体図式の加齢による変化が影響するとの仮説のもと検討を行った.身体図式の要素である操作感覚の評価手法を考案し,踏み替え時の足位置エラーを目的変数とした重回帰分析により,感覚指標の影響可能性を確認した.

6

加齢によるペダル操作の変化と運転への影響(第3報)
-高齢運転者にとって操作しやすいペダルの検討-

平松 真知子・川野 勉・加藤 由衣・海老名 亮彦・佐久間 壮(日産自動車)

高齢運転者の身体特性を考慮した車両を検討するため,ペダル操作に着目する.前報では,加齢によりペダル操作の巧緻性が低下し,一時停止交差点の通過行動などに影響することを報告した.本報では,角度や反力の異なるペダルを操作するときの脚部の筋負荷と操作成績を調べ,高齢者が操作しやすいペダルについて考察する.

  • セッションNo.99 ドライバ感性
  • 10月23日 桜1 13:10-15:15
  • 座長:栗谷川 幸代(日本大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

自動車運転ガイダンスにおけるクロスモーダルの効果検証

鴨田 望由(上智大学大学院)・大友 貴史・坂本 秀樹(アルプスアルパイン)・竹原 昭一郎(上智大学)

本研究の目的は,直感的かつ快適なガイダンスを実現するため,感覚の相互作用であるクロスモーダルの効果を検証することである.本研究では,特定の視覚的シチュエーション内で,音・振動の組み合わせを変えたガイダンスを比較させる評価グリッド法実験を行うことで,クロスモーダルに関する評価要因を抽出した.

2

スイッチ操作感触の心理量定量化モデル構築(第1報)

大友 貴史(アルプスアルパイン)・鴨田 望由(上智大学大学院)・坂本 秀樹(アルプスアルパイン)・竹原 昭一郎(上智大学)

自動車のコックピットに装備されるスイッチは,用途に応じ様々な操作感触が求められる.操作感触に対する評価を形容詞にて行っていたが,「心地良さ」等の心理描写を含めると,解析結果に疑義が生じていた.今回は評価グリッド法を用い感性を構造化し解析することでスイッチの操作感触の心理量定量化モデルの構築を行った.

3

運転の楽しさの感性評価手法開発と大型ドライビングシミュレータを用いた検証

青木 匠(上智大学大学院)・竹原 昭一郎(上智大学)・田中 克則・藤田 裕幹・大西 孝一(日産自動車)

本研究では,自動車を運転する時の楽しさについて感性評価を行った.まず,実車実験でのSD法アンケートの結果から実験参加者を分類し,各群の嗜好性の違いから運転の楽しさの特徴について示した.更に,大型ドライビングシミュレータを用いて,その特徴の差を検証するための実験手法を提案し,その効果を示す.

4

移動空間の体験価値創出のための感性指標化

佐久間 文・野﨑 浩寿・山本 悠・大図 佳子(住化分析センター)

次世代モビリティに求められる価値として,well-beingの達成は重要な項目の一つであり,
移動中の過ごし方の質を向上させることが有効と考えられる.
本研究では,ヒトが移動空間に求める価値を感性工学に基づき明らかにし,またそれらを構成する要素との結びつきを指標化することで,車内空間デザイン開発を促進する手段を提供する.

5

実車環境下での生理指標を用いた乗員の不安状態推定

青木 勇太(本田技研工業)・今井 友裕・塩野 正光(本田技術研究所)

本研究では,交通事故要因の一つに乗員の精神状態に連動したヒューマンエラーがあると考え,事故防止のために,この精神状態を推定する基礎技術研究を行った.具体的には,実車で不安感情を惹起させ,連動する複数の生理変化の探索,これらから不安状態を推定する機械学習モデルを提案する.

  • セッションNo.100 ドライバ快適性
  • 10月23日 桜1 15:55-18:00
  • 座長:平尾 章成(芝浦工業大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

自動運転時の制動における感性評価と身体挙動の関係

竹原 昭一郎(上智大学)・松岡 正憲(アドヴィックス)

安心で快適な自動運転機能を実現する必要がある.本研究では自動運転時の制動を対象に,人間の感性と姿勢保持動作の関係解明を目指す.本報では,官能評価の結果にクラスター分析を行うことで実験参加者を分類し,グループごとの姿勢保持動作の傾向と心理評価を比較することで,制動に対する嗜好性について調べた.

2

運転シートの快適性評価に車室内空間における視覚情報が与える影響

鎌江 遼・古田 真将(京都工芸繊維大学大学院)・北川 哲也・古舞 隆司(富士シート)・西崎 友規子(京都工芸繊維大学)

従来,運転シートの快適性評価は触感覚から得られる情報を基にされてきたが,人は複数の感覚情報を統合して評価を行っている.本研究は,視覚情報が快適性評価にどのように関わるか検討することを目的とし,VRによって異なる車内を視覚的に提示した際,同じ運転シートに対する快適性が異なるか明らかにした.

3

筋骨格シミュレータを用いた疲労低減姿勢のためのシート因子の最適化と検証

吉田 遼太郎・岡本 真也・福田 悠人(群馬大学)・岩瀬 勉・香西 俊彦(群馬大学/SUBARU)・中沢 信明(群馬大学)・坂本 雅昭(高崎健康福祉大学)・内形 恭平・伏見 輝・半田 昌巳(SUBARU)

本稿では,疲労の少ない自動車シートの開発を目指したシート因子の最適化を目的とする.事前の研究により選定した重要なシート因子を変化させた際の筋活動を筋骨格シミュレータで解析し,静的,動的各条件における各シート因子の最適化を行った.また,官能評価実験により解析結果を検証した.

4

大型車両における車室内空気質評価法の検討と確立
-機器分析による大型バス空調機器のVOCs計測-

内山 一寿(東海技術センター)・城井 啓吾(ジェイ・バス)・菅 勝博・木津 拓磨(いすゞ自動車)・岩渕 七重(エスペック)・松井 秀親・丹羽 啓誌(東海技術センター)・達 晃一(いすゞ自動車)

車体も装備される機器の大きさも乗用車に比べ桁違いに大きい大型車両,特に大型バス空調のVOCsは,その大きさ故に分析評価が困難であった.今回,大型恒温槽を用いたアクティブサンプリング法により,バス用空調機器から発生するVOCsをGC-MSで分析することが可能になったので,その経緯を報告する.

5

公共交通の室内環境の見える化に関する基礎検討

坂口 淳(新潟県立大学)・篠原 直秀(いすゞ自動車)・達 晃一(産業技術総合研究所)

本研究は公共交通車内の温湿度,浮遊粒子状物質濃度,二酸化炭素濃度,照度などの測定結果をデジタルサイネージなどで表示するビジュアルコミュニケーションについて基礎的な検討を行っている.さらに,公共交通利用者の車内環境に関する申告を収集するためにウェブアンケートとIoT端末を用いた調査を行い,回答方法について比較する.

  • セッションNo.101 自動運転・運転支援I
  • 10月23日 桜2 9:30-11:10
  • 座長:杉町 敏之(東京都市大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

次世代車線変更支援システムによるドライバー負荷軽減効果の評価

富川 翔英・新藤 早紀(本田技研工業)

近年,運転支援機能の技術が発達しており,前方に遅い車がいるシーンや,高速道路を退出するシーンでドライバーに車線変更支援を提案する機能がすでに開発されている.本講演では,従来実施されていなかった日本特有のシーンに対応した車線変更支援の提案機能の内容とそれらの効果について説明する.

2

機械学習の知見に基づいたルールベースモデルによる合流位置予測と実車検証

高島 裕太・梅田 拓・鵜生 知輝・大曲 祐子・一杉 和夫(三菱電機)

合流部において安全な走行を実現するためには,本線車と合流車が互いを予測・協調しながら走行する必要がある.本報では,機械学習を用いて合流車両の合流位置を予測するモデルを構築し,得られた知見をルールベースのモデルに反映することで高精度かつ低計算量の予測モデルを開発した.また,実車にてその効果を検証した.

3

注意散漫なドライバに対する緩減速による衝突回避支援

新岡 琢也・山口 祐剛・大庭 吉裕(本田技研工業)

近年,自動緊急ブレーキ(AEB)の普及により事故件数が減少している.しかし,更なる事故の削減のためには,事故の主要因である注意散漫な状態にあるドライバに働きかけ,事故を未然に防ぐ取り組みが必要である.本稿では,大きな制動力を伴う従来のアプローチとは異なり,緩やかな車両挙動を伴いながら早期に認知を促すことで,衝突回避を支援する手法について紹介する.

4

車線逸脱防止とハプティクスによるリスク伝達を両立するLKA

枝元 祥馬・木村 秀司・田村 勉・Robert Fuchs(ジェイテクト)

車線逸脱防止機能は,車線逸脱の際に車両の向きを修正し,交通事故を減らすことができる機能である.本報告では,アドミタンス制御に基づく逸脱防止機能を提案する.提案手法は,ハンドル手放し時には車両を車線内に強固に維持し,かつハンドル把持時には車線内の位置に応じた力覚情報をドライバーに呈示することができる.

  • セッションNo.102 自動運転・運転支援II
  • 10月23日 桜2 12:10-13:50
  • 座長:奥田 裕之(名古屋大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

高速域を対象とする自動車の遠隔操縦における操縦者の運転特性の評価に関する研究

平塚 旭(東京都市大学大学院)・古郡 直樹・杉町 敏之・櫻井 俊彰(東京都市大学)・郭 鐘聲(拓殖大学)・須田 義大(東京大学)

自動運転を用いた移動サービスの注目から,高速域を対象とした遠隔操縦の検討が必要となる.本研究では,ドライビングシミュレータ(DS)を用いて高速道路における遠隔操縦環境を再現し,DS実験結果から運転特性の評価を行う.遠隔操縦者の運転特性を考慮した運転支援を提案し,DS実験によりその有効性を検証する.

2

モデル予測制御による遠隔型自動運転システムの安定性向上

坂岡 恵美・井上 豪・須田 理央(トヨタ自動車)

遠隔型自動運転システムにおける車両と遠隔運転者席間の通信遅延が車両の安定性に与える影響を示し,モデル予測制御による安定化手法を提案する.通信遅延を含めたモデルを制御器に与え,通信遅延を考慮した上で車両を安定化する制御器を設計する.デジタルツイン環境にて走行試験を実施し,提案手法の有効性を評価する.

3

車載カメラ画像により移動位置の指示と移動量の推定を行う遠隔操作支援システムに関する研究

宮嶋 優(産業技術総合研究所/東京理科大学)・加藤 晋(産業技術総合研究所)・伊丹 誠(東京理科大学)

電磁誘導線等を用いた自動運転車両において,走路上の固定障害物を回避するには誘導線上から外れての走行が必要となる.これを自律的な機能ではなく,遠隔から回避を行う車載カメラ映像を用いた遠隔操作支援システムを提案している.本報告では,車載カメラ映像の特徴点による移動量推定等とその有効性検証についての報告を行う.

4

走行環境の雑音等を考慮した緊急車両のサイレン音検知手法の研究

柳生 諒(産業技術総合研究所/東京理科大学)・加藤 晋(産業技術総合研究所)・伊丹 誠(東京理科大学)

自動運転車両において緊急車両が接近した場合には,緊急車両の走行を優先させる義務があり,避譲動作を行うことが想定される.そのため,緊急車両の接近を自動的に検知することが求められる.本報告では,サイレン音による緊急車両の接近検知手法として,走行環境の雑音等を考慮した検知手法の提案とその実証評価について述べる.

  • セッションNo.103 自動運転・運転支援III
  • 10月23日 桜2 14:30-16:10
  • 座長:加藤 晋(産業技術総合研究所)
No. タイトル・著者(所属)
1

カメラとLiDARのフュージョンによる地図ベースの路面標示劣化検出法の開発

倉元 昭季(東京科学大学)・栁瀨 龍・米陀 佳祐・菅沼 直樹(金沢大学)

道路維持管理や運転支援・自動運転システムによる制御の信頼性の観点から,路面標示の劣化状況の適切な認識が重要である.本報告では,カメラとLiDARのフュージョンにより入手される路面標示の反射率や可視面積といった定量的観点から,路面標示が劣化した地点を検出する手法について述べる.

2

自動運転の軌道生成に用いる障害物の予測軌道の誤差にロバストな衝突リスクマップ

笠井 勇希・反町 一博・渡邊 暢浩・吉内 航・林田 宣浩(いすゞ中央研究所)

移動障害物の予測軌道を基に,衝突リスクを表すリスクマップが先行研究で提案された.本研究では先行研究のリスクマップにバイナリベイズフィルタを適用した予測軌道誤差にロバストなリスクマップを提案する.このリスクマップに基づく軌道生成により移動障害物との衝突なく自動走行できることを実車による試験で確認した.

3

複数の自己位置推定技術の融合に向けた地図間の座標系整合技術

垣見 亮磨・汐月 大志(トヨタ自動車)

モビリティの自律走行には,複数の自己位置推定技術の融合や,管制システムでの群制御が行われるが,それらの技術は各々独自の座標系を持つ場合が多く,システム統合においては各座標系の整合が必要である.本稿では全座標系共通の基準点を計測し,統計的に相互の関係を導出することで正確な整合を可能とする技術について報告する.

4

様々な諸元を持つ車両への適用を考慮したデータ駆動型自動運転プランナ

伊藤 章(愛知工業大学)・金城 健・向家 研太・浅田 祐樹(デンソー)

データ駆動型自動運転プランナは,学習時に使用したデータと異なる諸元の車両に対しては適切に動作しないため,車両毎に再学習が必要になる.
本研究では,データ駆動型プランナとモデルフォロイング制御を組み合わせることにより,再学習を伴わず様々な諸元を持つ車両への適用を可能とする手法を提案する.

  • セッションNo.104 ガソリンエンジンI
  • 10月23日 大ホール 9:30-11:10
  • 座長:丸田 薫(東北大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

質量燃焼割合50%クランク角度と指圧波形中の低次周波数成分との関係

長島 慶一(本田技術研究所)・土屋 一雄(明治大学)

指圧波形中の第4次sin成分振幅b4による質量燃焼割合50%クランク角度推定法が確認されている.一般的なガソリン機関では最大筒内圧が0~45degで生じ,このサイクル変動がb4に影響する.b4算出式の正弦波部分を節ごとに区間分割し,その累積値を調べることでb4と質量燃焼割合50%クランク角度が関係する理由を明確にした.

2

筒内直接噴射式火花点火機関における筒内流動を想定した条件下での壁面衝突噴霧特性
-気流流速および噴射圧力が液膜形成に与える影響-

石黒 智大・松田 大(同志社大学大学院)・松村 恵理子・千田 二郎(同志社大学)・原口 茂則・佐藤 義久(本田技研工業)

筒内直接噴射式火花点火機関は, PM等の有害物質の排出やオイルダイリューションが課題となっている.本研究では, 流動場における壁面衝突噴霧の噴霧形成および液膜挙動の把握を目的とし, 筒内流動を想定した条件下において壁面衝突噴霧の可視化計測を行った. 本報では気流流速, 噴射圧力を変化させた際の結果を報告する.

3

過給ガソリン機関の高回転高負荷運転時に発生するノッキングの解析

曾 昌志・窪山 達也・森吉 泰生(千葉大学)

本研究では,市販の過給ガソリンエンジンを対象に,高回転高負荷運転時に発生するノッキングの実験と数値解析を実施し,エンドガス領域における温度分布などが未燃混合気の着火に誘起される圧力振動に及ぼす影響を調べている.

4

火花点火エンジンにおける燃焼特性が筒内圧力振動に及ぼす影響

窪山 達也・江澤 成毅・本郷 樹希・森吉 泰生(千葉大学)

火花点火機関における筒内圧力の高周波振動の発生機構を明らかにすることを目的とし,可視化エンジンを用いて,筒内流動と火炎伝播を同時観察することで,火炎伝播挙動が熱発生率と筒内圧力振動の高周波成分に及ぼす影響について調査している.

  • セッションNo.105 ガソリンエンジンII
  • 10月23日 大ホール 12:10-14:15
  • 座長:長沼 要(金沢工業大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

SIエンジンの混合気分布がHC種生成に及ぼす影響

堀 隼基・吉岡 直希(マツダ)・山本 啓介(広島大学)・本田 雄哉・河野 通治・藤川 竜也(マツダ)・山川 正尚・三好 明(広島大学)

将来のICEではCN燃料の利用とともにZeroEM化が必須となっている.EM浄化装置である触媒はHC種により浄化特性が異なり,特に低級アルカンは浄化が難しいため燃焼による低減が求められる.その低級アルカンはリッチ条件で多く残存することなどが知られているが,筒内での生成メカニズムは把握しきれていない.そこで,本報告では筒内の混合気分布がHC種生成に与える影響を数値計算とエンジン実機を用いて分析した.

2

空燃比センサ上に生成するデポジットの生成因子の明確化

大草 見斗・古谷 健太・𠮷田 一帆・田中 光太郎(茨城大学)・戸辺 祥太・石坂 浩大・長谷島 丞・北川 哲夫・小野 雅広(SUBARU)

直噴ガソリン火花点火機関で用いられる空燃比センサにデポジットが生成し,応答性が悪化する問題がある.そこで実機ガソリンエンジンを用いて搭載角,流速,流量,PN濃度をパラメータとして空燃比センサ上にデポジットを生成させ,生成メカニズムを明らかにするとともに,センサの応答性に影響を及ぼす因子を明らかにした.

3

1次元エンジンモデルを活用した実機レス適合

吉木 一秀・刀根 裕彰・勝浦 彰裕・福田 英(本田技研工業)

内燃機関の開発現場には開発期間の短期化や開発費の削減が求められている.
本稿では1次元のエンジンモデルを活用した吸入空気量のシミュレーションを実施することで,実機レスによる開発費の削減を実現しながら,選定仕様に対応したキャリブレーション値を短期間で提案することを可能とした取り組みについて紹介する.

4

電動ウォーターポンプを用いたガソリンエンジン向け極低流量冷却水制御システムの研究

小出 景二郎・村上 貴史・吉田 豊・菅沼 将洋・佐々木 直人(本田技研工業)

燃費やエミッションへの関心が高まる中,今回我々はエンジンの暖気性能を向上させる為,極低流量という流量領域を定義した.本研究では,性能設計段階におけるMBDを用いた1次元のシミュレーションを中心とした予測技術による効果の推定手法や,極低流量による燃費効果のメカニズム,期待できる付帯効果について述べる.

5

ガソリンエンジンにおける排気管内ポスト酸化現象の解明とモデリング検証

石川 輝明・窪山 達也・森吉 泰生(千葉大学)

エンジン性能向上やエミッション低減を目的とした排気管内ポスト酸化現象について,排気システムや燃料噴射パターンを変更したエンジン実機試験を行うことにより,ポスト酸化の発生メカニズムを評価した.また,ポスト酸化現象を1次元シミュレーションモデルに組み込み,シミュレーションの精度向上を図った.

  • セッションNo.106 ガスエンジン
  • 10月23日 大ホール 14:55-16:10
  • 座長:森吉 泰生(千葉大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

水素エンジン搭載重量車の実証試験に基づく潤滑油中の水分量に関する研究

檜山 大輔・本宮 一稀(東京都市大学)・小野寺 康(ENEOS)・山浦 卓也(フラットフィールド)・菊原 浩司(早稲田大学)・長沼 要(金沢工業大学)・伊東 明美(東京都市大学)

水素エンジンを搭載した重量車により夏季から冬季にかけて実際に荷物を運搬する実証試験を行った.潤滑油のサンプリング調査により冬季に油中水分量が増加することが判明した.油中水分量と外気温,油水温,運転条件等の関係を調べた結果について報告する.

2

実機試験と数値計算に基づく水素エンジン向けピストンリング仕様の検討

佐々木 竜一・小池 信也・久賀 雄介・押見 圭一・望月 和也・臼井 美幸樹(リケン/リケンNPR)・伊東 明美(東京都市大学)

水素エンジンのブローバイガス中の水素濃度,燃焼室へのオイルあがりに対するピストンリング仕様の影響について,社内開発の予混合水素エンジンによる実機試験結果および内製計算ツールによる数値計算結果を用いて評価を行った.各評価結果より得られた水素エンジンに適するピストンリング仕様とその有効性ついて報告する.

3

Combustion Characteristics of Blended CH4-H2 in Pre-Chamber Engines using Rapid-Compression Expansion Machine Experiments and 3D-CFD Kinetics Simulations

Yixin Feng・Kei Morita・Ryuta Nakao・Ratnak Sok・Jin Kusaka (Waseda University)

A lean burn mixture can improve the thermal efficiency of compressed natural gas. This work investigated the effect of engine wall temperature on the knock combustion of CH4-H2 co-generation systems. A Rapid Compression Expansion Machine (RCEM) was used to study the combustion characteristics of the blended fuel. 3D-CFD combustion simulations were performed using CONVERGE software. Combustion was compared for wall temperatures of 600K, 700K, 800K and 900K. The results showed that knock combustion occurred in all cases, and the knocking intensity increased and occurred earlier as the wall temperature increased.

  • セッションNo.107 最適設計
  • 10月23日 白橿1 9:30-11:35
  • 座長:櫻井 俊彰(東京都市大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

FMQAを用いた複数車種の車体構造同時設計最適化

近藤 俊樹・小平 剛央(マツダ)・源 勇気(Fixstars Amplify)

近年注目されている量子アニーリング(QA)を活用し,大規模な車両設計最適化問題を効率的に求解できるか検証する.本論文では,ブラックボックス型評価関数にも適用可能なFMQAに着目し,適用の課題となる重みの調整や解の多様性確保の解決手法を提案し,従来手法との比較を行うことでQAの優位性を検討する.

2

荷重伝達U*解析の動的可視化手法の開発

小平 剛央・岡本 定良・釼持 寛正・本田 正徳(マツダ)

構造内部の荷重伝達状態を推定する手法として,U*解析手法が提案されている.U*解析手法を自動車の車体構造のような大規模問題に適用する場合,計算時間と荷重経路の推定に課題がある.本論文では,並列計算を前提とした高速計算手法と車体構造のような複層構造における荷重経路を推定する手法を開発したので報告する.

3

Optimizing Driver Seat Comfort using Vehicle Package Factors

Sun Woo Choi (Hyundai Motor)

In order to implement a comfort skin, various cross sections are managed in the drawings, such as a free contour line, a cushion cross section, and a seat back cross section. In particular, FCL is a cross section generated based on a vehicle package and is the most basic cross section for managing the entire seat skin.
In this study, it is considered a method of generating the optimal standard skin based on the seats developed and studied so far. To this end, not only the feedback received from the field after mass production was considered, but also the development history of each seat skin was compared and evaluated.

4

機能集約とテスト再利用性を両立するアーキテクチャ構築のためのECU向け最適機能配置法

林 孝明・今西 裕人(日立製作所)・前濱 宏樹・吉田 義幸・石田 良介(日立Astemo)

中央集約型ECUの実現に向けて機能集約を行うと,従来機能配置との差分が大きくなりテスト再利用性が悪化する.そこでそれら特性を両立すべく,両指標の加重和を目的関数とするECUへの最適機能配置法を提案する.加重和の重みを変化させつつ繰り返し解くことで,トレードオフの可視化を確認した.

5

A Study on the Development of Optimum Body Structure for Low Entry BEV using 1D Beam Model

Gyuhee Kim・Jung Hun Choi・Ji Hoon Moon・Hong Suk Chang (Hyundai Motor)

This study proposes a new BIW structure for a compact-sized electric bus, achieved through stiffness analysis of the body in the concept stage using a 1D beam model, sensitivity analysis, and optimization processes. The 1D beam element-based analysis offers more flexibility in shape modification, model construction, and analysis time compared to 3D shell element-based analysis. Results: 1)Selection of critical components and proposal of optimal cross-sectional sizes, 2) Lightweight proposals through sensitivity analysis of component, 3) Proposal of target-based stiffness optimization concepts 4) Enhancement of the contribution of analysis before the detailed design stage.

  • セッションNo.108 充電・給電
  • 10月23日 白橿1 12:35-14:15
  • 座長:真島 隆司(IHI検査計測)
No. タイトル・著者(所属)
1

走行中ワイヤレス給電の設置と周辺環境要因による特性変化

勝谷 仁・星野谷 武・高橋 健一郎(本田技術研究所)

埋設方法の提案と実環境に伴う特性影響に関して埋める(土,雪,アスファルト舗装・・)事による
影響要因に対する実機検証と,10万輪耐久後の特性変化と舗装路盤評価を経ての一般路への廉価な設置方法に関する提案を行う.

2

商用車における車載太陽光発電システムの実現可能性に関する研究(第2報)
-シミュレーション計算による太陽光発電システムの車載効果の見積もり-

裴 帥・彭 エイケン・小林 王義・廣田 壽男・紙屋 雄史(早稲田大学)・水野 英範・大関 崇(産業技術総合研究所)

福島県飯坂温泉などでEVコミュニティバスの実証試験を行い,走行・気象条件による車両電力消費と日射量を計測した.シミュレーション計算モデルを開発し,走行距離や道路勾配など走行条件と太陽高度,気温などによる車両電力消費とPV発電への影響を解析し,PV発電システム搭載による電力消費削減ポテンシャルを評価した.

3

太陽光発電システム搭載EVの有用性と課題分析

水野 英範・棚橋 克人・大関 崇(産業技術総合研究所)

太陽光発電(PV)システムを搭載したEV(PVEV)は,運輸部門のCO2排出量削減に資すると期待される.本研究では,配送用EVをターゲットとし,実サービスに導入されているEVを用いた車両への日射計測を行い,利用可能なPV電力量を推定した.これをEV電力消費量と比較することで,PVEVとしての有用性を分析し,また課題を抽出した.

4

150kW級のBEV充電時におけるEMC試験の検討

森 晃(トヨタ自動車)

BEVの充電電力は大電力化が進んでいるが,それに応じたEMC試験法の検討は進んでいない.そのため大電力化を想定した標準的な試験法を導出すべく,専用設備を有する福島再生可能エネルギー研究所を活用し,150kW級のBEV充電時のEMC試験を実施.充電電圧が一定の時は伝導性と放射性のエミッションの電流依存がないことを確認した.

  • セッションNo.109 システム設計
  • 10月23日 白橿1 14:55-16:35
  • 座長:平野 覚(日野自動車)
No. タイトル・著者(所属)
1

電気自動車の統合熱管理システムの開発トレンドと比較分析方法論の提案
-Hyundai自動車Ioniq 5とTesla Model Yの比較-

Hosik Lee・Sukjoo Kim・Chiheon Song・Byungsoon Min(TENERGY)

電気自動車の低温航続距離に影響が大きい技術は,熱管理システムである.熱管理システムの効率を高めるためにヒートポンプシステムや廃熱回収システムなどシステム構成が複雑なりつつある.本研究では,熱管理システムの開発トレンドと車両別に比較分析する方法を提案し,例としてHyundai のIoniq5とTesla Model Yで分析した結果をまとめる.

2

CO2冷媒をxEV用モータとバッテリーの潤滑と熱管理に活用したエネルギー損失低減の研究

堀端 頌子・宮内 勇馬(マツダ)

一般にxEV用のモータ,バッテリー,空調は油,水,冷媒の独立した経路によって熱管理されている.これらを絶縁性と低粘度を有するCO2冷媒により一元化し,直接冷却と摺動部の潤滑を行う机上検討を実施した.この結果,熱管理性能向上,軸摩擦損失低減,ロータの撹拌抵抗低減が可能な事を確認したので報告する.

3

充電機能を統合した電気自動車用eAxleの研究

久保田 芳永・中富 奏明・轟 拓海・内藤 直也・梓沢 慶介・大矢 聡義(本田技術研究所)

電気自動車の高性能化に伴い,様々な電力デバイスと接続するための電力コンポーネントが増え,部品点数や重量・コストの増加が問題となっている.そこで本研究では駆動インバータとモータを用いて,3相モータを2相化することでAC充電および急速DC充電機能を包含したパワーユニットを新たに開発している.本稿では駆動機能と充電機能の動作システムについて報告をする.

4

インホイールモータ車両のばね下の機械的伝達特性と制御の同時最適設計

杉本 典弘(東京大学/デンソー)・永井 栄寿・清水 修・藤本 博志(東京大学)・石黒 裕作・桑山 勲(ブリヂストン)

インホイールモータ車両は駆動力によるサスペンション反力を活用してばね上振動を制御することができるが,ばね下重量やタイヤばね定数など機構パラメータを変数として考慮した最適化はなされていない.本講演では1Dモデルを活用した機構と制御の同時設計による乗り心地などの性能最適化について提案する.

  • セッションNo.110 金属材料I
  • 10月23日 白橿2 9:30-11:35
  • 座長:市川 裕士(東北大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

薄鋼板の引張負荷状態における延性き裂進展特性評価法

畑本 麻斗・島貫 広志(日本製鉄)

衝突事故の際,複雑な応力条件下で初期欠陥を想定しない母材から延性破壊が起こり得る.本報では,引張応力条件下における鋼材内部からの延性き裂進展特性の評価方法を提案する.開発した試験方法と評価法の適用性について,引張破壊試験と有限要素解析の結果に基づいて議論した.

2

赤外線熱弾性法による重ねすみ肉溶接継手の疲労強度評価

上田 秀樹・牧野 泰三・白水 浩(日本製鉄)・田中 嶺至(日鉄テクノロジー)

赤外線熱弾性法は構造物の応力分布及び疲労限度を非接触で測定する技術として期待が高まっている.本報では重ねすみ肉アーク溶接継手を対象に熱弾性応力に及ぼす負荷周波数の影響を,有限要素法解析(FEM解析)を適用し検討するとともに,赤外線測定による散逸エネルギの急増点から求めた疲労限度の推定精度を検証した.

3

ステンレス鋼板の疲労下限界における引張および曲げ負荷の影響

王 暁光(東京濾器)

切欠き試験片を用いた負荷形態の異なる疲労試験により,破壊下限界の基準を明確にして提案する.曲げ負荷に比べて引張負荷での疲労限度が低く,切欠き長さとの関係線に屈折点があった.臨界下限界応力拡大範囲が負荷形態によって大きく異なるが,切欠きやき裂の長さに関係なくそれぞれ一定の値になることを明らかにした.

4

高張力鋼板を母材としたスポット溶接引張せん断継手の疲労限度向上(第1報)
-単一過大荷重による疲労限度の向上-

岡部 顕史(日本大学)・伊藤 達也(日本大学大学院)・冨岡 昇(日本大学)

590MPa級高張力鋼板を母材とするスポット溶接した引張せん断継手を対象とし,事前に単一過大荷重を負荷して,き裂発生部位およびその周辺に圧縮残留応力を与えた後,定振幅荷重疲労試験を行い,単一過大荷重による疲労限度の向上を確認した.また,疲労寿命評価パラメータの内面ひずみに着目して,その向上の要因について考察した.

5

高張力鋼板を母材としたスポット溶接引張せん断継手の疲労限度向上(第2報)
-有効ひずみ範囲による疲労寿命評価-

伊藤 達也(日本大学大学院)・冨岡 昇・岡部 顕史(日本大学)

590MPa級高張力鋼板を母材とするスポット溶接した引張せん断継手を対象とし,単一過大荷重負荷後の荷重範囲の荷重比を種々変えて疲労試験を行い,単一過大荷重の影響が消滅する荷重比の閾値を実験的に求め,この結果から得られる有効ひずみ範囲を用いると単一過大荷重有無の疲労寿命を統一的に評価できることを示した.

  • セッションNo.111 金属材料II
  • 10月23日 白橿2 12:35-15:15
  • 座長:青木 孝史朗(芝浦工業大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

鋼板製電池パックコンセプトの開発(第1報)
-アンダーカバーを利用した荷重伝達構造の検討-

宮澤 貞雄・仲村 宗起・Artur Rekets・渡辺 憲一(神戸製鋼所)

本稿では,トレイ下面を凹凸形状とした鋼板製電池パック構造を報告する.本構造は,トレイ凹凸部に対して下面保護のために材料強度の高いアンダーカバーを活用したロードパスおよび冷却部材を配置しており,車両高さ方向の寸法を抑えることができる.

2

鋼板製電池パックコンセプトの開発(第2報)
-液圧プレスを用いた複雑形状クロスメンバの成形-

仲村 宗起・宮澤 貞雄・Rekets Artur・渡辺 憲一(神戸製鋼所)

本稿では,第1報で報告した鋼板製電池パックに用いるクロスメンバーの成形方法について検討を行った.当該部品は,電池パックのトレイ下部へ凹凸形状を付与した影響で,側壁に凹凸を跨ぐための形状が付与されている上,端部に連続フランジを有する複雑形状となっているため,液圧成形を適用して成形を行った.

3

1470MPa級高強度鋼板部品の遅れ破壊防止技術開発

小針 健太郎・石黒 和樹(スズキ)・本多 陽介・渋江 隆治(ベルソニカ)・西島 進之助・野崎 貴行(日本製鉄)

鋼板プレス部品開発では,材料の高強度化に伴い,電着塗装工程や市場の腐食環境下で生じる遅れ破壊の防止が課題となってくる.新型車向けに1470MPa級高強度鋼板部品を開発するにあたり,CAE解析を活用して遅れ破壊を防止した取り組みについて報告する.

4

4点曲げ試験片による薄鋼板の遅れ破壊評価試験方法
-超高強度薄鋼板の耐遅れ破壊特性に及ぼす塗装後焼付け処理の影響-

戸畑 潤也・木村 英之・松木 優一・新宮 豊久・池田 幸平・松原 和輝・友澤 方成(JFEスチール)

自動車用冷延鋼板の耐遅れ破壊特性は,塗装後の焼付けを模擬したBake-hardening (BH)処理により向上することが知られている.本研究では,BH処理中の鋼板のミクロ組織の変化およびBH処理による浸漬試験後の鋼中水素量の変化を調査し,BH処理による鋼板の耐遅れ破壊特性改善のメカニズムを考察した.

5

車体衝突における薄鋼板部品のエッジ部破断予測手法

田口 裕樹・濱田 和幸・橘 美枝・鎮西 将太(神戸製鋼所)

材料の高強度化に伴う延性の低下は,車体衝突時の部品エッジ部(穴縁,端部)での破断リスクの増加につながる.ここでは,種々のひずみ勾配における部品エッジ部の破断限界を基礎試験にて取得し,衝突解析においてエッジ部の破断限界を考慮した破断予測精度の検討結果を報告する.

6

熱マネジメント部品を想定したアルミニウムとステンレス鋼の熱交換性評価

林 篤剛・濱田 純一(日鉄ステンレス)・田母神 剛・大西 晶(日鉄テクノロジー)

熱マネジメント品を想定した熱交換性評価として,0.5~2mm厚のSUS及びAlの板を用い,片面に入熱した熱が板厚方向に熱伝導し,反対面側を流れる水に熱伝達する試験を行った.熱交換性は板厚が厚い場合は高熱伝導率のAlの方が高いが,板厚が薄い場合はSUSとAlは僅差となり水流に依存する熱伝達が律速すると考えられた.

  • セッションNo.112 金属材料III
  • 10月23日 白橿2 15:55-17:35
  • 座長:樽井 大志(日産自動車)
No. タイトル・著者(所属)
1

アルミリサイクル合金の完全循環技術に関する研究

若林 亮・増山 靖史(本田技術研究所)・舟田 宏明(ホンダトレーディング)・里中 真一・加藤 智士・佐竹 孝光(ホンダトレーディングアルミニウム)

自動車のパワーユニット用Al合金は主にスクラップから製造されるが,鉄部品が付属している.そのため,合金製造時に溶湯内で熱拡散が発生しFe量が増加することがある.また市中スクラップも高Fe量で流通する場合があり,Fe量の低減が必要.本研究ではカスケードリサイクルに頼らず,完全循環可能なFe量低減技術を開発した.

2

アルミニウム合金押出形材の軸圧壊特性に対するクラッシュビード成形時の加工ひずみの影響

竹中 峻・山川 大貴・橋本 成一(神戸製鋼所)

アルミニウム合金押出形材製軸圧壊部品では,変形形態のコントロールを目的に,クラッシュビードが設けられることが多い.本研究では,クラッシュビード成形および軸圧縮解析を行い,軸圧壊特性に対する破断および予加工の影響を明らかにした.

3

すべり軸受用Al-Sn-Si合金の潤滑摩耗機構の解明

佐橋 潤・本田 知己・今 智彦(福井大学)

実機を想定したすべり軸受を用いた潤滑摩耗試験を行い,添加剤を含む潤滑におけるAl-Sn-Si合金の焼付き現象について調べた.すべり軸受では頂点部分を中心に摩耗するが一部の摩耗部を除き,線接触の試験で見られる黒色の境界膜形成は見られなかった.摩擦係数や接触電気抵抗は線接触の試験と同様の傾向が見られた.

4

リード線接合はんだにおけるS-N曲線を用いた寿命予測技術の構築

酒井 駿佑・古川 卓史・青柳 利枝・桐生 大輔(山田製作所)・山崎 崇(山田車用部品研究開発)

リード線接合はんだ単品疲労試験の破断状態を3Dモデルで再現し,CAE解析を行うことで,はんだに生じるひずみを予測しS-N曲線を構築した.
この妥当性を検証するため,小型モータ制御基板を用いたはんだ疲労試験を行ったところ,破断箇所とCAE解析のひずみ集中箇所,破断サイクルが良く一致する事が確認された.

  • セッションNo.113 安全関連および将来技術
  • 10月24日 会議室1+2 9:30-12:10
  • 座長:関根 康史(福山大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

Systems using Vehicle-in-the-Loop Simulation Institute for Traffic Accident Research and Data Analysis

Seonghun Kim・Seungmin Kwon・Yong-Sub Yi・Hyoungjun Ahn・Giin Jang・Hanjun Cho・Minwoo Han (Hyundai Motor)

This paper presents a new approach for evaluating the functional safety of a SbW(Steer-by-Wire) system, focusing on creating an efficient and safe testing environment for drivers. It introduces the Vehicle-in-the-Loop Simulation (ViLS) using the Handling Roadway (HRW) test rig to assess the functional safety of SbW system. The study validates the correlation between ViLS and proving ground results, analyzes deviations in test results, and suggests methods to improve the efficiency of ViLS testing. These solutions establish criteria for the Fault Tolerant Time Interval (FTTI) and hazard standards, which are applied to the development process of SbW systems.

2

非線形動力学に立脚した農用トラクタのアクティブ安全手法
-トラクタシミュレータによる転覆メカニズムの可視化-

酒井 憲司(東京農工大学)

農用トラクタではタイヤ-路面間の衝突/摩擦過程により分数調波・Stick-Slip等の典型的カオスが出現する.農用車両による毎年120件の死亡事故は農業持続の最大リスクとなっている.初期値への鋭敏な依存性,即ち「ちょっとしたことで起きる」トラクタ転覆メカニズムをトラクタシミュレータで可視化しアクティブ安全に資する.

3

乗合バスの車内人身事故につながる車内状況に関する研究

加藤 千陽・廣田 哲也・澤田 武士・中居 利成(東海理化)・内村 祐太・小杉 直・岩田 貴(川崎鶴見臨港バス)

乗合バスの車内人身事故は全国で年間約300件発生している.対策として,運転士にはアナウンスによる着席案内や車内ミラーの確認の徹底が求られ,負担増加が課題である.
本研究では,川崎市内を通常運行する乗合バス車内で乗客の映像データを収集し,事故につながる可能性のある行動を抽出・分析した.

4

ガウス過程を活用したスポット溶接強度の推定およびその効率的データ拡充手法の研究

赤木 大誠(広島大学大学院)・奥本 悠季・内藤 昴・小島 宏介(マツダ)・田中 義和(広島大学大学院)

スポット溶接部の強度は車体強度に直結する.破断試験での強度データ取得は,条件数が膨大なため労力・期間を要する.本研究では,強度データ取得の省力化を目的に,ガウス過程を活用した予測モデルの構築と,高精度予測に必要な追加試験条件を数値的に策定できるデータ拡充手法を検討した.

5

Isogeometric解析を用いたマルチステップによる形状最適化手法の提案

星野 瑞希(山梨大学)・有本 慎一・川原 康照(トヨタ自動車)・古橋 輝一・野口 恭兵・横山 優太・杉山 裕文・岡澤 重信(山梨大学)

Isogeometric解析を用いた大域的な形状最適化の実現に向けて,最適化の実行と制御点数の変更を自動で繰り返すスキームを構築する.段階的に制御点数と探索範囲を更新することで,形状破綻を回避しながら設計空間を広く探索できる.例題計算を用いて導出された構造の性能を評価する.

6

タイヤ空気圧モニタリングシステムのためのタイヤ組込摩擦発電機の開発

谷 弘詞・小金沢 新治・川田 将平・呂 仁国(関西大学)

タイヤ圧力モニタリングシステム(TPMS)の電源としてタイヤに着脱可能な摩擦発電機を開発した.発電機はタイヤのサイズに合わせて構造を決定し,実走行において時速20~80kmにおいて200μW以上の発電を確認した.またTPMSの動作も確認された.

  • セッションNo.114 VOC I
  • 10月24日 会議室3 9:30-11:10
  • 座長:尾関 義一(AGC)
No. タイトル・著者(所属)
1

国内初BEV路線バスの換気性能

達 晃一(いすゞ自動車/産業技術総合研究所)・篠原 直秀(産業技術総合研究所)・坂口 淳(新潟県立大学)・金 勲(国立保健医療科学院)・鍵 直樹(東京工業大学)

公共交通の実効性のある感染対策の一つとして,エアロゾルフィルターの開発を実施してきた.しかしエアロゾルフィルターの導入にはコスト高になるため,普及が進んでいない.そこで感染対策以外の効果の検証を実施した.またこのエアロゾルフィルターが標準装備されたと国内初BEV路線バスの換気性能の結果報告を行う.

2

公共交通機関車内における中性能フィルター導入による粒子低減効果および捕集粒子の同定

篠原 直秀(産業技術総合研究所)・橋本 一浩(エフシージー総合研究所)・坂口 淳(新潟県立大学)・達 晃一(いすゞ自動車)・金 勲(国立保健医療科学院)・西谷 崇(日本バイリーン)・高見 健人(東洋紡エムシー)

中性能フィルターをバス車内空調に導入した際の車内空気中の粒子低減効果およびその経時的な性能変化を評価した.また,実運用されたフィルターに捕集された粒子(金属や微生物など)の同定および定量を行った.

3

qNTAに基づく車室内環境に含まれる化学物質の網羅的リスクスクリーニング手法の検討

徳村 雅弘・酒井 颯大・榎本 剛司(静岡県立大学)・達 晃一(静岡県立大学/いすゞ自動車)・篠原 直秀(産業技術総合研究所)・牧野 正和(静岡県立大学)

自動車室内の内装材からは多種多様な化学物質が放散し,それらに起因する健康影響が懸念される.本研究では,車室内環境に含まれる化学物質の定量ノンターゲット分析(qNTA)と毒性ポテンシャルの予測手法を組み合わせることで,車室内環境に存在する化学物質に対する網羅的なリスクスクリーニング手法を検討した.

4

パッシブサンプラーによる車室内VOCの定量評価(第2報)
-2-エチル-1-ヘキサノールの定量評価の検討-

星野 邦広(ENVサイエンストレーディング)・達 晃一(いすゞ自動車)・徳村 雅弘(静岡県立大学)

著者らは昨年の報告でパッシブサンプラー(POD Sampler)にてトルエン,エチルベンゼン,キシレン,スチレンについて定量分析が可能であることを示した.今回は室内濃度指針値の候補物質である2-エチル-1-ヘキサノールの定量分析について検討したので報告する.

  • セッションNo.115 VOC II
  • 10月24日 会議室3 12:10-13:50
  • 座長:青木 恒(SUBARU)
No. タイトル・著者(所属)
1

車室内のVOC削減・管理活動

城井 啓吾・賀長 正直・篠原 司(ジェイ・バス)・達 晃一(いすゞ自動車)・篠原 直秀・岩井 彩(産業技術総合研究所)・徳村 雅弘(静岡県立大学)・星野 邦広(ENVサイエンストレーディング)・臼井 信介(カネカテクノリサーチ)

車室内環境に配慮したクルマづくりの一環としてVOC低減活動に取り組んでいる.
この活動では,すべてのユーザーに高品質かつ低VOCな車両を利用していただくことを目的とし,設計段階での車室内VOC放散量の予測技術・製造段階でのコンタミネーション影響を抑制および低減技術を基幹とし,これらの技術の充実化を目指している.

2

ガスクロマトグラフィー質量分析法の代替キャリアガス検討(第2報)
-ヘリウム供給不足に対応したTD-GC/MSによる車室内空気質の分析方法-

達 晃一(いすゞ自動車)・中村 貞夫・芹野 武(アジレントテクノロジー)・星野 邦広(ENVサイエンストレーディング)

ヘリウムは化学的に不活性な希ガスで,熱脱着装置-ガスクロマトグラフ/質量分析計(TD-GC/MS)のキャリアガスとして車室内空気質の測定に使用されている.日本で供給されるヘリウムは全量が輸入されており供給が不安定な状態が続いている.ヘリウムの代替ガスとして窒素を用いた分析条件の最適化を検討した.

3

Prediction of the Quantity of Vapor Displaced into the Canister during Automobile Refueling
-Prediction Formula for Vapor Displacement during Refueling-

Masanori Sakurai (Nissan Motor / Kanagawa University)・Yuji Yamada (Nissan Motor)・Hiroyuki Ito・Yuji Nakanishi・Toru Yamazaki (Kanagawa University)

Efficient fuel system design requires predicting the air entrainment flow rate into the fuel tank and understanding the mixed gas state changes. This study focuses on the vapor generated by entrained air, developing a formula to predict vapor displacement into a canister during refueling. The model includes gas state changes and displacement processes, applying gas laws and considering recirculation line effects and temperature variations. The derived formula accurately predicts vapor displacement quantities, as confirmed by comparison with actual vehicle measurements.

4

車室内空気環境の見える化に資するガスセンサ評価法の基礎検討

道志 智・山下 怜子・坂井 比奈子・堀口 結以(大阪産業技術研究所)・篠原 直秀(産業技術総合研究所)・達 晃一(いすゞ自動車/産業技術総合研究所)

車室内空気環境,特にVOCやにおいを可視化するためには,これらの濃度を連続的に測定する必要がある.そのためにはガスセンサが必要であるが,指針値濃度に対する感度,分解能,応答性などは明らかにされていない.本研究では,ガスセンサの感度,分解能,個体差を調査するための評価システムを構築したので報告する.

  • セッションNo.116 熱・流体技術I
  • 10月24日 会議室4 9:30-11:35
  • 座長:古畑 朋彦(群馬大学大学院)
No. タイトル・著者(所属)
1

Fine-Tuningを活用した熱境界サロゲートモデルの効率的な改良手法の開発

下川 智史・上村 充範・川口 則雄・高橋 政克・餅原 隆浩(トヨタ自動車)

重回帰分析と深層学習を組合わせたサロゲートモデルを開発した.しかし,従来の思想から大きく離れた新しい設計領域では外挿域となり,推論精度が低下する.そこで事前学習済みモデルのファインチューニングを活用して,学習コストを抑えつつ,新規設計への適用を可能にする手法を報告する.

2

オイルミストの油膜衝突における「吸収」と「跳ね返り」について

伊東 颯登・西野 耕一・石村 美紗(横浜国立大学)・中島 聖・西村 真人・木村 優介・中村 和博(マツダ)

エンジンブローバイガスの処理におけるオイルミストセパレータの設計では,個々の油滴の衝突板への付着挙動を把握することが重要である.本研究ではセパレータ内で生じる油滴の「吸収」と「跳ね返り」に着目し,ミクロサイズ油滴を用いた実験を行い,「吸収」から「跳ね返り」への遷移や跳ね返り確率について明らかにした.

3

ギヤポンプの容積効率向上メカニズムの解析

羽柴 隆志(SOKEN)・大見 将章・釜田 聖(アドヴィックス)

ADAS対応のため,小型でオンデマンド加圧が可能な電動ブレーキシステムを開発した.本システムの油圧源となる大流量ギヤポンプは,ギヤ噛合い部の微小隙間を制御することで高い容積効率を実現している.
 ギヤ噛合い部の隙間を計測する技術と,ギヤ周りの潤滑状態を解析する技術を構築して容積効率を向上したので報告する.

4

R-1132(E)混合冷媒の安定性評価

臼井 隆・後藤 智行・山田 康夫・吉村 崇・尾崎 太一・井上 智仁・根岸 泰隆(ダイキン工業)

弊社では環境,効率性を兼ね備えるHFO冷媒R-1132(E)を開発し,混合冷媒となるR-474A(GWP<1)を提案している.HFO冷媒はHFO-1123をはじめとした,外部エネルギーにより分解が起こることが知られており,多くの研究が行われてきている.そこで弊社で開発してきたR-1132(E)を含む混合冷媒の使用条件を検討し,物性取得を行ったので報告する.

5

モータ駆動システムにおけるアーク放電現象のモデル化と損失が冷媒に及ぼす影響の検討

長井 謙悟・大水 耀太・渋谷 賢佑(名古屋大学)・臼井 隆・根岸 泰隆・後藤 智行(ダイキン工業)・重松 浩一・今岡 淳・山本 真義(名古屋大学)

HFO冷媒はHFO-1123をはじめとした,外部エネルギーにより分解が起こることが知られており,近年ではR-1132(E)がASHRAE登録され実用化の可能性が高まってきている.本稿では,分解の主な原因である地絡時のアーク放電現象をモデル化することを目的とする.実際の自動車用電動コンプレッサを分解調査し,抽出したパラメータを反映したモータ駆動回路のシミュレーションよりアーク放電時のエネルギー量の算出を実施したので報告する.

  • セッションNo.117 熱・流体技術II
  • 10月24日 会議室4 12:35-14:15
  • 座長:座間 淑夫(群馬大学大学院)
No. タイトル・著者(所属)
1

次世代モビリティにおける暖房性能・EV航続距離両立技術開発
-エアカーテン技術の開発-

重田 峻輔・島田 喜久・島内 隆行(トヨタ自動車)

暖房によるEV航続距離の減少はモビリティの実用性を左右する主要課題である.シャトルバスとして活用されるモビリティにて,乗員乗降のためのドア開閉により生じる急激な換気現象が,快適性およびEV航続距離に大きな影響を及ぼしていることに着目し,これを解決する技術としてエアカーテンシステムの技術開発を実施した.

2

気流拡散抑制技術による薄型空調レジスタの開発

山岡 潤・酒井 雅晴・関 加夫里・藤井 貴央(デンソー)

近年,車室空間拡大や視野拡大のためのインスツルメントパネルの薄型化,ディスプレイの大型化により空調レジスタの薄型化が求められる.吹出口の薄型化は気流拡散による空調風の到達性が低下する.今回我々は気流拡散メカニズムを可視化実験等により検証し,副流による気流拡散抑制技術を開発・量産化したので報告する.

3

電動駆動車の暖房電力最小化に向けた最小換気量算出ツール開発および最小換気量の数値化
-換気量調整方法に対する考察-

栗原 将人・吉浪 譲・山縣 康一・大島 宗彦・田尻 政義・石川 俊一(日産自動車)

BEVの航続距離延伸のために,空調省エネ化が求められている.省エネ化手段の一つに暖気した空気を車室内に滞留させる方法(内気循環)があるが,
窓晴れ性能保証のため換気量抑制には上限がある.今回,窓晴れ性能を保証しつつ実現できる最小換気量を試算する物理モデルを開発し,換気量抑制効果を数値化した.

4

熱伝達モデルによるシートヒーター性能予測技術開発

小野 泰宏・安達 伊吹(トヨタ紡織)

車両用シートヒーター性能開発において,製品を使用した性能合わせこみ手法から,熱伝達現象を物理的に解析し,MBDを活用した設計構想を行う手法へ変革を行っている.解析は1D CAEで現象をシンプルに理解し,構成部品や環境による影響確認と対策を容易にした.この手法を用い,性能に影響を与える要因の検討・考察を行った.

  • セッションNo.118 振動騒音乗り心地III
  • 10月24日  9:30-11:35
  • 座長:見坐地 一人(日本大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

モジュラーデザインを想定したオフロード車両完成車でのコンポーネントTPA

中川 宣雄・堀江 亮汰・池上 聡一郎・岡崎 琢朗・阿部 倫大・中川 修一(ヤンマーホールディングス)

原動機の多様化が進むなか,建設用/農業用をはじめとするオフロード車両でのモジュラーデザインを視野に完成車へのコンポーネントTPAの適用を進めている.本研究では,原動機による強制加振振動系でのアクセレランスの非線形性や逆行列法でのブロックドフォース同定時の条件数などの影響を調査している.

2

実稼働感度解析を用いた構造音響連成系の応答改善

橋場 嶺(日産自動車)・吉村 卓也(東京都立大学)

本論文では,実稼働感度解析を用いて構造音響連成系の応答改善を試みた.
実稼働剛性付加感度解析を新たに提案し,FEMモデルを用いた解析によって妥当性を検証した.
また,実験による実稼働質量付加感度の検証も行い,それらの結果を一般的な実稼働解析である実稼働伝達経路解析と比較し,感度解析の有用性を示した.

3

自動車車体の制振性を向上する質量配置最適化

揚場 遼・樋貝 和彦・塩崎 毅(JFEスチール)

自動車の動力が内燃機関からモーターへ変わることで,動力を発生源とする振動周波数帯が変化するため,車体構造もそれらに合わせる必要がある.一方で振動伝達経路は複雑であるため,制振性の高い車体構造の設計は難しい.本報告ではトポロジー最適化を用いて質量の最適配置を試み,振動レベルを5dB以上低減させた.

4

FEMを用いた変位加振による振動応答エネルギー最小化の板厚変動による構造最適化に関する研究

黒田 勝彦(長崎総合科学大学)

本報では,サスペンション部の左右連結部をつなぐようなはりとその下部の薄板を対象構造とし,FEMによる基礎励振のモーメント加振の入力方法を用いて,振動応答エネルギーを目的関数とし,設計変数をグループ化した板厚で構成される構造最適化法を検討することを目的とする.

5

熱可塑性ガラス繊維複合材料を用いた車ドアパネルの制振軽量化技術

胡 月(フォスター電機)・左 亦根(帝人)・笹島 学・内田 善照(フォスター電機)

本研究は,軽量薄肉化の進むドアのインナーパネルに着目し,振動を抑制し,かつスピーカの音響品質を向上させることを主な目的として,軽量高剛性の繊維強化熱可塑性樹脂を用いて,影響度の高い振動モード形状を確認した上で,効果的にモードを抑制するためにトポロジー最適化を用いてインナーパネルの形状を検討した.

  • セッションNo.119 振動騒音乗り心地IV
  • 10月24日  12:35-15:15
  • 座長:森田 英憲(トヨタ自動車)
No. タイトル・著者(所属)
1

MBDを活用したPBN(Pass-By Noise)モデル構築(第1報)
-UN R51-03 PBN走行モードに対応するHEV 1Dシステムモデルの構築-

岩瀬 裕夢・遠藤 剛・中澤 信太・歳實 剛・緒方 健一郎(本田技研工業)・松本 淳也(両毛システムズ)

PBN検証の高効率化には,Model-Based Developmentによる車両代替検証が有効である.
代替検証の実現に向けては,UN R-51-03で規定された走行条件とパワートレインの網羅的運転条件を予測可能な1Dシステムモデルが必要である.
本報は,前記1Dシステムモデルの構築手法について述べる.

2

部品間接触を考慮した電動PWTノイズ予測手法

山内 亮佑・浅原 康之(日産自動車)・前田 崇・文挟 彰太・坂本 賢生(エステック)

電動パワートレインのNV予測において,軸系のモデル化精度の影響が大きい.特にトルクの大きさと方向に応じた,ベアリングの接触部位や剛性変化の考慮が精度向上に必要である.本報ではEVモータのモータノイズ・ギアノイズの予測精度の向上を目的とし,接触を考慮した物性値マッピングを用いる解析手法について報告する.

3

板ばねを用いた電動コンプレッサの防振機構

林 和宏・鈴木 健了・内田 和秀・山嵜 泰正(SOKEN)・上田 元彦(デンソー)

静かな電気自動車に搭載する電動コンプレッサには防振マウントが必要不可欠である.従来の防振ゴムは低温時には硬くなり,防振性能を悪化させる.しかし広い温度範囲にわたり剛性が低い板バネを,防振マウントに用いることにより,低温時でも振動を低減できる.また電動コンプレッサに起因する車内騒音も低減できる.

4

ダクト付き下向きスピーカを用いた接近通報装置の車内音低減効果検証

宮田 祐自・松岡 英樹・田川 博樹(本田技研工業)

車両の接近通報装置は規定された車外音圧を満足しながら車内で不快に感じないよう可能な限り小さな発生音で効率よく法規マイクに音を届けることが肝要である.下向きダクト付きスピーカの車外伝達関数を音響CAEで予測したところ,実用レベルの精度が得られ,本システムの影響パラメータとメカニズムが明確になった

5

温度依存性を考慮した,積層防音材設計の音響特性最適化に関する研究

三木 達郎(ニチアス)・見坐地 一人・河野 朱颯・髙橋 亜由美(日本大学)・小野寺 正剛(ニチアス)

エンジンや排気管周辺の防音材設計を進めるうえでは,高温環境での音響予測が重要である.本研究の目的は,空気の温度を考慮した理論計算と高温での音響管測定によって,温度依存性を考慮した積層防音材の材料特性の最適設計を行うことである.

6

基盤モデル活用による乗り心地予見制御の検討

山田 一二・加藤 彰・永井 陽平・三好 健太(アイシン)

従来の乗心地予見制御では路面計測用にレーザー等を使用したが, 測定精度・時間遅れ等の課題があった. また, 乗員の主観的評価と車両の設計パラメータ, あるいは応答パラメータなどの物理量との関係は明らかではない. 本稿ではマルチ基盤モデルを活用し, 画像シーン理解で, 乗員に最適な乗り心地を提案する検討を実施した.

  • セッションNo.120 タイヤ・二輪車の運動と制御
  • 10月24日  9:30-11:10
  • 座長:中原 淳(本田技研工業)
No. タイトル・著者(所属)
1

タイヤ・路面間の連続摩擦特性計測に関する研究
-積雪状態における一般路のμ-s特性の計測と評価-

景山 一郎(先進路面摩擦データベース研究組合/日本大学)・渡辺 淳士・栗谷川 幸代(日本大学)・原口 哲之理(先進路面摩擦データベース研究組合/日本大学)・金子 哲也(大阪産業大学)・西尾 実(アブソリュート)

一般路における積雪状態のμ-s特性は,道路交通安全上大きな問題となる.そこで,本研究ではプルービンググラウンドにおける雪氷路の摩擦特性結果をもとに,積雪状態の一般路における計測結果の評価を行い,特性変動の概要を検証した.

2

タイヤ・路面間の連続摩擦特性計測に関する研究
-環境情報と路面摩擦特性の関係-

渡辺 淳士・栗谷川 幸代(日本大学)・景山 一郎・原口 哲之理(日本大学/先進路面摩擦データベース研究組合)・金子 哲也(大阪産業大学)・西尾 実(アブソリュート)

前報ではタイヤ・路面間の摩擦計測装置を用いた雪氷路での摩擦特性推定方法を報告した.本研究では,これらの推定した摩擦特性を反映する路面画像などの複数の環境情報を用いて推定する手法を検討する.本稿では,研究の初期段階として乾燥・圧雪・氷盤等の試験路において,環境情報と前述の摩擦特性の関係を比較考察する.

3

二輪車の空気力学的特性がウィーブモードの安定性に及ぼす影響の解析
-最近の車両諸元を用いた計算-

吉野 貴彦・原岡 怜也(久留米工業大学)・植木 幹人・矢部 昇(ヤマハ発動機)・片山 硬(久留米工業大学)

最近の車両諸元を用いて,空気力学的特性がウィーブモードの安定性に及ぼす影響を解析する.空力係数の変更が,ウィーブモードの安定性に及ぼす影響を解析し,主要なメカニズムを検討する.

4

対向全天球カメラによる二輪車の位置計測

平澤 順治(茨城工業高等専門学校)

著者が提案する全天球カメラを用いた非接触位置計測手法において,鉛直方向に対向する向きに2台の全天球カメラを設置することで,高さ方向の位置を計測する手法について検討する.さらに,この高さの情報を用いて,カメラ基線方向で発生する水平方向の誤差を軽減する手法について述べる.

  • セッションNo.121 エンジン数値解析
  • 10月24日  12:10-14:15
  • 座長:森井 雄飛(東北大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

LESによるガソリン機関のサイクル間変動解析(第1報)

伊藤 貴之・松岡 正紘(日本自動車研究所)・安達 龍(SUBARU)・高林 徹(本田技研工業)

ガソリン機関の高効率化を図る上で考慮すべき重要課題として,サイクル間変動の抑制が挙げられる.直噴ガソリン機関を対象に,サイクル間変動の一因と考えられる点火プラグ近傍の燃料濃度のサイクル間変動に着目し,LESによる多サイクル解析を実施した.本報では,格子解像度や空燃比の影響を中心に報告する.

2

LESによるガソリン機関のサイクル間変動解析(第2報)

松岡 正紘・伊藤 貴之(日本自動車研究所)・安達 龍(SUBARU)・高林 徹(本田技研工業)

ガソリン機関において,燃料噴射方式や運転負荷が異なる条件でのLESを行った.点火プラグ近傍の燃料濃度や燃焼時の筒内圧力について実測値と比較を行い,条件違いによるサイクル間変動の傾向を概ね再現できることを確認した.また,それぞれの条件において格子解像度がサイクル間変動の予測精度に及ぼす影響について考察した.

3

マルチツールをオンライン連成するCo-Simulation環境の構築(第4報)
-サーマルマネジメント制御最適化に向けたモデル粒度移行プロセスの検討-

緒方 健一郎・小出 景二郎・久保田 俊一・武田 真明・鈴木 雄介・歳實 剛・中迫 聖也(本田技研工業)・菅又 遼平・齊藤 光宣(本田技術研究所)

パワートレイン開発の高効率化には,車両開発プロセスとMBDプロセスの融合が必要である.具体的には,性能設計から性能検証に至るまでMBD活用を想定する必要がある.本研究は,前報で述べたコンセプチュアルモデルから詳細モデルへの粒度移行と車両開発プロセスにおける活用指針について示す.

4

マルチツールをオンライン連成するCo-Simulation環境の構築(第5報)
-エンジン冷却水温度の予測精度向上に向けたサーマルプラントモデルの改良-

中迫 聖也・小出 景二郎・緒方 健一郎(本田技研工業)

Co-Simulation環境におけるサーマルプラントモデルへは,エンジン冷却水温度の高精度予測が求められる.一方で,ラジエタファン稼働環境において,ラジエタ周辺の流体振舞いは複雑であり,1Dモデルでの表現は難しい.本報は,ラジエタと周辺部品とのクリアランス空気流れを考慮したモデル改良手法を提案する.

5

大量EGR機種における過渡空気量推定モデルの改善

中村 敏之・勝浦 章裕・堤 優二郎(本田技研工業)

本文は,大量EGR採用機種における過渡的な空気量推定モデルの改善について述べる.1DSimを用いたEGRガスと新気の過渡推移解析をもとに,EGRバルブ後の配管ボリュウム分の遅れ及び気筒間偏差影響を考慮した空気量推定モデルを構築した.このモデルを適用することで,過渡中の空気量推定精度を改善し商品性の向上を実現した.

  • セッションNo.122 HMI
  • 10月24日 桜1 9:30-11:35
  • 座長:恩田 和征(スズキ)
No. タイトル・著者(所属)
1

自動運転マーカーランプの見え方に関する屋内評価実験

阿部 晃大・加藤 洋子・関根 道昭・青木 義郎(自動車技術総合機構)

国連WP29にて自動運転中に点灯させる「自動運転マーカーランプ」の要件が議論されている.本研究は技術要件策定に向けた基礎調査として,SAE J3134にて規定されているブルーグリーンの色度の評価用ランプ単体の見え方や他の信号灯と同時に点灯した際の双方の見え方を調べる屋内実験を行った.

2

車室内情報提供のための動画像と静止画像の比較
-V2Xシステムを対象にした視覚表示の検討-

大谷 亮・本間 亮平・宇田川 琴江・山口 伊織(日本自動車研究所)・阿部 正明(日本自動車工業会)

本研究では,V2Xシステムによる支援として,見通しの悪い交差点から出現するVRUに関する情報を,動画像と静止画像で提示する場合の影響を比較した.運転シミュレータ実験の結果,情報提供に伴う支援効果が認められた.また,表示読み取りの不安感は静止画像が小さく,状況の理解は動画像の方がわかり易いとの意見がみられた.

3

不完全V2X環境下における視線移動型補助モニタの有用性評価

飛永 祐大・田中 良幸(長崎大学)

これまでに著者らは,V2X技術によってドライバが車両周辺の交通状況を確認できる補助モニタを提案している.本講演では,ドライバの視線に追従する方式の補助モニタを提案するとともに,不完全V2X環境下において他車両が補助モニタに映し出される割合が,ドライバに与える影響について解析評価した結果を発表する.

4

AR-HUDの経路誘導メタファの特徴がドライバーの方向判断に与える影響

小林 大輝(慶應義塾大学大学院)・丹生 和詩・大門 樹(慶應義塾大学)・中野 信之・犬飼 文人・田中 彰・芝田 忠司(パナソニックオートモーティブシステムズ)・長井 大輔(パナソニックITS)

本研究では,経路誘導メタファのデザインが交差点でのドライバーの方向判断や心理面に与える影響について検討した.実験では3方向に分岐した左折交差点をVR環境で再現し,メタファのヨー角,ロール角,個数を実験条件として設定した.交差点に向かう被験者に方向判断させて反応時間や内省報告を分析・評価した.

5

左右連続で視線誘導する手がかり刺激の交差点左折場面の横断者確認への適用

井 尊秀(成蹊大学大学院)・竹本 雅憲(成蹊大学)

安全不確認のドライバを想定して,周辺視野に提示して左右連続で視線誘導する動的な手がかり刺激を設計した.交差点左折場面での横断者確認への適用を想定した誘導角度,首振り方向,安全確認中の操舵量を実験要因として,シミュレータ実験により,左右いずれかへ視線誘導した後の逆方向への視線誘導効果の違いを分析した.

  • セッションNo.123 自動運転・運転支援IV
  • 10月24日 桜2 9:30-11:10
  • 座長:大前 学(慶應義塾大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

市街地自動運転に向けた,物体認識性能向上のためのLiDAR点群と静止構造物点群地図の高精度重畳技術

池上 尭史・塩澤 裕樹(日産自動車)

市街地自動運転において,走路付近の構造物や植栽などの静止構造物と,車両や歩行者などの移動物体を確実に区別して認識する必要がある.本研究では,LiDAR点群の時間的歪み補正と,ポールなど複数のランドマークによる座標変換手法を用い,静止構造物点群地図へ高精度に重畳する技術を構築し,確実な移動物体検出を実現する.

2

市街地自動運転に向けた,流体力学を用いた簡易モデルによる歩行者経路予測手法

二渡 一昇・福重 孝志(日産自動車)

市街地自動運転実現のため,複数の歩行者が多方向から往来する横断歩道付近にて自車の行動判断を行う必要がある.本研究では,行動判断に必要な歩行者の経路の予測のため,地図上の横断歩道形状と走路形状を境界として用いた流れ場を仮定し,歩道から横断歩道に向かう流線状の歩行経路を予測する手法を検討した.

3

市街地自動運転に向けた,縦横統合制御のためのリスク時空間マップを用いた走行可能領域境界生成手法

田中 祐輝・福重 孝志(日産自動車)

市街地自動運転では,周囲車両との適切な間隔確保とスムーズな挙動の両立が必要である.このために,周囲車両の将来挙動予測に基づくリスク時空間マップ内での自車行動探索と縦横の走行可能領域境界生成手法を構築し,その結果を用いた加減速に関わる縦方向MPCと転舵に関わる横方向MPCにより,公道での実車検証を実施した.

4

市街地自動運転に向けた,遠隔監視システムにおけるスタック検出技術

戴 競択・中村 誠秀(日産自動車)

ドライバレス自動運転では,自動運転の機能・性能限界により停車が継続してしまう「スタック」状態が起こりえる.本研究では,スタック解消を遠隔で支援するため,スタック状態と正常停車を正確に早く識別する検出メカニズムを提案する.実験の結果,本提案はスタックの解消時間を短縮し,その影響を抑えたことを示す.

  • セッションNo.124 社会システムとしてのモビリティ
  • 10月24日 大ホール 9:30-11:35
  • 座長:鈴木 高宏(麗澤大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

英国での自動運転研究プロジェクト ServCityにおける市街地走行の取り組み
-交通流に乗るためのインフラカメラによる停止車両検出に基づく走行車線計画-

吉松 祐香・丹羽 雄哉・明李 成博(日産自動車)

市街地の幹線道路での自動運転走行では,混雑下において停止車両を回避し,交通流に乗った走行を実現することが求められる.本研究では,インフラカメラにより検出された停止車両の位置を基準に混雑区間を仮定し,車線変更難易度を指標化することで,停止車両を回避しやすい車線変更位置を決定する手法を提案する.

2

運行設計領域と倫理の関係

伊藤 昌夫(ニルソフトウェア)

自律走行車での運行設計領域(ODD)の定義は,安全性を確認する時の基礎となる.近年,ISO 34503 などの規格により,ODDの記述に関し整理が進みつつある.一方で,ODD境界などでは記述者の裁量の余地が残っている.また,ODD内においても,倫理的妥当性に関する議論は不足しており,今回整理する.

3

一般道混在環境下における協調型自動運転の実装に向けたOperational Design Domainの検討

霜野 慧亮(東京大学)・赤木 康宏(名古屋大学)・森田 真・松本 修一・瀬川 雅也(先進モビリティ)・萩野 光明(東京大学)・赤津 慎二・谷川 浩(日本自動車研究所)・加藤 昌彦(産業技術総合研究所)・中野 公彦・須田 義大(東京大学)

自動運転の社会実装に向け,一般の交通参加者も混在する道路も対象として期待されている.自動走行はODD設定内容と説明性によって実現可否が変わるため,その検討プロセスも重要である.本発表では協調型レベル4自動走行の実装を目指す柏の葉地域を具体事例として,自動走行ODD定義に向けた検討のプロセスを紹介する.

4

セルフシグナル(渋滞抑止装置)の構造と機能
-交通渋滞抑止の具体的実現策とその検証方法-

奥 秀明(応用科学技術研究所)

渋滞の主たる原因を明らかにし,高速道路上で頻繁に渋滞している近接する2地点を指定して,一方だけに渋滞抑止策を施すことで,渋滞が一方には起こらなくなるという実証方法を示す.解決のための渋滞抑止装置の構造と機能を提案する.物流改善など多くの恩恵が受けられると期待される.

5

商用電動車の本格普及時における運行管理と一体的なエネルギーマネジメントのシミュレーションにおいて考慮すべき諸規制の調査

三好 正太・坂本 一朗・長谷川 智紀(自動車技術総合機構)

商用電動車の本格普及時における社会全体最適を目指したシミュレーションシステムの構築のために実施している,電動車の運行管理及びエネルギーマネジメントを制約する可能性のある諸規制の抽出及び規制の調査について,特に省エネ法,温対法,働き方改革関連法,及び個人情報保護法の規制内容を整理した結果を報告する.

  • セッションNo.125 モータ技術
  • 10月24日 白橿1 9:30-11:35
  • 座長:清水 修(東京大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

αβ相電流を直接検出する新コアレス電流検出方式「磁気クラーク変換」の提案

梶田 浩介・烏山 翔太朗(本田技研工業)

本稿では,αβ相電流を直接検出する新電流検出方式の「磁気クラーク変換」を提案する.
従来のuvw相電流を検出する方式では,自相からの磁束を強めるためにコアを使用していた.
今回,自相と他相の両方の磁束を利用して検出する提案方式にすることでコア無しで電流検出が可能となる.

2

新コアレス電流検出方式「磁気クラーク変換」におけるαβ相電流センサの配置自由度向上

烏山 翔太朗・梶田 浩介(本田技研工業)

本稿では,従来のuvw相の電流検出の代わりに,他相からの磁束を利用しαβ相の電流を直接検出する磁気クラーク変換を提案している.
本方式にすることで電流センサのコアレス化やバスバーの集約が可能となるが,新たな配置の制約が生じる.
本論文ではαβ相の電流センサの配置の自由度が向上する方法について詳述する.

3

車載モータ用 省Nd磁石,超Nd磁石の開発

佐久間 紀次・木下 昭人・細井 日向・加藤 晃・庄司 哲也・梅谷 有亮(トヨタ自動車)

車の電動化の加速により,希土類磁石の供給リスクが懸念されている.トヨタ自動車では省Nd磁や超Nd磁石を開発し,この危機に備えている.今回はこれらの磁石を小型モータに適用し,室温~高温での効率,トルクの評価を実施した.

4

EV駆動用モータにおけるフェライト磁石適用に関する一検討

峯岸 良輔・大木 俊治・貝森 友彰(日産自動車)

ネオジム磁石に替わり安価に入手可能であるフェライト磁石に着目し,小容量,高ギヤ比を前提とした高回転型駆動モータへの適用の可能性を検討した.高回転化に伴う遠心力強度を確保しながらも弱い磁力を活用する工夫を織り込み,ネオジム磁石モータよりもコスト低減できるフェライト磁石モータ形状を見出したので紹介する.

5

X線CTを用いた油冷モータコイルエンドへのオイル挙動の可視化

棚瀬 雅貴・胡内 章伸・志水 政紀(トヨタ自動車)

近年の自動車用モータは,小型化の背反により発熱密度が上昇している一方で,多量のオイルでの冷却は効率などで不利であり,今まで以上に最適な冷却設計が求められている.
これまで計測困難であったコイルエンド部への動的オイル挙動をX線CTで可視化した.また,効率的な冷却設計技術確立のためCAEとの比較検証を行った.

  • セッションNo.126 HEV技術
  • 10月24日 白橿1 12:35-14:15
  • 座長:牟田 浩一郎(トヨタ自動車)
No. タイトル・著者(所属)
1

エミッション性能設計に向けたEiL(Engine-in-the-Loop)の環境構築と実践

高畑 智規・緒方 健一郎(本田技研工業)・菅又 遼平(本田技術研究所)・西野 正嘉・中島 徹・吉田 幸司(本田技研工業)

パワートレイン開発のフロントローディング実現のため,開発早期段階において完成車を想定したエミッション性能予測が求められる.本研究は,ハイブリッドパワートレインのコンセプトモデルとエンジンテストベッドを連成したEiLの環境構築手法,および当該EiLを活用したエミッション性能予測手法について述べる.

2

PTO型パラレルハイブリッド重量車のモデリングと燃費影響の解析(第1報)

水嶋 教文(産業技術総合研究所)・山口 恭平(国士舘大学)・高橋 利道(明電舎)

PTO(power-take-off)式パラレルハイブリッド重量車を対象にModelica言語によりモデリングし,電動化に伴う燃費影響を解析した.第1報では車両および制御モデルの概要と,シャシダイナモメータを活用した実車計測によるモータ・ジェネレータモデルのパラメータ同定について紹介する.

3

PTO型パラレルハイブリッド重量車のモデリングと燃費影響の解析(第2報)

山口 恭平(国士舘大学)・水嶋 教文(産業技術総合研究所)・高橋 利道(明電舎)

PTO(power-take-off)式パラレルハイブリッド重量車の燃費シミュレーションモデルをModelica言語で構築し電動化に伴う燃費影響を解析した.第2報ではシャシダイナモメータを活用したモデル同定手法を述べた上で,構築したモデルでハイブリッド制御を変更した際の燃費を解析した結果を報告する.

4

小型競技車両用ハイブリッドシステムの内燃機関制御
-電子制御スロットルシステムの制御性能に関する実験的検討-

山田 颯人・小林 正宗・江橋 雄介・小林 一景・黒田 純平(東海大学)・加藤 太朗(東京工科大学)・池田 圭吾(北海道科学大学)・遠藤 文人(福岡工業大学)・成田 正敬・加藤 英晃(東海大学)

ハイブリッド車両は内燃機関と電気モータを動力源とする.これは動力性能を向上でき,高性能なパワートレインを検討できる.しかし正確な制御が必要であり,特に内燃機関は制御が難しい.そこで電子スロットルを用いたシステム制御を提案し,実験・解析的に有用性を検討した.

  • セッションNo.127 高分子材料I
  • 10月24日 白橿2 9:30-11:35
  • 座長:平脇 聡志(本田技術研究所)
No. タイトル・著者(所属)
1

ゴムとステンレス球の摩擦における変位とひずみの空間分布に関する研究

西 駿明・上野 恭平・野本 智広(東北大学)・杉澤 進也・秦 大樹・山口 健・桑山 勲(ブリヂストン)・山口 健(東北大学)

自動車の制動性を制御する上でタイヤを構成するゴムの摩擦制御は非常に重要である.ゴムは低弾性が故に摩擦において変位とひずみが発生し,摩擦発現を決定するが,その空間分布は未だ解明されていない.本研究では,デジタル画像相関法に基づき,これらの分布を実験的に明らかにした.

2

計測/シミュレーションデータを活用した材着樹脂材料の外観評価予測手法

木本 博行・泉 美奈子・坂本 浩隆・信原 邦啓(トヨタ自動車)

CNと新規意匠を狙いとした無塗装外板材として開発されている材着樹脂は,組成による色目制御が重要である.色目は官能評価されるが,組成と色目の相関に関わる知見は乏しく,試行錯誤の創り込みが現状である.試行錯誤を減少すべく,情報科学を活用した,判定OKとなる組成や色目の特徴予測技術を開発した.

3

シミュレーションによる樹脂-金属接合メカニズムの探索

井上 博貴(東ソー)

金属と樹脂を接合する射出接合は,表面処理した金属をインサート成形する手法であり,接着剤やネジ止めが不要である.射出接合は,生産性は高く,設計自由度が高いといった特長を有するが,その接合メカニズムは,不明確な点が多い.本研究では,接合メカニズムに影響を与える因子を,シミュレーションを活用して調べた.

4

損傷モデルを用いた接合部のき裂進展シミュレーション

杉山 裕文(山梨大学)・岡澤 重信(山梨大学/ダイバーテクノロジー)

マルチマテリアル化に向けて接合部の強度評価が重要となると考えられる.その中でも樹脂部材の接合部における破壊問題についてき裂進展シミュレーションを用いて評価するために,損傷モデルを導入した解析手法を提案する.突合せ継ぎ手やシングルラップ接合などいくつかの例題を通して提案手法の妥当性を検証する.

5

樹脂の衝突CAE用パラメータの同定方法と衝撃試験による内装部品の精度検証

鈴木 一弥・大堀 敏郎・石原 真之(スズキ)

車両衝突CAEで樹脂部品の割れの有無を判定するためには,樹脂の力学特性を表現できる材料モデルに適切な物性パラメータを設定する必要がある.汎用CAEソフトに搭載される樹脂専用のモデルに入力するパラメータを一般的な材料試験の結果から同定する方法,および内装部品の衝撃試験より精度を検証した事例を紹介する.

  • セッションNo.128 高分子材料II
  • 10月24日 白橿2 12:35-14:40
  • 座長:未定
No. タイトル・著者(所属)
1

Development of Plastic Materials for Striker-cap to Reduce Frictional Noise

Mingyun Chung・Daeki Chung (Hyundai Motor)・Sunghyun Myung (Kolon Plastics)

BSR noise originating from the striker-cap has been one of chronic issues within suspension system. This squeak noise arises from frictional interactions between the plastic striker-cap and the polyurethane bump-stopper of the shock-absorber. Its significance has been accentuated with the recent trend towards electrification. Nevertheless, research on frictional behavior between two plastic components has been rarely conducted, compared to plastic to metal or metal to metal. In this study, we focused on the development of plastic materials for the striker-cap with reduced BSR noise by manipulating additive materials in polyamide compounds based on friction theory.

2

Study on Thermo-chemical Aging Model and Field Lifetime Prediction of Plastic in Cooling Systems

Hyeongwon Park・Kyunghwan Oh・Jee Young Youn・Soonbeom Kwon (Hyundai Motor)

Plastics are increasingly used in automotive, targeting light-weighting and energy efficiency improvement. However, being susceptible to aging, they have less durability than metals, making accurate lifespan prediction crucial. Despite the use of thermal aging models like TTS and the Arrhenius Equation for accelerated life testing, their accuracy is compromised under complex conditions with multiple aging mechanisms. This study proposes a new aging model based on a modified Weibull function, validated across material, specimen, and component. This model enables accurate aging prediction, problem analysis, and new material lifespan prediction under suitable accelerated evaluation conditions.

3

車両構造部材へのCFRP適用研究

向中野 侑哉(SUBARU)

将来の大規模な軽量化要求に備えた取り組みとして,車両構造部材にCFRPを適用した研究を行っている.CFRP適用時の課題の一つに信頼性がある.CFRP製部品の信頼性に関する知見を得るために実施した,動的疲労強度試験,及び構造用接着剤の疲労特性試験の取り組みを紹介する.

4

耐火性熱硬化樹脂成形材料の開発

小出 航・井口 英明・井川 亮一(住友ベークライト)

熱硬化性樹脂は,架橋反応により不融となる特性から,耐火性に優れる.我々はフェノール樹脂を用いてバッテリーの熱暴走の進展を抑制するため耐火性成形材料を開発した.本材料はバーナーによる連続的な火炎接触時の灰化進行を抑制する効果があり,さらに射出成形が可能な高流動性も有する.

5

帯電エアフィルタの性能変化について

小堀 暁・西谷 崇・谷口 一歩(日本バイリーン)・達 晃一(いすゞ自動車)・篠原 直秀(産業技術総合研究所)

車内環境の粒子低減を目的とし,帯電メルトブローフィルタの性能評価を行った.また,各種フィルタ性能の経時変化や帯電の影響を評価し,最適なろ材構成について分析を行った.

  • セッションNo.129 ディーゼル燃焼I
  • 10月25日 会議室1+2 9:30-10:45
  • 座長:石本 淳(東北大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

噴霧の干渉がディーゼルエンジン燃焼に及ぼす影響(第1報)

宮下 和也・古川 伸哉・石井 義範・小澤 恒(いすゞ中央研究所)

筒内に噴射された燃料噴霧は周囲の空気を取り込みながら発達していく.その過程においては,噴霧側面への空気導入の流れが隣接する噴霧のそれと干渉する.また噴霧はピストン壁と干渉し壁面に沿って発達後,同様に発達した隣接する噴霧とも干渉する.本報では,単気筒エンジンを用いて各干渉が燃焼に及ぼす影響を検証した.

2

噴霧の干渉がディーゼルエンジン燃焼に及ぼす影響(第2報)

古川 伸哉・宮下 和也・石井 義範・小澤 恒(いすゞ中央研究所)

筒内に噴射された燃料噴霧は周囲の空気を取り込みながら発達していく.その過程においては,噴霧側面への空気導入の流れが隣接する噴霧のそれと干渉する.また,噴霧はピストン壁と干渉し壁面に沿って発達後,同様に発達した隣接する噴霧とも干渉する.本報では,各干渉が燃焼に及ぼす影響を燃焼CFDにより解析した.

3

車載型FT-IR式分析計を用いた実路走行におけるディーゼル乗用車の排出ガス挙動の評価

川原田 光典・鈴木 央一(自動車技術総合機構)

ディーゼル乗用車の認証試験に路上走行試験が導入され,RDE試験が行われている.本稿ではRDE試験の対象成分であるCO2やNOxなどに加え,GHGの1つでありCO2換算で温暖化係数の大きいN2Oなどの排出について着目した.車載型FT-IR式分析計を用いて実路走行を実施し,それらの排出挙動を評価した.

  • セッションNo.130 ディーゼル燃焼II
  • 10月25日 会議室1+2 12:10-14:15
  • 座長:城戸 章宏(東北学院大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

高圧ディーゼル噴射燃料の噴霧特性解析

喜多 昭裕・瀬戸 遼太郎・黒仁田 徳士・西島 義明(愛知工業大学)

ディーゼルエンジンの排気性能改善の手段として燃料噴射高圧化がある.センサを配置した定容容器を用い,ノズルから噴射される燃料の噴射期間中における最大400MPaまでの運動量推移を実測し,燃料噴射速度を算出した.なお高速度カメラによる光学測定により噴霧の成長の時間推移を観察し,燃料噴射速度の確認も行った.

2

ディーゼルエンジンにおける燃料噴射高圧化による排気性能改善

瀬戸 遼太郎・喜多 昭裕・後藤 貴也・黒仁田 徳士・西島 義明(愛知工業大学大学院)

ディーゼルエンジンにおける燃料噴射高圧化は噴霧の運動量増加及び噴霧の微粒化に寄与し,燃料と空気の混合が促され煤低減が期待できる.
推定した煤低減メカニズムを立証すべく,単気筒エンジンを用いた燃焼試験を行い,排気特性の実測から最大400MPaまでの燃料噴射高圧化に伴い煤が低減することを確認した.

3

重量車用ディーゼルエンジンのロングストローク化による高圧縮比化の評価

齋藤 大晃・橋本 宗昌・石井 義範・小澤 恒(いすゞ中央研究所)

熱効率改善のために高圧縮比化する場合,燃焼室容積を縮小すると燃焼悪化と熱損失の増加を招き効果が限られる.本研究では単気筒エンジンを用いて燃焼室を変更せずにロングストローク化し圧縮比を高めた.その結果,同等空気過剰率条件では燃焼悪化を伴わず燃焼室容積縮小よりも図示熱効率改善効果が高いことが確認された.

4

噴霧分割をコンセプトとした突起形状を持つ燃焼室が燃焼に及ぼす影響

吉冨 和宣・石井 森(日野自動車)

燃焼室内での燃料と空気の混合を促進するため,燃焼室に設けた突起形状により噴霧を上下分割し,噴霧内部へ空気を取り込むコンセプトを考案した.CFD解析による形状決定と,単筒実機試験を行った.その結果,噴霧分割によるものと推測される熱効率向上やスモーク低減効果を得られた.

5

ディーゼル機関の運転条件および燃料性状がすす粒子のナノ構造に及ぼす影響

黒島 悠・小原 瑞貴(北見工業大学大学院)・稲葉 一輝・林田 和宏(北見工業大学)

単気筒ディーゼル機関において運転条件と燃料性状がすす粒子の炭素結晶子サイズに及ぼす影響を検討した結果,燃料性状によらず運転条件の変化に伴い高温滞留時間が長期化すると炭素結晶子サイズが増大することが明らかとなった.また,アロマ分が少ない燃料では,軽油に比べて炭素結晶子サイズが小さくなった.

  • セッションNo.131 燃費/電費/効率の評価
  • 10月25日 会議室3 9:30-12:35
  • 座長:寺地 淳(日産自動車)
No. タイトル・著者(所属)
1

BEVの実路エコドライブ手法に関する検討
-ワンペダル走行が電費に与える影響-

加藤 彰・加藤 開・藤坂 世成・鐘 一泓(帝京大学)

ワンペダル走行とはアクセルペダルの踏み加減を調整するだけで発進,減速,停止までコントロールすることができ,一部の使用者から電費が向上していると報告されている.我々は,日本における代表的なBEVを用いて宇都宮市内をワンペダル機能の有無で実路走行し,電費特性に与える影響について解析したので報告する.

2

xEVの評価試験に用いるシャシダイナモメータシステム要件の検討

古田 智信(明電舎)・鈴木 央一(自動車技術総合機構)・井上 勇(小野測器)・小川 恭広(堀場製作所)・久波 秀行(マツダ)・佐藤 健司(トヨタ自動車)・竹村 保人(ダイハツ工業)・谷脇 眞人(スズキ)・中川 翔平(本田技研工業)・中手 紀昭(日本自動車輸送技術協会)・成毛 政貴(日本自動車研究所)・田代 康介(三菱自動車工業)・堀川 健夫(SUBARU)・桝谷 啓一(日産自動車)・野田 明(元日本自動車輸送技術協会)

xEVの実走行状態を4WDシャシダイナモメータ上で再現するため,電動車特有の動力性能(特に急加速や減速を含む過渡特性)を適切に台上で反映させることが不可欠となる.そこでxEVの実走行特性を評価するために求められる4WDシャシダイナモメータの要件とその評価手法を作る際の考え方について調査検討したので報告する.

3

電動大型車の電費改善のための速度変化パターン最適化計算ならびに実車シャシダイナモ試験による検証(第2報)
-実測データに基づくバッテリ内部抵抗値と高電圧配線部抵抗値の導出ならびに同部位の損失の追加考慮-

方 亦園・諸橋 陽太・楊 イ翔・紙屋 雄史(早稲田大学)

本研究では,電動大型車のエコドライブ速度変化パターンについて検討する.第1報では,車載バッテリ出力部から始まる消費エネルギ計算に基づく最適化検討を実施し,得られた成果をシャシダイナモ試験により検証したが,本報では,同検討にバッテリ内部損出と配線部損失を追加考慮した結果について報告する.

4

重量FCVの燃費測定を視野に入れた水素流量測定に関する研究
-(第2報)過渡モードにおける計測精度向上に向けた実験的検討-

鈴木 央一(自動車技術総合機構)・大倉 由喜路(日本自動車工業会)

FCVの水素消費量測定に流量法を用いることの可能性を検討するため,重量法との相関を調査したところ,定常走行では高い相関がみられた一方で過渡モードではばらつきが生じたことを既報で示した.本報ではその改善に向けて,高圧水素,圧力調整機構を有する流量計の活用等を試み,それらにより有意な精度向上がみられた.

5

脱炭素に向けた国内の自動車の環境基準の動向

西元 崇人(国土交通省)

自動車からのCO2排出量は,2021年度時点で日本全体の排出量の15%程度を占めており,気候変動対策としての脱炭素社会の実現には,自動車からのCO2排出量削減や燃費改善が重要な課題である.本講演では,国内外での脱炭素に向けた乗用車・重量車の規制動向を説明する.

6

シャシダイナモメータ走行時における実路走行風の再現とその効果検証

奥井 伸宜(自動車技術総合機構)・高橋 利道(明電舎)

排出ガス規制等に適合するエンジン車の開発にシャシダイナモメータが用いられ,エンジンの冷却を目的に車速比例ファンが使用される.一方,電動車は走行中の熱マネジメントが重要となり,再現した実路の走行風を車両全体に吹かせる必要がある.ファンの吐出口を改造し,走行風の効果を電動車やエンジン車を用い検証した.

7

ハブナットクランプ式車両拘束装置が車両に与える振動の影響

高橋 利道・尾内 守生・河関 年成・岡崎 伸夫(明電舎)・古澤 政生(F-MAコンサルティング)

完成車両試験時にシャシダイナモメータ上で車両を固定する装置として,ハブナットクランプ式車両拘束装置が使用される.車輪のホイールハブにボルトを締結する構造により,実路とは異なる振動が発生する.実稼働モーダル解析と実験モーダル解析により,車両に与える振動の影響を検証した.

  • セッションNo.132 未検知時/誤検知時の情報提供・サイクリスト対応
  • 10月25日 会議室3 13:35-14:50
  • 座長:堺 浩之(豊田中央研究所)
No. タイトル・著者(所属)
1

自動運転車とのインタラクションのタイミングおよび位置関係による自転車運転者の交差点通過判断への影響

赤沼 壮志(成蹊大学大学院)・竹本 雅憲(成蹊大学)

自動運転車と衝突対象となる自転車の運転者とのインタラクションにより,一般道路における自動運転の実現を目指す.自転車シミュレータの実験環境で,信号交差点を横断する自転車に対して並走・左折する自動運転車から減速要請し,交差点までの距離や両者の位置関係による自転車運転者の交差点通過判断への影響を分析した.

2

未検知箇所の安全確認に関する部分的運転交代における視覚情報の検討

伊藤 潤哉(成蹊大学大学院)・竹本 雅憲(成蹊大学)

一般道路における安全な運転交代を目指し,自動運転システムの未検知箇所をドライバが安全確認する部分的な運転交代を設計し,安全確認を促す適切な視覚情報の種類を検討した.信号交差点左折時における横断自転車の走行領域を未検出箇所としてシミュレータ実験を行い,視覚情報の提示による安全確認への効果を分析した.

3

交通環境に応じたサイクリストの情報受容特性

小林 紀隆・吉武 宏・小竹 元基(東京科学大学)

事故防止のための走行中のサイクリストへの情報支援において,交通環境によってはサイクリストの情報処理量が多く,支援情報を受容できない恐れがある.本研究では,情報支援における情報量や支援タイミングの設計を目指し,サイクリストの情報処理に影響する交通環境と,その環境における情報処理特性を把握した.

  • セッションNo.133 安全支援・安全教育
  • 10月25日 会議室3 15:30-18:10
  • 座長:田久保 宣晃(交通事故総合分析センター)
No. タイトル・著者(所属)
1

仮想空間における身近な危険シーン体験による子どもの交通安全啓発の取組
-行動の分析と評価指標検討-

西澤 智恵子・伴 和徳・坂口 真一・川口 晃(トヨタテクニカルディベロップメント)・小嶋 理江・青木 宏文(名古屋大学)

交通安全教育の課題として,事故の危険性を自分事として捉えることが重要である.特に子どもは体験による学習が重要であると考え,我々は仮想空間での体験に着目し,子ども自身が身近な体験を通じて学習する交通安全啓発を試行した.本報告では体験した子どもの行動を分析し,行動の評価指標を検討した結果を報告する.

2

PLATEAU 3D都市モデルを用いた追突事故防止教育用ドライビングシミュレータの開発

宮﨑 恒志・春山 真愛・前納 聖菜・清水 魁成・熊谷 卓哉・合志 和晃・林 政喜・隅田 康明(九州産業大学)・松永 勝也(九州大学)

自動車の追突事故防止のためには,ドライビングシミュレータによる追突体験によって,適切な車間距離を維持する教育を行うのが効果的と考えられる.本研究では,PLATEAU 3D都市モデルを用いた実際の街並みでの追突体験,車間距離評価,および事後確認機能による教育が可能なドライビングシミュレータの開発を行った.

3

高齢者自身の運転に対する過大評価を是正する振り返り情報の効果

吉川 真由・西本 昴生(東京大学)・吉武 宏(東京工業大学)・藤田 涼太(三菱プレシジョン)・小竹 元基(東京工業大学)

高齢者の運転の安全性の向上には過大評価の是正が重要である.過大評価に気づかせるため,ドライビングシミュレータでの危険体験の後に自身の運転に対する自己評価を振り返るための情報を設計した.教習指導員の運転を基準とした高齢者の運転評価結果と自己評価を比較させる情報を提示することが過大評価の是正に寄与した.

4

ドライブレコーダーによる高齢ドライバーの運転行動データ収集と映像分析

池田 悠二・木村 勝・木村 要・宍戸 博(アルプスアルパイン)・佐藤 好美・平澤 幸(シーズ・ラボ)・猪股 康子・大槻 翼・高橋 信(東北大学)

高齢ドライバーの運転行動分析を目的として,ドライブレコーダーを用いてデータ収集と映像分析を行った.
1次調査として危険につながり得る運転行動・周囲環境を分析した.
更に特定の運転シーンデータを取得するための処理についてを実施した内容を報告する.

5

ドライビングシミュレータを用いた四輪車対自転車出会い頭事故におけるドライバの反応と視線の分析

趙 雨晴・新田 有輝・水野 幸治(名古屋大学)

四輪車対自転車の出会い頭事故における発生要因を検討するために,ドライビングシミュレータ実験を用いて,高齢ドライバと非高齢ドライバの視線行動,ブレーキ反応時間,事故発生率の関係を調査した.高齢ドライバの長いブレーキ反応時間は,自転車に対する認知時間が長さに起因することが明らかになった.

6

ペダル踏み間違い時加速抑制装置の評価手法の検討

眞鍋 裕輝・児島 亨・北田 幸一・森崎 憲治(自動車技術総合機構)

近年,高齢者等によるアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる事故が社会問題となっており,ペダル踏み間違い時の急加速を抑制する装置(以下,ACPE)の新たな国連協定規則が策定されることとなった.本研究では,ACPEの評価手法の検討および実車を用いた試験を実施し,試験法に対する課題や解決策を考察した.

  • セッションNo.134 通信・エレクトロニクスI 評価技術
  • 10月25日 会議室4 9:30-11:35
  • 座長:戸田 雄一郎(岡山大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

車載電子部品におけるコンフォーマルコーティングの耐湿性評価方法の提案

武藤 潤・柏原 悟史・西森 久雄・岡埜 雄輔(トヨタ自動車)・坂田 整治・堀川 敦・酒井 規光・熊谷 奈都葵(日産自動車)

電子部品の耐湿性を高めるために使用されるコンフォーマルコーティングについては基板塗布後の耐湿性を評価する方法が定まっておらず材料ごとの性能比較が困難であった.また,長期間電圧を印可しながら試験する必要がありその負担も大きい.本稿ではそれら課題を解消するべく独自の滴下試験方法を提案する.

2

車載電子部品におけるコンフォーマルコーティングの耐湿性評価と考察

坂田 整治・堀川 敦・酒井 規光・熊谷 奈都葵(日産自動車)・武藤 潤・柏原 悟史・西森 久雄・岡埜 雄輔(トヨタ自動車)

車載電子部品において基板の耐湿性を確保する設計方策として,基板表面へのコンフォーマルコーティング塗布が効果的と考えられる.その際に,どのような指標で評価したら良いか明確でない.本稿では,滴下試験法を用いて各種材料を評価し,材料間の差異が確認できたことを報告する.

3

車両のタイヤハウス内に設置可能な偏平型ダイナモメータによる自動運転開発評価 -第一報-

北条 善久・鷹崎 悠一・安元 宏平・寺田 賢二・近藤 謙太郎(東洋電機製造)

車両のタイヤハウス内に設置可能な偏平型ダイナモメータを開発した.本機は操舵可能であり,車両の機械ブレーキも収納可能な構造としており,1輪あたり94kW,1000-2000min-1であり,短時間最大トルクは1350Nmを発揮する.本稿では本機を4輪に配置することで緊急ブレーキや緊急回避などの自動運転の開発評価の可能性について言及する.

4

物理センサーモデルとDIVPシミュレーションプラットフォームを用いたミリ波レーダーの信号処理の一致性検証(第2報)

内藤 唯志・岡本 美代・貫原 謙一(コンチネンタル・オートノモス・モビリティー・ジャパン)・Yadhu Krishnan M K(Continental Automotive Components (India) Pvt.)

様々な交通環境下で再現性の高いシミュレーション評価を行うには物理現象を正確に再現したシミュレーションプラットフォームとセンサーモデルが必要である.今発表はバンパーがミリ波レーダーに与える影響をDIVPのシミュレーション環境上で実装し,対象物標の認識結果に与える影響の再現性を検証した結果を報告する.

5

SIL-HILバイブリッドシミュレーションによる自動車用ソフトウェア検証(第2報)

都築 勝也(dSPACE Japan)・Andre Hildebrandt(dSPACE)・Rafael Yunis(dSPACE Engineering d.o.o.)・Fabian Bronner・Martin Ruehl(dSPACE)

Software Defined Vehicle (SDV)が一般的になり,ECUソフトウェアが複雑になるにつれて,Software In the Loop (SIL)やHardware In the Loop (HIL)の検証環境が重要となっている.本研究では,SILとHILのハイブリッドシミュレーション環境を試作し実際のECUの機能に近い環境でシミュレーション性能を確認した.併せてSILからHILへの移行についても議論する.

  • セッションNo.135 通信・エレクトロニクスII 通信・SDV
  • 10月25日 会議室4 12:35-13:50
  • 座長:森野 博章(芝浦工業大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

車載ワイヤーハーネスレスに向けたUWB通信干渉抑止の研究

奥原 誠(デンソーテン/神戸大学)・吉竹 弘晃・西垣 友理・野村 徹也・三藤 茂樹・森川 健志(デンソーテン)

近年,自動車の高機能化に伴い,ワイヤーハーネスの増加が問題となっています.無線技術を活用したワイヤレス化は環境やコスト面で重要です.本稿では,UWBによるワイヤレス化実現に向けて無線の課題である電波干渉に対処する干渉抑制調停制御(ISAC)を提案します.ISACにより電波干渉の影響を大幅に改善することができます.

2

SDV向け複数ユースケース適用に向けたリアルタイム再構成可能な車載ネットワークミドルウェアの実装および評価

大石 裕司(日立製作所)・Hafiz Hilman(日立Astemo)・小野 豪一(日立製作所)・勝 康夫(日立Astemo)

ソフトウェアで柔軟な車両制御を行うSoftware-Defined Vehicle (SDV)では通信内容に応じ車載ネットワーク(NW)の再構成が必要である.本稿ではSDVに向けリアルタイムにNW再構成するNWミドルウェアを提案し,ソフトウェア追加等3つのユースケースに対する実装評価結果を報告する.

3

ISO/SAE 21434に準拠する脆弱性分析手法の提案

本田 啓介(日立Astemo)・松原 佑生子・下田 睦・森田 伸義(日立製作所)・藤井 康広・萱島 信(日立Astemo)

UNR155対応としてISO/SAE 21434に準拠したサイバーセキュリティ開発が求められている.本研究では,規格で実施の要求があるが具体手順の提示がない脆弱性分析についてCC/CEMをベースとした手順を定義し,さらにツール適用による自動化を検討した.これを製品設計に適用し,実行可能性を確認した.

  • セッションNo.136 通信・エレクトロニクスIII 設計開発・センサー
  • 10月25日 会議室4 14:30-16:35
  • 座長:荒川 俊也(日本工業大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

多分割輪帯電極を有する液晶レンズを用いたLiDARシステムへの応用

小林 光司・竹脇 僚哉・関 志竜・津久井 幹大・今井 優希・河村 希典(秋田大学)

本研究は,機械的駆動部を必要としないLiDERシステムに応用することを目的とした多分割円形孔パターン及び輪帯電極を有する液晶レンズを提案した.各電極に印加する電圧を調整した場合のレンズ領域における光学位相差分布を測定した結果について報告し,液晶レンズを透過した光の焦点位置を移動制御できることを示した.

2

多分割円形孔パターン電極及び4分割円形電極を有する液晶レンズシステム

竹脇 僚哉・関 志竜・津久井 幹大・小林 光司・今井 優希・河村 希典(秋田大学)

これまで,機械的駆動部を必要とせずレンズ特性を電気的に制御できる液晶レンズについて報告してきた.本研究では,多分割円形孔パターン電極と4分割円形パターン電極を用いた液晶レンズを試作し,低電圧制御による光学位相差分布の偏心移動について求め,センサ応用のためのレンズシステムの提案を行った.

3

セラミックエレクトレットの開発と振動発電デバイスへの応用

加納 一彦・井頭 卓也・松下 規由起(デンソー)・岩﨑 秀・田中 優実(東京理科大学)

ワイヤレスセンサ用の高出力MEMS自立電源として,半永久的に電荷を保持する材料であるエレクトレットを用いた静電式振動発電デバイスの開発を進めている.本講演では,振動発電デバイスの開発コンセプトおよびセラミックスを基材としたエレクトレット材料開発の取り組みについて紹介する.

4

デュアルクラッチトランスミッション制御ソフトウェア刷新時の早期作り込み手法

井上 太治・西村 伸之・松田 準平(いすゞ自動車)

新型エルフのISIM開発において,ECU(Electronic Control Unit)のソフトウェアを刷新した.刷新に伴いソフトウェアの潜在的な不具合の早期発見,対策を目的に,TMの振舞いが正しいかを客観的にモニターするソフトウェアを開発しECUに実装した.今回その効果を紹介する.

5

基板過熱に対する樹脂ケースの耐力設計手法の開発(第2報)

川﨑 美和・堀川 敦(日産自動車)・宮地 洋樹・八木 慎太郎・小山 航輝(エフ・シー・シー)

樹脂ケースの採用で課題になるプリント基板過熱に対する耐力設計を行うための手法を開発している.耐力設計を行うために,基板発熱量の定量化と発熱量に応じたケース材料変質の定量化が必要である.本講演では基板過熱時のケース材料に変質について報告する.

  • セッションNo.137 衝突安全
  • 10月25日  9:30-12:35
  • 座長:伊藤 大輔(関西大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

多様な乗員姿勢での衝突安全評価への適用を見据えたTHUMSの体幹の回旋可動域の改善

高比良 与志樹・飯塚 洋二郎・宮崎 浩・林 重希・今井 裕明・中根 裕司(トヨタ自動車)

自動運転の車両では室内の快適性が向上し,乗員の姿勢が多様化すると考えられる.本研究は多様な乗員姿勢における衝突安全評価を見据え人体モデルTHUMSの体幹の回旋可動域の改善を目的とした.回旋に寄与する胸腰周辺の筋の経路等を調整することにより可動域が増加し,多様な衝突姿勢の評価へのTHUMS適用の可能性を示した.

2

THUMSを用いたFar Side衝突試験における人体忠実度向上

飯塚 洋二朗・宮崎 浩・高比良 与志樹・林 重希・今井 裕明・中根 裕司(トヨタ自動車)

衝突安全評価において導入が進んでいるVirtual Testにて,今後,人体モデルの活用が拡大していく.本研究は,その適用を見据え,人体モデルTHUMSのFar Side側突試験における頭部挙動の忠実度向上を目的とした.関節硬さの調整により,頭部挙動の人体忠実度が向上し,Virtual TestへのTHUMSモデル適用の可能性が示された.

3

前面衝突時におけるTHOR, Hybrid IIIダミーの骨盤後方回転の要因分析

東 才晴・趙 雨晴・水野 幸治(名古屋大学)・長坂 圭・鈴木 貴大・増田 出光(スズキ)

衝突試験用ダミーTHOR(50M,5F),Hybrid III(50M,5F)に対して前面衝突後席スレッド試験のFEシミュレーションを実施し,骨盤に加わる重心まわりの全てのモーメントを取得した.モーメントの時刻歴を分析し,腸骨,坐骨および尾骨の形状が骨盤の回転運動に与える影響を調べた.

4

2輪衝突ライダ挙動2次元縮退モデルの構築

前原 一範・齋藤 誠志・和田 良治・佐藤 崇・佐宗 高・岡元 雅義(本田技術研究所)・成川 輝真(埼玉大学)

2輪対4輪衝突時のライダー全身挙動の現象理解を目的として,2次元縮退モデルを作成した.頭部,ヘルメット,上体部,胸骨部,下腿部の5剛体で構成し,膝位置は前後に移動するピボットで拘束した.実物大衝突試験と比較した結果,頭部移動量と胸たわみについて同様の結果が得られた.

5

多様な乗員に対応する胸部応答予測精度向上

松葉 郁文・根岸 俊充・林 重希・今井 裕明・中根 裕司(トヨタ自動車)

各国アセスメントにおいて様々な条件によるバーチャルテストの導入が加速している.本研究では多様な乗員(体格・構造)に対応するためのベルトモデルの開発を目的とした.ベルト巻残り量に応じた荷重特性スケーリング,乗員姿勢の詳細再現,ベルト・乗員間の摩擦状況再現により,シミュレーションの実機再現性を向上した.

6

自動車乗員の着座時における骨盤角度の静的計測と走行時の時間変化

田中 良彦・趙 雨晴・水野 幸治(名古屋大学)・一杉 正仁・東條 美紗(滋賀医科大学)・中島 豊・小川 健太郎・石垣 良太・松岡 弘樹(オートリブ)・薄井 雅俊(自動車技術総合機構)

加速度センサーを応用した角度センサーと3次元測定器を用いて自動車乗員の初期の着座姿勢を測定し小柄乗員の骨盤角度の傾向を調査した.同じ角度センサーを用いて運転中の乗員の姿勢変化にともなう骨盤角度の変化を検討した.

7

運転席側エアバッグモデルの複数条件における反力特性の精度向上に関する技術開発

森川 博史・内山 裕貴・小堀 祥子・山岸 道弘(日産自動車)

前面衝突エアバッグのエネルギー吸収量の増加に伴う仕様変更により,CAE解析で展開途中の挙動まで再現が必要となったため技術開発を行った.モデル化にあたり,エアバッグの展開挙動に影響する因子を特定した後,単品実験で測定した特性をモデルに織り込むことで予測精度を向上させた.

  • セッションNo.138 交通弱者(車いす,電動キックボード,自転車)
  • 10月25日  13:35-15:40
  • 座長:國行 浩史(公立諏訪東京理科大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

歩行者事故の交通事故統計を用いた手動車いす利用者の交通事故外傷の検討

大賀 涼(科学警察研究所)

手動式車いす利用者の交通事故に関する研究は限られている.日本の交通事故統計では,歩行者の種別として手動式車いすの関わる事故が集計されている.そこで本報告では交通事故統計を用いて,手動式車いすの関わる事故の情報を検討する.損傷主部位などの情報から車いす利用者の交通事故外傷の特徴について報告する.

2

電動キックボードの衝突・転倒現象と傷害に関するスコーピングレビュー

木戸 晶洋・大賀 涼(科学警察研究所)

電動キックボードの普及が急速に進んでいるが,その衝突・転倒現象についての研究は未だ不十分である.本研究では,海外の研究論文を対象に含めたスコーピングレビューを行い,電動キックボードの衝突・転倒現象に関する研究を整理し,さらにそのような事故による傷害についての知見をまとめた.

3

道路交通における自動車と自転車の共存についての事故統計分析からの検討
-乗用車および大型トラックと自転車の衝突での人身傷害からの検討-

関根 康史(福山大学)

自転車は,歩道と車道の区別のある道路では,車道を走行することが原則とされるが,自転車と自動車が衝突すれば,自転車乗員を死亡や重傷にさせてしまう可能性も少なくない.本稿では,事故統計分析から,自転車事故の特徴を明らかにすることによって,道路交通における自動車と自転車の望ましい共存について論じたい.

4

スマートフォンを活用した自転車接近通知の効果評価

横井 康伸(トヨタ自動車)・北原 武(KDDI)・安井 智子(トヨタ自動車)・黒澤 研吾(KDDI)

自転車と車両の事故の中で信号無し交差点での出会い頭事故が最も多く発生している.この事故を防ぐために我々はスマホを活用した自転車接近通知システムを開発した.本研究では,タクシー,デリバリードライバの協力のもと,公道で本システム通知による,効果(減速有無)と受容性評価を実施した.また,システム通知による減速による事故削減効果について考察した.

5

電動キックボードに対する被害軽減ブレーキシステムの動作に関する研究

戸田 均・加藤 寛樹・佐脇 隆太・小倉 崇生(三重県警察本部)

電動キックボードは衝突被害軽減ブレーキシステム(AEBS)の制御対象ではない.しかし,シルエットが歩行者と類似するため,AEBSが作動することが考えられた.AEBSの作動の有無は,交通事故解析において重要である.本研究では,電動キックボードに対するAEBSの作動状況を明らかにした.

  • セッションNo.139 知能化自動車
  • 10月25日  9:30-11:35
  • 座長:中村 弘毅(日本自動車研究所)
No. タイトル・著者(所属)
1

交差点における自動走行に対する路側センサを用いた協調型システムの効果

吉武 宏(東京工業大学)・釘宮 航(東京大学)・小竹 元基(東京工業大学)

混在交通における安全・円滑な自動走行の実現を目指し,自動走行に対する路側センサを用いた協調型システムの効果を評価した.交差点を走行する自動運転バスを対象に,数値シミュレーションを用いて評価した結果,協調型システムが自動走行の円滑性を向上させる上で,安全性を維持することに寄与することがわかった.

2

自動運転バスの直線道路走行におけるセンシング特性を考慮した安全速度の算出法

澤登 太一(東京工業大学)・吉川 貴城(東京大学)・吉武 宏(東京工業大学)・松浦 義朗・瀬川 雅也(先進モビリティ)・小竹 元基(東京工業大学)

様々な環境下で安全に自動運転バスを運行するため,直線道路走行時に歩行者との衝突を回避可能な安全速度の算出法を考案した.歩行者が検出範囲に入るまでの時間と,検出範囲に入ってから認識されるまでの時間に着目し,センシング特性を考慮して安全速度を算出した.その安全速度を実環境に適用し,その有用性を検討した.

3

LiDAR・カメラのセンサフュージョンによる物体認識モデルの判断根拠の可視化

西尾 友佑・平川 翼・山下 隆義・藤吉 弘亘(中部大学)

安全な自動運転の実現には遠方車両を検出が必要不可欠である.そこで,シュミレータによって交通シーンを再現した点群と画像を活用して,マルチモーダル三次元物体検出器を構築した.また,作成した検出器に摂動ベースの重要度可視化手法を用いることで,様々なシーンで点群と画像どちらの寄与率が高いかを解析する.

4

Camera-based Tightly-coupled Fusion for 3D Object Detection

Xiaoyu Wang・Yoshitaka Okuyama・Kota Irie (Hitachi Astemo)

Most current 3D object detection methods’ performances drop dramatically on pseudo-LiDAR from disparity estimation for the characteristics that the error of stereo depth estimation grows quadratically with depth. In this work, we propose to implement a tightly coupled fusion that estimates the corresponding 3D bounding box for each 2D detection bounding box by maximum a posteriori estimator that considers (1) the variation of the transformation matrix between camera coordinates and ego-vehicle coordinates, and (2) the distribution of the transformed pseudo-LiDAR point cloud on logarithmic coordinates. The experiments show that our approach achieves remarkable accuracy improvement in 3D object detection.

5

歩行者が交差点に存在するシーンにおける物体検出モデルの精度評価

鈴木 陽太郎・板谷 英典・平川 翼・山下 隆義・藤吉 弘亘(中部大学)

自動運転車両に搭載する物体検出モデルの評価には大規模な評価データが必要である.しかし,評価データを実環境で収集するには莫大なコストがかかる.そこでCG環境を用いることで多彩な評価データの作成が期待される.本研究では,DIVPシミュレータを用いて評価シーンを作成し,物体検出モデルの検出精度を評価する.

  • セッションNo.140 傷害予測および事故被害の低減
  • 10月25日  12:35-14:40
  • 座長:西本 哲也(日本大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

機械学習を活用した歩行者保護のための車両荷重特性の導出

山本 直人・安藤 亮(マツダ)

限られたレイアウトの中で車両デザインと衝突安全を両立させる構造設計は,一般にシミュレーションの繰り返しにより,多くの時間を要する.本研究では,歩行者保護を例に,機械学習を用いて最適な車両の荷重特性と必要スペースをほぼ瞬時に導出し,車両デザインと衝突安全のトレードオフを迅速に解決できるようにした.

2

深層学習手法を用いたドライブレコーダ画像に基づく歩行者の傷害予測

國富 将平・田川 傑・新井 勇司(日本自動車研究所)

深層学習手法を用いることで,ドライブレコーダに記録された歩行者衝突画像から傷害レベル(死亡・重症,或いは軽症・無傷)に応じた歩行者を検出する傷害予測モデルの開発を試みた.作成した傷害予測モデルは,事故発生時の歩行者挙動に基づいて,画像から傷害レベルに応じた歩行者を適切に検出し,その有効性を示した.

3

機械学習を用いた衝突時の歩行者頭部・脚部傷害予測手法の検討

伊藤 大輔・嶋岡 優子・土江 凌河(関西大学)

有限要素解析と機械学習を用いて四輪車対歩行者衝突における頭部および脚部の傷害予測手法を構築した.成人小柄女性とセダン型車両との衝突を想定し,バンパアブソーバ内に設定したチューブ両端に生じた圧力の時系列データを入力データとして,HICと脚部曲げモーメントを予測するモデルを構築した.

4

先進安全技術の進化と事故低減効果解析(第2報)

長谷川 俊(トヨタ自動車)・鈴木 順也・松崎 泰也(東京海上日動火災保険)

1年間の保険事故データを用いて,トヨタ・レクサス車に搭載されている第3世代のトヨタセーフティセンスと全周囲カメラによるパーキングサポートブレーキの事故発生率を算出.それぞれ旧世代のシステムとの比較を行った.結果,対車両追突事故や駐車場内の対静止物事故が旧世代より低減されていることを確認した.

5

救急搬送データとのマッチングによる事故自動通報の効果の検討(第3報)

木内 透(交通事故総合分析センター)・斎藤 信夫(日本緊急通報サービス)・影澤 英子・白川 正幸(交通事故総合分析センター)

筆者らは先の春季大会で,2019~2021年のマクロデータと救急搬送データをマッチングさせ覚知時間短縮の効果把握を報告した.前回研究より短縮効果は増加したが,郊外での大きな効果を確認できなかった.そこで,同じデータベースを使い,郊外の単独事故・車両変形程度等の条件を絞り,再度効果把握を試みた.

  • セッションNo.141 事故分析
  • 10月25日  15:20-17:00
  • 座長:槇 徹雄(東京都市大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

駐車場における自動車事故分析およびRCARの方法を用いた当該事故に対するAEBの衝突回避性能評価

別所 直樹・内田 佳匡・草野 久(自研センター)

近年人身事故は減少傾向を示す一方で,物損事故は増加傾向にある.交通事故のさらなる低減のためには,物損事故も含めた事故状況把握が必要である.本報告では物損事故の中で件数の多い駐車場事故に注目し,事故状況を分析した結果を報告する.また,RCARにおいて開発された駐車場事故に対応するAEBの評価方法を紹介する.

2

事故および側面衝突事故における日本の交通事故の特徴

田中 良知・細川 成之・松井 靖浩・薄井 雅俊(自動車技術総合機構)

日本で発生した前面衝突事故と側面衝突事故について,車両乗員の特徴を調査した.前面衝突事故については,死者数の約7割は運転席乗員であり,そのうち男性は占める割合が高く死亡率も高かった.側面衝突事故については,死者数の約3割は反衝突側乗員であり,同様に男性の占める割合は高く死亡率も高いことを確認した.

3

近年の乗用車対自転車の出会い頭事故の特徴と自転車AEBの効果の分析

河口 健二(交通事故総合分析センター)

近年の乗用車は対車両AEB(被害軽減ブレーキ)の普及で追突事故が減少し,出会い頭事故が最多となり,その事故の中で自転車の傷害が最多である.この出会い頭事故について様々な視点から分析し,事故の要因等の特徴を洗い出した.また,自転車AEBの市場での効果を算出し,さらなる事故・傷害の低減に向けての提案を行う.

4

大型車左後輪の脱落事故原因に関する考察

正司 康雅(YSコーポレーション)

トラックの車輪脱落事故がISO方式の締結方式になって以降増加している.さまざまな原因が推測されているが,左後輪だけに多くの現象が集中している事実を説明するものは見当たらない.筆者は普遍的なナットゆるみの原理を基にしてトラックの左後輪が特にゆるみやすい原因を見出したので,本論文で報告する.

  • セッションNo.142 運転行動
  • 10月25日 桜1 9:30-11:10
  • 座長:竹本 雅憲(成蹊大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

没入型ドライビングシミュレータにおけるフロントピラ死角が交差点での視認行動に与える影響

武井 優人・岡本 真也・福田 悠人(群馬大学)・香西 俊彦・岩瀬 勉(群馬大学/SUBARU)・吉田 壮徹・佐藤 健一・松尾 典義(SUBARU)

本稿は運転者の視認行動に着目し,フロントピラ周辺の死角の大きさが交差点での運転に及ぼす影響を没入型ドライビングシミュレータを用いて実験的に調査した.その結果,死角の増加に伴い運転者の頭部振り向き等の視認行動が増大することを確認し,運転中の視認行動に基づいた指標を用いてその影響を評価した.

2

右折時のドライバーの安全確認行動評価

來山 真也・大塚 まなぶ・浜田 康司(デンソー)・Wentong Yang・松林 翔太・三輪 和久(名古屋大学)

ドライバーの認知状態に適応した情報提供システムを目指している.今回,右折時の安全確認が不十分となる要因を明らかにするため,仮想環境にて発進タイミングを計測した.待ち時間の増加により対向車や横断歩行者に気づかずに右折判断が増加する傾向が示唆された.

3

潜在リスクに対するドライバの構え行動評価指標の検討

田中 貴紘・金森 等・原田 あすか(名古屋大学)・野田 早織・河内 泰司・浜田 康司(デンソー)

本研究では,運転中の潜在リスクに対するドライバの構え行動を,予測層,発見層,対処層の3種類に定義し,ドライビングシミュレータを用いた住宅路走行データから各層に含まれる構え行動の抽出を試みた.さらに,分析結果に基づき,各構え行動を多段階で評価する指標の検討を行った.

4

車両走行データに基づく運転手の内部状態の推定と遷移構造のモデル化

岸本 まき・大佛 俊泰・三原 正一(東京科学大学)・舟久保 晃・武田 雄策・山本 雅史・田中 力(マツダ)

安全で快適な自動車交通の実現のためには,利己的な運転を抑制し,協調的で利他的な運転を促進することが求められる.また,ある運転者の利他的な行動は,他の運転者に伝播し,交通システム全体の安全性向上に繋がると考えられる.本稿では,自動車の走行データから運転手の内部状態を推定し,その遷移構造をモデル化する.

  • セッションNo.143 運転支援
  • 10月25日 桜1 12:10-14:15
  • 座長:平岡 敏洋(日本自動車研究所)
No. タイトル・著者(所属)
1

潜在的な危険に対する予測を促す視覚情報による運転支援システムの基本的検討

佐久間 雄己(成蹊大学大学院)・竹本 雅憲(成蹊大学)

駐車車両側方通過場面を対象として,潜在的な危険となる駐車車両の死角および近くの走行自転車に対する予測を促す運転支援システムの有効性を検討した.ハザードごとに安全確認と運転操作に関する視覚的な支援情報を提示するシミュレータ実験を行い,ハザードに対する側方間隔,走行速度および確認終了位置などを分析した.

2

力覚インタラクションを活用した運転操作支援システムの開発

菅本 周作・井上 聡・濱口 剛・西郷 慎太朗・半田 聡(トヨタ自動車)

運転支援システムは利便性の向上に貢献してきたが,場面によってシステムの指定する運転操作を受容できず,システムを十分に活用できないドライバが存在する.そこで,より多くの場面でドライバに運転支援技術の嬉しさを提供するため,ドライバはシステムに操作を指定される感覚がないものの,システムの補助により運転しやすく感じられる操作支援制御を開発し,その効果を検証する.
ここでは,ステアリング操作に関する支援制御を検討する.本制御は,それのみで目標操作量を実現する自律的な操舵制御はしないことを特徴とし,車両に取り付けられた外界センサ等のデータから演算されるドライバ操作の先読み操作量に基づいて操舵反力を変化させる.これにより,ドライバは操舵反力の変化を手がかりに,自身の先読み操作に相当する操作のフィードフォワード成分の精度向上させることで,サポートはありつつもドライバ自身で上手く運転できる感覚が得られると考えられる.
ドライバのフィードフォワード成分の精度向上は直接的には計測できないため,フィードバック成分に相当するステアリングの修正操作量に効果が現れると考え,実験車両を用いた計測を通じてその効果を検証した.

3

地図情報を活用したヘッドランプ配光制御技術におけるカーブ走行時の視認性評価

太田 脩平・高本 周作・関 崇博(三菱電機)

視線とヘッドランプ配光のずれは視認性の低下を招くため,カーブ中も両者は一致する必要がある.
そのため,現在位置と地図情報から進行方向の道路形状に合わせた配光制御方式が考案されている.
評価の結果,道路形状だけでなく遮蔽の有無も視線方向に影響を与えることが判明し,遮蔽に応じた配光制御が理想的と示唆された.

4

道路起伏に伴うすれ違いビームの仰角変動が対向車に与える不快グレアの解析

青木 義郎・加藤 洋子・関根 道昭(自動車技術総合機構)

すれ違いビームは対向車ドライバに不快グレアを与えないように配光が定められているが,自車両の仰角変動や対向車との位置関係により,グレアを与える可能性がある.本研究では実路を走行する実車の仰角変動を測定し,グレアの発生状況を数値解析した.ダイナミックオートレベリングによる対策の可能性についても検証した.

5

振動と注意対象の位置対応を利用したシートによる注意喚起方法の検討

上村 洋介(京都工芸繊維大学大学院)・北川 哲也・古舞 隆司(富士シート)・西崎 友規子(京都工芸繊維大学)

シートの振動を利用した,直感的且つ負担の少ない注意喚起方法を検討した.高齢者を含む,あらゆる年齢層の運転者に適応できるよう,大学生と高齢者を対象にした実験を行った結果,背部からの振動は注意対象に対する反応を促進した.さらに,出現する注意対象と同じ方向から振動が呈示される時に,反応が有意に早くなった.

  • セッションNo.144 ドライバモデル・センシング
  • 10月25日 桜1 14:55-17:00
  • 座長:林 隆三(東京理科大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

車内の聴覚刺激を計測するヒト内耳模倣MEMSセンサの開発

伊藤 陸(群馬大学)・佐々木 恒・稲葉 洋芳(SUBARU)・小山 哲司(群馬大学)・香西 俊彦(SUBARU/群馬大学)・李 信英(山梨大学)・小池 卓二(電気通信大学)・田中 有弥(群馬大学)・岩瀬 勉(SUBARU/群馬大学)・鈴木 孝明(群馬大学)

自動車の運転には,未解明である人体の様々な感覚が関係する.本研究では遠隔運転向けのデータ収集への応用を目的の一つとして,ドライバが耳で感じる臨場感の数値化が期待できるヒト内耳模倣MEMSセンサを提案する.自動車振動によって生じた気導と骨導の両入力に対するMEMSセンサの応答を評価した.

2

ベクトル量子化変分オートエンコーダを用いた事前学習に基づく自動車操作信号からのドライバ状態推定

花井 謙志郎・南角 吉彦(名古屋工業大学)・神沼 充伸(東京国際工科専門職大学/日産自動車)

本研究では,車内サービスのためのドライバ状態推定器の構築を目指す.推定器の学習には,自動車操作信号とドライバの状態ラベルが必要となるが,ラベル付与には人手による作業が必要となる.そこで,大量の自動車操作信号から事前学習モデルを学習し,少量のラベル付きデータを用いて推定器を学習する枠組みを提案する.

3

低車速時における合流行動の解析・モデル化と制御

石黒 達也・奥田 裕之(名古屋大学)・富永 健太(三菱電機)・鈴木 達也(名古屋大学)

自動運転や手動運転が混在する合流環境では,双方の意思疎通が重要である.高速道路などの高速度域では研究が盛んであるが,一般道などの低速域での研究はあまり進んでいない.そこで本講演では低速度域での直角合流におけるドライバの運転特性を実験により観測し,ネゴシエーションを考慮した直角合流モデルの構築を行う.

4

運転挙動の精密再現を目的としたドライバモデルパラメータの動的推定

関 龍哉・鈴木 宏典(東洋大学)

本研究では,車両状態量からドライバ固有のドライバモデルパラメータを精密に推定する試みを行う.デュアルパーティクルフィルタを用いてドライバモデルパラメータを推定し,確率密度関数に変換する.シミュレーション実行時に確率密度変数から選択されるパラメータがドライバの運転行動を精密に再現しているか検証する.

5

LSTMモデルを用いた低覚醒検知システムに関する研究

周 旭鵬・沈 舜聡・廣瀬 敏也(芝浦工業大学)

本研究は,脳波に基づく自動運転中のドライバの覚醒状態について,眼の特徴をもとにLSTMモデルを構築することを目的とした.深夜の高速道路での自動運転シナリオにおける眼の特徴と脳波データを測定した.構築したLSTMモデルの脳波出力結果を実際の脳波データと比較することにより,その精度を定量的に評価した.

  • セッションNo.145 エンジン部品・潤滑油・トライボロジー
  • 10月25日 桜2 9:30-11:35
  • 座長:山口 健(東北大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

ピストンスカートプロファイルまたはパターンコーティングにより付加された凹部内の油膜分布がスカート部摩擦損失に与える影響

中川 拓朗・佐藤 健太・川島 久宜・鈴木 秀和・石間 経章(群馬大学)

ピストンスカート部のプロファイルまたはパターンコーティングにより凹部を設け,摩擦損失の影響を検討した.油膜可視化の結果を参考に凹部オイルの存在が十分でない場合を想定し計算を行った.凹部にオイルがないときはある場合より摩擦損失は増加したが,オイルが一部に存在する場合は摩擦損失が低減することが分かった.

2

ピストンリング性能予測のためのMBDツール開発
-オイル消費1D-CAEモデルの構築-

千葉 洸・望月 和矢・鈴木 逸良・矢澤 勝・飯島 直樹(リケン/リケンNPR)

開発コスト低減を目的とし,ピストンリング仕様変更に伴うオイル消費,ブローバイ,フリクションの変化を予測可能なMBDツールを開発した.特にオイル消費は統計手法,および筒内可視化結果から取得した実験係数を適用し,短時間かつ高精度に予測可能な1D-CAEモデルとした.複数仕様について精度を確認し,その有効性を確認した.

3

超微細孔式によるナノバブルを含むエンジン油がピストン系摩擦損失低減に与える効果
-ナノバブルの発生密度と摩擦低減効果の相関-

堀場 海・福田 将也・星野 秀介・岩田 拓実・及川 昌訓・三原 雄司(東京都市大学)

ピストン・シリンダ間の摩擦特性に関して,超微細孔式法によりエンジン油内に発生させたナノスケールのバブルが摩擦仕事に及ぼす影響を,浮動ライナーエンジンによる摩擦力測定により調べた.本研究では特にナノバブル発生装置の発生部表面積を変化させることでバブル発生密度と摩擦低減効果の相関関係を確認した.

4

油脂類がガソリンエンジンに与える影響を定量可能な評価手法の開発

戸邊 祥太・志岐 昌美・鈴木 昭宏・江口 直希・橋本 弘平(SUBARU)

エンジン内の環境を模擬したカーボンデポジットを評価する手法は複数存在する.しかし,エンジンが使用する全ての環境の影響を定量的に比較することが出来ない. そこで,本研究では油脂類の使用環境を模擬した状態で,影響度を定量的に評価する手法を構築したので報告する.

5

アプリケーション固有の燃費ソリューションの考察

Field Sam・Anderson William B.・Engelman Kristi・Bell Ian・Hidetaka Hoshino(Afton Chemical)

エンジンオイルは日米エンジンデザインに特化した省燃費技術の開発が重要となる.
この講演では,北米エンジンプラットフォームの実際の動作をシャーシダイノで分析し,デジタルツインの出力と比較する.次に業界標準の燃費テスト方法と比較すると共に,ハイブリッドエンジン用の低粘度エンジンオイルの妥当性を評価する.

  • セッションNo.146 排出ガスI
  • 10月25日 桜2 12:35-14:40
  • 座長:中山 智裕(SUBARU)
No. タイトル・著者(所属)
1

中長期における自動車排出ガス規制強化時の排出ガス量および温室効果ガス排出量推計

金成 修一・平井 洋・伊藤 晃佳・鈴木 徹也(日本自動車研究所)

欧州では最新の排出ガス規制であるEuro7の導入を決定しており,これにより日本でも排出ガス規制の強化が進められる可能性がある.筆者らは自動車部門の長期CO2排出量推計手法を開発しており,同時に排出ガス量も推計可能となっている.排出ガス規制強化および交通流対策を実施した場合の排出ガス量推計を試みた.

2

A Framework for Determining Characteristic and Difficult Sub-Samples of Real Driving Data for Model-Based Engine Emissions Optimisation

Jack Prior (Loughborough University)・Luke Bates (HORIBA Mira)・Byron Mason (RMIT University)・James Knowles (Loughborough University)

Robust multi-objective approaches to engine emissions optimisation have recently emerged that use data-driven models trained on representative driving data. However, this data collection is resource expensive, due to the range of conditions that may be represented. Two possible approaches to reducing this real driving data include selecting characteristic sequences that broadly represent driving behaviour and difficult sequences that contribute strongly to an objective function such as emissions. In this work, an analysis approach is devised that quantifies these two qualities and assesses their trade-off within several one-hundred minute cycles of RDE-representative data.

3

MBD(Model Based Development)を活用した近接SCRシステムの設計

阿野田 洋(いすゞ自動車)・米山 香澄・藤井 謙治・大塚 千尋(いすゞ中央研究所)・岩下 拓朗・仮屋 智孝・望月 立行(いすゞ自動車)

今後も排ガス規制の強化が計画されており,制御含めて後処理システムが更に高度・複雑化していく.そのため実機での検証工数を如何に削減するかが課題となっている.本報では近接SCRシステムの設計を制御性も含めてMBDで行い,大幅に実機検証工数を削減した事例について報告する.

4

車載CO2回収技術の研究(第1報)
-CO2吸着特性の計測とモデル構築-

﨑間 俊明・松田 啓嗣・堀越 政寛・松村 益寛・村田 淳矢・内田 健司・原田 雄司(マツダ)

エンジン排気ガス中のCO2を分離回収するCO2回収技術の検討を行っている.CO2回収システム検討の効率化の観点では,モデルベースでの机上検討が有用である.そこで,計測した固体吸着剤のCO2吸着特性を基に,境膜及び粒子内拡散を考慮したモデル化を進めた.その結果,実験のCO2破過曲線を再現可能な吸着速度モデルを構築できた.

5

車載CO2回収技術の研究(第2報)
-モデルベースでのシステム設計とその実証-

松田 啓嗣・山本 亮・堀越 政寛・乃生 芳尚・﨑間 俊明・内田 健司・原田 雄司(マツダ)

車載という制約下においてもエンジン排気ガス中のCO2を連続的に分離回収可能なシステムを検討している.1D-CFDツール及び実排気ガスを用いた実スケールの実験を活用し,実現可能性を調査した.それにより,市街地走行程度のエンジン出力領域においては約90%のCO2を回収できる可能性を明らかにした.

  • セッションNo.147 排出ガスII
  • 10月25日 桜2 15:20-18:00
  • 座長:原田 浩一郎(マツダ)
No. タイトル・著者(所属)
1

高周波パータベーションを適用した三元触媒の浄化性能向上に関する研究

寺澤 雅人・菅谷 裕大・梅本 晃希・草鹿 仁(早稲田大学大学院)

排気量2.5 Lのガソリンエンジンを用い,空燃比を高速で切り替えるパータベーションにより,振幅と周波数が浄化特性に与える影響を調査した.供試触媒にはPd/Alを用いた.その結果,NO,CO,THCは周波数を高め,振幅を小さくすることで浄化率が向上し,かつNOおよびCOは周波数に対して高い感度を持つことを見出した.

2

Tier4規制に向けたガソリンパティキュレートフィルターの検討

高井 竜太・青木 崇志・松本 祐・佐々木 裕二・杉浦 究・浜崎 佑一・伊藤 真樹(日本ガイシ)

米国のTier 4規制では,PM(Particle Mass)規制値が 0.5 mg/mileへ厳格化される.Tier4規制を満たすにはエンジン制御の改善のみでは困難であり,米国のガソリン車においてGPF搭載が必須になる見込み.Tier4 規制に適したGPFを検討するため,新たに規制化される寒冷条件を含む条件でGPFの捕集性能を評価した.本稿では,評価結果及びTier4に適したGPFを示す.

3

DOConFilter技術活用による後処理装置の小型化

白木 偲織・木下 尚志・三井 陽平・浅子 剛・田中 克典・松本 祐・青木 崇志(日本ガイシ)

排出ガス規制の厳化に伴い後処理装置が複雑となり,搭載スペースの観点から後処理装置のダウンサイズ技術への興味が高い.その解決策としてDOC機能をDPFに集約したDOConFilterが注目されている.
本発表では,高スス捕集材料と高セル密度構造を組み合わせることで,懸念である圧力損失と再生効率を改善したDOConFilterの開発について報告する.

4

蛍光色素を活用したアミン溶液中のCO2濃度計測法の開発

冨田 頌平・山本 道彦・西川 雅喜(アイシン)・江上 泰広・清田 悠生(愛知工業大学)

自動車業界ではカーボンニュートラル実現に向け,工場のCO2排出ガスの回収する装置開発が進められている.本報では,アミンスクラビング法による排ガスからCO2を分離回収するシステムにおいて,蛍光色素を用いた光学的手法により溶液中のCO2面分布濃度を可視化する技術を確立したので紹介する.

5

重量車に搭載された尿素SCR触媒の使用過程におけるNOx浄化性能の把握に関する考察

山本 敏朗(自動車技術総合機構)

平成28年排出ガス規制適合車に導入された銅系ゼオライトSCR触媒のNOx浄化性能等のデータを,積算走行距離の増加に伴いシャシダイナモメータ試験および実路走行試験を実施して継続的に収集した.これらを用い,NOx浄化率,空間速度等を分析指標として使用過程における尿素SCR触媒のNOx浄化性能を考察した.

6

微粒子フィルタ通過後の粒子排出量の予測を可能にするスス捕集モデル

中村 一輝(早稲田大学大学院)・Anton Nahtigal(AVL-AST d.o.o. スロベニア)・山口 恭平(国士舘大学)・草鹿 仁(早稲田大学大学院)

将来の自動車排出ガス規制であるEuro 7では,粒子排出量に対してさらに厳しい規制が課せられる.本研究では,微粒子フィルタ通過後でも正確に粒子排出量を予測することが可能な微粒子フィルタのスス捕集モデルを開発し,その計算結果を模擬実験で計測したスス排出量と比較することにより妥当性を検証した.

  • セッションNo.148 道路交通環境
  • 10月25日 大ホール 9:30-11:10
  • 座長:ポンサトーン ラクシンチャラーンサク(東京農工大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

サイドカメラを使用した自己位置推定の検討

坂谷 芳紀・橋場 敏彦・遠藤 雅也(三菱電機)

高精度地図上の自車位置を特定する際に,GNSSの精度が悪化した場合は車載センサで車線形状を取得して自車位置を特定する方法がある.しかし道路環境によってはセンサで車線形状を取得できず自車位置の特定が困難となる場面がある.このような場面において,車線形状を推定し,自車位置の特定を可能とする手法を検討した.

2

合流支援のためのシミュレーション環境の構築及び技術開発

荒木 伸太・新徳 顕大(構造計画研究所)・宮下 浩一・愛甲 聡美(三菱総合研究所)

シミュレーションを用いて路車間通信を利用した本線隙間狙い支援システム(Day2システム)及び本線車協調支援システム(Day3システム)の合流改善効果を確認しコンセプト成立性を評価した.両システムとも合流改善効果はあったが,Day3システムの本線車協調支援の改善効果は今回の範囲では確認できなかった.

3

Analysis of the Effect of Road Alignment on Visibility Delay for Curved Roads

Hiroshi Kuniyuki・Seiya Tanaka・Fumitaka Fukuzawa (Suwa University of Science)・Masashi Makita (Teikyo University)

This study analyzed the effects of road alignment on visibility delay for curves by experiments using a driving simulator. The results showed that the visibility behavior for curves was first recognition of the existence of the curve, followed by recognition of the curvature of the curve. Furthermore, it was found that the curve visibility delay in those phases was influenced by the left-right difference and the curvature difference.

4

マルチエージェント交通流シミュレーションを用いた自動走行システムの高度化技法の有効性評価

北島 創・内田 信行(日本自動車研究所)・菅沼 直樹(金沢大学)・奥野 唯(OS企画)・田島 淳(三咲デザイン)

一般道を自動走行システムが安全かつ円滑に走行するためには複雑な状況に対処できる高度な認識・判断技術が不可欠である.効果予測用に開発したマルチエージェント交通流シミュレーションに自動走行技術の高度化を加速に資する機能を新たに導入し,シミュレーション結果に基づいて有効性を評価した結果を報告する.

  • セッションNo.149 三元触媒
  • 10月25日 大ホール 12:10-13:50
  • 座長:浅沼 孝充(トヨタ自動車)
No. タイトル・著者(所属)
1

酸素放出・吸蔵状態の違いがパラジウム/セリアジルコニア三元触媒の酸素吸蔵分布に与える影響

渡辺 侑希・林 勇真・長澤 剛・佐藤 進・小酒 英範(東京科学大学)・糸山 浩之・黄 晟ウェイ(日産自動車)

三元触媒の酸素吸放出機構解明を目的とし,同位体クエンチ法を用いた酸素吸蔵分布の可視化実験を行った.本報告では酸素放出・吸蔵状態の違いが吸蔵分布に与える影響を明らかにするために,板状セリアジルコニアとPdから成るモデル触媒を用い,水素還元時間と酸素吸蔵時間をパラメータとした可視化実験を実施した.

2

パータベーションにおける吸蔵酸素が三元触媒の浄化性能に及ぼす影響

青山 颯汰(早稲田大学大学院)・草鹿 仁(早稲田大学)

酸素吸蔵能を有する触媒を対象としたパータベーションを組み込んだ試験を実施し,酸素吸蔵能が三元触媒浄化性能に及ぼす効果を実験的に解析した.試験結果において酸素量の変動や各ガス種の浄化率低下に着目した結果,触媒劣化や酸素吸蔵能の有無に伴うパータベーションに対する浄化性能特性を明らかにした.

3

HC成分による触媒一時被毒メカニズムの検証

見野越 洋行・田淵 大智・永井 亮(SUBARU)・羽田 政明(名古屋工業大学)

自動車触媒に排ガス中のHC成分が付着すると,触媒性能が一時的に低下する.一時被毒メカニズムを検証するため,HC成分の種類と触媒への付着箇所を調査した.その結果,排ガスには特定の芳香族HCが多く含まれること,この芳香族HCが触媒中の貴金属とCZ材料の界面に付着すると触媒性能が低下することを見出した.

4

Well-to-Wheelで電気自動車並排気を実現する100%電動駆動ハイブリッド車用排気システムの検討
-ゼロエミッションへの挑戦-

井上 晶・糸山 浩之・諸星 篤史・横山 仁(日産自動車)

電動車両用内燃機関には排気規制強化,CO2低減,材料市況変動への対応が求められる.
複数システムで触媒暖機の得失を検討し,100%電動駆動ハイブリッドシステムと親和性が高いセラミックEHCについて,シミュレーションと実験の両面から,電気自動車並排気レベル(WTW),CO2,触媒貴金属量低減の可能性を示す.

  • セッションNo.150 燃料/代替燃料
  • 10月25日 大ホール 14:30-16:35
  • 座長:山口 恭平(国士舘大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

Effect of Supercharging on Ammonia/Gasoline Co-combustion Characteristics in a High Compression Ratio Engine with Sub-chamber

Takanobu Okada・Hikaru Yamamoto・Hikaru Shiraishi・Emir Yilmaz・Mitsuhisa Ichiyanagi・Takashi Suzuki (Sophia University)

Ammonia has gained attention as a carbon-free fuel. With its high energy density and good transportability, ammonia is expected to be used as an engine fuel. However, ammonia faces challenges such as high auto-ignition temperature and slow combustion. To identify stability combustion factors, this study examined the limits of ammonia content in the fuel and the effect of supercharging. Using gasoline as supplementary fuel and varying the ammonia ratio, stable operation was achieved with ammonia energy share of 77%, in addition supercharging improved maximum in-cylinder pressure and performance.

2

筒内圧力の時系列解析を用いたエマルジョン燃料の燃焼性能の評価

八木 佳亮・Iman Kasih Telaumbanua(室蘭工業大学大学院)・大石 義彦・河合 秀樹(室蘭工業大学)・Himsar Ambarita(北スマトラ大学)

カーボンニュートラルへの手段の一つであるエマルジョン燃料において,水含有量の増加は不規則な燃焼を誘発する.本研究では,エマルジョン燃料の燃焼時の筒内圧力の瞬時変化を解析し,通常燃焼と未燃焼の判定基準を確立することで時系列データから得られたスペクトルから燃焼性能の評価を行うことを目的とした.

3

アンモニア-軽油デュアルフュエルエンジンの燃焼特性に関する研究

保前 佑真(早稲田大学)・小暮 涼介・田中 貴文(三菱重工エンジン & ターボチャージャ)・古賀 智大(三菱重工業)・江利川 透磨・草鹿 仁(早稲田大学)

アンモニアをディーゼル燃料と混焼させた際の燃焼特性について調査するため,急速圧縮膨張装置を使用して,燃焼の可視化実験を行った.また,反応及び燃焼のモデルを構築し,運転条件の変化による影響を調査した.その結果,アンモニア混焼ではN2Oは増大するが,混焼率60%で温室効果ガスは約40%削減できることが分かった.

4

FT合成ガソリン及びFT合成軽油の燃料規格への適合化に関する研究

岡本 憲一・大森 敬朗・木濟 寛史(カーボンニュートラル燃料技術センター)・田畑 光紀(石油エネルギー技術センター)・大塚 武・濱田 夏輝・佐藤 一仁(コスモ石油)

FT合成粗油に適切なポスト処理を施して製造した試作FTガソリン,試作FT軽油の燃料規格への適合性を確認するとともに,その燃料品質の特徴を把握した.また,ポスト処理による含酸素化合物などの副生物の除去効果を確認した.加えて,FT合成粗油のポスト処理時のエネルギー効率や液体燃料収率面から特徴を把握した.

5

含酸素合成燃料及び試作FT合成燃料のゴム部材に対する影響について

大森 敬朗・岡本 憲一・木濟 寛史・田畑 光紀(カーボンニュートラル燃料技術センター)・大塚 武(コスモ石油)

国内外ではカーボンニュートラルに向けて合成燃料の研究開発が行われている.そこで,試作したFT合成ガソリン及びFT合成軽油と,含酸素系合成燃料のゴム材料に対する影響を評価した.その結果,
・試作したFT合成ガソリン・FT合成軽油は,評価した混合割合では影響が小さかった.
・含酸素合成燃料は,混合割合が少ない場合でもゴム材料によっては影響があることと,その化合物により影響度が異なることも確認した.
これらから,自動車への利用時の留意点を整理した

  • セッションNo.151 動力伝達系I
  • 10月25日 白橿1 9:30-11:35
  • 座長:中澤 輝彦(豊田中央研究所)
No. タイトル・著者(所属)
1

ゴムベルト式無段変速機の変速挙動と伝達効率解析

家森 涼太(法政大学大学院)・相原 建人(法政大学)・木本 優(エクセディ)

ゴムベルト式CVTの変速動作を含む駆動時の伝達効率予測を目的とし,理論式の構築を行った.従来研究における理論解析のほとんどは定速状態を対象としていた.そのため,変速中の挙動についての解析法が確立されておらず,伝達効率予測は困難であった.構築した理論式の有効性を,実験結果と比較して示した.

2

新型フルサイズSUV向け軽量ファイナルドライブの開発

河野 史郎・橋本 真・片瀬 博昭・浅井 尭之・小出 将克・福本 堪太(日産自動車)

新型フルサイズSUV向けに, 高効率かつクラス最軽量のアルミキャリアで構成されるファイナルドライブユニットを新規に開発した. アルミ化によって懸念される剛性低下対策として, デフサイドベアリングの固定方法にスナップリングを適用し, 従来の鋳鉄ハウジングと同等のギヤ支持剛性を確保した. さらに, 低オフセットハイポイドギヤと低粘度油の採用による発熱量の低減と最適ハウジング形状による高効率な放熱特性によって, 筐体の小型も実現した. 本新開発ユニットを独立懸架式アクスルに適用できたことで, プレミアムクラスにふさわしい乗り心地と静粛性を実現しつつ, 8500lbsのトーイング性能と高い燃費性能の実現も可能とした.

3

回転環境下における潤滑油の流動解析

林 比呂斗・加藤 琢真(千葉工業大学)

トランスミッション内部でのオイル供給の方法である軸芯潤滑に着目し,有限体積法を用いた流体解析(CFD)の面から考察を行う.解析条件を変化させることで流体の挙動が変化することが明らかとなり,潤滑に変化が生じた.本研究では回転数や潤滑油の物性,形状などの因子との関係を明確にし,技術向上を目的とする.

4

回転軸芯潤滑における排出孔周りの流動と流量特性

加藤 琢真(千葉工業大学)

自動車変速機のシャフトによる潤滑配送においては,回転による遠心力や撹拌等の影響で狙った潤滑配送が困難となる.この問題の解決を目的として,回転要素での気液二相流の挙動解明を行った.潤滑流量計測と可視化計測により,排出孔の形状を設計することで潤滑流量の回転数感度を抑制する可能性を示した.

5

潤滑油の摩擦特性が電動トランスアクスルの効率に与える影響

巽 浩之・柳原 貴・岡田 優樹・成田 恵一(出光興産)

潤滑油の摩擦特性が電動車用トランスアクスル(eAxle)効率へ及ぼす影響を調査した.高速歯車試験機及び実機減速機による評価にて,トラクション係数の低減が効率向上に最も寄与すること,境界・混合潤滑における摩擦特性も効率向上に有効であることを明らかにした.

  • セッションNo.152 動力伝達系II
  • 10月25日 白橿1 12:35-14:40
  • 座長:相原 建人(法政大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

大型FCVの回生ブレーキ作動不可時向け空気圧縮開放式補助制動装置(第4報)
-側面シール方式および排気再利用による過給方式の採用-

佐野 ちなつ・前山 大輔・藤田 壽憲・柴山 尚士(東京電機大学)

FCVトラックの回生ブレーキ作動不可時に備える空気圧縮開放式の簡易型補助ブレーキを前報までに提案した.本報では実用化に向けた課題の過給用外部コンプレッサ容量を削減するための排気再利用方式と,信頼性を高めるためOringを廃止してピストンとシリンダとの側面シールで機能させることに取り組んだ.その結果を報告する.

2

2モータEVシステムによる異常検知手法の検討
-遊星歯車機構と制御によるモータトルク低下の検出-

日下部 誠・中澤 輝彦・長田 育充・服部 治博(豊田中央研究所)

二つのモータ動力を遊星歯車で合流するEV用駆動システムの異常検知手法を提案する.システム出力トルクと二つのモータの回転速度差を目標値とした協調制御の制御量変化から,片側モータのトルク低下を伴う異常を検出する方法を考案し実機検証を行った.ロータ温度上昇に伴うトルク低下を高精度に検出可能なことを確認した.

3

BEV動力・変速機構がWLTC走行時の電費におよぼす影響調査

森吉 泰生(サステナブル・エンジン・リサーチセンター/千葉大学)・大野 実・水島 睦視・窪山 達也(千葉大学)

BEVの電費を改善するために,動力(モータ/ジェネレータ)と変速機の組み合わせを変えた研究が盛んにおこなわれている.本研究では,複数の動力性能と変速機(固定式,有段・無段式)を組み合わせた時の定常時とWLTC走行時の電費シミュレーションをTRAMIのOpenModelicaモデルを使って行った.この結果,定常結果とWLTC走行結果は必ずしも一致しないこと,遊星歯車機構ではリングギア出力がすぐれること,2モーター+多段変速の組み合わせがもっとも電費が良いことなどが定量的に示された.

4

トランスミッション-iLS台上評価設備を用いた車両・エンジンレス変速制御適合の実現

佐藤 大騎・百々 浩平・塚本 健一朗・木暮 大介・荒川 一哉(トヨタ自動車)

パワートレインの変速制御適合は車両の過渡挙動を捉える事が重要であり,実車評価に依存してきた.早期完成度向上による開発効率化を実現する為,物理モデルと高応答ダイナモを用いたHiLS 台上設備を開発し,車両・エンジンレス開発を実現した.さらに,結果をフルモデルに反映し開発を推進した例も紹介する.

5

前輪増速機構を用いた車両挙動のメカニズム解析

小野 瞭・清水 友博・伊藤 奨・柿原 裕介・小栗 昌己・山崎 義暢・薮崎 佑介・川原﨑 洋文・青木 亮治(SUBARU)

プロペラシャフト付きAWD車両の特徴である前後差回転拘束によるトルク移動のメカニズムと車両挙動への影響解明に取り組んでいる.先行研究よりシチュエーションに応じた前後差回転比で拘束することが旋回時の運動性能向上に有効だとわかっている.今回,前輪増速機構を用いた雪上における車両挙動を解析したので報告する.

  • セッションNo.153 認知・負担
  • 10月25日 白橿1 15:20-16:35
  • 座長:松下 詩穂(日産自動車)
No. タイトル・著者(所属)
1

運転前の動画視聴が運転行動に及ぼす影響:特性不安の異なるドライバに関する分析

朱宮 千裕(京都工芸繊維大学大学院)・西崎 友規子(京都工芸繊維大学)

動画の内容は感情あるいは視聴後の行動に影響するが,運転前の動画視聴を対象にした研究はほとんどない.特にネガティブな動画は,特性不安の高いドライバに負の影響を及ぼす可能性がある.本研究は,質的に異なる内容の動画視聴がその後の運転行動に与える影響,および特性不安の個人差との関連について実験的に検討した.

2

ドライバの生体情報を用いた運転時の状況と支援情報に対する信頼度評価

郭 鐘聲(拓殖大学)・吉武 宏・小竹 元基(東京工業大学)

提示された運転支援情報に対するドライバの信頼度の定量評価を目指し,生体情報の活用可能性を検討するため,状況に適した情報と適さない情報を提示した際の中枢神経反応を調べた.ドライビングシミュレーションと生体情報計測を用い,各条件における事象関連電位を調べた結果,事象関連電位後期成分の特徴に違いが現れた.

3

揺れのロール成分が情報端末の操作性に与える影響評価

安木 佑介(SOKEN)・久保 俊逸(デンソー)

AD・ADASの普及に伴い,セカンドタスク中の快適性向上も重要な課題となる.本研究では,乗用車の走行波形を再現可能な乗り心地評価試験装置上で,タブレット端末を操作した際の影響を,身体挙動,視線挙動,ストレス指標の観点から評価し,揺れのロール成分が操作性の悪化への寄与が大きいことを明らかにした.

  • セッションNo.154 生産・製造
  • 10月25日 白橿2 9:30-11:35
  • 座長:鈴木 教和(中央大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

温間フローフォーミングによるローターシャフトの中空一体化工法開発(第1報)

田口 直人・長縄 智義(日産自動車)・檜垣 孝二・山崎 卓矢(日本スピンドル製造)

電動車両には,各種モーターが採用されているが,より高効率な状態でモーターを動作させるためにより高回転化への対応が求められている.また,高回転で運転すると高温になるため,ローターシャフトにおける冷却構造を持たせるニーズも出てきている.これらの要件を織り込んだローターシャフトをより安価に製造するための温間フローフォーミング工法適用開発の一例を報告する.

2

ベイズ最適化を用いた切削シミュレーションによる最適加工条件の探索

江渡 寿郎・大西 慶弘・宮口 竹雄(伊藤忠テクノソリューションズ)

本講演では切削シミュレーションによる切削加工試験を大量実施した結果を評価することで新しい加工知見の発見に取組んだ事例を紹介する.シミュレーション点数が多くなるケースでは最適化技術のひとつであるベイズ最適化により少ないシミュレーション点数から結果を考察する枠組みについて検討を行った.

3

コイル線成形CAEのサロゲートモデルを用いた高速化技術開発

中野 慎太郎・寺部 俊紀・Le Dinh Thanh(トヨタ自動車)

電動車用モータのコイル線成形時の加工による膜厚減少を予測するため,基礎実験とCAEを組み合わせて予測技術を開発.更にCAEの高速化としてCNNを用いてサロゲートモデルを構築し計算時間短縮を実現.性能CAEと同期したモータ開発による初期設計素性の向上により,開発期間短縮に貢献できる.

4

トルク法における初期締付け力のばらつきへの影響に関する一考察

晴山 蒼一・真鍋 健一・小林 訓史(東京都立大学)

多数のボルトを締付ける場合,トルク係数や摩擦係数および締付けトルクは初期締付け力(初期軸力)の変動に大きな影響を与える.摩擦係数は締付け時の潤滑状況やねじの加工精度などの影響を受ける.締付けトルクはトルクレンチ等の着力点位置までの距離と作用する力の積によるものでトルク係数などとは独立な変数と考えられる.摩擦係数やトルク係数については多くの研究結果があるが,締付けトルクのばらつきについては詳細な検討はなされていない.本研究では,まずトルクレンチの着力点位置や力の方向の誤差と工具自体の誤差が締付けトルクに与える影響を検討する.次に,簡単な締付け試験を3人の作業員で行った締付け作業すなわちヒューマンエラーに基づく締付けトルクのばらつきへの影響を調べた.検討結果および試験結果による締付けトルクのばらつきを90%信頼限界値として整理した.

5

マスチック接着剤による外板パネル歪におよぼすパネル曲率,板厚の影響

岩間 隆史・佐藤 健太郎・大西 洋一郎・塩崎 毅(JFEスチール)・宇野木 啓吾・通山 大樹・渡部 貴史・松永 賢一(トヨタ自動車九州)

マスチックが塗装工程で硬化収縮する際,外板パネルの引込みによる歪が課題となる.歪に影響する因子としてパネル板厚は知られるが,意匠曲率の影響は解明されていない,
歪へおよぼす意匠曲率の影響をラボモデルによる実験およびCAEにより調査した.歪への影響度は,板厚より意匠曲率の方が大きいことが明らかになった.

  • セッションNo.155 事故回避
  • 10月25日 白橿2 12:35-14:15
  • 座長:豊島 貴行(ホンダ・レーシング)
No. タイトル・著者(所属)
1

車間距離制御使用時の減速操作がドライバの前方衝突事故回避行動に与える影響の解析

新井 乃理花・辻出 翔之介・藤波 洋平・Raksincharoensak Pongsathorn(東京農工大学)・菅谷 文男・沖田 敏宣・井上 慎太郎・上地 正昭(トヨタ自動車)

ACCは利便性向上のための安全運転支援系である.過信したドライバは二次タスクを行ったにもかかわらず,ACC使用時に衝突事故率が減少すると報告されている.本講演では二次タスクを行っている最中に,ACCによって発生した緩減速がドライバの回避行動に与える影響及び衝突リスク低減効果について解析したので報告する.

2

市街地走行中に危険場面に遭遇した場合の人間ドライバの回避行動に関する実験的考察(第2報)

児島 亨・真鍋 裕輝・北田 幸一・森崎 憲治(自動車技術総合機構)・福田 聖太朗・島 忠史(国土交通省)・池田 幸洋(トヨタ自動車)

自動運転車に要求される安全の水準は人間ドライバと比較してどのような関係にあるべきかを検討する上で,人間ドライバの運転行動分析が必要である.本研究は,一般道混走の自動運転実証が計画されている走行ルート上で想定される事故パターンのうち,代表的な危険場面におけるドライビングシミュレータ実験を実施した.

3

交通環境文脈を考慮した死角からの交通参加者飛び出し速度予測手法の検討

太田 龍希・谷川 愛希・Pongsathorn Raksincharoensak・永井 正夫・藤波 洋平(東京農工大学)・山崎 貴也・樋口 実(本田技術研究所)

本研究では,死角のある走行環境での出会い頭事故を防ぐ高度運転支援システムの開発の一環として,交通環境文脈から飛び出し対象の特性を推定するモデルを提案する.実路走行データに基づき,交通環境文脈と飛び出し対象の運動特性との関係を確率理論で記述することにより,飛び出し対象の特性を推定できる可能性を示した.

4

ASEAN地域における二輪車による四輪車追い越し場面での横方向の車間距離に関する分析

今長 久・河島 宏紀(日本自動車研究所)・長谷川 卓・前 博行(日本自動車工業会)

本研究では,マレーシアおよびタイの幹線道路における安全対策情報として二輪車が四輪車を追い越す際の横方向の車間距離を分析した.追い越し時には四輪車走行車線左右の白線上を通過する場合が多く,四輪車から離れるにつれて頻度が下がることや分布形状が四輪車の走行速度によって変化することなどを確認した.

  • セッションNo.156 リサイクル/サーキュラーエコノミー
  • 10月25日 白橿2 14:55-16:10
  • 座長:古山 隆(東北公益文科大学)
No. タイトル・著者(所属)
1

AI-OCRを用いた使用済み自動車用車台番号読取ソフトウェアの開発

中村 格芳(福山大学)・池坊 繁屋(名古屋文理大学)・八畝田 諭・山﨑 均(荒谷商会)

2026年度より実施予定の資源回収インセンティブ制度に対応するため,ELVを精度よく管理することを目的として,AI-OCRを用いた車台番号読み取りソフトウェアを開発した.1000台の車台番号を読み取り,車台番号が標準化されておらず,読み取りに困難な点があることが明らかとなった.

2

使用済みリチウムイオン電池から回収したリチウムの電池への再利用性

黒田 ひかり(三菱自動車工業)・吉田 翔平(DOWAエコシステム)・高橋 幹弘(セントラル硝子)・桝田 憲明(GSユアサ)

電池の資源不足の懸念や,リサイクルへの規制強化があり,今後は電池のクローズドループリサイクルが必要不可欠となる.
今回はその取り組みとして,使用済みリチウムイオン電池から抽出したリチウムを用いて作製した電解液の電池性能について報告する.

3

自動車のサーキュラーエコノミー指標の提案
-持続可能な社会に貢献するクルマの評価手法-

岩田 隆道(豊田中央研究所)・上田 貴康・増田 仁郎(トヨタ自動車)・田原 聖隆・松本 光崇(産業技術総合研究所)・原 昌司・小林 哲郎・山田 大介・高尾 尚史(豊田中央研究所)・石田 栄治・小笠原 満・永井 隆之(トヨタ自動車)

自動車のサーキュラーエコノミーを実現するには,CO2排出量だけではなく,資源循環や経済性も含めた評価に基づいた戦略を立てる必要がある.本研究で資源循環と経済的コストを考慮したサーキュラーエコノミー評価指標を考案したので,その内容を提案する.

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